説明

金属ピースとSiCおよび/またはC系セラミック材料からなるピースとのアセンブリ

本発明は、金属ピース(1)と、SiCおよび/またはC系セラミック材料からなるセラミック部品(7)との接合部に関する。本発明の接合部は、ろう付けによって、次の順に2つずつ取り付けられる次の要素、すなわち、金属ピース(1)、第1のスペーサ(3)、第2のスペーサ(5)およびセラミック部品(7)からなる積層構造を含むことを特徴とする。本発明によれば、第2のスペーサ(5)は、SiCまたはCより金属と化学的に反応性でなく金属ピース(1)を形成する材料より低い膨張係数を有する他のセラミック材料からなる。さらに、第1のスペーサ(3)は金属であり、金属ピース(1)と第2のスペーサ(5)との膨張差に対する補償を行うために変形可能である。本発明は、また、ターボ機械における上記接合部の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ピースと炭化ケイ素(SiC)および/または炭素(C)系セラミック材料からなるピースとのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ニッケル(Ni)やコバルト(Co)系合金などの耐熱合金からなるピースと、セラミックマトリックス複合材料からなるピース、すなわちCMCピースとを取り付けるための航空分野において好ましい用途を見出す。より詳細には、関係するCMCピースは、SiCおよび/またはCのファイバで強化された、SiC、C系マトリックス、またはCとSiCの複合マトリックスを含む。上記マトリックスは、単一相マトリックス(例えば、完全にSiCからなる)、または多相マトリックス(それは、例えば、仏国特許第2732338号明細書に記載されるように、自己回復特性を有する少なくとも1つの他の相を含んでいてもよい)であってもよい。
【0003】
CMCピースは、高温で良好な機械的性質を保持し、それによってあまり冷却を必要とせず、重量が一般的により軽量であるので、CMCピースは、航空機のターボジェットにおいて使用されて、熱機械的に言えば最も露出される機械的ピースを交換する。
【0004】
しかし、そのようなセラミック材料のピースを、それらを囲む金属ピースに固定する際に問題が生じる。
【0005】
現在使用されているアセンブリ技術のなかで、リベットタイプやボルトタイプの従来の機械的アセンブリが見出されうる。その種のアセンブリは、多くの場合、体積、重量および/または質の悪い動的挙動の理由により適さないことがわかる。
【0006】
セラミック材料の2つのピースを合わせて取り付けるためにろう付けを使用するアセンブリ技術も知られている。しかし、それらの技術は、セラミック材料および金属材料の非常に異なる熱機械的挙動および物理化学的挙動のために、セラミック材料からなるピースおよび金属ピースを合わせてろう付けするために使用することは困難である。特に、問題のピース間の熱膨張における非常に大きな差の問題がある。
【0007】
金属合金の膨張係数は、多くの場合、使用されるセラミック材料の膨張係数の2から5倍である。したがって、冷却中に、ろう付け組成物が溶解された後、金属ピースの相対的な収縮は、ろう付け組成物とセラミック材料ピースとの接合部に隣接する領域、およびろう付け組成物と金属ピースとの接合部に隣接する領域のそれぞれで、圧縮状態である領域および引っ張り状態である領域を生じさせる。これは、ピースの1つを破壊させる可能性がある応力を生じ、セラミック材料ピースはより脆いので、一般的には、セラミック材料ピースを曲げるアセンブリを生じさせ、さらに、局部的な変形のためにろう付けされた接合部の質の悪い挙動を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さらに、CまたはSiCと金属(より詳細には遷移金属)の高い反応性のために、炭化物または珪酸タイプの脆い化学物質がセラミックピースと金属ピースの間に形成されることが一般的に分かっている。これらの脆い化合物は、アセンブリを弱体化させる。
【0009】
本発明の目的は、第1に、金属ピースとSiCおよび/またはC系セラミック材料からなるピースの膨張差に対する補償を行い、第2に、望ましくない化学物質の形成を回避するまたは制限することを可能にするアセンブリを提案することによって、それらの欠点を緩和するまたは少なくともそれらを弱めることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、次のものをろう付けすることにより、この順に2つずつ合わせて取り付けられた以下の要素で構成された積層構造を含む本発明のアセンブリによって達成される、
上記金属ピース、
第1の中間ピース、
