説明

金属薄膜パターンの製造方法

【課題】高温にも耐え得る矩形断面の正確な金属薄膜パターンを、簡単な工程によって製造可能とすること。
【解決手段】下記に示す感光性金属錯体を含む塗布液1を基板10に塗布し(A)マスク20を介して所定の部分のみを露光した(B)。露光によりエステル結合が切れて易溶化した可溶部1Aを(C)、TMAH水溶液により除去し(D)、不溶部1Bを金属化するまで加熱し(E)、Cu等の金属30でメッキする(F)。
【化9】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄膜パターンの製造方法に関し、詳しくは、細線状の微細なパターンも基体上に形成可能な金属薄膜パターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板等の配線パターン等、微細な金属薄膜パターンを基体上に形成する場合、光硬化樹脂等によって構成されたフォトレジストを用いてパターンが製造されている。すなわち、基体上に金属層及びフォトレジストを順次積層し、フォトレジストに光をパターン状に照射することでフォトレジストを一部硬化させ、未硬化のフォトレジストを溶解除去した後、フォトレジストの間から露出した金属層をエッチング液で溶解除去している。また、この方法では、最後に、硬化されたフォトレジストを強アルカリ水溶液等によって除去している(例えば、特許文献1,非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−302371号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】斉藤囲他著「入門新めっき技術」株式会社工業調査会、2008年6月1日発行、p.282−285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記フォトレジストを用いる方法では、パターンを構成する金属の表面に、光硬化樹脂からなるフォトレジストが、強アルカリ水溶液による処理後も残る可能性がある。その場合、仮に高温による後処理や使用を行うと、フォトレジストが発火する可能性がある。色素増感太陽電池(DSSC)や強誘電体等のデバイスは、使用中または製造工程で高温に曝される場合があり、フォトレジストを用いて製造された金属薄膜パターンをそのようなデバイスに使用する場合には注意を要する。また、金属層をフォトレジストが残存した部分を残してエッチングする際には、フォトレジストが残存した部分の金属層もテーパー状に浸食を受け、矩形断面の正確なパターンが得られない場合がある。更に、前記フォトレジストを用いる方法では、未硬化のフォトレジストを除去する工程と硬化後のフォトレジストを除去する工程とが必要となり、工程が複雑化する。そこで、本発明は、高温にも耐え得る矩形断面の正確な金属薄膜パターンを、簡単な工程によって製造可能とすることを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達するためになされた本発明は、式(1)または式(2)で表される感光性金属錯体を含む塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜の一部を露光する工程と、前記塗膜のうち、露光された部分を除去する現像工程と、前記塗膜に含まれる前記感光性金属錯体を金属に変化させる工程と、前記金属を同じ金属または他の金属でメッキする工程と、を有することを特徴とする金属薄膜パターンの製造方法を、要旨としている。
【0007】
【化1】

【0008】
式(1)及び式(2)におけるMはPd,Co,Ag,Pt,またはAuのうちいずれか1つの金属原子である。
式(1)におけるXは、下記(d1)〜(d13)のうちのいずれかである。
(d1)ヒドロキシドまたはアルコキシド
(d2)カルボキシレート
(d3)β‐ケトネート(アセチルアセトナート)
(d4)金属と共有結合した有機部分
(d5)フッ酸塩、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ酸塩
(d6)硝酸塩または亜硝酸塩
(d7)硫酸塩または亜硫酸塩
(d8)過塩素酸塩または次亜塩素酸塩
(d9)リン酸塩
(d10)ホウ酸塩
(d11)炭酸塩(−CO3
(d12)炭酸水素塩(−CO3H)
(d13)水素(−H)
式(1)及び式(2)におけるR1 〜R4 のうちの少なくとも1つは、式(3)〜式(6)のいずれかである。
【0009】
式(3)〜式(5)におけるR13は、式(7)または式(8)である。
【0010】
【化2】

