説明

錠核部を外層部で包接した二層形状からなる有核錠

【課題】ムコ多糖類によって、他の薬理活性物質の生体内における吸収率が阻害されない薬剤を提供することを目的とする。
【解決手段】錠核部を外層部で包接した二層形状からなる有核錠であって、錠核部がムコ多糖類、外層部がムコ多糖類以外の薬理活性物質であることを特徴とする有核錠とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠核部を外層部で包接した二層形状からなる有核錠に関し、より詳しくは、錠核部を外層部で包接した二層形状からなる有核錠であって、錠核部にムコ多糖類を、外層部に前記ムコ多糖類を除く薬理活性物質を含有する有核錠に関する。
【背景技術】
【0002】
ムコ多糖類は、皮膚の水分保持、皮膚の柔軟性、肌質、健康の極めて有用であることが知られており、保湿を目的とした皮膚外用剤に数多く利用されている。
ムコ多糖類には、デルマタン硫酸・コンドロイチン硫酸・ヒアルロン酸等があるが、生体内において、デルマタン硫酸はコンドロイチン硫酸A及びCと共にヒアルロン酸に結合している。
デルマタン硫酸・コンドロイチン硫酸A及びC・ヒアルロン酸は、陰イオン性分子である為、互いが結合して高分子構造をとり、多数の水分子を含むことができる。結果、これら高分子化合物は皮膚の水分を保持することができるとされており、デルマタン硫酸やコンドロイチン硫酸を経口摂取すると、体内に取り込まれ、体内のヒアルロン酸と結合し、皮膚の水分を保持する効果が上がるとの指摘もされている。
このことからムコ多糖類は皮膚外用剤のみならず、健康食品としても利用されている(特許文献1)。
他にも、デルマタン硫酸とヒアルロン酸を同時に経口摂取することによって、小腸においてはデルマタン硫酸の吸収が加速され、吸収効率を高めることができることに加え、皮膚年齢を若返らす効果、皮膚の柔軟性を高める効果、皮膚の保湿性を高める効果、皮膚の新陳代謝を高める効果、小じわを減らす効果、疲労回復効果、若返り効果、便秘を治す効果、抜毛を減らす効果等があることも報告されている(特許文献2)。
【0003】
一方、上述したムコ多糖類以外に、有用な効能をもち、経口摂取(例えば一般食品、健康食品、機能性食品、栄養強化食品等の形態で摂取)するのに適した薬理活性成分が多数報告されている。
例えば、加齢とともにその生合成能力は低下し、特に中高年者ではその適切な補給が望まれているにも拘らず、天然素材の食品を通常の食事として摂取する限り、補給することは難しいとされている栄養素である「コエンザイムQ10」や、コエンザイムQ10同様、補給することは難しい上、ストレス社会の現代に特になくてはならない「ビタミン類」などがこれに挙げられる。
【0004】
ムコ多糖類に加え、これら他の薬理活性成分(コエンザイムQ10、ビタミン等)を含有した薬剤は、これを経口摂取することにより、ムコ多糖類およびその他の薬理活性成分が有する多様な効能・効果を同時に得ることができる点、有用である。
その為、これら成分(ムコ多糖類、他の薬理活性成分)を加えて、均一に混和させた後、打錠することにより製造した錠剤が市販されている。
しかしながら、錠剤は生体内で速やかに崩壊するため、短時間に大量のムコ多糖類が生体内に放出されることとなる。ここでムコ多糖類は単体では安定性がなく直に変性してしまうことに加え、非常に粘性の高い物質であるので、ビタミン等の有用な他の薬理活性物質を取り込んでしまう結果となり(即ち、吸収阻害する結果となり)、ビタミン等の有用な他の薬理活性物質はその効能を十分発揮することはできなかった。
さらにムコ多糖類は粘度が高い為、打錠することも困難であった。
従って、ムコ多糖類およびその他の薬理活性成分の効能を共存させることのできる手段の開発が切望されていた。
【0005】
【特許文献1】特開平9−98739号公報
【特許文献2】特開2005−046133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情(ムコ多糖類およびその他の薬理活性成分の薬効を共存させるという医薬・食品などにおいての栄養素の添加を巡る状況)に鑑みてなされたものであり、その目的は、ムコ多糖類およびその他の薬理活性成分の効能を共存させることのできる手段を提供することにある。即ち、ムコ多糖類によって、他の薬理活性物質(コエンザイムQ10、ビタミン等)の生体内における吸収率が阻害されないことを可能とした薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ムコ多糖類およびその他の薬理活性成分の薬効を共存させることができる新しいタイプの製剤を開発すべく種々の研究を重ねた結果、特定の有核錠とすることにより、ムコ多糖類の作用効果を有しつつ、ムコ多糖類以外の薬理活性物質も薬理効果を奏することができ、互いに生体内において長期間安定した品質を保つことができることを見出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