第2の中間ピース、および
SiCおよび/またはC系セラミック材料からなる上記ピース。
【0011】
上記アセンブリは、以下のようなものである。
【0012】
第2の中間ピースは、他のセラミック材料(すなわち、セラミック材料からなる上記ピースと異なるセラミック材料)からなり、SiCまたはCよりも金属に対して化学的に反応性でなく、上記金属ピースを構成する材料より小さな膨張係数を示し、
第1の中間ピースは金属からなり、上記金属ピースと第2の中間ピースの膨張差に対する補償を行うため変形するのに適する。
【0013】
上記セラミックピースは、上記タイプの中実SiCのピースまたはCMCピースであってもよいことに気づくべきである。
【0014】
このように、本発明は、セラミックピースと金属ピースとの間に、注目すべき機能を有する2つの中間ピースを配置することを提案する。
【0015】
第1の中間ピースは、変形することによってセラミックピースと金属ピースの膨張差に対する補償を行うことを可能にする。
【0016】
第1の中間ピースの第1の実施形態において、それは延性金属材料の層からなる。そのような状況において、ピースは、一般的に、ずれ変形に適する材料の緩衝形態で中実構造を示す。使用されるのに適する延性材料のうち、次のものからなることができると言うことができる。ニッケル、パラジウム、金、またはこれらの金属を含む合金。耐火性アセンブリを要求する航空機の用途では、ニッケル系合金を選択することが有利であり、特に、高温で良好な挙動を示し、コストが限定されるものが有利である。
【0017】
第1の中間ピースの第2の実施形態において、上記変形は、上記ピースに変形可能な構造を選択することにより得られる。一例として、この構造は、渦巻バネやベローズであってもよい。したがって、ピースは、必ずしも延性材料からなる必要はない。高温で良好な機械的性質および良好な挙動を保証するために、ピースは、NiやCo系合金からなってもよい。
【0018】
第2の中間ピースは、使用されるろう付け液体によって攻撃されることを防止することによって、上記セラミック材料ピースを化学的に保護しようとし、一般的にはSiCとCとを反応する金属を含む。このように、アセンブリのセラミック材料ピースと金属ピースとの間に、酸化物や窒化物などの金属(より詳細には遷移金属)とあまり反応しない他のセラミック材料からなる第2の中間ピースが配置される。
【0019】
有利には、第2の中間ピースは、セラミック材料ピースより大きな剛性および/または破壊強度を示す。第2の中間ピースの剛性は、第1の中間ピースに剛体の軸受表面を付与する役目をし、それによって、それが変形することを可能にするとともに、セラミック材料ピースに作用する機械的応力を弱める役目をする。その破壊強度は、アセンブリのための良好な機械的挙動を保証する役目をする。このように、第2の中間ピースは、そのようなピースが一般的に脆弱性であるとすれば、セラミック材料ピースを機械的に保護する役目をする。
【0020】
有利には、第2の中間ピースは、セラミック材料ピースの膨張係数に十分に近くこれらのピースの膨張差を制限する膨張係数を示す。
【0021】
有利には、第2の中間ピースによって満足される必要がある機械的条件および化学的条件を鑑みると、それは、ムライト(酸化物)または窒化アルミニウムAlN(窒化物)からなる。ムライトは、珪酸アルミニウムであり、アルミナの存在下で珪酸を加熱することにより得ることができる化学式(3Al,2SiO)によって定義された化合物である。耐火性アセンブリを必要とする航空機の用途では、ムライトおよびAlNは、高温でのそれらの良好な挙動およびそれらの酸化への抵抗性能のために特に有利である。他の用途では、アルミナ(Al)が使用されてもよい。
【0022】
有利には、第1の中間ピースと金属ピースとを、および/または第1の中間ピースと第2の中間ピースとを合わせて取り付けるために使用される第1のろう付け組成物は、Ni系であり、原子パーセントで10%未満または約10%のTiを含む。この第1の組成物は、また、次の元素Fe、Cr、またSiを含むことが好ましい。次の元素Ni、Fe、Cr、Sr、およびTiを含むろう付け組成物は、NiFeCrSiTiとして以下に記載される。
【0023】
反応性であると言われる様々なNi系ろう付け組成物は(それらは、新しい金属間化合物を生じさせるので)、既に知られているが、現在の状況では、Ti元素が、第2の中間ピースに対して高い反応性を示し、脆い金属間相の生成をもたらすので、Tiの割合は限定される必要がある。
【0024】
したがって、上記第1のろう付け組成物は、第2の中間ピースがAlNからなる場合、原子パーセントで、3%から6%(好ましくは、3.5%から5.5%)のTiを含むことが好ましく、第2の中間ピースがムライトからなる場合、6%から10%のTiを含むことが好ましい。
