説明

金属製受け枠付き側溝ブロック

【課題】 車道から歩道へ車が乗入れ時に歩行者,運転手に音で知らせ事故防止し、更に大雨時にも側溝へ円滑に導く金属製受け枠付き側溝ブロックを提供する。
【解決手段】 底壁21及びこれに連接する左右側壁22を有して横断面U字形のコンクリート製の側溝用本体ブロック2を形成し、該本体ブロックの右側壁22Aの上面に、横断面ほぼ「』」形にして下部31が側溝内へ張出す金属製の右空洞受け枠3aを設ける一方、左側壁22Bの上面に横断面視で該右空洞受け枠と本体ブロックの中央上下方向に走る中心線に対しほぼ線対称になるようにした金属製の左空洞受け枠3Bを設けて、両空洞受け枠に係る下部張出し部31で溝蓋4を支える受け枠3を形成し、且つ両張出し部3a,3eの対向端面が開口31aすると共に両空洞受け枠3A,3Bの上面板部3cを横断するよう切欠いて開孔部33が複数形成され、該開孔部を形成する内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁が上面板部3cの上面よりも一段下がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路の側溝等に用いられる金属製受け枠付き側溝ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の側溝(雨水溝)等にはJISA5305(鉄筋コンクリートU形)に規定される道路製品等が多用されている。鉄筋コンクリートU形に係るU形本体の上面開口に溝蓋で蓋をして道路沿い等に敷設される。U形本体は雨水の流路を確保して、雨水排水用として専ら用いられ、より機能を向上させたものもいくつか提案がなされている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−188152公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1の技術は「側面壁に導水長溝を形成し、排水金具に横長溝を形成し、排水金具を、導水長溝と横長溝とが連通するように取り付けた側溝ブロック」であるが、側面壁は地中に埋まる部分であり、大雨のときなどには排水処理が不十分になる虞があった。近年の雨天時の雨の降り方は尋常でなく、雨水を円滑に側溝へ導くことが求められている。
一方、側溝は道路沿いに設けられる場合があり、歩行者が歩いて滑って怪我しないように凹凸を表面に付けた側溝ブロックは種々知られている(例えば、特開2005−200861)。しかしながら、車道の車が脇見運転などで歩行者専用道路に飛び込んできて歩行者が怪我する事故がニュースになるが、この対策は車道と歩行者専用道路の境界に堰8(図2参照)を設けたりするにとどまっており、有効な対策を講じることができないでいた。低い堰8を設けたくらいでは、これを乗り越えて歩行者に危害を加える場合もあった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するもので、車道から歩道へ車が乗り入れようとしたときに、歩行者,運転手に音で知らせ事故を未然防止し、さらに大雨が降った場合でも側溝へ円滑に導き、優れた排水機能を発揮する金属製受け枠付き側溝ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、底壁及びこれに連接する左右側壁を有して横断面U字形のコンクリート製の側溝用本体ブロック(2)を形成し、該本体ブロックの右側壁の上面に、横断面ほぼ「』」形にして下部が側溝内へ張出す金属製の右空洞受け枠(3a)を設ける一方、左側壁の上面に、横断面視で該右空洞受け枠と、本体ブロックの中央上下方向に走る中心線に対し、ほぼ線対称になるようにした金属製の左空洞受け枠(3b)を設けて、両空洞受け枠に係る下部の張出し部で溝蓋を受け支え、該本体ブロックに一体化されて溝蓋載置用の受け枠(3)を形成し、且つ前記両張出し部の対向端面が開口すると共に、両空洞受け枠の上面板部を横断するようにして切り欠いて開孔部が複数形成され、さらに該開孔部を形成する両空洞受け枠に係る内側立板部及び外側立板部の上縁が上面板部の上面よりも一段下がることを特徴とする金属製受け枠付き側溝ブロックにある。