【0011】
式(1)におけるR1 〜R4 のうち、式(3)〜式(6)のいずれでもないもの、及び式(7)〜式(8)におけるR5 〜R8 は、それぞれ、下記(a1)〜(a14)のうちのいずれかである。
(a1)H
(a2)C1〜C20の飽和または非飽和アルキル基であって、Cn2n+1またはCn2n-1-2xで表され、n=1〜20、x=0〜n−1の範囲であるもの
(a3)アルキルアミン基
(a4)カルビノール基
(a5)アルデヒドまたはケトン
(a6)COORで表され、R=Cm2m+1またはCm2m-1-2y(m=0〜20、y=0〜m−1の範囲)であるもの
(a7)F、Cl、Br、またはI
(a8)CNまたはNO2
(a9)ヒドロキシまたはエーテル類
(a10)アミン類
(a11)アミド類
(a12)チオまたはチオエーテル類
(a13)ホスフィン類またはリン酸類
(a14)環状基、ベンゾ、アゾル、オキサゾル、チアゾル、またはジオキソル
式(6)におけるYは、下記(b1)〜(b5)のうちのいずれかである。
(b1)F、Cl、Br、またはI
(b2)オキソカルボニル基またはCH3COO−
(b3)アミド基またはCH3CONH−
(b4)スルホニル基またはCH3SO3
(b5)ホスホリルオキシ基またはPh2POO−
式(7)におけるR9 〜R10及び式(8)におけるR9 〜R12は、それぞれ、下記(c1)〜(c15)のうちのいずれかである。
(c1)H
(c2)C1〜C20の飽和または非飽和アルキル基であって、Cn2n+1またはCn2n-1-2xで表され、n=1〜20、x=0〜n−1の範囲であるもの
(c3)カルビノール基
(c4)アルデヒドまたはケトン
(c5)COORで表され、R=Cm2m+1またはCm2m-1-2y(m=0〜20、y=0〜m−1の範囲)であるもの
(c6)F、Cl、Br、またはI
(c7)CNまたはNO2
(c8)ヒドロキシまたはエーテル類
(c9)アミン類
(c10)アミド類
(c11)チオまたはチオエーテル類
(c12)ホスフィン類またはリン酸類
(c13)環状基、ベンゾ、アゾル、オキサゾル、チアゾル、またはジオキソル
(c14)アルキルアミン基
(c15)2−ニトロベンジル構造を含む基
本発明の金属薄膜パターンの製造方法では、例えば以下のように、金属薄膜パターンを製造することができる。すなわち、前記式(1)または式(2)で表される感光性金属錯体を含む塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成し、所定のパターンに沿って、塗膜の一部を露光すると、露光した部分はアルカリ性現像液に対し易溶となる。なお、露光されていない部分はアルカリ性現像液に対し不溶である。よって、露光後、現像工程を行うことにより、露光した部分のみが除去され、パターンが形成される。
【0012】
その後、残存した塗膜を加熱するなどして、その塗膜に含まれる感光性金属錯体を金属に変化させると、錯体を構成していた金属からなる金属薄膜パターンを得ることができる。続いて、その金属薄膜パターンを構成する金属を、同じ金属または他の金属でメッキすることにより、配線パターン等として利用可能な良好な導電性を有する金属薄膜パターンを製造することができる。
【0013】
なお、前記感光性金属錯体が、露光前はアルカリ性現像液に対し不溶であるが露光により易溶となる理由は、以下のように推測できる。前記感光性金属錯体は、ニトロベンジルアルコール誘導体,カルボキシカテコール誘導体等の前記式に対応した誘導体がエステル結合等により結合している構造を有する。この感光性金属錯体は、アルカリ性現像液に対し不溶である。露光工程において、感光性金属錯体を含む塗膜に、誘導体の部分が吸収するような紫外線を照射すると、ニトロベンジル基またはα置換されたケトンからの光励起転移でエステル結合等が切れ、アルカリ性現像液に易溶となる。よって、前記感光性金属錯体は、露光前はアルカリ性現像液に対し不溶であるが、露光により易溶となる。
【0014】
このようにして基板上に残存した感光性金属錯体の塗膜を、金属に変化させて同じ金属または他の金属によるメッキを施した場合、いずれの金属の表面にもフォトレジストのような樹脂部分が残らない。このため、本発明の金属薄膜パターンの製造方法によって製造された金属薄膜パターンは、高温による後処理または使用にも良好に耐えられ、フォトレジストを使用した場合のように樹脂部分が発火するのも抑制することができる。また、金属層をフォトレジストが硬化した部分を残してエッチングする場合は、フォトレジストが硬化した部分の金属層もテーパー状に浸食を受ける場合があるが、本発明では、エッチングの工程が必要ないので、工程を簡略化すると共に、露光位置に対応した矩形断面の正確な金属薄膜パターンを製造することができる。そして、本発明によれば、2μm未満の微細な構造を有する配線パターンとしての金属薄膜パターンも、容易に製造可能となる。
【0015】
なお、前記感光性金属錯体としては、式(9)または式(10)で表されるものを使用するのがより好ましい。この場合、2−ニトロベンジルアルコール誘導体の部分が吸収するような紫外線を照射すると、エステル結合が切れ、2−ニトロソベンズアルデヒドと、4−カルボキシカテコール誘導体−金属錯体とが生成する。従って、前記露光によるパターン形成を一層良好に行うことができる。
【0016】
【化3】