【0025】
有利には、AlNまたはムライトからなる第2の中間ピースと、SiCおよび/またはC系セラミック材料からなるピースとを合わせて取り付けるために使用される第2のろう付け組成物は、Si系合金である。
【0026】
第1の代案では、上記第2のろう付け組成物は、実質的に、原子パーセントで、60%から97%のシリコン(Si)、40%から3%のジルコニウム(Zr)を含み、ジルコニウムケイ素化合物ZrSiとSiの共融混合物を含むことが好ましい。
【0027】
SiC系セラミック材料からなるピースをムライトからなるピースとろう付けするためのZrSi−Si混合物を使用することは知られており、国際公開第03/037823号パンフレットに記載されている。
【0028】
ZrSi−Siの使用は、次の欠点を示す。ZrSi−Si共融混合物の液相線温度は約1370℃であり、その温度は、一般的に、金属ピースおよび/または第1の中間ピース(一例として、「Hastelloy X」合金の溶融開始温度は、以下に説明するように、1310℃である)に使用される航空機の合金の溶融開始温度より高い。
【0029】
したがって、本発明のアセンブリを製造するために、次の昇降温度の2つの連続する熱サイクルを行うことが必要である。第1のサイクルが典型的に1400℃まで行なわれて、セラミック材料ピースを第2の中間ピースに取り付ける。第2のサイクルが典型的に第1のろう付け組成物の液相線温度より高い温度の1250℃まで行なわれるが、その温度では、上記航空機の合金の性能は低下されない。この第2のサイクルは、金属ピース、すなわち、ベース金属ピースと金属の第1の中間ピースを互いに取り付けることにより、およびそれらをセラミック材料ピース、すなわち第2の中間ピースおよびSiCおよび/またはC系セラミック材料からなるピースと取り付けることによって、最終アセンブリを達成することを可能にする。
【0030】
第2の代案では、第2のろう付け組成物は、プラセオジムケイ素化合物(PrSi)とSiの混合物によって実質的に構成されており、ここで、シリコン(Si)は、原子パーセントで多数を占めており、プラセオジム(Pr)は少数を占める。そのようなろう付け組成物は新規であり、ろう付けにより2つのピースを合わせて取り付けるためにより一般的に使用されることができ、ピースのうちの1つは、SiCおよび/またはC系セラミックからなり、他のピースは、SiC、C、AlNまたはムライト系セラミックからなる。
【0031】
有利には、PrSiとSiの上記混合物は、原子パーセントで、78%から97%のSi、22%から3%のPrを含み、PrSiとSiの共融混合物であることが好ましい。
【0032】
PrSiとSiの混合物の原子パーセントが、共融混合物、すなわち、約81%から85%のSi、19%から15%のPrに近い場合、PrSi−Siろう付け組成物の溶融温度は比較的低く、アセンブリは、単一のステップにおいてアセンブリのピースを合わせてろう付けすることにより達成されることができる。
【0033】
PrSiとSiの共融混合物の液相線温度は約1212℃であり、すなわち、ZrSiとSiの共融混合物の液相線温度より約158℃低いことは注意されるべきである。
【0034】
PrSiとSiの混合物の原子パーセントは、共融混合物にそれほど近くない、特に、78%から81%のSiおよび22%から19%のPrの範囲で、または85%から97%のSiおよび15%から3%のPrの範囲である場合、次いで、金属ピースを溶融することを回避するために、上記されるように2段階ステップで進むことが必要である。
【0035】
PrSi−Sろう付け組成物を使用することによって、上記第1および第2のろう付け組成物の液相線温度より高いが、問題になっている合金の性能を低下することを回避するのに十分低いままの温度で、単一の段階でアセンブリのピースをすべて合わせてろう付けすることが可能である。本発明は、また、そのような組成物を使用してろう付けを使用するアセンブリの方法を提供する。
【0036】
本発明は、十分理解されることができ、その利点は、限定しない一例として付与される実施形態の次の詳細な説明を読むことでより鮮明になる。説明は、添付図面に言及する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明のアセンブリの第1の実施例において、図1に示されるように、アセンブリは、次のものを含む。
【0038】
登録商標「Hastelloy X」で販売されているものなどのNi系合金からなる金属ピース1。
【0039】
