説明

重合触媒成分の合成

本発明は、フッ素を含む、少なくとも1のフッ素化試薬;を1以上の非ハロゲン脱離基を含有する1以上のアルキル化されたメタロセン触媒成分;と接触させて、フッ素化された触媒成分を生成する、フッ素化されたメタロセン触媒成分の製造方法であり、3当量未満からのフッ素は全ての当量の脱離基と接触する製造方法を提供する。本発明の方法は、ペンタン等の非配位性希釈剤中で行われる下記反応で例示される:但し、「Cp」環のいずれか又は両方はここで記載するR基により置換されても架橋されてもよい。BF3及びジメチルジルコノセンの反応生成物は、フッ素化されたジルコノセンである。本発明のBF3フッ素化試薬及び出発メタロセンのモル比は、例えば2:1(フッ素化試薬:メタロセン)未満である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合触媒成分の合成方法に関し、特に少なくとも1のフルオライド脱離基を含有するフッ素化された触媒成分の合成方法であり、出発材料は1以上のアルキル化された触媒成分である方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合触媒作用について多くの研究がなされてきたが、そのプロセスの改良が未だ必要とされている。特に、当分野で公知の「シングルサイト」触媒成分でも最新のものを使用できる、実際に商業的に実行可能なポリオレフィン製造方法の提供が求められている。これらが必要とされる理由は、例えば実験室規模のプロセスではメタロセン触媒成分を使用して目的とするポリマーが生産できるにも拘わらず、商業的規模の拡大はしばしば反応器汚損等の問題により阻まれるためである。特に、シングルサイト触媒成分を使用して触媒作用を受けるオレフィン重合反応は、しばしば制御不能な状態となり、ポリマーは凝集して大きな(1cmを超える)塊又はそれ以上となり、しばしば反応器の内側表面上に「シート」となって、例えば、反応器中の熱除去の欠如、更に重合の「低下(running away)」等の他の問題を引き起こす。これらの場合、反応器を停止しなくてはならず、遅延が発生して費用がかかり、商業的実施可能性に欠けるものとなる。
【0003】
商業的用途のための前途有望な類のシングルサイト触媒には、金属中心が少なくとも1つの引き抜き(脱離)可能なフッ素(又はフッ素「脱離基」)を有するものが含まれる。かかる触媒を開示したものには、米国特許出願公開第20020032287号;国際公開WO97/07141号;ドイツ国特許第43 32 009 A1号;欧州特許公開第0 200 351 A2号公報;欧州特許公開第0 705 849 A1号公報;E.F. Murphyら、Synthesis and spectroscopic characterization of a series of substituted cyclopentadienyl Group 4 fluorides; crystal structure of the acetylacetonato complex [(acac)25-C5Me5)Zr(μ-F)SnMe3Cl], DALTON, 1983 (1996);A. Herzogら、Reactions of (η5-C5Me5)ZrF3, (η5-C5Me4Et)ZrF3, (η5-C5M45)2ZrF2, (η5-C5Me5)HfF3, and (η5-C5Me5)TaF4 with AlMe3, Structure of the First Hafnium-Aluminum-Carbon Cluster, 15 ORGANOMETALLICS 909-917 (1996);F. Garbassiら、JOURNAL OF MOLECULAR CATALYSIS A: CHEMICAL 101 199-209 (1995); and W. Kaminskyら、Fluorinated Half-Sandwich Complexes as Catalysts in Syndiospecific Styrene Polymerization, 30(25) MACROMOLECULES 7647-7650 (1997)がある。かかるシングルサイト触媒成分をオレフィン重合システム中に用いること、特に気相ポリエチレン重合に用いることが望ましい。
【特許文献1】米国特許公開第20020032287号明細書
【特許文献2】国際公開第97/07141号パンフレット
【特許文献3】ドイツ国特許第4332009A1号明細書
【特許文献4】欧州特許第A20200351号明細書
【特許文献5】欧州特許第A10705849号明細書
【非特許文献1】E.F. Murphyら、Synthesis and spectroscopic characterization of a series of substituted cyclopentadienyl Group 4 fluorides; crystal structure of the acetylacetonato complex [(acac)2(η5-C5Me5)Zr(μ-F)SnMe3Cl], DALTON, 1983 (1996)
【非特許文献2】A. Herzogら、Reactions of (η5-C5Me5)ZrF3, (η5-C5Me4Et)ZrF3, (η5-C5M45)2ZrF2, (η5-C5Me5)HfF3, and (η5-C5Me5)TaF4 with AlMe3, Structure of the First Hafnium-Aluminum-Carbon Cluster, 15 ORGANOMETALLICS 909-917 (1996)
【非特許文献3】F. Garbassiら、JOURNAL OF MOLECULAR CATALYSIS A: CHEMICAL 101 199-209 (1995)
【非特許文献4】W. Kaminskyら、Fluorinated Half-Sandwich Complexes as Catalysts in Syndiospecific Styrene Polymerization, 30(25) MACROMOLECULES 7647-7650 (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら触媒の使用の増加に伴い、これら触媒の実際的な製造方法を提供することが求められている。具体的には、フッ素含有触媒成分、又は「フルオライド化」触媒成分の製造は、フッ素化試薬に対応する「塩素化された」触媒成分との反応を必要とする。通常のフッ素化試薬の使用は、問題が多く過剰な費用が必要となる。メタロセン触媒成分をフッ素化する他の方法は、Z. Xieら、Synthesis, Molecular Structure, and Reactivity of Organolanthanide Fluoride Complexes, [{(Me3Si)2C5H3}2Ln(μ-F)]2 (Ln = La, Nd, Sm, Gd) and [(C5H5)2Ln(μ-F)(THF)]2 (Ln = Y, Yb), 17 ORGANOMETALLICS 3937-3944 (1998);E.F. Murphyら、Organometallic Fluorides: Compounds Containing Carbon-Metal-Fluorine Fragments of d-Block Metals, 97 CHEM. REV. 3425-3468 (1997);W.W. Lukens, Jr.ら、A π-Donor Spectrochemical Series for X in (Me5C5)2TiX, and β-Agostic Interactions in X = Et and N(Me)Ph, 118 J. AM. CHEM. SOC. 1729-1728 (1996); and P.M. Druceら、Metallocene Halides: Part I. Synthesis, spectra, and Redistribution Equilibria of Di-π-cyclopentadienyl-Ti(IV), -Zr(IV), and -Hf(IV), 14 J. CHEM. SOC. 2106-2110 (1969)に開示されている。しかしながら、これらの方法は、望ましくて経済効率のよい商業的なフッ素化メタロセン触媒成分の製造方法としては不充分である。求められるのは、フッ素化された触媒成分の改良された製造方法、及び実際的で経済効率のよい商業的なオレフィンの重合及びオリゴマー化プロセスである。本発明はこの改良を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、非配位性希釈剤中で(a)フッ素を含む、少なくとも1のフッ素化試薬を、(b)1以上の非ハロゲン脱離基を含有する1以上のアルキル化されたメタロセン触媒成分と接触させてフッ素化された触媒成分を生成するステップであり、3当量未満からのフッ素は全ての当量の脱離基と接触するステップ;を含む、フッ素化されたメタロセン触媒成分の製造方法を提供してこれら及び他の問題を解決した。本発明の方法は、ペンタン等の非配位性希釈剤中で行われる下記反応により例示される:
【化1】

但し、「Cp」環のいずれか又は両方はここで記載するR基により置換されても架橋されてもよい。反応は任意の好ましい温度、好ましくは10℃〜35℃で行われる。BF3及びジメチルジルコノセンの反応生成物は、フッ素化されたジルコノセンである。本発明のBF3フッ素化試薬及び出発メタロセンのモル比は、例えば2:1(フッ素化試薬:メタロセン)未満、好ましくは1.6:1以下、更に好ましくは1.5:1以下、最も好ましくは1.2:1以下である。本発明の方法は、先行技術の改良であり、過剰なフッ素化試薬の使用無しにメタロセン金属中心の完全フッ素化を可能とし、(室温に対して)反応温度が高温又は低温になること(これらはいずれもフッ素化されたメタロセン触媒成分のバルク製造費用に影響する因子である)なしに完全フッ素化を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
一般的定義
ここで使用される「触媒系」には、少なくとも1つの「触媒成分」及び少なくとも1つの「活性化剤」が含まれ、これらは共に更に本明細書において説明される。触媒系には又、サポート等のようなその他の成分が含まれていてもよく、単独の又は組み合わせとしての触媒成分及び/又は活性化剤に限定されない。触媒系には又、ここで記載されるような任意の組み合わせの任意の数の触媒成分、並びにここで記載されるような任意の組み合わせの任意の活性化剤が含まれていてもよい。
【0007】
ここで使用される「触媒成分」は、活性化剤の存在下でオレフィンの重合又はオリゴマー化の触媒作用を可能とする化合物であり;上記触媒成分は少なくとも1の第3族〜第12族原子(金属中心)、及びそれに結合している少なくとも1の脱離基を有する。例えば、触媒成分は、ここで記載する1以上の任意のメタロセン触媒成分から選ばれる。
【0008】
ここで使用される「脱離基」は、触媒成分の金属中心へ結合した1以上の化学的成分であり、活性化剤により触媒成分から引き抜かれ、オレフィンの重合又はオリゴマー化に活性な種を生成するものをいう。上記活性化剤は下記に説明する。
【0009】
ここで使用される元素の周期律表の「族」に関して、周期律表の族についての「新たな」番号付け方式は、CRC HANDBOOK OF CHEMISTRY AND PHYSICS(David R. Lide編集、CRC Press社、第81版、2000年)に倣って用いた。
【0010】
ここで使用される「ヒドロカルビル」には、水素及び炭素を含み且つ水素が1個欠乏した脂肪族、環状、オレフィン性、アセチレン性及び芳香族基(即ち炭化水素基)が含まれる。「ヒドロカルビレン」は水素が2個欠乏したものである。
【0011】
ここで使用される「アルキル」には、水素が1個欠乏した直鎖状、分岐状及び環状パラフィン基が含まれる。従って、例えば−CH3基(メチル)及びCH3CH2−基(エチル)がアルキルの例である。
【0012】
ここで使用される「アルケニル」には、水素が1個欠乏した直鎖状、分岐状及び環状オレフィン基が含まれる。アルキニル基には、水素が1個欠乏した直鎖状、分岐状又は環状アセチレン基が含まれる。
【0013】
ここで使用される「アリール」基には、フェニル、ナフチル、ピリジル及びその他の基であってその分子がベンゼン、ナフチレン(naphthylene)、フェナントレン、アントラセン等の環構造特徴を有するものが含まれる。例えば、C65-芳香族構造は「フェニル」であり、C642-芳香族構造は「フェニレン」である。「アリールアルキル」基は、アルキル基にアリール基がぶら下がったものである。「アルキルアリール」は、アリール基に1個のアルキル基がぶら下がったものである。
【0014】
ここで使用される「アルキレン」には、水素が2個欠乏した直鎖状、分岐状又は環状炭化水素基が含まれる。従って、−CH2−(メチレン)及び−CH2CH2−(エチレン)はアルキレン基の例である。水素基が2個欠乏したその他の基には、「アリーレン」及び「アルケニレン」が含まれる。
【0015】
ここで使用される「ヘテロ原子」には、炭素及び水素以外の原子であって炭素に結合することができる任意の原子が含まれる。「ヘテロ原子含有基」は、ヘテロ原子を含有する炭化水素基であり、1以上の同一又は異なるヘテロ原子を含有することができる。本発明を限定するものではない例としてヘテロ原子含有基には、イミン、アミン、オキシド、ホスフィン、エーテル、ケトン、オキソアゾリン複素環、オキサゾリン、チオエーテル等の基が含まれる。
【0016】
ここで使用される「アルキルカルボキシレート」、「アリールカルボキシレート」及び「アルキルアリールカルボキシレート」は、任意の位置にカルボキシル基を有するアルキル、アリール及びアルキルアリールである。その例には、C65CH2C(O)O-、CH3C(O)O-等が含まれる。
【0017】
ここで使用される「置換(された)」とは、その用語の後に記載された基が任意の位置において1以上の水素の代わりに、少なくとも1の成分を有することを意味し、その成分は、ハロゲン基(特にCl、F、Br)、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、C1〜C10アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基及びそれらの組み合わせの群から選ばれる。置換アルキル及び置換アリールの本発明を限定するものではない例として、アシル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル−及びジアルキル−カルバモイル基、アシロキシ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0018】
ここで使用される構造式は、化学の分野において通常理解されている通りに用いられる。金属原子(「M」、第3族〜第12族原子)とリガンド又はリガンド原子(例えばシクロペンタジエニル、窒素、酸素、ハロゲンイオン、アルキル等)との間の関係を表わすのに用いられる線(−)、並びに「〜とゆるく結合した」、「〜に結合した」及び「〜に結合する」の語句は、「化学結合」を表わすことを意味するものであるので、特定種類の化学結合を表わすものと限定されるものでない。「化学結合」とは、組み合わされた集合体を1の単位又は「化合物」として機能させるのに充分強い原子間力と定義される。
【0019】
所定の構造やその一部についての立体化学に関しては、その構造についてその旨の記述がされていたり、点線及び/又は太線のような通常用いられる結合記号を使用することによって明らかでない限り、特に特定のものに限定されない。
【0020】
別途記載がない限り、本発明の具体例はいずれも、個々の説明及び下記実施例中で規定されるような金属原子「M」の酸化状態に限定されるものではない。
【0021】
アルキル化された触媒成分のフッ素化方法
本発明は、フッ素化された触媒成分の合成方法に関する。「フッ素化された触媒成分」とは、触媒成分の第3族〜第12族原子(又は「金属中心」)へ化学的に結合した少なくとも1のフルオライドを含有するものである。本発明は又、触媒系の一部としてフッ素化された触媒成分を使用してオレフィンをオリゴマー化及び/又は重合して、ポリエチレン及びポリプロピレンのホモポリマー及びコポリマー等のポリマーを形成することも目的とする。
【0022】
例えば本発明のフッ素化された触媒成分の合成は、少なくとも1のフッ素化試薬を少なくとも1のアルキル化された触媒成分と非配位性希釈剤の存在下で接触させることを含む。又本発明は、フッ素化された触媒成分の合成が、例えば最初に1以上の触媒成分をアルキル化するステップ、次に少なくとも1のフッ素化試薬を1以上のアルキル化された触媒成分と非配位性希釈剤中で接触させるステップを含む。
【0023】
ここで使用される「アルキル化された触媒成分」は、少なくとも1の非ハロゲン(第17族原子)脱離基を含有する触媒成分であり;好ましくは脱離基は触媒成分の金属と第12族〜第16族原子から選ばれる原子との間の少なくとも1の結合を形成し;更に好ましくは脱離基は触媒成分の金属とホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、窒素、リン、酸素及びイオウから選ばれる原子との間の少なくとも1の結合を形成し;又本発明の好ましい例では脱離基は触媒成分の金属へ直接に結合する1の炭素を形成する。本発明で使用できるアルキル化された触媒成分は、好ましくは構造(I)〜(VI)中の1以上のX基は、下記記載の炭化水素及びヘテロ原子含有炭化水素から選ばれるものである。「アルキル化された」「触媒成分」は、アルキル基(上記で定義された)と結合した触媒成分だけではなく、1基当り少なくとも1の非ハロゲン原子−金属結合を提供する全ての炭化水素及びヘテロ原子含有炭化水素をも意味する。
【0024】
上記「フッ素化された触媒成分」は上記で定義され、好ましくは1以上のX基はフルオライドイオンである式/構造(I)〜(VI)で表される。
【0025】
