鉄道車両の保守装置
【課題】
形状や重量の異なる鉄道車両の駆動機を、同一の溝切り装置で保守可能にする。
【解決手段】
鉄道車両の保守装置は、コンベアラインと回転子の整流子部を旋削可能な溝切り装置74を備える。コンベアラインはMGの回転子を搬送可能な第1のコンベア36と、第1のコンベアに隣り合い回転子の移動方向を変化させ得る第1の分岐コンベア38と、第1の分岐コンベアに隣り合うターンテーブル付きのコンベア93と、ターンテーブル付きコンベアに隣り合う第2のコンベア92とを有する第1のラインと、自動走行車からMMの回転子を移載可能な第3のコンベア58と、この第3のコンベアに隣り合い第1の分岐コンベアに主モータの回転子を搬送可能な第2の分岐コンベア60とを有する第2のラインとを有する。ターンテーブル付きコンベアおよび第3のコンベアの両側に、搬送される回転子の位置を可変とするプッシャ93〜96を設けた。
形状や重量の異なる鉄道車両の駆動機を、同一の溝切り装置で保守可能にする。
【解決手段】
鉄道車両の保守装置は、コンベアラインと回転子の整流子部を旋削可能な溝切り装置74を備える。コンベアラインはMGの回転子を搬送可能な第1のコンベア36と、第1のコンベアに隣り合い回転子の移動方向を変化させ得る第1の分岐コンベア38と、第1の分岐コンベアに隣り合うターンテーブル付きのコンベア93と、ターンテーブル付きコンベアに隣り合う第2のコンベア92とを有する第1のラインと、自動走行車からMMの回転子を移載可能な第3のコンベア58と、この第3のコンベアに隣り合い第1の分岐コンベアに主モータの回転子を搬送可能な第2の分岐コンベア60とを有する第2のラインとを有する。ターンテーブル付きコンベアおよび第3のコンベアの両側に、搬送される回転子の位置を可変とするプッシャ93〜96を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両を保守する保守装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄道車両用電動機のメンテナンス装置の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のメンテナンス装置は、鉄道車両に車両用電動機を取り付けたままメンテナンスするために、電動機で駆動される輪軸を1対のローラで支持している。そして車輪のみをレールからジャッキアップ装置が浮かす。車輪がレールから浮いたら、ローラを回転させて回転駆動装置が輪軸を回転させる。これにより、車輪をレールから浮かし、輪軸を逆転させて電動機を逆転させ、グリースの補給や整流子の研磨を可能にしている。
【0003】
また特許文献2には、電動機の整流子を研磨する際に、電動機を車両につけたまま研磨するために、整流子研磨装置が、複数のブラシ保持器に跨って固定可能な砥石支持体と、砥石支持体に摺動可能に取り付け整流子の外周面に対し進退可能な砥石部材を備えている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−53133号公報
【0005】
【特許文献2】特開2001-353653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および特許文献2に記載の従来の鉄道車両用電動機の保守装置においては、ともに車両に電動機を取り付けたままの保守を可能にしているという利点を有するが、鉄道車両をオーバーホールし、詳細な保守点検をする際に電動機だけを保守点検することについての考慮がなされていない。そのため、鉄道車両によっては発電機付の電動機であるMGと主電動機であるMMとが選択的に取り付けられており、MMとMGとではその大きさがほぼ2倍も相違するので、同一ラインおよび同一保守装置を用いて電動機の整流子を保守することができず、ハンドリング性が低い。
【0007】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は電動機がMMとMGのいずれであっても、同一の保守装置で保守できるようにすることにある。本発明の他の目的は、保守装置の占有面積を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の特徴は、鉄道用車両に用いる駆動機を保守する鉄道車両の保守装置において、走行ラインを走行する自動走行車から移載した駆動機の回転子を搬送するコンベアラインと、このコンベアラインを通過した回転子の整流子部を旋削可能な溝切り装置とを備え、コンベアラインは発電機付きモータの回転子を搬送可能な第1のコンベアと、この第1のコンベアに隣り合い主モータの回転子の移動方向を変化させ得る第1の分岐コンベアと、この第1の分岐コンベアに隣り合うターンテーブル付きのコンベアと、このターンテーブル付きコンベアに隣り合う第2のコンベアとを有する第1のラインと、この第1のラインに平行に配置され、自動走行車から主モータの回転子を移載可能な第3のコンベアと、この第3のコンベアに隣り合い第1の分岐コンベアに主モータの回転子を搬送可能な第2の分岐コンベアとを有する第2のラインとを有し、ターンテーブル付きコンベアおよび第2のコンベアの両側に、搬送される回転子の位置を可変とするプッシャを設けたものである。
【0009】
そしてこの特徴において、発電機付きモータの回転子を載置する第1の回転子パレットを有し、この第1のパレットは幅方向の位置が可変な1対のロータと、このロータに対して軸方向に離隔している1対の固定ローラとを有し、位置が可変なロータの高さを可変とする高さ調整手段を有してもよく、主モータを載置し1対のロータが取り付けられた第2の回転子パレットを有し、この第2のパレットは発電機付きモータを載置するパレットよりも軸方向長さが短くしてもよい。
【0010】
また、溝切り装置は、回転子の整流子間に保持された絶縁体を切削する切削手段を有するのが望ましく、プッシャは、回転子の端面と第1または第2のパレットの端面との距離が所定距離以下になるように第1または第2のパレットの搬送方向に直角な方向の位置を変化させるのが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、同一の溝切り装置でMGとMMの溝切り加工を可能にしたので、鉄道車両用電動機の保守装置の占有面積が低減する。また、1つのラインに溝切り装置が1台で済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る鉄道車両の保守ラインの一実施例を図面を用いて説明する。図1は、保守ラインの上面図であり、図2は保守作業の流れを示す図である。図中、一点鎖線で示したのはAGV40用の走行ルート15〜17である。なお、本発明では主モータ(MM)98と発電機付モータ(MG)99とを同一の保守ライン100を用いて、同一の溝切り装置74で保守点検できるのが特徴である。そのため、走行ルート上を大きさも、重さも異なる2種類のモータが走行する。表1に、主モータ(MM)と発電機付モータ(MG)との比較を示す。
【0013】
【表1】
表1から明らかなように、発電機付モータ(MG)99の軸長は、主モータ(MM)に比べて、2倍以上長い。したがって、発電機付モータ(MG)99にあわせて保守ライン100やAGV40を設定すると、保守ライン100が大型化し高価になる。また、主モータ98の方が使用個数が多いにもかかわらず、頻度の少ない発電機付モータに合わせているので、装置が無駄である。
【0014】
例えば、パレットはおよそ800mm角程度で済むものが、800×1600mmもの大きさのものを使用することになり、ハンドリング性が低下する。一方、主モータ98に合わせて保守ライン100を設定すると、長尺である発電機付モータ99のハンドリングが困難になる。この矛盾する要求にこたえた実施例が図1に示すものである。保守ライン100で、主モータ98を保守点検する例を以下に示す。