【0017】
式(9)及び式(10)におけるMはPd,Co,Ag,Pt,またはAuのうちいずれか1つの金属原子である。
式(9)及び式(10)におけるXは、下記(d1)〜(d13)のうちのいずれかである。
(d1)ヒドロキシドまたはアルコキシド
(d2)カルボキシレート
(d3)β‐ケトネート(アセチルアセトナート)
(d4)金属と共有結合した有機部分
(d5)フッ酸塩、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ酸塩
(d6)硝酸塩または亜硝酸塩
(d7)硫酸塩または亜硫酸塩
(d8)過塩素酸塩または次亜塩素酸塩
(d9)リン酸塩
(d10)ホウ酸塩
(d11)炭酸塩(−CO3
(d12)炭酸水素塩(−CO3H)
(d13)水素(−H)
また、本発明の金属薄膜パターンの製造方法において、前記塗布液は、前記感光性金属錯体に加えて、式(11)で表される金属錯体を含んでもよい。この金属錯体は、感光性を有さず、前記アルカリ性現像液には易溶であるが、前記感光性金属錯体と混合されることにより、その感光性金属錯体によって溶解が抑制される。そして、前記感光性金属錯体が露光によって易溶化すると、この金属錯体もアルカリ性現像液に溶解する。従って、この場合、少ない露光量で効率的に金属薄膜パターンを製造することができる。
【0018】
【化4】

【0019】
式(11)におけるMは前記金属原子である。
式(11)におけるXは、下記(d1)〜(d13)のうちのいずれかである。
(d1)ヒドロキシドまたはアルコキシド
(d2)カルボキシレート
(d3)β‐ケトネート(アセチルアセトナート)
(d4)金属と共有結合した有機部分
(d5)フッ酸塩、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ酸塩
(d6)硝酸塩または亜硝酸塩
(d7)硫酸塩または亜硫酸塩
(d8)過塩素酸塩または次亜塩素酸塩
(d9)リン酸塩
(d10)ホウ酸塩
(d11)炭酸塩(−CO3
(d12)炭酸水素塩(−CO3H)
(d13)水素(−H)
式(11)におけるR21〜R24は、それぞれ、下記(e1)〜(e11)のいずれかであり、X11、X12は、O,NH,CO2 ,S,CON22,N=N,及びHN−NHのうちいずれかである。
(e1)Cl2l+1で表される基(但し、前記lは、0〜4いずれかの整数)
(e2)Cm2mで表される基(但し、前記mは、2〜4いずれかの整数)
(e3)Cn2n-1で表される基(但し、前記nは、2〜4いずれかの整数)
(e4)COORで表される基(但し、前記Rは、Cp2p+1(但し、前記pは、0〜4のいずれかの整数)または、R=C65で表される基)
(e5)アルデヒド、ケトン類、COCq2q+1で表される基(但し、前記qは、0〜4のいずれかの整数)またはベンゾフェノン
(e6)ヒドロキシ(OH)またはエーテル類
(e7)アミン(NH2)またはアルキルアミン
(e8)アミド
(e9)ハロゲン類
(e10)ニトリル(CN)
(e11)ニトロ(NO2
また、本発明の金属薄膜パターンの製造方法において、前記メッキは無電解メッキ法でなされてもよい。その場合、他のメッキ法に比べて、一層正確な金属薄膜パターンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】各実施例の金属薄膜パターンの製造方法の各工程を表す模式図である。
【図2】各実施例における塗膜の可溶化の進行状態を表すグラフである。
【図3】一実施例による製造後の金属薄膜パターンを表す顕微鏡写真である。
【図4】他の実施例による製造後の金属薄膜パターンを表す顕微鏡写真である。
【図5】更に他の実施例による製造後の金属薄膜パターンを表す顕微鏡写真である。
【図6】更に他の実施例による製造後の金属薄膜パターンを表す顕微鏡写真である。
【図7】更に他の実施例による製造後の金属薄膜パターンを表す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を、実施例を挙げて説明する。先ず、次のようにして各種金属錯体を含む塗布液を製造した。なお、以下に説明する各種原料物質のうち、市販品でない物質は、特開2010−256706号公報に開示された方法によって製造した。
【0022】
[塗布液の製造]
<塗布液1>
乳酸エチル−アセトン−水を9:9:2の体積比で混合した溶媒10mLに、前記公報に記載の方法で製造した2−ニトロベンジル・プロトカテク酸(725mg,2.50mmol)と、酢酸パラジウム(560mg,2.50mmol)と、2−メトキシエトキシ酢酸(335mg,2.50mmol)と、2−アミノエタンチオール(120mg,1.56mmol)とを混合する。溶解するまで撹拌して出来た溶液を塗布液として使用する。この塗布液には、式(12)に示す感光性金属錯体(以下、Pd−Bという)が含まれる。すなわち、2−ニトロベンジル・プロトカテク酸は、感光性配位子としてパラジウムに配位している。また、塗布液の濃度は、0.25mol/Lである。なお、この濃度は、金属錯体に含まれる金属の濃度である。
【0023】
【化5】

