説明

鉄筋コンクリート部材の接合構造、及び鉄筋コンクリート部材の接合方法

【課題】 杭頭接合部の強度と変形性能が上記した従来方式と同等以上となる鉄筋コンクリート部材の接合構造、及びその施工方法を提供する。
【解決手段】 場所打ちRC杭1とフーチング2を接合する構造であり、フーチング2に接合する場所打ちRC杭1の部分である第1接合部11の外径を他の部分である第1一般部12の外径と等しいD1とし、第1接合部11における複数の第1主鉄筋25の周囲を取り囲み第1主鉄筋方向に略直角となるとともに鉄筋の量が場所打ちRC杭1の第1一般部帯鉄筋27の量よりも大きくなるようにして密鉄筋区間帯鉄筋28を配置し、第1境界部13付近の第1主鉄筋25を取り囲むように合成樹脂製のシート31を接着する。このため第1接合部11付近の鉄筋コンクリートの強度と変形性能を増加させることができ、地震時での第1主鉄筋25の破断を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略棒状の第1鉄筋コンクリート部材と第2鉄筋コンクリートを接合する鉄筋コンクリート部材の接合構造、及びこの鉄筋コンクリート部材の接合構造を施工する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、場所打ち鉄筋コンクリート杭(以下、「場所打ちRC杭」という。)の杭頭部とフーチングが接合する箇所の構造は、杭の主鉄筋(杭の鉛直上下方向に配置される鉄筋)と、フーチングの主鉄筋を直接、接合して鉄線等により結束し、周囲に補強鉄筋(帯鉄筋、フープ鉄筋など)等を配置したのち、コンクリートを打設することにより形成されるのが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この杭頭部(フーチングとの接合箇所)の補強鉄筋(帯鉄筋、フープ鉄筋など)の量は、場所打ちRC杭の本体部分の補強鉄筋(帯鉄筋、フープ鉄筋など)の量と略同一に設定されるのが一般的であった。
【0004】
しかしながら、杭頭接合部の強度と変形性能が上記の従来方式と同等以上で、かつ、建設コストも低廉となる鉄筋コンクリート部材の接合構造の開発が現在強く要請されている。
【特許文献1】特開2003−268787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、杭頭接合部の強度と変形性能が上記した従来方式と同等以上で、かつ、建設コストも低廉となる鉄筋コンクリート部材の接合構造、及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
略棒状の第1コンクリートの内部において前記第1コンクリートの主鉄筋方向である第1主鉄筋方向に沿って筒状の包絡面を形成するように複数の第1主鉄筋が配置される第1鉄筋コンクリート部材と、第2コンクリートの内部に第2主鉄筋が配置される第2鉄筋コンクリート部材を接合する構造であって、
前記第2鉄筋コンクリート部材に接合する前記第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1接合部における外径を、前記第1接合部以外の前記第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1一般部の外径と等しくし、
前記第1一般部における複数の前記第1主鉄筋を前記第1接合部のコンクリートの内部に通し、その先端位置を前記第2鉄筋コンクリート部材の内部に入るように延長して定着させ、
前記第1一般部における前記第1主鉄筋の周囲を取り囲み前記第1主鉄筋方向に略直角となるように第1一般部補強鉄筋が配置され、
前記第1接合部及びその鉛直方向の上下に隣接する箇所における前記第1主鉄筋の周囲を取り囲み前記第1主鉄筋方向に略直角となるとともに鉄筋の量が前記第1一般部補強鉄筋の量よりも大きくなるようにして密鉄筋区間補強鉄筋が配置されること
を特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1接合部の前記第1主鉄筋方向への長さは、前記第1接合部のコンクリートの外径の2倍の値以下となるように設定されること
を特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1接合部の前記第1主鉄筋のなす包絡面の筒の内径は、50センチメートルよりも大きな値となるように設定されること
を特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1一般部補強鉄筋の前記第1主鉄筋方向の設置間隔の値に対する前記密鉄筋区間補強鉄筋の前記第1主鉄筋方向の設置間隔の値の比は、0.1以上でかつ0.5以下となるように設定され、
かつ、隣接する前記密鉄筋区間補強鉄筋どうしの間の空隙の値は、40ミリメートルよりも大きな値となるように設定されること
を特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1鉄筋コンクリート部材は場所打ちコンクリート杭であり、前記第2鉄筋コンクリート部材はフーチング又は地中梁と柱の節点部、若しくはスラブであること
を特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1鉄筋コンクリート部材は柱であり、前記第2鉄筋コンクリート部材は梁の節点部であること
を特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項7に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1鉄筋コンクリート部材は梁であり、前記第2鉄筋コンクリート部材は柱と梁の節点部であること
