説明

重合性含フッ素スルホン酸塩類、含フッ素スルホン酸塩樹脂、レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】 側鎖にスルホン酸オニウム塩を組み込まれアニオンが樹脂側に固定されたレジスト樹脂であって、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートへの溶解度の高い樹脂を提供する。
【解決手段】下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するスルホン酸塩樹脂。


(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、nは1〜10の整数。Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。Rは、RO、RNのいずれかを表す。Mは、一価のカチオンを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン構造を有する新規な重合性含フッ素スルホン酸塩類、含フッ素スルホン酸塩樹脂、レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。特に高エネルギー線を使用する微細加工に有用な化学増幅レジストとして好適なレジスト組成物、その組成物に使用する新規含フッ素スルホン酸塩樹脂、この含フッ素スルホン酸塩樹脂の合成に使用される新規含フッ素スルホン酸塩類に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程では、リソグラフィのパターン微細化に伴い、露光が短波長化するとともに、焦点深度余裕(以下、「DOF」という。)が広く、パターンのラインエッジラフネス(以下、「LER」という。)が低く、解像度に優れ、さらには感度、基板密着性、エッチング耐性に優れるレジスト組成物が求められている。
【0003】
露光の短波長化への対応は、レジスト樹脂中にフッ素原子を導入することや脂環式構造を導入することで一定の効果が得られた。焦点深度余裕が広く、パターンのラインエッジラフネスを低くするために、酸強度の大きい含フッ素スルホン酸をアニオンとすることが試みられ、さらに、これらのレジスト特性を改良するために、酸発生剤の機能をレジスト樹脂に組み込む試みがなされ(特許文献1〜7)、酸発生剤のアニオン側をレジスト樹脂に組み込んだ、側鎖にスルホン酸オニウム塩を有する樹脂が提案されている。例えば、特許文献6、7には、α位にフッ素原子を有するスルホン酸のトリフェニルスルホニウム塩構造を側鎖に有するメタクリル酸エステルを重合または共重合させた樹脂を用いたレジスト組成物が開示されている。
【0004】
しかしながら、これらのスルホン酸オニウム塩を含む樹脂は一般に用いられているレジスト溶剤(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に対する溶解度が著しく低く、レジスト樹脂中にスルホン酸オニウム塩構造を大量に組み込むことが困難であったり、あるいはこれらのレジスト樹脂中に共重合させて導入できる単量体の種類が著しく制限されるなどの多くの課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3613491号公報
【特許文献2】国際公開2006/309446号パンフレット
【特許文献3】特開2006−178317号公報
【特許文献4】特開2007−197718号公報
【特許文献5】特開2008−133448号公報
【特許文献6】特開2009−7327号公報
【特許文献7】特開2010−95643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体装置製造のリソグラフィ工程において、解像度に優れ、DOFが広く、LERが小さく、さらには感度が高く優れたパターン形状を形成できるレジスト組成物として、側鎖にスルホン酸オニウム塩が組み込まれ、アニオンが樹脂側に固定されたレジスト樹脂が提案されているが、この様な樹脂は、一般に用いられているレジスト溶剤(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)への溶解度が低く、十分な量の酸を発生させ得る程度にスルホン酸オニウム塩を組み込むことができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定の含フッ素スルホン酸塩構造を有する重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩が一般に用いられているレジスト溶剤(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に対して極めて高い溶解性を示すことを見出し、この重合性含フッ素スルホン酸塩をレジスト樹脂の調製に用いられている単量体とを共重合させ、または単独重合させたところ、得られた含フッ素スルホン酸塩を側鎖に有する樹脂は、単量体と同様プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対し高い溶解性を示し、かつ、スルホン酸オニウム塩型酸発生剤として機能することが確認され、これから調製したポジ型またはネガ型のレジスト組成物は解像度に優れ、DOFが広く、LERが小さいパターンを形成できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は次の通りである。
【0009】
[発明1]
下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するスルホン酸塩樹脂。
【化1】

【0010】
(式中、Xはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を表す。nは1〜10の整数を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基を表す。Rは、RO、RNのいずれかを表す。ここでR、RおよびRは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基炭素数2〜20のオキソアルキル基、炭素数6〜18のアリール基炭素数6〜18のアラルキル基、または炭素数3〜30のラクトン基を表す。R及びRは相互に結合してRNの窒素原子(N)と共に環員数3〜18の複素環を形成していてもよい。また、R、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。Mは、一価のカチオンを表す。)
[発明2]
下記一般式(4)で表される繰り返し単位を有する発明1のスルホン酸塩樹脂。
【化2】

【0011】
(式中、X、n、RおよびRは前記一般式(3)におけるX、n、RおよびRとそれぞれ同義である。Q+は、下記一般式(a)で表されるスルホニウムカチオン、または下記一般式(b)で表されるヨードニウムカチオンを表す。)
【化3】

【0012】
(式中、R、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはR、RおよびRのうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【化4】

【0013】
(式中、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはRおよびRが相互に結合して式中のヨウ素原子と共に環を形成してもよい。)
[発明3]
下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する発明1のスルホン酸塩樹脂。
【化5】

【0014】
(式中、X、n、RおよびRは前記一般式(3)におけるX、n、RおよびRとそれぞれ同義である。)
[発明4]
さらにオレフィン、含フッ素オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物、スチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビニルエーテル、および含フッ素ビニルエーテルに含まれる重合性二重結合が開裂して形成された繰り返し単位からなる群より選ばれた一種以上の繰り返し単位を有する発明1〜3のスルホン酸塩樹脂。
【0015】
[発明5]
さらに下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有する発明1〜4のスルホン酸塩樹脂。
【化6】

【0016】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。Rは置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族基、または、それらが複数連結された有機基であって、任意の数の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。R10は水素原子、置換または非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基であって、任意の数の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。また、sは1〜2の整数を表す。)
[発明6]
さらに下記一般式(7)で表される繰り返し単位を有する発明1〜5のスルホン酸塩樹脂。
【化7】

【0017】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R11、R12、R13のうち、いずれか1つがCFC(CF)(OH)CH−基であり、残り2つは水素原子である。)
[発明7]
さらに下記一般式(8)で表される繰り返し単位を有する発明1〜6のスルホン酸塩樹脂。
【化8】

【0018】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R14は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基を表す。)
[発明8]
さらに下記一般式(9)で表される繰り返し単位を有する発明1〜7のスルホン酸塩樹脂。
【化9】

【0019】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R15はメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R16は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基を含む基であって、その一部にフッ素原子、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。uは0〜2の整数を表し、t、vは1〜8の整数を表し、v≦t+2を満たす。vが2〜8の場合、R15およびR16はそれぞれ同一でも異なってもよい。)
[発明9]
さらに下記一般式(10)で表される繰り返し単位を有する発明1〜8のスルホン酸塩樹脂。
【化10】

【0020】
(式中、Yは−CH−、−O−、−S−の何れかを表す。wは2〜6の整数を表す。)
[発明10]
さらに下記の一般式(11)または一般式(11−1)で表される繰り返し単位を有する発明1〜9のスルホン酸塩樹脂。
【化11】

【化12】

【0021】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R18は水素原子、フッ素原子または含フッ素アルキル基、Jは二価の連結基を表す。R17は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基であって、その一部にフッ素原子、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。R17−1は、酸不安定性基を示す。)
[発明11]
さらに下記一般式(12)で表される繰り返し単位を有する発明1〜10記載のスルホン酸塩樹脂。
【化13】

【0022】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R19およびR20はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基であって、その一部にフッ素原子、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。)
[発明12]
式中、−(CX)−が、−(CH−(CF−で表され、pが0〜10の整数かつqが0〜8の整数である繰り返し単位を有する発明1〜11のスルホン酸塩樹脂。
【0023】
[発明13]
式中、−(CX)−が、−(CH−(CF−で表され、pが0〜4の整数かつqが0または1である繰り返し単位を有する発明1〜11のスルホン酸塩樹脂。
【0024】
[発明14]
発明1〜13のスルホン酸塩樹脂と溶剤を少なくとも含むレジスト組成物。
【0025】
[発明15]
スルホン酸塩樹脂が酸不安定性基を有するスルホン酸塩樹脂である発明14の化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【0026】
[発明16]
さらに酸不安定性基を有する樹脂を含む発明14または発明15の化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【0027】
[発明17]
スルホン酸塩樹脂がアルコール性ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有するスルホン酸塩樹脂である発明14の化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【0028】
[発明18]
さらにアルコール性ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する樹脂を含む発明12または発明17の化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【0029】
[発明19]
発明14〜18のレジスト組成物を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【0030】
[発明20]
露光する工程が、波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、レジスト組成物を塗布した基板と投影レンズの間に水、もしくは空気の屈折率より高い屈折率を有する水以外の液体を挿入する液浸リソグラフィー法であることを特徴とする発明19のパターン形成方法。
【0031】
[発明21]
露光する工程が、波長10〜14nmの軟X線(EUV光)を用いることを特徴とする発明19のパターン形成方法。
【0032】
[発明22]
下記一般式(1)で表されるアニオンを有する重合性含フッ素スルホン酸または重合性含フッ素スルホン酸塩。
【化14】

【0033】
(式中、Xはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を表す。nは1〜10の整数を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基を表す。Rは、RO、RNのいずれかを表す。ここでR、RおよびRは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基炭素数2〜20のオキソアルキル基、炭素数6〜18のアリール基炭素数6〜18のアラルキル基、または炭素数3〜30のラクトン基を表す。R及びRは相互に結合してRNの窒素原子(N)と共に環員数3〜18の複素環を形成していてもよい。また、R、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。)
[発明23]
下記一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩。
【化15】

【0034】
(式中、Xはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を表す。nは1〜10の整数を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基を表す。Rは、RO、RNのいずれかを表す。ここでR、RおよびRは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のオキソアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアラルキル基、または炭素数3〜30のラクトン基を表す。R及びRは相互に結合してRNの窒素原子(N)と共に環員数3〜18の複素環を形成していてもよい。また、R、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。Q+は、下記一般式(a)で表されるスルホニウムカチオン、または下記一般式(b)で表されるヨードニウムカチオンを表す。)
【化16】

【0035】
(式中、R、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはR、RおよびRのうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【化17】

【0036】
(式中、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはRおよびRが相互に結合して式中のヨウ素原子と共に環を形成してもよい。)
【発明の効果】
【0037】
本発明の含フッ素スルホン酸塩構造を繰り返し単位に有する樹脂は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートへの溶解度が高く、これから調製したポジ型またはネガ型のレジストは解像度に優れ、DOFが広く、LERが小さく、さらには感度が高く優れたパターン形状を形成できるという効果を奏する。また。本発明の重合性含フッ素スルホン酸塩は、レジストに用いられる樹脂に含まれる繰り返し単位の導入に使われる広範囲の単量体との共重合が可能であり、樹脂の設計が容易であるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0039】
本明細書において、露光により現像液に対する溶解の容易さ(「溶解度」ということがある。)が変化する樹脂をベース樹脂という。露光部の現像液に対する溶解度が高まるレジストをポジ型レジスト、露光部の現像液に対する溶解度が低下するレジストをネガ型レジストという。
【0040】
本明細書において、高エネルギー線とは、レジスト組成物に作用して酸を発生させる電磁波または粒子線をいい、一般的に近紫外線(波長380〜200nm)もしくは真空紫外線(遠紫外線、VUV,波長200〜10nm)、極端紫外線(EUV、波長10nm以下)、軟エックス線、X線またはγ線などに分類される電磁波、または電子線などの粒子線である。これらの電磁波の名称は便宜的なものであり、例えば、波長10〜14nmをEUV光または軟X線などと呼ぶ場合がある。
【0041】
本明細書において、「塩」というときは、別途注釈のない限り、カチオンが「H」である場合を包含する。
【0042】
先ず本発明に係る物質の関係をスキーム(1)に表す。
【化18】

