説明

金属材料の欠陥検査装置

【課題】金属材料を連続的に送りながら、金属材料の表面や内部に生じる欠陥を検査することができる金属材料の欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】金属材料1を表面に載置して、長手方向D1に金属材料1を連続して搬送する搬送装置9と、金属材料1の欠陥を検出するため、金属材料1の表面と対向するように列状に配置された複数の検出器2を有する検出ヘッド3と、金属材料1の上方において検出ヘッドを支持すると共に、幅方向D2に検出ヘッド3を往復移動させる支持装置8とを備える。これにより、金属材料の欠陥検査装置は、金属材料1を連続的に送りながら、金属材料1の表面や内部に生じる欠陥を検査することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属材料の表面や内部に生じる欠陥を検査する、金属材料の欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料の欠陥検査装置は、金属材料の表面や内部に生じる傷や異物等の欠陥を検査する。一般的には、金属材料の送り方向と直角な方向に検出器が一走査する毎に、検出器は所定の時間停止する。検出器が所定の時間停止している間に、金属材料を載置している機台は、検出器の停止時間に同期して、金属材料の表面に対し間欠的に検出器の幅の長さだけ移動する。これを繰り返すことで、金属材料の欠陥検査装置は、金属材料の表面や内部に生じる欠陥を検査することができる。
【0003】
特許文献1には、金属面の欠陥を検査する検出器を、検査方向に対し直交する方向に往復移動させると共に、一つの走査毎に走査端にて短時間停止し、検出器が走査端に停止する時間に同期して検出器の幅長さ分だけ金属面と検出器とを相対的に移動させる金属面の欠陥検出方法が開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されている方法によれば、検出器を検査方向に対し直交する方向に往復移動させる動作と、金属材料の検査方向に金属面と検出器を相対的に移動させる動作とを交互に行うことで、金属材料を載置している機台の走行に伴う振動が、検査データに影響することがなく、ノイズの少ない検査データを得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−133363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている方法によれば、検出器は次の一連の動作を繰り返す。まず機台が停止した状態で、金属材料の送り方向と直角な方向に検出器は走査する。検出器が走査を終えた後、検出器は停止する。検出器が停止した後、機台は走行する。機台が所定の距離だけ走行した後、機台は停止する。再び、機台が停止した状態で、金属材料の送り方向と直角な方向に検出器は走査する。
【0007】
この一連の動作は、検査対象である金属材料が連続的に送られる場合には、適用することができない。この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、金属材料を連続的に送りながら、金属材料の表面や内部に生じる欠陥を検査することができる金属材料の欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に基づいた金属材料の欠陥検査装置は、金属材料を表面に載置して、上記金属材料を連続して第1の方向に搬送する搬送装置と、上記金属材料の欠陥を検出するため、上記金属材料の表面と対向するように列状に配置された複数の検出器を有する検出ヘッドと、上記金属材料の上方において上記検出ヘッドを支持すると共に、上記第1の方向に略直交する第2の方向に上記検出ヘッドを往復移動させる支持装置と、を備え、上記支持装置は、上記第1の方向と平行な方向である第1の姿勢と、上記第1の姿勢と略直交する第2の姿勢とに上記検出ヘッドを回転可能に支持する回転機構を含んでいる。
【0009】
上記発明の他の形態においては、上記金属材料の表面と上記検出器との間の距離を検知する位置センサと、上記位置センサにより得られた情報に基づいて、上記検出ヘッドを上下方向に移動させ、上記距離が一定になるように上記検出ヘッドを制御する昇降機構とをさらに備えている。
【0010】
上記発明の他の形態においては、上記搬送装置は、上記検出ヘッドの、上記金属材料が搬送される上記第1の方向の前方および後方に配置され、上記金属材料を上下方向から挟み込むローラーである。
【0011】
