説明

金券イメージ画像データの記憶保存方法

【課題】金券イメージ画像データの改ざんを確認可能とし、金券の不正利用を防止した金券イメージ画像データの記憶保存方法を提供する。
【解決手段】金券情報読取装置で金券イメージ画像を読み取り、通信端末から第三者認証機関装置に対し公開鍵の電子証明書の発行を依頼し、第三者認証機関装置から通信端末に電子証明書の発行情報を送信し、通信端末で金券イメージ画像データ及び金券番号データをハッシュ関数を用いて圧縮しメッセージダイジェストを生成し、更にメッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化して電子署名が施されたメッセージダイジェストを作成し、通信端末から管理用サーバに金券イメージ画像データ及び金券番号データと、電子署名が施されたメッセージダイジェストと、電子証明書とを送信し、管理用サーバに金券イメージ画像データ及び金券番号データと、電子署名が施されたメッセージダイジェストと、電子証明書とを関係付けて記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客から回収された金券を金券情報読取装置で読み取った金券イメージ画像データが、第三者により不正に改ざんされていないか確認できる状態で記憶させることができる金券イメージ画像データの記憶保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、商品券、ギフトカード、旅行券、食事券、ビール券、アイスクリーム券、図書券、文具券、など金銭的な価値を有する種々の金券が多種類発行され、様々な用途に使用されている。
これらの金券には、1枚毎に金券を管理するための管理番号が表示されており、これらの管理番号により、現時点で何番の金券が発行され、また何番の金券が既に回収されたのかなどの管理をデータ処理して、市場に出回っている金券の確認が行えるようにしてある。
このような、金券に表示された管理番号を機械的に読み取って、予め登録されている券番号と照合することで、金券類の回収処理や真偽判別を行うシステムは既に公知となっている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
一般的に金券に表示されている管理番号は、光学的な機械読み取りができる状態で表示されていることが多く、読み取り時に汚れなどに弱いという欠点がある。
このために、金券の管理番号が読み取られる際に、汚れにより番号が不正確に読み取られ、これが原因で、機械読み取りした管理番号のデータ処理を行った場合に同一番号のダブり番号が発生してしまうという問題がある。
【0004】
金券発行会社では、ダブり番号が発生した場合には、その管理番号の金券の現物を取り寄せて、どのような原因でダブり番号が発生したのかについて確認処理する必要があるが、実際に金券が使われた場所から金券発行会社へ金券を送るのには手間と時間とがかかり、短時間で原因を調べることができないという問題がある。
ダブり番号が発生する原因には、汚れによる管理番号の読み取りミスの他にも、偽造や変造などの不正行為による金券であることも予想され、できるだけ短時間にその原因を調べる必要がある。
つまり、ダブり番号が、偽造や変造が原因で発生した場合には、短時間で関係部署などに周知させて、対策を図る必要があるからである。
【0005】
また、小売店等で金券が使用された際に、その金券が本物の金券であるのか、または偽造や変造された不正金券であるのか、などの真偽判定を行うことは、偽造技術や変造技術がより精巧化していることからも非常に困難であるのが現状である。
しかしながら、偽造や変造された不正金券が使用された場合には、少しでも早く不正金券が発見された事実を確認し、不正金券の取り締まりを行ったり、金券の取り扱い店に対して、注意事項の連絡を行わないと2次被害などの被害の拡大が起こる危険性がある。
このようなことから、本願出願人において、店舗などで、顧客から回収された金券の券面画像を目視で確認する必要が発生した場合でも、短時間で確認出来るように金券の券面のイメージ画像を保存する金券のイメージ画像保存システムも既に出願している。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】特開平10−340368号公報
【特許文献2】特開2005−85065号公報
【0007】
しかしながら、保存された金券イメージ画像データが第三者によって改ざんされた場合には、一度回収された金券が再度、不正に使用されてしまうという危険性があるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、顧客から回収された金券を金券情報読取装置で読み取ったイメージ画像データが、第三者により不正に改ざんされて保存してある場合でも、その金券イメージ画像データが第三者によって改ざんされたことを確認できるようにして、金券の不正利用を防止できるようにした金券イメージ画像データの記憶保存方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の金券イメージ画像データの記憶保存方法は、通信回線を介して、金券情報読取装置が接続された通信端末と、第三者認証機関装置と、金券情報の管理用サーバとが通信可能に接続されてなり、顧客から回収された金券を前記金券情報読取装置で読み取ったイメージ画像データが、第三者により不正に改ざんされていないか確認できる状態で記憶させることができる金券イメージ画像データの記憶保存方法であって、前記金券情報読取装置で、顧客から回収された金券の券面に表示されたイメージ画像を読み取るステップと、 