請求項2の発明たる金属製受け枠付き側溝ブロックは、請求項1で、上端が前記開孔部を形成する前記内側立板部及び外側立板部の上縁又は該上縁近くとして、ここから下端が受け枠の内底に達して空洞内を縦に仕切る縦リブが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の金属製受け枠付き側溝ブロックは、道路沿いに敷設される側溝に用いられると、車道から歩道へ車が乗り入れようとしたとき、受け枠の段差を通過しなければならないためガタガタ音を発し、歩行者,運転手に音で自覚させ、加えて運転手にはガタガタ振動で運転ミスを直ちに気づかせ、交通事故の未然防止に役立ち、さらに、大雨で大量の雨水が道路上に降り注いでも、受け枠の開口を使って側溝へ円滑に導くことができるなど極めて優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る金属製受け枠付き側溝ブロックについて詳述する。図1〜図4は本発明の金属製受け枠付き側溝ブロックの一形態で、図1はその全体斜視図、図2は図1のIV-IV線矢視図、図3は図1の右側面図の部分図、図4は図1の右側部分の部分平面図である。
【0009】
金属製受け枠付き側溝ブロック1(以下、単に「側溝ブロック」という。)は、本体ブロック2と受け枠3とを具備する。該側溝ブロック1は側溝を形成する単位ユニットで、これを道路に沿っていくつもつなぎ合わせて、道路上等に降り注いだ雨水の排水流路を確保する。
【0010】
本体ブロック2は、底壁21及びこれに連接する左右側壁22Aを有して横断面U字形のコンクリート製の側溝用ブロック体で、該本体ブロック2の溝部20に雨水等の流体が流れるようにしたものである。その外観形状は従来からある側溝ブロック1と基本的に同じで、図1のような横断面U字形として所定長さ(流露のユニット長さ)が確保される。ここでの本体ブロック2は、側壁22上部の肉厚を大きくし且つ該側壁上面22aを平らにして、受け枠3を載置し易くすると共に受け枠3との一体化を容易にする。
なお、本体ブロック2内には図示を省略するが、必要に応じ横鉄筋,縦鉄筋が配設されており、鉄筋コンクリート製の本体ブロック2になっている。また、本体ブロック2に係る一の端面23に凹部(図示せず)が形成される一方、他の端面には該凹部に嵌合する凸部(図示せず)が形成される。道路脇等に沿って側溝ブロック1をつなぎ合わせて側溝になるが、その時に本体ブロック2同士の接合が容易になるからである。
【0011】
受け枠3は金属製(ここでは、鉄製又はステンレス製)の右空洞受け枠3Aと金属製の左空洞受け枠3Bとからなる。右空洞受け枠3Aが本体ブロック2の右側壁22Aの上面22aに、左空洞受け枠3Bが本体ブロック2の左側壁22Bの上面22aに載置されて、本体ブロック2に一体化される。左右空洞受け枠3A,3Bは、横断面視で本体ブロック2の中央上下方向に走る中心線に対し、ほぼ線対称になる(図1,図2)。左右空洞受け枠3A,3Bの長手方向長さは本体ブロック2の長さにほぼ一致する。
【0012】
右空洞受け枠3Aは、板材加工品で、該本体ブロック2の右側壁22Aの上面22aに横断面ほぼ「』」形にして下部31が側溝内へ水平に張出す。図2に示すように、張出し下板部3aと外側立板部3bと上面板部3cと内側立板部3dと張出し上板部3eとで、右空洞受け枠3Aの外周板部を形成する(図2)。張出し下板部3aの板幅は本体ブロック2に係る側壁上面22aの幅とほぼ同じである。該張出し下板部3aの外縁から、本体ブロック2に係る右側壁22Aの外面と外側立板部3bの外面とが面一になるようにして、該外側立板部3bが横断面視逆L字状に屈曲し垂直上方へ延設される。側溝ブロック1が道路脇等に敷設されると、起立する外側立板部3bの上縁がほぼ路面9aのレベルになる。さらに、該外側立板部3bの上縁から、板幅が張出し下板部3aの約1/2になる上面板部3cが、側溝内へ向けて水平に張出す。そして、この水平に張出した上面板部3cの先端縁で屈曲し、外側立板部3bと平行なるように内側立板部3dが垂下する。