【0043】
一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩を単独重合または共重合することにより、一般式(4)で表される繰り返し単位を有するスルホン酸塩樹脂が得られ、このスルホン酸塩樹脂は高エネルギー線、熱等の作用により一般式(5)で表される繰り返し単位を有する樹脂に変換される。生成した含フッ素スルホン酸は酸触媒として機能する。
【0044】
[重合性含フッ素スルホン酸および重合性含フッ素スルホン酸塩]
本発明の一般式(1)で表されるアニオンを有する重合性含フッ素スルホン酸または重合性含フッ素スルホン酸塩
【化19】

【0045】
一般式(1)で表されるアニオンを有する重合性含フッ素スルホン酸または重合性含フッ素スルホン酸塩は、一般式(1−1)
【化20】

【0046】
で表される重合性含フッ素スルホン酸または重合性含フッ素スルホン酸塩であることができる。Mはプロトンまたは一価のカチオンを表す。一般式(1−1)において、Mはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の金属カチオン、あるいはアンモニウムイオン類、スルホニウムイオン類、ヨードニウムイオン類、ホスホニウムイオン類等のオニウムイオン類を表す。
【0047】
一般式(1)および一般紙(1−1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を表す。nは、1〜10の整数を表し、1〜6の整数が好ましい。
【0048】
一般式(1)および一般式(1−1)において、−(CX−で表される構造としては、炭素数1〜10の直鎖のアルキレン基であって、任意の水素原子がフッ素原子で置換したアルキレン基であり、そのうち、−(CH−(CF−で表される構造が好ましい。ここで、pは0〜10の整数、qは0〜8の整数であり、pは1〜6の整数、qは0〜5の整数が好ましく、pは1〜4の整数、qは0または1であるのがより好ましい。ポリマーの側鎖に固定されたスルホン酸オニウム塩を有する樹脂は、化学増幅型の光酸発生剤として機能する部位がポリマー鎖の側鎖に固定されていることから、実質的に酸の拡散距離が制限されているのでDOFが広く、LERが小さいという特徴を示すが、酸部位と主鎖とを隔てる連結基の化学構造と側鎖の長さをこのように特定することで拡散の容易さと拡散距離を調節することができる。
【0049】
は水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。
【0050】
ここでRについてより具体的に表すと、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜3のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。炭素数1〜3の含フッ素アルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、1−(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基等が挙げられる。これらのうち、Rとして好ましいものとして、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基が挙げられる。
【0051】
は、RO、RNのいずれかの基を表す。ここでR、RおよびRは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のオキソアルキル基、炭素数6〜18のアリール基もしくは炭素数6〜18のアラルキル基、炭素数3〜30のラクトン基を表す。炭素数1〜20のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基、炭素数3〜20の分岐状のアルキル基または炭素数3〜20の環状のアルキル基である。炭素数3〜30のラクトン基は、炭素数3〜30の単環式もしくは多環式ラクトン基である。RおよびRは相互に結合してRNの窒素原子(N)と共に環員数3〜18の複素環を形成していてもよい。また、R、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。
【0052】
ここで、R、R及びRを具体的に表すと、炭素数1〜20の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等、および、置換基を有するものとしてシクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、ノルボルニルメチル基、ノルボルニルエチル基、カンホロイルメチル基、カンホロイルエチル基等の環式アルキル基を有する直鎖状のアルキル基を挙げることができる。
【0053】
炭素数3〜20の分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0054】
炭素数3〜20の環状のアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルアダマンチル基、エチルシクロペンチル基、エチルシクロヘキシル基、エチルアダマンチル基、ノルボルニル基、カンホロイル基等を挙げることができる。
【0055】
炭素数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−メチルエテニル基、アリル基、3−ブテニル基、1-メチルアリル基、2-メチルアリル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等を挙げることができる。
【0056】
炭素数2〜20のオキソアルキル基としては、例えば、2−オキソ−プロピル基、2−オキソ−ブチル基、2−オキソ−3−メチル-ブチル基、2−オキソ−ペンチル基、2−オキソ−3−メチル−ペンチル基、2−オキソ−4−メチル−ペンチル基、2−オキソ−3−エチル-ペンチル基、2−オキソ−ヘキシル基、2−オキソ−3−メチル−ヘキシル基、2−オキソ−4−メチル−ヘキシル基、2−オキソ−5−メチル−ヘキシル基、2−オキソ−3−エチル−ヘキシル基、2−オキソ−4−エチル−ヘキシル基、2−オキソ−ヘプチル基、2−オキソ−3−メチル−ヘプチル基、2−オキソ−4−メチル−ヘプチル基、2−オキソ−5−メチル−ヘプチル基、2−オキソ−6−メチル−ヘプチル基、2−オキソ−3−エチル−ヘプチル基、2−オキソ−4−エチル−ヘプチル基、2−オキソ−5-エチル−ヘプチル基、2−オキソ−3−プロピル−ヘプチル基、2−オキソ−4-プロピル−ヘプチル基、2−オキソ−オクチル基、2−オキソ−3−メチル−オクチル基、2−オキソ−4−メチル−オクチル基、2−オキソ−5−メチル−オクチル基、2−オキソ−6−メチル−オクチル基、2−オキソ−7−メチル−オクチル基、2−オキソ−3−エチル−オクチル基、2−オキソ−4−エチル−オクチル基、2−オキソ−5−エチル−オクチル基、2−オキソ−シクロペンチル基、2−オキソ−シクロヘキシル基、2−オキソ−シクロヘプチル基、2−オキソ−シクロプロピルメチル基、2−オキソ−メチルシクロヘキシル基、2−オキソ−シクロヘキシルメチル基、2−オキソ−ノルボルニル基、2−オキソ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、2−シクロ−オキソテトラシクロ[4.4.0.12,57,10]ドデシル基、2−オキソ−ボルニル基等を挙げることができる。
【0057】
炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、1−ナフチル基、1−アントラセニル基等を挙げることができる。
【0058】
炭素数6〜18のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0059】
炭素数3〜30の単環式もしくは多環式ラクトン基としてはγ−ブチロラクロン、γ−バレロラクトン、アンゲリカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、3−メチル−4−オクタノライド(ウイスキーラクトン)、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、γ−ジャスモラクトン(7−デセノラクトン)、δ−ヘキサラクトン、4,6,6(4,4,6)−トリメチルテトラヒドロピラン−2−オン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−2−デセノラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、ラクトスカトン、ε−デカラクトン、ε−ドデカラクトン、シクロヘキシルラクトン、ジャスミンラクトン、シスジャスモンラクトン、メチルγ−デカラクトンから水素原子が1個脱離した基あるいは下記のものが挙げられる。点線は結合位置を表す。
【化21】

【0060】
及びRによって形成される環員数3〜18の複素環としては、例えば、下記のものが挙げられる。点線は結合位置を表す。
【化22】

【0061】
上述したR、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、アリール基等またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む有機基等を挙げることができる。さらには上述したR、R及びRの同一炭素上の2つの水素原子が1つの酸素原子で置換されたケトン基を例示することができる。これらの置換基は、構造上可能な範囲内でいくつ存在していてもよい。
【0062】
としては、下記に示す基を好ましい基として挙げることができる。点線は結合位置を表す。
【化23】

【化24】

【0063】
従って、一般式(1)で表される構造は、より具体的には下記のように例示することができる。一般式(1−1)で表される含フッ素スルホン酸塩は、下記の各アニオン構造にカチオンMが結合したものであり、一般式(2)で表される含フッ素スルホン酸オニウム塩は、下記の各アニオン構造にカチオンQが結合した塩である。
【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

【化81】

【化82】

【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

【化87】

【化88】

【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

【0064】
[重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩]
本発明の一般式(1)で表されるアニオン構造を有する重合性含フッ素スルホン酸塩として、下記一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩が好ましい例として挙げられる。この重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩は、単量体のままで、また、それを単独重合もしくは共重合して得られた樹脂が、高エネルギー線に感応して非常に酸強度の大きい含フッ素スルホン酸を発生する能力を有することから、重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩またはそれから得られた樹脂は光酸発生剤として機能することができる。のみならず、この重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩は、酸不安定性基または架橋部位を有する単量体と共重合することができ、高エネルギー線用レジスト組成物のベース樹脂を製造するための単量体としても有用である。
【化95】

【0065】
(式中、X、n、RおよびRは前記一般式(1)におけるX、n、RおよびRとそれぞれ同義である。Q+は、下記一般式(a)で表されるスルホニウムカチオン、または下記一般式(b)で表されるヨードニウムカチオンを表す。)
【化96】

【0066】
(式中、R、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基またはアリールオキソアルキル基を表すか、またはR、RおよびRのうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【化97】

【0067】
(式中、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはRおよびRが相互に結合して式中のヨウ素原子と共に環を形成してもよい。) ここでQの具体的構造を例示する。以下に一般式(a)で表されるスルホニウムカチオンおよび一般式(b)で表されるヨードニウムカチオンについて詳述する。
【0068】
〈一般式(a)で表されるスルホニウムカチオン〉 一般式(a)におけるR、RおよびRとしては具体的に以下のものが挙げられる。置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基であってよく、置換基を有してもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、n−デシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル基、1−アダマンタンメチル基、2−アダマンタンメチル基等が挙げられる。置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルケニル基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルケニル基であってよく、置換基を有してもよい。例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。置換もしくは非置換の炭素数1〜20のオキソアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のオキソアルキル基であってよく、置換基を有してもよい。例えば、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、2−オキソエチル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等やp−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアラルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。また、R、RおよびRのうちのいずれか2つ以上が相互に結合して硫黄原子を介して環状構造を形成する場合には、二価の基として1,4−ブチレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン等が挙げられる。さらには置換基としてアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の重合可能な置換基を有するアリール基が挙げられ、具体的には4−(アクリロイルオキシ)フェニル基、4−(メタクリロイルオキシ)フェニル基、4−ビニルオキシフェニル基、4−ビニルフェニル基等が挙げられる。
【0069】
より具体的に一般式(a)で表されるスルホニウムカチオンを示すと、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブチルフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル(2−ナフチル)スルホニウム、(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウム、(4−メトキシフェニル)ジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、(2−オキソシクロヘキシル)シクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、ジフェニル 2−チエニルスルホニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、4−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられる。より好ましくはトリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0070】
さらには、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(アクリロイルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム、4−(アクリロイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム等が挙げられる。これら重合可能なスルホニウムカチオンとしては、特開平4−230645号公報、特開2005−84365号公報等に記載されたものも使用できる。
【0071】
〈一般式(b)で表されるヨードニウムカチオン〉 RならびにRの具体例は上述した一般式(a)におけるR、R及びRと同じものを再び挙げることができる。
【0072】
具体的なヨードニウムカチオンとしては、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−エチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル)ヨードニウム、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、4−(アクリロイルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム等が挙げられるが、中でもビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムが好ましく用いられる。
【0073】
ここで、一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩の具体例としては、先に具体的に例示した一般式(1)で表される構造を有する重合性含フッ素スルホン酸塩と、今回例示した一般式(a)で表されるスルホニウムカチオンもしくは一般式(b)で表されるヨードニウムカチオンを組み合わせたものを例示することができる。
【0074】
その中でも、特に好ましいものとして、以下の構造が例示できる。
【化98】

