説明

金属用クロムフリー表面処理剤及び表面処理金属材料

【課題】 各種金属に塗布し、素材との密着性、耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性、潤滑性、端面防錆性及び加工部耐食性に優れたクロムを含まない金属表面処理剤を得る。
【解決手段】 ジルコニウム化合物、SiO、Al、MgO及びTiOのゾル及びAlのリン酸化合物を特定の割合に配合することを特徴とする金属表面処理剤、また、Mn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物を、また、さらに酸化剤、ポリエチレングリコール型界面活性剤及びアセチレン系ジオール組成物、水系有機樹脂エマルジョン及び水溶性有機樹脂を配合した金属表面処理剤。また、これら表面処理剤で表面処理した金属材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は金属、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金板、マグネシウムまたはマグネシウム合金板、チタンまたはチタン合金板、ニッケルまたはニッケル合金板、銅または銅合金板、亜鉛または亜鉛合金板、錫または錫合金板、珪素鋼板、ステンレス等、また、鋼材においても冷延鋼板、黒皮熱延鋼板、酸洗熱延鋼板、厚板、形鋼、パイプ、線材等に、また、Zn、Ni、Cu、Fe、Al、Co、Ti、Mg、Mn、Sn等の金属の1種を鋼板にめっきしためっき鋼板、或いはこれら金属の2種或いは3種以上をめっきした合金めっき鋼板等に、また、これら金属被塗工物の金属体等の表面に塗布、乾燥することにより、素材と優れた密着性を示し、かつ、極めて優れた耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性、端面防錆性及び潤滑性を示すクロムフリーの表面処理皮膜を形成する表面処理剤並びに表面処理皮膜を有する金属材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
亜鉛めっき鋼板を始めとする各種めっき鋼板、アルミニウムを始めとする各種金属板等各種金属材料は耐食性及び塗料密着性を改善するために、一般にクロメート処理が行われている。クロメート処理は形成された皮膜に6価クロムが存在するが、6価クロムは強い酸化作用を有し、体内に入り細胞を破壊すると共に発癌性物質でもある。そこで最近では環境及び公害問題から、クロム(特に6価クロム)に関する規制が世界規模で大幅に強化されようとしている。
【0003】
それに応じてクロムを用いない、所謂クロムフリー表面処理剤の開発が行われ、従来から多種の皮膜組成物が知られている。無機化合物を主成分とする組成物としては例えば特開2000−345355はシリカとジルコニアの混合物からなり、シリカとジルコニアの量比が、SiO:55〜99wt%、ZrO:45〜1wt%であることを特徴とし、自動車アルミニウム部品、熱交換機のアルミニウム部品などの溶接部分や加工面の保護膜として使用することを推奨している。
【0004】
特開2000−282256はジルコニウム化合物と亜鉛化合物を亜鉛/ジルコニウムの重量比0.01〜1の量で配合することを特徴とするアルミニウム用クロムフリー防錆処理剤である。特開2000−199077は金属アセチルアセトネートと、水溶性無機チタン化合物及び水溶性無機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を1:5000〜5000:1の重量比で含有することを特徴とする。特開2001−355079はタンニンまたはタンニン酸とキレート剤を主成分とするアルミニウム材料用表面処理剤である。特開2005−008948はリチウム化合物と炭酸化合物と、及び過硫酸、硝酸、亜硝酸、及び臭素酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウム塩化合物から選ばれた少なくとも1種である酸化剤を含むことを特徴とする。特開2004−183015はバナジウム化合物(A)、コバルト、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びリチウムより選ばれた金属を含む金属化合物(B),及び任意的に、ジルコニウム、チタニウム、モリブデン、タングステン、マンガン及びセリウムから選ばれる金属を含む金属化合物(C)を含有することを特徴とする。また、有機樹脂と各種無機化合物を組み合わせたものとして特開2001−081392、特開2000−204485、特開2003−313681等を挙げることが出来る。
【0005】
例えば亜鉛めっきを始めとする各種めっき鋼板の生産ライン或いはアルミニウム及びアルミニウム合金の生産ラインではクロメートは100℃以下で5〜15秒の短時間で乾燥する場合が多い。クロメートに代えてクロムフリー表面処理剤を導入する場合、100℃以下で短時間乾燥ができれば新たに設備投資をする必要が無く、導入が極めて容易である。上記公知技術はいずれも低温(100℃以下)、かつ、短時間(1〜15秒)で乾燥することにより素材との密着性、耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性、端面防錆性及び潤滑性に優れた皮膜を形成することができず、それを可能にするものは現在皆無であり、いずれも実用化に至っていない。
【0006】
これに対し、本願発明は上記従来の技術の欠点を解決し、金属材料に極薄く塗布し、低温・短時間で乾燥することにより素材と優れた密着性を示し、かつ、極めて優れた耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性、端面防錆性及び潤滑性を確保できるクロムフリー表面処理剤を提供することを第一の目的とするものであり、また、これらクロムフリー表面処理皮膜を有する金属材料を提供することを第二の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本願発明は(1)ジルコニウム化合物100重量部に対し、SiO、Al、MgO及びTiOのゾル(コロイド)の1種或いは2種以上を10〜2000重量部配合し、ジルコニウム化合物及び配合したSiO、Al、MgO及びTiOのゾルの1種或いは2種以上の合計量100重量部に対し、Alのリン酸化合物を10〜500重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤であり、また、(2)前記(1)記載の表面処理剤に表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対しMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物の1種或いは2種以上を1〜100重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤であり、また、(3)前記(1)及び(2)記載の表面処理剤に表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し酸化剤の1種あるいは2種以上を0.1〜100重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤であり、また、(4)前記(1)、(2)及び(3)記載の表面処理剤に表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対しポリエチレングリコール系界面活性剤及びアセチレン系ジオール組成物の1種或いは2種を0.05〜5.0重量部配合することを特徴とする表面処理剤であり、また、(5)前記(1)、(2)、(3)及び(4)記載の表面処理剤に水系有機樹脂エマルジョンあるいは水溶性樹脂を全固形分に対し重量濃度で5〜98%配合することを特徴とする表面処理剤であり、また、(6)金属材料の上に、前記(1)又は(2)又は(3)又は(4)又は(5)のいずれかの金属表面処理剤を塗布し形成した皮膜の付着量が0.05〜10.0g/m有することを特徴とする表面処理金属材料である。
【0008】
ジルコニウム化合物とSiO、Al、MgO及びTiOのゾル(コロイド)の1種或いは2種以上を特定の割合に配合すると塗料密着性及び塗膜耐食性が改善される。さらにAlのリン酸化合物を特定の割合配合すると耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性及び電着塗膜耐食性が向上すると共に、素材金属(例えば溶融亜鉛めっき鋼板)との密着性に優れ、かつ、潤滑性に優れた皮膜が形成される。しかもこれら皮膜は低温・短時間乾燥で形成することが出来る。また、Mn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物の1種或いは2種以上を配合すると耐食性、塗膜耐食性及び端面防錆性が大幅に向上する。また、酸化剤を特定量配合すると耐食性はさらに向上する。また、ポリエチレングリコール系界面活性剤及びアセチレン系ジオール組成物の1種或いは2種を特定量配合すると耐食性、塗料密着性及び塗膜耐食性がさらに向上する。また、水系有機樹脂エマルジョン或いは水溶性樹脂を配合すると加工部及び端面部の耐食性が向上する。
【0009】
本願発明者等はジルコニウム化合物とSiO、Al、MgO及びTiOのゾルの1種或いは2種以上及びAlのリン酸化合物の三者を特定の割合に配合すると延性の付与された緻密で強靭な皮膜が形成出来る領域があることを発見した。しかも形成された皮膜は塗膜を始め多くの有機物と強く結合する性質を有することを発見した。一般に無機化合物はリン酸塩皮膜(化成皮膜)など極限られたもの以外は有機物との密着性はかなり悪い。表面処理の世界では塗膜との密着性を上げる方法としてOH基を有する有機物を混合し皮膜の中にOH基を導入することによって改善することが通常行われている。本願発明により形成された化合物は無機化合物であるにも拘わらず塗膜等有機物との結合力が極めて強くリン酸塩皮膜を遙かに凌ぎ、OH基を導入した皮膜や有機皮膜同士の結合おも大幅に凌ぐもので無機化合物としては他に全く例を見ない。
【0010】
本願発明によるジルコニウム化合物とSiO、Al、MgO及びTiOのゾルの1種或いは2種以上及びAlのリン酸化合物の三者を特定の割合に配合して形成された化合物と有機物との間に極めて強い結合力が生まれるのは、本願発明による三者が配位結合して特定の配位化合物を形成し、その際強力なファンデアワールス力が生まれることにより、有機物と強固に結合するものと思われる。
【0011】
本願発明により形成された化合物は緻密で強靭な皮膜を形成し、かつ、有機物と強く結合する優れた特性を有することから金属に塗布すると素材との密着性、耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性等の特性が付与されることになる。以下本願発明に使用するジルコニウム化合物、SiO、Al、MgO及びTiOのゾル及びAlのリン酸化合物の配合割合によって形成された皮膜特性がどのように変化するかを示す。