を特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項8に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1鉄筋コンクリート部材の断面形状は円形又は矩形であること
を特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項9に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記密鉄筋区間補強鉄筋は螺旋状に形成された鉄筋であること
を特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項10に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1一般部補強鉄筋は螺旋状に形成された鉄筋であること
を特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項11に係る鉄筋コンクリート部材の接合方法は、
略棒状の第1コンクリートの内部において前記第1コンクリートの主鉄筋方向である第1主鉄筋方向に沿って筒状の包絡面を形成するように複数の第1主鉄筋が配置される第1鉄筋コンクリート部材と、第2コンクリートの内部に第2主鉄筋が配置される第2鉄筋コンクリート部材を接合する方法であって、
前記第2鉄筋コンクリート部材に接合する前記第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1接合部における外径を、前記第1接合部以外の前記第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1一般部の外径と等しくし、
前記第1一般部における複数の前記第1主鉄筋を前記第1接合部のコンクリートの内部に通し、その先端位置を前記第2鉄筋コンクリート部材の内部に入るように延長して定着させ、
前記第1一般部における前記第1主鉄筋の周囲を取り囲み前記第1主鉄筋方向に略直角となるように第1一般部補強鉄筋が配置され、
前記第1接合部及びその鉛直方向の上下に隣接する箇所における前記第1主鉄筋の周囲を取り囲み前記第1主鉄筋方向に略直角となるとともに鉄筋の量が前記第1一般部補強鉄筋の量よりも大きくなるようにして密鉄筋区間補強鉄筋が配置されること
を特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項12に係る鉄筋コンクリート部材の接合方法は、
請求項11記載の鉄筋コンクリート部材の接合方法において、
前記第2鉄筋コンクリート部材と接する前記第1接合部の部分である第1境界部における前記複数の第1主鉄筋の周囲を取り囲むように発泡スチロール樹脂からなる略環状の境界部コンクリート型枠を配置し前記第1境界部における外径を周囲よりも小さくし前記第1鉄筋コンクリート部材の外周に略環状の溝を形成させるようにして前記第1鉄筋コンクリート部材及び前記第2鉄筋コンクリート部材のコンクリートを打設すること
を特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項13に係る鉄筋コンクリート部材の接合方法は、
請求項11記載の鉄筋コンクリート部材の接合方法において、
前記第2鉄筋コンクリート部材と接する前記第1接合部の部分である第1境界部における前記複数の第1主鉄筋の周囲を取り囲むようにして合成樹脂製のシートを略筒状に設置し、前記第1鉄筋コンクリート部材及び前記第2鉄筋コンクリート部材のコンクリートを打設すること
を特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項14に係る鉄筋コンクリート部材の接合方法は、
請求項13記載の鉄筋コンクリート部材の接合方法において、
前記合成樹脂製のシートの前記第1主鉄筋方向への長さは、前記第1接合部のコンクリートの外径の2倍の値以下となるように設定されること
を特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項15に係る鉄筋コンクリート部材の接合方法は、
請求項11記載の鉄筋コンクリート部材の接合方法において、
前記第2鉄筋コンクリート部材と接する前記第1接合部の部分である第1境界部と、前記第1境界部と接する前記第2コンクリート部材の部分である第2境界部にわたる範囲における前記複数の第1主鉄筋の個々の鉄筋の周囲を取り囲むようにして合成樹脂製のシートを略筒状に設置し、前記第1鉄筋コンクリート部材及び前記第2鉄筋コンクリート部材のコンクリートを打設すること
を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造、及び鉄筋コンクリート部材の接合方法によれば、略棒状の第1コンクリートの内部において第1コンクリートの主鉄筋方向である第1主鉄筋方向に沿って筒状の包絡面を形成するように複数の第1主鉄筋が配置される第1鉄筋コンクリート部材と、第2コンクリートの内部に第2主鉄筋が配置される第2鉄筋コンクリート部材を接合する構造であって、第2鉄筋コンクリート部材に接合する第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1接合部における外径を、第1接合部以外の第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1一般部の外径と等しくし、第1一般部における複数の第1主鉄筋を第1接合部のコンクリートの内部に通し、その先端位置を第2鉄筋コンクリート部材の内部に入るように延長して定着させ、第1一般部における第1主鉄筋の周囲を取り囲み第1主鉄筋方向に略直角となるように第1一般部補強鉄筋が配置され、第1接合部及びその鉛直方向の上下に隣接する箇所における第1主鉄筋の周囲を取り囲み第1主鉄筋方向に略直角となるとともに鉄筋の量が第1一般部補強鉄筋の量よりも大きくなるようにして密鉄筋区間補強鉄筋が配置されるように構成したので、第1接合部付近の鉄筋コンクリートの強度と変形性能を従来の構成よりも増加させることができる、という利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に説明する実施例は、第1鉄筋コンクリート部材として場所打ちRC杭を、かつ第2鉄筋コンクリート部材としてフーチングを例にとして採用し、フーチングに接合する場所打ちRC杭の部分である第1接合部の外径を第1接合部以外の第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1一般部の外径と等しくし、第1一般部における複数の第1主鉄筋を第1接合部のコンクリートの内部に通し、その先端位置を第2鉄筋コンクリート部材の内部に入るように延長して定着させ、第1一般部における第1主鉄筋の周囲を取り囲み第1主鉄筋方向に略直角となるように第1一般部補強鉄筋が配置され、第1接合部及びその鉛直方向の上下に隣接する箇所における第1主鉄筋の周囲を取り囲み第1主鉄筋方向に略直角となるとともに鉄筋の量が第1一般部補強鉄筋の量よりも大きくなるようにして密鉄筋区間補強鉄筋を配置する構成であり、第1接合部付近の鉄筋コンクリートの強度と変形性能を従来の構成よりも増加させることができ、本発明を実現するための構成として最良の形態である。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の第1実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の構成を示す鉛直方向の縦断面図である。また、図2は、本発明の第1実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の構成を示す水平方向の横断面図である。図2において、図2(A)は、図1におけるA−A方向から見た断面図を示している。また、図2において、図2(B)は、図2(A)の一部を拡大した拡大断面図を示している。また、図3は、本発明の第1実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の変化例の第1境界部付近の構成を示す鉛直方向の拡大した縦断面図である。また、図4は、本発明の第1実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の他の変化例の第1境界部付近の構成を示す鉛直方向の拡大した縦断面図である。図4において、図4(B)は、図4(A)の第1境界部付近をさらに拡大した拡大断面図を示している。
【0024】
図1及び図2に示すように、第1実施例の場所打ちRC杭・フーチング接合構造101は、場所打ちRC杭1の頭部付近と、フーチング2を接合する構造である。ここに、場所打ちRC杭・フーチング接合構造101は、特許請求の範囲における鉄筋コンクリート部材の接合構造に相当している。また、場所打ちRC杭1は、特許請求の範囲における第1鉄筋コンクリート部材に相当している。また、フーチング2は、特許請求の範囲における第2鉄筋コンクリート部材に相当している。
【0025】
フーチング2は、第2コンクリート5の内部に第2主鉄筋(図示せず)が配置されて構成される鉄筋コンクリート梁、又は鉄筋コンクリートスラブとなっている。図1及び図2においては、図の煩雑を避けるため、第2主鉄筋は図示が省略されている。第2主鉄筋は、例えば、フーチング2の下部付近の内部に図1(D)及び図2の左右方向に延びるように配置される。
【0026】
場所打ちRC杭1の頭部付近は、第1接合部11と、第1一般部12によって構成されている。場所打ちRC杭1の頭部付近のうち、第1接合部11以外の部分は、第1一般部12となっている。フーチング2と接する箇所の付近の第1接合部11の部分は、第1境界部13となっている。
【0027】
場所打ちRC杭1のうちの第1接合部11は、略丸棒状、又は略円柱状の部材であり、第1コンクリート3と、第1主鉄筋25と、密鉄筋区間帯鉄筋28と、シート31を有して構成されている。第1主鉄筋25は、その先端(鉛直方向における上端)である定着端25aが、フーチング2の第2コンクリート5の内部に定着されるものであり、定着端25aが略半円フック状に屈曲し、その下部が直線状の鉛直部25bとなっている。
【0028】
第1主鉄筋25は、フーチング2の第2コンクリート5の内部、第1接合部11の第1コンクリート3の内部、及び第1一般部12の第1コンクリート4の内部においては、第1コンクリート3(場所打ちRC杭1)の主鉄筋方向(以下、「第1主鉄筋方向」という。図1における鉛直上下方向。)に沿って平行に延びるように複数個が配置されている。また、これらの複数個の第1主鉄筋25は、第1主鉄筋方向に対して略直角となる断面(水平方向断面。図示せず。図2(A)及び図2(B)参照。)で見ると、ある円周の上に並ぶように配置され、これら複数個の第1主鉄筋25により、第1コンクリート3及び4、及び第2コンクリート5の内部においては、略円筒面状の包絡面が形成されている。
【0029】
また、第1接合部11は、外部形状について見ると、その外径は、第1一般部12の外径と等しく、その断面積は、第1一般部12の断面積と等しくなっている。
【0030】
次に、補強鉄筋について説明する。第1一般部12の密鉄筋区間始端24aより下方の箇所においては、第1主鉄筋25の周囲には、これらを取り囲むようにして略円環状の第1一般部帯鉄筋27が配置される。この第1一般部帯鉄筋27は、第1主鉄筋方向に略直角となっている。第1一般部帯鉄筋27は、特許請求の範囲における第1一般部補強鉄筋に相当している。
【0031】