上記発明の他の形態においては、上記ローラーの回転角度を検出するためのエンコーダをさらに備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金属材料を連続的に送りながら、金属材料の表面や内部に生じる欠陥を検査することができる金属材料の欠陥検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1における金属材料の欠陥検査装置の構成を示し、検出ヘッドが第1の姿勢に支持された状態を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1における金属材料の欠陥検査装置の構成を示し、検出ヘッドが第2の姿勢に支持された状態を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1において、検出ヘッドが第1の姿勢に支持された状態のときの検出器の軌跡を、模式的に示す平面図である。
【図4】実施の形態1において、検出ヘッドが第2の姿勢に支持された状態のときの検出器の軌跡を、模式的に示す平面図である。
【図5】実施の形態2における金属材料の欠陥検査装置の構成を示す斜視図である。
【図6】実施の形態3における金属材料の欠陥検査装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に基づいた各実施の形態における金属材料の欠陥検査装置について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0015】
(実施の形態1)
(金属材料の欠陥検査装置の構成)
図1および図2を参照して、本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態における検出ヘッド3が、第1の姿勢P1に支持された状態を示している。図2は、本実施の形態における検出ヘッド3が、第2の姿勢P2に支持された状態を示している。検出ヘッド3、第1の姿勢P1、および第2の姿勢P2について、詳細は後述する。
【0016】
まず図1を参照して、本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置は、搬送装置9と、検出ヘッド3と、支持装置8とを備えている。搬送装置9は、金属材料1を表面に載置する。搬送装置9は、金属材料1を表面に載置した状態で、金属材料1を連続して第1の方向D1(紙面左下方向)に搬送する。本実施の形態にかかる第1の方向D1は、金属材料1の長手方向に相当している。以下、第1の方向D1を、長手方向と称する。
【0017】
検出ヘッド3は、金属材料1の欠陥を検出するための複数の検出器2、2を有している。検出器2、2は、下面において金属材料1の欠陥を検出することができる。検出ヘッド3は、金属材料1の表面と検出器2、2の下面とを対向させるように、検出器2、2を列状に配置する。検出器2、2は1列に配置されていてもよいが、列状であれば2列以上であってもよい。金属材料1の表面だけでなく内部も含めて欠陥を検出するため、検出器2、2には、渦電流探傷(ET)または超音波(UT)等の非破壊検査方式の検出器を用いる。
【0018】
支持装置8は、金属材料1の上方において検出ヘッド3を支持する。検出ヘッド3が支持されることで、検出器2、2は金属材料1の表面と所定の間隔を空けて対向することができる。支持装置8は、長手方向(第1の方向D1)に略直交する第2の方向D2に、検出ヘッド3を往復移動させる。本実施の形態にかかる第2の方向D2は、金属材料1の幅方向に相当している。以下、第2の方向D2を、幅方向と称する。
【0019】
支持装置8は、検出ヘッド3を回転可能に支持する。支持装置8は、検出ヘッド3を長手方向(第1の方向D1)と平行な方向である第1の姿勢P1に支持する。また、支持装置8は、検出ヘッド3を第1の姿勢P1と略直交する第2の姿勢P2(図2参照)に支持する。第2の姿勢P2では、検出ヘッド3は幅方向(第2の方向D2)と平行に支持される(図2参照)。
【0020】
再び図1を参照して、支持装置8の構成について、より具体的に説明する。支持装置8は、回転機構4と、梁5と,リニアガイド6、6と、支持台7とを含んでいる。
【0021】
回転機構4は、金属材料表面と直交する方向に、回転の中心軸を有している。回転機構4は、検出ヘッド3を回転可能に支持している。回転機構4は、金属材料1の表面と平行な面上に、検出ヘッド3を回転させる。より具体的には、回転機構4は、金属材料1の表面と平行な面上に、列状に配置される検出器2、2を回転させる。回転機構4は、検出ヘッド3を第1の姿勢P1および第2の姿勢P2に回転させる。回転機構4は、検出ヘッド3を回転させる動力としてモータなどを含んでいるとよい。
【0022】
梁5は、金属材料1の長手方向(第1の方向D1)と平行な方向に延びて設けられている。回転機構4は、梁5の中央部側面に支持されている。
【0023】
リニアガイド6、6は、金属材料1の幅方向(第2の方向D2)と平行な方向に、並んで設けられている。梁5は、リニアガイド6、6の間の上方において橋を形成するように設けられている。リニアガイド6,6は、梁5を摺動可能に支持している。リニアガイド6、6は、長手方向に所定の間隔を空けて並んで設けられている。リニアガイド6、6が長手方向に所定の間隔を空けて並んで設けられているため、検出ヘッド3は幅方向に往復移動でき、かつ回転機構によって回転することができる。