【0015】
引込み線6を走行してきた保守対象の鉄道車両の台車から、走行ルート15の先端が位置する主モータ取り外し部で、主モータ98が取り外される(ステップ210)。その際、図示しない天井クレーンを用いて車両本体から取り出した姿勢のまま、移載パレット110に主モータ98を移動させ取り付ける。この詳細を、図3に示す。
【0016】
取り外された主モータ98の取り外された時点における姿勢では、上面が車体への取り付け面であり、右側部に移載パレット110への取り付け部が形成されている(破線の状態)。移載パレット110は、傾転機11に形成したガイド11aにより案内され、ガイド11bがストッパとして保持する。傾転機11は90度だけ回転可能な回動部12を有しており、主モータ98が移載パレット110に取り付けられたら、垂直状態であった回動部12を水平状態に変える。
【0017】
回動部12の上面には複数のローラ12aが配置されており、主モータ98が90度回転したら、このローラ12a上を移載パレット110をすべらせて、主モータ98をAGV40に送る。傾転機11の近くには、空パレット置き場13が確保されており、主モータ98を保守点検するときにこの空パレット置き場13から移載パレット110が傾転機に供給される。
【0018】
AGV40に搭載された主モータ98は、走行ルート15から走行ルート17に移って保守ラインに投入される(ステップ214)。走行ルート17に移された主モータ98は、2個のコーナー部を通過して気吹き装置68に送られる。図1では図示していないが、以下のAGV40の動作は、全て制御盤からの指令により遠隔操作されている。
【0019】
図4に、気吹き装置68の詳細を示す。この図4で矢印は、主モータ98の移動方向を示す。気吹き装置68は、主モータ98の外面および隙間等に付着した塵埃を圧縮空気で吹き飛ばすための装置であり、中央部に塵埃を吹き飛ばす気吹きブース68aが形成されている。気吹きブース68aは仕切られた部屋であり、人間またはロボットにより、除塵作業が行われる(ステップ216)。この気吹きブース68aで発生した塵埃は、送風機64により吸込口66から吸い込まれ、除塵機63で塵埃だけが分離される。
【0020】
気吹き装置68にモータ類を運ぶために、走行ルート17に垂直な3本のコンベアライン30、32、34が設けられている。コンベアライン30は、走行ルート17が形成する循環路の一方の側から他方の側まで延びており、複数のストレージコンベア30a〜30d、30fの間に、方向転換コンベア30eを介在させている。このコンベアライン30は、主として主モータ98を気吹き装置68の気吹きブース68aに送るのに用いられる。コンベアライン30の方向転換コンベア30eの脇には、ストレージコンベア34aが配置されており、コンベアライン30から送られてきた主モータ98を気吹きブース68aに送るのに用いられる。
【0021】
真ん中のコンベアライン32は後述する発電機付モータを気吹きブース68aに送り、また気吹きブース68aから戻すのに用いられる。コンベアライン32は、ストレージコンベア32aと方向転換コンベア34bと、気吹きブース68a内に配置された手動ターンテーブル32bとを有する。なお、気吹きブース68aと方向転換コンベア34bとの間には、自動ドアが設けられており、気吹きブース68a内の塵埃が外部に漏れるのを防止している。
【0022】
コンベアライン34は、主として気吹きブース68aから主モータ98を送り返すのに用いられる。気吹きブース68aで付着物を落とされた主モータ98は、手動ターンテーブル32bで反対向きに変えられ、方向変換コンベア34b、ストレージコンベア34c、方向変換コンベア34d、ストレージコンベア34eの順に運ばれ、走行ルート17上に位置するAGV40に移載される。
【0023】
気吹き装置68に隣り合って、外装品取り外し装置42が配置されている。この外装品取り外し装置42の詳細を、図5に示す。外装品取り外し装置42は、走行ルート17の傍に置かれた手動ターンテーブル26b付のコンベア26aである。主モータ98は、作業内容に応じてターンテーブル26bを利用して位置を変え、取替えが必要な外装品等が取り外される(ステップ218)。
【0024】
外装品を取り外した主モータ98は、分解組み立て支援装置70に送られる。分解組み立て支援装置70の詳細を、図6に示す。分解組み立て支援装置70では、主モータ98の静止部である枠と回転子が分離される(ステップ220)。主モータ98は、AGV40から手動ターンテーブル44b付の方向変換コンベア44に移載される。そして分解組み立て支援装置98に送られて枠と回転子が分離される。分離された回転子は、方向変換コンベア44の傍に設けられた空パレット置き場から方向変換コンベア44に送られたパレット46に載せられる。
【0025】
分離された枠は、それまで載せられていたパレットに置かれたまま、AGV40を用いて気吹き装置68に戻され、枠内部を中心に気吹きされる(ステップ230)。気吹きが済んだ枠は、手動ターンテーブル26b付のコンベア26aを有する枠整備場50に送られる。枠整備場50において不具合部分等を整備して(ステップ232)、分解組み立て支援装置70に送られる。
【0026】
一方回転子は、長期の使用によりブラシとの接触で摩耗した整流子面を、切削してブラシとの接触が円滑になるようにする。そこで、回転子を搭載したAGV40を走行ルート17を介して溝切り装置74に送る。図7に示すように、溝切り装置74のブースは2個のラインを有し、一方が主モータ98用、他方が発電機付モータ99用である。主モータ98用ラインでは、ストレージコンベア58と分岐コンベア60が一直線上に配置されている。
【0027】
発電機付モータ99用ラインは主モータ98用ラインに平行に配置されており、溝切り装置74まで一直線上にストレージコンベア36および分岐コンベア38、手動ターンコンベア62、ストレージコンベア92が配置されている。手動ターンテーブル62を過ぎて回転子は溝切り装置74に取り付け可能になっている。手動ターンテーブル62およびストレージコンベア92の両側には、プッシャ93〜96が配置されている。プッシャ93〜96の動作を制御するために、制御盤97がこれらのラインの傍に配置されている。
【0028】
溝切り装置74で削正および溝切りされた(ステップ244)回転子は、手動ターンテーブル62で向きを90度戻された後、分岐コンベア38およびコンベア36を戻ってAGV40に搭載される。そして、手動ターンテーブル26bとストレージコンベア26aとを有する回転子部品取り付け場48で、回転子に必要な各部品が取り付けられる(ステップ246)。さらに、回転子の各部を整備、調整する(ステップ248)。回転子部の修復が終了したので、回転子は分解組み立て支援装置70に送られる。
【0029】
分解組み立て支援装置70で、回転子と枠とを一体にして組み立てられ(ステップ290)た後、主モータ98は外装品取り付けのために、外装品を取り外した外装品取り外し装置42に送られる。先に取り外した外装品を主モータ98に取り付け(ステップ292)、リニューアルされた主モータ98は回転試験場78に送られる。回転試験場78では、絶縁不良や所定の性能が発揮されるかを検査する(ステップ294)。
【0030】
初期の性能が確認された主モータ98は、一時的に自動倉庫90に格納され、台車部や車体部の整備が終了するのを待つ。これら台車部や車体部の整備が終了したら、自動倉庫から主モータ98が取り出され、AGV40に搭載されて傾転機20が配設された走行ライン16を自動走行する。そして、傾転機20でパレットに移し変えられ、その姿勢を水平方向から垂直方向に変えられる。これにより、台車への搭載が可能になる。
【0031】