【0012】
ジルコニアゾル(ジルコニウム化合物)とシリカゾルの配合割合を変えた液を作成し、2者の固形分の合計量100重量部に対し第一リン酸アルミニウムを25重量部配合した液を溶融亜鉛めっき鋼板に0.3g/m(乾燥後の固形分)塗布し、60℃で乾燥した場合の皮膜について素材(溶融亜鉛めっき)との密着性、耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性について調べた。
【0013】
ジルコニアゾル100重量部に対し、シリカゾルを10〜2000重量部配合すると塗料密着性及び塗膜耐食性は向上し、この割合から外れると塗料密着性及び塗膜耐食性は著しく低下する。また、ジルコニアゾルとシリカゾルの両者の配合割合が変わっても素材との密着性、耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性は大きくは変わらない。SiOゾルの替わりにAl、MgO及びTiOのゾルを用いてもほぼ同様の結果が得られた。また、これら化合物の2種以上を配合してもほぼ同様の結果が得られた。
【0014】
以上の結果からジルコニアゾル100重量部に対し、SiO、Al、MgO及びTiOのゾルの1種又は2種以上を10〜2000重量部配合する必要がある。
【0015】
次にジルコニアゾル100重量部に対しシリカゾル100重量部配合し、ジルコニアゾルとシリカゾルの合計量100重量部に対し第一リン酸アルミニウムを種々の割合で配合した液を作成した。これら表面処理液を溶融亜鉛めっき鋼板に0.3g/m(乾燥後の固形分)塗布し、60℃で乾燥して皮膜を形成した。第一リン酸アルミニウムは各皮膜特性に大きな影響を与えジルコニアゾルとシリカゾルの合計量100重量部に対し第一リン酸アルミニウムを10重量部以上配合すると素材との密着性及び耐食性は向上する。また、第一リン酸アルミニウムを10〜500重量部配合すると塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性は著しく向上し、10重量部未満及び500重量部超で低下する。SiOゾルの替わりにAl、MgO及びTiOのゾル用いても、或いはこれら化合物の2種以上を用いてもジルコニアゾルと配合したこれら化合物の合計量100重量部に対し第一リン酸アルミニウムを10〜500重量部配合するとほぼ同様の結果が得られた。また、第一リン酸アルミニウムの替わりに他のAlのリン酸化合物を用いてもほぼ同様の結果が得られた。
【0016】
以上の結果からジルコニアゾルとSiO、Al、MgO及びTiOのゾルの1種又は2種以上を配合した混合液において、液中の全ての化合物の合計量100重量部に対しAlのリン酸化合物を10〜500重量部配合する必要がある。
【0017】
次にジルコニアゾル100重量部に対し、シリカゾル100重量部配合し、ジルコニアゾルとシリカゾルの合計量100重量部に対し第一リン酸アルミニウム80重量部配合した。この液の全固形分100重量部に対しリン酸Coを種々の割合で配合した表面処理液を溶融亜鉛めっき鋼板に0.3g/m(乾燥後の固形分)塗布し、60℃で乾燥して皮膜を形成した。リン酸Coを1.0重量部以上配合すると耐食性、塗膜耐食性及び端面防錆性はさらに向上する。また、100重量部超配合すると耐食性、塗膜耐食性、端面防錆性及び塗料密着性が低下する。電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性はリン酸Coの添加によって特に大きな影響を受けない。Co化合物の替わりにMn化合物、Cu化合物及びNi化合物を用いてもほぼ同様の結果が得られた。また、これら化合物の2種以上を配合してもほぼ同様の結果が得られた。
【0018】
以上の結果本願発明による表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対しMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物の1種或いは2種以上を1.0〜100重量部配合する必要がある。
【0019】
本願発明による表面処理剤にMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物の1種或るいは2種以上を配合すると耐食性、塗膜耐食性及び端面防錆性がさらに向上するメカニズムは次の通りである。すなわちMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物は本願発明によるジルコニウム化合物とSiO、Al、MgO及びTiOのゾルの1種或いは2種以上及びAlのリン酸化合物の三者によって形成された化合物に対してのみ修飾化合物として機能し網目構造をとることが判った。これに対し本願発明以外の他の化合物に対しは修飾化合物として機能せず、従って網目構造を取らないことが判った。ここで網目構造を取ると強靭で、かつ、より緻密な皮膜が形成される。このように本願発明により形成された化合物にMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物以外の化合物が共存しても、或は本願発明以外の化合物にMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物が共存しても網目構造を取らず、本願発明により形成された化合物にMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物が共存した場合のみ網目構造を形成し、強靭で、かつ、より緻密な皮膜が形成されることを発見した。一方、腐食環境下に置かれた場合、Mn、Cu、Ni及びCoは腐食因子(例えばClイオン)との結合が強いため塗膜の疵部や端面から拡散してきたClイオンと優先的に結合し(塩化物を形成する)、Clイオンの内部への侵入を極力抑制する。このように皮膜の緻密化と腐食因子の捕獲により腐食因子の皮膜内部への進入を抑制することにより耐食性、塗膜耐食性及び端面防錆性が向上するものと思われる。また、配合量が多すぎると皮膜の造膜性及び塗料密着性を阻害するため大量の腐食因子の進入を許すこととになり耐食性、塗膜耐食性及び端面防錆性は逆に低下する。
【0020】
次にジルコニアゾル100重量部に対し、シリカゾル100重量部配合し、ジルコニアゾルとシリカゾルの合計量100重量部に対し第一リン酸アルミニウム80重量部配合した。この液の全固形分100重量部に対し硝酸を種々の割合で配合した表面処理液を溶融亜鉛めっき鋼板に0.3g/m(乾燥後の固形分)塗布し、60℃で乾燥して皮膜を形成した。硝酸を0.1重量部以上配合すると耐食性はさらに向上する。また、100重量部超配合すると耐食性が低下する。塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性は硝酸の添加によって特に大きな影響を受けない。硝酸以外の酸化剤を用いてもほぼ同様の結果が得られた。また、酸化剤の2種以上を併用してもほぼ同様の結果が得られた。また、Mn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物が酸化機能を有する場合、これら化合物と新たに配合する酸化剤との合計量が0.1〜100重量部であれば良い。
【0021】
以上の結果表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し酸化剤の適性配合量は0.1〜100重量部である。
【0022】
ここで本願発明に酸化剤を配合すると耐食性が向上するのは次の通りである。すなわち、本願発明におけるジルコニウム化合物、SiO、Al、MgO及びTiOのゾル及びAlのリン酸化合物を特定の割合に配合するとこれら三者が吸着あるいは反応して新たな化合物が形成されるが、酸化剤を配合すると本願発明における新たな化合物が形成する反応を促進する、所謂反応促進剤としての機能を果たすものと思われる。
【0023】
次にジルコニアゾル100重量部に対し、シリカゾル50重量部配合し、ジルコニアゾルとシリカゾルの合計量100重量部に対し第一リン酸アルミニウム50重量部配合した。この液の全固形分100重量部に対し、ポリエチレングリコール型界面活性剤を種々の割合で配合した表面処理液を溶融亜鉛めっき鋼板に0.4g/m(乾燥後の固形分)塗布し、80℃で乾燥して皮膜を形成した。ポリエチレングリコール型界面活性剤を0.05重量部以上配合すると耐食性、塗料密着性及び塗膜耐食性がさらに向上する。また、5.0重量部超配合すると耐食性、塗料密着性及び塗膜耐食性共に低下する。また、ポリエチレングリコール型界面活性剤の替わりにアセチレン系ジオール組成物を用いても或いは両者を共存して用いてもほぼ同様の結果が得られた。また、ポリエチレングリコール型界面活性剤或いはアセチレン系ジオール組成物の添加によって電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性は特に大きく左右されない。
【0024】
以上の結果、本願発明におけるポリエチレングリコール型界面活性剤及びアセチレン系ジオール組成物の1種或いは2種の適性配合量は表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し、0.05〜5.0重量部配合する必要がある。
【0025】
ここでポリエチレングリコール型界面活性剤及び/又はアセチレン系ジオール組成物を本願発明における化合物に配合すると耐食性、塗料密着性及び塗膜耐食性がさらに向上するメカニズムについて現時点で必ずしも明確ではないが次のように考えられる。すなわち、本願発明におけるジルコニウム化合物、SiO、Al、MgO及びTiOのゾル及びAlのリン酸化合物を特定の割合に配合するとこれら三者が吸着あるいは反応して新たな化合物が形成されるが、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤及び/又はアセチン系ジオール組成物を共存するとポリエチレングリコール型界面活性剤及び/又はアセチレン系ジオール組成物が触媒としての機能を発揮し、三者による新たな化合物が形成する反応を促進するものと思われる。また、新たな化合物が形成された後化合物の表面に吸着しレベリング性を改善し、いずれの金属に対しても欠陥のない皮膜を形成することに寄与するものと思われる。
【0026】
本願発明の表面処理剤は上記無機系化合物の構成成分で耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性を大幅に改善できるが、さらに、本願発明の表面処理剤に造膜性を有する水系有機樹脂エマルジョン或いは水溶性樹脂を特定量配合することにより、加工部及び端面部の耐食性をさらに向上することが出来る。
【0027】