【0008】
即ち、請求項1に係る発明は、錠核部を外層部で包接した二層形状からなる有核錠であって、錠核部がムコ多糖類、外層部がムコ多糖類以外の薬理活性物質であることを特徴とする有核錠に関する。
請求項2に係る発明は、前記核錠部と外層部との間がコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の有核錠に関する。
請求項3に係る発明は、前記ムコ多糖類が少なくともヒアルロン酸及び/又はその塩、デルマタン硫酸及び/又はその塩、コンドロイチン硫酸及び/又はその塩から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有核錠に関する。
請求項4に係る発明は、前記ムコ多糖類の配合量が、0.0001〜90重量%であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の有核錠に関する。
請求項5に係る発明は、前記ムコ多糖類以外の薬理活性物質が、豚皮アミノ酸、豚皮コラーゲン、大豆イソフラボン10、エゾウコギエキス末、コエンザイムQ10、VB、VB、VB、結晶セルロース、ショ糖エステルからなる群より選択される何れか一種以上であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の有核錠に関する。
請求項6に係る発明は、前記ムコ多糖類とムコ多糖類を除く薬理活性物質の配合比率が、0.1:9.9〜9.9:0.1であることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の有核錠に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる有核錠は、錠核部にムコ多糖類を、外層部に前記ムコ多糖類を除く薬理活性成分を含有した二層形状からなることを特徴とするので、生体内でムコ多糖類がビタミン等の有用な他の薬理活性物質を取り込むことがなく(即ち、吸収阻害することがなく)、ムコ多糖類と同様、ビタミン等の他の薬理活性物質もその効能を十分に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にかかる有核錠は、錠核部と外層部で包接した二層形状からなる有核錠であって、錠核部に有機活性成分であるムコ多糖類を、外層部に前記ムコ多糖類を除く有機活性成分を含有することを特徴とする有核錠である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
本発明にかかる有核錠は、錠核部にムコ多糖類が含有される。
本発明に用いられるムコ多糖類としては、特に限定されるものではないが、デルマタン硫酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、或いはこれらの塩類が好適である。中でも、デルマタン硫酸及び/又はその塩、ヒアルロン酸及び/又はその塩、コンドロイチン硫酸及び/又はその塩が最適である。
【0012】
デルマタン硫酸は、コンドロイチン硫酸Bとも呼ばれる分子量2〜40万のグリコサミノグリカンの一種である。一般的には、デルマタン硫酸は次式1(化1)に示されるL−イズロン酸とN−アセチルガラクトサミン−4−硫酸からなる二糖単位の繰り返しが主体となっているが、ウロン酸の一部がL−イズロン酸硫酸あるいはD−グルクロン酸である場合や、N−アセチルガラクトサミン−4−硫酸の一部が硫酸化されていない場合や、4,6−二硫酸化されている場合がある。
【0013】
【化1】

【0014】
デルマタン硫酸は、皮膚の繊維形成に関与し、リポタンパク(LDLとVLDL)及びカイロミクロンの血管壁沈着を防止する効果が、また表皮レベルでは、紫外線B暴露後の炎症皮膚において、デルマタン硫酸による抗浮腫作用と再生効果が、それぞれ確認されている。その他にも、デルマタン硫酸を含有することにより、表皮有棘細胞のトラブルを解消し、角化作用を改善すること、及び、デルマタン硫酸の線溶作用と血管拡張作用によって蜂巣炎、小血腫などの除去にも役立つことが確認されている。
【0015】