以上が、主モータ98の保守点検の手順である。鉄道車両に搭載されたモータが主モータ98ではなく、発電機付モータ99の場合を次に説明する。発電機付モータ99の場合には、軸方向長さが主モータ98より2倍程度長くなるので、モータの向きを変えるのに制約が多くなる。そこで本実施例では、方向変換回数を低減している。
【0032】
走行ルート17の一部に隣り合って発電機付モータ99の取り外し装置22および取り付け装置24が設けられている。発電機付モータ99の取り外し装置22では、台車からモータ99が取り外され(ステップ210)、その姿勢のままにモータ99がAGV40に搭載される。発電機付モータ99は分解組み立て支援装置54に送られ、回転部である回転子と、静止部である枠とが分解される(ステップ250)。枠はAGV40に搭載され、気吹きブース68aに送られる。
【0033】
走行ライン17を走行した枠を載せたAGV40が気吹きラインに到着すると、図4に示した中央のラインを使って気吹きブース68aにモータ99を送る。気吹きが終了すると、その姿勢のまま枠はコンベアライン32b、34b、32aを戻り、再びAGV40に搭載されて、枠整備装置56に送られる。枠整備装置56では、枠が整備点検される(ステップ254)。
【0034】
発電機付モータ99の回転子から回転子部品取り付け装置54で回転子部品が取り外され(ステップ260)た後、回転子は気吹き装置68に送られる。気吹き装置68では真ん中のラインを使って気吹きブース68aに回転子を送り、人手またはロボットにより回転子内部まで塵埃を取り除く(ステップ262)。気吹きされた回転子は、溝きり機74で整流子面を削正および溝切りする(ステップ264)ために、AGV40に搭載され溝切り装置74の位置まで送られる。溝切り装置74のところでは、溝切り装置74まで一直線状に延びるコンベアラインを用い、手動回転テーブル62が回転子を水平面内で90度方向転換させる。その後、溝切り装置74に回転子が取り付けられる。
【0035】
溝切り装置74で整流子面等を保守された回転子は、発電機付モータ99専用の分解組み立て支援装置54で枠と一体化され(ステップ280)、フィルタ等の外装品が取り付けられて回転試験場78へと送られる。回転試験78では、絶縁不良や初期の性能の達成の有無を調べ(ステップ284)、異状がなければ発電機付モータ99は一時的に自動倉庫90に格納される(ステップ286)。台車および車体の整備が終了したら、自動倉庫90から取り出し、走行ライン17を走行するAGV40に搭載して、発電機付モータ取り付け装置24で台車に取り付けられる(ステップ300)。
【0036】
上記一連の動作において、溝切り装置74に係る手順を発電機付モータ99を例に取り、以下にさらに詳細に説明する。図8に、発電機付モータ99の分解組み立て装置54を示す。分解組み立て装置54では、コンベア52と手動回転ターンテーブル付きコンベア54aとが離隔されて一直線状に配置されている。
【0037】
コンベア52と手動回転ターンテーブル付きコンベア54との間には、上面にコンベアを有するコンベア台車53が置かれている。コンベア台車53は、コンベア52とコンベア54aとの間を移動可能である。この分解組み立て装置54の近傍には、操作盤55が配置されており、コンベア台車53や手動ターンテーブル付きコンベア54aを操作する際に使用される。コンベア54aの近傍には、このコンベア54aに載置される発電機付モータ99を動かすために、天井クレーン57が備えられている。
【0038】
天井クレーン57を用いて、回転子と枠とを分解する作業の詳細を、図9に示す。図示しないAGV40により運ばれた発電機付きモータ99は、パレット13とともにコンベア52に移載される。このコンベア52のすぐ傍まで、コンベア台車53を近づける。一方、手動回転ターンテーブル付きコンベア54aのコンベア面上には、詳細を後述する回転子用パレット13bが載置されている(図9(A)参照)。
【0039】
次に、発電機付きモータ99の軸部99aに嵌合するバランス治具99bを軸部99aに取り付ける。バランス治具99bは断面L字型をしており、モータ99軸方向の中間部にはクレーン57のフックを取り付ける吊り環が形成されている。吊り環にフックを通して回転子を吊り上げ、宙に浮かせる。この状態で、パレット13を枠ごとコンベア52に移動させて、回転子を取り出す(図9(B)参照)。
【0040】
モータ99の軸部99a側端面およびその反対面には、枠に回転子部を保持するボルトおよびナットの締結部が形成されている。そこで、モータ99をコンベア台車53に移載した状態で、締結部のナットを外して回転子部99dをクレーン57を使用して横方向(図では右方向)に移動させる。このとき、コンベア台車53に残った枠99cは、コンベア台車53およびコンベア52の上面に設けたコンベアを使って、コンベア52に戻される(同図(C)参照)。回転子99dは、クレーン57で手動回転ターンテーブル付きコンベア54aまで運ばれ、このコンベア54aに載置した回転子用パレット13d上に位置決めされる。
【0041】
その後、枠99cはパレット13とともにAGV40に移載され、例えば退避位置にあるコンベア56まで移動させる。手動回転ターンテーブル付きコンベア54aに載置した回転子99dは、ここで溝切り作業以外の整備が施される。その際、ターンテーブルを上昇させると、ターンテーブル機能が働き、回転子99dの向きを変更できる。回転子99dの整備が終了したら、コンベア台車53をコンベア54aのすぐ近くまで近づけ回転子パレット13bごとコンベア台車53に移載する。コンベア台車53をコンベア52まで移動させ、回転子99dをコンベア52からAGV40に移載する。
【0042】
AGV40に搭載された回転子99dは、図7に示した溝切り装置74のラインに運ばれ、このライン上のコンベアを用いて、ターンテーブル付きコンベア62の位置に到着する。これ以後の動作を、図10を用いて説明する。回転子99dがコンベア62に到達したので、作業者はコンベア62が有するターンテーブルを操作盤97から上昇させる。ターンテーブルが上昇すると、ターンテーブルの回転がフリーになる。
【0043】
回転子99dがコンベア62に到着した時点(図10(A))では、プッシャ93、95が備える駆動手段93a,93b,95a,95bにより、回転子99dはライン方向に長手方向(軸方向)が揃えられている。次いで、溝切り装置74に回転子99dをセッテング可能なように、回転子99dの方向を90度変化させる(同図(B))。
【0044】
すなわち、プッシャ93、95を、ほぼパレット13またはコンベア62のいずれか長い方の長手方向長さまで駆動手段93a,93b,95a,95bにより退避させて、ターンテーブルを回転させる。コンベア62には、図示しない足踏みペダルが取り付けられており、このペダルを踏めば、ターンテーブルの回転がフリーになる。ターンテーブルには45度回転毎に固定可能な固定手段が設けられているので、ターンテーブルをフリーに回転させて、90度回転したところで固定する。次に、操作盤97を用いてターンテーブルを下げ、プッシャ93、95を等間隔で広げる(同図(C)参照)。
【0045】
このコンベア92でもコンベア62と同様に、両側に配置したプッシャ94、96は、駆動手段94a,94b,96a,96bによりパレット13またはコンベア92のいずれか長い方の長手方向長さまで退避している。この状態で、溝切り装置74の取り付け位置との位置調整をする(同図(D)参照)。図11に詳細を示すように、コンベア92は高さ方向が可変な構造になっている。すなわち、下側にリフタ116があり、その上にはフリーローラ114が配置されている。
【0046】