重量%で、0.5%以下のAl、0.008%以下のB、0.05%から0.15%のC、20.5%から23%のCr、0.5%から2.5%のCo、0.5%以下のCu、17%から20%のFe、1%以下のMn、8%から10%のMo、0.04%以下のP、1%以下のSi、0.03%以下のS、0.15%以下のTi、0.2%から1%のW、残部はNi、
Ni系合金、例えば、登録商標「Inconel 600」、「Inconel 601」、「Inconel 625」または「Nimonic80A」で販売される合金からなる第1の中間ピース3。「Inconel 625」の合金は、典型的には、重量%で、以下のものを含む。0.4%以下のAl、0.1%以下のC、20%から23%のCr、0.1%以下のCo、5%以下のFe、0.5%以下のMn、8%から10%のMo、3.15%から4.15%のNb、0.015%以下のP、0.5%以下のSi、0.015%以下のS、0.4%以下のTi、残部はNi、
AlNの第2の中間ピース5、および
SiC系セラミックマトリックス複合物(CMC)ピース7。
【0040】
金属ピース1を第1の中間ピース3にろう付けするため、および第1の中間ピース3を第2の中間ピース5にろう付けするために使用される第1のろう付け組成物2は、NiFeCrSiTiタイプであり、重量%で、実質的に(すなわち、不純物を無視して)以下のものを含む。2.8%のFe、7%のCr、6.2%のSi、4.5%のTi、残部はNi。
【0041】
第2の中間ピース5をセラミック材料ピース7にろう付けするために使用される第2のろう付け組成物6は、ZrSiとSiの共融混合物である。
【0042】
金属とセラミックピース1、7とを取り付ける方法は、昇降温度の2つの熱サイクルを含み、実質的には、次のステップを含む。
【0043】
第2のろう付け組成物6は、セラミック材料ピース7と第2の中間ピース5とを合わせて取り付けるために表面上に設置される。
【0044】
このように形成されるようなアセンブリ(ピース5、7および組成物6)は、第2のろう付け組成物6の液相線温度を越える温度に上げられ、次いで冷却される。
【0045】
第1のろう付け組成物2は、第1および第2の中間ピース3、5と金属ピース1とを合わせて取り付けるために表面上に設置される。
【0046】
このように形成されるような新しいアセンブリ(ピース5、7、3、1および組成物2、6)は、第1のろう付け組成物2の液相線温度を超える温度に上げられ、次いで冷却される。
【0047】
そのような方法の詳細な実施例を次に説明する。合わせて取り付けるための、AlNおよびCMCからそれぞれなるピース5、7の部分の表面は、例えば、アセトン、エステル、エーテル、アルコールまたはそれらの混合物を含むタイプの有機溶媒中で脱脂される。ピース7、5の部分の表面は、ZrSiとSiの共融混合物からなる第2のろう付け組成物6の懸濁液で被覆される。CMC/AlN接合部近傍の部分は、上記組成物によって湿潤性でない、いわゆる抗湿潤性懸濁液で被覆される。この懸濁液は、任意のろう付け組成物がCMC/AlN接合部から逃げることを回避する。このように形成されるようなろう付けの準備ができているアセンブリは、真空にされたオーブン中に、または不活性ガス雰囲気下に設置される。第1の熱サイクルは、典型的には、1400℃で5分から10分間温度を止めて行なわれる。この温度は、ろう付け組成物の液相線温度より高い(少なくとも25℃高い)。次いで、アセンブリは、例えば、毎分5℃の割合で周囲温度に冷却される。CMC/AlNアセンブリは、オーブンから取り出される。ろう付けの連続したビードがCMCとAlNとの間で観察される。アセンブリは、第1の中間ピース3および金属ピース1での第2のろう付け操作前に、アセトン、次いでエタノールで洗浄される。第1の中間ピース3は、「Inconel 625」タイプのNi系合金であり、金属ピース1は、「Hastelloy X」タイプのNi系合金からなる。CMCピース7、第2のろう付け組成物6のビードおよびAlNピース5の端は、いわゆる抗湿潤性懸濁液で被覆され、抗湿潤性懸濁液は、第1のろう付け組成物によって湿潤可能ではなく、第1のろう付け組成物は、NiFeCrSiTiタイプである。ろう付け組成物は、AlN上にテープの形態で塗布される。第1の中間ピース3は、ろう付け組成物のこのテープ上に設置される。次いで、ピース3は、NiFeCrSiTiタイプのろう付け組成物のテープで被覆され、次いで、金属ピース1で被覆される。ピース1、3の端は、NiFeCrSiTiろう付け組成物によって湿潤可能ではない抗湿潤性懸濁液で被覆されることができる。第1の中間ピース3に関して、この抗湿潤性コーティングは、ピースの形状に依存する。CMC/ZrSi−Siろう付け組成物/AlN/NiFeCrSiTiろう付け組成物/Ni系合金/NiFeCrSiTiろう付け組成物/Ni系合金を含むアセンブリが、ろう付けのために準備され、真空にされたオーブン中にまたは不活性ガス雰囲気下に設置される。第2の熱サイクルが、1100℃の温度で30分間止め、次いで1250℃で15分間止めて行なわれる。1250℃のこの温度は、NiFeCrSiTiタイプのろう付け組成物の液相線温度より高い(少なくとも25℃高い)。次いで、アセンブリは、例えば、毎分5℃の割合で周囲温度に冷却される。