ヒアルロン酸は、次式2(化2)に示されるO−β−D−グルクロノシル(1→3)−N−アセチル−β−D−グルコサミニル(1→4)単位の二糖繰り返し構造を持つグリコサミノグリカンの一種であり、主として、動物の関節液や眼球ガラス体液、臍帯(へそのお)、真皮表層などの結合組織等に存在している。
分子量は数十万〜200万以上にもなる。
【0016】
【化2】

【0017】
ヒアルロン酸は、皮膚の年齢を若返らす効果、皮膚の柔軟性を高める効果、皮膚の保湿性を高める効果、皮膚の新陳代謝を高める効果、紫外線による肌へのダメージを軽減する効果、肌のくすみを消す効果、顔のシミを減らす効果、化粧のノリを良くする効果、小じわを減らす効果、目のまわりにハリを出す効果、吹き出物を消す効果、乾燥肌を治す効果、唇の荒れを治す効果、赤ら顔を改善する効果、傷の治りを早める効果、踵の角質を柔らかくする効果などがある。
【0018】
本発明に用いられるデルマタン硫酸とヒアルロン酸は、合成品か、半合成品であってもよく、鳥類、魚類、哺乳類等からの天然物抽出物であってもよい。
尚、合成品とは、化学合成によって製造されたものを指し、半合成品とは、化学合成品、又は天然物抽出物をさらに合成したものを指す。ヒアルロン酸とデルマタン硫酸が天然物抽出物の場合は、抽出源は特に限定されないが、人間と同じ哺乳類が好ましく、哺乳類の中でも人間との組織和合性が高いとされる豚(Sus属)由来のものがより好ましい。尚、豚の品種としては、デュロック種(Duroc)、バークシャー種(Berkshire)、ハンプシャー種(Hampshire)、ランドレース種(Landrace)、大ヨークシャー種(Large Yorkshire, Large White)、中ヨークシャー種(Middle Yorkshire, Middle White)等やそれらの雑種等を挙げることができる。
【0019】
ヒアルロン酸とデルマタン硫酸の配合比率は特に限定されないが、好ましくは、重量比でヒアルロン酸1に対して、デルマタン硫酸を0.001〜200、好ましくは0.005〜100とする。この理由は、ヒアルロン酸とデルマタン硫酸の配合比率があまりにも異なると、デルマタン硫酸が効率的に吸収されなくなると考えられるからである。さらに、人によっては、アレルギー反応が起き、肌に吹き出物ができることがあるからである。
【0020】
コンドロイチン硫酸Aは、コンドロイチン−4−硫酸とも呼ばれるグリコサミノグリカンであり、硫酸基を4位に有するものが多いコンドロイチン硫酸をさす。
分子量は数千〜数万であるが、動物種・齢・組織の種類や部位によって鎖の長さや微細構造には様々な変化がある。
コンドロイチン硫酸Cは、コンドロイチン−6−硫酸とも呼ばれるグリコサミノグリカンであり、硫酸基を6位に有するものが多いコンドロイチン硫酸をさす。
分子量は、コンドロイチン硫酸Bと同じである。
本件発明の有核錠剤に添加するコンドロイチン硫酸A及び/又はCは特に限定されないが、その抽出源は人間と同じ哺乳類が好ましく、哺乳類の中でも人間との組織和合性が高いとされる豚(Sus属)由来のものがより好ましい。
コンドロイチン硫酸A及び/又はCの配合量は特に限定されないが、ヒアルロン酸の重量1に対して、0.001〜100程度加えるのが好ましく、0.01〜50程度加えるのがより好ましく、0.05〜20程度加えるのがさらに好ましい。
この理由は、ヒアルロン酸とコンドロイチン硫酸A及び/又はCの配合比率があまりにも異なると、コンドロイチン硫酸A及び/又はCが効率的に吸収されなくなると考えられるからである。さらに、人によっては、アレルギー反応が起き、肌に吹き出物ができることがあるからである。
【0021】
本発明の有核錠に添加するヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸A及びCは、それぞれ別の生物由来でもよく、合成されたものでもかまわないが、同一の哺乳類由来であることが好ましく、中でも人間との組織和合性が高いとされる豚(Sus属)由来のものがより好ましい。
この理由は、同一の生物由来のヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸A及びCは、分子間の親和性が高いと考えられ、ヒアルロン酸を介したデルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸A及びCの吸収効率が高いと考えられるからである。
【0022】
本発明の有核錠全体に占めるムコ多糖類、即ち、ヒアルロン酸及び/又はデルマタン硫酸の配合量は、ムコ多糖類としての効果を発揮すれば特に限定されないが、有核錠全重量中0.0001〜90重量%程度、好ましくは0.001〜80重量%程度、より好ましくは0.01〜70重量%程度とする。