次にジルコニアゾル100重量部に対し、シリカゾル80重量部配合し、ジルコニアゾルとシリカゾルの合計量100重量部に対し第一リン酸アルミニウム100重量部配合した。この液に、水系アクリル樹脂エマルジョンを種々の割合で配合した表面処理液を溶融亜鉛めっき鋼板に0.3g/m(乾燥後の固形分)塗布し、100℃で乾燥して皮膜を形成した。全固形分に対する水系アクリル樹脂エマルジョンの割合が5%未満では加工部耐食性及び端面防錆性が低下する。98.0%超では加工部耐食性及び端面防錆性共大幅に低下する。水系アクリル樹脂エマルジョン以外の造膜性を有する水系有機樹脂エマルジョン或は水溶性樹脂を用いても同様の結果が得られた。
【0028】
以上の結果本願発明における水系有機樹脂エマルジョン或は水溶性樹脂の配合割合は表面処理剤に含まれる全固形分に対し重量濃度で5%以上98.0%未満とする。
【0029】
ここで本願発明の表面処理剤に造膜性を有する水系有機樹脂エマルジョン或は水溶性樹脂を配合すると加工部及び端面部の耐食性が大幅に向上するのは次の通りである。一般に有機樹脂に無機化合物を配合すると無機化合物は不純物となり有機樹脂同士の結合を弱め皮膜強度は低下する。また、さらに多い場合は造膜できない。これに対し本願発明により形成された化合物は有機物と極めて強く結合する機能を有するため、共存する有機樹脂と強く結合する。その結果、強靭な皮膜が形成され過酷な加工に耐える皮膜が形成され、加工部の耐食性が向上する。また、同時に形成された皮膜は緻密化するため端面部における腐食因子の進入を極力抑制するため端面部の耐食性は著しく向上する。こうした現象は本願発明以外の無機化合物と有機樹脂との間では全く認められず、本願発明により形成される化合物と有機樹脂とによって初めて認められる全く新しい現象である。
【0030】
本願発明で言うジルコニウム化合物とはジルコニアゾル、水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸カルシウム及びジルコン酸ストロンチュウム等を挙げることが出きるがジルコニアゾルが好ましい。
【0031】
本願発明で言うAlのリン酸化合物とは第一リン酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、リン酸2水素アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、弗化アルミニウム、蓚酸アルミニウム、蟻酸アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、亜硫酸水素アルミニウム、珪酸アルミニウム、重蓚酸アルミニウム、重フッ化アルミニウム、炭酸水素アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、ヘキサメチレン酸アルミニウム、ポリメタリン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウム等の化合物が挙げられ、特に第一リン酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、リン酸2水素アルミニウムが好ましい。
【0032】
本願発明で言うMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物とはリン酸Mn、リン酸Cu、リン酸Ni、リン酸Co、硝酸Mn、硝酸Cu、硝酸Ni、硝酸Co、硫酸Mn、硫酸Cu、硫酸Ni、硫酸Co、炭酸Mn、炭酸Cu、炭酸Ni、炭酸Co、水酸化Mn、水酸化Cu、水酸化Ni、水酸化Coなどを使用できる。また、Mn、Cu、Ni及びCoの酢酸塩、蟻酸塩、乳酸塩、蓚酸塩、ステアリン酸塩等の化今物も使用出来る。中でも硝酸塩で使用するのが好ましい。
【0033】
本願発明で言う酸化剤とはHNO、N、N、NO、Cu(NO、AgNO、NHNO、BaO、FeCl、CuSO、Cu(CHCOO)、Hg(CHCOO)、Bi(CHCOO)、AgO、CuO、Bi、HMnO及びMnOが挙げられ、特にHNO、HMnO及びMnOが好ましい。また、これらの1種あるいは2種以上を使用しても良い。
【0034】
本願発明でいうポリエチレングリコール型界面活性剤は非イオン型、アニオン型、カチオン型いずれでも良いが、非イオン型が最も良い。また、アセチレン系ジオール組成物はアセチレン系のジオール化合物であれば何れでも良い。
【0035】
本願発明において使用する樹脂及び/又はその前駆体の内、樹脂としては、ポリアクリル酸エステル及びその共重合体、ポリメタリン酸エステル及びその重合体、ポリスチレン及びその共重合体、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体、ポリアクリロニトリル及びその共重合体、ポリ塩化ビニル及びその共重合体、ポリビニルピロリドン及びその共重合体、ポリブタジエン及びその共重合体樹脂、ポリイソプレン及びその共重合体樹脂、ポリオプレン及びその共重合体、ポリエチレン及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共重合体などの二重結合含有化合物の重合体やポリエチレンオキサイド及びその共重合体、ポリプロピレンオキサイド及びその共重合体、ポリテトラメチレンオキサイド及びその共重合体、ポリエチレンイミン及びその共重合体など開環重合型樹脂が挙げられる。これらの前駆体としてはこれら樹脂のモノマーやオリゴマーが挙げられる。
【0036】
重縮合系樹脂としてはポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、これらの共重合体などが挙げられ、前駆体としてはこれらのモノマーやオリゴマーが挙げられる。付加重合系樹脂としてはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前駆体としてはエポキシ化合物、イソシアネート化合物やそのブロック体、などが挙げられる。また、ポリエステルポリアミド、ポリウレタン変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、アクリル変性ポリウレタンなどの樹脂変性物が挙げられる。
【0037】
本願発明において、樹脂及び/又はその前駆体は処理液中に溶解、又は分散した状態で含まれる。溶剤は有機系溶剤か水系溶剤を特に選ぶものではないが、通常、処理液は水系の溶剤が用いられるため、樹脂は水に溶解または分散している形態が好ましい。
【0038】
これらの樹脂及び/またはその前駆体の中でも、本発明の処理液としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリウレタン樹脂、アクリル変性ポリエステルポリウレタン樹脂が好ましい。
【0039】
以上の結果からジルコニウム化合物100重量部に対し、SiO,Al、MgO及びTiOのゾルの1種又は2種以上を10〜2000重量部配合し、ジルコニウム化合物と配合したSiO,Al、MgO及びTiOゾルの1種又は2種以上の合計量100重量部に対しAlのリン酸化合物を10〜500重量部配合する金属表面処理剤とする。
【0040】
また、さらに本願発明による上記表面処理剤において表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し、Mn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物の1種或いは2種以上を1.0〜100重量部配合する金属表面処理剤とする。
【0041】
また、さらに本願発明による上記2種類の表面処理剤において表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し、酸化剤を0.1〜100重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤とする。
【0042】
また、さらに本願発明による上記3種類の表面処理剤において表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し、ポリエチレングリコール型界面活性剤及びアセチレン系ジオール組成物の1種或いは2種を0.05〜5.0重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤とする。
【0043】
また、さらに本願発明による上記4種類の表面処理剤において造膜性を有する水系有機樹脂エマルジョン或いは水溶性樹脂を全固形分に対し重量濃度で5〜98%配合した表面処理剤とする。
【0044】
本願発明の表面処理剤は酸性の方がより効果が発揮され、素材との密着性、耐食性、塗料密着性及び塗膜耐食性のより優れた皮膜が形成される。特にpHが1.5〜6.0で良好な結果が得られる。
【0045】
本願発明の表面処理剤は必要に応じてレベリング剤、消泡剤、潤滑剤、増粘剤等の併用が可能である。また、各種水系樹脂や水系エマルジョン樹脂等を配合することも出来る。
【0046】
本願発明の表面処理剤の皮膜量は0.05g/m以上で優れた素材との密着性、耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性が得られる。上限は特に制限は無いが経済的観点から10.0g/mとする。
【0047】
また、本願発明による表面処理剤を各種金属に塗布するには、ロールコーター、スプレー塗装、刷毛塗り、浸漬塗装、カーテンフロー等いずれの塗装方法を使用しても良い。
【0048】
本願発明における表面処理剤は100℃以下の低温乾燥が可能である。ここで従来のクロメートの乾燥温度は100℃以下が一般的であるが、本願発明は従来のアルミニウム製造ライン或いは各種めっき鋼板製造ラインにおけるクロメートのセクションで処理し、クロメートの乾燥装置をそのまま使用出来るため、導入が容易である。従って本願発明の汎用化に際しての経済的効果は極めて大きい。
【0049】
一方、本願発明における表面処理剤は100℃以上の高温乾燥も可能である。乾燥温度を高めればそれに応じて耐食性は向上する。例えば、230℃で乾燥すれば付着量を下げてもかなり優れた素材との密着性及び耐食性が得られ、しかも塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性がそのまま維持された超高耐食性クロムフリー表面処理金属材料を得ることが出来る。
【0050】
本願発明はこれまで、溶融亜鉛めっき鋼板に処理した場合を主に述べてきた。しかし、本願発明は金属、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金板、マグネシウムまたはマグネシウム合金板、チタンまたはチタン合金板、ニッケルまたはニッケル合金板、銅または銅合金板、亜鉛または亜鉛合金板、錫または錫合金板、珪素鋼板、ステンレス等、また、鋼材においても冷延鋼板、黒皮熱延鋼板、酸洗熱延鋼板、厚板、形鋼、パイプ、線材などに適用できる。また、Zn、Ni、Cu、Fe、Al、Co、Ti、Mg、Mn、Sn等の金属の1種を鋼板にめっきしためっき鋼板、或いはこれら金属の2種或いは3種以上をめっきした合金めっき鋼板などに適用できる。また、これら金属被塗工物に塗布、乾燥することにより、素材と優れた密着性を示し、かつ、極めて優れた耐食性、塗料密着性及び塗膜耐食性を示すクロムフリーの表面処理皮膜を有する金属材料を提供することが出きる。