【0048】
本発明のアセンブリの第2の実施例では、上記された第1の実施例で使用される第2のろう付け組成物6は、PrSiとSiの共融混合物と置き換えられる。そのような状況下では、金属とセラミックピース1、7とを取り付ける方法は、昇降温度の単一の熱サイクルを含み、実質的には、次のステップを含む。
【0049】
第2のろう付け組成物6は、セラミック材料ピース1と中間ピース5とが合わせて取り付けられる表面上に設置される。第1のろう付け組成物2は、第1および第2の中間ピース3、5および金属ピース1を合わせて取り付けるために表面上に位置される。
【0050】
このように形成されるようなアセンブリ(ピース5、7、3、1、組成物2、6)は、第1および第2のろう付け組成物6、2の液相線温度を越える温度に上げられ、次いで、アセンブリは、冷却される。
【0051】
そのような方法の詳細な実施例を次に説明する。合わせて取り付けるためのピース1、3、5、7の表面は、例えば、アセトン、エステル、エーテル、アルコールまたはそれらの混合物を含むタイプの有機溶媒中で脱脂される。CMCおよびAlNピース7、5の対向する部分の表面は、表面がろう付け組成物PrSi−Siによって全体的にぬらされることを可能にするために必要とされるように、炭素で被覆される。炭素は、以下のように塗布されてもよい。1)有機バインダー中に任意に混合された黒鉛粉末の形態で、または2)化学蒸着法(CVD)または物理蒸着法(PVC)などの蒸着技術による、あるいは、3)黒鉛「鉛」(例えば、鉛筆)で単に表面をこすることによる。炭素の推奨される厚みは、約1マイクロメートル(μm)である。一旦カーボン層がこれらの表面のすべてに塗布されたならば、共融混合物PrSi−Siによって形成された第2のろう付け組成物の懸濁液は、CMCピース7とAlNピース5との間に位置される。接合部近傍の部分は、上記組成物によって湿潤性でないいわゆる抗湿潤性懸濁液で被覆される。上記懸濁液は、CMC/AlN接合部からろう付け組成物が逃げることを回避する。AlNは、NiFeCrSiTiタイプのろう付けテープで被覆される。このろう付けテープ上に、Ni系合金の第1の中間ピース3は適所に入れられる。次いで、このピース3は、NiFeCrSiTiタイプのろう付けテープで被覆され、「Hastelloy X」からなる中実金属ピースが続く。合金ピース1、3の端は、NiFeCrSiTi組成物によって湿潤性でない抗湿潤性懸濁液で被覆されてもよい。第1の中間ピース3に関して、この抗湿潤性コーティングは、ピースの形状に依存する。CMC/PrSi−Siろう付け組成物/AlN/NiFeCrSiTiろう付け組成物/Ni系合金/NiFeCrSiTiろう付け組成物/Ni系合金を含むアセンブリは、ろう付けのために準備され、真空下のオーブン(または不活性ガス雰囲気下)に位置される。単一の熱サイクルが、1100℃で30分間温度を止め、次いで1250℃で15分間止めて行なわれる。1250℃というこの温度は、NiFeCrSiTiタイプのろう付け組成物の液相線温度より高く、第2のPrSi−Siろう付け組成物の液相線温度より高い(少なくとも25℃高い)。次いで、アセンブリは、例えば、毎分5℃の割合で周囲温度に冷却される。
【0052】
本発明の第3のアセンブリの実施例では、ZrSi−Si(第1の実施例において)またはPrSi−Si(第2の実施例において)でろう付けされたAlNの第2の中間ピースは、ムライトからなるピース5と置き換えられる。
【0053】
本発明のアセンブリの第4の実施例では、上記実施例におけるAlNの第2の中間ピースは、ムライトからなるピース5と置き換えられ、ピース3の方に向くこのピース5の面は、金属メッキされる。この金属メッキは、重量%で、近似的に次の割合を含む商標「TiCuSil」で知られているろう付け組成物で行なわれる。68.8%のAg、26.7%のCu、および4.5%のTi。PdおよびNi系の他のろう付け組成物は、原子比で、35%から55%のPd、残部がNi(すなわち、重量%で、50%から69%のPdおよび50%から31%のNi)を含むことが好ましく、次いで、第1および第2の中間ピース3、5を合わせて取り付けて、また、金属ピースを第1の中間ピースに取り付けるために使用されることができる。この実施例において、金属およびセラミックピース1、7を取り付ける方法は、2つの熱サイクルと、第2の中間ピース5でのセラミック材料ピース7の第1のろう付けと、アセンブリの完全なろう付けとの間のさらなる金属メッキステップとを含む。