【0024】
支持台7は、金属材料1を跨ぐように、金属材料1の上方においてリニアガイド6、6を上面に支持している。支持台7が金属材料1を跨ぐように、金属材料1の上方においてリニアガイド6、6を支持することにより、検出器2、2の下面は、検出ヘッド3、回転機構4、梁5、リニアガイド6、6を介して金属材料1の表面と所定の間隔を空けて対向することができる。
【0025】
(動作:第1の姿勢)
図1〜図4を参照して、本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置の動作について説明する。まず図1および図3を参照して、検出ヘッド3が第1の姿勢P1に支持された状態について説明する。図1を参照して、金属材料1の表面全体を検査する場合には、検出器2、2が並ぶ方向と金属材料1の長手方向とが平行になるように、支持装置8は検出ヘッド3を第1の姿勢P1に支持する。
【0026】
このとき、検出ヘッド3が金属材料1の表面全体を検査できるようにする。具体的には図1および図3を参照して、金属材料1の幅W(mm)、金属材料1の送り速度S(mm/s)、複数の検出器2、2の長手方向の検出可能長さL(mm)を用いた場合、検出ヘッド3が幅方向に往復運動する速度Sp(mm/s)は、Sp=2×S×W/Lの式を満足するようにする。
【0027】
図3を参照して、金属材料1の表面全体を検査した場合、検出器2、2の軌跡群R1が描かれる。この軌跡群R1は、長手方向(第1の方向D1)に搬送される金属材料1に対して、幅方向(第2の方向D2)にのみ往復移動する検出ヘッド3によって金属材料1の表面に描かれる軌跡を模式的に表している。このとき、検出ヘッド3は、第1の姿勢P1に支持されている。
【0028】
図3の中では、説明の便宜上、4つの検出器2、2から構成される検出ヘッド3を示しているが、検出器2、2は4つに限られない。検出器2、2の軌跡を線状に記載しているが、実際は検出器2、2の大きさの分だけ所定の幅を持った軌跡が描かれる。検出ヘッド3の幅を、検出器2、2の検出可能長さLと表している。また、検出ヘッド3が等速度運動で往復移動している場合を示しているが、実際には加減速、S字近似等のパターンで往復移動している。
【0029】
上述のような構成によれば、支持装置8が、検出ヘッド3を第1の姿勢P1に支持しつつ、速度Spで往復移動させることにより、検出器2、2が金属材料1の表面全体を検査できるようになる。特に、幅Wが長い場合や、配置する検出器2、2の数が少ない場合であっても、上述のような構成によれば、検出ヘッド3が金属材料1の表面全体を検査できるようになる。
【0030】
換言すると、上述のような構成によれば、配置する検出器2、2の数が少なくてもよい。たとえば、金属材料1の幅W(mm)<検出器2、2の長手方向の検出可能長さL(mm)となるように検出器2、2の数を少なくする。この場合であっても、検出ヘッド3が速度Spで往復移動することにより、検出ヘッド3が金属材料1の表面全体を検査することができる。結果として、設備規模を小さくしたり、製造コストを削減したりすることが可能となる。
【0031】
(動作:第2の姿勢)
次に図2および図4を参照して、検出ヘッド3が第2の姿勢P2に支持された状態について説明する。図2を参照して、金属材料1の表面の部分的な領域を検査する場合には、検出器2、2の並び方向と金属材料1の幅方向とが平行になるように、支持装置8は検出ヘッド3を第2の姿勢P2に支持する。
【0032】
このとき、図2および図4を参照して、金属材料1の幅W(mm)、複数の検出器2、2の長手方向の検出可能長さL(mm)を用いた場合、検出ヘッド3は、距離W−L(mm)だけ幅方向に往復運動すればよい。
【0033】
図4を参照して、金属材料1の表面の部分的な領域を検査する場合、検出器2、2の軌跡群R2が描かれる。この軌跡群R2は、長手方向(第1の方向D1)に搬送される金属材料1に対して、幅方向(第2の方向D2)にのみ往復移動する検出ヘッド3によって金属材料1の表面に描かれる軌跡を模式的に表している。このとき、検出ヘッド3は、第2の姿勢P2に支持されている。
【0034】
図3と同様に、図4の中でも、説明の便宜上、検出器2、2の軌跡を線状に記載しているが、実際は検出器2、2の大きさの分だけ所定の幅を持った軌跡が描かれる。検出ヘッド3の幅を、検出器2、2の検出可能長さLと表している。また、検出ヘッド3が等速度運動で往復移動している場合を示しているが、実際には加減速、S字近似等のパターンで往復移動している。
【0035】
第2の姿勢P2によれば、第1の姿勢P1に比べて検出ヘッド3が往復移動する距離が短い。より具体的には、検出ヘッド3の往復移動に必要な距離は、片道の場合、全域検出時と比べて、W−(W−L)=L(mm)、つまり検出ヘッド3の長さ分だけ短い距離で済むことになる。したがって、第2の姿勢P2によれば、金属材料1の表面の部分的な領域を検査する場合、第1の姿勢P1に比べてより短い時間で検査をすることが可能となる。