【0051】
本願発明の用途としては、クロムを使用しない無公害の表面処理剤であることから、飲料缶、食缶及び雑缶を始めとする容器材料や玩具類などに使用することができる。また、電気洗濯機、テレビ、パソコン、ワープロ等を始めとする家電用部品あるいは事務用部品、屋根・壁材あるいはガードレール、各種鉄柱等を始めとする建材用部材の各種部品などを挙げることが出来る。また、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性に優れていることから溶融亜鉛めっき鋼板(GI)及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)に処理して優れた自動車用鋼板(ボデイ使用)を容易に製造出来る。また、形成された皮膜は優れた絶縁性を示し、且つ、焼鈍前後において素材と優れた密着性を示すことから電磁鋼板(珪素鋼板)、中でも無方向性電磁鋼板用コーテイング剤として使用することも出来る。さらに、造船用部材、厚板や形鋼より形成された橋梁形鋼、線材より形成されたワイアーロープ類、パイプより形成された各種輸送用配管、冷延鋼板より形成されるスチール家具類、あるいは黒皮熱延鋼板、酸洗熱延鋼板より形成されるドラム缶を始めとする容器類、コンテナを始めとするボックス、車両用部材などを挙げることが出来る。
【実施例】
【0052】
以下、実施例について詳しく述べる。
評価方法は次の通りである。
(1)素材との皮膜の密着性:本願発明の表面処理剤を処理した金属材料を0T曲げし、曲げ部をセロハンテープ剥離し、曲げ部の皮膜の剥離状態を10倍ルーペで観察する。◎:剥離無し、○:剥離個所0%超〜2%、△:剥離個所2%超〜10%、×:剥離個所10%超〜50%、××:剥離個所50%超
(2)耐食性:腐食試験はJIS−Z−2371規格に準拠した塩水噴霧試験により(塩水濃度5%、槽内温度35℃、噴霧圧力20PSI)発錆状況を示し、◎、○、△、×、××の5段階で評価した。◎:錆発生率0%、○:錆発生率0%超〜1%、△:錆発生率1%超〜10%、×:錆発生率10%超〜50%、××:錆発生率50%超。
【0053】
(3)塗料密着性:塗料との密着性は得られた表面処理皮膜上にメラミン系低温焼き付け塗料(焼き付け温度:110℃)を焼き付け後20μとなるようにスプレー塗装し、その後沸騰水に5時間浸漬し、取出後1mmゴバン目に塗膜をカットしテープ剥離して、塗膜の剥離面積を評価した。◎:塗膜剥離面積0%、○:塗膜剥離面積0%超〜1%、△:塗膜剥離面積1%超〜10%、×:塗膜剥離面積10%超〜50%、××:塗膜剥離面積50%超
(4)塗膜耐食性:塗膜耐食性は得られた表面処理皮膜上にメラミン系低温焼付塗料(焼付温度:110℃)を焼付後20μとなるようにスプレー塗装し、その後塗膜にカッターでクロス状に疵を入れ、腐食試験を実施した。腐食試験はJIS−Z−2371規格に準拠した塩水噴霧試験を500時間実施し、クロスカット部をテープ剥離し、塗膜の剥離幅を測定した。◎:剥離幅0mm、○:剥離幅0mm超〜2mm、△:剥離幅2mm超〜5mm、×:剥離幅5mm超〜10mm、××:剥離幅10mm超。
【0054】
(5)端面防錆性:端面防錆性は得られた表面処理皮膜上にメラミン系低温焼付塗料(焼付温度:110℃)を焼付後20μとなるようにスプレー塗装し、その後塗装したサンプルをシャーでせん断し、腐食試験を実施した。腐食試験はJIS−Z−2371規格に準拠した塩水噴霧試験を500時間実施し、せん断部からの塗膜の最大膨れ幅を測定した。◎:膨れ幅0〜1.0mm、○:膨れ幅1mm超〜2mm、△:膨れ幅2mm超〜5mm、×:膨れ幅5mm超〜10mm、××:膨れ幅10mm超。
(6)曲げ加工部耐食性:曲げ加工部耐食性は得られた表面処理皮膜上にメラミン系低温焼付塗料(焼付温度:110℃)を焼付後20μとなるようにスプレー塗装し、その後塗装したサンプルを0T曲げ加工し、、腐食試験を実施した。腐食試験はJIS−Z−2371規格に準拠した塩水噴霧試験を500時間実施し、曲げ加工部における腐食面積を測定した。◎:腐食面積0〜5.0%、○:腐食面積5.0%超〜10%、△:腐食面積10%超〜20%、×:腐食面積20%超〜50%、××:腐食面積50%超。
【0055】
(7)電着塗装性:得られた表面処理皮膜上にカチオン電着塗料(電着電圧:230V、焼付温度:170℃)を焼付後20μとなるように電着塗装し、焼付後の電着塗膜の外観を肉眼観察した。◎:鮮映性良好、表面欠陥(肌荒れ、ピンホール等)無し。○:鮮映性良好、表面欠陥僅か発生。△:鮮映性やや良好、表面欠陥一部発生、×:鮮映性不良、表面欠陥発生。××:鮮映性不良、表面欠陥多数発生。
(8)電着塗膜耐食性:得られた表面処理皮膜上に(7)と同一条件でカチオン電着した電着塗膜にカッターでクロス状に疵を入れ、腐食試験を実施した。腐食試験は50℃の5%食塩水に10日間浸漬しクロスカット部をテープ剥離し電着塗膜の剥離幅を測定した。◎:剥離幅1mm以下、○:剥離幅1mm超〜2mm、△:剥離幅2mm超〜5mm、×:剥離幅5mm超〜10mm、××:剥離幅10mm超。
【0056】
(9)潤滑性(加工性):得られた表面処理鋼板をドロービード試験(摺動試験)で潤滑性(加工性)を評価した。試験条件は▲1▼ダイスの形状:R=5R▲2▼引っ張り条件:距離100mm、幅30mm、スピード20mm/min▲3▼圧力:250kgf▲4▼摺動回数:1回。◎:摺動抵抗0.25μ以下、○:0.25μ超〜0.29μ以下 △:0.29超〜0.40μ以下×:0.40超〜0.50μ以下 ××:0.50μ超
【0057】
(10)層間抵抗:得られた表面処理鋼板をJIS2550の第2項に準じて測定した。測定は焼鈍前後で行った。焼鈍条件は▲1▼雰囲気:高純度N▲2▼温度:750℃±20℃▲3▼冷却条件:750℃から200℃まで2時間かけて冷却する。
【0058】
(11)焼鈍前後の皮膜の密着性:得られた表面処理鋼板を焼鈍前後において10、20、30mmφに曲げ、曲げ部をセロハンスコッチテープで剥離試験を実施し、皮膜の剥離状態を肉眼観察した。◎:剥離皆無 ○:僅か剥離 △:一部剥離 ×:かなり剥離 ××:全面剥離
【実施例1】
【0059】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/lとシリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:STO−UP)50g/l配合した浴に第一リン酸アルミニウム(市販品)37.5g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.4g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例2】
【0060】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)50g/l、アルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)100g/l、MgOゾル(市販品)20g/l及びTiOゾル(市販品)30g/l配合した浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)100g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例3】
【0061】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)100g/lとシリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−O)10g/l配合し浴に第一リン酸アルミニウム(市販品)50g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.4g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例4】
【0062】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)10g/l、アルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル520)30g/l、MgOゾル(市販品)30g/l及びTiOゾル(市販品)30g/l配合し浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)300g/l配合した表面処理剤をアルミニウム合金板(Mg:4.2%)に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.4g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例5】
【0063】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/lに対し、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)9g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)20g/l配合した浴にリン酸水素アルミニウム(市販品)3.9g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.5g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例6】
【0064】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−O)9g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル200)30g/l配合した浴にリン酸水素アルミニウム(市販品)245g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例7】
【0065】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)10g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル200)20g/l配合した浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)20g/l及び硝酸Co(市販品)20g/l配合した表面処理剤を合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe12.5%−Zn87.5%)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例8】