上記「フッ素化試薬」は、少なくとも1のフッ素原子及びアルキル化された触媒成分の金属中心間の化学結合を形成可能な化合物単体又は混合物である。好ましくは、フッ素化試薬は、下記の通り非配位性希釈剤中に可溶である化合物単体又は混合物であり、、少なくとも1のフッ素原子を含有する。好ましくは、フッ素化試薬は、少なくとも1のフッ素原子、より好ましくは少なくとも2のフッ素原子、並びに、H、Li、Na、K、Ca、Ti、Zr、Sm、Nb、Ta、Mo、B、Al、Ga、Ge、Re、C、Si、Sn、N、P、O、S、Cl、I及びBrから選ばれる1以上の原子を含有する化合物から選ばれる。更に好ましくは、フッ素化試薬は、少なくとも1のフッ素原子、より好ましくは少なくとも2のフッ素原子、並びに、H、Li、Na、K、B、Al、Ga、C、Si、N、P、O、S、Cl、I及びBrの群から選ばれる1以上の原子を含有する化合物から選ばれる。更に好ましくは、フッ素化試薬は、少なくとも1のフッ素原子、より好ましくは少なくとも2のフッ素原子、並びに、H、Li、Na、K、B、C、Si、N、P、O、S、Cl、I及びBrの群から選ばれる1以上の原子を含有する化合物から選ばれる。更に好ましくは、フッ素化試薬は、少なくとも1のフッ素原子、より好ましくは少なくとも2のフッ素原子、並びに、Li、Na、K、B、C、Si、N、P、O、S、Cl、I及びBrの群から選ばれる1以上の原子を含有する化合物から選ばれる。更に好ましくは、フッ素化試薬は、少なくとも1のフッ素原子、より好ましくは少なくとも2のフッ素原子、少なくとも1のホウ素原子並びに、H、Li、Na、K、C、Si、N、P、O、S、Cl、I及びBrの群から選ばれる1以上の原子を含有する化合物から選ばれる。少なくとも2のフッ素原子及び上記記載の他の原子の組み合わせは、これら原子に公知の結合機構に従う様式で化学化合物を形成するために適宜変更できる。
【0026】
例えば本発明では、スズベースのフッ素化試薬は実質的に不存在であり、故意に添加されず、本発明のフッ素化ステップ中では検出限界範囲内では存在しない。スズベースのフッ素化試薬としてスズ並びに、水素、塩素イオン、フルオライドイオン、炭素及びそれらの組み合わせから選ばれる原子からなる化合物が挙げられる。スズベースのフッ素化試薬の例としてSnF2、SnF4、及びSn(CH33Fが挙げられる。別の例では、HFを含むフッ素化試薬は実質的に存在しない。
【0027】
本発明を限定するものではない例としてフッ素化試薬は、Et4NPF6、(NH42SiF6、NH4PF6、NH4F、NH42、(NH42TaF7、NH4NbF4、SnF4及びそのアルキル化された誘導体(例えば、[CH33SnF)(NH42GeF6、(NH42SmF6、(NH42TiF6、(NH42ZrF6、MoF6、ReF6、GaF3、SO2ClF、F2、SiF4、SF6、ClF3、ClF5、BrF5、IF7、NF3、NHF2、CH3NHF、NH4HF2、NH4BF4、BF3、及び他のホウ素−フルオライド化合物、並びにそれらの混合物から選ばれてもよい。更に好ましくは、適切なフッ素化試薬は、Et4NPF6、NH4PF6、(NH42SiF6、NH4F、NH42、(NH42TiF6、(NH42ZrF6、SO2ClF、F2、NaF、SiF4、SF6、ClF3、ClF5、BrF5、IF7、NF3、HF、NHF2、NH4HF2、NH4BF4、BF3、及び他のホウ素−フルオライド化合物、並びにそれらの混合物から選ばれてもよい。これら化合物は又、上記記載の種々の原子を有する2以上のフッ素原子の種々の例示である。
【0028】
本発明の別の好ましい例では、フッ素化試薬は、第13族フルオライド化合物から選ばれる。「第13族フルオライド化合物」は、少なくとも1の第13族原子及び少なくとも1のフルオライドイオンを含有する任意の化合物である。これらの化合物の例として、ホウ素モノ−、ジ−及びトリフルオライド化合物、アルミニウムモノ−、ジ−及びトリフルオライド化合物、ガリウムモノ−、ジ−及びトリフルオライド化合物、並びにアルキル化及び/又はハロゲン化(Cl、Br、I)したそれらの誘導体、更にこれら化合物の、二量体、三量体、及びそれらのオリゴマーが挙げられる。更に好ましくは、フッ素化試薬は、一般式(BFy3-yzを有する化合物であり、yは1〜3であり;zは例えば1〜20であり、好ましくは1〜5、更に好ましくは1であり;Rは水素化物、塩素化物、臭素化物、C1〜C10アルキル、置換されたC1〜C10アルキル、C1〜C10アルコキシ、C6〜C12アリール、C6〜C12アリールオキシ及び置換されたC6〜C12アリールから選ばれる化合物を含むホウ素−フルオライド化合物から選ばれる。更に好ましくは、第13族フルオライド化合物はBF3である。本発明は、フッ素化試薬の物理的状態に限定されず、液体、固体、希釈剤中の懸濁液等のいずれの状態でも良く、及び/又は、エーテル、水等の別の化合物、又は市販されている化合物等の他の配位基へ配位していても良い。
【0029】
どの場合でも、フッ素化された触媒成分は例えば、アルキル化された触媒成分及びフッ素化試薬を非配位性希釈剤中で接触させて得られる。好ましくは、フッ素化された触媒成分は、フッ素化試薬をアルキル化された触媒成分と直接に、フッ素化試薬又はアルキル化された触媒成分へのいずれかへの希釈剤の添加無しに、接触させて得られる。別の例では、フッ素化成分は直接に、希釈剤中への希釈無しに、非配位性希釈剤中に存在するアルキル化された触媒成分中へ添加されてもよい。「接触」は、成分が、例えば希釈剤の存在下で、フッ素化試薬及びアルキル化された触媒成分が反応してフッ素原子及び触媒成分の金属中心間の化学結合を生成するのに適した条件下で一緒になることを意味する。
【0030】
非配位性希釈剤は、アルキル化されたオレフィン重合触媒との化学結合又はイオン性相互作用を生成可能な化学的成分を排除する物質又は物質の混合物である。好ましくは、非配位性希釈剤は、成分同士が互いに接触して少なくとも1のフッ素及び触媒成分間の結合の形成に影響する温度では液体状態にあるものである。例えば、非配位性希釈剤は、大気圧近辺で−30℃〜200℃で液体であり、好ましくは大気圧近辺で−10℃〜100℃で液体である。
【0031】
好ましくは、非配位性希釈剤は炭素及び水素からなる炭化水素希釈剤である。又、希釈剤は、メチレンクロライド、トリクロロメタン、ジクロロエタン等の塩素化炭化水素でもよい。更に好ましくは、非配位性希釈剤はC4〜C40直鎖状アルカン、分岐状アルカン、環状アルカン、C6〜C20芳香族炭化水素、及びそれらの混合物の群から選ばれる。本発明の特に好ましい例では、非配位性希釈剤は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、ナフチレン(naphthylene)、それらの異性体、及びそれらの混合物の群から選ばれる。
【0032】
本発明のフッ素化された触媒成分の合成に関する一般的反応ステップは、アルキル化された触媒成分が出発材料である下記ステップ(b)のみでもよく、ステップ(a)及び(b)を含むものでもよい:
C+XAA→AC (a)
AC+YFA→FC (b)
但し、「C」は触媒成分であり、「AA」はアルキル化試薬であり、「AC」はアルキル化された触媒成分であり、「FA」はフッ素化試薬であり、「FC」はフッ素化された触媒成分であり;XはAAの当量数であり;YはFAの当量数であり;
Xの値は分数を含み、例えば0.5〜5、好ましくは0.8〜5、更に好ましくは1〜2の数であり;最も好ましくはXは2の数であり;
Yの値は分数を含み、例えば0.1〜3未満、好ましくは0.8〜2.5未満、更に好ましくは1〜2未満、更に好ましくは0.6〜1.8、特に好ましくは0.8〜1.5、最も好ましくは0.9〜1.2の数であり、上記当量は、全フッ素化試薬化合物の当量を基準とする。
【0033】
(a)のアルキル化試薬は、金属中心触媒成分及び、炭化水素又はヘテロ原子含有基(例えば、アルキル、アリール等)間に1以上の非ハロゲン−金属結合を形成可能な任意の試薬又は試薬の組み合わせであり、特に炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基、及び触媒成分の第3族〜第12族金属中心間の結合を形成できるものである。好ましくは、アルキル化試薬は、C1〜C6アルキル第1族化合物、C1〜C6アルキル第2族化合物、C6〜C12アリール第1族化合物、C6〜C12アリール第2族化合物、アルミニウムアルキル化合物、及びそれらの混合物から選ばれ、これら化合物は、炭素−金属結合を形成できる。これら化合物の例として、トリエチルアルミニウム(TEAL)及び他のメチル/エチルアルミニウム誘導体;メチルマグネシウムブロマイド及びフェニルマグネシウムブロマイド等のグリニャール試薬、並びに、一般式RGMg(ハロゲン)である他のグリニャール試薬、但し、RG基はアルキル化された触媒成分に関するX基として定義されたアルキル又はアリール基である;並びにリチウム及びナトリウムアルキル化合物が挙げられる。これら化合物は、市販されており、化学的分野で一般的な技術により製造できる。金属中心へのアルコキシ結合等を形成できる他のアルキル化試薬は公知であり、例えば第1族又は第2族アルコキシ試薬、例えば、W.W.Lukens,Jr.ら、118J.Am.Chem.Soc.1729-1728(1996)(アルキル、アルコキシ、アミン脱離基をメタロセンへ添加する方法)に記載されている。
【0034】
例えば、ステップ(a)又はアルキル化ステップは、20℃で2.0を超える誘電率で、100℃未満、好ましくは60℃未満の沸点を有する希釈剤中で行われる。又、接触ステップ(a)は、C1〜C20ヘテロ原子含有炭化水素から選ばれる希釈剤中で行われてもよく;ヘテロ原子は酸素、イオウ、リン、窒素、フッ素、塩素、及び臭素から選ばれる。本発明を限定するものではない使用できる希釈剤として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、DMSO、並びに他のエーテル及びケトンが挙げられる。好ましくは、(a)中で使用される希釈剤は、真空(1〜1×10-6torr)及び/又は、AC生成物が容易に単離されるような穏やかな加熱条件(100℃未満)下で容易に除去できるものである。例えば反応は、1分〜24時間、モノ−、ジ−又は混合アルキル化された生成物の最大収率を得られる温度、例えば−10℃〜40℃で行うことが出来る。反応は当分野で公知の技術により監視され、目的の終点を決定できる。
【0035】
好ましくは、上記ステップ(a)で製造されたACは、フッ素化試薬との接触前に単離される。単離された生成物ACは、どの形状でもよく、例えば固体である。ここで記載したように合成されるか他の方法で入手した、単離されたACは更に、アルカン及び芳香族炭化水素、好ましくはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエン等の希釈剤から選ばれる希釈剤での抽出等で精製されてもよい。
【0036】
フッ素化ステップ又はステップ(b)中で好ましくは、反応物を上記記載の非配位性希釈剤中で接触させる。反応は、当分野で公知の技術で反応を監視され最高収率での目的の生成物を得るための任意の好ましい温度で行われてもよく;例えば、温度は−30℃〜140℃(又は、例えばトルエン等の炭化水素溶媒の還流温度)、好ましくは0℃〜50℃、更に好ましくは10℃〜35℃、最も好ましくは15℃〜30℃である。例えば本発明では、フッ素化されたメタロセンの改良された製造方法は温度管理の必要がない。従って、好ましくは、室温に対して(反応)温度を非常に高温又は低温にするような、そのシステムへ作用させる外部の温度管理は必要としない。「非常に(ない)」は、フッ素化反応の温度は5℃を超えて高温又は低温にならないことを意味する。
【0037】
好ましくはFC生成物が沈殿物を形成するようなフッ素化ステップ用希釈剤が選択される。沈殿物又は反応生成物は、任意の好ましい体積の炭化水素希釈剤で抽出され(又は「洗浄され」)、更にフッ素化された触媒成分が単離され精製される。反応生成物固体を洗浄するために使用する希釈剤は、フッ素化反応の目的外の副生成物を除去するための任意の好ましい温度であり、例えば80℃未満である。ステップ(b)、フッ素化ステップ中で、AC及びFAは、使用した希釈剤を使用して最高収率を与える任意の濃度でよい。例えば、AC及びFAは、独立して、希釈剤中に10M(モル)以下、好ましくは1μM〜2M、更に好ましくは1mM〜1M、最も好ましくは10mM〜0.5Mの濃度で存在してもよい。
【0038】
好ましくは、非共役の炭素−炭素二重結合、酸素、イオウ、リン、ハロゲン、第1族〜第12族原子、ランタニド族原子、及びアクチニド族原子並びにそれらの組み合わせから選ばれる群を含む希釈剤は、フッ素化ステップ又は上記(b)ステップ中に実質的に不存在である。「実質的に不存在」は、これら希釈剤が故意に添加されず、特に、存在したとしてもフッ素化ステップ中でフッ素化試薬の濃度を超える範囲ではないことを意味する。
【0039】
本発明のフッ素化ステップの更に好ましい例示は、下記ステップ(c)で表される:
(Cp)1〜2MXn+YFfA→(Cp)1〜2MFy(n-y)(c)
但し、(Cp)1〜2MXnは、個数nの非ハロゲン脱離基Xを有するアルキル化されたメタロセン触媒成分であり;Cpはシクロペンタジエニル又はシクロペンタジエニルとアイソローバル類似なリガンドであり、それらの一方又は両方は置換されてもよく;それぞれのCpはMに結合し;Mは触媒成分の金属中心であり、X及びF(フルオライドイオン)は、それぞれが存在した場合、Mへ化学的に結合し;nは1〜3の整数であり;
Yの値は分数を含み0.1〜3であり、化合物「FfA」全体としての当量数を表し;
fAは、フッ素化試薬分子当りのフッ素原子数fを有するフッ素化試薬であり、fは例えば1〜6、好ましくは2〜6の整数であり;Fはフルオライドイオンであり;
(Cp)1〜2MFy(n-y)はフッ素化されたメタロセン触媒成分であり;yは1〜3の整数である。
【0040】
反応ステップ(c)中のYの値は、ステップ(b)中と同様に、分数を含む任意の数であり2未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、又は1.1未満であり、0.3を超え、0.4を超え、0.5を超え、0.6を超え、0.7を超え、0.8を超え、0.9を超えてもよく;Yは全フッ素化試薬の当量を表す。
【0041】
フッ素(フッ素化試薬の一部としての)の合計当量は、fの値を乗じたYの値である。本発明の方法中、フッ素化試薬により提供された非ハロゲン脱離基Xの当量に対するフッ素の合計当量は、例えば3未満、好ましくは2.5以下、更に好ましくは2以下、最も好ましくは1.5以下である。本発明では又、非ハロゲン脱離基Xの当量に対するフッ素の合計当量は、分数を含む任意の数であり、例えば3未満、2.8未満、2.5未満、2.2未満、2.0未満、1.8未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、又は1.1未満であり、1以上でもよい数である。
【0042】
例えば本発明では、それぞれのX(ステップ(c)中の下記式/構造(I)〜(VI)中)は、金属へ結合した原子は下記から選ばれる、任意の非ハロゲン脱離基から独立して選ばれる:例えば、第12族〜第16族原子の水素化物;好ましくは、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、C1〜C12アルコキシ、C6〜C16アリールオキシ、C7〜C18アルキルアリールオキシ、C1〜C12フルオロアルキル、C6〜C12フルオロアリール、及びC1〜C12ヘテロ原子含有炭化水素並びに置換されたそれらの誘導体等の水素化物;更に好ましくは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C7〜C18アルキルアリール、C1〜C6アルコキシ、C6〜C14アリールオキシ、C7〜C16アルキルアリールオキシ、C1〜C6アルキルカルボキシレート、C1〜C6フッ素化アルキルカルボキシレート、C6〜C12アリールカルボキシレート、C7〜C18アルキルアリールカルボキシレート、C1〜C6フルオロアルキル、C2〜C6フルオロアルケニル、及びC7〜C18フルオロアルキルアリール等の水素化物;特に好ましくは、メチル、フェニル、フェノキシ、ベンゾキシ、トシル、フルオロメチル及びフルオロフェニル等の水素化物。更に好ましくは、それぞれのXは、基の炭素とメタロセンの金属中心間に1の結合を提供して炭素−金属結合を形成する群から独立して選ばれ、そのような群として;例えば、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、置換されたC1〜C12アルキル、置換されたC6〜C12アリール、置換されたC7〜C20アルキルアリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有アルキル、C6〜C12ヘテロ原子含有アリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有アルキルアリールからなる群;好ましくは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C7〜C18アルキルアリール、ハロゲン化C1〜C6アルキル、ハロゲン化C2〜C6アルケニル、及びハロゲン化C7〜C18アルキルアリールからなる群;並びに、更に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、フルオロメチル(モノ−、ジ−及びトリフルオロメチル)及びフルオロフェニル(モノ−、ジ−、トリ、テトラ−及びペンタフルオロフェニル)からなる群;が挙げられる。
【0043】
好ましくいステップ(c)では、fは3であり、nは2であり、Yは2未満であり、yは2であり、n=yである。又、fは3であり、nは2であり、Yは1以下であり、yは2であってもよい。更に別の例では、fは3であり、nは1であり、Yは1未満であり、yは1である。従って、本発明は、2当量未満のフッ素化試薬を使用して少なくとも2のアルキル基(非ハロゲン基)を2個のフッ素基で置換する方法を提供する。