【0024】
<塗布液2>
塗布液1の2−ニトロベンジル・プロトカテク酸(725mg,2.50mmol)を、前記公報に記載の方法で製造した3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル・プロトカテク酸(875mg,2.50mmol)に変えた。それ以外は塗布液1と同様の方法で出来た溶液を塗布液として使用する。この塗布液には、式(13)に示す感光性金属錯体が含まれる(以下、Pd−Vという)。すなわち、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル・プロトカテク酸は、感光性配位子としてパラジウムに配位している。また、塗布液の濃度は、0.25mol/Lである。なお、この濃度は、金属錯体に含まれる金属の濃度である。
【0025】
【化6】

【0026】
<塗布液3>
塗布液1の2−ニトロベンジル・プロトカテク酸(725mg,2.50mmol)を、エチル・プロトカテク酸(455mg,2.50mmol)に変えた。それ以外は塗布液1と同様の方法で出来た溶液を塗布液として使用する。この塗布液には、式(14)に示す金属錯体が含まれる(以下、Pd−Vという)。なお、この金属錯体は感光性ではない。また、塗布液の濃度は、0.25mol/Lである。なお、この濃度は、金属錯体に含まれる金属の濃度である。
【0027】
【化7】

【0028】
<塗布液4>
溶媒としての2−メトキシエタノール10mLに、前記公報に記載の方法で製造した3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル・プロトカテク酸(875mg,2.50mmol)と、酢酸コバルト4水和物(622mg,2.50mmol)と、2−メトキシエトキシ酢酸(335mg,2.50mmol)とを混合する。溶解するまで撹拌して出来た溶液を塗布液として使用する。この塗布液には、式(15)に示す感光性金属錯体(以下、Co−Vという)が含まれる。すなわち、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル・プロトカテク酸は、感光性配位子としてコバルトに配位している。また、塗布液の濃度は、0.25mol/Lである。なお、この濃度は、金属錯体に含まれる金属の濃度である。
【0029】
【化8】

【0030】
<塗布液5>
乳酸エチル−γ−ブチロラクトンアセトン−N,Nジメチルアセトアミドを4:1:1の体積比で混合した溶媒10mLに、前記公報に記載の方法で製造した2−ニトロベンジル・プロトカテク酸(725mg,2.50mmol)と、ニッケル・アセチルアセトネート(578mg,2.25mmol)と、酢酸パラジウム(56mg,0.25mmol)と、2−メトキシエトキシ酢酸(33.5mg,0.25mmol)とを混合する。溶解するまで撹拌して出来た溶液を塗布液として使用する。この塗布液には、2−ニトロベンジル・プロトカテク酸が感光性配位子としてニッケル及びパラジウムに配位した感光性金属錯体(以下、NiPdという)が含まれる。また、塗布液の濃度は、0.25mol/Lである。なお、この濃度は、金属錯体に含まれる金属の濃度である。
【0031】
[金属薄膜パターンの製造]
続いて、前述のように製造した塗布液を用いて、次のように金属薄膜パターンを製造した。図1は、塗布液1を用いた金属薄膜パターンの製造方法(実施例1)の各工程を表す模式図である。
【0032】
図1(A)に示すように、先ず、0.5mLの塗布液1を、スピンコート法により、パイレックス(登録商標)からなるガラス基板(基体の一例:以下単に基板という)10の表面に塗布し、塗膜を形成した。基板10の大きさは、縦50mm、横50mm、厚さ0.7mmである。また、スピンコート法における回転数は1000RPMとした。続いて、基板10をホットプレートに乗せ、120℃にて10分間加熱し、塗布液1の塗膜を乾燥させた。
【0033】
続いて、図1(B)に示すように、Hg−Xe光源の光により、塗布液1の塗膜を露光した。このとき、基板10の表面にはマスク20を設け、所定の部分のみを露光した。マスク20は複数種類を用い、それぞれについて、実験を行った。また、Hg−Xe光源の波長310nmにおける出力は〜15mWとした。
【0034】
このように露光を行うと、塗布液1の塗膜は、露光された部分がアルカリ性現像液に対して可溶性を有する可溶部1Aとなり、露光されていない部分がアルカリ性現像液に不溶な不溶部1Bとなる。すなわち、塗布液1の感光性金属錯体(Pd−B)は、露光前はアルカリ性現像液に対し不溶であるが、露光により易溶となる。なお、塗布液1の代わりに塗布液2または塗布液4を用いた場合も同様である。
【0035】
この理由は以下のように推測できる。塗布液1,2,4の感光性金属錯体(Pd−B,Pd−V,Co−V)は、いずれも、2−ニトロベンジルアルコール誘導体がエステル結合により結合している構造を有する。この感光性金属錯体は、アルカリ性現像液に対し不溶である。露光工程において、感光性金属錯体を含む塗膜に、2−ニトロベンジルアルコール誘導体の部分が吸収するような紫外線を照射すると、エステル結合が切れ、2−ニトロソベンズアルデヒドと、4−カルボキシカテコール誘導体−金属錯体とが生成する。この4−カルボキシカテコール誘導体−金属錯体は、エステル結合が切断されて生成したカルボキシル基のために、アルカリ性現像液に易溶となる。よって、感光性金属錯体は、露光前はアルカリ性現像液に対し不溶であるが、露光により易溶となる。
【0036】
そこで、TMAH水溶液により可溶部1Aを除去して現像を行うと、図1(D)に示すように、基板10の上には不溶部1Bのみが残る。これを、ホットプレートに乗せ、不溶部1Bが金属化するまで200℃で加熱すると、図1(E)に示すように、基板10の上には金属パラジウム(またはコバルト)からなる金属薄膜パターン1Cが形成される。この金属薄膜パターン1Cの表面に、図1(F)に示すように、周知の無電解メッキ法によりNi,Cu等の金属30でメッキすることにより、金属薄膜パターン1Cは、配線パターン等として利用可能な良好な導電性を有する金属薄膜パターンとなる。
【0037】
[実施例の評価]
次に、前記Hg−Xe光源による露光時間と、塗膜の可溶化の効果との関係を調べた。結果を図2に示す。なお、実験では、前述の塗布液1(Pd−B)、塗布液2(Pd−V)、塗布液4(Co−V)の他に、塗布液1と塗布液3とを1:1の比で混ぜた塗布液(Pd−B+Pd−E)や、塗布液2と塗布液3とを1:1の比で混ぜた塗布液(Pd−V+Pd−E)についても同様に評価した。
【0038】
実験では、0.5mLの各塗布液を、スピンコート法により、パイレックス(登録商標)からなるガラス基板の表面に塗布し、塗膜を形成した。ガラス基板の大きさは、縦50mm、横50mm、厚さ0.7mmである。また、スピンコート法における回転数は1000RPMとした。
【0039】
続いて、120℃にて10分間加熱して乾燥させ、前述のHg−Xe光源を用いて各種露光時間で露光し、0.25wt%のTMAH水溶液により30s現像した後の塗膜の膜厚を、前記金属錯体に係る吸光スペクトル(UV−vis)を測定することによって推定した。また、塗膜の厚さは試料毎に異なるので、図2(A)は可溶化した塗膜の厚さを、図2(B)は残った塗膜の割合(%)を、それぞれ示している。
【0040】
また、前記各塗布液を用いてパターンを形成した実験における各種パラメータを、表1に示す。図2及び表1に示すように、塗布液2と塗布液3とを混合したものが最も効率がよかった。この理由は以下のように推測できる。金属錯体(Pd−E)は、感光性を有さず、TMAH水溶液には易溶であるが、感光性金属錯体(Pd−V)と混合されることによって溶解が抑制される。そして、感光性金属錯体(Pd−V)が露光によって易溶化すると、この金属錯体(Pd−E)もTMAH水液に溶解する。従って、この場合、少ない露光量で効率的に金属薄膜パターンを製造することができる。
【0041】
【表1】