【0054】
本発明のアセンブリの第5の実施例では、上述された第1の実施例で使用されるNi系合金の金属ピースは、Co系合金、例えば、商標「Haynes 188」で知られており、重量%で、以下のものを典型的に含む合金の金属ピース1と置き換えられる。20%から24%のNi、20%から24%のCr、13%から15%のW、3%以下のFe、0.2%から0.5%のSi、1.25%以下のMn、0.5%から0.15%のC、0.015%以下のB、0.02から0.12%のLa、残部はCoである。次いで、金属およびセラミックピース1、7を取り付ける方法は、1400℃で5から10分間止める昇降温度の第1のサイクルおよび1250℃で15分間止める第2のサイクルの、2つの熱サイクルを含む。
【0055】
上記実施例において、第1の中間ピース3は、図1に示されるような中実構造を示してもよい。次いで、ピース3は、変形し、金属とセラミックピースの膨張差に対して補償するのに十分に延性のある材料からなる。当然、この第1の中間ピース3の寸法、特にその厚さは、ピースがその機能を行うことができることを保証するのに十分である必要がある。一例として、10ミリメートル(mm)の直径および5mmの厚みを両方が有する円形シリンダであるセラミック材料ピース7および金属ピース1に関して、第1の中間ピース3は、10mmの直径および2mmの厚みを有する円形シリンダの形状を有するように選択され、第2の中間ピースも、10mmの直径および1mmの厚さを有する円形シリンダの形状で選択される。
【0056】
第1の中間ピース3の他の実施形態では、それは、変形可能な構造で製造される。そのような状況下では、このピース3は、必ずしも延性合金からならない。一例として、典型的には、重量%で以下のものを含む「Inconel 601」(登録商標)合金のこのピース3を製造することが可能である。1%から1.7%のAl、0.1%以下のC、21%から25%のCr、1%以下のCu、1%以下のMn、58%から63%のNi、0.5%以下のSi、0.015%以下のS、および残部はFeである。
【0057】
変形可能な構造を有する第1の中間ピース3の第1の実施例が図2に示される。このピースは、ろう付けされる水平領域11、15および同心の起伏を形成するように互いに続く傾斜領域10を有する変形可能なシート3を含む。シート3は、また、軸Aのまわりに実質的に円形である内側水平領域11と、内側領域11のまわりに実質的に環状で同軸であり、上記内側領域の直径より大きな直径で、および少なくとも1つの中間環状水平領域13が領域11、15間に同軸に位置する外側水平領域15とを有する。これらの領域11、13、15は、軸Aのまわりに回転対称を表す傾斜領域10によって相互に連結されている。内側水平領域11は、金属ピース1にろう付けされ、一方、外側水平領域15は、第2の中間ピース5にろう付けされ、またはその逆も同様である。中間起伏(領域10、13によって形成された)は自由なままである。
【0058】
他の実施形態(図示せず)では、中間ピース3は、コンサーティーナ構成に折り重ねられた複数のテープから構成され、中央固定点のまわりに放射状に配置されることが好ましい。これらのテープは、上記固定点のまわりの複数の半径方向に配置され、それによって、同心の起伏の配置を構成する。
【0059】
図3に示される他の実施例において、変形可能な構造は、合わせて取り付けられるためのピース1、5の表面に実質的に平行な主面を有する円形に配置された渦巻バネ3を含む複数のピースによって構成され、その結果、これらの表面がスプリングの側面にある。この構造は、また、円形スプリング3(図3に示されない)および上記表面に平行な軸の中心に配置された直線形状の少なくとも1つの渦巻バネを含んでいてもよい。
【0060】
本発明のアセンブリは、ターボ機械、より詳細にはターボジェットで使用されることが可能である。
【0061】
したがって、本発明は、上記されるような少なくとも1つのアセンブリを含むターボ機械ノズルに関してもよく、ここで、金属ピースは、ノズルのケーシングまたはレバーであり、セラミック材料ピースは、ノズルのフラップである。
【0062】
本発明は、また、上記されるような少なくとも1つのアセンブリを含むターボ機械燃焼チャンバに関し、ここで、金属ピースは、ケーシング、ガスケット、または、より一般的には、チャンバの構成部品であり、上記セラミック材料ピースは、チャンバの他の構成部品である。
【0063】