【0066】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)10g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル200)20g/l配合した浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)20g/l及び硝酸Ni(市販品)40g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板(GI)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例9】
【0067】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)10g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル200)20g/l配合した浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)20g/l、硝酸Cu(市販品)10g/l及び硝酸Mn10g/l配合した表面処理剤を冷延鋼板に塗布し、230℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例10】
【0068】
酸化ジルコニウム(市販品)50g/l、MgOゾル(市販品)10g/lとTiOゾル(市販品)40g/l配合した浴にリン酸水素アルミニウム(市販品)37.5g/l配合し、さらに硝酸(市販品)を0.15g/l配合した表面処理剤を銅板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例11】
【0069】
酸化ジルコニウム(市販品)50g/l、MgOゾル(市販品)10g/lとTiOゾル(市販品)40g/l配合した浴にリン酸水素アルミニウム(市販品)37.5g/l配合し、さらに硝酸(市販品)を13.75g/l配合した表面処理剤を銅板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例12】
【0070】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)10g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル200)20g/l配合した浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)20g/l、リン酸Ni(市販品)40g/l及び硝酸(市販品)5g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板(GI)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例13】
【0071】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)45g/l、第一リン酸アルミニウム(市販品)40g/l配合した浴に、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.07g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例14】
【0072】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)35g/l、第一リン酸アルミニウム(市販品)42.5g/l配合した浴にさらにアセチレン系ジオール組成物(エアープロダクツジャパン社製品、商品名:サーフィノ−ルS−SE)1.27g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.4g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例15】
【0073】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)30g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)20g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)37.5g/l配合した浴に、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)1.37g/l及びアセチレン系ジオール組成物(エアープロダクツジャパン社製品、商品名:サーフィノ−ルS−SE)5.5g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.4g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例16】
【0074】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)10g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル200)20g/l配合した浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)20g/l、リン酸Co(市販品)40g/l及び硝酸(市販品)5g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)1.5g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板(GI)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例17】
【0075】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)50g/l、リン酸水素アルミニウム(市販品)75g/l配合した表面処理剤をステンレス鋼板(SUS304)に塗布し、230℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.4g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例18】
【0076】
水酸化ジルコニウム(市販品)50g/l、MgOゾル(市販品)25g/l及びTiOゾル(市販品)25g/l、リン酸水素アルミニウム(市販品)17.5g/l配合した表面処理剤をマグネシウム合金板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例19】
【0077】
硝酸ジルコニウム(市販品)35g/l、TiOゾル(市販品)65g/l、リン酸2水素アルミニウム(市販品)75g/l配合した表面処理剤をニッケル板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.5g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例20】
【0078】
硝酸ジルコニウム(市販品)50g/l、アルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)20g/l、TiOゾル(市販品)30g/l及びワン酸水素アルミニウム(市販品)95g/l配合し、さらに硝酸(市販品)を19.5g/l配合した表面処理剤をチタン板に塗布し、250℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.2g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例21】
【0079】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)45g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)55g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)40.0g/l配合した表面処理剤を錫めっき鋼板(ブリキ)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0、3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例22】
【0080】
ジルコニアゾル(第−稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)55g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)45g/l、アルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名ニアルミナゾル100)100g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)125g/l配合した表面処理剤を電気亜鉛めっき鋼板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.5g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例23】
【0081】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)55g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−O)45g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)30g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.5g/l配合した表面処理剤をZn−Al合金めっき鋼板(Al55%−Zn45%)に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.2g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例24】
【0082】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)20g/l及びTiOゾル(市販品)20g/l、第一リン酸アルミニウム(市販品)250g/l配合した表面処理剤を酸洗熱延鋼板に塗布し、50℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.7g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例25】