【0042】
本実施例では、金属化された金属薄膜パターン1Cの表面にフォトレジストのような樹脂部分が残らない。すなわち、本実施例では、パターニングの形成助剤が残らない。このため、本実施例の製造方法によって製造された金属薄膜パターンは、高温による後処理または使用にも良好に耐えられ、フォトレジストを使用した場合のように樹脂部分が発火するのも抑制することができる。また、金属層をフォトレジストが硬化した部分を残してエッチングする場合は、フォトレジストが硬化した部分の金属層もテーパー状に浸食を受ける場合があるが、本実施例では、エッチングの工程が必要ないので、工程を簡略化すると共に、露光位置に対応した矩形断面の正確な金属薄膜パターンを製造することができる。
【0043】
そして、本実施例によれば、2μm未満の微細な構造を有する配線パターンとしての金属薄膜パターンも、次のように容易に製造可能となる。印刷によって形成される金属薄膜パターンは10μmが限界で、その場合、液晶の透明電極等に使用するとパターンが肉眼で見えるが、本実施例のように2μm程度の微細なパターンを形成した場合には、パターンが肉眼では見えず、良好な液晶表示器を提供することができる。
【0044】
すなわち、本実施例の方法は幅が10μm以下のパターンを形成するときに特に有利である。透明導電膜として使用するときには幅を5μm以下とするのが望ましく、より望ましくは2μm以下とするのがよい。5μm以上だと金属配線が目立ち過ぎる。また、後述のように、100μm間隔の2μm無電解メッキ銅線メッシュで、シート抵抗1Ω/□以下で全透過率90%といった優れた特性を有する導電性膜が得られる。
【0045】
更に、本実施例により2μm程度の微細な配線パターンを形成した場合、機械密度(実装密度)を上げることができ、電子部品をコンパクト化することができる。以下、種々に条件を変えて金属薄膜パターンを製造し、レーザ顕微鏡でパターンを確認した。
【0046】
<実施例2>
塗布液1(0.5mL)をパイレックス(登録商標)からなるガラス基板(50x50x0.7t mm)にスピンコート(1000RPM)し、120℃、10分で乾燥した。形成された塗膜をL−線かメッシュ型フォトマスクを透してHg−Xe光源(〜15mW at 310nm)で40分露光し、露光部と未露光部との前記金属錯体に係る吸光スペクトル(UV−vis)を測定した。0.25wt%のTMAH水溶液に30s現像し、現像した膜の露光部と未露光部との前記金属錯体に係る吸光スペクトル(UV−vis)を測定することによって未露光部の膜厚を推定した。金属化するまでホットプレートの上で200℃で加熱し、未露光の部分の膜厚とXRDスペクトルを測定した。このようにして得られた金属薄膜パターンをレーザ顕微鏡で撮影した写真を図3に示す。図3に示すように、本実施例によれば、2μm未満の微細な構造を有する金属薄膜パターンも容易に製造することができた。この金属薄膜パターンをCu等でメッキすれば、微細で精巧な配線パターン等が得られる。
【0047】
<実施例3>
塗布液1を塗布液2と塗布液3とを1:1の比率で混合した溶液(Pd−V+Pd−E)に変え、露光時間を20分に変えた点を除いて、実施例2と同じ方法で金属薄膜パターンを製造した。また、本実施例では、L/S=1.5/100mmメッシュ型フォトマスクを使用した金属薄膜パターンも製造した。このようにして得られた金属薄膜パターンをレーザ顕微鏡で撮影した写真を図4に示す。図4に示すように、本実施例でも、2μm未満の微細な構造を有する金属薄膜パターンも容易に製造することができた。この金属薄膜パターンをCu等でメッキすれば、微細で精巧な配線パターン等が得られる。
【0048】
<実施例4>
塗布液4(Co−V)を用い、露光時間を25分に変えた点を除いて、実施例2と同じ方法で金属薄膜パターンを製造した。このようにして得られた金属薄膜パターンをレーザ顕微鏡で撮影した写真を図5に示す。図5に示すように、本実施例でも、2μm未満の微細な構造を有する金属薄膜パターンも容易に製造することができた。この金属薄膜パターンをCu等でメッキすれば、微細で精巧な配線パターン等が得られる。
【0049】
<実施例5>
塗布液2と塗布液3とを1:1の比率で混合し、同じ溶媒で[Pd]=0.1mol/Lになるように希釈した溶液(0.5mL)をPEN基板(50x50x0.7t mm)にスピンコート(1000RPM)し、120℃、10分で乾燥した。形成された塗膜をL/S=5/100mmメッシュ型フォトマスクを透してHg−Xe光源(〜15mW at 310nm)で20分露光した。0.25wt%のTMAH水溶液に30s現像した。金属化するまでホットプレートの上で200℃で加熱した。得られたパターン化パラジウム着PEN基板を下記の表2に示すような30℃無電解銅メッキ溶液で1分銅を析出させた。4端子法でシート抵抗の測定結果は0.5〜1.0Ω/□であった。透明テープを塗膜に貼り付けて剥がしたときに塗膜が基板に残るか調べる透明テープ密着力の試験で、密着力は十分と示した。また、このようにして得られた金属薄膜パターンをレーザ顕微鏡で撮影した写真を図6に示す。図6に示すように、本実施例でも、2μm未満の微細な構造を有する金属薄膜パターンも容易に製造することができた。
【0050】
【表2】