また、密鉄筋区間始端24aと、フーチング2の密鉄筋区間終端24bの間の区間(以下、「密鉄筋区間」という。)においては、略円筒面状包絡面をなす複数の定着第1主鉄筋25の周囲を取り囲むようにして略円環状の密鉄筋区間帯鉄筋28が配置される。この密鉄筋区間帯鉄筋28は、第1主鉄筋方向に略直角となっている。密鉄筋区間帯鉄筋28の鉄筋量は、第1一般部帯鉄筋27の鉄筋量よりも大きくなるように設定されている。密鉄筋区間帯鉄筋28は、特許請求の範囲における密鉄筋区間補強鉄筋に相当している。
【0032】
また、シート31は、合成樹脂材料、例えば、軟質のポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド樹脂、ビニロン繊維(ポリビニルアルコール繊維、又はポリビニルホルマール繊維)等からなり、厚みが0.1〜1.0ミリメートル程度の薄い膜、又はフィルム、若しくはシート状の部材である。このシート31の裏面には、接着剤(図示せず)が塗布されており、第1境界部13付近の、略円環状の密鉄筋区間帯鉄筋28の周囲、すなわち、第1主鉄筋25の周囲を取り囲む(被覆する)ようにして、略筒状に接着されている。この合成樹脂製シート31は、場所打ちRC杭1のコンクリートを打設する前、例えば、場所打ちRC杭1の主鉄筋25と第1一般部帯鉄筋27と密鉄筋区間帯鉄筋28の組立が終わった時点に接着され、その後、場所打ちRC杭1のコンクリートが打設され、場所打ちRC杭1が建設される。なお、シート31は、接着剤を用いずに、なまし鉄線、金具、止め具等により、密鉄筋区間帯鉄筋28の周囲、すなわち、第1主鉄筋25の周囲を取り囲む(被覆する)ようにして、略筒状に設置するようにしてもよい。
【0033】
次に、上記のように構成した場所打ちRC杭・フーチング接合構造101の作用について説明する。上記の場所打ちRC杭・フーチング接合構造101は、第1主鉄筋方向(図1における鉛直上下方向)に延びる略丸棒状の場所打ちRC杭1と、フーチング2を接合する構造であり、場所打ちRC杭1は、第1接合部11と第1一般部12から構成されている。RC杭・フーチング接合構造101においては、フーチング2に接合する場所打ちRC杭1の部分である第1接合部11の外径を、第1接合部以外の場所打ちRC杭1の部分(第1一般部12)の外径と等しくし、かつ、第1接合部11における複数の第1主鉄筋25の周囲を取り囲み第1主鉄筋方向に略直角となるように密鉄筋区間帯鉄筋28を配置する。そして、この密鉄筋区間帯鉄筋28の鉄筋の量を、第1一般部12の第1一般部帯鉄筋27の鉄筋量よりも大きくなるように設定している。このため、第1接合部11及びその上下に隣接する箇所(第1一般部12の上部、及びフーチング2の下部)である密鉄筋区間の鉄筋コンクリートの強度と変形性能を、従来の構成の場合よりも向上させることができる。
【0034】
さらに、RC杭・フーチング接合構造101では、第1境界部13付近の、シート31より外部のコンクリート14は、シート31が、第1主鉄筋25とコンクリート14の付着を防止する作用を発揮する。このため、地震時には、第1境界部13付近の、シート31より外部のコンクリート14の一部又は全部が剥落する。これにより、地震により場所打ちRC杭1やフーチング2のコンクリート内に発生するコンクリート応力は、第1主鉄筋25にすべては伝達はされず、その一部は、コンクリート14の剥落によって減殺される。したがって、第1主鉄筋25の鉄筋応力は、地震時でも過大になることはなく、第1主鉄筋25の破断が防止される。また、この場合、コンクリート14が剥落しても、シート31は、防水性を有しているため、内部の第1主鉄筋25及び密鉄筋区間帯鉄筋28を、外部の水分から保護することができ、鉄筋の腐食を防止することができる。
【0035】
また、上記における第1接合部11の第1主鉄筋方向への長さL1は、実験等の結果から、第1接合部11のコンクリートの外径(又は第1一般部12のコンクリートの外径)D1の2倍の値以下となる値の範囲内に設定されることが好ましい。
【0036】
また、上記における第1接合部11の第1主鉄筋25のなす包絡面の筒の内径(又は第1一般部12の第1主鉄筋25のなす包絡面の筒の内径)D2は、コンクリート打設用のトレミー管を円滑に挿入可能とするため、50センチメートルよりも大きな値に設定されることが好ましい。
【0037】
また、上記における第1一般部帯鉄筋27の第1主鉄筋方向の設置間隔L2の値に対する密鉄筋区間帯鉄筋28の第1主鉄筋方向の設置間隔L3の値の比は、実験等の結果から、0.1以上でかつ0.5以下となる値の範囲内に設定されることが好ましい。そして、この場合、隣接する密鉄筋区間帯鉄筋28どうしの間の空隙L3の値は、コンクリートの粗骨材が行き渡るように、40ミリメートルよりも大きな値となるように設定されることが好ましい。
【0038】
また、上記におけるシート31の鉛直方向の設置長さ(第1主鉄筋方向への設置長さ)L6は、実験等の結果から、下限は、5〜20ミリメートル程度が好ましい。また、シート31の鉛直方向の設置長さL6は、実験等の結果から、その上限は、第1接合部11のコンクリートの外径(又は第1一般部12のコンクリートの外径)D1の2倍の値以下となる値の範囲内に設定されることが好ましい。
【0039】
また、上記したように、第1境界部13付近の、シート31より外部のコンクリート14は、地震時には、むしろ積極的に剥落することが期待されている。したがって、コンクリート14の「かぶり厚さ」、すなわち、シート31の外表面と、コンクリート14の外表面との間の距離は、小さな値であってもよい。
【0040】