該内側立板部3dは外側立板部3bよりも上下方向長さを短く設定しており、その下縁が張出し下板部3aに達することなく、その手前で終わる。ここでの内側立板部3dの上下方向長さは外側立板部3bの上下方向長さの約2/3とする。そうして、該内側立板部3dの下縁からさらに側溝内へ向けて水平に張出す張出し上板部3eを設ける。本体ブロック2の右側壁22Aの上面22aに、横断面ほぼ「』」形にして、張出し下板部3aと張出し上板部3eとでつくる下部31を側溝内へ水平に張出す右空洞受け枠3Aが形成される。張出し下板部3aと張出し上板部3eの張出し端は、平面視でほぼ同じ位置にある(図1,図4)。外側立板部3bと内側立板部3dとの間、また張出し下板部3aと張出し上板部3eとの間は空洞になっている(図1)。
【0013】
一方、横断面視で、既述のごとく左空洞受け枠3Bが前記右空洞受け枠3Aと、本体ブロック2の中央上下方向に走る中心線に対し、ほぼ線対称になるよう設けられて、両空洞受け枠3A,3Bに係る下部の張出し部31で溝蓋4を受け支える。左右空洞受け枠3A,3Bは、本体ブロック2に一体化されて、溝蓋載置用の受け枠3となる(図2)。本実施形態は、両空洞受け枠3A,3Bにそれぞれアンカー(図示せず)が固着され、本体ブロック2の成形時に該アンカーを埋設して本体ブロック2に両空洞受け枠3A,3Bが一体化される。
【0014】
そして、両空洞受け枠3A,3Bは両張出し部31の対向端面が開口31aする。両張出し部31の対向端面が開口することで、受け枠3の空洞内へ流れ込んだ雨水を開口31aから放出する。ここでは、図1のごとく両張出し部31の対向端面の部位で板部が存在せず、左右空洞受け枠3A,3Bの長手方向に向けて、両張出し部31の対向端面の全てを開放して開口31aとする。また、両空洞受け枠3A,3Bの上面板部3cを横断するようにして、該上面板部3cを切り欠いて開孔部33を複数形成する。本実施形態は、図面を判り易くするため便宜的に二つとするが、実際は開孔部33の個数をもっと増やしている。上面板部3cに開孔部33を設けることにより、路面9a上に降った雨水の受け枠3内への取り込みが円滑に進む。開口31a,開孔部33が設けられることにより、路面9a上に降った雨水が路面9aをつたい開孔部33へスムーズに流れ込み、その流れ込んだ雨水は左右空洞受け枠3A,3Bの空洞内を流下し、開口31aから溝部20へ円滑に排出される。
【0015】
さらに、受け枠3は、前記開孔部33を形成する両空洞受け枠3A,3Bに係る内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁が上面板部3cの上面よりも一段下がり、側面視で該開孔部33の部位に段差ε(窪み)ができる構成とする。本実施形態は、図1,図2のごとく上面板部3cの上面よりも開孔部33を形成する両空洞受け枠3A,3Bに係る内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁が、上面板部3cの板厚分又はこれよりも若干下に位置する。開孔部33では上面板部3cが切り取られ、加えて、内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁が上面板部3cの上面よりも一段下がる。その結果、図3に見られるように、側面視で上面板部3cと内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁とで段差εがついて、受け枠3の表面が凹凸のデコボコ面になる。このデコボコ面上を車が走行すると、車に振動と共に耳に聞こえる大きな走行音を発する。運転手は勿論、歩道92を行き来する者への危険予知信号となる。上面板部3cにおける開孔部33のピッチや上面板部3cと内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁との段差εのつき具合で、振動や走行音を変化させることができる。