【0051】
<実施例6>
塗布液5(0.5mL)をパイレックス(登録商標)からなるガラス基板(50x50x0.7t mm)にスピンコート(1000RPM)し、120℃、10分で乾燥した。形成された膜をL−線フォトマスクを透してHg−Xe光源(〜15mW at 310nm)で20分露光した。0.25wt%のTMAH水溶液に30s現像した。金属化/酸化するまでホットプレートの上で500℃で加熱した。得られたパターン化酸化ニッケル・パラジウム着基板を実施例4と同様の無電解銅メッキ溶液で同様に銅を析出させた。4端子法でシート抵抗の測定結果は1.0Ω/□未満であった。前記透明テープ密着力の試験で密着力は十分と示した。また、このようにして得られた金属薄膜パターンをレーザ顕微鏡で撮影した写真を図7に示す。図7に示すように、本実施例でも、2μm未満の微細な構造を有する金属薄膜パターンも容易に製造することができた。なお、本実施例では、塗布液中のパラジウムにニッケルの酸化物が付着し、密着力が向上しているものと推測することができる。
【0052】
なお、本発明は前記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、感光性配位子や溶解助剤(メトキシエトキシ酢酸等),安定剤(2−アミノエタンチオール等)等の分量は、感光性配位子の種類等に応じて適宜変更することができる。
【0053】
但し、パラジウムを含む感光性金属錯体では、パラジウム1.00molに対して、感光性配位子を0.20〜2.00mol、2−メトキシエトキシ酢酸を0〜10.0mol、2−アミノチオエタノールを0.2〜1.00mol(より好ましくは0.55〜0.65mol)配合し、パラジウムの濃度は0.01〜0.50mol/Lとするのが好ましい。特に、2−アミノチオエタノールは、多過ぎると感光性配位子が感光し難く、少な過ぎるとパラジウムが沈殿し、例えば1時間以内に使用しないといけないなどの状況が生じる。
【0054】
なお、感光性配位子以外の溶解助剤,安定剤としては他の公知のものも応用できる。但し、有機分が多過ぎると金属が十分に凝集しないいわゆるすかすかの状態となるので、各々の特性に応じた配合量とする必要がある。
【0055】
また、コバルトを含む感光性金属錯体では、コバルト1.00molに対して、感光性配位子を0.20〜2.00mol、2−メトキシエトキシ酢酸を0〜10.0mol(より好ましくは1.00mol)配合し、コバルトの濃度は0.01〜0.50mol/Lとするのが好ましい。
【0056】
また、ガラス・セラミックとの密着力を善くするための添加剤としては、塗布液5で使用したニッケル・アセチルアセトネートの他に、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Ni,Cu,Zn,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Ce,Pr,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Luのアルコキシド、カルボキシレート、β−ジケトン、プロトカテク酸エステル等の錯体を添加してもよい。
【0057】
更に、感光性金属錯体に含まれる金属原子としては、Pd,Coの他、Ag,Pt,Au等を用いても同様の金属薄膜パターンが形成できると考えられ、Agを含む感光性金属錯体から形成した金属薄膜パターンに、更にAgメッキを施してもよい。
【0058】
また、基体としては、前述のようにガラス,セラミック,樹脂の種々のものが使用でき、塗布液のコーテイング方法もスピン、カーティン式、フロー、ディップ、スプレー、バーコート等、どの液層法でも適用することができる。
【0059】
更に、露光方法としては、前述のように光源とフォトマスクとを使用する方法の他、レーザ、マスクレスリソグラフィ等の種々の方法が利用できる。但し、光源とフォトマスクとを使用する場合、光源の光は193〜400nmが好ましく、近赤外線で2フォトン吸収反応も利用可能である。
【0060】
また、現像方法としては、アルカリ性水溶液、特に0.25wt%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液を利用するのが好ましいが、その他のアルカリ性水溶液の利用や、アルカリ性水溶液以外の現像方法も考えられる。
【0061】
錯体を金属化する方法としても、熱を加える方法、光を照射する方法など、公知の種々の方法が適用できる。但し、熱を加える場合は、100〜500℃に加熱するのが好ましく、より好ましくは150〜250℃に加熱するとよい。また、光を照射する方法としては、レーザ、フラッシュランプアニーリング(FLA)等、公知の種々の方法が適用できる。また、メッキの方法としても、公知のNi,Cu,Ag,Au,Pt,In,Sn等を用いたメッキ法が適用でき、電解メッキ・無電解メッキいずれの方法も適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…塗布液 1A…可溶部 1B…不溶部 1C…金属薄膜パターン
10…基板 20…マスク 30…金属