【化99】

【化100】

【0075】
[重合性含フッ素スルホン酸塩類の製造方法]
次いで上述した、一般式(1−1)で表される重合性含フッ素スルホン酸塩の製造方法について述べる。一般式(1−1)で表される重合性含フッ素スルホン酸塩は、一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩と同様に製造することができる。以下の説明においてQをMと読み替えることができる。
【0076】
まず、一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩は、下記のスキーム(2)の通り、一般式(13)で表される化合物から第一工程および第二工程を含む工程で製造することができる。
【化101】

【0077】
スキーム(2)中、X、n、R、RおよびQ+は前記一般式(1−1)におけるX、n、R、RおよびQ+とそれぞれ同義である。Zはヒドロキシル基、ハロゲン原子もしくは−O(C=O)C(R)=CH2基を表す。
【0078】
一般式(13)は、ヒドロキシフルオロアルカンスルホン酸オニウム塩を表す。そしてXは水素原子もしくはフッ素原子を表し、nは1〜10の整数を表し、Q+はスルホニウムカチオンもしくはヨードニウムカチオンを表す。具体的なカチオンとしては、一般式(2)の説明で例示したカチオンを再び例示することができる。
【0079】
具体的には、Qとして、2−ヒドロキシ−1,1−ジフルオロエタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、4−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、5−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフルオロペンタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、6−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンスルホン酸トリフェニルスルホニウム等を例示することができる。これらの化合物は、それぞれ、特開2009−91351号公報、国際公開2008/56795号パンフレット、国際公開2006/121096号パンフレット、特開2010−18573号公報に製造方法が記載されている。
【0080】
一般式(14)は、トリフルオロピルビン酸誘導体を表す。Rは、RO、RNのいずれかを表す。ここでR、RおよびRは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のオキソアルキル基、炭素数6〜18のアリール基もしくは炭素数6〜18のアラルキル基、炭素数3〜30のラクトン基を表す。RおよびRは環員数3〜18の複素環を形成していてもよい。また、R、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。具体的なRとしては、一般式(1−1)の説明で例示したカチオンを再び例示することができる。
【0081】
この一般式(14)で表されるトリフルオロピルビン酸誘導体は、市販のものをそのまま使用することもできるし、公知の方法によって調製することもできる。
【0082】
一般式(16)は、カルボン酸誘導体を表す。Zがヒドロキシル基の場合はカルボン酸であり、Zがフッ素、塩素、臭素、ヨウ素の内のいずれかのハロゲン原子の場合、酸ハロゲン化物である。さらにZが−O(C=O)C(R)=CH基の場合には酸無水物を表す。そしてRは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。
【0083】
この一般式(16)で表されるカルボン酸誘導体は、市販のものをそのまま使用することもできるし、公知の方法によって調製することもできる。
【0084】
(第1工程)
第1工程について説明する。第1工程は、一般式(13)で表されるヒドロキシフルオロアルカンスルホン酸オニウム塩に一般式(14)で表されるトリフルオロメチルピルビン酸誘導体を付加させる工程である。この付加反応の方法としては、一般式(13)で表されるヒドロキシフルオロアルカンスルホン酸オニウム塩に一般式(14)で表されるトリフルオロメチルピルビン酸誘導体を、酸触媒存在下、あるいは無触媒条件下で反応させる方法が例示できる。
【0085】
一般式(14)で表されるトリフルオロメチルピルビン酸誘導体を用いる場合、一般式(13)で表されるヒドロキシフルオロアルカンスルホン酸オニウム塩に対して作用させる、トリフルオロメチルピルビン酸誘導体の使用量は、特に制限するものではないが、通常、ヒドロキシフルオロアルカンスルホン酸オニウム塩1モルに対して、0.1〜5モルであり、好ましくは、0.2〜3モルであり、より好ましくは、0.5〜2モルである。トリフルオロメチルピルビン酸誘導体使用量として、0.8〜1.5モルであることは、特に好ましい。
【0086】
この付加反応は、溶媒存在下または非存在下で行えるが、通常、非プロトン性溶媒を用いるのが好ましい。非プロトン性溶媒としては、ジイソプロピルエーテル、ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等が用いられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、あるいは、2種類以上を併用しても差し支えない。
【0087】
反応温度は特に制限はなく、通常0〜100℃の範囲であり、好ましくは10〜80℃である。反応は撹拌しながら行うのが好ましい。
【0088】
反応時間は反応温度にも依存するが、通常、数分〜100時間であり、好ましくは、30分〜50時間であり、より好ましくは、1〜20時間であるが、核磁気共鳴装置(NMR)などの分析機器を使用し、原料であるヒドロキシフルオロアルカンスルホン酸オニウム塩が消費された時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0089】
本反応においては、通常は無触媒条件下で行うが、酸触媒を用いても同様に反応は進行する。酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、および/または、硫酸等の無機酸を使用する。
【0090】
反応終了後、減圧条件下溶媒等を除くことで、目的とする一般式(15)で表される含フッ素スルホン酸オニウム塩を得ることができる。
【0091】
反応終了後、抽出、再結晶等の通常の手段により、一般式(15)で表される含フッ素スルホン酸オニウム塩を精製することもできる。
【0092】
一方で、反応終了後溶媒を留去せず、そのまま一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩を合成するための原料として用いることができる。
【0093】
(第2工程)
次いで第2工程について説明する。第2工程は、一般式(15)で表される含フッ素スルホン酸オニウム塩と一般式(16)で表されるカルボン酸誘導体とをエステル化反応させ、一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩を合成する工程である。具体的な方法としては、これまで公知となっているエステル化法のいずれも採用することができる。
【0094】
エステル化方法としては、一般式(16)で表されるカルボン酸(Zがヒドロキシル基)と、含フッ素スルホン酸オニウム塩を酸触媒の存在下脱水縮合させる方法(フィッシャー・エステル合成反応)や、一般式(16)で表されるカルボン酸ハライド類(Zがハロゲン原子)もしくはカルボン酸無水物(Zが−O(C=O)C(R)=CH基)と、一般式(15)で表される含フッ素スルホン酸オニウム塩を反応させる方法などが例示できる。
【0095】
一般式(16)で表されるカルボン酸(Zがヒドロキシル基)を用いる場合、含フッ素スルホン酸オニウム塩に対して作用させる、カルボン酸の使用量は、特に制限するものではないが、通常、含フッ素スルホン酸オニウム塩1モルに対して、0.1〜5モルであり、好ましくは、0.2〜3モルであり、より好ましくは、0.5〜2モルである。カルボン酸の使用量として、0.8〜1.5モルであることは、特に好ましい。
【0096】
このエステル化反応は、溶媒存在下または非存在下で行えるが、通常、非プロトン性溶媒を用いるのが好ましい。非プロトン性溶媒としては、ジクロロエタン、トルエン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等が用いられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、あるいは、2種類以上を併用しても差し支えない。
【0097】
含フッ素スルホン酸オニウム塩はトルエン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼン等の芳香族炭化水素にほとんど溶解せず、スラリー状になるが、そのような状態でも反応は進行する。
【0098】
反応温度は特に制限はなく、通常、0〜200℃の範囲であり、好ましくは、20〜180℃であり、より好ましくは、50〜150℃である。反応は攪拌しながら行うのが好ましい。
【0099】
反応時間は反応温度にも依存するが、通常、数分〜100時間であり、好ましくは、30分〜50時間であり、より好ましくは、1〜20時間であるが、ガスクロマトグラフィー(GC)や核磁気共鳴装置(NMR)などの分析機器を使用し、原料である一般式(15)で表される含フッ素スルホン酸オニウム塩が消費された時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0100】
本反応においては、通常は触媒を用い、酸触媒が好ましい。酸触媒としては、エステル化反応で公知の触媒から選択すればよいが、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、および/または、硫酸等の無機酸を使用する。また、反応系内に脱水剤を添加してもよく、脱水剤として1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等が使用できる。かかる酸触媒の使用量としては、特に制限はないが、含フッ素スルホン酸オニウム塩1モルに対して、0.0001〜10モルであり、好ましくは、0.001〜5モルであり、より好ましくは、0.01〜1.5モルである。
【0101】
酸触媒を用いたエステル化反応は、ディーンスターク装置を用いるなどして、脱水しながら実施すると、反応時間が短縮化される傾向があることから好ましい。 反応終了後、抽出、再沈殿、再結晶等の通常の手段により、一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩を得ることができる。また、必要により再結晶等により精製することもできる。
【0102】
一方、一般式(16)で表されるカルボン酸ハライド類(Zがハロゲン原子)もしくはカルボン酸無水物(Zが−O(C=O)C(R)=CH基)を用いる場合、含フッ素スルホン酸オニウム塩に対して作用させる、一般式(16)で表されるカルボン酸ハライド類もしくはカルボン酸無水物の使用量は、特に制限するものではないが、通常、含フッ素スルホン酸オニウム塩1モルに対して、0.1〜5モルであり、好ましくは、0.2〜3モルであり、より好ましくは、0.5〜2モルである。カルボン酸ハライド類もしくはカルボン酸無水物の使用量として、0.8〜1.5モルであることは、特に好ましい。
【0103】
反応は、無溶媒で行ってもよく、あるいは反応に対して不活性な溶媒中で行ってもよい。かかる溶媒としては、反応不活性な溶媒であれば特に限定するものではなく、例えば、水、有機溶媒あるいはこれらの混合系で行ってもよい。該有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソクロルベンゼン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の極性溶媒などが例表される。これらの溶媒は単独で使用してもよく、あるいは、2種類以上を併用しても差し支えない。
【0104】
反応温度は特に制限はなく、通常、−78〜150℃の範囲であり、好ましくは、−20〜120℃であり、より好ましくは、0〜100℃である。
【0105】
反応時間は反応温度にも依存するが、通常、数分〜100時間であり、好ましくは、30分〜50時間であり、より好ましくは、1〜20時間であるが、ガスクロマトグラフィー(GC)や核磁気共鳴装置(NMR)などの分析機器を使用し,原料である含フッ素スルホン酸オニウム塩が消費された時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0106】
一般式(16)で表されるカルボン酸ハライド類(Zがハロゲン原子)を使用する場合には、無触媒下、副生するハロゲン化水素(例えば、塩化水素など)を、反応系外に除去しながら行ってもよく、あるいは、脱ハロゲン化水素剤(受酸剤)を用いて行っても良い。
【0107】
該受酸剤としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等の有機塩基、あるいは、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の無機塩基などが例表される。かかる受酸剤の使用量としては、特に制限はないが、含フッ素スルホン酸オニウム塩1モルに対して、0.05〜10モルであり、好ましくは、0.1〜5モルであり、より好ましくは、0.5〜3モルである。
【0108】
反応終了後、抽出、蒸留、再結晶等の通常の手段により、一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸塩を得ることができる。また、必要により洗浄、再結晶等により精製することもできる。
【0109】
[スルホン酸塩樹脂]
下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含む樹脂(本明細書において、「スルホン酸塩樹脂」ということがある。)は、一般式(1−1)で表される重合性含フッ素スルホン酸塩の重合性二重結合が開裂して形成される。重合反応においては、重合性二重結合以外の構造に変化は起こらず、元の構造が維持される。
【化102】

【0110】
(式中、X、n、RおよびRは一般式(1−1)におけるX、n、RおよびRとそれぞれ同義である。Mは一価のカチオンを表す。) ここで、カチオン(M)がオニウムイオン(Q)であるものは好ましく、一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩の重合性二重結合が開裂して形成される繰り返し単位を有する樹脂として、具体的には下記一般式(4)で表される繰り返し単位を有する樹脂
【化103】

【0111】
(式中、X、n、RおよびRは一般式(1−1)におけるX、n、RおよびRとそれぞれ同義である。Q+は前記一般式(2)におけるQ+とそれぞれ同義である。)を例示できる。
【0112】
この一般式(4)で表される繰り返し単位を有する樹脂を、高エネルギー線で露光することによって、下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する樹脂
【化104】