本発明は、また、ターボ機械用ポスト燃焼装置に関し、装置は、上記されるような少なくとも1つのアセンブリを含み、ここで、金属ピースは、ポスト燃焼ケーシングまたはプラットフォームであり、セラミック材料ピースは、フレームホルダアームである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態のアセンブリの概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態のアセンブリの概略図である。
【図3】本発明の第3の実施形態のアセンブリの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ピース(1)と、SiCおよび/またはC系セラミック材料からなるセラミック材料ピース(7)とのアセンブリであって、
前記金属ピース(1)、
第1の中間ピース(3)、
第2の中間ピース(5)、および
前記セラミック材料ピース(7)をろう付けすることにより、この順に2つずつ合わせて取り付けられた要素を含む積層構造を含み、
第2の中間ピース(5)が、他のセラミック材料からなり、SiCまたはCよりも金属に対して化学的に反応性でなく、前記金属ピース(1)を構成する材料より小さな膨張係数を示し、
第1の中間ピース(3)が、金属からなり、変形して前記金属ピース(1)と第2の中間ピース(5)との膨張差に対する補償を行うのに適することを特徴とする、アセンブリ。
【請求項2】
第2の中間ピース(5)が、前記セラミック材料ピース(7)より大きな剛性および/または破壊強度を示すことを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記セラミック材料ピース(7)が、中実SiCからなることを特徴とする、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記セラミック材料ピース(7)が、セラミックマトリックス複合材料からなることを特徴とする、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記複合材料が、SiCおよび/またはCのファイバによって強化されたSiCおよび/またはC系マトリックスであることを特徴とする、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記金属ピース(1)が、NiまたはCo系合金からなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
第2の中間ピース(5)が、AlNまたはムライトからなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
第1の中間ピース(3)が、NiまたはNi系合金、またはCoまたはCo系合金からなることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
第1の中間ピース(3)を金属ピース(1)および/または第2の中間ピース(5)に取り付けるために、第1のろう付け組成物(2)が使用され、前記第1の組成物が、Ni系であり、10%未満または約10%のTi原子パーセントを含むとともに、前記第1の組成物は、Fe、CrおよびSiの元素を含むことが好ましいことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のろう付け組成物(2)は、第2の中間ピース(5)がAlNからなる場合、原子パーセントで3%から6%のTiを含み、第2の中間ピース(5)がムライトからなる場合、6%から10%のTiからなることを特徴とする、請求項7および9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
第1の中間ピース(3)を金属ピース(1)および/または第2の中間ピース(5)に取り付けるために、第1のろう付け組成物(2)が使用され、前記第1の組成物が、Pd系およびNi系であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
