説明

銅めっきの陽電極用銅ボール、めっき装置、銅めっき方法、及びプリント基板の製造方法

【課題】銅めっきの陽電極用銅ボールの表面に形成されるブラックフィルムの剥離を抑制し、それにより、均一電着性等のめっき特性の改善を図る。
【解決手段】銅めっきの陽電極として用いられる陽電極用銅ボールであって、陽電極用銅ボールはリン元素を含有する銅の結晶粒から構成され、陽電極用銅ボールを構成する結晶粒の総数のうち70%以上の数の結晶粒の短径が10μm以上で、かつ、陽電極用銅ボールを構成する結晶粒の総数のうち60%以上の数の結晶粒の長径が30μm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅めっきの陽電極用銅ボール、銅めっき装置、銅めっき方法、及びプリント基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅めっきを行う際、リン元素を少量含有した直径60mm以下の銅ボールを陽電極とし、一方、めっき対象物を陰電極として用いることが一般的である。この銅ボールは、硫酸銅のめっき液中に設置され、めっき電解に伴い徐々にめっき液中に溶解するため、その消費量に応じて適宜供給される。
【0003】
リン元素を含有した銅ボールの表面には、その電解過程において、図2に示すとおり、塩化銅(CuCl)、酸化銅(CuO)、リン化銅(CuP)といった、ブラックフィルムと呼ばれる化合物が形成される(たとえば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−171797
【特許文献2】特開2003−268595
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、銅ボールの表面に形成されるブラックフィルムは、手で擦ると簡単に剥離するほど脆く、そのため、めっき過程中に、銅ボールの表面からブラックフィルムが剥離することがある。
【0006】
そして、剥離したブラックフィルムは、めっき液中にスラッジとして堆積し、堆積したスラッジがめっき液中に拡散することにより、均一電着性等のめっき特性が低下する原因となる。
【0007】
そこで本発明は、銅めっきの陽電極用銅ボールの表面に形成されるブラックフィルムの剥離を抑制し、それにより、均一電着性等のめっき特性の改善を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する第1の発明は、銅めっきの陽電極として用いられる陽電極用銅ボールであって、前記陽電極用銅ボールはリン元素を含有する銅の結晶粒から構成され、前記陽電極用銅ボールを構成する前記結晶粒の総数のうち70%以上の数の結晶粒の短径が10μm以上で、かつ、前記陽電極用銅ボールを構成する前記結晶粒の総数のうち60%以上の数の結晶粒の長径が30μm以上である。
【0009】
なお、第1の発明において、前記陽電極用銅ボールにおける銅元素の含有率が99.95%以上であり、前記陽電極用銅ボールにおけるリン元素の含有率が300ppm以上400ppm以下である構成としても良い。
【0010】
前記課題を解決する第2の発明は、めっき液を内部に溜めるめっき槽と、前記めっき槽内で、陰電極としてのめっき対象物を前記めっき液に浸漬する浸漬手段と、前記めっき槽内で、陽電極としての請求項1又は2に記載の銅めっきの陽電極用銅ボールを前記めっき液に浸漬する浸漬手段と、を備える銅めっき装置である。
【0011】
前記課題を解決する第3の発明は、めっき槽の内部にめっき液を溜めて、前記めっき槽内で、陰電極としてのめっき対象物を前記めっき液に浸漬し、前記めっき槽内で、陽電極としての請求項1又は2に記載の銅めっきの陽電極用銅ボールを前記めっき液に浸漬し、前記陽電極から前記陰電極へ通電することにより前記めっき対象物に銅めっき層を形成する銅めっき方法である。
【0012】
前記課題を解決する第4の発明は、めっき槽の内部にめっき液を溜めて、前記めっき槽内で、陰電極としての配線基材を前記めっき液に浸漬し、前記めっき槽内で、陽電極としての請求項1又は2に記載の銅めっきの陽電極用銅ボールを前記めっき液に浸漬し、前記陽電極から前記陰電極へ通電することにより前記配線基材に銅めっき層を形成するプリント基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールにより、銅めっきの陽電極用銅ボールの表面に形成されるブラックフィルムの剥離を抑制でき、それにより均一電着性等のめっき特性の改善を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