また、図3に示す第1実施例の変化例のRC杭・フーチング接合構造101Aのように、シート31Aを何回も巻回して接着し、第1境界部13付近の、略円環状の密鉄筋区間帯鉄筋28の周囲、すなわち、第1主鉄筋25の周囲を、何重にも取り囲む(被覆する)ようにして、シート31Aを略筒状に接着するようにし、シート31Aの外表面位置が、第1接合部11の外表面11aの位置と等しくなるようにしてもよい。シート31Aの材質は、シート31と同様である。この場合には、シート31Aの外部には「かぶりコンクリート」が無い状態となる。このようにすれば、地震により場所打ちRC杭1やフーチング2のコンクリート内に発生するコンクリート応力は、第1主鉄筋25にすべては伝達はされず、その一部は減殺される。したがって、第1主鉄筋25の鉄筋応力は、地震時でも過大になることはなく、第1主鉄筋25の破断が防止される。また、この場合、シート31Aは、防水性を有しているため、内部の第1主鉄筋25及び密鉄筋区間帯鉄筋28を、外部の水分から保護することができ、鉄筋の腐食を防止することができる。なお、シート31Aは、接着剤を用いずに、なまし鉄線、金具、止め具等により、密鉄筋区間帯鉄筋28の周囲、すなわち、第1主鉄筋25の周囲を取り囲む(被覆する)ようにして、略筒状に設置するようにしてもよい。
【0041】
また、図4に示す第1実施例の他の変化例のRC杭・フーチング接合構造101Bのように、シート31Bを、第1境界部13付近の、略円環状の密鉄筋区間帯鉄筋28の周囲、すなわち、第1主鉄筋25の周囲を取り囲む(被覆する)ようにして略筒状に接着するようにし、シート31Bの外部のコンクリート14Bの外表面に、コンクリート14Bの地震時の剥落を積極的に誘導するような、コンクリート14Bを環状に取り巻く溝状の切欠部15a、15bなどを形成しておくようにしてもよい。シート31Bの材質は、シート31と同様である。このようにすれば、地震により場所打ちRC杭1やフーチング2のコンクリート内に発生するコンクリート応力は、第1主鉄筋25にすべては伝達はされず、その一部は、コンクリート14Bの剥落によって減殺される。したがって、第1主鉄筋25の鉄筋応力は、地震時でも過大になることはなく、第1主鉄筋25の破断が防止される。また、この場合、シート31Bは、防水性を有しているため、内部の第1主鉄筋25及び密鉄筋区間帯鉄筋28を、外部の水分から保護することができ、鉄筋の腐食を防止することができる。なお、環状切欠部は、15a、15bのほかに、複数個設けてもよい。また、環状切欠部15a、15bの溝断面は、「V」字状などにしておけば、コンクリート14Bの地震時の剥落を、より積極的に誘導することができる。なお、シート31Bは、接着剤を用いずに、なまし鉄線、金具、止め具等により、密鉄筋区間帯鉄筋28の周囲、すなわち、第1主鉄筋25の周囲を取り囲む(被覆する)ようにして、略筒状に設置するようにしてもよい。
【実施例2】
【0042】
本発明は、上記の第1実施例とは異なる構成によっても実現可能である。以下、本発明の第2実施例について、図5を参照しながら説明する。図5において、図5(A)は、本発明の第2実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の構成を示す鉛直方向の拡大した縦断面図である。また、図5において、図5(B)は、本発明の第2実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造におけるシート31Cの接着後の状態を示す側面図である。
【0043】
図5(A)に示すように、第2実施例の場所打ちRC杭・フーチング接合構造102は、場所打ちRC杭1Cの頭部付近と、フーチング2Cを接合する構造である。ここに、場所打ちRC杭・フーチング接合構造102は、特許請求の範囲における鉄筋コンクリート部材の接合構造に相当している。また、場所打ちRC杭1Cは、特許請求の範囲における第1鉄筋コンクリート部材に相当している。また、フーチング2Cは、特許請求の範囲における第2鉄筋コンクリート部材に相当している。
【0044】
フーチング2Cは、後述するシート31Cの部分を除き、上記したフーチング2と同様の構成を有している。また、場所打ちRC杭1Cの頭部付近は、後述するシート31Cの部分を除き、上記した場所打ちRC杭1と同様の構成を有している。
【0045】
第2実施例の場所打ちRC杭・フーチング接合構造102においては、フーチング2Cと接する箇所の付近の第1接合部11Cの部分(図5(A)における長さL7の部分。以下、「第1境界部」という。)13Cと、この第1境界部13Cと接する箇所の付近のフーチング2Cの部分(図5(A)における長さL8の部分。以下、「第2境界部」という。)16にわたる範囲における複数の第1主鉄筋25の個々の鉄筋の周囲を取り囲むようにして、合成樹脂製のシート31Cを略筒状に接着するようにしている。シート31Cの材質は、シート31と同様である。また、場所打ちRC杭1Cと、フーチング2Cのコンクリートの打設は、シート31Cの設置後に行われるようになっている。
【0046】
このようにすれば、第1境界部13Cと第2境界部16においては、シート31Cが、第1主鉄筋25とコンクリート14C及びコンクリート3との付着を防止する作用を発揮する。このため、地震により場所打ちRC杭1Cやフーチング2Cのコンクリート内に発生するコンクリート応力は、第1境界部13Cと第2境界部16においては、第1主鉄筋25には伝達はされない。したがって、第1主鉄筋25の鉄筋応力は、地震時でも過大になることはなく、第1主鉄筋25の破断が防止される。また、この場合、シート31Cは、防水性を有しているため、シート31Cで被覆されている第1主鉄筋25を、外部の水分から保護することができ、鉄筋の腐食を防止することができる。なお、シート31Cは、接着剤を用いずに、なまし鉄線、金具、止め具等により、密鉄筋区間帯鉄筋28の周囲、すなわち、第1主鉄筋25の周囲を取り囲む(被覆する)ようにして、略筒状に設置するようにしてもよい。
【0047】
なお、第2実施例の場所打ちRC杭・フーチング接合構造102において、図4に示すような、コンクリート14Cを環状に取り巻く溝状の切欠部を形成しておくようにしてもよい。このようにすれば、地震時に、コンクリート14Cの剥落を積極的に誘導することが可能となる。