【0044】
他の例として、本発明の方法は、例えばアルキル化された触媒成分の金属中心へ結合した非ハロゲン脱離基の全ての当量に対し、0.6〜2.5当量の(フッ素化試薬の一部としての)フッ素;好ましくはアルキル化された触媒成分の金属中心へ結合した非ハロゲン脱離基の全ての当量に対し、0.8〜2.0当量の(フッ素化試薬の一部としての)フッ素;更に好ましくはアルキル化された触媒成分の金属中心へ結合した非ハロゲン脱離基の全ての当量に対し、(フッ素化試薬の一部としての)0.8〜1.5当量のフッ素;を添加することを可能とする。
【0045】
例えば、アルキル化された触媒成分は2個のX基がメチル基であるメタロセンである化合物でもよい。フッ素化プロセスが上記記載の通り行われると、フッ素化された触媒成分として、アルキル化された触媒成分と接触したフッ素化試薬の当量数に応じて一方又は両方のX基がフルオライドとなった対応するメタロセンが得られる。例えば、2当量未満のフッ素化試薬が両方のメチル基をフッ素イオンで置換するために添加されてもよい。一方のみのXがフルオライドで置換される場合、他のXは出発メチル基のままである。
【0046】
フッ素化試薬が希釈剤と非混和性又は僅かに部分的に混和性であるフッ素化ステップでは、フッ素化試薬をアルキル化された触媒成分へ又はアルキル化された触媒成分が存在する希釈剤相へ移動するのを補助するか、フッ素化試薬及びアルキル化された触媒成分間の反応を補助する試薬を使用することも本発明の範囲内である。これら試薬「相移動触媒」は、当分野で公知であり、例えば水溶液又は極性希釈剤相が非極性又は炭化水素希釈剤相と接触し、反応物がそれらに分離されている反応中で使用されている。本発明を限定するものではないこのような相移動触媒の例として、第四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸水素塩)、クラウンエーテル、及び当分野で公知の他の化合物が挙げられる。
【0047】
ここで記載する本発明は又、最初に少なくとも1のフッ素化試薬を1以上のアルキル化された触媒成分と接触させてフッ素化された触媒成分を製造するステップ;次にフッ素化された触媒成分を、重合条件下で活性化剤及びC2〜C12オレフィンから選ばれるオレフィンを接触させてポリオレフィンを製造するステップを含むポリオレフィン製造方法を提供する。従って、フッ素化された触媒成分は、オレフィンをオリゴマー化又は重合するために使用される触媒系の一部でもよい。重合方法及び通常の重合条件は、更にここに記載される。
【0048】
又本発明は、ここに記載した任意の例又は好ましい例の任意の組み合わせとしても表される。
【0049】
本発明は又、フッ素を含む少なくとも1のフッ素化試薬を1以上の非ハロゲン脱離基を含有する1以上のアルキル化されたメタロセン触媒成分と接触させ、但し、3当量未満からのフッ素は全ての当量の脱離基と接触する、フッ素化された触媒成分を生成して;フッ素化されたメタロセン触媒成分の製造方法を提供する。「3当量未満からのフッ素が接触する」とは、本発明のフッ素化試薬によりフッ素の3当量(又は他の当量数)が提供されることを意味する。又、当量の脱離基に対し2.5当量以下のフッ素を接触させてもよい。別の例では、当量の脱離基に対し2当量以下のフッ素を接触させてもよく、好ましくは当量の脱離基に対し1.5当量以下のフッ素を接触させてもよく、更に好ましくは、触媒成分へ結合した当量の非ハロゲン脱離基に対し、1.2当量以下のフッ素をアルキル化された触媒成分と接触させてもよい。
【0050】
フッ素化試薬は、少なくとも1のフッ素原子及びアルキル化された触媒成分の金属中心間の化学結合を形成可能な、化合物単体又は混合物である。フッ素化試薬は、例えば少なくとも1原子のフッ素、並びにH、Li、Na、K、Ca、Ti、Zr、Sm、Nb、Ta、Mo、B、Al、Ga、Ge、Re、C、Si、Sn、N、P、O、S、F、Cl、I及びBrの群から選ばれる、1以上の原子を含有する化合物から選ばれる。好ましくはフッ素化試薬は、少なくとも1原子のフッ素、並びにH、Li、Na、K、B、C、Si、N、P、O、S、F、Cl、I及びBrの群から選ばれる、1以上の原子を含有する化合物から選ばれる。更に好ましくはフッ素化試薬は、第13族フルオライド化合物から選ばれる。最も好ましくは、フッ素化試薬はホウ素−フルオライド化合物から選ばれる。
【0051】
フッ素化試薬はアルキル化された触媒成分と接触して、フッ素化された触媒成分、又はフッ素化反応の他の副生成物を含む反応生成物を生成する。反応生成物は、炭化水素溶媒を使用して、例えば80℃未満からの温度で抽出してフッ素化された触媒成分を生成してもよく、好ましくは70℃未満の温度で抽出し、更に好ましくは60℃未満の温度で抽出して、純粋なフッ素化された触媒成分を更に単離してもよい。例えば、フッ素化試薬は、ニート組成物として添加される。「ニート組成物」とは、フッ素化試薬が、当量のフッ素化試薬に対し2当量を超える希釈剤が存在するような希釈剤中に、希釈され、懸濁され又は可溶化されていないことを意味し;又は、ニート組成物は他の希釈剤が添加されていないものをも意味する。
【0052】
フッ素化試薬及びアルキル化された触媒成分同士は、非配位性希釈剤中で接触する。非配位性希釈剤は、例えば本質的に炭素及び水素からなる炭化水素希釈剤である。非配位性希釈剤は、C4〜C40直鎖状アルカン、分岐状アルカン、環状アルカン、C6〜C20芳香族炭化水素及びそれらの混合物の群から選ばれる。別の例では、非配位性希釈剤は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフチレン(naphthylene)、それらの異性体、及びそれらの混合物の群から選ばれる。
【0053】
アルキル化されたメタロセン触媒成分は、例えばアルキル化された第4、5及び6族モノ−及びビス−シクロペンタジエニル型メタロセン触媒成分から選ばれ、少なくとも1の脱離基Xを有するものとして表されてもよい。これら脱離基「X」は、本明細書及び請求の範囲を通して使用される。例えば、Xは独立して、任意の非ハロゲン脱離基から選ばれる。又Xは、独立してアルキル化された触媒成分の金属中心、並びに、第12族原子、第13族原子、第14族原子、第15族原子、及び第16族原子から選ばれる1以上の原子間に少なくとも1の結合を形成する群から選ばれる。好ましくはXは独立して、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、置換されたC1〜C12アルキル、置換されたC6〜C12アリール、置換されたC7〜C20アルキルアリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有アルキル、C5〜C12ヘテロ原子含有アリール及びC6〜C12ヘテロ原子含有アルキルアリールの群から選ばれる。例えば、アルキル化された触媒成分は、2個の脱離基Xを含有してもよい。
【0054】
成分同士は、例えば0℃〜60℃、好ましくは10℃〜35℃、更に好ましくは15℃〜30℃の温度で接触する。
【0055】
メタロセン触媒化合物;
本発明で使用できる触媒系は、ここで記載する少なくとも1のメタロセン触媒成分を含有する。いわゆるメタロセン触媒化合物の種類は、例えば「1&2 METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS」John Scheirs & W.Kaminsky編,John Wiley & Sons,社.2000及び、特にポリエチレン合成に対する「1 METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS」261-377(2000)の全体に記載されている。ここで記載されるアルキル化及び/又はフッ素化されたメタロセン触媒化合物として、少なくとも1の第3族〜第12族金属原子に結合した1以上のCpリガンド(シクロペンタジエニル及び、シクロペンタジエニルとアイソローバル類似であるリガンド)、少なくとも1の金属原子に結合した1以上の脱離基、を有するハーフサンドイッチ型及びフルサンドイッチ型メタロセン化合物が挙げられる。以下、これら化合物を、「メタロセン」又は「メタロセン触媒成分」といい、脱離基「X」の特性に応じて「アルキル化」及び/又は「フルオライド化」されてもよい。
【0056】
Cpリガンドは一般的に、1以上のπ−結合した、及び/又は縮合環又は環系で表される。これらリガンド中、環又は環系は、具体的には第13族〜第16族原子の群から選ばれる原子を含み、好ましくはCpリガンドを構成する原子は、炭素、窒素、酸素、ケイ素、イオウ、リン、ゲルマニウム、ホウ素及びアルミニウム並びにそれらの組み合わせの群から選ばれる。更に好ましくはCpリガンドは、シクロペンタジエニルリガンド及びシクロペンタジエニルとアイソローバル類似であるリガンドの群から選ばれ、本発明を限定するものではない例として、シクロペンタジエニル、テトラヒドロインデニル、インデニル、フルオレニル及び他の構造が挙げられる。他のCpリガンドの例として、ペンタジエン、シクロオクタテトラエニル及びイミド化合物等の構造が挙げられる。
【0057】
メタロセン触媒化合物の金属原子「M」は;例えば第3族〜第12族原子及びランタニド系列原子の群から選ばれてもよく;好ましくは第3族〜第6族原子の群から選ばれてもよく;更に好ましくは第4族、第5族及び第6族原子の群から選ばれてもよく;更に好ましくは第4族金属の群から選ばれてもよく;特に好ましくは、Ti、Zr、Hf原子から選ばれてもよく;最も好ましくはZr及びHfから選ばれてもよい。Cpリガンドは金属原子Mと少なくとも1の化学結合を形成して「メタロセン触媒成分」を形成する。Cpリガンドは、触媒成分へ結合している脱離基から明確に区別され、その中では高度に置換反応を受けにくい。
【0058】
例えば発明では、上記1以上の本発明のメタロセン触媒成分は式(I)で表されてもよい:
CpACpBMXn (I)
但し、Mは上記と同様であり;それぞれのXはMへ化学結合し;それぞれのCpリガンド基はMへ化学結合している。
【0059】
式(I)中のCpA及びCpBで表されるリガンドは、シクロペンタジエニルリガンド又はシクロペンタジエニルとアイソローバル類似であるリガンドと同一でも異なっても良く、それらのいずれか又は両方はヘテロ原子を含有してもよく、それらのいずれか又は両方は基Rにより置換されていてもよい。本発明を限定するものではないリガンドの例として、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレニル、インデニル、ベンズインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントロインデニル(phenanthrindenyl)、3,4−ベンゾフルオレニル、9−フェニルフルオレニル、8−H−シクロペント[タ]アセナフチレニル、7H−ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2−9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、それらの水素化誘導体(例えば、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、又は「H4Ind」)、それらの置換誘導体、並びにそれらの複素環誘導体が挙げられる。例えば、CpA及びCpBは、独立してシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、及びそれらの置換誘導体の群から選ばれてもよい。
【0060】
独立して、それぞれのCpA及びCpBは、Mへ結合した同一又は異なる種類のリガンドでもよい。式(I)の例として、CpA又はCpBのいずれか1個が存在してもよい。
【0061】
式(I)のそれぞれのCpA及びCpBは、独立して、非置換、又は置換基Rのいずれか若しくはその組み合わせで置換されていてもよい。本発明を限定するものではない構造(I)中で使用される置換基R、並びに構造(VIa−d)中の環基の例として;水素基、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アシル、アロイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオール、ジアルキルアミン、アルキルアミド、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、アルキル−及びジアルキル−カルバモイル、アシロキシ、アシルアミノ、アロイルアミノ、及びそれらの組み合わせの群から選ばれるものが挙げられる。
【0062】
本発明を限定するものではない、式(I)から(VIa−b)に関するアルキル置換基Rの好ましい例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル、メチルフェニル、及びtert−ブチルフェニル基、並びに、tert−ブチル、イソプロピル等のそれらの構造異性体全て等が挙げられる。他の可能な基として、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、クロロベンジル等の置換されたアルキル及びアリール;トリメチルシリル、トリメチルゲルミル及びメチルジエチルシリル等のヒドロカルビル置換オルガノメタロイド基;トリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリル及びブロモメチルジメチルゲルミル等のハロカルビル置換オルガノメタロイド基;ジメチルホウ素等の二置換ホウ素基;ジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィン等の二置換第15族基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィド及びエチルスルフィド等の第16族基が挙げられる。本発明を限定するものではない他の置換基Rとして、ブテン−3−イル、プロペン−2−イル及びヘキセン−5−イル等の、ビニル末端リガンドを含むオレフィン性不飽和置換基等のオレフィンが挙げられる。例えば、少なくとも2のR基、例えば2つの隣接したR基は、互いに結合し、炭素、窒素、酸素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素又はそれらの組み合わせから選ばれた3〜30原子を有する環構造を形成してもよい。同様に、1−ブタニル等の置換基R基は、金属Mへの結合関係を形成してもよい。
【0063】
1以上のX基は、上記で定義された任意の好ましい脱離基である。式(I)のnの値は例えば0〜4の整数、好ましくは0、1又は2である。例えば、2以上のX’が縮合環又は環系の一部を形成してもよい。
【0064】
又、本発明のメタロセン触媒成分として、CpA及びCpBが少なくとも1の架橋基(A)により互いに架橋している式(I)の化合物であり、その構造は式(II)で表されるものが挙げられる:
CpA(A)CpBMXn (II)
【0065】
式(II)で表されるこれら架橋した化合物は、「架橋したメタロセン」として知られる。構造(II)のCpA、CpB、M、X及びnは、上記で定義されたものと同様であり;それぞれのCpリガンドはMへ化学結合しており、(A)はそれぞれのCpへ化学結合している。本発明を限定するものではない架橋基(A)の例として、炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム及びスズ原子及びそれらの組み合わせの少なくとも1(本発明を限定するものではない)等の少なくとも1の第13〜16族原子を有する炭化水素基が挙げられる。架橋基(A)は又、ハロゲン基及びイオン等の上記(式(I)の)定義と同様の置換基Rを含有してもよい。本発明を限定するものではない架橋基(A)は好ましくはC1〜C6アルキレン、置換されたC1〜C6アルキレン、酸素、イオウ、R’2C=、R’2Si=、−Si(R’)2Si(R’2)−、R’2Ge=、R’P=(但し、「=」は二重結合を表す。)が挙げられる。但し、R’は、独立してヒドリド、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロカルビル、置換されたハロカルビル、ヒドロカルビル置換されたオルガノメタロイド、ハロカルビル置換されたオルガノメタロイド、二置換されたホウ素、二置換された第15族原子、置換された第16族原子、及びハロゲン基の群から選ばれ;2以上のR’は、互いに結合して環又は環式を形成してもよい。例えば、式(II)の架橋したメタロセン触媒成分は、2以上の架橋基(A)を有してもよい。
【0066】
本発明を限定するものではない架橋基(A)の他の例として、メチレン、エチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ジフェニルメチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1,2,2−テトラメチルエチレン、ジメチルシリル、ジエチルシリル、メチル−エチルシリル、トリフルオロメチルブチルシリル、ビス(トリフルオロメチル)シリル、ジ(n−ブチル)シリル、ジ(n−プロピル)シリル、ジ(i−プロピル)シリル、ジ(n−ヘキシル)シリル、ジシクロヘキシルシリル、ジフェニルシリル、シクロヘキシルフェニルシリル、t−ブチルシクロヘキシルシリル、ジ(t−ブチルフェニル)シリル、ジ(p−トリル)シリル及びSi原子がGe又はC原子で置換されている対応成分;並びにジメチルシリル、ジエチルシリル、ジメチルゲルミル及びジエチルゲルミルが挙げられる。
【0067】
又、架橋基(A)は、例えば4〜10、好ましくは5〜7環員を含有する環状でもよい。環構成員は上記の元素、好ましくは1以上のB、C、Si、Ge、N及びOから選ばれてもよい。本発明を限定するものではない架橋成分として又はその一部として存在する環構造の例として、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等の二価の基、並びに1又は2の炭素原子が少なくとも1のSi、Ge、N及びO、好ましくはSi及びGeに置換されている対応する環が挙げられる。環及びCp基の間の結合配置は、シス−、トランス−、又はそれらの組み合わせのいずれでも良い。