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)または式(2)で表される感光性金属錯体を含む塗布液を基体上に塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜の一部を露光する工程と、
前記塗膜のうち、露光された部分を除去する現像工程と、
前記塗膜に含まれる前記感光性金属錯体を金属に変化させる工程と、
前記金属を同じ金属または他の金属でメッキする工程と、
を有することを特徴とする金属薄膜パターンの製造方法。
【化1】

式(1)及び式(2)におけるMはPd,Co,Ag,Pt,またはAuのうちいずれか1つの金属原子である。
式(1)におけるXは、下記(d1)〜(d13)のうちのいずれかである。
(d1)ヒドロキシドまたはアルコキシド
(d2)カルボキシレート
(d3)β‐ケトネート(アセチルアセトナート)
(d4)金属と共有結合した有機部分
(d5)フッ酸塩、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ酸塩
(d6)硝酸塩または亜硝酸塩
(d7)硫酸塩または亜硫酸塩
(d8)過塩素酸塩または次亜塩素酸塩
(d9)リン酸塩
(d10)ホウ酸塩
(d11)炭酸塩(−CO3
(d12)炭酸水素塩(−CO3H)
(d13)水素(−H)
式(1)及び式(2)におけるR1 〜R4 のうちの少なくとも1つは、式(3)〜式(6)のいずれかである。
式(3)〜式(5)におけるR13は、式(7)または式(8)である。
【化2】