【0048】
また、上記におけるシート接着長さ(第1主鉄筋方向への長さ)L7、L8の寸法は、実験等の結果から、以下の値とすることが好ましい。第1境界部におけるシート接着長さ(第1主鉄筋方向への長さ)L7については、下限値が30ミリメートル程度、上限値は、主鉄筋の直径の40倍の値、又は第1接合部11のコンクリートの外径(又は第1一般部12のコンクリートの外径)D1の値で、この範囲内の値とすることが好ましい。第2境界部におけるシート接着長さ(第1主鉄筋方向への長さ)L8についても、下限値が30ミリメートル程度、上限値は、主鉄筋の直径の40倍の値、又は第1接合部11のコンクリートの外径(又は第1一般部12のコンクリートの外径)D1の値で、この範囲内の値とすることが好ましい。また、L8の値は、L7の値よりも大きくなるように設定すると、地震時に、フーチング2Cの下部が破壊することを効果的に防止することができる。
【0049】
また、シート31Cは、図5(B)に示すように、シート31と同様の材質の合成樹脂製シートを、細長いテープ状(帯状)に形成し、第1主鉄筋25の表面に、螺旋状に巻回するようにして接着すれば、シート31Cの端部から、コンクリートのセメントミルクやモルタルがシート31Cと第1主鉄筋25の間に入り込むことを防止することができ、シート31Cの「コンクリートとの付着防止性能」をさらに高めることができる。
【0050】
本発明に係る鉄筋コンクリート部材の接合構造は、以下の施工方法を併用することが可能である。図6は、本発明の各実施例に併用可能なコンクリート打設方法を説明する図である。
【0051】
図6は、上記した第1実施例及び第2実施例の第1境界部(例えば13)付近の第1接合部(例えば11)とフーチング(例えば2)のコンクリートを打設するための方法を示している。鉄筋の配置等については、上記した第1実施例及び第2実施例と同様であり、図6においては、煩雑を避けるため、コンクリート内部に埋設されることになる各鉄筋は図示が省略されている。また、合成樹脂製のシート(例えば31)は、すでに所定の鉄筋に接着された後の状態を示している。
【0052】
まず、図6(A)に示すように、第1境界部付近の第1接合部となる箇所の第1主鉄筋の周囲に発泡スチロール樹脂からなる、境界部コンクリート型枠52を配置する。この境界部コンクリート型枠52は、厚肉円筒状に形成されている。境界部コンクリート型枠52の第1接合部における内径は、周囲(例えば第1一般部12)の外径(例えばD1)よりも小さく設定されている。また、図6(A)において、符号51で図示する部材は、鋼材などからなる全体型枠を示している。この全体型枠51は、フーチング2を形成するためのフーチング側部用型枠51a及びフーチング底部用型枠51bと、杭取付部51cを有している。杭取付部51cは、境界部コンクリート型枠52を支持するとともに、フーチング側部用型枠51a及びフーチング底部用型枠51bを場所打ちRC杭1の上端に結合部材(例えばボルトなど)53により取り付けて支持する。
【0053】
上記のような構成により、図6(B)に示すように、フーチング側部用型枠51a及びフーチング底部用型枠51bと、境界部コンクリート型枠52によって形成される空間に生コンクリートCを打設すると、型枠を外したのちに形成される部分の外径は周囲(例えば、第1境界部付近以外の第1接合部11)よりも小さくなり、その部分のコンクリートかぶり厚さは、それ以外の部分のコンクリートかぶり厚さよりも小さくなる。したがって、例えば、図1に示す第1実施例の場所打ちRC杭・フーチング接合構造101におけるコンクリート14のかぶり厚さを、他の第1接合部11のコンクリート4のかぶり厚さよりも小さく設定することが可能となる。また、上記した境界部コンクリート型枠52の断面形状を「V」字状にすることにより、図4(A)及び図4(B)に示す環状切欠部15a等をコンクリート表面に形成することも可能である。
【0054】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではない。上記した実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0055】
例えば、補強鉄筋としては、上記各実施例で説明した帯鉄筋ではなく、「らせん鉄筋(スパイラル鉄筋)」を用いてもよい。
【0056】
また、本発明の第1鉄筋コンクリート部材である場所打ちコンクリート杭の断面形状は、円形断面には限定されず、矩形断面であってもよい。また、本発明は、第1鉄筋コンクリート部材を場所打ちコンクリート杭とし、第2鉄筋コンクリート部材を地中梁と柱の節点部としてもよい。あるいは、第1鉄筋コンクリート部材を場所打ちコンクリート杭とし、第2鉄筋コンクリート部材をスラブとしてもよい。この場合、第1鉄筋コンクリート部材である場所打ちコンクリート杭の断面形状は、円形断面でもよいし、矩形断面であってもよい。
【0057】
また、本発明は、第1鉄筋コンクリート部材を柱とし、第2鉄筋コンクリート部材を梁の節点部としてもよい。この場合、第1鉄筋コンクリート部材である柱の断面形状は、円形断面でもよいし、矩形断面であってもよい。
【0058】
また、本発明は、第1鉄筋コンクリート部材を梁とし、第2鉄筋コンクリート部材を柱と梁の節点部としてもよい。この場合、第1鉄筋コンクリート部材である梁の断面形状は、円形断面でもよいし、矩形断面であってもよい。
【0059】