【0083】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)35g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)35g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)30g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)125g/l配合し、さらに硝酸(市販品)2.25g/l及びポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合した表面処理剤をステンレス(SUS304)に塗布し、300℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.2g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例26】
【0084】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)50g/l及びTiOゾル(市販品)35g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)135g/l配合し、さらに硝酸(市販品)27g/l及びアセチレン系ジオール組成物(エアープロダクツジャパン社製品、商品名:サーフィノ−ルS−SE)0.95g/l配合した表面処理剤をステンレス(SUS304)に塗布し、250℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.2g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例27】
【0085】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)35g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)15g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)37.5g/l配合し、さらに硝酸(市販品)0.5g/l、ポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l及びアセチレン系ジオール組成物(エアープロダクツジャパン社製品、商品名:サーフィノ−ルS−SE)5.5g/l配合した表面処理剤をアルミニウム板に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.4g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例28】
【0086】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)5.5g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)4.5g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)40.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)10.0g/l配合した浴に水系アクリル樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業社製品、商品名:ボンコートCQ8690)を3.5g/l配合した表面処理剤をZn−Al合金めっき鋼板(Al55%−Zn45%)に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.1g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例29】
【0087】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)1.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)0.75g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)5.25g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)1.75g/l配合した浴に水系アクリル樹脂エマルジョン(市販品)を200.0g/l配合した表面処理剤をアルミニウム板に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例30】
【0088】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)2.75g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)2.25g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)1.0g/l、硝酸Ni1.0g/l、硝酸Cu1.0g/l及びポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.2g/l配合し、さらに水系アクリル樹脂(市販品)を135.0g/l配合した表面処理剤をZn−Al合金めっき鋼板(Al55%−Zn45%)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.7g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例31】
【0089】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)2.75g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)2.25g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)2.0g/l、硝酸Co1.0g/l及びポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.2g/l配合し、さらに水系アクリル樹脂(市販品)を138.7g/l配合した表面処理剤をアルミニウム板に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.7g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例32】
【0090】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)27.5g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)22.5g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)50.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)42.5g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合した表面処理剤を合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe12.5%−Zn87.5%)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.2g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例33】
【0091】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)27.5g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)22.5g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)100.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)42.5g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例34】
【0092】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)27.5g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)22.5g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)50.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)42.5g/l及び硝酸Co(市販品)37.5g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合した表面処理剤を合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe12.5%−Zn87.5%)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例35】
【0093】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)25.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)25.0g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)75.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)100.0g/l及び硝酸Ni(市販品)50.0g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例36】
【0094】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)5.0g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)100.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)150.0g/l、硝酸Co(市販品)50.0g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.5g/l配合した表面処理剤を無方向性電磁鋼板に塗布し、150℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mとなるように皮膜を形成した。
【実施例37】