【0068】
環状架橋基(A)は飽和又は不飽和でもよく、1以上の置換基を有してもよく、1以上の他の環構造へ縮合していてもよい。存在する場合、上記1以上の置換基は、例えばヒドロカルビル(例えば、メチル等のアルキル)及びハロゲン(例えば、F、Cl)の群から選ばれてもよい。上記環状架橋成分が任意で縮合されてもよい上記1以上のCp基は、飽和又は不飽和でもよく、シクロペンチル、シクロヘキシル及びフェニル等の、例えば4〜10環員を有するもの、好ましくは5、6又は7環員(好ましくはC、N、O及びSの群から選ばれる。)を有するものの群から選ばれる。更に、これら環構造は、例えばナフチル基の場合等、それ自身が縮合されてもよい。更に、これら(任意で縮合した)環構造は1以上の置換基を有してもよい。本発明を限定するものではないこれら置換基の具体的な例は、ヒドロカルビル(特にアルキル)基及びハロゲン原子である。
【0069】
式(I)及び(II)のリガンドCpA及びCpBは、互いに異なっても同一でもよい。
【0070】
又、本発明のメタロセン触媒成分として、架橋したモノリガンドメタロセン化合物(例えば、モノシクロペンタジエニル触媒成分)が挙げられる。この場合、少なくとも1のメタロセン触媒成分は、式(III)により表される架橋した「ハーフサンドイッチ型」メタロセンである:
CpA(A)QMXn (III)
但し、式(III)中に表されたCpA基は、(I)中でCp基として定義されたようにMへ結合した置換又は非置換のリガンドであり;Q基からの原子はMに結合し;(A)はQ及びCpAに結合した架橋基であり;nは0、1又は2の整数である。上記式(III)中、CpA、(A)及びQは縮合環系を形成してもよい。式(III)のX基及びnは、上記と同様である。例えば、CpAはシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、それらの置換体、及びそれらの組み合わせの群から選ばれてもよい。
【0071】
式(III)中、Qは、その中の結合原子(金属Mと結合している原子)は、第15族原子及び第16族原子の群から選ばれ;好ましくは窒素、リン、酸素又はイオウ原子、更に好ましくは窒素及び酸素の群から選ばれる;ヘテロ原子含有リガンドである。本発明を限定するものではないQ基の例として、アルキルアミン、アリールアミン、メルカプト化合物、エトキシ化合物、カルボキシレート(例えば、ピバレート)、カルバメート、及びMと結合可能な、第15族及び第16族原子を含有するその他の化合物が挙げられる。
【0072】
又、本発明の少なくとも1のメタロセン触媒成分は、式(IVa)により表される非架橋の「ハーフサンドイッチ型」メタロセンでもよい:
CpAMQqn (IVa)
但し、CpAは(I)中のCp基と同様に定義され、Mと結合したリガンドであり;それぞれのQは独立してMと結合し;Xは上記記載の脱離基であり;nは0〜3、例えば0又は3であり;qは0〜3、例えば0又は3である。例えば、CpAはシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、それらの置換体、及びそれらの組み合わせの群から選ばれてもよい。
【0073】
式(IVa)中、QはROO-、RO-、R(O)−、−NR−、−CR2−、−S−、−NR2、−CR3、−SR、−SiR3、−PR2、−H、及び置換又は非置換のアリール基の群から選ばれ、RはC1〜C6アルキル、C6〜C12アリール、C1〜C6アルキルアミン、C6〜C12アルキルアリールアミン、C1〜C6アルコキシ、C6〜C12アリールオキシ、等の群から選ばれる。本発明を限定するものではないQの例として、C1〜C12カルバメート、C1〜C12カルボキシレート(例えば、ピバレート)、C2〜C20アリル、及びC2〜C20ヘテロアリル成分が挙げられる。
【0074】
又、別に上記「ハーフサンドイッチ」メタロセンは式(IVb)で表されてもよく、例えば米国特許第6069213号に記載されている:
CpAM(Q2GZ)Xn 又は T(CpAM(Q2GZ)Xnm (IVb)
但し、M、CpA、X及びnは、上記の定義と同様であり;
2GZは多座(polydentate)のリガンドユニット(例えば、ピバレート)を形成し、Q基はMと結合を形成し、次のように定義される。それぞれのQは独立して−O−、−NR−、−CR2及び−S−の群から選ばれ;Gは、炭素又はイオウのいずれかであり;Zは、−OR、−NR2、−CR3、−SR、−SiR3、−PR2、及びヒドリドの群から選ばれる。Qが−NR−の場合、Zは−OR、−NR2、−SR、−SiR3、−PR2の群から選ばれ;それぞれのRは独立してC1〜C10ヘテロ原子含有基、C1〜C10アルキル、C6〜C12アリール、C6〜C12アルキルアリール、C1〜C10アルコキシ、及びC6〜C12アリールオキシの群から選ばれ;
nは好ましくは1又は2であり;
TはC1〜C10アルキレン、C6〜C12アリーレン及びC1〜C10ヘテロ原子含有基、並びにC6〜C12複素環基の群から選ばれる架橋基であり;それぞれのT基は隣接した「CpAM(Q2GZ)Xn」基と架橋してCpA基と化学結合しており:
mは1〜7の整数であり;mは好ましくは2〜6の整数である。
【0075】
本発明の別の例では、少なくとも1のメタロセン触媒成分は、式(V)で表される架橋された複素環リガンド錯体であり:
((ZD)At(YB))qMXn(V)
但し、Mは上記で定義され;YB及びZDは、シクロペンタジエニルとアイソローバル類似な基でありそれぞれMへ結合し;それぞれのXは、存在する場合、上記で定義され;
1以上のB及びDは、例えば第13族〜第16族元素から選ばれるヘテロ原子であり;好ましくは窒素、酸素、イオウ、リン及びホウ素から選ばれ;B及びDは同一又は異なり;
YはBを含有し、Yは例えば2〜40非水素原子、好ましくは2〜20炭素原子を有する環状基であり;YBは置換されてもよく;
ZはDを含有し、Zは例えば2〜40非水素原子、好ましくは2〜20炭素原子を有する環状基であり;ZDは置換されてもよく;
tは0又は1であり;例えばtが1であれば、式(II)中のAは少なくとも1のZD又はYBへ結合した架橋基であり;
qは1又は2であり;nは0〜4の整数であり;式(V)中の他の全ての基は、(I)及び(II)中に上記定義されたものである。
【0076】
式(V)のZD及びYBは例えば、シクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、それぞれの置換誘導体、及びそれらの組み合わせの、酸素、イオウ、リン及び窒素複素環誘導体から選ばれる。
【0077】
又、本発明の少なくとも1のメタロセン触媒成分は、特に構造(VIa)、(VIb)、(VIc)及び(VId)で示されるように、式(I)〜(V)の態様で表されることができる:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

但し、Mは上記と同様であり;
(VIa−i)及び(VIa−ii)中のQは、ハロゲンイオン、アルキル、アルキレン、アリール、アリーレン、アルコキシ、アリールオキシ、アミン、アルキルアミン、ホスフィン、アルキルホスフィン、置換されたアルキル、置換されたアリール、置換されたアルコキシ、置換されたアリールオキシ、置換されたアミン、置換されたアルキルアミン、置換されたホスフィン、置換されたアルキルホスフィン、カルバメート、ヘテロアリル、カルボキシレート(本発明を限定するものではない適切な例として、トリメチルアセテート、ジメチルアセテート、メチルアセテート、p−トルエート、ベンゾエート、ジエチルカルバメート、及びジメチルカルバメート等のカルバメート及びカルボキシレート)、フッ素化アルキル、フッ素化アリール、並びにフッ素化アルキルカルボキシレートの群から選ばれ;
qは1〜3の整数であり;
それぞれのR*は独立して:例えばヒドロカルビル及びヘテロ原子含有ヒドロカルビルから選ばれ;好ましくはアルキレン、置換されたアルキレン及びヘテロ原子含有ヒドロカルビルの群から選ばれ;更に好ましくはC1〜C12アルキレン、C1〜C12置換されたアルキレン、及びC1〜C12ヘテロ原子含有炭化水素の群から選ばれ;特に好ましくはC1〜C4アルキレンの群から選ばれ;本発明の別の好ましい例では、構造(VIb−d)中の両方のR*基は同一でもよい;
Aは、上記記載の構造(II)中の(A)と同様であり、好ましくは−O−、−S−、−SO2−、−NR−、=SiR2、=GeR2、=SnR2、−R2SiSiR2−、RP=、C1〜C12アルキレン、置換されたC1〜C12アルキレン、2価のC4〜C12環状炭化水素及び置換又は非置換のアリール基から選ばれ;更に好ましくはC5〜C8環状炭化水素、−CH2CH2−、=CR2及び=SiR2の群から選ばれ;Rは例えばアルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、フルオロアルキル及びヘテロ原子含有炭化水素の群から選ばれ;Rは好ましくはC1〜C6アルキル、置換されたフェニル、フェニル、及びC1〜C6アルコキシの群から選ばれ;Rは更に好ましくはメトキシ、メチル、フェノキシ、及びフェニルの群から選ばれ;
Aは存在しなくてもよく、その場合それぞれのR*はR1〜R10と同様に定義され;
それぞれのXは独立して上記脱離基のいずれかから選ばれ;
nは0〜4の整数であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1又は2であり;
1〜R10は独立して:例えば、水素基、ハロゲン基、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12フルオロアルキル、C6〜C12フルオロアリール、及びC1〜C12ヘテロ原子含有炭化水素及びそれらの置換誘導体の群から選ばれ;好ましくは、水素基、フッ素基、塩素基、臭素基、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C7〜C18アルキルアリール、C1〜C6フルオロアルキル、C2〜C6フルオロアルケニル、C7〜C18フルオロアルキルアリールの群から選ばれ;更に好ましくは水素基、フッ素基、塩素基、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ヘキシル、フェニル、2,6−ジ−メチルフェニル、及び4−tert−ブチルフェニル基の群から選ばれ;隣接したR基は環を形成してもよく、飽和、部分飽和、又は完全飽和のいずれでもよい。
【0078】
(VIa−i)及び(VIa−ii)により表されるメタロセン触媒成分の構造は、例えば、米国特許第6248912号、第5026798号、第5703187号、及び第5747406号に記載されているような多くの形状をとることができ、例えば、米国特許第5026798号及び米国特許第6069213号に記載されているような二量体又はオリゴマー性構造が挙げられる。
【0079】
好ましくは(VId)中に表されるメタロセンのR1及びR2は、置換又は非置換の共役した6員の炭素環式(即ち、フルオレニルを形成する)を形成する。
【0080】
本発明を限定するものではないメタロセン触媒成分の例が下記に記載される:
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
(インデニル)ジルコニウムXn
(1−メチルインデニル)ジルコニウムXn
(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
(1−プロピルインデニル)ジルコニウムXn
(2−プロピルインデニル)ジルコニウムXn
(1−ブチルインデニル)ジルコニウムXn
(2−ブチルインデニル)ジルコニウムXn
(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムXn
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ペンタメチルシクロペンタジエニルチタンXn
テトラメチルシクロペンタジエニルチタンXn
1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニルジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2,3−トリメチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2−ジメチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチル−シクロペンタジエニル)(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(2−メチルインデニル)(フルオレニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリル(1,2,3,4−テトラメチル−シクロペンタジエニル)(3−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルゲルミル(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(3−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチル−シクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムXn
iso−プロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
iso−プロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
iso−プロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
メソ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−プロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−ブチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−イソブチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
ジフェニル(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(1−インデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(2−プロピルインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(2−ブチルインデニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリルビス(2−プロピルインデニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリルビス(2−ブチルインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルゲルミルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(N−tert−ブチルアミド)チタンXn
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−ドデシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(iso−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(iso−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−エチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−プロピル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−イソブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−プロピル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1,3−ジ−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムXn
ビス(インデニル)ジルコニウムXn
ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
シクロペンタジエニルインデニルジルコニウムXn
ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
(n−プロピルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス[(2−トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムXn
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス(2−n−プロピルインデニル)ハフニウムXn
ビス(2−n−ブチルインデニル)ハフニウムXn
ジメチルシリルビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス(9−n−プロピルフルオレニル)ハフニウムXn
ビス(9−n−ブチルフルオレニル)ハフニウムXn
(9−n−プロピルフルオレニル)(2−n−プロピルインデニル)ハフニウムXn
ビス(1−n−プロピル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