また、上記した第1実施例の場所打ちRC杭・フーチング接合構造101から、シート31を除去した構造であってもよい。この場合、フーチング2と接する箇所の第1接合部11の部分に、環状に取り巻く溝状の切欠部(例えば、溝幅10〜50ミリメートル程度)を設けておき、地震時に、第1主鉄筋25とコンクリートとの付着を防止するようにしておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、鉄筋コンクリート部材の接合構造の施工を行う土木・建築業等で実施可能であり、これらの産業で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の構成を示す鉛直方向の縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の構成を示す水平方向の横断面図である。
【図3】本発明の第1実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の変化例の第1境界部付近の構成を示す鉛直方向の拡大した縦断面図である。
【図4】本発明の第1実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の他の変化例の第1境界部付近の構成を示す鉛直方向の拡大した縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施例である場所打ちRC杭・フーチング接合構造の構成を示す図である。
【図6】本発明の各実施例に併用可能なコンクリート打設方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
1〜1C 場所打ちRC杭(第1鉄筋コンクリート部材)
2〜2C フーチング(第2鉄筋コンクリート部材)
3 接合部第1コンクリート
4 一般部第1コンクリート
5 第2コンクリート
11〜11C 第1接合部
11a 第1接合部の外表面
12 第1一般部
13〜13C 第1境界部
14、14C シートより外部のコンクリート
15a、15b 環状切欠部
16 第2境界部
24a 密鉄筋区間始端
24b 密鉄筋区間終端
25 第1主鉄筋
25a 定着端
25b 鉛直部
27 第1一般部帯鉄筋(第1一般部補強鉄筋)
28 密鉄筋区間帯鉄筋(密鉄筋区間補強鉄筋)
29 第2コンクリート帯鉄筋
31〜31C シート
51 全体型枠
51a フーチング側部用型枠
51b フーチング底部用型枠
51c 杭取付部
52 境界部コンクリート型枠
53 結合部材
101〜102 場所打ちRC杭・フーチング接合構造(鉄筋コンクリート部材の接合構造)
D1 第1一般部、第1接合部のコンクリートの外部直径
D2 第1一般部、第1接合部の第1主鉄筋がなす包絡面の筒の内面の直径
L1 第1接合部の鉛直方向の長さ
L2 帯鉄筋27の鉛直方向の配置間隔
L3 帯鉄筋28の鉛直方向の配置間隔
L4 帯鉄筋29の鉛直方向の配置間隔
L5 フーチング内の密鉄筋区間の鉛直方向の長さ
L6〜L8 シートの鉛直方向の設置長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略棒状の第1コンクリートの内部において前記第1コンクリートの主鉄筋方向である第1主鉄筋方向に沿って筒状の包絡面を形成するように複数の第1主鉄筋が配置される第1鉄筋コンクリート部材と、第2コンクリートの内部に第2主鉄筋が配置される第2鉄筋コンクリート部材を接合する構造であって、
前記第2鉄筋コンクリート部材に接合する前記第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1接合部における外径を、前記第1接合部以外の前記第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1一般部の外径と等しくし、
前記第1一般部における複数の前記第1主鉄筋を前記第1接合部のコンクリートの内部に通し、その先端位置を前記第2鉄筋コンクリート部材の内部に入るように延長して定着させ、
前記第1一般部における前記第1主鉄筋の周囲を取り囲み前記第1主鉄筋方向に略直角となるように第1一般部補強鉄筋が配置され、
前記第1接合部及びその鉛直方向の上下に隣接する箇所における前記第1主鉄筋の周囲を取り囲み前記第1主鉄筋方向に略直角となるとともに鉄筋の量が前記第1一般部補強鉄筋の量よりも大きくなるようにして密鉄筋区間補強鉄筋が配置されること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項2】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1接合部の前記第1主鉄筋方向への長さは、前記第1接合部のコンクリートの外径の2倍の値以下となるように設定されること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項3】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1接合部の前記第1主鉄筋のなす包絡面の筒の内径は、50センチメートルよりも大きな値となるように設定されること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項4】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1一般部補強鉄筋の前記第1主鉄筋方向の設置間隔の値に対する前記密鉄筋区間補強鉄筋の前記第1主鉄筋方向の設置間隔の値の比は、0.1以上でかつ0.5以下となるように設定され、