コンベア92に回転子99dが到着したら、リフタ116を上昇させ、フリーローラ114を作動可能状態にする。フリーローラ114の動作が可能になったので、プッシャ94、96の駆動手段94a,94b,96a,96bを作動させて、プッシャ94、96を図10(D)の下側に移動させる。プッシャ94、96の移動により、パレット13bとそれに搭載した回転子99dも移動する。プッシャ94、96を移動させる理由は、以下のとおりである。
【0047】
溝切り装置74に回転子99dをセッテングするときは、パレット13b基準でセッテングする。そのため、回転子99dの軸部99a側の端面122からパレット13bの端面123までの距離pを145mmとし、そのずれを10mm以下とする。このように、回転子パレット13bと回転子99dの相対位置を設定する。この様子を、図12に示す。同図(A)は発電機付きモータ99の回転子99dの場合であり、同図(B)は主モータ98の場合である。
【0048】
回転子パレット13bは、軸方向2箇所にロータ13e〜13hが取り付けられている。ロータ13e〜13hが取り付けられた回転子パレット13bの上面図を、図12(C)に示す。ロータ13e〜13hは、幅方向に2列に形成されている。発電機付きモータ99の回転子99dは、主モータ98に比べ長いので、パレット13bとして、800mm×1300mmの大きさのものを使用している。
【0049】
パレット13bに回転子99dを載置すると、上下方向、左右方向等にずれて載置される可能性が高い。そのため、反軸部側のロータ13g、13を、幅方向に移動可能にし、目印13jを用いてその大きさに従って位置を変えて固定する。また、ロータ13g、13hを高さ方向にも移動可能にし、ロータ13g、13hの傍に設けたスクリュージャッキ13iにより上下方向位置を調整する。スクリュージャッキ13iは、回転子99dの水平方向の傾きを調整するものであり、パレット13b全体が垂直方向に変位しているときは、溝切り装置74に設けたリフタで調整する。
【0050】
これに対して、主モータ98の回転子98dの場合には、発電機付きモータ99の場合に比べ軸長が短い。そこで、ロータ13e,13fを軸方向に1ヶ所だけ設ける。また、パレット12bの軸方向長さを800mmと短くする。軸部98a端面122とパレット端面123間の距離pのずれが、10mm以下になるように回転子98dをセッテングする。パレット12b、13bと回転子98d、99dとの相対位置を所定位置に定めたら、パレット12b、13bを溝切り装置74の所定位置に移動させる。
【0051】
図10(D)に示すように、パレット12b、13bの位置と溝切り装置74との相対位置が定まったら、図7に示した溝切り装置74側のコンベア91を回転させ、コンベア92からコンベア91に回転子98d、99dを移載し、次いで溝切り装置74のセンタで回転子98d、99dを保持する。このとき、溝切り装置74の奥行き方向にストッパが形成されているので、回転子99d、98dはストッパ位置よりも奥へは移動できない。なお、このストッパはねじで形成されており、ねじの回転により奥行き位置を微調整できる。
【0052】
溝切り装置74の両センタに保持された回転子98d、99dでは、旋盤加工と同様の手法で、集電ブラシ98f、99fとの接触で摩耗した整流子98e,99e面が旋削される。その後、整流子相互の周方向間隙に充填されている絶縁物を、軸方向に移動可能な溝切りバイトで切削する。この溝切りバイトの軸方向移動可能距離には制限があるので、パレット端面123と回転子端面122との距離pのずれを10mm以下としている。
【0053】
このように回転子パレット12b、13bおよび溝切り装置ラインを構成したので、同一の溝切り装置で軸方向長さが大幅に相違する主モータおよび発電機付きモータの双方の回転子を、整備できるようになった。また、軸量が長くセッテング誤差が大きくなる発電機付きモータでは、パレットに位置調整手段を設けたので、溝切り装置に回転子をセッテングするときのセッテング誤差を最小に抑えることが可能になった。
【0054】
なお、上記実施例では主モータ98と発電機付モータ99とを同形のAGV40に搭載していたが、AGV40をそれぞれ専用にしてもよい。その場合、主モータ98用は、1ton仕様であり、発電機付モータ99用は2ton仕様となる。発電機付モータに対して主モータの個数が多いので、2ton仕様のAGVは、主モータも搬送できる。さらに、2台のAGVの搬送範囲は予め定められており、通常は干渉しない位置に配置する。しかし大型のAGVを使用して主モータを搬送するときは、小型のAGVを干渉しない位置まで退避させる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る鉄道車両の保守装置の一実施例の上面図。
【図2】図1に示した鉄道車両の保守装置を用いた工程の一例を示す図。
【図3】図1に示した保守装置が有する傾転機の正面図。
【図4】図1に示した保守装置が有する気吹きラインの上面図。
【図5】図1に示した保守装置が有する各ラインの上面図。
【図6】図1に示した保守装置が有する分解組み立て支援装置の上面図。
【図7】図1に示した保守装置が有する溝切り装置の上面図。
【図8】図1に示した保守装置が有する回転子と枠の分解組み立てラインの上面図。
【図9】回転子と枠の分解を説明する図。
【図10】図1に示した保守装置が有する溝切り装置ラインの運用を説明する図。
【図11】図10のX矢視図であって、コンベアの側面図。
【図12】図1に示した溝切り装置に用いるパレットの詳細図。
【符号の説明】
【0056】
11…傾転機、15〜17…走行ライン、20…傾転機、22…MG取り外し装置、24…MG取り付け装置、38…分岐コンベア、30e、34b、34d…方向変換コンベア、40…AGV、60…分岐コンベア、68…気吹き装置、70…分解組み立て支援装置、74…溝切り装置、76、78…回転試験装置、90…自動倉庫、98…主モータ(MM)、99…発電機付モータ…(MG)、100…保守装置、110…パレット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両を保守する保守装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄道車両用電動機のメンテナンス装置の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のメンテナンス装置は、鉄道車両に車両用電動機を取り付けたままメンテナンスするために、電動機で駆動される輪軸を1対のローラで支持している。そして車輪のみをレールからジャッキアップ装置が浮かす。車輪がレールから浮いたら、ローラを回転させて回転駆動装置が輪軸を回転させる。これにより、車輪をレールから浮かし、輪軸を逆転させて電動機を逆転させ、グリースの補給や整流子の研磨を可能にしている。
【0003】
また特許文献2には、電動機の整流子を研磨する際に、電動機を車両につけたまま研磨するために、整流子研磨装置が、複数のブラシ保持器に跨って固定可能な砥石支持体と、砥石支持体に摺動可能に取り付け整流子の外周面に対し進退可能な砥石部材を備えている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−53133号公報
【0005】
【特許文献2】特開2001-353653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および特許文献2に記載の従来の鉄道車両用電動機の保守装置においては、ともに車両に電動機を取り付けたままの保守を可能にしているという利点を有するが、鉄道車両をオーバーホールし、詳細な保守点検をする際に電動機だけを保守点検することについての考慮がなされていない。そのため、鉄道車両によっては発電機付の電動機であるMGと主電動機であるMMとが選択的に取り付けられており、MMとMGとではその大きさがほぼ2倍も相違するので、同一ラインおよび同一保守装置を用いて電動機の整流子を保守することができず、ハンドリング性が低い。