【0095】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)25.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)25.0g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)125.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)50.0g/l、硝酸Co(市販品)37.5g/l、ポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合し、さらに水系アクリル樹脂(大日本インキ化学工業社製品、商品名:ボンコートCQ8690)を47.9g/l配合した表面処理剤を無方向性電磁鋼板に塗布し、150℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例1】
【0096】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)100g/lとシリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)5g/l配合した液に第一リン酸アルミニウム(市販品)40g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.5g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例2】
【0097】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)1.0g/lとシリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)210g/l配合した浴に第一リン酸アルミニウム(市販品)60g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.5g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例3】
【0098】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/lとシリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)50g/l配合した浴に第一リン酸アルミニウム(市販品)5g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.5g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例4】
【0099】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)50g/lとシリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)50g/l配合した浴に第一リン酸アルミニウム(市販品)550g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.5g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例5】
【0100】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)10g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル200)20g/l配合した浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)20g/l、硝酸Co(市販品)0.4g/l配合した表面処理剤を冷延鋼板に塗布し、130℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例6】
【0101】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)10g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル200)20g/l配合した浴にリン酸2水素アルミニウム(市販品)20g/l、硝酸Co(市販品)110g/l配合した表面処理剤を冷延鋼板に塗布し、130℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例7】
【0102】
酸化ジルコニウム(市販品)50g/l、MgOゾル(市販品)10g/l及びTiOゾル(市販品)40g/l配合した浴にリン酸水素アルミニウム(市販品)37.5g/l配合し、さらに硝酸(市販品)を0.03g/l配合した表面処理剤を銅板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例8】
【0103】
酸化ジルコニウム(市販品)50g/l、MgOゾル(市販品)10g/l及びTiOゾル(市販品)40g/l配合した浴にリン酸水素アルミニウム(市販品)37.5g/l配合し、さらに硝酸(市販品)を150g/l配合した表面処理剤を銅板に塗布し、70℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例9】
【0104】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)55g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)45g/l配合した浴に第一リン酸アルミニウム(市販品)40g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.025g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例10】
【0105】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)30g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)27.5g/l配合した浴に第一リン酸アルミニウム(市販品)40g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)5.0g/l及びアセチレン系ジオール組成物(エアープロダクツジャパン社製品、商品名:サーフィノ−ルS−SE)2.5g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、80℃で乾燥し乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例11】
【0106】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)5.5g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)4.5g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)40.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)10.0g/l配合した浴に水系アクリル樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業社製品、商品名:ボンコートCQ8690)を2.5g/l配合した表面処理剤をZn−Al合金めっき鋼板(Al55%−Zn45%)に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.1g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例12】
【0107】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)1.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)0.75g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)1.25g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)1.75g/l配合した浴に水系アクリル樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業社製品、商品名:ボンコートCQ8690)を500.0g/l配合した表面処理剤をアルミニウム板に塗布し、90℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例13】
【0108】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)55.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)1.0g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)2.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)400.0g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合した表面処理剤を合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe12.5%−Zn87.5%)に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.2g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例14】
【0109】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)100.0g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)200.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)25.0g/l配合し、さらにポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合した表面処理剤を溶融亜鉛めっき鋼板に塗布し、80℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が0.3g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例15】
【0110】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)100.0g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)300.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)10.0g/l、ポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合した表面処理剤を無方向性電磁鋼板に塗布し、150℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mとなるように皮膜を形成した。