(n−プロピルシクロペンタジエニル)(1−n−プロピル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロプロピルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロブチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘプチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロオクチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロノニルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロデシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロウンデシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(sec−ブチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロプロピルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロブチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘプチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロオクチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロノニルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロデシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロウンデシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(sec−ブチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロプロピルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロブチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘプチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロオクチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロノニルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロデシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロウンデシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(sec−ブチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンXn、及びそれらの誘導体、及びそれらの混合物。
【0081】
「それらの誘導体」は、例えば構造(VIa−d)で上記記載の通り置換され又は環形成されたもの;好ましくは金属(Zr、Ti又はHf)をZr、Hf及びTiから選ばれる原子で置換したもの;更に好ましくは「X」基を上記記載の他の基で置換したもの;を意味する。
【0082】
更に好ましくは、本発明を限定するものではない、本発明の方法で製造されるフッ素化された触媒成分の例として下記が挙げられる:
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(ネオペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(シクロペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(シクロヘキシルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(アリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス((3−ブテニル)シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(トリメチルゲルミルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(トリメチルシリルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,3−メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,3−メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,3−メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,3−メチルフェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(ベンジルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1,3−メチルベンジルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(フェネチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス((3−フェニルプロピル)シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
(テトラメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(シクロペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(1,3−メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(プロピルテトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(ブチルテトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(シクロペンチルテトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(インデニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(1−メチルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(フルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(テトラヒドロフルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
シクロペンタジエニル(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(トリヒドロペンタレニル(pentalenyl)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(ペンタヒドロアズレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1−メチルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1−フェニルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(2−フェニルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(1−メチルフルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(3−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(2−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル)フェニルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジフルオライド、
シラシクロブチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジフルオライド、
シラシクロペンチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジフルオライド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフルオライド、
エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジフルオライド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジフェニルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
エチレンビス(フルオレニル)ジルコニウムジフルオライド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(ネオペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(シクロペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(アリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス((3−ブテニル)シクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(シクロヘキシルメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(トリメチルシリルメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス((3−フェニルプロピル)シクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(1,3−メチルブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(1,3−メチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
エチレンビス(インデニル)ハフニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(3−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(2,4−メチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジフルオライド、
ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジフルオライド、
ジフェニルシリルビス(インデニル)ハフニウムジフルオライド、
ビス(シクロペンタジエニル)チタンジフルオライド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタンジフルオライド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)チタンジフルオライド、
ビス(プロピルシクロペンタジエニル)チタンジフルオライド、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)チタンジフルオライド、
ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)チタンジフルオライド、
ビス(ネオペンチルシクロペンタジエニル)チタンジフルオライド、
ビス(シクロペンチルシクロペンタジエニル)チタンジフルオライド、
エチレンビス(インデニル)チタンジフルオライド、
ジメチルシリルビス(インデニル)チタンジフルオライド、
ジフェニルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジフルオライド、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(インデニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(1−メチルインデニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(2−メチルインデニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(1−プロピルインデニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(2−プロピルインデニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(1−ブチルインデニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(2−ブチルインデニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフルオライド、
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリフルオライド、
ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリフルオライド、
テトラメチルシクロペンチルジエニルチタントリフルオライド、
1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリフルオライド、及びそれらの混合物。
【0083】
上記記載のメタロセン触媒成分には、その構造的、光学的、又はエナンチオマー異性体(ラセミ混合物)が含まれ、例えば、純粋なエナンチオマーでもよいのは当然である。
【0084】
ここで使用される、単一の、架橋した、非対称的に置換されたメタロセン触媒成分(ラセミ体及び/又はメソ異性体を含む。)は、それ自身、少なくとも2の異なる架橋したメタロセン触媒成分を構成しない。
【0085】
本発明で使用できる「メタロセン触媒成分」は、ここで記載されるいずれの「態様」の組み合わせをも含むものである。
【0086】
活性化剤
活性化剤は、本発明のフッ素化されたメタロセン触媒成分を含む触媒系と共に存在する。ここで使用される「活性化剤」は、シングルサイト触媒化合物(例えば、メタロセン)を活性化でき、例えば触媒成分からカチオン種を生成できる、担持又は非担持の化合物単体又は混合物を言う。具体的には、(活性化は)触媒成分の金属中心から少なくとも1の脱離基(上記式/構造中のX基)を引き抜くことを含む。従って、本発明の触媒成分は、これら活性化剤を使用してオレフィン重合用に活性化される。これら活性化剤の例として、環状又はオリゴマー性ポリ(ヒドロカルビルアルミニウムオキシド)等のルイス酸及びいわゆる非配位のイオン性活性化剤(NCA)(又は「イオン化活性化剤」若しくは「化学量論活性化剤」)、又は中性メタロセン触媒成分をオレフィン重合に関して活性なメタロセンカチオンへ変換できる他の化合物が挙げられる。
【0087】
更に好ましくは、アルモキサン(例えば、「MAO」)、改質アルモキサン(例えば、「TIBAO」)、及びアルキルアルミニウム化合物等のルイス酸を活性化剤として使用し、並びに/又はトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素及び/若しくはトリスパーフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体等のイオン化活性化剤(中性又はイオン性)として使用して、ここで記載する目的のメタロセンを活性化することも本発明の範囲内である。MAO及び他のアルミニウム−ベースの活性化剤は当分野で公知である。イオン化活性化剤は当分野で公知であり、例えばEugene You-Xian Chen & Tobin J. Marks, Cocatalysts for Metal-Catalyzed Olefin Polymerization: Activators, Activation Processes, and Sturucture-Activity Relationships 100(4) CHEMICAL Reviews 1391-1434 (2000)に記載されている。活性化剤は、Gregory G. Hlatky, Heterogeneous Single-Site Catalysts for Olefin Polymerization 100(4) CHEMICAL Reviews 1347-1374 (2000)に記載されているように、サポートにゆるく結合しても、結合してもよく、触媒成分(例えばメタロセン)とゆるく結合しても触媒成分と分離していてもよい。
【0088】
本発明の方法で使用される触媒前駆体化合物用活性化剤として使用できるアルミニウムアルキル化合物の、本発明を限定するものではない例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が挙げられる。
【0089】