【0113】
(式中、X、n、RおよびRは一般式(1−1)におけるX、n、RおよびRとそれぞれ同義である。)に変換される。高エネルギー線は特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザーなどのエキシマーレーザーやシンクロトロン放射で発生する電磁波(光)および電子線などの荷電粒子線などが挙げられ、特に微細加工を行なおうとする場合には、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザーなどのエキシマーレーザーやシンクロトロン放射で発生する波長300nm以下の高エネルギー線が有効である。
【0114】
このQの脱離した後の繰り返し単位の末端はジフルオロスルホン酸であり、非常に強い酸性を示し、化学増幅型レジスト組成物用の光酸発生剤として機能する。従って、一般式(4)で表される繰り返し単位を少なくとも有する樹脂は光酸発生剤として機能し、ポジ型またはネガ型の感光溶解性変化機能を有する樹脂と溶剤を少なくとも含む組成物は、レジスト組成物として使用できる。
【0115】
スルホン酸塩樹脂は、その使用目的により、[I]一般式(2)で表される構造を有する重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩から形成される一般式(4)で表される繰り返し単位からなるスルホン酸塩樹脂、[II]酸不安定性基もしくは架橋部位を有する繰り返し単位と一般式(4)で表される繰り返し単位からなるスルホン酸塩樹脂とすることができ、これらの何れもその他の繰り返し単位(本明細書において従繰り返し単位という)を含むことができる。従繰り返し単位とは、一般式(4)で表される繰り返し単位、酸不安定性基もしくは架橋部位を有する繰り返し単位の何れにも該当しない繰り返し単位をいう。また、従単量体とは、二重結合が開裂して従繰り返し単位を形成する単量体をいう。
【0116】
したがって、スルホン酸塩樹脂は一般式(2)で表される構造を有する重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩を単独重合して得られる一般式(4)で表される繰り返し単位のみからなる単独重合体であってもよく、従繰り返し単位を含むものであってもよい。これらはそれ自身ポジ型またはネガ型のレジストとしては使用できないが、ベース樹脂とともに光酸発生剤としてレジスト組成物を構成できる。このような使用を目的とする場合、スルホン酸塩樹脂は、一般式(2)で表される構造を有する重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩を0.1〜100モル%とし、1〜100モル%であるのが好ましく、2〜100モル%であって、それぞれの組成比において残余が従繰り返し単位とするのがより好ましい。0.1モル%以下では、これを酸発生剤としてレジスト組成物を調製した場合、十分な高エネルギー線への感光性を発現させるためには多量に使用する必要があり好ましくない。
【0117】
また、スルホン酸塩樹脂が酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位と一般式(4)で表される繰り返し単位のみからなるスルホン酸塩樹脂である場合、一般式(4)で表される繰り返し単位は0.1〜90モル%であり、0.5〜50モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましく、それぞれの組成比において残余は酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位である。一般式(4)で表される繰り返し単位が0.1モル%未満の場合、光酸発生剤として感光性が十分とはならず別途光酸発生剤を併用することとなりスルホン酸塩樹脂の高機能性を十分に発揮できないので好ましくない。また、90モル%を超える場合であっても、光酸発生剤としての機能は十分に発揮できるが、あえて樹脂内に酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位を含ませる優位性を示すことができないので好ましくない。一方、スルホン酸塩樹脂が酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位と一般式(4)で表される繰り返し単位のほかに従繰り返し単位を含むスルホン酸塩樹脂である場合、従繰り返し単位を0.1〜70モル%、好ましくは1〜60モル%、より好ましくは10〜50モル%とし、それぞれの組成比において残余を酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位と一般式(4)で表される繰り返し単位の前記した組成比で按分した組成とするのが好ましい。
【0118】
従繰り返し単位を0.1モル%未満とするのは、レジスト樹脂の基板への密着性や耐エッチング性の調節が困難であるので好ましくなく、70モル%を超えると本発明のスルホン酸塩樹脂が有すべき酸発生剤としての機能またはポジ型もしくはネガ型のレジスト機能を十分に発揮させることが困難であるので好ましくない。
【0119】
光酸発生剤の機能とポジ型またはネガ型のレジスト機能を併せ有するスルホン酸塩樹脂としては、具体的には、一般式(4)で表される繰り返し単位/酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位を1〜60モル%/10〜85モル%、好ましくは2〜40モル/10〜70モル%、より好ましくは4〜30モル%/15〜60モル%として、それぞれの組成比において残余を従繰り返し単位とするが、この組成範囲に限られないのは前記の通りである。
【0120】
本発明のスルホン酸塩樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した質量平均分子量(MW)で1,000〜1,000,000であり、2,000〜500,000が好ましい。ポジ型またはネガ型の光感光性樹脂として感光機能を有する膜形成用の樹脂を併用する場合には、質量平均分子量で1,000〜100,000であり、2,000〜50,000が好ましい。質量平均分子量1,000未満では、発生した酸がパターン露光後の加熱処理中にレジスト膜内を拡散,移動し、未露光部にまで拡散して解像性が劣化してしまう場合があり、スルホン酸塩樹脂としての効果が低く、1,000,000を超えると溶媒への溶解性が低下し、レジストの平滑な塗膜を得るのが困難になり好ましくない。分散度(Mw/Mn)は、1.01〜5.00が好ましく、1.01〜4.00がより好ましく、1.01〜3.00が特に好ましく、1.10〜2.50が最も好ましい。
【0121】
前記したように、本発明のスルホン酸塩樹脂は、単独重合体であっても他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体として、酸不安定性基を有する単量体を使用するとポジ型のレジスト組成物に使用できる感光溶解性変化機能を有するスルホン酸塩樹脂が得られ、架橋部位を有する単量体を使用するとネガ型のレジスト組成物に使用できる感光溶解性変化機能を有するスルホン酸塩樹脂が得られる。共重合に使用する単量体は、後記するように、このような酸不安定性基や架橋部位を有する単量体に限定されず、スルホン酸塩樹脂にはドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な従単量体を共重合させることができる。
【0122】
光酸発生剤の機能とポジ型またはネガ型のレジスト機能を併せ有するスルホン酸塩樹脂の構成について説明する。
【0123】
ポジ型またはネガ型の感光溶解性変化機能を有する繰り返し単位を有するスルホン酸塩樹脂は、ポジ型またはネガ型の感光溶解性変化機能を有する単量体を一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩と共重合することで得られる。
【0124】
ポジ型レジストとしての感光溶解性変化機能を用いるスルホン酸塩樹脂は、側鎖に酸不安定性基で保護されたカルボキシル基またはヒドロキシル基などの脱離部位を有する樹脂であり、主鎖はビニル基、1−メチルビニル基、1−フルオロビニル基、1−トリフルオロメチルビニル基、1−シアノビニル基、ノルボルネニル基などの重合性二重結合が開裂して形成される繰り返し単位から構成され、主鎖と脱離部位は連結基Wを介して結合している。連結基Wは、連結基W’を用いて(主鎖)−W’−C(=O)−O−(酸不安定性基)または(主鎖)−W’−O−(酸不安定性基)で表される構造をとるのが一般的である。酸不安定性基は、光酸発生剤などから発生した酸の作用により脱離して酸となり、酸不安定性基を含有する樹脂のアルカリ現像液に対する溶解速度を増加させる機能を生じさせる基である。この様な機能を有する酸不安定性基を含む部分構造、例えばエステル構造(−(C=O)OR’、アルコキシカルボニル基)、エーテル構造(−O−R’、アルコキシ基、R’は酸不安定性基を表す。)を酸分解性基または脱離部位ということがある。
【0125】
また、ネガ型レジストとしての感光溶解性変化機能を用いるスルホン酸塩樹脂は、側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基などの架橋部位を有する樹脂であり、主鎖はビニル基、1−メチルビニル基、1−フルオロビニル基、1−トリフルオロメチルビニル基、1−シアノビニル基、ノルボルネニル基などの重合性二重結合が開裂して形成される繰り返し単位から構成され、主鎖と架橋部位は連結基Wを介して結合している。側鎖は、連結基W’を用いて、(主鎖)−W’−C(=O)−OHまたは(主鎖)−W’−OHで表される構造をとるのが一般的である。このヒドロキシル基はアルコール性ヒドロキシル基である。アルコール性ヒドロキシル基は、ほぼ中性のヒドロキシル基であって、通常、アルカリ溶液への樹脂の溶解特性には関わらず、後に説明する架橋剤との間でエステル結合、エーテル結合、ウレイド結合などのヒドロキシル基の関与する反応により架橋することにより、アルカリ可溶であった樹脂成分をアルカリ性溶液に不溶とする機能を有するヒドロキシル基をいう。
【0126】
連結基W’について説明する。
【0127】
ポジ型における脱離部位またはネガ型における架橋部位と主鎖を繋ぐ連結基W’は、単結合、−(CR2122)n−(nは1〜10の整数を表す。)、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−もしくは−O−C(=O)−、二価の脂環式炭化水素基、二価の芳香族炭化水素基、チオエーテル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基である。
【0128】
これらの中で、組み合わされて得られる連結基W’としては、
−(CR2122m−C(=O)−O−(CR2122n
−(CR2122m−C(=O)−O−(CR2122n−B−(CR2122l
−(CR2122m−O−(CR2122n
−(CR2122m−O−(CR2122n−B−(CR2122l
−(CR2122n−B−(CR2122l−C(=O)−O−(CR2122m
−(CR2122n−B−(CR2122l−O−(CR2122m−などが挙げられる。ここで、Bは二価の脂環式炭化水素基または二価の芳香族炭化水素基からなる環式基であり、R21、R22 について後記するアリール基または脂環式炭化水素基からさらに1個の水素原子が除かれた基を表し、l、m、nは0〜10の整数を表し、mは0が好ましく、1、nは0または1が好ましい。
【0129】
この中で、各置換メチレン基のR21、R22 で表される一価の有機基は、特に限定されないが、水素原子、ヒドロキシル基、またはアルキル基、脂環式炭化水素基、置換アルキル基、アルコキシ基、アリール基および縮合多環式芳香族基から選ばれた炭素数1〜30の一価の有機基であって、これらの一価の有機基はフッ素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、炭素―炭素二重結合を有することができる。R21、R22は相互に同一でも異なってもよく、複数のR21またはR22を含む場合、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、R21、R22 は、組み合わされて環を形成してもよく、この環は脂環式炭化水素基であることが好ましい。
【0130】
アルキル基としては、炭素数1〜30のものであり、炭素数1〜12のものが好ましい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、tert-ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、i−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等を挙げることができ、低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基などが特に好ましいものとして挙げることができる。
【0131】
置換アルキル基としては、アルキル基が有する水素原子の1個または2個以上を炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等により置換されたものが挙げられ、フッ素原子で置換されたフルオロアルキル基が好ましく、具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などの低級フルオロアルキル基を挙げることができる。
【0132】
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0133】
アリール基としては、炭素数1〜30のものである。単環式基としては環炭素数3〜12のものが好ましく、環炭素数3〜6のものがさらに好ましい。例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、o−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、m−トリフルオロメチルフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ビストリフルオロメチルフェニル基、2,4−ビストリフルオロメチルフェニル基、2,5−ビストリフルオロメチルフェニル基、2,6−ビストリフルオロメチルフェニル基、3,4−ビストリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヨードフェニル基等を挙げることができる。
【0134】
炭素数1〜30の縮合多環式芳香族基としては、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランセン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラントレン、オヴァレン等から一個の水素原子を除いて得られる一価の有機基を挙げることができ、これらの1個または2個以上の水素原子がフッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基で置換したものを好ましいものとして挙げることができる。
【0135】
環原子数3〜25の単環式または多環式のヘテロ環基としては、例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピロリル基、チアントレニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等およびこれらの環を構成する原子の1個または2個以上の水素原子がアルキル基、脂環式炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基で置換したヘテロ環基を挙げることができる。これらのうち、単環式または多環式のエーテル環、ラクトン環を有するものが好ましく、次に例示する。
【化105】