【0007】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は電動機がMMとMGのいずれであっても、同一の保守装置で保守できるようにすることにある。本発明の他の目的は、保守装置の占有面積を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の特徴は、鉄道用車両に用いる駆動機を保守する鉄道車両の保守装置において、走行ラインを走行する自動走行車から移載した駆動機の回転子を搬送するコンベアラインと、このコンベアラインを通過した回転子の整流子部を旋削可能な溝切り装置とを備え、コンベアラインは発電機付きモータの回転子を搬送可能な第1のコンベアと、この第1のコンベアに隣り合い主モータの回転子の移動方向を変化させ得る第1の分岐コンベアと、この第1の分岐コンベアに隣り合うターンテーブル付きのコンベアと、このターンテーブル付きコンベアに隣り合う第2のコンベアとを有する第1のラインと、この第1のラインに平行に配置され、自動走行車から主モータの回転子を移載可能な第3のコンベアと、この第3のコンベアに隣り合い第1の分岐コンベアに主モータの回転子を搬送可能な第2の分岐コンベアとを有する第2のラインとを有し、ターンテーブル付きコンベアおよび第2のコンベアの両側に、搬送される回転子の位置を可変とするプッシャを設けたものである。
【0009】
そしてこの特徴において、発電機付きモータの回転子を載置する第1の回転子パレットを有し、この第1のパレットは幅方向の位置が可変な1対のロータと、このロータに対して軸方向に離隔している1対の固定ローラとを有し、位置が可変なロータの高さを可変とする高さ調整手段を有してもよく、主モータを載置し1対のロータが取り付けられた第2の回転子パレットを有し、この第2のパレットは発電機付きモータを載置するパレットよりも軸方向長さが短くしてもよい。
【0010】
また、溝切り装置は、回転子の整流子間に保持された絶縁体を切削する切削手段を有するのが望ましく、プッシャは、回転子の端面と第1または第2のパレットの端面との距離が所定距離以下になるように第1または第2のパレットの搬送方向に直角な方向の位置を変化させるのが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、同一の溝切り装置でMGとMMの溝切り加工を可能にしたので、鉄道車両用電動機の保守装置の占有面積が低減する。また、1つのラインに溝切り装置が1台で済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る鉄道車両の保守ラインの一実施例を図面を用いて説明する。図1は、保守ラインの上面図であり、図2は保守作業の流れを示す図である。図中、一点鎖線で示したのはAGV40用の走行ルート15〜17である。なお、本発明では主モータ(MM)98と発電機付モータ(MG)99とを同一の保守ライン100を用いて、同一の溝切り装置74で保守点検できるのが特徴である。そのため、走行ルート上を大きさも、重さも異なる2種類のモータが走行する。表1に、主モータ(MM)と発電機付モータ(MG)との比較を示す。
【0013】
【表1】
表1から明らかなように、発電機付モータ(MG)99の軸長は、主モータ(MM)に比べて、2倍以上長い。したがって、発電機付モータ(MG)99にあわせて保守ライン100やAGV40を設定すると、保守ライン100が大型化し高価になる。また、主モータ98の方が使用個数が多いにもかかわらず、頻度の少ない発電機付モータに合わせているので、装置が無駄である。
【0014】
例えば、パレットはおよそ800mm角程度で済むものが、800×1600mmもの大きさのものを使用することになり、ハンドリング性が低下する。一方、主モータ98に合わせて保守ライン100を設定すると、長尺である発電機付モータ99のハンドリングが困難になる。この矛盾する要求にこたえた実施例が図1に示すものである。保守ライン100で、主モータ98を保守点検する例を以下に示す。
【0015】
引込み線6を走行してきた保守対象の鉄道車両の台車から、走行ルート15の先端が位置する主モータ取り外し部で、主モータ98が取り外される(ステップ210)。その際、図示しない天井クレーンを用いて車両本体から取り出した姿勢のまま、移載パレット110に主モータ98を移動させ取り付ける。この詳細を、図3に示す。
【0016】
取り外された主モータ98の取り外された時点における姿勢では、上面が車体への取り付け面であり、右側部に移載パレット110への取り付け部が形成されている(破線の状態)。移載パレット110は、傾転機11に形成したガイド11aにより案内され、ガイド11bがストッパとして保持する。傾転機11は90度だけ回転可能な回動部12を有しており、主モータ98が移載パレット110に取り付けられたら、垂直状態であった回動部12を水平状態に変える。
【0017】
回動部12の上面には複数のローラ12aが配置されており、主モータ98が90度回転したら、このローラ12a上を移載パレット110をすべらせて、主モータ98をAGV40に送る。傾転機11の近くには、空パレット置き場13が確保されており、主モータ98を保守点検するときにこの空パレット置き場13から移載パレット110が傾転機に供給される。
【0018】
AGV40に搭載された主モータ98は、走行ルート15から走行ルート17に移って保守ラインに投入される(ステップ214)。走行ルート17に移された主モータ98は、2個のコーナー部を通過して気吹き装置68に送られる。図1では図示していないが、以下のAGV40の動作は、全て制御盤からの指令により遠隔操作されている。
【0019】
図4に、気吹き装置68の詳細を示す。この図4で矢印は、主モータ98の移動方向を示す。気吹き装置68は、主モータ98の外面および隙間等に付着した塵埃を圧縮空気で吹き飛ばすための装置であり、中央部に塵埃を吹き飛ばす気吹きブース68aが形成されている。気吹きブース68aは仕切られた部屋であり、人間またはロボットにより、除塵作業が行われる(ステップ216)。この気吹きブース68aで発生した塵埃は、送風機64により吸込口66から吸い込まれ、除塵機63で塵埃だけが分離される。
【0020】
気吹き装置68にモータ類を運ぶために、走行ルート17に垂直な3本のコンベアライン30、32、34が設けられている。コンベアライン30は、走行ルート17が形成する循環路の一方の側から他方の側まで延びており、複数のストレージコンベア30a〜30d、30fの間に、方向転換コンベア30eを介在させている。このコンベアライン30は、主として主モータ98を気吹き装置68の気吹きブース68aに送るのに用いられる。コンベアライン30の方向転換コンベア30eの脇には、ストレージコンベア34aが配置されており、コンベアライン30から送られてきた主モータ98を気吹きブース68aに送るのに用いられる。
【0021】
真ん中のコンベアライン32は後述する発電機付モータを気吹きブース68aに送り、また気吹きブース68aから戻すのに用いられる。コンベアライン32は、ストレージコンベア32aと方向転換コンベア34bと、気吹きブース68a内に配置された手動ターンテーブル32bとを有する。なお、気吹きブース68aと方向転換コンベア34bとの間には、自動ドアが設けられており、気吹きブース68a内の塵埃が外部に漏れるのを防止している。
【0022】
コンベアライン34は、主として気吹きブース68aから主モータ98を送り返すのに用いられる。気吹きブース68aで付着物を落とされた主モータ98は、手動ターンテーブル32bで反対向きに変えられ、方向変換コンベア34b、ストレージコンベア34c、方向変換コンベア34d、ストレージコンベア34eの順に運ばれ、走行ルート17上に位置するAGV40に移載される。