前記通信端末から前記第三者認証機関装置に対し、前記金券イメージ画像データを暗号化する際に使用する暗号鍵と対で使用する公開鍵について、その公開鍵の持ち主を証明するための電子証明書の発行依頼をするステップと、前記第三者認証機関装置から前記通信端末に対して、電子証明書の発行情報を送信するステップと、前記通信端末において、金券イメージ画像データ及び金券番号データを、ハッシュ関数を用いて圧縮し、メッセージダイジェストを生成するステップと、前記通信端末において、前記メッセージダイジェストを前記秘密鍵で暗号化して、電子署名が施されたメッセージダイジェストを作成するステップと、前記通信端末から前記管理用サーバに、前記金券イメージ画像データ及び金券番号データと、前記電子署名が施されたメッセージダイジェストと、前記電子証明書とを送信するステップと、前記管理用サーバの記憶手段に、前記通信端末から受信した、前記金券イメージ画像データ及び金券番号データと、前記電子署名が施されたメッセージダイジェストと、前記電子証明書とを関係付けて記憶させるステップと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の金券イメージ画像データの記憶保存方法は、管理用サーバの記憶手段に、通信端末から受信した、金券イメージ画像データ及び金券番号データと、電子署名が施されたメッセージダイジェストと、電子証明書とが関係付けられて記憶させるので、保存された金券イメージ画像データが第三者によって不正に改ざんされたとしても、照合処理を行うことで簡単に改ざんされたことを調べることができ、金券の不正な使用を防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法の概要を説明する図、図2は、本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法に適応するシステムの概要を説明する図、図3は、商品券の一例の平面図、図4は、本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法に関する情報の流れを説明する図、図5は、本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法の手順を説明するフローチャートである。
【0012】
まず、本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法の概要を図1に基づいて説明する。
まず、図1に示すように、、例えば、お酒店、書店、文房具店などの複数の商店1があるA商店街には、それらの各商店の事業者が加入するA商店街組合があり、組合活動の事務などを行うA商店街の組合事務所2aが設けられている。
また、飲食店、食料品店、電気店などの複数の商店1があるB商店街には、それらの各商店の事業者が加入するB商店街組合があり、組合活動の事務などを行うB商店街の組合事務所2bが設けられている。
通常、各商店が取り扱う金券の種類は、商店毎の取扱い商品などによって異なっていたり、また、一つの商店で複数種類の金券を取り扱う場合もあるが、各商店において顧客から受け取った種々の金券は、その商店が加盟するこれらの組合事務所2に持参することで、それらの金券に対する現金化の請求処理を行えるようにしてある。
【0013】
また、商店が顧客から受け取った金券に対する請求データの生成処理などを一元化して行う管理センター3が備えられ、この管理センター3には管理サーバ7が設けられ、通信回線4を介して組合事務所2に設けられた通信端末8と通信可能に接続されている。
したがって、個々の商店には、通信端末などの機器を設ける必要がなく、事業者が組合事務所に金券を持参することで処理できるので、個々の商店にできるだけ設備コストをかけないですむようにしてある。
このために、従来、請求処理などに手間などがかかることなどから、金券の取扱いを行わなかった商店でも、気軽に金券の取扱いを行えるようにしてある。
【0014】
更に、管理センター3の管理サーバ7は、通信回線4を介して各金券の精算処理の請求先である金券発行会社5の通信端末と通信可能に接続されていて、管理サーバで生成された各商店における金券の請求データを送信して、金融機関での振込処理などによる精算処理が行えるようにシステム化されている。
【0015】
また、金券イメージ画像データを暗号化する際に使用する暗号鍵と対で使用する公開鍵について、その公開鍵の持ち主を証明するための電子証明書の発行を行う第三者認証機関6があり、その第三者認証機関6に備えられた第三者認証機関装置9は、通信回線4を介して、組合事務所2に設けられた通信端末8や、管理センター3の管理サーバ7と通信可能に接続されている。
【0016】
図2には、組合事務所2に設けられ、金券情報読取装置11が接続された通信端末8と、管理センター3に設置された管理サーバ7と、第三者認証機関6に備えられた第三者認証機関装置9とが、通信回線4を介して通信可能に接続された構成が示されている。
組合事務所2に設けられた金券情報読取装置8は、図3に示すように、商店の事業者が持参した金券10に表示された管理番号等の管理情報10aやイメージ画像10bを読み取るための装置であり、この金券情報読取装置3で読み取られた情報が、通信端末8により通信回線を介して4、管理センター3の管理サーバ7へ送信できるようにしてある。
【0017】
次に、本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法について、図4及び図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、各商店において顧客から受け取った種々の金券は、その商店が加盟するこれらの組合事務所2に持ち込まれた後に、金券情報読取装置11で、顧客から回収された金券10の券面に表示されたイメージ画像が読み取られる。(ステップ1)
次に、金券情報読取装置11に接続されている通信端末8から、通信回線4を介して第三者認証機関装置9に対し、回収した金券の金券イメージ画像データを暗号化する際に使用する暗号鍵と対で使用する公開鍵について、その公開鍵の持ち主を証明するための電子証明書の発行依頼をする。(ステップ2)
【0018】