【0136】
前記式中、R、Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基を表す。nは、2〜4の整数を表す。
【0137】
連結基W’を構成するR21、R22における脂環式炭化水素基あるいはそれらが結合する炭素原子を含めて形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数3以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は3〜30個が好ましく、特に炭素数3〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0138】
単環式基としては環炭素数3〜12のものが好ましく、環炭素数3〜7のものがさらに好ましい。例えば、好ましいものとしてシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、4−tert-ブチルシクロヘキシル基を挙げることができる。また、多環式基としては、環炭素数7〜15のアダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基等を挙げることができる。脂環式炭化水素基はスピロ環であってもよく、炭素数3〜6のスピロ環が好ましい。好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基、トリシクロデカニル基などである。これらの有機基の環炭素または連結基の水素原子の1個または2個以上がそれぞれ独立に前記の炭素数1〜25のアルキル基もしくは置換アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはそれらの1個または2個以上の水素原子がフッ素原子もしくはトリフルオロメチル基で置換したものを挙げることができる。
【0139】
ここで、低級アルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基よりなる群から選択されたアルキル基である。置換アルキル基の置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基を挙げることができる。
【0140】
連結基W’は、さらに具体的には、
−(単結合)
−CH2
−CH2−CH2
−CH2−B−(Bは二価の脂環式炭化水素基または二価の芳香族炭化水素基からなる環式基を表す)
−B−CH2
−C64
−O−C64
−C(=O)−O−CH2
−C(=O)−O−CH2−CH2
−CH2−C(=O)−O−CH2
−O−CH2
−O−CH2−CH2
−CH2−O−CH2−および、
−C(=O)−O−(CR2122−または
−C−O−(CR2122−などとして挙げられる。
【0141】
ここで、R21およびR22がそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、置換アルキル基、脂環式炭化水素基であるものを好ましい。これらは、一個以上の水素原子がフッ素原子で置換したものであってもよい。これらのうち、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−CH2−、 −C−および−C(=O)−O−(CR2122−のうちR21およびR22がそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基または含フッ素アルキル基であるもの、をさらに好ましいものとして挙げることができる。
【0142】
また、酸不安定性基をR17、主鎖を−(CH−C(R))−として、下記一般式(11−1)で表される繰り返し単位を、具体的に例示できる。
【化106】

【0143】
式中、Rは後記する一般式(6)におけるRと同義である。R18は水素原子、フッ素原子または含フッ素アルキル基を表す。R17−1は酸不安定性基であり、後記する一般式(d)〜(h)のいずれかで表される酸不安定性基が好ましい。Jは二価の連結基であって、−J−CF(R18)−は、前記連結基W’に相当し、前記W’についての説明が該当する。
【0144】
酸不安定性基について説明する。
【0145】
本発明の感光溶解性変化機能を有するスルホン酸塩樹脂における酸不安定性基は、下記一般式(d)〜(h)のいずれかで表される酸不安定性基である。
【0146】
X1−O−C(=O)− (d)
X1−O−CHRX2− (e)
CRX3X4X5− (f)
SiRX3X4X5− (g)
X1−C(=O)− (h)
X1はアルキル基、脂環式炭化水素基またはアリール基を示す。RX2は、水素原子、アルキル基、脂環式炭化水素基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基またはアリール基を示す。RX3、RX4およびRX5は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、アルキル基、脂環式炭化水素基、アルケニル基、アラルキル基もしくはアリール基を示す。また、RX3〜RX5の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。
【0147】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜30個のものが挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基、ステロイド残基の様な炭素数3〜30個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましく、これらは置換基を有していてもよい。アラルキル基としては、炭素数7〜20個のものが挙げられ、置換基を有していてもよい。ベンジル基、フェネチル基、クミル基等が挙げられる。
【0148】
また、前記有機基がさらに有する置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、前記のアルキル基もしくは脂環式炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基、フエネチル基、クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基、バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、前記のアルケニル基、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、前記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0149】
また、下記式(E−10)、式(E−11)で表されるラクトン基が挙げられる。
【化107】

【化108】

【0150】
前記式中、Rは炭素数1〜4個のアルキル基またはパーフルオロアルキル基を表す。Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基もしくはパーフルオロアルキル基、ヒドロキシ基、カルボン酸基、アルキロキシカルボニル基、アルコキシ基などを表す。nは、1〜4の整数を表す。
【0151】
これらのうち、(d)、(e)、(f)は化学増幅型として機能するので、レーザー光や電子線の高エネルギー線で露光するパターン形成方法に適用するレジスト組成物として使用するのに特に好ましい。
【0152】
次に、前記酸不安定性基を具体的に示す。
【0153】
前記の一般式(d)RX1−O−C(=O)−で表されるアルコキシカルボニル基としては、tert-ブトキシカルボニル基、tert-アミルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンタンオキシカルボニル基等を例示できる。
【0154】
前記の一般式(e)RX1−O−CHRX2−で表されるアセタール基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−フェネチルオキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−ベンジルオキシプロピル基、1−フェネチルオキシプロピル基、1−エトキシブチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、1−エトキシイソブチル基、1−メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基などが挙げられる。またヒドロキシル基に対してビニルエーテル類を付加させて得られるアセタール基を挙げることができる。
【0155】
前記の一般式(f)CRX3X4X5−で表される3級炭化水素基としては、tert-ブチル基、tert-アミル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルブチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチル−1−フェニルメチル基、1−メチル−1−エチル−1−フェニルメチル基、1,1−ジエチル−1−フェニルメチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−イソボルニル基、1−メチルアダマンチル基、1−エチルアダマンチル基、1−イソプロピルアダマンチル基、1−イソプロピルノルボルニル基、1−イソプロピル−(4−メチルシクロヘキシル)基などを例示できる。
【0156】
次に、脂環式炭化水素基または脂環式炭化水素基を含む酸不安定性基の具体例を式(E−12)、式(E−13)に示す。
【化109】

【化110】

【0157】
式(E−12)および式(E−13)の式中、メチル基(CH3)はそれぞれ独立にエチル基であってもよい。また、環炭素の1個または2個以上が置換基を有することができるのは前記のとおりである。
【0158】
前記の一般式(g)SiRX3X4X5−で表されるシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、メチルジ−i−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、メチルジ−tert-ブチルシリル基、トリ−tert-ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0159】
前記の一般式(h)RX1−C(=O)−で表されるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができる。さらに、これらの酸不安定性基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものを使用することもできる。
【0160】
また、ラクトン基を置換基含む酸不安定性基を次の式(E−14)、式(E−15)式(E−16)に例示する。
【化111】

【化112】

【化113】

【0161】
式(E−14)、式(E−15)式(E−16)の式中、メチル基(CH3)はそれぞれ独立にエチル基であってもよい。
【0162】
露光用の光源としてArFエキシマレーザーを使用する場合には、酸不安定性基としては、tert-ブチル基、tert-アミル基等の3級アルキル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等のアルコキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基等のアルコキシメチル基など、および、前記のアダマンチル基、イソボルニル基などの脂環式炭化水素基または脂環式炭化水素基を含む酸不安定性基、ラクトン基を含む酸不安定性基等を好ましいものとして挙げることができる。
【0163】
その他の共重合成分(従繰り返し単位)について説明する。
【0164】
本発明のスルホン酸塩樹脂は、共重合成分として従単量体を使用でき、従単量体は以下説明する単量体からなる群より選ばれた一種以上の単量体を使用でき、従繰り返し単位を本発明のスルホン酸塩樹脂に導入することができる。その他の共重合成分としては、特に限定されないが、オレフィン、含フッ素オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物、スチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビニルエーテル、および含フッ素ビニルエーテルなどが挙げられる。これらの共重合成分のうち、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物、スチレン系化合物、ビニルエーテル、および含フッ素ビニルエーテルが好ましい。
【0165】
オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなど、フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテンなどが例示できる。
【0166】
また、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとしてはエステル側鎖について特に制限なく使用できるが、公知の化合物を例示するならば、メチルアクリレートート又はメタクリレート、エチルアクリレート又はメタクリレート、n‐プロピルアクリレート又はメタクリレート、イソプロピルアクリレート又はメタクリレート、n‐ブチルアクリレート又はメタクリレート、イソブチルアクリレート又はメタクリレート、n‐ヘキシルアクリレート又はメタクリレート、n‐オクチルアクリレート又はメタクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート又はメタクリレート、ラウリルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール基を含有したアクリレート又はメタクリレート、アルコキシシリル基含有のやアクリル酸またはメタクリル酸エステル、t−ブチルアクリレート又はメタクリレート、3‐オキソシクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、アダマンチルアクリレート又はメタクリレート、アルキルアダマンチルアクリレート又はメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート又はメタクリレート、ラクトン環やノルボルネン環などの環構造を有したアクリレートまたはメタクリレートなどが挙げられる。
【0167】
また、アクリルアミド、メタクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、N‐メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロイル基含有化合物も使用することができる。さらに、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸なども使用することができる。
【0168】
また、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステルとしては、フッ素原子を有する基をアクリロイル基のα位またはエステル部位に有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである。例えば、α位に含フッ素アルキル基が導入された単量体としては、上述した非フッ素系のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルにおいて、α位にトリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基などが置換した単量体が好適に採用される。
【0169】
一方、そのエステル部位に含フッ素基を有する含フッ素アルリル酸エステルまたは含フッ素メタクリル酸エステルの場合、その含フッ素基は、パーフルオロアルキル基またはフルオロアルキル基その環炭素がフッ素原子またはトリフルオロメチル基で置換された含フッ素ベンゼン環、含フッ素シクロペンタン環、含フッ素シクロヘキサン環、含フッ素シクロヘプタン環等の含フッ素環状基である。そのような含フッ素アルリル酸エステルまたは含フッ素メタクリル酸エステル単位のうち特に代表的なものを例示するならば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルアクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルメタクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルメタクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルアクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。またエステル部位の含フッ素基がフッ素原子を有するt−ブチル基であるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルなども挙げられる。
【0170】
また、本明細書に記載されるアクリル酸エステルまたは含フッ素アクリル酸エステルにおいて、α位にシアノ基が導入されたアクリル酸エステルまたは含フッ素アクリル酸エステルも使用することができる。
【0171】
ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物は、一核または複数の核構造を有するノルボルネン単量体であって、これらは特に制限なく使用することが可能である。この際、アリルアルコール、含フッ素アリルアルコール、アクリル酸、αフルオロアクリル酸、メタクリル酸、本明細書で記載したすべてのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどの不飽和化合物と、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンとを用いたディールス アルダー(Diels Alder)付加反応により得られるノルボルネン化合物が好ましく使用できる。
【0172】
さらにスチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルシランなども使用することができる。ここでスチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物としてはスチレン、フッ素化スチレン、ヒドロキシスチレンなどの他、ヘキサフルオロアセトンをベンゼン環に付加したスチレン系化合物、トリフルオロメチル基でベンゼン環の水素原子を置換したスチレンまたはヒドロキシスチレン、α位にハロゲン原子、アルキル基、含フッ素アルキル基が結合した上記スチレン系化合物または含フッ素スチレン系化合物などが使用可能である。一方、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテルなども使用することが可能であり、例えば、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基を含有することもあるアルキル基を有してもよいアルキルビニルエーテルであって、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。また、環状構造内に酸素原子やカルボニル結合を有する環状型ビニルエーテル、またそれらの環状型ビニルエーテルの水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された単量体、例えば、シクロヘキシルビニルエーテルなども使用できる。なお、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルシランについても公知の化合物であれば特に制限なく使用することが可能である。
【0173】
スルホン酸塩樹脂または感光溶解性変化機能を有するスルホン酸塩樹脂として、上述した、一般式(4)で表される繰り返し単位に加えて使用される繰り返し単位の中でも特に、下記一般式(6)で表される繰り返し単位が好適に用いられる。
【化114】