かつ、隣接する前記密鉄筋区間補強鉄筋どうしの間の空隙の値は、40ミリメートルよりも大きな値となるように設定されること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項5】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1鉄筋コンクリート部材は場所打ちコンクリート杭であり、前記第2鉄筋コンクリート部材はフーチング又は地中梁と柱の節点部、若しくはスラブであること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項6】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1鉄筋コンクリート部材は柱であり、前記第2鉄筋コンクリート部材は梁の節点部であること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項7】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1鉄筋コンクリート部材は梁であり、前記第2鉄筋コンクリート部材は柱と梁の節点部であること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項8】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1鉄筋コンクリート部材の断面形状は円形又は矩形であること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項9】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記密鉄筋区間補強鉄筋は螺旋状に形成された鉄筋であること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項10】
請求項1記載の鉄筋コンクリート部材の接合構造において、
前記第1一般部補強鉄筋は螺旋状に形成された鉄筋であること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項11】
略棒状の第1コンクリートの内部において前記第1コンクリートの主鉄筋方向である第1主鉄筋方向に沿って筒状の包絡面を形成するように複数の第1主鉄筋が配置される第1鉄筋コンクリート部材と、第2コンクリートの内部に第2主鉄筋が配置される第2鉄筋コンクリート部材を接合する方法であって、
前記第2鉄筋コンクリート部材に接合する前記第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1接合部における外径を、前記第1接合部以外の前記第1鉄筋コンクリート部材の部分である第1一般部の外径と等しくし、
前記第1一般部における複数の前記第1主鉄筋を前記第1接合部のコンクリートの内部に通し、その先端位置を前記第2鉄筋コンクリート部材の内部に入るように延長して定着させ、
前記第1一般部における前記第1主鉄筋の周囲を取り囲み前記第1主鉄筋方向に略直角となるように第1一般部補強鉄筋が配置され、
前記第1接合部及びその鉛直方向の上下に隣接する箇所における前記第1主鉄筋の周囲を取り囲み前記第1主鉄筋方向に略直角となるとともに鉄筋の量が前記第1一般部補強鉄筋の量よりも大きくなるようにして密鉄筋区間補強鉄筋が配置されること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合方法。
【請求項12】
請求項11記載の鉄筋コンクリート部材の接合方法において、
前記第2鉄筋コンクリート部材と接する前記第1接合部の部分である第1境界部における前記複数の第1主鉄筋の周囲を取り囲むように発泡スチロール樹脂からなる略環状の境界部コンクリート型枠を配置し前記第1境界部における外径を周囲よりも小さくし前記第1鉄筋コンクリート部材の外周に略環状の溝を形成させるようにして前記第1鉄筋コンクリート部材及び前記第2鉄筋コンクリート部材のコンクリートを打設すること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合方法。
【請求項13】
請求項11記載の鉄筋コンクリート部材の接合方法において、
前記第2鉄筋コンクリート部材と接する前記第1接合部の部分である第1境界部における前記複数の第1主鉄筋の周囲を取り囲むようにして合成樹脂製のシートを略筒状に設置し、前記第1鉄筋コンクリート部材及び前記第2鉄筋コンクリート部材のコンクリートを打設すること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合方法。
【請求項14】
請求項13記載の鉄筋コンクリート部材の接合方法において、
前記合成樹脂製のシートの前記第1主鉄筋方向への長さは、前記第1接合部のコンクリートの外径の2倍の値以下となるように設定されること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合構造。
【請求項15】
請求項11記載の鉄筋コンクリート部材の接合方法において、
前記第2鉄筋コンクリート部材と接する前記第1接合部の部分である第1境界部と、前記第1境界部と接する前記第2コンクリート部材の部分である第2境界部にわたる範囲における前記複数の第1主鉄筋の個々の鉄筋の周囲を取り囲むようにして合成樹脂製のシートを略筒状に設置し、前記第1鉄筋コンクリート部材及び前記第2鉄筋コンクリート部材のコンクリートを打設すること
を特徴とする鉄筋コンクリート部材の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−299760(P2006−299760A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127189(P2005−127189)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(303059071)独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 (64)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】