【0023】
気吹き装置68に隣り合って、外装品取り外し装置42が配置されている。この外装品取り外し装置42の詳細を、図5に示す。外装品取り外し装置42は、走行ルート17の傍に置かれた手動ターンテーブル26b付のコンベア26aである。主モータ98は、作業内容に応じてターンテーブル26bを利用して位置を変え、取替えが必要な外装品等が取り外される(ステップ218)。
【0024】
外装品を取り外した主モータ98は、分解組み立て支援装置70に送られる。分解組み立て支援装置70の詳細を、図6に示す。分解組み立て支援装置70では、主モータ98の静止部である枠と回転子が分離される(ステップ220)。主モータ98は、AGV40から手動ターンテーブル44b付の方向変換コンベア44に移載される。そして分解組み立て支援装置98に送られて枠と回転子が分離される。分離された回転子は、方向変換コンベア44の傍に設けられた空パレット置き場から方向変換コンベア44に送られたパレット46に載せられる。
【0025】
分離された枠は、それまで載せられていたパレットに置かれたまま、AGV40を用いて気吹き装置68に戻され、枠内部を中心に気吹きされる(ステップ230)。気吹きが済んだ枠は、手動ターンテーブル26b付のコンベア26aを有する枠整備場50に送られる。枠整備場50において不具合部分等を整備して(ステップ232)、分解組み立て支援装置70に送られる。
【0026】
一方回転子は、長期の使用によりブラシとの接触で摩耗した整流子面を、切削してブラシとの接触が円滑になるようにする。そこで、回転子を搭載したAGV40を走行ルート17を介して溝切り装置74に送る。図7に示すように、溝切り装置74のブースは2個のラインを有し、一方が主モータ98用、他方が発電機付モータ99用である。主モータ98用ラインでは、ストレージコンベア58と分岐コンベア60が一直線上に配置されている。
【0027】
発電機付モータ99用ラインは主モータ98用ラインに平行に配置されており、溝切り装置74まで一直線上にストレージコンベア36および分岐コンベア38、手動ターンコンベア62、ストレージコンベア92が配置されている。手動ターンテーブル62を過ぎて回転子は溝切り装置74に取り付け可能になっている。手動ターンテーブル62およびストレージコンベア92の両側には、プッシャ93〜96が配置されている。プッシャ93〜96の動作を制御するために、制御盤97がこれらのラインの傍に配置されている。
【0028】
溝切り装置74で削正および溝切りされた(ステップ244)回転子は、手動ターンテーブル62で向きを90度戻された後、分岐コンベア38およびコンベア36を戻ってAGV40に搭載される。そして、手動ターンテーブル26bとストレージコンベア26aとを有する回転子部品取り付け場48で、回転子に必要な各部品が取り付けられる(ステップ246)。さらに、回転子の各部を整備、調整する(ステップ248)。回転子部の修復が終了したので、回転子は分解組み立て支援装置70に送られる。
【0029】
分解組み立て支援装置70で、回転子と枠とを一体にして組み立てられ(ステップ290)た後、主モータ98は外装品取り付けのために、外装品を取り外した外装品取り外し装置42に送られる。先に取り外した外装品を主モータ98に取り付け(ステップ292)、リニューアルされた主モータ98は回転試験場78に送られる。回転試験場78では、絶縁不良や所定の性能が発揮されるかを検査する(ステップ294)。
【0030】
初期の性能が確認された主モータ98は、一時的に自動倉庫90に格納され、台車部や車体部の整備が終了するのを待つ。これら台車部や車体部の整備が終了したら、自動倉庫から主モータ98が取り出され、AGV40に搭載されて傾転機20が配設された走行ライン16を自動走行する。そして、傾転機20でパレットに移し変えられ、その姿勢を水平方向から垂直方向に変えられる。これにより、台車への搭載が可能になる。
【0031】
以上が、主モータ98の保守点検の手順である。鉄道車両に搭載されたモータが主モータ98ではなく、発電機付モータ99の場合を次に説明する。発電機付モータ99の場合には、軸方向長さが主モータ98より2倍程度長くなるので、モータの向きを変えるのに制約が多くなる。そこで本実施例では、方向変換回数を低減している。
【0032】
走行ルート17の一部に隣り合って発電機付モータ99の取り外し装置22および取り付け装置24が設けられている。発電機付モータ99の取り外し装置22では、台車からモータ99が取り外され(ステップ210)、その姿勢のままにモータ99がAGV40に搭載される。発電機付モータ99は分解組み立て支援装置54に送られ、回転部である回転子と、静止部である枠とが分解される(ステップ250)。枠はAGV40に搭載され、気吹きブース68aに送られる。
【0033】
走行ライン17を走行した枠を載せたAGV40が気吹きラインに到着すると、図4に示した中央のラインを使って気吹きブース68aにモータ99を送る。気吹きが終了すると、その姿勢のまま枠はコンベアライン32b、34b、32aを戻り、再びAGV40に搭載されて、枠整備装置56に送られる。枠整備装置56では、枠が整備点検される(ステップ254)。
【0034】
発電機付モータ99の回転子から回転子部品取り付け装置54で回転子部品が取り外され(ステップ260)た後、回転子は気吹き装置68に送られる。気吹き装置68では真ん中のラインを使って気吹きブース68aに回転子を送り、人手またはロボットにより回転子内部まで塵埃を取り除く(ステップ262)。気吹きされた回転子は、溝きり機74で整流子面を削正および溝切りする(ステップ264)ために、AGV40に搭載され溝切り装置74の位置まで送られる。溝切り装置74のところでは、溝切り装置74まで一直線状に延びるコンベアラインを用い、手動回転テーブル62が回転子を水平面内で90度方向転換させる。その後、溝切り装置74に回転子が取り付けられる。
【0035】
溝切り装置74で整流子面等を保守された回転子は、発電機付モータ99専用の分解組み立て支援装置54で枠と一体化され(ステップ280)、フィルタ等の外装品が取り付けられて回転試験場78へと送られる。回転試験78では、絶縁不良や初期の性能の達成の有無を調べ(ステップ284)、異状がなければ発電機付モータ99は一時的に自動倉庫90に格納される(ステップ286)。台車および車体の整備が終了したら、自動倉庫90から取り出し、走行ライン17を走行するAGV40に搭載して、発電機付モータ取り付け装置24で台車に取り付けられる(ステップ300)。
【0036】
上記一連の動作において、溝切り装置74に係る手順を発電機付モータ99を例に取り、以下にさらに詳細に説明する。図8に、発電機付モータ99の分解組み立て装置54を示す。分解組み立て装置54では、コンベア52と手動回転ターンテーブル付きコンベア54aとが離隔されて一直線状に配置されている。
【0037】
コンベア52と手動回転ターンテーブル付きコンベア54との間には、上面にコンベアを有するコンベア台車53が置かれている。コンベア台車53は、コンベア52とコンベア54aとの間を移動可能である。この分解組み立て装置54の近傍には、操作盤55が配置されており、コンベア台車53や手動ターンテーブル付きコンベア54aを操作する際に使用される。コンベア54aの近傍には、このコンベア54aに載置される発電機付モータ99を動かすために、天井クレーン57が備えられている。
【0038】