【0174】
式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。Rは置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族基、または、それらが複数連結された有機基であって、任意の数の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。R10は水素原子、置換または非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基であって、任意の数の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。また、sは1〜2の整数を表す。
【0175】
一般式(6)のRとしては、ハロゲン原子としてフッ素、塩素、臭素など、炭素数1〜3のアルキル基としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基など、さらには炭素数1〜3の含フッ素アルキル基として前記アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたものを例示できる。特に含フッ素アルキル基としては、−CFのトリフルオロメチル基、−CHCFのトリフルオロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基などが例示できる。これらのうち、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基を特に好ましいものとして挙げられる。
【0176】
また、一般式(6)のRとしては、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の二価の芳香族基、または、それらが複数連結された有機基であって、任意の数の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。非置換の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。二価の脂肪族炭化水素基として、例えば、メチレン、エチレン、イソプロピレン、t−ブチレンなどの直鎖状または分岐状のアルキレン基、シクロブチレン、シクロヘキシレン、二価のノルボルナン基、二価のアダマンタン基などの環状のアルキレン基が挙げられ、非置換の芳香族基として、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などの二価の芳香族基など、三価の基としては、前記二価の基からさらに1個の水素原子が脱離した基を挙げることができる。これらの非置換の基は、そこに含まれる任意の水素原子が任意の置換基で置換されて置換された脂肪族炭化水素基または芳香族基とすることができる。
【0177】
一般式(6)で表される構造のうち、特に好ましい構造として、下記一般式(7)〜(9)で表される繰り返し単位が例示できる。
【化115】

【化116】

【化117】

【0178】
一般式(7)において、Rは一般式(6)におけるRと同義である。R11、R12、R13のうち、いずれか1つがCFC(CF)(OH)CH−基であり、残り2つが水素原子である。一般式(8)において、Rは一般式(6)におけるRと同義である。R14は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基またはパーフルオロエチル基などが例示できる。一般式(9)において、Rは一般式(6)におけるRと同義である。R15はメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R16は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基を含む基であって、その一部にフッ素原子、酸素原子(エーテル結合)、カルボニル基を含んでもよい。uは0〜2の任意の整数を表し、t、vは1〜8の任意の整数を表し、v≦t+2を満たす。R15〜R16がそれぞれ複数である場合、R15〜R16はそれぞれ同一でも異なってもよい。
【0179】
一般式(9)におけるR16に使用できる置換もしくは非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−プロピル基、sec−ブチル基、tert-ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、sec−ペンチル基,ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、エチルヘキシル基、ノルボルネル基、アダマンチル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、エチニル基、フェニル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基などが例示でき、これらの基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたものでもよい。また、酸素原子を含むものとしてアルコキシカルボニル基、アセタール基、アシル基等を挙げることができ、アルコキシカルボニル基としてはtert−ブトキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基等を例示できる。アセタール基としては、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェネチルオキシエチル基、エトキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェネチルオキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシイソブチル基の鎖状のエーテルやテトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等の環状エーテルが挙げられる。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができる。さらに、上記の基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたものを挙げることができる。
【0180】
また、一般式(4)で表される繰り返し単位の組み合わせ相手として下記一般式(10)で表される繰り返し単位も好適に用いられる。
【化118】

【0181】
式中、Yは−CH−、−O−、−S−の何れかを表す。wは2〜6の整数を表す。 さらに、下記一般式(11)で表される繰り返し単位を、一般式(4)で表される繰り返し単位の組み合わせ相手として好適に用いられる。
【化119】

【0182】
式中、Rは一般式(6)におけるRと同義である。R18は水素原子、フッ素原子または含フッ素アルキル基を表す。R17は、前記一般式(9)におけるR16についての説明が該当する。Jは二価の連結基であって、−J−CF(R18)−は、前記連結基W’に相当し、前記W’についての説明が該当する。
【0183】
また、R18は、水素原子、フッ素原子または含フッ素アルキル基である。このような含フッ素アルキル基としては、特に限定されないが、炭素数1〜12のものであり、炭素数1〜3のものが好ましく、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などを挙げることができる。R18は、フッ素原子またはトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
【0184】
さらに、下記一般式(12)で表される繰り返し単位を、一般式(4)で表される繰り返し単位の組み合わせ相手として好適に用いられる。
【化120】

【0185】
式中、Rは一般式(6)におけるRと同義である。R19およびR20はそれぞれ独立に、水素原子、置換または非置換の炭素数1〜25の直鎖状、分岐状もしくは環状の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基であって、任意の数の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。具体的には前記一般式(9)においてR16として例示した置換基を再び例示することができる。
【0186】
一般式(4)で表される繰り返し単位を有するスルホン酸塩樹脂の重合方法について説明する。
【0187】
本発明にかかる一般式(4)で表される繰り返し単位を有する樹脂の重合方法としては、一般的に使用される方法であれば特に制限されないが、ラジカル重合、イオン重合などが好ましく、場合により、配位アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、開環メタセシス重合、ビニレン重合、ビニルアディションなどを使用することも可能である。それぞれの重合方法としては、周知の方法が適用できる。
【0188】
ラジカル重合は、ラジカル重合開始剤あるいはラジカル開始源の存在下で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合又は乳化重合などの公知の重合方法により、回分式、半連続式又は連続式のいずれかの操作で行えばよい。
【0189】
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例としてアゾ系化合物、過酸化物系化合物、レドックス系化合物が挙げられ、とくにアゾビスイソブチロニトリル、tert-ブチルパーオキシピバレート、ジ−tert-ブチルパーオキシド、i−ブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキシド、ジシンナミルパーオキシド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、過硫酸アンモニウム等が好ましい。
【0190】
重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。また、重合反応においては、重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては、ラジカル重合を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素系、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤などがある。また水、エーテル系、環状エーテル系、フロン系、芳香族系などの溶媒を使用することも可能である。これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。また、メルカプタンのような分子量調整剤を併用してもよい。共重合反応の反応温度はラジカル重合開始剤あるいはラジカル重合開始源により適宜変更され、通常は20〜200℃が好ましく、特に30〜140℃が好ましい。
【0191】
得られる含フッ素高分子化合物の溶液又は分散液から有機溶媒又は水を除去する方法として、再沈殿、ろ過、減圧下での加熱留出などの方法が可能である。
【0192】
レジスト組成物について説明する。
【0193】
本発明の一般式(4)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、その他の成分を添加した溶液からなるレジスト組成物として使用される。このスルホン酸塩樹脂は光酸発生剤として機能し、そのうち、酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位を併せ有するスルホン酸塩樹脂は別途酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位を有する樹脂(ベース樹脂)を添加せず単独でも化学増幅型レジストとして使用できる。また、酸不安定性基または架橋部位を有する繰り返し単位の何れをも有しない一般式(4)で表される繰り返し単位を有する樹脂の場合は、ベース樹脂を必須成分として含んでレジスト組成物は調製される。溶剤のほかにレジスト組成物に通常使用される各種の添加剤、例えば、付加的樹脂、クエンチャー、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、相溶化剤、密着剤、酸化防止剤など、ネガ型レジスト組成物の場合はさらに架橋剤、塩基性化合物などの種々添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は、以下に説明するものの他、公知のものを適宜使用できる。
【0194】
次にベース樹脂について説明する。
【0195】
本明細書において、ベース樹脂とは、酸不安定性基または架橋部位を有しポジ型またはネガ型のレジスト機能を有する樹脂をいう。前記感光溶解性変化機能を有するスルホン酸塩樹脂もベース樹脂の一形態である。
【0196】
ポジ型レジスト組成物に用いるベース樹脂は、側鎖に酸不安定性基で保護されたカルボキシル基またはヒドロキシル基などの脱離部位を有する樹脂であり、主鎖はアクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、ビニル基、アリル基、ノルボルネン基などの重合性二重結合が開裂して形成される繰り返し単位から構成されている。
【0197】
また、ネガ型レジスト組成物に用いるベース樹脂は、側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基などの架橋部位を有する樹脂であり、主鎖はアクリル酸、メタクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、ビニル基、アリル基、ノルボルネン基などの重合性二重結合が開裂して形成される繰り返し単位から構成されている。
【0198】
ベース樹脂はレジストの特性を調節するため共重合体であることが多く各種の樹脂が知られており、共重合成分、酸不安定性基、架橋部位、連結基(WまたはW’)については本明細書の前記各説明がそのまま適用できる。特に好ましい共重合成分としてはラクトン環を有する単量体でありレジストの基板への密着性を高めるために有用である。
【0199】
これらのベース樹脂は、一般式(4)で表される繰り返し単位を含むことができる。このベース樹脂は、スルホン酸塩樹脂が有する光酸発生剤としての機能を併せ有することとなり、酸不安定性基を有するベース樹脂と溶剤のみからポジ型レジスト組成物を調製することもできる。また、架橋部位を有するベース樹脂と架橋剤と溶剤のみからネガ型レジスト組成物を調製することもできる。
【0200】
ベース樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した質量平均分子量で1,000〜1,000,000であり、2,000〜500,000が好ましい。質量平均分子量1,000未満では、塗布膜の強度が不十分であり、1,000,000を超えると溶媒への溶解性が低下し、平滑な塗膜を得るのが困難になり好ましくない。分散度(Mw/Mn)は、1.01〜5.00が好ましく、1.01〜4.00がより好ましく、1.01〜3.00が特に好ましく、1.10〜2.50が最も好ましい。
【0201】
以下、添加剤等について説明する。
【0202】
ネガ型レジスト組成物の場合、化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤として公知のものの中から任意に選択して用いることができる。
【0203】
具体的には、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物が挙げられる。
【0204】
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素、プロピレン尿素等のアルキレン尿素を用いたものをアルキレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤という。(C)成分としては、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキレン尿素系架橋剤およびグリコールウリル系架橋剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特にグリコールウリル系架橋剤が好ましい。
【0205】
メラミン系架橋剤としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
【0206】
尿素系架橋剤としては、ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等が挙げられ、なかでもビスメトキシメチル尿素が好ましい。
【0207】
アルキレン尿素系架橋剤としては、例えば、モノ及び/又はジヒドロキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化エチレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化エチレン尿素等のエチレン尿素系架橋剤;モノ及び/又はジヒドロキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジメトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジエトキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジプロポキシメチル化プロピレン尿素、モノ及び/又はジブトキシメチル化プロピレン尿素等のプロピレン尿素系架橋剤;1,3−ジ(メトキシメチル)4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリジノンなどを挙げられる。
【0208】
グリコールウリル系架橋剤としては、例えばモノ,ジ,トリ及び/又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが挙げられる。
【0209】
架橋剤成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明のネガ型レジスト組成物における架橋剤成分全体の含有量は、ベース樹脂100質量部に対して3〜30質量部が好ましく、3〜25質量部がより好ましく、5〜20質量部が最も好ましい。架橋剤成分の含有量が下限値以上であると、架橋形成が充分に進行し、良好なレジストパターンが得られる。またこの上限値以下であると、レジスト塗布液の保存安定性が良好であり、感度の経時的劣化が抑制される。
【0210】
また、本発明のレジスト組成物には、クエンチャーとして、またはレジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、塩基性化合物を配合させることが好ましい。
【0211】
この塩基性化合物成分は、公知のもの、例えば、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体などを使用でき、そのうち、第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミン、芳香族アミン類、複素環アミン類が好ましい。
【0212】
が好ましい。
【0213】
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアルキルアミンまたはアルキルアルコールアミンが挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
【0214】
また、その他の塩基性化合物としては、例えば次の化合物が挙げられる。芳香族アミン類及び複素環アミン類としては、例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等などのアニリン誘導体、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、4,4−ジメチルイミダゾリンなどの複素環アミン類、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート等のヒンダードアミン類、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2'−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジンなどのアルコール性含窒素化合物などが挙げられる。
【0215】
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0216】
塩基性化合物成分は、ベース樹脂100質量部に対して、通常0.01〜5質量部の範囲で用いられる。
【0217】
本発明のネガ型レジスト組成物には、前記塩基性化合物成分の配合による感度劣化の防止、またレジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。なお、これらは塩基性化合物成分と併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
【0218】
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
【0219】
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
【0220】
溶媒について説明する。
【0221】
本発明による含フッ素高分子化合物を薄膜に成膜する方法としては、例えば有機溶媒に溶解させて塗布、乾燥によって成膜する方法を用いることが可能である。使用する有機溶媒としては、含フッ素高分子化合物が可溶であれば特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類やエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、フロン、代替フロン、パーフルオロ化合物、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールなどのフッ素系溶剤、塗布性を高める目的で高沸点弱溶剤であるターペン系の石油ナフサ溶媒やパラフィン系溶媒などが使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0222】
界面活性剤について説明する。
【0223】
本発明のレジスト組成物は、界面活性剤、好ましくはフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0224】
本発明のレジスト組成物が前記界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、また、パターンの線幅が一層細い時に特に有効であり、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
【0225】
酸発生剤について説明する。
【0226】
本発明のレジスト組成物には、スルホン酸塩樹脂と併せて公知の光酸発生剤を使用することができる。光酸発生剤としては、化学増幅型レジストの酸発生剤として用いられるものの中から、任意のものを選択して使用することができる。このような酸発生剤の例としては、ビススルホニルジアゾメタン類、ニトロベンジル誘導体類、オニウム塩類、ハロゲン含有トリアジン化合物類、シアノ基含有オキシムスルホネート化合物類、その他のオキシムスルホネート化合物などが挙げられる。これらの光酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その含有量は本発明のスルホン酸塩樹脂と合わせてレジスト組成物100質量部に対して、通常0.5〜20質量部の範囲で選ばれる。この量が0.5質量部未満では像形成性が不十分であるし、20質量部を超えると均一な溶液が形成されにくく、保存安定性が低下する傾向がみられ好ましくない。また、光酸発生剤合計質量100質量部のうち本発明のスルホン酸塩樹脂は1〜100質量部であり、10〜100質量部とするのが好ましく、30〜100質量部とするのがより好ましい。
【0227】
付加的樹脂は、使用溶剤に溶解し他のレジスト組成物を構成する成分と相溶する樹脂であれば特に限定されず、可塑剤、安定剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、相溶化剤、密着剤などとして作用する。
【0228】
パターン形成方法について説明する。
【0229】
本発明のレジスト組成物の使用方法は、従来のフォトレジスト技術のレジストパターン形成方法を用いることができる。すなわち、まずシリコンウエーハのような基板に、レジスト組成物の溶液をスピンナーなどを用いて塗布し、乾燥することによって感光層を形成させ、これに露光装置などにより高エネルギー線又は電子線を所望のマスクパターンを介して照射し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実なパターンを得ることができる。さらに、所望によってレジスト組成物に混和性のある添加物、例えば付加的樹脂、クエンチャー、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、相溶化剤、密着剤、酸化防止剤などの種々添加剤を含有させることができる。
【0230】
本発明で用いる高エネルギー線は特に限定されないが、特に微細加工を行なう場合にはF2エキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザーなどの近紫外線(波長380〜200nm)もしくは真空紫外線(遠紫外線、VUV,波長200〜10nm)、シンクロトロン放射光などの極端紫外線(EUV、波長10nm以下)、軟エックス線、X線またはγ線などで300nm以下のものや電子線が有効である。これらの電磁波の名称は便宜的なものであり、物理的、化学的な作用は当然波長に依存するので、光源の選択は波長によって行われる。本発明のパターン形成方法では、このような300nm以下の短波長の高エネルギー線や電子線の発生源を備えた露光装置を用いることが有効である。また、波長10〜14nmの真空紫外線(リソグラフィーの分野では、EUVまたは軟X線と呼ぶことがある。)を使用することが好ましい。また、光路の一部に水やフッ素系の溶媒など、使用する高エネルギー線の吸収が少ない媒質を用い、開口数や有効波長においてより効率的な微細加工を可能とする液浸露光装置を使用することが有効であり、本レジスト組成物は、このような装置に用いる場合にも好適である。
【0231】
液浸露光装置を使用する液浸リソグラフィー法としては、具体的には、露光する工程が、波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、レジスト組成物を塗布した基板と投影レンズの間に水、もしくは空気の屈折率より高い屈折率を有する液体を挿入する方法を挙げることができる
【実施例】
【0232】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0233】
[合成例1]2−(1−エトキシカルボニル−1−メタクリロイルオキシ−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1−ジフルオロエタンスルホン酸トリフェニルスルホニル
【化121】