中性イオン化活性化剤の例として、第13族三置換化合物、特に、三置換ホウ素、アルミニウム、テルル、アルミニウム、ガリウム及びインジウム化合物、及びそれらの混合物が挙げられる。例えば3個の置換基は、それぞれ独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、置換されたアルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシ及びハライドから選ばれる。好ましくは3個の基は、独立してハロゲン、モノ−又は多環状(ハロ置換を含む)アリール、アルキル、及びアルケニル化合物並びにそれらの混合物から選ばれる。更に好ましくは3個の基は、1〜20炭素原子を有するアルケニル基、1〜20炭素原子を有するアルキル基、1〜20炭素原子を有するアルコキシ基及び3〜20炭素原子を有するアリール基(置換されたアリールを含む)、並びにそれらの組み合わせから選ばれる。更に好ましくは3個の基は、1〜4炭素原子を有するアルキル、フェニル、ナフチル及びそれらの混合物から選ばれる。特に好ましくは3個の基は、高度にハロゲン化された1〜4炭素原子を有するアルキル、高度にハロゲン化されたフェニル、及び高度にハロゲン化されたナフチル並びにそれらの混合物から選ばれる。「高度にハロゲン化された」は、少なくとも50%の水素がフッ素、塩素及び臭素から選ばれるハロゲン基で置換されることを意味する。別の例では、中性化学量論活性化剤は、高度にフッ素化されたアリール基、即ち高度にフッ素化されたフェニル及び高度にフッ素化されたナフチル基である基を含有する三置換第13族化合物である。
【0090】
又、中性三置換第13族化合物は、トリスパーフルオロフェニルホウ素、トリスパーフルオロナフチルホウ素、トリス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素、トリス(ジ−t−ブチルメチルシリル)パーフルオロフェニルホウ素、及び他の高度にフッ素化トリスアリールホウ素化合物並びにそれらの組み合わせ、並びに、そのアルミニウムに関する対応物(例えば、トリスパーフルオロフェニルアルミニウム)等のホウ素化合物である。他の適切な中性イオン化活性化剤は、米国特許第6399532B1及び第6268445B1号、並びに19 ORGANOMETALLICS 3332-3337(2000)及び17 ORGANOMETALLICS 3996-4003(1998)に記載されている。
【0091】
具体的に、本発明を限定するものではないイオン性イオン化活性化剤例として;トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリ−フルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素等のトリアルキル−置換アンモニウム塩;N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素等のN,N−ジアルキルアニリニウム塩;ジ−(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素等のジアルキルアンモニウム塩;及びトリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素等のトリアリールホスホニウム塩;並びにそれらのアルミニウムに関する対応物;が挙げられる。
【0092】
本発明の活性化剤の別の例では、アルキルアルミニウムが複素環式化合物と組み合わせて使用できる。複素環式化合物の環は、例えば少なくとも1の窒素、酸素、及び/又はイオウ原子を含み、好ましくは少なくとも1の窒素原子を含む。複素環式化合物は、例えば4以上の環員、好ましくは5以上の環員を含むことができる。
【0093】
アルキルアルミニウムと共に活性化剤として用いるための複素環式化合物は、置換されていなくてもよく、1個の置換基で若しくは複数の置換基の組み合わせで置換されていてもよい。好適な置換基の例として、ハロゲン、アルキル、アルケニル若しくはアルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリール置換されたアルキル基、アシル基、アロイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル−若しくはジアルキル−カルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アロイルアミノ基、直鎖状、分岐状若しくは環状アルキレン基又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。置換基も又、ハロゲン、特にフッ素若しくは臭素、又はへテロ原子等で置換されていてもよい。
【0094】
本発明を限定するものではない炭化水素置換基の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニル基等(それらの全ての異性体、例えばt−ブチル、イソプロピル等を含む)が包含される。置換基のその他の例には、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル又はクロロベンジルが挙げられる。
【0095】
例えば、前記複素環式化合物は非置換である。別の具体例においては、複素環式化合物上の1つ以上の部位がハロゲン原子又はハロゲン原子含有基、例えばハロゲン化アリール基で置換されていてもよい。好ましくは、このハロゲンは塩素、臭素及びフッ素から選ばれ、更に好ましくはフッ素及び臭素から選ばれ、最も好ましくはハロゲンはフッ素である。
【0096】
本発明を限定するものではない、本発明の活性化剤に使用される複素環式化合物の例として非置換又は置換の、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピロリン、ピロリジン、プリン、カルバゾール及びインドール、フェニルインドール、フェニルインドール、2,5−ジメチルピロール、3−ペンタフルオロフェニルピロール、4,5,6,7−テトラフルオロインドール又は3,4−ジフルオロピロールが挙げられる。
【0097】
例えば、上記複素環式化合物をアルキルアルミニウム又はアルモキサンと一緒にすることによって、触媒成分(例えばメタロセン)と反応した際に活性重合触媒を生成する活性化剤化合物が得られる。本発明を限定するものではないアルキルアルミニウムの例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ-iso-オクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0098】
その他の活性化剤には、トリス(2,2’,2”−ノナフルオロビフェニル)フルオロアルミネートのような国際公開WO98/07515号に記載されたものが挙げられる。又、活性化剤の組み合わせ、例えばアルモキサンとイオン化活性化剤との組み合わせも、本発明の範囲内である。その他の活性化剤には、アルミニウム/ホウ素錯体、過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩及びヨウ素酸塩(それらの水和物を含む);リチウム(2,2’−ビスフェニル−ジトリメチルシリケート)−4THF;シリリウム塩が適合性の非配位アニオンと組み合わされたものが挙げられる。又、中性メタロセン型触媒化合物又は前駆体をオレフィンを重合させることができるメタロセン型カチオンにするための活性化方法として、放射線や電気化学的酸化等を用いた活性化方法も本発明の範囲内である。メタロセン型触媒化合物を活性化するためのその他の活性化剤や方法は、例えば米国特許第5849852号、同第5859653号及び同第5869723号並びに国際公開WO98/32775号に記載されている。
【0099】
一般的に、活性化剤及び触媒成分は、活性化剤対触媒成分のモル比を、例えば1000:1〜0.1:1、好ましくは300:1〜1:1、更に好ましくは150:1〜1:1、更に好ましくは50:1〜1:1、特に好ましくは10:1〜0.5:1、最も好ましくは3:1〜0.3:1にして、組み合わされる。ここで、望ましい範囲は、ここに記載された任意の上限モル比と任意の下限モル比との任意の組み合わせを含むことができる。活性化剤が環状又はオリゴマー状ポリ(ヒドロカルビルアルミニウムオキシド)(例えば「MAO」)である場合には、活性化剤対触媒成分のモル比は、例えば2:1〜100000:1の範囲、好ましくは10:1〜10000:1、更に好ましくは50:1〜2000:1である。活性化剤が中性又はイオン性イオン化活性化剤、例えばホウ素アルキル及びホウ素アルキルのイオン性塩(例えば、トリスパーフルオロフェニルアルミニウム、トリスパーフルオロフェニルホウ素、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素化合物のアンモニウム及びカルビル塩)である場合には、活性化剤対触媒成分のモル比は、例えば0.5:1〜10:1の範囲、好ましくは1:1〜5:1である。
【0100】
サポート
又、本発明の触媒系の一部としてサポートを存在させることもできる。メタロセンのようなシングルサイト触媒用のサポート、サポートの担持方法、変性方法及び活性化方法は、例えば1 METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS 173-218(J. Scheirs及びW. Kaminsky編集、John Wiley and Sons社、2000)に記載されている。ここで使用される「サポート」又は「キャリヤー」は同義で用いられ、任意のサポート材料、好ましくは多孔質サポート材料を言い、無機サポート材料も有機サポート材料も含まれる。本発明を限定するものではないサポート材料として、無機酸化物及び無機塩化物、特にタルク、クレー、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化鉄、ボリア、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、トリア、リン酸アルミニウムゲル;ポリ塩化ビニル及び非官能化ポリスチレン及び置換ポリスチレンのようなポリマー;ポリスチレン ジビニルベンゼン ポリオレフィン又はポリマー化合物のような官能化又は架橋有機サポート;及びそれらの混合物;グラファイト;並びに上記の種々の変形体が挙げられる。
【0101】
サポートは多くの方法で触媒系の他の成分と接触させることができる。例えば、サポートと活性化剤とを接触させて、サポートと活性化剤との間のゆるい結合または「結合した活性化剤」を形成させる。又、触媒成分とサポートとを接触させて「結合した触媒成分」を形成させてもよい。更に別の具体例においては、サポートを活性化剤及び触媒成分を一緒にしたものと接触させることもでき、それぞれに任意の順序で部分的に接触させることもできる。これらの成分は、溶液法、スラリー法若しくは固体法又はそれらの内のいくつかの組み合わせのような任意の好適な手段で接触させることができ、接触の際には25℃~250℃に加熱されてもよい。
【0102】
望ましいキャリヤーは無機酸化物であり、例えば第2、3、4、5、13及び14族酸化物及び塩化物が挙げられる。好ましくはサポート材料は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、塩化マグネシウム、グラファイト及びそれらの混合物が挙げられる。その他の有用なサポートには、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト(欧州特許第0511665B1号公報)、フィロシリケート等が挙げられる。又、これらのサポート材料の組み合わせ、例えばシリカ−クロム、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア等を用いることもできる。追加のサポート材料には、欧州特許第0767184B1号公報に記載された多孔質アクリルポリマーが挙げられる。
【0103】
本発明で使用できるサポートは例えば、サポートは10〜700m2/gの範囲の表面積、0.1〜4.0cm3/gの範囲の細孔容積及び5〜500μmの範囲の平均粒子径を有する。好ましくは、キャリヤーの表面積が50〜500m2/gの範囲であり、細孔容積が0.5〜3.5cm3/gの範囲であり、平均粒子径が10〜200μmの範囲である。更に好ましくは、キャリヤーの表面積が100〜400m2/gの範囲であり、細孔容積が0.8〜3.0cm3/gであり、平均粒子径5〜100μmである。本発明のキャリヤーの平均孔寸法は、例えば10〜1000Åの範囲、好ましくは50〜500Åの範囲、更に好ましくは75〜350Åの範囲である。
【0104】
サポートとして例えば、グラファイトをサポートとして用いる。又、グラファイトは粉末でもよい。更に又、グラファイトはフレークグラファイトでもよい。例えば、グラファイトは1〜500ミクロン、好ましくは1〜400ミクロン、更に好ましくは1〜200ミクロン、最も好ましくは1〜100ミクロンの粒子径を有する。
【0105】
サポート、特に無機サポート又はグラファイトサポートは、例えばハロゲン化プロセスやその他の好適なプロセス(例えば化学結合、イオン性相互作用又はその他の物理的若しくは化学的相互作用によってサポートに化学種をゆるく結合させるもの)によって、前処理してもよい。目的の化学種の例として、アルキル、アルキルアミン、メルカプト化合物及びハロゲン(F、Cl、Br)が挙げられる。例えば、サポートをフッ素化する。サポートにフッ素を提供するのに好適なフッ素化合物は、無機フッ素含有化合物であるのが望ましい。かかる無機フッ素含有化合物は、炭素原子を含有してさえいなければ、任意のフッ素原子含有化合物であってよい。特に望ましいのは、NH4BF4、(NH42SiF6、NH4PF6、NH4F、(NH42TaF7、NH4NbF4、(NH42GeF6、(NH42SmF6、(NH42TiF6、(NH42ZrF6、MoF6、ReF6、GaF3、SO2ClF、F2、SiF4、SF6、ClF3、ClF5、BrF5、IF7、NF3、HF、BF3、NHF2及びNH4HF2より成る群から選択される無機フッ素含有化合物である。
【0106】
フッ素化合物によるサポートの処理方法は、好ましくはサポート1g当たり0.01〜10.0Fミリモルの濃度、更に好ましくはサポート1g当たり0.05〜6.0Fミリモルの範囲の濃度、最も好ましくはサポート1g当たり0.1〜3.0Fミリモルの範囲の濃度で単純にブレンドすることによって、これら2種の成分を乾式混合する。フッ素化合物は、サポートの脱水又はか焼用容器に導入する前又は後にサポートと乾式混合することができる。従って、サポート上に存在するフッ素濃度は、例えばサポートの0.2〜5重量%、好ましくは0.6〜3.5重量%の範囲である。
【0107】
フッ素化合物によるサポートの別の処理方法では、フッ素を水のような溶媒中に溶解させ、次いでこのフッ素含有溶液にサポートを(上記濃度範囲で)接触させる。水を用い且つシリカがサポートである場合には、サポートの全細孔容積未満の水の量を用いるのが望ましい。サポートと例えばフッ素化合物とは、乾式混合又はスラリー混合のような任意の好適な手段で、例えば100℃〜1000℃、好ましくは200℃〜800℃、更に好ましくは300℃〜600℃の温度で接触するのが望ましい。いずれの場合にも接触を2〜8時間行う。
【0108】
又、サポートの脱水又はか焼を、実施してもよく、実施しなくてもよい。例えば、フッ素又はその他のサポート変性用化合物との反応に先立ってサポートをか焼してもよい。又、サポートをか焼し、更に変性なしで用いるか、又はか焼した後に1以上の活性化剤及び/若しくは触媒成分と接触させてもよい。適切なか焼温度は、例えば100℃〜1000℃の範囲、好ましくは300℃〜900℃、更に好ましくは400℃〜850℃である。か焼は、例えば乾燥窒素の雰囲気を用いることによって、酸素及び湿分の不在下で行なう。
【0109】
1を超える触媒成分をサポートと同時接触(又は共固定化)することも、本発明の範囲内である。本発明を限定するものではない触媒成分の共固定化として、2以上の同一の又は異なるメタロセン触媒成分、1以上のメタロセンとチーグラー・ナッタ型触媒、1以上のメタロセンとクロム又は「フィリップス」型触媒、1以上のメタロセンと第15族含有触媒(例えば、米国特許第6300438B1号のジルコニウムビス-アミド化合物)、及びこれらの組み合わせのいずれかと1以上の活性化剤が挙げられる。好ましくは、共担持される組み合わせとして、メタロセンA/メタロセンA、メタロセンA/メタロセンB、メタロセン/チーグラー・ナッタ、メタロセン/第15族含有触媒、メタロセン/クロム触媒、メタロセン/チーグラー・ナッタ/第15族含有触媒、メタロセン/クロム触媒/第15族含有触媒、これらのいずれかと活性化剤、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0110】
更に、本発明の触媒系は、任意の数の方法での、担持された又は担持されていない活性化剤と触媒成分との任意の組み合わせを含むことができる。例えば、触媒成分は、メタロセン及び/又は第15族含有触媒成分の一方又は両方を含むことができ、任意の活性化剤の組み合わせを含むことができ、それらはいずれも、ここで記載する任意の数のサポートで担持されていてもよい。本発明を限定するものではない有用な触媒系の例として、MN+NCA;MN:S+NCA;NCA:S+MN;MN:NCA:S;MN+AlA;MN:S+AlA;AlA:S+MN;MN:AlA:S;AlA:S+NCA+MN;NCA:S+MN+AlA;G15+NCA;G15:S+NCA;NCA:S+G15;G15:NCA:S;G15+AlA;G15:S+AlA;AlA:S+G15;G15:AlA:S;AlA:S+NCA+G15;NCA:S+G15+AlA;MN+NCA+G15;MN:S+NCA+G15;NCA:S+MN+G15;MN:NCA:S+G15;MN+G15+AlA;MN:S+AlA+G15;AlA:S+MN+G15;MN:AlA:S+G15;AlA:S+NCA+MN+G15;NCA:S+MN+AlA+G15;MN+NCA;G15:MN:S+NCA;G15:NCA:S+MN;G15:MN:NCA:S;G15:MN:S+AlA;G15:AlA:S+MN;G15:MN:AlA:S;G15:AlA:S+NCA+MN;G15:NCA:S+MN+AlAが挙げられ、ここで、「MN」はメタロセン成分、「NCA」は上記記載のイオン性及び中性ホウ素及びアルミニウムベース化合物を含む非配位活性化剤であり、「AlA」はアルミニウムアルキル及び/又はアルモキサンベース活性化剤であり、「G15」は上記記載の第15族含有触媒成分であり、「S」はサポートであり、「S」と共に用いられる「:」は「:」の次の基が前処理及びその他の当技術分野において公知の技術によってサポートにゆるく結合している(担持されている)ことを意味し、「+」印は追加成分がサポートに直接結合せずにサポート及びサポートに結合した種と一緒に存在する(例えばスラリー法、溶液法、気相法又はその他の方法で存在する)ことを意味するが、サポート及び/又は担持された種との物理化学的相互作用を何ら持たない種に限定されるものではない。従って、例えば「MN:NCA:S+G15」は、メタロセン及びNCA活性化剤がサポートに結合し、例えば気相重合において第15族含有触媒成分と一緒に存在することを意味する。