第三者認証機関6は、電子証明書の発行依頼に対して審査を行い、承認する場合には、第三者認証機関装置9から通信端末8に対して、電子証明書の発行情報を送信する。(ステップ3)
次に、通信端末8において、金券イメージ画像データ及び金券番号データを、ハッシュ関数を用いて圧縮し、メッセージダイジェストの生成を行う。(ステップ4)
更に、通信端末8において、前記メッセージダイジェストを秘密鍵で暗号化して、電子署名が施されたメッセージダイジェストを生成する。(ステップ5)
【0019】
次に、通信端末8から管理用サーバ3に対して、金券イメージ画像データ及び金券番号データと、電子署名が施されたメッセージダイジェストと、電子証明書とを送信する。(ステップ6)
そして、管理用サーバ7の記憶手段に、通信端末8から受信した、金券イメージ画像データ及び金券番号データと、電子署名が施されたメッセージダイジェストと、電子証明書とを関係付けて記憶させる。(ステップ7)
以上の処理により、管理用サーバ7の記憶手段に登録された金券イメージ画像データ及び金券番号データは、電子署名が施されたメッセージダイジェストと、電子証明書に含まれている公開鍵により改ざんされていないか確認することができるようにすることができる。
【0020】
次に、管理用サーバ7の記憶手段に登録された金券イメージ画像データ及び金券番号データが、改ざんされていないか確認する方法を説明する。
まず、管理用サーバ7において、金券イメージ画像データ及び金券番号データを、ハッシュ関数を用いて圧縮し、メッセージダイジェストの生成を行う。
また、電子署名が施されたメッセージダイジェストを、電子証明書に含まれている公開鍵により復号する。
そして、これらのハッシュ関数を用いて圧縮し生成したメッセージダイジェストと、復号したメッセージダイジェストの照合を行う。
この照合で一致した場合には、管理用サーバ7の記憶手段に登録された金券イメージ画像データが改ざんされていないことが証明され、また、照合が不一致の場合には、管理用サーバ7の記憶手段に登録された金券イメージ画像データが不正に改ざんされたものであることがわかる。
【0021】
以上のように、本発明の金券イメージ画像データの記憶保存方法は、管理用サーバ7の記憶手段に登録された金券イメージ画像データについて、いつでも改ざんの有無が簡単に確認できるように記憶保存されるので、特に、記憶保存されている金券イメージ画像データを使用する前段階において、改ざんの有無を確認することで、金券の不正使用も防止することができるなどの効果がある。
【0022】
尚、上記の実施形態では、本発明の利用について商店街を例として説明しているが、本発明は、商店街に限らず金券の取扱いを行うデパートなどにも広く適応することが出来る。
また、本発明は、タイムスタンプ等の技術で処理された日時についても改ざんを防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法の概要を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法に適応するシステムの概要を説明する図である。
【図3】商品券の一例の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法に関する情報の流れを説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る金券イメージ画像データの記憶保存方法の手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1 商店
2,2a,2b 組合事務所
3 管理センター
4 通信回線
5 金券発行会社
6 第三者認証機関
7 管理サーバ
8 通信端末
9 第三者認証機関装置
10 金券
10a 管理情報
10b 画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して、金券情報読取装置が接続された通信端末と、第三者認証機関装置と、金券情報の管理用サーバとが通信可能に接続されてなり、顧客から回収された金券を前記金券情報読取装置で読み取ったイメージ画像データが、第三者により不正に改ざんされていないか確認できる状態で記憶させることができる金券イメージ画像データの記憶保存方法であって、
前記金券情報読取装置で、顧客から回収された金券の券面に表示されたイメージ画像を読み取るステップと、
前記通信端末から前記第三者認証機関装置に対し、前記金券イメージ画像データを暗号化する際に使用する暗号鍵と対で使用する公開鍵について、その公開鍵の持ち主を証明するための電子証明書の発行依頼をするステップと、
前記第三者認証機関装置から前記通信端末に対して、電子証明書の発行情報を送信するステップと、
前記通信端末において、金券イメージ画像データ及び金券番号データを、ハッシュ関数を用いて圧縮し、メッセージダイジェストを生成するステップと、
前記通信端末において、前記メッセージダイジェストを前記秘密鍵で暗号化して、電子署名が施されたメッセージダイジェストを作成するステップと、
前記通信端末から前記管理用サーバに、前記金券イメージ画像データ及び金券番号データと、前記電子署名が施されたメッセージダイジェストと、前記電子証明書とを送信するステップと、
前記管理用サーバの記憶手段に、前記通信端末から受信した、前記金券イメージ画像データ及び金券番号データと、前記電子署名が施されたメッセージダイジェストと、前記電子証明書とを関係付けて記憶させるステップと、
からなることを特徴とする金券イメージ画像データの記憶保存方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−174248(P2007−174248A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368726(P2005−368726)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】