ここで、開孔部33を形成する内側立板部3d及び外側立板部3bに係る上縁の一部が上面板部3cの上面よりも一段下がるだけでも、本発明でいう「開孔部33を形成する両空洞受け枠3A,3Bに係る内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁が上面板部3cの上面よりも一段下がる」とみなす。この領域での車両走行で車に振動を与えると共に耳に聞こえる走行音を発する本発明の効果が得られるからである。しかし、本実施形態のごとく、開孔部33を形成する両空洞受け枠3A,3Bに係る内側立板部3d及び外側立板部3bに係る上縁の全てが上面板部3cの上面よりも一段下がる方がより好ましい。開孔部33を形成した全ての所で振動や走行音を発し、開孔部33を有効活用でき、より効率的,効果的だからである。また、本実施形態は内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁が真っ直ぐ水平にして、上面板部3cの上面よりも一段下がるが、内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁は側面視で湾曲状に窪ませたり波状にしたりできる。
【0016】
また、本受け枠3には、上端3fが開孔部33を形成する内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁又は該上縁近くとして、ここから下端3fが受け枠3の内底36に達して空洞内を縦に仕切る縦リブ3fが設けられる(図2,図3)。縦リブ3fは、各開孔部33の長手方向(流路方向)長さを図4のごとく二分割する格好で、各開孔部33に係る内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁から受け枠3の内底36に達して空洞内を仕切る。この縦リブ3fが設けられることによって、左右空洞受け枠3A,3Bの保形強度が高まる。該縦リブ3fが外側立板部3bと内側立板部3dとを連結して両者間の距離を維持し空洞の保形に貢献する。と同時に、大きな開孔部33を開けても、縦リブ3fを設けることによって開孔部33が分割されて、最終開孔部33の大きさが小さくなり、不用意に大きなゴミ等が開孔部33から受け枠3内へ入り込むのを防ぐ。ここでは、各開孔部33をほぼ二分割する縦リブ3fを設けたが、開孔部33が大きい場合は、それ以上に分割する縦リブ3fを設けることもできる。
【0017】
さらに、本実施形態では、図1,図2のごとく平面視で上面板部3cが在る領域にて、張出し下板部3aと張出し上板部3eとを連結する補助リブ3gが設けられる。細長長方形の補助リブ3gはその短手幅方向を起立させて、下縁を張出し下板部3aに固着する一方、上縁を張出し上板部3eに固着する。補強リブの一端が、張出し下板部3aと張出し上板部3eの側溝内へ向けて水平に張出すそれらの一端と一致し、補強リブの他端は張出し上板部3eにとどまらずこれを越え、張出し下板部3aと外側立板部3bとでつくる角部に当接,固着する。補助リブ3gは縦リブ3fと共に左右空洞受け枠3A,3Bのより一層の保形維持に努める。補強リブ3gは溝蓋4を受け支える部位の強度を上げて、該溝蓋を下部の張出部31で確実に支える。尚、図1,図2では、上面板部3cが在る領域の両端面寄りの二箇所に補助リブ3gを設けたが、図3のごとく上面板部3cが在る全ての領域で補助リブ3gを設けると、強度がアップし、より好ましくなる。
【0018】
また、左右空洞受け枠3A,3Bのそれぞれの外側立板部3bにスリット34と複数の透孔35を設ける。スリット34は該外側立板部3bの上縁寄りで長手方向全域に設ける。透孔35は左右空洞受け枠3A,3Bに係る外板立板部3bの長手方向に向けて複数形成される。雨天時の水はけを良くするためである。特に、スリット34は、地中に含まれる雨水の水面が路面9aに達する前に、積極的に受け枠3内へ流し込む狙いがある。