つぎに、図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールを用いた銅めっき装置の断面図である。図2は、本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールの表面に形成されるブラックフィルムの説明図である。図3は、本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールの断面構造の拡大図である。図4は、銅めっき処理を行ったプリント基板の断面図であり、(a)は従来の陽電極用銅ボールを用いて銅めっきを行った際のビアホールの断面図を示し、(b)は本発明の一実施形態にかかる陽電極用銅ボールを用いて銅めっきを行った際のビアホールの断面図を示している。
【0015】
(1)陽電極用銅ボール
まず、本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールについて、図2、及び図3を用いて説明する。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールBの断面構造の拡大図である。陽電極用銅ボールBは、複数の結晶粒11から構成されている。
【0017】
ここで、各結晶粒11の断面を挟む2本の平行線の間隔のうち、最小幅を短径11Sと呼び、最大幅を長径11Lと呼ぶ。なお、短径11Sと長径11Lは、結晶粒11の断面積の大きさに寄与する。
【0018】
本発明の一実施形態においては、銅めっきの陽電極用銅ボールBを構成する結晶粒11の総数のうち、70%以上の数の結晶粒11が10μm以上の短径11Sを有しており、かつ、陽電極用銅ボールBを構成する結晶粒11の総数のうち、60%以上の数の結晶粒11が30μm以上の長径11Lを有している。
【0019】
言い換えれば、陽電極用銅ボールBを構成する結晶粒11の総数のうち、短径11Sが10μm未満の結晶粒11の数は30%未満であって、かつ、長径11Lが30μm未満の結晶粒11の数は40%未満である。
【0020】
なお、図2に示すとおり、陽電極用銅ボールBの外形はボール形状としているが、この際、ボール形状が真球であるか否かは問わない。また、ボールの直径は60mm程度またはそれ以下であることが好ましいが、必ずしも上記の条件に制限されない。その他、陽電極用銅ボールBの断面が、楕円形、多角形、及びこれらの結合であっても構わない。
【0021】
なお、各結晶粒11は、微量にリン元素を含有する銅元素から成る。各結晶粒11の組成は、例えば、銅元素の含有率が99.95%以上であって、リン元素の含有率が300ppm以上400ppm以下とすることが好ましいが、必ずしも上記条件に制限されない。
【0022】
(2)銅めっき装置
続いて、本発明の一実施形態にかかる銅めっき装置の構成について、図1を用いて説明する。
【0023】
本発明の一実施形態にかかる電気銅めっき装置1は、めっき槽2と、陰電極としてのめっき対象物をめっき液に浸漬する浸漬手段としてのホルダー3と、陽電極としての陽電極用銅ボールをめっき液に浸漬する浸漬手段としてのバスケット4とを備える。
【0024】
めっき槽2は、硫酸銅めっき液9を内部に溜めるよう構成される。
【0025】
ホルダー3は、めっき対象物としての配線基材6を、配線基材6の上方から吊り下げるように固定する。そして、配線基材6を硫酸銅めっき液9中に浸漬し、あるいは硫酸銅めっき液9から引き上げることができるよう、昇降自在に構成されている。
【0026】
なお、ホルダー3は、配線基材6を、底面あるいは側面から支持するように固定する構成としても良い。さらに、他の浸漬手段として、長尺状の配線基材6を、めっき槽2の内部にて搬送しながら硫酸銅めっき液9に浸漬する搬送用ローラとして構成されても良い。
【0027】
また、バスケット4は、陽電極としての陽電極用銅ボールBを、内部に複数個収納する機能を有する。そして、バスケット4は、収納した陽電極用銅ボールBが配線基材6と対向するように、めっき槽2内に設置され、その際、バスケット4の一部は、陽電極用銅ボールBと共に、硫酸銅めっき液9に浸漬される。
【0028】
なお、バスケット4は、収納した陽電極用銅ボールBに対して外部から電源供給ができるよう電気伝導性を有する必要があり、また、硫酸銅めっき液9に対して耐腐食性を有する必要があるため、チタニウムや白金等の材料により構成される。
【0029】
また、バスケット4における陽電極用銅ボールBの収納部分は、収納した陽電極用銅ボールBが硫酸銅めっき液9に浸漬され、かつ、陽電極用銅ボールBから溶出した銅イオンが、バスケット4の外部へ自在に流出できるよう、全面又は一部が網目状に構成される。