【0036】
再び図4を参照して、金属材料1の表面のより限定的な領域を検査する場合には、支持装置8が検出ヘッド3を第2の姿勢P2に支持した状態で、検出器2、2のうち一部の検出器2(2A)のみを使用(いわゆる間引き使用)すればよい。一部の検出器2Aのみを使用することで、部分検査において欠陥を検出し、欠陥の位置を特定するために必要な時間を短くすることができる。
【0037】
この間引き使用は、支持装置8が検出ヘッド3を第1の姿勢P1に支持した状態で適用してもよい。具体的には、再び図3を参照して、金属材料1の表面の部分的な領域を検査する場合には、支持装置8が検出ヘッド3を第1の姿勢P1に支持した状態で、検出器2、2のうち一部の検出器2(2A)のみを使用すればよい。一部の検出器2Aのみを使用することで、部分検査において欠陥を検出し、欠陥の位置を特定するために必要な時間を短くすることができる。
【0038】
(効果)
本実施の形態にかかる金属材料の欠陥検査装置によれば、搬送装置9が金属材料1を連続して長手方向(第1の方向D1)に搬送している。支持装置8は、金属材料1の連続的なこの動きと同期させることなく、検出ヘッド3を幅方向(第2の方向D2)に往復移動させる。このため、金属材料1を連続的に送りながら、金属材料1の表面や内部に生じる欠陥を検査することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態にかかる金属材料の欠陥検査装置によれば、支持装置8が第1の姿勢P1と第2の姿勢P2とに検出ヘッド3を回転可能に支持している。このため、目的に応じてこれらを自由に選択し、金属材料1の表面全体を検査したり、部分的な領域を検査したりすることが可能となる。
【0040】
なお、支持装置8は、第1の姿勢P1と第2の姿勢P2とに検出ヘッド3を支持すると説明したが、これら以外の姿勢に検出ヘッド3を支持してもよい。第1の姿勢P1において、検出器2、2が金属材料1の表面を検出できる範囲は最も広く、金属材料1の表面の全体を検出することもできる。第2の姿勢P2において、検出器2、2が金属材料1の表面を検出できる範囲は最も小さくなる。したがって、所望の検出範囲に応じて、支持装置8は、第1の姿勢P1と第2の姿勢P2との間の任意の姿勢に検出ヘッド3を支持してもよい。
【0041】
(実施の形態2)
図5を参照して、本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置の構成について説明する。本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置は、実施の形態1の構成に加え、位置センサ11と昇降機構10とをさらに備えている。
【0042】
位置センサ11は、金属材料1の表面と検出器2、2との間の距離を検知する。位置センサ11は、検出ヘッド3に埋設されているとよい。昇降機構10は、位置センサ11により得られた情報に基づいて、上下方向D3に検出ヘッド3を移動させる。このとき、検出ヘッド3は、昇降機構10を介して梁5に取り付けられているとよい。昇降機構10は、金属材料1の表面と検出器2、2との間の距離が一定になるように、検出ヘッド3の高さを制御する。
【0043】
上述のとおり、金属材料の送り方向(検査方向)とは直交する方向へ検出器を往復移動させる動作と、金属材料の送り方向(検査方向)に金属面と検出器を相対的に移動させる動作とを交互に行うと、金属材料を載置している機台の走行に伴う振動が、検査データに影響することがなく、ノイズの少ない検査データを得ることが可能となる(特許文献1)。この検査方法によれば、検出器が往復移動するときには機台が走行していないため、ノイズの影響が少ない欠陥の検出が可能とされている。ところが、検出器自身の走査により発生するノイズに対する影響は残る。
【0044】
本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置によれば、位置センサ11の検出値に応じて昇降機構10を駆動させ、検出器2と金属材料1のすき間(クリアランス)を一定に保つようにする。このため、検出ヘッド3が往復移動したときに、リニアガイド6から受ける振動によるノイズを抑えることが可能となる。結果として、金属材料の表面や内部に生じる欠陥を、より精度良く検査することが可能となる。
【0045】
(実施の形態3)
図6を参照して、本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置の構成について説明する。本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置と、実施の形態1または実施の形態2とは、搬送装置9において相違する。本実施の形態にかかる搬送装置9は、ローラー12、12である。
【0046】