AlNまたはムライトからなる第2の中間ピース(5)をSiCおよび/またはC系セラミック材料ピース(7)に取り付けるために、第2のろう付け組成物(6)が使用され、前記第2の組成物がSi系であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第2のろう付け組成物(6)が、実質的に、原子パーセントで60%から97%のSiおよび40%から3%のZrを含み、好ましくはZrSiとSiの共融混合物であることを特徴とする、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記第2のろう付け組成物(6)が、実質的に、原子パーセントで78%から97%のSiおよび22%から3%のPrを含み、好ましくはPrSiとSiの共融混合物であることを特徴とする、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記第1の中間ピース(3)が、延性金属材料の層からなることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記第1の中間ピース(3)が、変形可能な構造を含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記変形可能な構造が、例えば、ろう付けされた水平領域とともに、同心の起伏の形態で、変形可能な領域を示す変形可能なシートからなることを特徴とする、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
2つのピースをろう付けにより合わせて取り付けるためのろう付け組成物(6)であって、
ピース(7)のうちの1つが、SiCおよび/またはC系セラミックからなり、他のピース(5)が、SiC、C、AlNまたはムライト系セラミックからなり、組成物が、PrSiとSiの混合物によって実質的に構成され、Siが原子パーセントで多数を占め、Prが少数を占めることを特徴とする、ろう付け組成物。
【請求項19】
PrSiとSiの前記混合物が、原子パーセントで、78%から97%のSiおよび22%から3%のPrを含み、好ましくはPrSiとSiの共融混合物であることを特徴とする、請求項18に記載のろう付け組成物(6)。
【請求項20】
第1のステップにおいて、前記セラミックピース(7)および第2の中間ピース(5)が、第2のろう付け組成物(6)を用いて合わせてろう付けされ、第2のステップにおいて、第2の中間ピース(5)、第1の中間ピース(3)および金属ピース(1)が、第2のろう付け組成物(6)より低い溶融温度を有する第1のろう付け組成物(2)を用いて合わせてろう付けされることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のアセンブリを製造する方法。
【請求項21】
前記セラミックピース(7)、第2の中間ピース(5)、第1の中間ピース(3)および前記金属ピース(1)が、単一ステップで合わせてろう付けされることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のアセンブリを製造する方法。
【請求項22】
請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアセンブリを含むターボ機械。
【請求項23】
前記金属ピース(1)が、前記ノズルのケーシングまたはレバーであり、前記セラミック材料ピース(7)が、前記ノズルのフラップである、請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアセンブリを含むターボ機械ノズル。
【請求項24】
前記金属ピース(1)が、ケーシング、ガスケットまたは前記チャンバの構成部品であり、前記セラミック材料ピース(7)が、前記チャンバの他の構成部品である、請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアセンブリを含むターボ機械燃焼チャンバ。
【請求項25】
前記金属ピース(1)が、ポスト燃焼ケーシングまたはプラットフォームであり、セラミック材料ピース(7)が、フレームホルダアームである、請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアセンブリを含むターボ機械のポスト燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−518270(P2009−518270A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543882(P2008−543882)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【国際出願番号】PCT/FR2006/051318
【国際公開番号】WO2007/066052
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【出願人】(596048569)コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク (53)
【出願人】(508125874)
【Fターム(参考)】