【0030】
また、めっき処理の途中に、陽電極用銅ボールBをその消費量に応じて適宜補充することができるよう、バスケット4の上面が開放され、あるいは開閉可能なように構成される。
【0031】
なお、バスケット4は、アノードバック5と呼ばれる網目状の袋に包まれて設置される。アノードバック5とは、例えばポリプロピレンの繊維を編んで作った袋であり、バスケット4をアノードバック5で包むことで、陽電極用銅ボールBから発生したスラッジが硫酸銅めっき液9中に拡散しないよう、フィルタリングする機能を有する。ただし、本発明の一実施形態にかかる電気銅めっき装置1においては、アノードバック5は、必ずしも必須ではない。
【0032】
さらに、めっき電解のための電位差が加えられるよう、配線基材6には、直流電源10の陰電極がホルダー3を介して接続され、陽電極用銅ボールBには、直流電源10の陽電極がバスケット4を介して接続される。
【0033】
(3)銅めっき方法、及びプリント基板の製造方法
続いて、前記銅めっき装置1を用いた本発明の一実施形態にかかる銅めっき方法、及びプリント基板の製造方法について、図1を用いて説明する。
【0034】
まず、めっき槽2の内部に、硫酸銅めっき液9を溜める。
【0035】
その後、ホルダー3を用い、めっき対象物としての配線基材6を上方から吊り下げるように固定する。その後、ホルダー3を降下させ、配線基材6を硫酸銅めっき液9に浸漬する。
【0036】
上記において、配線基材6とは、例えばフィルム状、あるいは板状の絶縁層7の両面にそれぞれ導体層8aと導体層8bを備えたものをいう。なお、配線基材6は、必ずしも導体層を両面に備えている必要はなく、片面のみであっても良い。
【0037】
なお、配線基材6には、一方の導体層8aと絶縁層7とを貫通するスルーホールであって、スルーホールの一方の開口が他方の導体層8bに塞がれたブラインドビアホールBHや、両面の導体層と絶縁層7とを貫通するスルーホールTHが予め形成されている。
【0038】
その他、配線基材6以外にも、銅めっきが析出可能な下地面を有するものであれば、めっき対象物として用いることができる。
【0039】
一方、バスケット4に、陽電極としての陽電極用銅ボールBを複数個収納する。
この際、陽電極用銅ボールBの外形が60mm以下のボール状とすることによって、バスケット4への陽電極用銅ボールBの充填性を高めつつ、陽電極における銅の表面積を大きくすることができる。
【0040】
その後、収納した陽電極用銅ボールBが配線基材6と対向するように、バスケット4をめっき槽2内に設置する。その際、バスケット4の一部は、収納された陽電極用銅ボールBと共に、硫酸銅めっき液9に浸漬される。
【0041】
なお、上記において、めっき槽2内部に先に硫酸銅めっき液9を溜め、その後に配線基材6と陽電極用銅ボールBとを浸漬しているが、この際、配線基材6とバスケット4のいずれを先に浸漬させても良いし、また、これらを同時に浸漬させても良い。
また、他の実施形態として、配線基材6と陽電極用銅ボールBとの両方あるいはいずれか片方を、空のめっき槽2の内部に予め固定し、その後、めっき槽2内部に硫酸銅めっき液9を溜めても良い。
【0042】
その後、陽電極としての陽電極用銅ボールBから、陰電極としての配線基材6へ通電し、めっき電解を開始する。
【0043】
めっき電解の開始後、陽電極用銅ボールBの表面には、塩化銅(CuCl)、酸化銅(CuO)、リン化銅(CuP)等のブラックフィルムBFが形成される。ブラックフィルムのうち、特にCuPは、銅ボール中の銅元素と銅ボール中に微量に添加されているリン元素とが化合物を作るものであり、銅めっき過程中に、陽電極から硫酸銅めっき液9中に溶出し、硫酸銅めっき液9中の銅イオン量を一定に保つ役割を果たす。
【0044】
一方、配線基材6には、図4(b)に示す銅めっき層12が析出される。
なお、めっき処理の途中に、バスケット4に収納した陽電極用銅ボールBの消費が進んだら、その消費量に応じて、陽電極用銅ボールBを適宜補充する。
【0045】
配線基材6の表面に所望の厚さの銅めっき層12が形成された後、めっき処理を完了し、プリント基板6’の製造を完了する。その後は、ホルダー3を上昇させて硫酸銅めっき液9中からプリント基板6’を引き上げる。
【0046】
以上によれば、本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールBにより、銅めっきの陽電極用銅ボールBの表面に形成されるブラックフィルムBFの剥離を抑制し、それにより配線基材6への均一電着性等のめっき特性の改善を図ることができる。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例と共に、比較例を説明する。