【0234】
2−ヒドロキシ−1,1−ジフルオロエタンスルホン酸トリフェニルスルホニウムの白色固体5.0g(純度62.2%;7.3mmol相当)にクロロホルム35gを加え撹拌し溶解させた。そこにエチルトリフルオロメチルピルベート1.46g(8.55mmol)を加え、室温で3時間反応させた。次に反応液を減圧濃縮し、次いでアセトニトリル26.5gを加え撹拌し、反応中間体を溶解させた。
【0235】
そこに、メタクリル酸無水物1.47g(9.54mmol)、トリエチルアミン1.06g(10.47mmol)、触媒として4−ジメチルアミノピリジン0.02g(0.16mmol)を加えて20℃以上30℃以下の温度で4時間撹拌した。その後、クロロホルムを30g、イオン交換水50gを加えて有機層を分取した後、NaHCO水溶液、イオン交換水50gで4回有機層を水洗した。
【0236】
得られた有機層を濃縮後、2−ブタノン8gを加え、さらにジイソプロピルエーテルを30g加えて、撹拌したのち、2−ブタノンの層(下層)を分液し、得られた溶液を減圧濃縮し、目的物を粘性液体として7.2g(純度90%)得た。
【0237】
[2−(1−エトキシカルボニル−1−メタクリロイルオキシ−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1−ジフルオロエタンスルホン酸トリフェニルスルホニルの物性]H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.73−7.67(m,15H;Ph)6.22(s,1H;=CH),5.71(s,1H;=CH),4.64(t、J=16.0 Hz,2H),4.26(q、J=8.0 Hz,2H),1.96(s,3H),1.25(t,J=8.0 Hz,3H).19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−79.0(s,3F),−115.7(m,2F)。
【0238】
[合成例2]4−(1−エトキシカルボニル−1−メタクリロイルオキシ−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニル
【化122】

【0239】
4−ヒドロキシ−1,1,2,2,−テトラフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム粘性液体14.4g(純度80%;23.6mmol相当)にクロロホルム60gを加え撹拌し溶解させた。そこにエチルトリフルオロメチルピルベート7.5g(43.8mmol)を加え、室温で3時間反応させた。次に反応液を減圧濃縮した後、アセトニトリル40gを加え撹拌し、反応中間体を溶解させた。
【0240】
そこに、メタクリル酸無水物5.79g(37.6mmol)、トリエチルアミン4.04g(40.0mmol)、触媒として4−ジメチルアミノピリジン 0.06g(0.5mmol)を加えて20℃以上30℃以下の温度で4時間撹拌した。その後、クロロホルムを40g、イオン交換水30gを加えて有機層を分取した後、NaHCO水溶液50g、イオン交換水30gで4回有機層を水洗した。
【0241】
得られた有機層を濃縮後、2−ブタノン15gを加え、さらにジイソプロピルエーテルを60g加えて、撹拌したのち、2−ブタノンの層(下層)を分液し、得られた溶液を減圧濃縮し、目的物を粘性液体として11.2g(純度89%)得た。
【0242】
[4−(1−エトキシカルボニル−1−メタクリロイルオキシ−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニルの物性]H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.73−7.67(m,15H;Ph)6.26(s,1H;=CH),5.75(s,1H;=CH),4.30(q、J=8.0 Hz,2H),4.19(m,2H),2.74(m,2H),1.96(s,3H),1.28(t,J=8.0 Hz,3H).19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−79.3(s,3F),−112.9(s,2F),−118.8(s,2F)。
【0243】
[合成例3]6−(1−エトキシカルボニル−1−メタクリロイルオキシ−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンスルホン酸トリフェニルスルホニル
【化123】

【0244】
6−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンスルホン酸トリフェニルスルホニウムの粘性液体20.0g(純度90%;35.8mmol相当)にクロロホルム60gを加え撹拌し溶解させた。そこにエチルトリフルオロメチルピルベート7.31g(43.0mmol)を加え、室温で3時間反応させた。次に反応液を減圧濃縮した後、アセトニトリル40gを加え撹拌し、反応中間体を溶解させた。
【0245】
そこに、メタクリル酸無水物6.9g(44.8mmol)、トリエチルアミン4.71g(46.5mmol)、触媒として4−ジメチルアミノピリジン0.087g(0.7mmol)を加えて20℃以上30℃以下の温度で4時間撹拌した。その後、クロロホルムを40g、イオン交換水30gを加えて有機層を分取した後、NaHCO水溶液50g、イオン交換水30gで各4回有機層を水洗した。
【0246】
得られた有機層を濃縮後、2−ブタノン20gを加え、さらにジイソプロピルエーテルを80g加えて、撹拌したのち、2−ブタノンの層(下層)を分液し、得られた溶液を減圧濃縮し、目的物を22.8g(純度93%;収率80%)で得た。
【0247】
[6−(1−エトキシカルボニル−1−メタクリロイルオキシ−2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンスルホン酸トリフェニルスルホニルの物性]
H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.73−7.67(m,15H;Ph)6.28(s,1H;=CH),5.77(s,1H;=CH),4.34(q,J=8.0 Hz,2H),4.05(m,2H),2.23(m,2H),2.00(s,3H),1.58(m,2H),1.50(m,2H),1.30(t,J=8.0 Hz,3H).19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−79.4(s,3F),−112.0(s,2F),−117.5(s,2F)。
【0248】
[参考例1] 重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩(重合性単量体)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に対する溶解度の比較を表1に示す。 本実施例で使用した重合性単量体の構造と略号を以下に示す。このうち、PAG−1、PAG−2、PAG−3は本発明にかかる重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩である。
【化124】

【表1】

【0249】
表1の結果から、本発明の重合性単量体は、従来の重合性単量体よりも極めて高い溶解性を有することが明らかとなった。
【0250】
[樹脂の製造]
まず、重合例、実施例及び比較例で使用した重合性単量体の構造と略号を以下に示す。(PAG−1、PAG−2、PAG−3、PAG−C1、PAG−C2は前記。)
【化125】