この理由は、0.0001重量%未満の配合量では、保湿等のムコ多糖類自体の効果が十分に発揮できないために、また90重量%を超えて配合してもそれ以上の効果が望めないために、いずれの場合も好ましくないからである。
【0023】
本発明に係る有核錠は上述したムコ多糖類を錠核部とし、前記ムコ多糖類を除く薬理活性物質(主にビタミン等の低分子物質)を外層部として、錠核部を外層部で包接(被覆)した二層形状であることを大きな特徴とする。
上記形状を採ることにより、外層部の薬理活性成分はムコ多糖類に取り込まれることなく、先に生体内に放出され、十分にその薬効を発揮することができる。
その後、錠核部であるムコ多糖類が時間をかけて生体内に取り込まれることとなるので、結果として、ムコ多糖類およびムコ多糖類を除く薬理活性物質の双方ともにその薬効を十分に発揮することができることとなる。
【0024】
上述の錠核部を外層部で包接した二層形状からなる有核錠は、例えば、それ自体既知の方法で芯部となるムコ多糖類からなる錠核部をつくり、次いで、有核打錠機(プレスコーター)を用いて該錠核部を前述したビタミン等のムコ多糖類を除く薬理活性成分の外殻部で被覆(包接)することにより製造することができる。
その際の打錠条件は厳密に制限されるものではなく、最終錠剤に望まれる溶出特性等に応じて変えることができるが、通常、芯部内核錠の打錠圧は100〜1000kgf程度が適当であり、また有核錠の打錠圧は500〜2000kgf程度が適当である。
ここで錠核部についてムコ多糖類が含まれている限りにおいては、一のムコ多糖類のみであっても、二以上のムコ多糖類を含有するものであってもよいし、ムコ多糖類以外の他の成分を含有するものであってもよい。
また、外殻部についてもムコ多糖以外の薬理活性成分であれば、単一成分であってもよいし、二以上の成分を含有するものであってもよい。
尚、本発明にかかる有核錠全体の物理的形状は、円形状、角形状、ラグビーボール形状等いずれの形状であってもよい。
【0025】
芯部(錠核部)の直径は3.0〜9.0mm、好ましくは4.5〜8.0mmの範囲内に、また芯部の厚さは1.0〜5.0mm、好ましくは1.5〜4.0mmの範囲内にすることができる。
そしてこれに外殻部を圧縮被覆(打錠)して製した有核錠剤(裸錠)は、一般に、直径を7.0〜13.0mm、好ましくは8.0〜12.0mmの範囲内にすることができ、また厚さは3.0〜8.0mm、好ましくは4.0〜7.0mmの範囲内にすることができる。
【0026】
前記錠核部と外層部との間はコーティングされていてもよい。
即ち、前記錠核部には外層部で被覆(包接)するに先立ち、薄いフィルムコーティングを施してもよく、該フィルムコーティング基剤としては、例えば、HPC、HPMC、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系水溶性コーティング基剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース系腸溶性コーティング基剤;メタアクリル酸コポリマー、セラック、ゼイン等が挙げられる。
【0027】
上記のようにして製造される有核錠剤は、有核錠剤に成形した後にさらに外側に少なくとも1層の遮光性のフィルムコーティングを設けてもよい。
そのような遮光性のフィルムコーティングとしては、例えば、三二酸化鉄及び/又は酸化チタン等の遮光剤を適量配合したセルロース系水溶性コーティングが挙げられる。該セルロース系水溶性コーティングとしては、中でも、造膜性の点でHPMCを用いるのが好適であり、20℃における2%水溶液の粘度が100cp以下、特に15cp以下のHPMCが特に好適である。これらのフィルムコーティング基剤には、必要に応じてポリエチレングリコール等の可塑剤を添加することができる。
【0028】
本発明にかかる有核錠において、外層部に含有される「ムコ多糖類以外の薬理活性物質」としては、特に限定されるものではないが、主にビタミン(VB)等の低分子化合物であるのが好ましく、豚皮アミノ酸、豚皮コラーゲン、大豆イソフラボン10、エゾウコギエキス末、コエンザイムQ10、VB、VB、VB、結晶セルロース、ショ糖エステルなどを例示することができる。
これら単独で使用しても良いし、これらの群より選択される何れか二種以上を使用するものであっても良い。
本発明にかかる有核錠において、ムコ多糖類とムコ多糖類を除く薬理活性物質の配合比率は、0.1:9.9〜9.9:0.1であることが好ましい。
尚、前記薬理活性物質の内、特にコエンザイムQ10、ビタミン類は後述の如く、種々の効能を有することが知られており、有用であると考えられる。
【0029】