天井クレーン57を用いて、回転子と枠とを分解する作業の詳細を、図9に示す。図示しないAGV40により運ばれた発電機付きモータ99は、パレット13とともにコンベア52に移載される。このコンベア52のすぐ傍まで、コンベア台車53を近づける。一方、手動回転ターンテーブル付きコンベア54aのコンベア面上には、詳細を後述する回転子用パレット13bが載置されている(図9(A)参照)。
【0039】
次に、発電機付きモータ99の軸部99aに嵌合するバランス治具99bを軸部99aに取り付ける。バランス治具99bは断面L字型をしており、モータ99軸方向の中間部にはクレーン57のフックを取り付ける吊り環が形成されている。吊り環にフックを通して回転子を吊り上げ、宙に浮かせる。この状態で、パレット13を枠ごとコンベア52に移動させて、回転子を取り出す(図9(B)参照)。
【0040】
モータ99の軸部99a側端面およびその反対面には、枠に回転子部を保持するボルトおよびナットの締結部が形成されている。そこで、モータ99をコンベア台車53に移載した状態で、締結部のナットを外して回転子部99dをクレーン57を使用して横方向(図では右方向)に移動させる。このとき、コンベア台車53に残った枠99cは、コンベア台車53およびコンベア52の上面に設けたコンベアを使って、コンベア52に戻される(同図(C)参照)。回転子99dは、クレーン57で手動回転ターンテーブル付きコンベア54aまで運ばれ、このコンベア54aに載置した回転子用パレット13d上に位置決めされる。
【0041】
その後、枠99cはパレット13とともにAGV40に移載され、例えば退避位置にあるコンベア56まで移動させる。手動回転ターンテーブル付きコンベア54aに載置した回転子99dは、ここで溝切り作業以外の整備が施される。その際、ターンテーブルを上昇させると、ターンテーブル機能が働き、回転子99dの向きを変更できる。回転子99dの整備が終了したら、コンベア台車53をコンベア54aのすぐ近くまで近づけ回転子パレット13bごとコンベア台車53に移載する。コンベア台車53をコンベア52まで移動させ、回転子99dをコンベア52からAGV40に移載する。
【0042】
AGV40に搭載された回転子99dは、図7に示した溝切り装置74のラインに運ばれ、このライン上のコンベアを用いて、ターンテーブル付きコンベア62の位置に到着する。これ以後の動作を、図10を用いて説明する。回転子99dがコンベア62に到達したので、作業者はコンベア62が有するターンテーブルを操作盤97から上昇させる。ターンテーブルが上昇すると、ターンテーブルの回転がフリーになる。
【0043】
回転子99dがコンベア62に到着した時点(図10(A))では、プッシャ93、95が備える駆動手段93a,93b,95a,95bにより、回転子99dはライン方向に長手方向(軸方向)が揃えられている。次いで、溝切り装置74に回転子99dをセッテング可能なように、回転子99dの方向を90度変化させる(同図(B))。
【0044】
すなわち、プッシャ93、95を、ほぼパレット13またはコンベア62のいずれか長い方の長手方向長さまで駆動手段93a,93b,95a,95bにより退避させて、ターンテーブルを回転させる。コンベア62には、図示しない足踏みペダルが取り付けられており、このペダルを踏めば、ターンテーブルの回転がフリーになる。ターンテーブルには45度回転毎に固定可能な固定手段が設けられているので、ターンテーブルをフリーに回転させて、90度回転したところで固定する。次に、操作盤97を用いてターンテーブルを下げ、プッシャ93、95を等間隔で広げる(同図(C)参照)。
【0045】
このコンベア92でもコンベア62と同様に、両側に配置したプッシャ94、96は、駆動手段94a,94b,96a,96bによりパレット13またはコンベア92のいずれか長い方の長手方向長さまで退避している。この状態で、溝切り装置74の取り付け位置との位置調整をする(同図(D)参照)。図11に詳細を示すように、コンベア92は高さ方向が可変な構造になっている。すなわち、下側にリフタ116があり、その上にはフリーローラ114が配置されている。
【0046】
コンベア92に回転子99dが到着したら、リフタ116を上昇させ、フリーローラ114を作動可能状態にする。フリーローラ114の動作が可能になったので、プッシャ94、96の駆動手段94a,94b,96a,96bを作動させて、プッシャ94、96を図10(D)の下側に移動させる。プッシャ94、96の移動により、パレット13bとそれに搭載した回転子99dも移動する。プッシャ94、96を移動させる理由は、以下のとおりである。
【0047】
溝切り装置74に回転子99dをセッテングするときは、パレット13b基準でセッテングする。そのため、回転子99dの軸部99a側の端面122からパレット13bの端面123までの距離pを145mmとし、そのずれを10mm以下とする。このように、回転子パレット13bと回転子99dの相対位置を設定する。この様子を、図12に示す。同図(A)は発電機付きモータ99の回転子99dの場合であり、同図(B)は主モータ98の場合である。
【0048】
回転子パレット13bは、軸方向2箇所にロータ13e〜13hが取り付けられている。ロータ13e〜13hが取り付けられた回転子パレット13bの上面図を、図12(C)に示す。ロータ13e〜13hは、幅方向に2列に形成されている。発電機付きモータ99の回転子99dは、主モータ98に比べ長いので、パレット13bとして、800mm×1300mmの大きさのものを使用している。
【0049】
パレット13bに回転子99dを載置すると、上下方向、左右方向等にずれて載置される可能性が高い。そのため、反軸部側のロータ13g、13を、幅方向に移動可能にし、目印13jを用いてその大きさに従って位置を変えて固定する。また、ロータ13g、13hを高さ方向にも移動可能にし、ロータ13g、13hの傍に設けたスクリュージャッキ13iにより上下方向位置を調整する。スクリュージャッキ13iは、回転子99dの水平方向の傾きを調整するものであり、パレット13b全体が垂直方向に変位しているときは、溝切り装置74に設けたリフタで調整する。
【0050】
これに対して、主モータ98の回転子98dの場合には、発電機付きモータ99の場合に比べ軸長が短い。そこで、ロータ13e,13fを軸方向に1ヶ所だけ設ける。また、パレット12bの軸方向長さを800mmと短くする。軸部98a端面122とパレット端面123間の距離pのずれが、10mm以下になるように回転子98dをセッテングする。パレット12b、13bと回転子98d、99dとの相対位置を所定位置に定めたら、パレット12b、13bを溝切り装置74の所定位置に移動させる。
【0051】
図10(D)に示すように、パレット12b、13bの位置と溝切り装置74との相対位置が定まったら、図7に示した溝切り装置74側のコンベア91を回転させ、コンベア92からコンベア91に回転子98d、99dを移載し、次いで溝切り装置74のセンタで回転子98d、99dを保持する。このとき、溝切り装置74の奥行き方向にストッパが形成されているので、回転子99d、98dはストッパ位置よりも奥へは移動できない。なお、このストッパはねじで形成されており、ねじの回転により奥行き位置を微調整できる。
【0052】
溝切り装置74の両センタに保持された回転子98d、99dでは、旋盤加工と同様の手法で、集電ブラシ98f、99fとの接触で摩耗した整流子98e,99e面が旋削される。その後、整流子相互の周方向間隙に充填されている絶縁物を、軸方向に移動可能な溝切りバイトで切削する。この溝切りバイトの軸方向移動可能距離には制限があるので、パレット端面123と回転子端面122との距離pのずれを10mm以下としている。
【0053】