【0111】
重合プロセス
ポリオレフィンの製造の触媒作用に使用できる触媒系は、ここで記載する少なくとも1のフッ素化された触媒成分及び少なくとも1の活性化剤を含有する。本発明の触媒系は、広い範囲の温度及び圧力並びに他の条件下でオレフィン予備重合及び/又は重合プロセスに使用するために適切である。適切な重合プロセスとして、溶液、気相、スラリー相及び高圧プロセス又はそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、少なくとも1種はエチレン又はプロピレンである1以上のオレフィンの、気相又はスラリー相重合である。
【0112】
重合が行われる温度は、例えば−60℃〜280℃の範囲、好ましくは50℃〜200℃であり、使用される圧力は、1気圧〜500気圧以上の範囲である。
【0113】
例えば、本発明のプロセスは、2〜30炭素原子、好ましくは2〜12炭素原子、更に好ましくは2〜8炭素原子を有する1以上のオレフィンモノマーの、溶液、高圧、スラリー又は気相重合プロセスでもよい。本発明は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1及びデセン−1から選ばれる2以上のオレフィンモノマーの重合に特に適する。
【0114】
本発明のプロセスで使用できる他のモノマーとして、エチレン性不飽和モノマー、4〜18炭素原子を有するジオレフィン、共役又は非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー及び環式オレフィンが挙げられる。本発明を限定するものではない本発明で使用できるモノマーとしてノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換されたスチレン、エチリデン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン及びシクロペンテンが挙げられる。
【0115】
本発明のプロセスでは好ましくは、エチレン由来ユニットのコポリマーが気相プロセスで製造され、コモノマーは例えば4〜15炭素原子、好ましくは4〜12炭素原子、最も好ましくは4〜8炭素原子を有するα−オレフィンである。
【0116】
又本発明のプロセスでは、エチレン又はプロピレンが、少なくとも2の異なるコモノマー(それらの1つはジエンでもよい。)と共に重合されターポリマーを形成してもよい。
【0117】
ポリエチレン又はポリプロピレンの製造では、コモノマーが重合反応器中に存在してもよい。(コモノマーが)存在する場合、コモノマーは製造された樹脂中へコモノマーを目的の重量割合で組み込むように、エチレン又はプロピレンモノマーと任意のレベルで存在してもよい。ポリエチレン製造では例えば、コモノマーは、エチレンとモル比0.0001(コモノマー:エチレン)〜50、好ましくは0.0001〜5、更に好ましくは0.0005〜1.0、最も好ましくは0.001〜0.5の範囲で存在する。絶対値として、ポリエチレン製造に置いて、重合反応器中に存在するエチレン量は、例えば1000気圧まで、好ましくは500気圧まで、更に好ましくは200気圧まで、特に好ましくは100気圧まで、最も好ましくは50気圧までである。
【0118】
水素ガスは、ポリオレフィンの最終物性を制御するためにしばしばオレフィン重合中に使用され、例えばPOLYPROPYLENE HANDBOOK 76-78(Hanser Publishers、1996)に記載されている。本発明の触媒系の使用において、水素の濃度(分圧)増加は、製造されたポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)及び/又はメルトインデックス(MI)を増加させることが知られている。従ってMFR又はMIは、水素濃度により影響される。重合中の水素量は、重合可能な全モノマー、例えば、エチレン、又はエチレン及びヘキサン若しくはプロペンのブレンドを基準としたモル比として表される。本発明の重合プロセス中に使用される水素量は、最終ポリオレフィン樹脂の目的とするMFR又はMIを達成するために必要な量である。例えば、水素のモノマー合計に対するモル比(H2:モノマー)は、例えば0.0001を超え、好ましくは0.0005を超え、更に好ましくは0.001を超え、一方、例えば10未満、好ましくは5未満、更に好ましくは3未満、最も好ましくは0.10未満の範囲であり、望ましい範囲は、ここに記載された任意の上限モル比と任意の下限モル比との任意の組み合わせを含むことができる。又、反応器中の水素量はいつでも、例えば5000ppm未満、好ましくは4000ppm未満、更に好ましくは3000ppm未満、特に好ましくは50ppm〜5000ppm、最も好ましくは500ppm〜2000ppmの範囲である。
【0119】
又本発明は、好ましくは気相又はスラリー相プロセスでの重合プロセスを目的とし、プロピレン単独の重合、又は、プロピレン並びにエチレン及び/若しくは4〜12炭素原子を有する他のオレフィンを含む1以上の他のモノマーの重合をも目的とする。ポリプロピレンポリマーは、例えば米国特許第6143686号、6143911号、5296434号及び5278264号に記載されているような適切な架橋メタロセン型触媒を使用して製造できる。
【0120】
典型的には、気相重合法においては、連続サイクルが採用され、反応器系のサイクルの1つの部分において循環気体流(再循環流又は流動化用媒体とも称される)が反応器内で重合熱によって加熱される。この熱は、サイクルの別の部分において反応器外部の冷却系によって再循環組成物から取り除かれる。一般的に、ポリマー製造用気体流動床プロセスにおいては、1以上のモノマーを含有する気体流が触媒の存在下で反応性条件下で流動床中に連続的に循環される。この気体流は、流動床から取り出され、反応器に再循環されて戻される。同時に、ポリマー生成物が反応器から取り出され、重合したモノマーに代えて新たなモノマーが添加される。
【0121】
更に、2以上の反応器を直列に使用する段階的反応器を使用することも通常行われており、その場合1の反応器が例えば高分子量成分を製造し、別の反応器は低分子量成分を製造してもよい。例えば本発明で、ポリオレフィンは、段階的気相反応器を使用して製造される。上記及び他の商業的重合システムは、例えば2 METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS 366-378(John Scheirs & W.Kaminsky,eds.JohnWiley&Sons,Ltd.2000)に記載されている。又本発明の気相プロセスとして、米国特許第5627242号、5665818号及び5677375号;並びに欧州特許出願公開第EP−A−0794200号、EP−B1−0649992号、EP−A−0802202号及びEP−B−634421号に記載されたものが挙げられる。
【0122】
気相プロセス中の1以上の反応器圧力は(それらの1の段階又は2以上の段階で)、100psig(690kPa)〜500psig(3448kPa)、好ましくは200psig(1379kPa)〜400psig(2759kPa)、更に好ましくは250psig(1724kPa)〜350psig(2414kPa)の範囲で変化できる。
【0123】
気相プロセス中の1以上の反応器温度は、30℃〜120℃、好ましくは60℃〜115℃、更に好ましくは70℃〜110℃、最も好ましくは70℃〜95℃の範囲で変化できる。この特許明細書及びその請求の範囲において、「重合温度」及び「反応器温度」は区別せずに使用される。
【0124】
例えば、本発明の触媒系で使用される気相反応器で製造できるのは、1時間当りポリマー500lbs(227Kg/hr)〜200000lbs/hr(90900Kg/hr)のポリマー、好ましくは1000lbs/hr(455Kg/hr)を超え、更に好ましくは10000lbs/hr(4540Kg/hr)を超え、更に好ましくは25000lbs/hr(11300Kg/hr)を超え、更に好ましくは35000lbs/hr(15900Kg/hr)を超え、更に好ましくは50000lbs/hr(22700Kg/hr)を超え、最も好ましくは65000lbs/hr(29000Kg/hr)を超え100000lbs/hr(45500Kg/hr)を超えるまでの範囲である。
【0125】
スラリー重合プロセスで通常使用する圧力は、1〜50気圧又はそれ以上であり、温度は0〜120℃である。又、スラリープロセス温度は100℃以上である。スラリー重合、固体の懸濁重合では、粒状のポリマーが液体重合希釈剤媒体中で形成され、上記媒体にはエチレン及びコモノマー、しばしば水素が触媒と共に添加される。希釈剤を含む懸濁液は、断続的に又は連続式に反応器から除去され、揮発性成分がポリマーから分離され、任意で蒸留された後に反応器へリサイクルされる。重合媒体に使用される液体希釈剤は、一般的に3〜7炭素原子を有するアルカン、好ましくは分岐状アルカンである。使用される媒体は、重合条件下で液体であり、比較的不活性でなければならない。プロパン媒体が使用される場合、プロセスは、反応希釈剤の臨界温度及び圧力を超えて行なわなければならない。好ましくはヘキサン又はイソブタン媒体が使用される。
【0126】
本発明の重合技術は、粒状重合又は、ポリマーが溶液になる温度以下に反応温度を保つスラリープロセスでもよい。他のスラリープロセスとして、ループ反応器を使用するもの及び複数の攪拌反応器を直列、平列又はそれらの組み合わせで使用するものが挙げられる。本発明を限定するものではない。スラリープロセスの例として、連続ループ又は攪拌タンクプロセスが挙げられる。又、他のスラリープロセス例は米国特許第4613484号及び「2 METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS」322-332(2000)に記載されている。
【0127】
例えば本発明の触媒系を使用するスラリー反応器で製造できるのは、1時間当りポリマー2000lbs(907Kg/hr)を超え、好ましくは5000lbs/hr(2268Kg/hr)を超え、最も好ましくは10000lbs/hr(4540Kg/hr)を超える。更に本発明のプロセスで使用されるスラリー反応器は、1時間当りポリマー15000lbs(6804Kg/hr)を超え、好ましくは25000lbs/hr(11340Kg/hr)を超え100000lbs/hr(45500Kg/hr)まで製造することもできる。
【0128】
又、本発明のプロセスにおいてスラリー又は気相プロセスは、本発明のCpリガンドメタロセン型触媒系存在下で、かつトリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム及びトリ−n−ヘキシルアルミニウム並びに塩化ジエチルアルミニウム、ジブチル亜鉛等の任意の捕獲剤が不存在か本質的に存在しない条件下で行なわれる。「本質的に存在しない」とは、これら化合物が故意に反応器又は反応器成分へ添加されないか、化合物が存在する場合には、反応器中に1ppm未満であることを意味する。
【0129】
又、1又は全ての触媒は、触媒系(又はその成分)の重量基準で10wt%未満のステアリン酸金属塩(例えばステアリン酸アルミニウム又はジステアリン酸アルミニウム)、サポート及びステアレートと組み合わせてもよい。又、ステアリン酸金属塩の溶液を反応器中に導入してもよい。又、ステアリン酸金属塩は触媒と混合して反応器中に別々に導入してもよい。これら試薬は触媒と混合しても、触媒系又はその成分と共に又はそれら無しに溶液又はスラリーで反応器中に導入してもよい。
【0130】
又、担持された触媒は、活性化剤と組み合わせ、タンブル又は他の適切な手段等により、メトキシル化アミン、具体的市販品「Kemamine AS-990」(ICI Specialties社、Bloomington Delaware)等の2wt%未満の静電防止剤と組み合わせてもよい。更に、米国特許第6300436号に記載のカルボン酸金属塩等の添加剤が存在してもよい。
【0131】
本発明のプロセスは、複数のポリオレフィン、特に、ポリエチレン及びポリプロピレン、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれか、LLDPE、HDPE、LDPE、VLDPE、及びこれらの変性物を製造するために使用できる。
【0132】
本発明の一例は、下記ステップを含むポリオレフィン製造方法に関する:(a)少なくとも1のフッ素化試薬を、1以上のアルキル化されたメタロセン触媒成分と接触し、フッ素化されたメタロセン触媒成分を製造するステップ;但し、2.0当量未満からのフッ素化試薬は全ての当量のアルキル化された触媒成分と接触する;次に(b)フッ素化されたメタロセン触媒成分を、少なくとも1の活性化剤及びC2〜C12オレフィンから選ばれるオレフィンと、ポリオレフィンを製造する重合条件下で接触させるステップ。上記オレフィン製造方法中のフッ素化ステップ(a)はフッ素化ステップ用に上記記載された例示を含む。ステップ(a)は、ステップ(b)より先にポリオレフィンの製造に好ましい時間で行われる。例えば、フッ素化ステップは、単離された反応器中で行われ、次に適切な手段で重合反応器へ導入され、数時間〜数日の間行われる。フッ素化されたメタロセンは単離され、次に例えば上記記載のシリカ上に担持され、シリカ自体は、任意で改良剤で予備処理され(例えば、フルオライド化)、及び/又はMAO又は化学量論ホウ素化合物(例えば、トリスパーフルオロフェニルホウ素)等の活性化剤で予備接触してもよい。、フッ素化されたメタロセンは、担持され又は担持されない状態で、固体又は、例えばトルエン、鉱物油、若しくは他の非配位性希釈剤中でスラリー化/溶解した状態で行われてもよい。スラリー化したフッ素化されたメタロセンは、重合反応器中へ移送してもよい。これら触媒の比較的高い活性のおかげで、重合に必要なのは低量のフッ素化されたメタロセンのみである利点がある。
【0133】
本発明の方法は、ここで変更できる具体例として記載される。本発明は下記実施例及び表を引用して理解できるが、下記記載により本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0134】
実施例は下記記載の通り行われた。フッ素化されたメタロセン生成物は、250MHz装置で測定した1H及び19FNMRスペクトルにより、当分野で公知の方法で(Bu)3SnF試薬を使用してフッ素化して得られた同一のフッ素化されたメタロセンと比較して同定した。
【0135】
実施例1([Me2Si(H4Ind)2]ZrF2の合成)
方法A:
3.0MのMeMgBr(「Me」はメチル)のEt2O(2.9mL、8.7mmol)溶液を、[Me2Si(H4Ind)2]ZrCl2(2.00g、4.38mmol)のEt2O(40mL)懸濁液へシリンジで滴下し、室温で18時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタン(80mL)で抽出した。抽出物を焼結(fritted)ガラスフィルターを通してろ過し、ニートBF3OEt2(0.62g、4.4mmol)をピペットで攪拌中の溶液へ滴下した。室温で18時間攪拌後、沈殿した固体を焼結ガラスフィルター上に採取し、冷ペンタン(20mL)で洗浄した。残った溶媒を減圧下で除去し、1.24g(2.93mmol、67%)の明るい茶色の固体を得た。化合物を、その1H及び19FNMRスペクトルを比較用サンプルのそれと比較することにより同定した。
方法B:
方法Aの操作を、MeMgBrの代わりに1.4MのMeLiのEt2O溶液(6.3mL、8.8mmol)を使用した以外は同様に繰り返した。生成物として明るい茶色の固体(1.03g、2.43mmol、55%)を得た。化合物を、その1H及び19FNMRスペクトルをフッ素化されたメタロセンの比較用サンプルのそれと比較することにより同定した。
【0136】
実施例2((BuC542ZrF2の合成)
3.0MのMeMgBrのEt2O溶液(3.3mL、9.9mmol)を、(BuC542ZrCl2(2.00g、4.94mmol)(「Bu」はブチル)のEt2O(50mL)懸濁液へシリンジで滴下し、室温で18時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタン(70mL)で抽出した。抽出物を焼結ガラスフィルターを通してろ過し、ニートBF3OEt2(0.70g、4.9mmol)をピペットで攪拌中の溶液へ滴下した。室温で18時間攪拌後、透明な溶液をデカントして油状残渣から除き、減圧下で濃縮した。形成された沈殿物を焼結ガラスフィルター上に採取し、冷ペンタン(10mL)で洗浄した。残った溶媒を減圧下で除去し、0.66g(1.8mmol、36%)の白色固体を得た。化合物を、その1H及び19FNMRスペクトルをフッ素化されたメタロセンの比較用サンプルのそれと比較することにより同定した。
【0137】
実施例3((1,3−Bu、MeC532ZrF2の合成)