コエンザイムQ10(CoQ・10)は、天然素材の食品を通常の食事として摂取する限り、補給することは難しいと見られている栄養素である。
コエンザイムQ10はエネルギー産生に関わる補酵素として知られ、心疾患等に対する医薬品として用いられる他、近年はサプリメント、食品栄養添加物としても注目を集めている。
CoQ・10は、加齢とともにその生合成能力は低下することから、中高年者ではその適切な補給が望ましい。CoQ・10を含む食品として魚類、肉類、海草などが知られているが、何れもCoQ・10の含有量が極めて低い。例えば、CoQ・10を100mg摂取するためには、鰯20尾、ブロッコリーで12kgが必要となる。
【0030】
CoQ・10同様、補給することは難しい上に、ストレス社会の現代に特になくてはならないのがビタミンである。
ビタミンB1(VB)は、糖質を分解する酵素を助け、エネルギーに換えることができこれが不足すると、糖質のエネルギー代謝が悪くなり、疲れ易くなったり、更には手足のしびれ、むくみ、動悸などといった症状が出てくる。
又、糖質は身体だけではなく脳や神経のエネルギー源でもあるために、ビタミンB1が不足することで、集中力がなくなったり、イライラが起こったりする。
ビタミンB2(VB)は、細胞の再生や成長を促進するはたらきのあるビタミンで、健康な皮膚、髪、爪をつくる他、脂質の代謝を促進し、糖質の代謝にも関係する。
ビタミンB2が不足すると、脂質の代謝がスムーズにいかず、エネルギーになりにくくなるばかりか、ビタミンB2は粘膜を保護するはたらきもあるので、不足すると口内炎、口角炎、目の充血、角膜炎などを起こす。
ビタミンB6(VB)は、タンパク質合成に必要なアミノ酸が足りない場合に別のアミノ酸を作り変える働きを助ける補酵素で、これが不足するとタンパク質が十分に再合成できなくなり、体の組織の形成、維持に悪影響を及ぼす。
その他、ビタミンB6は脂質の代謝を促すことで脂肪肝などを予防する効果もある。
【0031】
人間の皮膚に近いと言われている豚の皮膚は豊かなアミノ酸群を提供する。
豚皮アミノ酸は人体の腸管から効率的に吸収され、皮膚をつくる細胞の基礎物質として活用される。この時、真皮の繊維芽細胞では、それらのアミノ酸素材からコラーゲンやエラスチンなどのタンパク繊維の合成に活用される。
その為、豚皮アミノ酸および豚皮コラーゲンは、本発明にかかる有核錠における「ムコ多糖類を除く有機活性成分」として有用であると考えられる。
以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにするが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
〔実施例1〕
ヒアルロン酸:25mg、コンドロイチン硫酸:25mg、デルマタン酸:2mg、消化酵素:5mg、結晶セルロース:50mgを混合し、これに杵で重量107mgの内核錠を打錠した。これを核錠部とした。
【0033】
これとは別に、豚皮アミノ酸:100mg、豚皮コラーゲン:20mg、大豆イソフラボン10:20mg、エゾウコギエキス末:10mg、コエンザイムQ10:10mg、VB:3mg、VB:2mg、VB:3mg、結晶セルロース:170mg、ショ糖エステル:5mgを混合した計343mgを先の核錠部を包含する外層部とした。
【0034】
核錠部107mgを、外層部343mgで包接し、計450mgの二層形状からなる有核錠とした。これを本発明に係る有核錠とした。以下に前記有核錠の処方例を示す。
【0035】
(処方例1)
核錠部
ムコ多糖類(ヒアルロン酸) 25mg
ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸) 25mg
ムコ多糖類(デルマタン酸) 2mg
消化酵素 (メタザイム) 5mg
結晶セルロース 50mg
計 107mg
外層部
豚皮アミノ酸 100mg
豚皮コラーゲン 20mg
大豆イソフラボン10) 20mg
エゾウコギエキス末 10mg
コエンザイムQ10 10mg
ビタミン VB1 3mg
VB2 2mg
VB6 3mg
結晶セルロース 170mg
ショ糖エステル 5mg
計 343mg
合計 : 450mg
【0036】
〔実施例2〕
ヒアルロン酸:20mg、コンドロイチン硫酸:20mg、デルマタン酸:2mg、消化酵素:4mg、結晶セルロース:40mgを混合し、これに杵で重量84mgの内核錠を打錠した。これを核錠部とした。
これとは別に、豚皮アミノ酸:100mg、豚皮コラーゲン:20mg、大豆イソフラボン10:20mg、エゾウコギエキス末:10mg、コエンザイムQ10:10mg、VB:3mg、VB:2mg、VB:3mg、結晶セルロース:170mg、ショ糖エステル:5mgを混合した計343mgを先の核錠部を包含する外層部とした。