このように回転子パレット12b、13bおよび溝切り装置ラインを構成したので、同一の溝切り装置で軸方向長さが大幅に相違する主モータおよび発電機付きモータの双方の回転子を、整備できるようになった。また、軸量が長くセッテング誤差が大きくなる発電機付きモータでは、パレットに位置調整手段を設けたので、溝切り装置に回転子をセッテングするときのセッテング誤差を最小に抑えることが可能になった。
【0054】
なお、上記実施例では主モータ98と発電機付モータ99とを同形のAGV40に搭載していたが、AGV40をそれぞれ専用にしてもよい。その場合、主モータ98用は、1ton仕様であり、発電機付モータ99用は2ton仕様となる。発電機付モータに対して主モータの個数が多いので、2ton仕様のAGVは、主モータも搬送できる。さらに、2台のAGVの搬送範囲は予め定められており、通常は干渉しない位置に配置する。しかし大型のAGVを使用して主モータを搬送するときは、小型のAGVを干渉しない位置まで退避させる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る鉄道車両の保守装置の一実施例の上面図。
【図2】図1に示した鉄道車両の保守装置を用いた工程の一例を示す図。
【図3】図1に示した保守装置が有する傾転機の正面図。
【図4】図1に示した保守装置が有する気吹きラインの上面図。
【図5】図1に示した保守装置が有する各ラインの上面図。
【図6】図1に示した保守装置が有する分解組み立て支援装置の上面図。
【図7】図1に示した保守装置が有する溝切り装置の上面図。
【図8】図1に示した保守装置が有する回転子と枠の分解組み立てラインの上面図。
【図9】回転子と枠の分解を説明する図。
【図10】図1に示した保守装置が有する溝切り装置ラインの運用を説明する図。
【図11】図10のX矢視図であって、コンベアの側面図。
【図12】図1に示した溝切り装置に用いるパレットの詳細図。
【符号の説明】
【0056】
11…傾転機、15〜17…走行ライン、20…傾転機、22…MG取り外し装置、24…MG取り付け装置、38…分岐コンベア、30e、34b、34d…方向変換コンベア、40…AGV、60…分岐コンベア、68…気吹き装置、70…分解組み立て支援装置、74…溝切り装置、76、78…回転試験装置、90…自動倉庫、98…主モータ(MM)、99…発電機付モータ…(MG)、100…保守装置、110…パレット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用車両に用いる駆動機を保守する鉄道車両の保守装置において、走行ラインを走行する自動走行車から移載した駆動機の回転子を搬送するコンベアラインと、このコンベアラインを通過した回転子の整流子部を旋削可能な溝切り装置とを備え、前記コンベアラインは発電機付きモータの回転子を搬送可能な第1のコンベアと、この第1のコンベアに隣り合い回転子の移動方向を変化させ得る第1の分岐コンベアと、この第1の分岐コンベアに隣り合うターンテーブル付きのコンベアと、このターンテーブル付きコンベアに隣り合う第2のコンベアとを有する第1のラインと、この第1のラインに平行に配置され、自動走行車から主モータの回転子を移載可能な第3のコンベアと、この第3のコンベアに隣り合い第1の分岐コンベアに前記主モータの回転子を搬送可能な第2の分岐コンベアとを有する第2のラインとを有し、前記ターンテーブル付きコンベアおよび前記第2のコンベアの両側に、搬送される回転子の位置を可変とするプッシャを設けたことを特徴とする鉄道車両の保守装置。
【請求項2】
前記発電機付きモータの回転子を載置する第1の回転子パレットを有し、この第1のパレットは幅方向の位置が可変な1対のロータと、このロータに対して軸方向に離隔している1対の固定ローラとを有し、前記位置が可変なロータの高さを可変とする高さ調整手段を有することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の保守装置。
【請求項3】
前記主モータを載置し1対のロータが取り付けられた第2の回転子パレットを有し、この第2のパレットは発電機付きモータを載置するパレットよりも軸方向長さが短いことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の保守装置。
【請求項4】
前記溝切り装置は、前記回転子の整流子間に保持された絶縁体を切削する切削手段を有することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の保守装置。
【請求項5】
前記プッシャは、回転子の端面と前記第1または第2のパレットの端面との距離が所定距離以下になるように第1または第2のパレットの搬送方向に直角な方向の位置を変化させることを特徴とする請求項2または3に記載の鉄道車両の保守装置。
【請求項1】
鉄道用車両に用いる駆動機を保守する鉄道車両の保守装置において、走行ラインを走行する自動走行車から移載した駆動機の回転子を搬送するコンベアラインと、このコンベアラインを通過した回転子の整流子部を旋削可能な溝切り装置とを備え、前記コンベアラインは発電機付きモータの回転子を搬送可能な第1のコンベアと、この第1のコンベアに隣り合い回転子の移動方向を変化させ得る第1の分岐コンベアと、この第1の分岐コンベアに隣り合うターンテーブル付きのコンベアと、このターンテーブル付きコンベアに隣り合う第2のコンベアとを有する第1のラインと、この第1のラインに平行に配置され、自動走行車から主モータの回転子を移載可能な第3のコンベアと、この第3のコンベアに隣り合い第1の分岐コンベアに前記主モータの回転子を搬送可能な第2の分岐コンベアとを有する第2のラインとを有し、前記ターンテーブル付きコンベアおよび前記第2のコンベアの両側に、搬送される回転子の位置を可変とするプッシャを設けたことを特徴とする鉄道車両の保守装置。
【請求項2】
前記発電機付きモータの回転子を載置する第1の回転子パレットを有し、この第1のパレットは幅方向の位置が可変な1対のロータと、このロータに対して軸方向に離隔している1対の固定ローラとを有し、前記位置が可変なロータの高さを可変とする高さ調整手段を有することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の保守装置。
【請求項3】
前記主モータを載置し1対のロータが取り付けられた第2の回転子パレットを有し、この第2のパレットは発電機付きモータを載置するパレットよりも軸方向長さが短いことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の保守装置。
【請求項4】
前記溝切り装置は、前記回転子の整流子間に保持された絶縁体を切削する切削手段を有することを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の保守装置。
【請求項5】
前記プッシャは、回転子の端面と前記第1または第2のパレットの端面との距離が所定距離以下になるように第1または第2のパレットの搬送方向に直角な方向の位置を変化させることを特徴とする請求項2または3に記載の鉄道車両の保守装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−36387(P2006−36387A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215093(P2004−215093)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000233077)株式会社 日立インダストリイズ (97)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000233077)株式会社 日立インダストリイズ (97)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]