図2中、側溝ブロック1が配された側溝の右側にある路面9aが道路9の車道91で、側溝ブロック1が配された箇所の左側にある路面9aが歩道92を示す。大雨の時、降った雨は路面9aを横に流れて開孔部33に達し、受け枠3の空洞を通り開口31aから溝部20へと流れるが、雨水の一部は路面9aから地中へ入り込む。特に、最近は道路9に粒状物を敷き詰め、地中へ雨水を積極的に取り込む構造のものも存在する。このような場合でも、雨天時の路面9aから地中に入り込んだ雨水を、外側立板部3bに設けたスリット34と透孔35を介して受け枠3の空洞内へ積極的に取り込み、雨水処理を良好なものとする。符号3cは上面板部3cに設けた滑り止め用突起、符号8は歩道92と側溝の間に設けた堰を示す。上面板部3cの突起3cは縞後半の突起等に置き換えることができる。
【0019】
このように構成した側溝ブロック1は、道路脇にいくつも接続して道路に沿って側溝を形成する。該側溝ブロックは、左右空洞受け枠3A,3Bの張出し部31にコンクリート製溝蓋4や金属製グレーチングの溝蓋4を載置して、雨水の排水処理用の側溝として供されるが、その排水性が頗る良好となる。左右空洞受け枠3A,3Bの上面に開孔部33を道路に沿って二列配設するので、豪雨等で一度に大量の雨が降って路面を雨水で覆うようになっても、路面9aをつたって横に流れるその大量の雨を該開孔部33から受け枠3の空洞内へ順次取り込むことができる。そして、空洞内へ取り込んだ雨水は開口31aから溝部20へ円滑放出できる。さらに、豪雨の時は雨水と一緒に取り込んだ空気が圧縮され、この圧縮空気が逃げ場を求めて、マンホールや溝蓋を押し上げることがあるが、本側溝ブロック1は開孔部33が側溝の長手方向全域に配設されており、しかも開孔が大きいことから、雨水と一緒に入り込む空気を絶えずガス抜きでき、豪雨でも溝蓋4を押し上げる不具合を招かない。
【0020】
また、昨今は脇見運転等で、車道91から歩道92に車が乗り上げる事故がニュース等で取り上げられているが、本側溝ブロック1は極めて有効な手だてが講じられる。開孔部33を形成する両空洞受け枠3A,3Bに係る内側立板部3d及び外側立板部3bの上縁が上面板部3cの上面よりも一段下がるので、本側溝ブロック1を側溝用に敷設すると側溝上面の両側にある受け枠3が側溝の長手方向に向かってデコボコになる。図2で、車道91から脇見運転などで、車両が歩道92に乗り上げようとした場合、まず、車道91から側溝に係る車道側受け枠3のデコボコ面を走行することとなる。そのガタガタと鳴る大きな走行音、さらに振動衝撃を運転手に伝えて誤走行を直ちに気づかせる。振動衝撃は車両がセンターラインをオーバーする時の衝撃以上のものがある。ここで、振動衝撃を誤走車に与えることは、反作用として側溝ブロックの方にもその振動衝撃が加わることになる。しかし、該振動衝撃が加わる部位が振動衝撃に強い金属製の受け枠3であるので、振動衝撃に脆いコンクリート等のごとく割れたりすることがない。側溝本体3がコンクリート製であっても、金属製受け枠3が受けた振動衝撃は金属製受け枠3が保有する弾性変形で緩和した後、側溝本体2に伝わるので何ら問題ない。さらに、振動衝撃を受ける側溝ブロックの上面,上部は摩擦が激しく、コンクリート製にすると経年変化による摩耗が激しくなるが、本側溝ブロック1は振動衝撃を受ける上面,上部に金属製の受け枠3を採用しているため、コンクリートのように摩耗の度合いが激しくなることもない。側溝ブロック1は、側溝としての流路形成する基本的機能を本体ブロック2に担わせる一方で、耐振動,耐衝撃,耐摩擦,耐摩耗といった領域をこれらに強い金属製受け枠3に担わせており、極めて理にかなった構造になっている。
また、上記走行音は、運転手のみならず歩道92にいる歩行者に、車が歩道92に侵入してくることを知らせる。運転手が気づくのが遅れて、歩道92に入り込んでくるような場合であっても、車両が車道91から側溝に係る車道側受け枠3のデコボコ面を走行する時に、まずガタガタと大きな走行音を発してくれるので、歩行者はいち早く身をかわして事故にならぬよう逃れることができる。車道91から歩道92へ飛び込んでくるには、車道91から側溝に係る車道側受け枠3のデコボコ面を走行してガタガタ音を発する時間に加え、車両は溝蓋4を横切らねばならず、さらに、側溝に係る歩道側受け枠3のデコボコ面を走行してからでないと、歩道92に突っ込むことができないので、歩行者は危険を回避する時間的余裕が生まれる。堰8が在っても、従来はこれを車両が乗り越えてきたときには時すでに遅しの感があったが、本側溝ブロック1を採用すれば、車が車道91から外れて側溝ブロック1に入りかかった時点で、歩行者が大きな走行音を聞くことになるので、いち早く事故回避をなすことができ、極めて有益となる。車道91から歩道92へ車が乗り入れようとする前の早い段階から、受け枠3を使って危険発信し、運転手のみならず歩行者にも大きな音で知らせてくれるので、交通事故撲滅に威力を発揮する。