核錠部84mgを、外層部343mgで包接し、計427mgの二層形状からなる有核錠とした。これを本発明に係る有核錠とした。以下に前記有核錠の処方例を示す。
【0037】
(処方例2)
核錠部
ムコ多糖類(ヒアルロン酸) 20mg
ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸) 20mg
ムコ多糖類(デルマタン酸) 2mg
消化酵素 (メタザイム) 4mg
結晶セルロース 40mg
計 84mg
外層部
豚皮アミノ酸 100mg
豚皮コラーゲン 20mg
大豆イソフラボン10) 20mg
エゾウコギエキス末 10mg
コエンザイムQ10 10mg
ビタミン VB1 3mg
VB2 2mg
VB6 3mg
結晶セルロース 170mg
ショ糖エステル 5mg
計 343mg
合計 : 427mg
【0038】
〔実施例3〕
ヒアルロン酸:12mg、コンドロイチン硫酸:36mg、デルマタン酸:4mg、消化酵素:5mg、結晶セルロース:50mgを混合し、これに杵で重量107mgの内核錠を打錠した。これを核錠部とした。
これとは別に、豚皮アミノ酸:100mg、豚皮コラーゲン:20mg、大豆イソフラボン10:20mg、エゾウコギエキス末:10mg、コエンザイムQ10:10mg、VB:3mg、VB:2mg、VB:3mg、結晶セルロース:170mg、ショ糖エステル:5mgを混合した計343mgを先の核錠部を包含する外層部とした。
核錠部107mgを、外層部343mgで包接し、計450mgの二層形状からなる有核錠とした。これを本発明に係る有核錠とした。以下に前記有核錠の処方例を示す。
【0039】
(処方例3)
核錠部
ムコ多糖類(ヒアルロン酸) 12mg
ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸) 36mg
ムコ多糖類(デルマタン酸) 4mg
消化酵素 (メタザイム) 5mg
結晶セルロース 50mg
計 107mg
外層部
豚皮アミノ酸 100mg
豚皮コラーゲン 20mg
大豆イソフラボン10) 20mg
エゾウコギエキス末 10mg
コエンザイムQ10 10mg
ビタミン VB1 3mg
VB2 2mg
VB6 3mg
結晶セルロース 170mg
ショ糖エステル 5mg
計 343mg
合計 : 450mg


【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠核部を外層部で包接した二層形状からなる有核錠であって、錠核部がムコ多糖類、外層部がムコ多糖類以外の薬理活性物質であることを特徴とする有核錠。
【請求項2】
前記錠核部と外層部との間がコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の有核錠。
【請求項3】
前記ムコ多糖類が少なくともヒアルロン酸及び/又はその塩、デルマタン硫酸及び/又はその塩、コンドロイチン硫酸及び/又はその塩から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有核錠。
【請求項4】
前記ムコ多糖類の配合量が、0.0001〜90重量%であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の有核錠。
【請求項5】
前記ムコ多糖類以外の薬理活性物質が、豚皮アミノ酸、豚皮コラーゲン、大豆イソフラボン10、エゾウコギエキス末、コエンザイムQ10、VB、VB、VB、結晶セルロース、ショ糖エステルからなる群より選択される何れか一種以上であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の有核錠。
【請求項6】
前記ムコ多糖類とムコ多糖類を除く薬理活性物質の配合比率が、0.1:9.9〜9.9:0.1であることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の有核錠。


【公開番号】特開2007−137842(P2007−137842A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336286(P2005−336286)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(500353152)株式会社メディカライズ (2)
【出願人】(505432636)日本タブレット株式会社 (8)
【Fターム(参考)】