3.0MのMeMgBrのEt2O(3.1mL、9.3mmol)溶液を、(1,3−Bu、MeC532ZrCl2(2.00g、4.62mmol)のEt2O(50mL)懸濁液へシリンジで滴下し、室温で18時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタン(60mL)で抽出した。抽出物を焼結ガラスフィルターを通してろ過し、ニートBF3OEt2(0.66g、4.7mmol)をピペットで攪拌中の溶液へ滴下した。室温で18時間攪拌後、僅かに濁った溶液を焼結ガラスフィルターを通してろ過し、減圧下で濃縮して濃厚スラリーとした。固体を焼結ガラスフィルター上に採取し、冷ペンタン(10mL)で洗浄した。残った溶媒を減圧下で除去し1.06g(2.65mmol、57%)の白色固体を得た。化合物を、その1H及び19FNMRスペクトルをフッ素化されたメタロセンの比較用サンプルのそれと比較することにより同定した。
【0138】
実施例4((PrC542HfF2の合成)
方法A:
3.0MのMeMgBrのEt2O(2.9mL、8.7mmol)溶液を、(PrC542HfCl2(2.00g、4.31mmol)のEt2O(50mL)懸濁液へシリンジで滴下し、室温で18時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタン(60mL)で抽出した。抽出物を焼結ガラスフィルターを通してろ過し、ニートBF3OEt2(0.61g、4.3mmol)をピペットで攪拌中の溶液へ滴下した。室温で18時間攪拌後、僅かに濁った溶液を焼結ガラスフィルターを通してろ過し、減圧下で10mLまで濃縮した。形成された沈殿物を焼結ガラスフィルター上に採取し、冷ペンタン(10mL)で洗浄した。残った溶媒を減圧下で除去し、1.12g(2.60mmol、60%)の白色固体を得た。化合物を、その1H及び19FNMRスペクトルを比較用サンプルのそれと比較することにより同定した。
方法B:
方法Aの操作を、BF3THF(0.60g、4.3mmol)をフッ素化試薬として使用した以外は同様に繰り返した。生成物の収率は1.20g(2.79mmol、65%)だった。
方法C:
(PrC542HfMe2(2.00g、4.73mmol)のペンタン(60mL)溶液へ、BF3OEt2(0.45g、3.2mmol)をピペットで滴下して加えた。僅かに濁った混合物を室温で18時間攪拌し、次に焼結ガラスフィルターを通してろ過した。溶液を減圧下で10mLまで濃縮し、残った沈殿物を焼結ガラスフィルター上に採取し、冷ペンタン(10mL)で洗浄した。残った溶媒を減圧下で除去し、1.29g(2.99mmol、63%)の生成物を得た。化合物を、その1H及び19FNMRスペクトルをフッ素化されたメタロセンの比較用サンプルのそれと比較することにより同定した。
【0139】
実施例5((2−MeInd)2ZrF2の合成)
(2−MeInd)2ZrMe2(1.46g、3.85mmol)のペンタン(60mL)溶液へ、BF3OEt2(0.55g、3.9mmol)をピペットで滴下して加えた。直ちに沈殿物が発生し始め、その沈殿物を含む混合物を室温で18時間攪拌した。沈殿物を焼結ガラスフィルター上に採取し、冷ペンタン(2×10mL)及び室温ペンタン(30mL)で洗浄した。残った溶媒を減圧下で除去し、1.37g(3.53mmol、92%)の明るい黄色の粉を得た。1HNMR(CD2Cl2):δ1.88(s、6H、Me)、5.78(s、4H、シクロペンタジエニル環)、7.26(m、4H、アリール環)、7.64(m、4H、アリール環)。19FNMR:δ51.1。
【0140】
比較例1
BF3OEt2(0.61g、4.3mmol)及びペンタン(5mL)の混合物を、(PrC542HfCl2(1.00g、2.16mmol)をペンタン(50mL)中に部分的に溶解したサンプルへピペットで添加した。混合物を室温で18時間攪拌し、次に焼結ガラスフィルターを通してろ過し、減圧下で25mLまで濃縮した。形成された沈殿物を焼結ガラスフィルター上に採取し、残った溶媒を減圧下で除去した。1HNMRで、固体は未反応の(PrC542HfCl2(0.79g)であることを同定した。
【0141】
比較例2
BF3OEt2(0.44g、3.1mmol)のEt2O(5mL)溶液を、(PrC542HfCl2(0.72g、1.6mmol)のEt2O(30mL)溶液へピペットで添加した。溶液を室温で18時間攪拌し、次に揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をペンタン(70mL)で抽出し、焼結ガラスフィルターを通してろ過した。溶液を−25℃まで冷却し、形成された沈殿物を焼結ガラスフィルター上に採取し、残った溶媒を減圧下で除去した。1HNMRで、固体は未反応の(PrC542HfCl2(0.62g)であることを同定した。
【0142】
比較例3
3.0MのMeMgBrのEt2O(7.2mL、22mmol)溶液を、(PrC542HfCl2(5.00g、10.8mmol)のEt2O(125mL)溶液へシリンジで滴下し、室温で18時間攪拌した。混合物を焼結ガラスフィルターを通してろ過し、BF3OEt2(3.07g、21.6mmol)のEt2O(10mL)溶液をピペットで攪拌中の溶液へ滴下した。室温で18時間攪拌後、揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタン(200mL)で抽出した。抽出物を焼結ガラスフィルターを通してろ過し、減圧下で40mLまで濃縮した。形成された沈殿物を焼結ガラスフィルター上に採取し、冷ペンタン(5mL)で洗浄した。残った溶媒を減圧下で除去した。ろ液を10mLまで濃縮して二次固体生成物を得た。合計収量は0.95gであった。固体の1HNMRは、(PrC542HfCl2又は(PrC542HfF2のいずれにも対応しない生成物の混合物であることを示した。
【0143】
比較例4
3.0MのMeMgBrのEt2O(8.2mL、25mmol)溶液を、(BuC542ZrCl2(5.00g、12.4mmol)のEt2O(125mL)溶液へシリンジで滴下し、室温で18時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタン(150mL)で抽出した。抽出物を焼結ガラスフィルターを通してろ過し、BF3OEt2(3.51g、24.7mmol)及びペンタン(5mL)の混合物をピペットで攪拌中の溶液へ滴下した。室温で18時間攪拌後、固体がフラスコ壁上に形成された。液体をデカントして除去し、残っている溶媒を減圧下で固体から除いた。残った溶液を20mLまで濃縮し、残った沈殿物を単離した。沈殿物をペンタン/トルエン(2:1)から−25℃で再結晶し、淡白色の針状結晶を得た。結晶を冷ペンタン(20mL)で洗浄し、残った溶媒を減圧下で除去した。固体の合計収量は4.27gであった。両方の固体の1HNMRスペクトルは、(BuC542ZrF2に対応しなかった。固体を真空下で加熱しても生成物に変化は起きなかった。
【0144】
本発明は、従来技術に比べ幾つかの長所を有する。本発明のフッ素化された触媒成分の収率は、例えば50%〜90%を超え、好ましくは55%〜80%である。フッ素化された触媒成分生成物は、容易に、具体的には固体沈殿物として単離される。又、本発明は、従来技術のフッ素化試薬よりも費用のかからないフッ素化試薬を選択することが可能である、フッ素化された触媒成分の合成への経済的アプローチを提供する。
【0145】
本発明の方法の他の利点は、フッ素化された触媒成分の単離が容易なことである。特に、非配位性希釈剤、特に炭化水素希釈剤、を使用するために、反応副生成物は生成物を加熱しないで除去できる。アルキル化された触媒成分及びフッ素化試薬間の反応は、具体的には対応するアルキル化されたフッ素化試薬を含む副生成物を生じる。例えば、BF3がフッ素化試薬の場合、メチル基はアルキル化された触媒成分へ結合したアルキル脱離基であり、副生成物はBF2CH3及び/又はBF(CH32である。この副生成物は、目的とするフッ素化された触媒成分から分離される必要がある。本発明では、フッ素化された触媒成分は使用された非配位性希釈剤から沈殿しやすい一方、アルキル化されたフッ素化試薬は溶解したまま溶液に留まる。反応が行われる炭化水素溶媒による、沈殿物の単なる抽出及び/又は洗浄のみで、残っているフッ素化試薬及び他の反応生成物の残渣トレースを除去するのに充分であり、加熱の必要はない。
【0146】
従って、例えばフッ素化反応生成物を、炭化水素希釈剤で60℃未満で抽出し、好ましくは炭化水素希釈剤で50℃未満で抽出し、更に好ましくは炭化水素希釈剤で40℃未満で抽出し、最も好ましくは炭化水素希釈剤で30℃未満で抽出する。
【0147】
本発明の別の利点は、メタロセン金属中心に結合した当量の脱離基に対して、例えば2当量未満のフッ素化試薬、好ましくは3当量未満の(フッ素化試薬の一部としての)フッ素、更に好ましくは1.5当量以下のフッ素で、アルキル化された触媒成分をフッ素化(両方の脱離基の置換)するのに充分であり有効であるという驚くべき性能である。例えば公知技術はBF3の使用を示しているが、2当量以上のBF3(フッ素化試薬)が全ての1当量のメタロセンに使用される。一方、実施例1〜4は、当量の脱離基全てに対して3当量未満の「フッ素」の使用を示す。
【0148】
特に、実施例4の方法Cは、たったの3.2mmolフッ素化試薬を4.73mmolのアルキル化されたメタロセンへ添加し、約0.7当量のフッ素化試薬を全ての1当量のアルキル化されたメタロセンへ添加し、約1当量のフッ素を全ての当量の非ハロゲン脱離基(メチル)へ添加している。これは比較例4と対照的であり、比較例4では、ペンタン(非配位性希釈剤)中でさえ、1モルのメタロセンに対する2モルのフッ素化試薬(又は1モルの非フッ素脱離基に対する約3モルフッ素)の使用は、目的とするジフッ素化されたメタロセンに対応しない生成物を生じる。更に、公知技術は、当量の脱離基全てに対する3当量のフッ素(即ち、1当量のエーテレート−BF3に対する3当量のフッ素が存在する。)の使用を開示している。W.W.Lukens,Jr.ら、118 J.Am.Chem.soc.1726頁(1996)参照。従って、本発明の方法は、フッ素化試薬の経済的使用−触媒成分のバルク製造における非常な費用削減−を可能とする。
【0149】
本発明の方法の経済性を増すために、フッ素化試薬は、アルキル化された触媒成分との反応に先立って純粋化合物−希釈剤により希釈・可溶化されない−として添加してもよい。この場合、例えば、ジエーテル(錯体)として液体として市販されている、ニートBF3を、攪拌されているアルキル化された触媒成分の非配位性希釈剤溶液中へ直接に添加する。更に、反応を冷却又は加熱する必要がないため、更にその経済性及び単純性が増大する。最後に、本発明の経済性を更に上昇させることに、本発明の方法は、当分野で通常使用されるスズベースのフッ素化試薬(例えば(Bu)3SnF)と比べて、第13族フッ素化試薬又はホウ素化合物等の比較的安価なフッ素化試薬の使用を可能とする。
【0150】
同様に、本発明の方法は、オレフィンの重合及びオリゴマー化に用いられるほとんど全ての触媒成分に適合するように変更できる。本発明のフッ素化された触媒成分は、反応器汚損(シーチング、凝集等)が減少又は排除されるように選択できる。好ましくは、本発明の重合方法として、例えば反応器壁面温度の上昇を引き起こすシーチングが実質的に不存在であるような、気相又はスラリープロセスが挙げられる。「実質的に不存在」は、連続的反応器重合で少なくとも8日間にわたり、反応器壁面温度での5℃未満の増加として示されるような、シーチングの不存在、を意味する。
【0151】
本発明の方法は、好ましくは一般的に(Cp)rMXnとして表されるアルキル化されたメタロセン触媒成分のフッ素化に適しており;Cpはシクロペンタジエニル又はシクロペンタジエニルとアイソローバル類似な基であり任意の位置で置換されてもよく、それぞれのCpは金属中心Mへ結合し;rは1又は2であり;rが1の場合、Cpは1以上のX基で架橋されてもよく;rが2の場合、2個のCpは上記記載の通り架橋されてもよく;Mは上記記載のように金属中心であり、Xは上記で定義された非ハロゲン脱離基であり、それぞれのXは金属中心Mへ結合しており;nは1又は2である。好ましくはそれぞれのXは独立して、メチル、フェニル、及びベンジルから選ばれる。
【0152】
本発明の特定の態様では、数字の上限又は下限の組み合わせとしてここに記載されている。しかし、これら限界の任意の組み合わせも特記しない限り本発明の範囲内である。
【0153】
特記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲中に用いられる成分の量、特性、反応条件等を表わす全ての数値は、本発明によって得ることが求められる目的とする特性及び測定誤差等に基づいた概算値であると理解すべきであり、少なくとも、報告されている有効桁の数を考慮に入れ、そして通常の概算化技術を適用することによって解釈すべきである。本発明の広い範囲を記載した数値範囲及び数値は概算値であるが、記載された数値は可能な限り正確に報告されている。
【0154】
全ての先行文献は、その資料としての取り込む権利を認められる場合は全て、言及することによって全て本明細書に取り込まれる。更に、ここに引用した全ての文献は、実験操作も含めて、その資料としての取り込む権利を認められる場合は全て、言及することによって全て本明細書に取り込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非配位性希釈剤中で下記(a)を(b)と接触させてフッ素化された触媒成分を生成するステップを含むフッ素化されたメタロセン触媒成分の製造方法:
(a)フッ素を含む、少なくとも1のフッ素化試薬;
(b)1以上の非ハロゲン脱離基を含有する1以上のアルキル化されたメタロセン触媒成分であり、上記脱離基は、1以上のメタロセン触媒成分の金属へ直接結合する1の炭素結合を提供する;
但し、3当量未満からのフッ素は全ての当量の脱離基と接触する。
【請求項2】
フッ素化試薬は、少なくとも1のフッ素原子及びアルキル化された触媒成分の金属中心間の化学結合を形成可能な化合物単体又は混合物である請求項1の方法。
【請求項3】
フッ素化試薬は、少なくとも1原子のフッ素、並びにH、Li、Na、K、Ca、Ti、Zr、Sm、Nb、Ta、Mo、B、Al、Ga、Ge、Re、C、Si、Sn、N、P、O、S、F、Cl、I及びBrの群から選ばれる、1以上の原子を含有する化合物から選ばれる請求項1の方法。
【請求項4】
フッ素化試薬は、少なくとも1原子のフッ素、並びにH、Li、Na、K、B、C、Si、N、P、O、S、F、Cl、I及びBrの群から選ばれる、1以上の原子を含有する化合物から選ばれる請求項1の方法。
【請求項5】
フッ素化試薬は、第13族フルオライド化合物から選ばれる請求項1の方法。
【請求項6】
フッ素化試薬は、ニート組成物として添加される請求項1の方法。
【請求項7】
2当量以下のフッ素を1当量の脱離基に対し接触させる請求項1の方法。
【請求項8】
1.5当量以下のフッ素を1当量の脱離基に対し接触させる請求項1の方法。
【請求項9】
2当量未満のフッ素化試薬を当量のアルキル化された触媒成分に対し接触させる請求項1の方法。
【請求項10】
フッ素化試薬がアルキル化された触媒成分と接触して反応生成物が製造される請求項1の方法であり;反応生成物は70℃未満で、炭化水素溶媒で抽出され、フッ素化された触媒成分を生成する方法。
【請求項11】
非配位性希釈剤は、本質的に炭素及び水素からなる炭化水素希釈剤である請求項10の方法。
【請求項12】
非配位性希釈剤は、C4〜C40直鎖状アルカン、分岐状アルカン、環状アルカン、C6〜C20芳香族炭化水素、及びそれらの混合物の群から選ばれる請求項10の方法。
【請求項13】
成分同士は10℃〜35℃の温度で接触する請求項1の方法。
【請求項14】
成分同士は15℃〜30℃の温度で接触する請求項1の方法。
【請求項15】
アルキル化されたメタロセン触媒成分は下式で表されるアルキル化されたメタロセン触媒成分から選ばれる請求項1の方法:
CpACpBMXn 又は
CpA(A)CpBMXn
但し、Mは第4、5又は6族の原子であり;
それぞれのXはMへ結合し、非ハロゲン脱離基であり、nは1又は2であり;
CpA及びCpBはいずれもMと結合し、シクロペンタジエニル又はシクロペンタジエニルとアイソローバル類似なリガンドであり;
(A)はそれぞれのCpA及びCpBと結合しており、架橋基である。
【請求項16】
アルキル化されたメタロセン触媒成分は2個の非ハロゲン脱離基を含有する請求項1の方法。
【請求項17】
1以上の非ハロゲン脱離基は、独立してアルキル化された触媒成分の金属中心、並びに、第12族原子、第13族原子、第14族原子、第15族原子、及び第16族原子から選ばれる1以上の原子間に少なくとも1の結合を形成する群から選ばれる請求項16の方法。
【請求項18】
1以上の非ハロゲン脱離基は、独立してC1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、置換されたC1〜C12アルキル、置換されたC6〜C12アリール、置換されたC7〜C20アルキルアリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有アルキル、C5〜C12ヘテロ原子含有アリール及びC6〜C12ヘテロ原子含有アルキルアリールの群から選ばれる請求項1の方法。
【請求項19】
スズを含有するフッ素化試薬は実質的に存在しない請求項1の方法。
【請求項20】
請求項1〜19いずれか1項記載の方法により製造されたフッ素化されたメタロセン触媒成分を、少なくとも1の活性化剤及びC2〜C12オレフィンから選ばれるオレフィンと、ポリオレフィンを製造する重合条件下で接触させるステップを含むポリオレフィン製造方法。

【公表番号】特表2006−505670(P2006−505670A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551507(P2004−551507)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/032016
【国際公開番号】WO2004/044010
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】