式(1)におけるR1 〜R4 のうち、式(3)〜式(6)のいずれでもないもの、及び式(7)〜式(8)におけるR5 〜R8 は、それぞれ、下記(a1)〜(a14)のうちのいずれかである。
(a1)H
(a2)C1〜C20の飽和または非飽和アルキル基であって、Cn2n+1またはCn2n-1-2xで表され、n=1〜20、x=0〜n−1の範囲であるもの
(a3)アルキルアミン基
(a4)カルビノール基
(a5)アルデヒドまたはケトン
(a6)COORで表され、R=Cm2m+1またはCm2m-1-2y(m=0〜20、y=0〜m−1の範囲)であるもの
(a7)F、Cl、Br、またはI
(a8)CNまたはNO2
(a9)ヒドロキシまたはエーテル類
(a10)アミン類
(a11)アミド類
(a12)チオまたはチオエーテル類
(a13)ホスフィン類またはリン酸類
(a14)環状基、ベンゾ、アゾル、オキサゾル、チアゾル、またはジオキソル
式(6)におけるYは、下記(b1)〜(b5)のうちのいずれかである。
(b1)F、Cl、Br、またはI
(b2)オキソカルボニル基またはCH3COO−
(b3)アミド基またはCH3CONH−
(b4)スルホニル基またはCH3SO3
(b5)ホスホリルオキシ基またはPh2POO−
式(7)におけるR9 〜R10及び式(8)におけるR9 〜R12は、それぞれ、下記(c1)〜(c15)のうちのいずれかである。
(c1)H
(c2)C1〜C20の飽和または非飽和アルキル基であって、Cn2n+1またはCn2n-1-2xで表され、n=1〜20、x=0〜n−1の範囲であるもの
(c3)カルビノール基
(c4)アルデヒドまたはケトン
(c5)COORで表され、R=Cm2m+1またはCm2m-1-2y(m=0〜20、y=0〜m−1の範囲)であるもの
(c6)F、Cl、Br、またはI
(c7)CNまたはNO2
(c8)ヒドロキシまたはエーテル類
(c9)アミン類
(c10)アミド類
(c11)チオまたはチオエーテル類
(c12)ホスフィン類またはリン酸類
(c13)環状基、ベンゾ、アゾル、オキサゾル、チアゾル、またはジオキソル
(c14)アルキルアミン基
(c15)2−ニトロベンジル構造を含む基
【請求項2】
前記感光性金属錯体は、式(9)または式(10)で表されることを特徴とする請求項1に記載の金属薄膜パターンの製造方法。
【化3】

式(9)及び式(10)におけるMはPd,Co,Ag,Pt,またはAuのうちいずれか1つの金属原子である。
式(9)及び式(10)におけるXは、下記(d1)〜(d13)のうちのいずれかである。
(d1)ヒドロキシドまたはアルコキシド
(d2)カルボキシレート
(d3)β‐ケトネート(アセチルアセトナート)
(d4)金属と共有結合した有機部分
(d5)フッ酸塩、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ酸塩
(d6)硝酸塩または亜硝酸塩
(d7)硫酸塩または亜硫酸塩
(d8)過塩素酸塩または次亜塩素酸塩
(d9)リン酸塩
(d10)ホウ酸塩
(d11)炭酸塩(−CO3
(d12)炭酸水素塩(−CO3H)
(d13)水素(−H)
【請求項3】
前記塗布液は、前記感光性金属錯体に加えて、式(11)で表される金属錯体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金属薄膜パターンの製造方法。
【化4】

式(11)におけるMは前記金属原子である。
式(11)におけるXは、下記(d1)〜(d13)のうちのいずれかである。
(d1)ヒドロキシドまたはアルコキシド
(d2)カルボキシレート
(d3)β‐ケトネート(アセチルアセトナート)
(d4)金属と共有結合した有機部分
(d5)フッ酸塩、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ酸塩
(d6)硝酸塩または亜硝酸塩
(d7)硫酸塩または亜硫酸塩
(d8)過塩素酸塩または次亜塩素酸塩
(d9)リン酸塩
(d10)ホウ酸塩
(d11)炭酸塩(−CO3
(d12)炭酸水素塩(−CO3H)
(d13)水素(−H)
式(11)におけるR21〜R24は、それぞれ、下記(e1)〜(e11)のいずれかであり、X11、X12は、O,NH,CO2 ,S,CON22,N=N,及びHN−NHのうちいずれかである。
(e1)Cl2l+1で表される基(但し、前記lは、0〜4いずれかの整数)
(e2)Cm2mで表される基(但し、前記mは、2〜4いずれかの整数)
(e3)Cn2n-1で表される基(但し、前記nは、2〜4いずれかの整数)
(e4)COORで表される基(但し、前記Rは、Cp2p+1(但し、前記pは、0〜4のいずれかの整数)または、R=C65で表される基)
(e5)アルデヒド、ケトン類、COCq2q+1で表される基(但し、前記qは、0〜4のいずれかの整数)またはベンゾフェノン
(e6)ヒドロキシ(OH)またはエーテル類
(e7)アミン(NH2)またはアルキルアミン
(e8)アミド
(e9)ハロゲン類
(e10)ニトリル(CN)
(e11)ニトロ(NO2
【請求項4】
前記メッキは無電解メッキ法でなされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属薄膜パターンの製造方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−203236(P2012−203236A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68262(P2011−68262)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】