【0048】
まず、結晶粒の大きさの異なる二種類の陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBを各100個用意した。その後、陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBから、それぞれ6個の銅ボールを無作為に抽出した。
【0049】
なお、陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBの直径は、約25mmであって共通である。また、陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBの組成は、銅元素の含有率が99.95%以上であり、リン元素の含有率が300ppm以上400ppm以下であって共通である。
【0050】
その後、これらの銅ボールを切断して断面を露出させ、この露出した断面に対してバフ及びダイヤモンド砥石を用いて鏡面仕上げを行った後、アンモニアと過酸化水素との混合液を用いて、図3に示すような断面結晶粒を現出させた。
【0051】
その後、結晶粒を現出させた断面について、金属顕微鏡を用いて、1000倍の倍率で、銅ボール1個につき10箇所(すなわち、陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBそれぞれについて各60箇所)の断面組織撮影を行った。
【0052】
そして、撮影写真のそれぞれにおいて、各20箇所の短径11S・長径11Lを測定した。すなわち測定は、陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBそれぞれについて、ボールが6個×写真撮影箇所が10箇所×結晶粒測定が20箇所=1200箇所となる(短径・長径それぞれについて)。
【0053】
その結果、表1に示す結果が得られた。
【表1】

【0054】
その後、上述した陽電極用銅ボールA(比較例)、及び陽電極用銅ボールB(実施例)を用いて、ブラックフィルムBFの転写試験、及び均一電着特性試験を順次実施した。
【0055】
(1)ブラックフィルムBFの転写試験
まず、残りの銅ボール(各94個)から、陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBについて無作為に各30個を抽出し、そのうち各6個を、めっき槽2内に建浴した硫酸銅めっき液9中に浸漬させ、12.0A(銅ボール1個当たり0.4A)の通電を150分行い、銅ボール表面に、図2に示すようなブラックフィルムBFを形成した。
以後、同様の条件でブラックフィルムBFの形成を繰り返し(10回)、陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBの各30個全てについてブラックフィルムBFを形成した。
【0056】
その後、ブラックフィルムBFが形成された各30個の陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールBから、15個ずつを取り出し、普通紙上で約50mm転がして、ブラックフィルムBFが普通紙へ転写する状態を観察した。
【0057】
その結果、陽電極用銅ボールBにおいては、15個全てにおいてブラックフィルムBFは普通紙へ転写しなかった。
一方、陽電極用銅ボールAでは、15個全てにおいてブラックフィルムBFが普通紙へ転写することが認められた。
したがって、陽電極用銅ボールBにおいては、陽電極用銅ボールAと比較して、ブラックフィルムBFの脱落が抑制できていることが確認できた。
【0058】
(2)均一電着特性試験
まず、めっき対象物として、フィルム上の絶縁層7の両面に導体層(8a,8b)を備えた配線基材6を2本用意した。なお、実施例、及び比較例においては、絶縁層7は厚さ25μmとし、その材質はポリイミドとした。また、導体層8a、8bの厚さは共に12μmとし、材質は銅とした。
なお、それぞれの配線基材6には、レーザ法を用いて、直径60μmのブラインドビアホールBHを100個形成した。また、ブラインドビアホールBHの内壁には、Sn−Pdコロイドによる導電性皮膜を形成した。
【0059】
その後、陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールB用にそれぞれめっき槽2を用意し(計2槽)、各めっき槽2に、3リットルの硫酸銅めっき液9を新たに建浴した。