【0021】
また、本左右空洞受け枠3A,3Bの開孔部33には縦リブ3fが起立配設されており、ともすれば空洞,中空で強度的に弱くなる空洞部30を強度アップする。さらに補助リブ3gで補強して、強度的により万全な受け枠3に仕上げる。
かくのごとく、本側溝ブロック1は、構造的に頑強にして排水機能を格段に高めるだけでなく、交通事故防止に極めて有効で役立ち、さらに比較的低コストで対応可能であり多大な効を奏する。
【0022】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。本体ブロック2,受け枠3等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。例えば、本実施形態はアンカーを用いて本体ブロック2と受け枠3とを一体化したが、これに代え、本体ブロック2に雌ねじ部材や雄ねじ部材をインサートし、受け枠3に形成した通孔を介してねじ部材の螺着による一体化とすること等もできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の金属製受け枠付き側溝ブロックの一形態で、その全体斜視図である。
【図2】図1のIV-IV線矢視図である。
【図3】図1の右側面図の部分図である。
【図4】図1の右側部分の部分平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 側溝ブロック(金属製受け枠付き側溝ブロック)
2 本体ブロック
21 底壁
22 側壁
22A 右側壁
22B 左側壁
22a 上面
3 受け枠
3A 右空洞受け枠
3B 左空洞受け枠
3b 外側立板部
3c 上面板部
3b 内側立板部
3f 縦リブ
3f 上端
3f 下端
31 張出し部(下部)
31a 開口
33 開孔部33
36 内底
4 溝蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及びこれに連接する左右側壁を有して横断面U字形のコンクリート製の側溝用本体ブロック(2)を形成し、該本体ブロックの右側壁の上面に、横断面ほぼ「』」形にして下部が側溝内へ張出す金属製の右空洞受け枠(3a)を設ける一方、左側壁の上面に、横断面視で該右空洞受け枠と、本体ブロックの中央上下方向に走る中心線に対し、ほぼ線対称になるようにした金属製の左空洞受け枠(3b)を設けて、両空洞受け枠に係る下部の張出し部で溝蓋を受け支え、該本体ブロックに一体化されて溝蓋載置用の受け枠(3)を形成し、且つ前記両張出し部の対向端面が開口すると共に、両空洞受け枠の上面板部を横断するようにして切り欠いて開孔部が複数形成され、さらに該開孔部を形成する両空洞受け枠に係る内側立板部及び外側立板部の上縁が上面板部の上面よりも一段下がることを特徴とする金属製受け枠付き側溝ブロック。
【請求項2】
上端が前記開孔部を形成する前記内側立板部及び外側立板部の上縁又は該上縁近くとして、ここから下端が受け枠の内底に達して空洞内を縦に仕切る縦リブが設けられる請求項1記載の金属製受け枠付き側溝ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−91851(P2009−91851A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265394(P2007−265394)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(599147218)東北岡島工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】