ローラー12、12は、金属材料1が搬送される長手方向(第1の方向D1)において、検出ヘッド3の前方および後方に配置するとよい。ローラー12、12は、金属材料1を上下方向D3から挟み込みながら、金属材料を連続して第1の方向D1に搬送する。
【0047】
ローラー12、12は、金属材料1を上下方向D3から挟み込むことで、金属材料1の高さ方向の動きを拘束する。このため、金属材料1が搬送されるときに、搬送装置9(ローラー12、12)から受ける振動によるノイズを押させることが可能となる。結果として、金属材料の表面や内部に生じる欠陥を、より精度高く検査することが可能となる。
【0048】
特に、実施の形態2にかかる搬送装置9に対して、ローラー12、12を適用することで、位置センサ11により検出ヘッド3が往復移動したときにリニアガイド6から受ける振動によるノイズを抑えることが可能となるだけでなく、搬送装置9(ローラー12、12)から受ける振動によるノイズを押させることも可能となる。結果として、金属材料の表面や内部に生じる欠陥を、より精度良く検査することが可能となる。
【0049】
(実施の形態3の他の構成)
再び図6を参照して、本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置の構成について説明する。本実施の形態における金属材料の欠陥検査装置は、実施の形態3の構成に加え、ローラー12、12の回転角度を検出するためのエンコーダ13をさらに備えている。
【0050】
エンコーダ13には、サーボモータに使用されるような回転軸に設置する光学式位置検出センサを用いるとよい。エンコーダ13は、ローラー12、12の回転位置(もしくは回転量)を検出する。
【0051】
エンコーダ13を備えていない場合について考える。たとえば、上記の各実施の形態の構成によれば、欠陥の有無、検出ヘッド3や金属材料1の送り速度、および欠陥を発見した時間などから、欠陥の位置情報を算出し、実際の欠陥の位置を特定することができる。これは、検出を開始した位置から、経過した時間と送り速度とを基に、相対的な位置情報として欠陥の位置情報を算出し、実際の欠陥の位置を特定することができる。
【0052】
一方、本実施の形態のようなエンコーダ13を用いることで、検出器2、2によって検出した欠陥の有無情報と、ローラー12、12の回転位置から算出される欠陥の位置情報とを結びつけることで、実際の欠陥の位置を特定することができる。エンコーダ13を用いることで、上記の各実施の形態の構成に比べてより迅速かつより高精度に欠陥の位置を特定することができる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 金属材料、2,2A 検出器、3 検出ヘッド、4 回転機構、5 梁、6 リニアガイド、7 支持台、8 支持装置、9 搬送装置、10 昇降機構、11 位置センサ、12 ローラー、13 エンコーダ、D1 長手方向(第1の方向)、D2 幅方向(第2の方向)、D3 上下方向、P1 第1の姿勢、P2 第2の姿勢、R1,R2 軌跡群、S,Sp 速度、W 幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料を表面に載置して、前記金属材料を連続して第1の方向に搬送する搬送装置と、
前記金属材料の欠陥を検出するため、前記金属材料の表面と対向するように列状に配置された複数の検出器を有する検出ヘッドと、
前記金属材料の上方において前記検出ヘッドを支持すると共に、前記第1の方向に略直交する第2の方向に前記検出ヘッドを往復移動させる支持装置と、
を備え、
前記支持装置は、前記第1の方向と平行な方向である第1の姿勢と、前記第1の姿勢と略直交する第2の姿勢とに前記検出ヘッドを回転可能に支持する回転機構を含む、
金属材料の欠陥検査装置。
【請求項2】
前記金属材料の表面と前記検出器との間の距離を検知する位置センサと、
前記位置センサにより得られた情報に基づいて、前記検出ヘッドを上下方向に移動させ、前記距離が一定になるように前記検出ヘッドを制御する昇降機構と、
をさらに備える、請求項1に記載の金属材料の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記検出ヘッドの、前記金属材料が搬送される前記第1の方向の前方および後方に配置され、前記金属材料を上下方向から挟み込むローラーである、
請求項1または2に記載の金属材料の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記ローラーの回転角度を検出するためのエンコーダをさらに備える、
請求項3に記載の金属材料の欠陥検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−17656(P2011−17656A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163527(P2009−163527)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】