【0251】
[重合例P−1]
【化126】

【0252】
化合物(PAG−1)30.0g(15モル%)、化合物(B−1)30.2g(45モル%)、化合物(C−1)30.0g(40モル%)を2−ブタノン300gに溶解し、さらにジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)3.40gを投入して調製した単量体溶液を準備した。2−ブタノン100gを投入した1000mlの3つ口フラスコを30分間窒素パージの後、撹拌しながら80℃に加熱し、そこへ、滴下漏斗から事前に準備した上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより約25℃に冷却し、メタノール2kg中へ投入してから、析出した白色粉末をろ別した。
【0253】
ろ別された白色粉末を二度400gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(74.1g)。この重合体は質量平均分子量(MW)が7,700であり、13C−NMR分析の結果、化合物(PAG−1)由来の繰り返し単位:化合物(B−1)由来の繰り返し単位:化合物(C−1)由来の繰り返し単位の含有比率が14.4:45.5:40.1(モル%)の共重合体であった。この共重合体を樹脂(P−1)とした。
【0254】
[重合例P−2]
【化127】

【0255】
化合物(PAG−2)30.0g(15モル%)、化合物(B−1)27.5g(45モル%)、化合物(C−1)27.3g(40モル%)を2−ブタノン300gに溶解し、さらにジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)3.40gを投入して調製した単量体溶液を準備した。また、2−ブタノン100gを投入した1000mlの3つ口フラスコを30分間窒素パージの後、撹拌しながら80℃に加熱し、そこへ、事前に準備した上記単量体溶液をから3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより約25℃に冷却し、メタノール2kg中へ投入し、析出した白色粉末をろ別した。
【0256】
ろ別された白色粉末を二度400gのメタノールにてスラリー状で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(67.0g)。この重合体はMWが8,200であり、13C−NMR分析の結果、化合物(PAG−2)由来の繰り返し単位:化合物(B−1)由来の繰り返し単位:化合物(C−1)由来の繰り返し単位の含有比率が15.2:44.3:40.5(モル%)の共重合体であった。この共重合体を樹脂(P−2)とした。
【0257】
[重合例P−3〜P−27、X−1〜X−8、N−1〜N−6]重合例P−1またはP−2と同様に樹脂(P−3〜P−27、X−1〜X−8、N−1〜N−6)を製造した。共重合に使用した単量体とその比率ならびに共重合後、各単量体から得られた繰り返し単位のモル比と質量平均分子量(MW)を表2、表3に示した。
【表2】

【表3】

【0258】
[実施例1〜48]
製造した各樹脂、溶剤、その他の添加剤、並びに既存の光酸発生剤(PAG)であるノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩(PAG−C3)を配合してレジスト組成物を調合した。
【0259】
調合したレジスト組成物における各成分の比率は表4及び表5に示した。さらに各レジスト組成物を0.2μmのメンブランフィルターで濾過することにより、レジスト組成物をそれぞれ調製した。
【0260】
使用した溶剤、塩基性化合物、架橋剤は次の通りである。
【0261】
溶剤
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) S−2:γ−ブチロラクトン S−3:乳酸エチル S−4:シクロヘキサノン
塩基性化合物
O−1:N,N−ジブチルアニリン O−2:2,6−ジイソプロピルアニリン O−3:ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン O−4:2,4,5−トリフェニルイミダゾール O−5:トリオクチルアミン
架橋剤:ニカラックMX−270(グリコールウリル系架橋剤、三和ケミカル製品
【化128】

【0262】
PAG:ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム塩(PAG−C3)
【化129】

【0263】
[パターン形成]
次いで、各レジスト組成物をシリコンウェハー上にスピンコートし膜厚250ナノメータのレジスト膜を得た。110℃でプリベークを行った後、フォトマスクを介して248nm紫外線での露光を行ったのち、120℃でポストエクスポーザーベークを行った。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間現像した。いずれのレジスト組成物からも高解像のパターン形状が得られ、基板への密着不良欠陥、成膜不良欠陥、現像欠陥、エッチング耐性不良による欠陥は見られなかった。各レジスト組成物の組成及び評価結果を表4および表5に示す。
【表4】

【表5】

【0264】
[参考重合例1]
表6に示すように、各種の単量体を用いて重合例P−1またはP−2と同様の手段でスルホン酸塩を含まない樹脂(P−1’〜P−5’)を合成した。得られた樹脂の繰り返し単位のモル比と質量平均分子量(MW)を表6に示した。
【表6】

【0265】
[参考重合例2] 表7に示すように、各種の単量体を用いて重合例P−1またはP−2と同様の手段で、本発明にかかる重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩(重合性単量体)ではなく、従来のオニウム塩重合性単量体(PAG−C1,PAG−C2)を用いて樹脂(P−C1〜P−C4)を合成した。得られた樹脂の繰り返し単位のモル比と質量平均分子量(MW)を表7に示した。
【表7】

【0266】
[比較例]
参考重合例2で製造した従来型のオニウム塩重合性単量体を用いた樹脂(P−C1〜P−C4)、溶剤、並びにその他の添加剤を配合して実施例1〜48と同様にレジスト組成物を調合することを試みた。
【0267】
しかし、多くの樹脂はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に難溶であり、PGMEAの量を倍にしても完全に溶解することは無かった。溶剤にシクロヘキサノンを使用した場合、溶解した樹脂があったが、これらは実施例1〜48と同様にパターン形成を実施した。結果を表8に示した。
【表8】

【0268】
[実施例49、51]
参考重合例1で得られた樹脂P’−1をベース樹脂とし、本発明にかかる重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩を酸発生剤として用いて実施例1等と同様にレジスト組成物を調製し、他のレジスト組成物と同様にパターンを形成し、パターン形状を観察した。いずれのレジスト組成物からも高解像のパターン形状が得られ、基板への密着不良欠陥、成膜不良欠陥、現像欠陥、エッチング耐性不良による欠陥は見られなかった。各レジスト組成物の組成及び評価結果を表9に示した。
【表9】

【産業上の利用可能性】
【0269】
本発明に係る樹脂は、フォトレジスト用の光酸発生剤として、並びにそれ自体ポジ型またはネガ型レジスト樹脂として使用できる。また、これらの樹脂を合成するための単量体は、酸発生剤として使用でき、他の化合物の合成原料としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有するスルホン酸塩樹脂。
【化1】

(式中、Xはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を表す。nは1〜10の整数を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基を表す。Rは、RO、RNのいずれかを表す。ここでR、RおよびRは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のオキソアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアラルキル基、または炭素数3〜30のラクトン基を表す。R及びRは相互に結合してRNの窒素原子(N)と共に環員数3〜18の複素環を形成していてもよい。また、R、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。Mは、一価のカチオンを表す。)
【請求項2】
下記一般式(4)で表される繰り返し単位を有する請求項1に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化2】

(式中、X、n、RおよびRは前記一般式(3)におけるX、n、RおよびRとそれぞれ同義である。Q+は、下記一般式(a)で表されるスルホニウムカチオン、または下記一般式(b)で表されるヨードニウムカチオンを表す。)
【化3】

(式中、R、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはR、RおよびRのうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【化4】

(式中、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはRおよびRが相互に結合して式中のヨウ素原子と共に環を形成してもよい。)
【請求項3】
下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する請求項1に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化5】

(式中、X、n、RおよびRは前記一般式(3)におけるX、n、RおよびRとそれぞれ同義である。)
【請求項4】
さらにオレフィン、含フッ素オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、ノルボルネン化合物、含フッ素ノルボルネン化合物、スチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビニルエーテル、および含フッ素ビニルエーテルに含まれる重合性二重結合が開裂して形成された繰り返し単位からなる群より選ばれた一種以上の繰り返し単位を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【請求項5】
さらに下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化6】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。Rは置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族基、または、それらが複数連結された有機基であって、任意の数の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。R10は水素原子、置換または非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基であって、任意の数の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。また、sは1〜2の整数を表す。)
【請求項6】
さらに下記一般式(7)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化7】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R11、R12、R13のうち、いずれか1つがCFC(CF)(OH)CH−基であり、残り2つは水素原子である。)
【請求項7】
さらに下記一般式(8)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化8】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R14は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基または含フッ素アルキル基を表す。)
【請求項8】
さらに下記一般式(9)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化9】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R15はメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R16は水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基を含む基であって、その一部にフッ素原子、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。uは0〜2の整数を表し、t、vは1〜8の整数を表し、v≦t+2を満たす。vが2〜8の場合、R15およびR16はそれぞれ同一でも異なってもよい。)
【請求項9】
さらに下記一般式(10)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化10】

(式中、Yは−CH−、−O−、−S−の何れかを表す。wは2〜6の整数を表す。)
【請求項10】
さらに下記の一般式(11)または一般式(11−1)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化11】

【化12】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R18は水素原子、フッ素原子または含フッ素アルキル基、Jは二価の連結基を表す。R17は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基であって、その一部にフッ素原子、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。R17−1は、酸不安定性基を示す。)
【請求項11】
さらに下記一般式(12)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【化13】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基もしくは含フッ素アルキル基を表す。R19およびR20はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜25の脂肪族炭化水素基または置換もしくは非置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素基であって、その一部にフッ素原子、エーテル結合、カルボニル基を含んでもよい。)
【請求項12】
式中、−(CX)−が、−(CH−(CF−で表され、pが0〜10の整数かつqが0〜8の整数である繰り返し単位を有する請求項1〜11の何れか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【請求項13】
式中、−(CX)−が、−(CH−(CF−で表され、pが0〜4の整数かつqが0または1である繰り返し単位を有する請求項1〜11の何れか1項に記載のスルホン酸塩樹脂。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のスルホン酸塩樹脂と溶剤を少なくとも含むレジスト組成物。
【請求項15】
スルホン酸塩樹脂が酸不安定性基を有するスルホン酸塩樹脂である請求項14に記載の化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項16】
さらに酸不安定性基を有する樹脂を含む請求項14または15に記載の化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項17】
スルホン酸塩樹脂がアルコール性ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有するスルホン酸塩樹脂である請求項14に記載の化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【請求項18】
さらにアルコール性ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する樹脂を含む請求項12または請求項17に記載の化学増幅ネガ型レジスト組成物。
【請求項19】
請求項14〜18のいずれか1項に記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項20】
露光する工程が、波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、レジスト組成物を塗布した基板と投影レンズの間に水、もしくは空気の屈折率より高い屈折率を有する水以外の液体を挿入する液浸リソグラフィー法であることを特徴とする請求項19に記載のパターン形成方法。
【請求項21】
露光する工程が、波長10〜14nmの軟X線(EUV光)を用いることを特徴とする請求項19に記載のパターン形成方法。
【請求項22】
下記一般式(1)で表されるアニオンを有する重合性含フッ素スルホン酸または重合性含フッ素スルホン酸塩。
【化14】

(式中、Xはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を表す。nは1〜10の整数を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基を表す。Rは、RO、RNのいずれかを表す。ここでR、RおよびRは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のオキソアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアラルキル基、または炭素数3〜30のラクトン基を表す。R及びRは相互に結合してRNの窒素原子(N)と共に環員数3〜18の複素環を形成していてもよい。また、R、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。)
【請求項23】
下記一般式(2)で表される重合性含フッ素スルホン酸オニウム塩。
【化15】

(式中、Xはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を表す。nは1〜10の整数を表す。Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基を表す。Rは、RO、RNのいずれかを表す。ここでR、RおよびRは相互に独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のオキソアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアラルキル基、または炭素数3〜30のラクトン基を表す。R及びRは相互に結合してRNの窒素原子(N)と共に環員数3〜18の複素環を形成していてもよい。また、R、RおよびRに含まれる炭素上の水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。Q+は、下記一般式(a)で表されるスルホニウムカチオン、または下記一般式(b)で表されるヨードニウムカチオンを表す。)
【化16】

(式中、R、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはR、RおよびRのうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【化17】

(式中、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基もしくはオキソアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を表すか、またはRおよびRが相互に結合して式中のヨウ素原子と共に環を形成してもよい。)

【公開番号】特開2012−102323(P2012−102323A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224454(P2011−224454)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】