【0060】
そして、ブラックフィルムBFが形成されている残りの陽電極用銅ボールA、及び陽電極用銅ボールB(各15個)を用いて、前述の配線基材6に、銅めっき処理を施した。
【0061】
その後、導体層8aの表面に所定の厚さの銅めっき層12を形成し、プリント基板6’の製造を完了した。なお、通電電流密度は3.0A/dmであり、通電時間は18分で、共通であった。
【0062】
その後、プリント基板6’を、ブラインドビアホールBHの中心を分割するように切断し、導体層8aの表面に析出した銅めっき層12の厚さ、及びブラインドビアホールBH内に析出した銅めっき層12の厚さを観察した。
【0063】
その結果、陽電極用銅ボールBを用いた場合、図4(b)に示すとおり、ブラインドビアホールBH内面のめっき厚は、導体層8aの表面のめっき厚と同等であった。
一方、陽電極用銅ボールAを用いた場合には、図4(a)に示すとおり、ブラインドビアホールBH内面のめっき厚は、導体層8aの表面のめっき厚に比べ1/5であった。
したがって、陽電極用銅ボールBでは、ブラインドビアホールBH内を含め均一な電着特性を得られることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールを用いた銅めっき装置の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールの表面に形成されるブラックフィルムの説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる銅めっきの陽電極用銅ボールの断面構造の拡大図である。
【図4】銅めっき処理を行ったプリント基板の断面図であり、(a)は従来の陽電極用銅ボールを用いて銅めっきを行った際のビアホールの断面図を示し、(b)は本発明の一実施形態にかかる陽電極用銅ボールを用いて銅めっきを行った際のビアホールの断面図を示している。
【符号の説明】
【0065】
1 電気銅めっき装置
2 めっき槽
3 ホルダー(浸漬手段)
4 バスケット(浸漬手段)
6 配線基材(めっき対象物)
6’ プリント基板
9 硫酸銅めっき液
11 結晶粒
11L 長径
11S 短径
B 陽電極用銅ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅めっきの陽電極として用いられる陽電極用銅ボールであって、
前記陽電極用銅ボールはリン元素を含有する銅の結晶粒から構成され、
前記陽電極用銅ボールを構成する前記結晶粒の総数のうち70%以上の数の結晶粒の短径が10μm以上で、かつ、
前記陽電極用銅ボールを構成する前記結晶粒の総数のうち60%以上の数の結晶粒の長径が30μm以上である
ことを特徴とする銅めっきの陽電極用銅ボール。
【請求項2】
請求項1に記載の銅めっきの陽電極用銅ボールであって、
前記陽電極用銅ボールにおける銅元素の含有率が99.95%以上であり、
前記陽電極用銅ボールにおけるリン元素の含有率が300ppm以上400ppm以下である
ことを特徴とする銅めっきの陽電極用銅ボール。
【請求項3】
めっき液を内部に溜めるめっき槽と、
前記めっき槽内で、陰電極としてのめっき対象物を前記めっき液に浸漬する浸漬手段と、
前記めっき槽内で、陽電極としての請求項1又は2に記載の銅めっきの陽電極用銅ボールを前記めっき液に浸漬する浸漬手段と、を備える
ことを特徴とする銅めっき装置。
【請求項4】
めっき槽の内部にめっき液を溜めて、
前記めっき槽内で、陰電極としてのめっき対象物を前記めっき液に浸漬し、
前記めっき槽内で、陽電極としての請求項1又は2に記載の銅めっきの陽電極用銅ボールを前記めっき液に浸漬し、
前記陽電極から前記陰電極へ通電することにより前記めっき対象物に銅めっき層を形成する、
ことを特徴とする銅めっき方法。
【請求項5】
めっき槽の内部にめっき液を溜めて、
前記めっき槽内で、陰電極としての配線基材を前記めっき液に浸漬し、
前記めっき槽内で、陽電極としての請求項1又は2に記載の銅めっきの陽電極用銅ボールを前記めっき液に浸漬し、
前記陽電極から前記陰電極へ通電することにより前記配線基材に銅めっき層を形成する、
ことを特徴とするプリント基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−262456(P2007−262456A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86413(P2006−86413)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】