【比較例16】
【0111】
ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業社製品、商品名:ZSL20N)10.0g/l、シリカゾル(日産化学工業社製品、商品名:ST−OUP)100.0g/l及びアルミナゾル(日産化学工業社製品、商品名:アルミナゾル100)200.0g/l及び第一リン酸アルミニウム(市販品)15.0g/l、ポリエチレングリコール型界面活性剤(サンノブコ社製品、商品名:SNW366)0.8g/l配合し、さらに水系アクリル樹脂エマルジョン(市販品)を69.11g/l配合した表面処理剤を無方向性電磁鋼板に塗布し、150℃で乾燥し、乾燥後の皮膜が1.0g/mをなるように皮膜を形成した。
【比較例17】
【0112】
アルミニウム板に市販のリン酸クロメートを処理し、90℃で乾燥した。乾燥後のリン酸クロメートの付着量は0.25g/mであった。
【比較例18】
【0113】
アルミニウム合金板(Mg:4.2%)に市販のリン酸クロメートを処理し、90℃で乾燥した。乾燥後のリン酸クロメートの付着量は0.18g/mであった。
【比較例19】
【0114】
ステンレス板(SUS304)に市販のクロメートを処理し、90℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で120mg/mであった。
【比較例20】
【0115】
マグネシウム合金板に市販のクロメートを処理し、70℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で80mg/mであった。
【比較例21】
【0116】
ニッケル板に市販のクロメートを処理し、120℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で45mg/mであった。
【比較例22】
【0117】
銅板に市販のクロメートを処理し、80℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で35mg/mであった。
【比較例23】
【0118】
チタン板に市販のクロメートを処理し、80℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で55mg/mであった。
【比較例24】
【0119】
冷延鋼板に市販のクロメートを処理し、250℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で25mg/mであった。
【比較例25】
【0120】
錫めっき鋼板に重クロム酸カリ浴で電解処理し、80℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で5mg/mであった。
【比較例26】
【0121】
電気亜鉛めっき鋼板に市販の塗布型クロメート処理し、80℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で35mg/mであった。
【比較例27】
【0122】
溶融亜鉛めっき鋼板に市販の塗布型クロメート処理し、80℃で乾燥した。乾燥後のクロメートの付着量はCr換算で25mg/mであった。
【比較例28】
【0123】
Zn−Al合金めっき鋼板(Al55%−Zn45%)に市販の樹脂型クロメート処理し、80℃で乾燥した。乾燥後のクロメート皮膜の付着量は1.8g/mであった。
【比較例29】
【0124】
無方向性電磁鋼板に市販の樹脂型クロメート(樹脂17.5%)処理し、320℃で乾燥した。乾燥後の樹脂型クロメート皮膜の付着量は1.0g/mであった。
【0125】
【表1】

【0126】

【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
【表5】

【0131】

【0132】
【表6】

【表7】

【表8】

【0133】
実施例1、2及び3と比較例1及び2との比較から明らかなようにジルコニアゾル100重量部に対しSiO、Al,MgO及びTiOのゾルの1種或いは2種以上の適性配合割合は10〜2000重量部であり、10重量部未満或いは2000重量部超では耐食性、皮膜密着性、塗料密着性及び塗膜耐食性は大幅に低下する。
【0134】
実施例5及び6と比較例3及び4との比較からジルコニアゾルと配合したSiO、Al,MgO及びTiOのゾルの1種或いは2種以上の合計量100重量部に対するAlのリン酸化合物の適性配合割合は10〜500重量部であり、10重量部未満或いは500重量部超では耐食性、皮膜密着性、塗料密着性及び塗膜耐食性は大幅に低下する。
【0135】
実施例9と比較例5及び6との比較からMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物の1種或いは2種以上の適性配合割合は1〜100重量部であり、金属表面処理剤の全固形分100重量部に対しMn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物の1種或いは2種以上を1〜100重量部配合することにより耐食性、塗膜耐食性及び端面防錆性は著しく向上する。
【0136】
実施例10及び11と比較例7及び8との比較から硝酸の適性配合割合は0.1〜100重量部であり、金属表面処理剤の全固形分100重量部に対し硝酸を0.1〜100重量部配合することにより耐食性は向上する。
【0137】
実施例13、14及び15と比較例9及び10との比較からポリエチレングリコール型界面活性剤及びアセチレン系ジオール組成物の1種或いは2種の適性配合割合は0.05〜5.0重量部であり、金属表面処理剤の全固形分100重量部に対しポリエチレングリコール型界面活性剤及びアセチレン系ジオール組成物の1種或いは2種を0.05〜5.0重量部配合することにより形成された皮膜の耐食性、塗料密着性及び塗膜耐食性はさらに向上する。
【0138】
実施例28、29、30及び31と比較例11及び12との比較から水系アクリル樹脂エマルジョンの適性配合割合は5〜98%であり、全固形分に対し5〜98%配合することにより端面防錆性及び加工部耐食性が向上する。
【0139】
実施例7、8、32、33、34及び35と比較例13及び14との比較から明らかなように本願発明による金属表面処理剤は電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性が大幅に向上する。
【0140】
実施例36、37と比較例15、16との比較から明らかなように本願発明による金属表面処理剤は焼鈍前及び後何れにおいても層間抵抗及び素材との皮膜密着性が大幅に向上する。
【0141】
実施例1、4、7、9、10、17、18、19、20、21、22、23、27、36は汎用化されている各種金属に本願発明を適用した例であり、比較例17〜29は汎用化されている各種金属に市販のクロメートを適用した例である。本願発明は汎用化されている何れの金属にも適用可能であり、また、何れの金属においても形成された皮膜はクロメートを凌駕する耐食性、皮膜密着性、塗料密着性及び塗膜耐食性を示す。また、無方向性電磁鋼板の場合は形成された皮膜はクロメートを凌駕する層間抵抗及び素材との密着性を示す。
【発明の効果】
【0142】
以上示すように本願発明による表面処理剤はクロムを使用しない、所謂クロムフリー表面処理剤であり、また、塗布した皮膜は100℃以下の低温乾燥が可能である。従って従来のアルミニウムや各種めっき鋼板の製造ラインにおけるクロメートのセクションがそのまま使用でき、実用化が容易である。また、形成された皮膜にはクロム化合物を始め毒性物質は一切含まれず、かつ、素材との密着性、耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性及び潤滑性に極めて優れているためアルミニウムやブリキに処理し、飲料缶、食缶及び雑缶等、容器材料に使用することが出来る。また、各種金属或いはめっき鋼板に塗布することにより耐食性、塗料密着性、塗膜耐食性、電着塗装性、電着塗膜耐食性及び潤滑性に優れた表面処理金属材料を提供することが出来、自動車業界、家電・建材業界、土木・建築業界、パイプ業界、玩具業界、屋内用建材業界に至るまで用途は大幅に広がる。また、高い層間抵抗及び優れた素材との密着性を示すことから、電磁鋼板に適用することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニウム化合物100重量部に対し、SiO、Al、MgO及びTiOのゾル(コロイド)の1種或いは2種以上を10〜2000重量部配合し、ジルコニウム化合物と配合したSiO、Al、MgO及びTiOのゾルの1種或いは2種以上の合計量100重量部に対し、Alのリン酸化合物を10〜500重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤。
【請求項2】
請求項1に記載の金属表面処理剤に対し、金属表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し、Mn化合物、Cu化合物、Ni化合物及びCo化合物の1種或いは2種以上を1〜100重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の金属表面処理剤に対し、金属表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し、酸化剤の1種或いは2種以上を0.1〜100重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤。
【請求項4】
請求項1、請求項2及び請求項3に記載の金属表面処理剤に対し、金属表面処理剤に含まれる全固形分100重量部に対し、ポリエチレングリコール型界面活性剤及びアセチレン系ジオール組成物の1種或いは2種を0.05〜5.0重量部配合することを特徴とする金属表面処理剤。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3及び請求項4に記載の金属表面処理剤に対し、造膜性を有する水系有機樹脂エマルジョン或いは水溶性樹脂を全固形分に対し重量濃度で5〜98%配合することを特徴とする金属表面処理剤。
【請求項6】
金属材料の上に、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4及び請求項5の何れかの金属表面処理剤を塗布し、形成された皮膜の付着量が0.05〜10.0g/m有することを特徴とする表面処理金属材料。

【公開番号】特開2006−336106(P2006−336106A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124395(P2006−124395)
【出願日】平成18年4月2日(2006.4.2)
【出願人】(504138698)株式会社フラクト (1)
【Fターム(参考)】