説明

長距離構造物の位置管理装置、その位置管理システムおよびその位置管理プログラム

【課題】パイプラインのような長距離構造物の保守管理を行うための技術を提供する。
【解決手段】パイプが連結されて構成されるパイプラインにおいて、パイプが掘り起こされて、そのパイプの両端の位置(更新点C1,D1)が計測される。そして、図5(a)に示すように、計測された位置が計測前の位置(対応点C’,D’)と異なっていたとする。この場合、図5(b)に示すように、まず、平面形状については、更新前図形の形状の特徴を保持したまま、相似な図形となるようにして、更新図形を作成する。次に、更新点C1−D1間の実測距離が更新図形に反映されるようにするために、図5(c)に示すように、深さ・高さ方向を変更して、図形上の距離と実測距離とが整合される。そのため、腐食等の位置を、パイプラインの開始点からの累積距離によって管理することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプラインのような長距離構造物の保守管理を行うために、その長距離構造物の一部の設置位置について最新の位置情報が得られた所から順に更新しつつ、パイプの損傷等の位置関係との整合性も保持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
石油、水等の液体や天然ガス、エチレンガス等の気体の輸送に、パイプラインのような長距離構造物が用いられている。近年では、パイプラインの形状は建設時にCAD(Computer Aided Design:計算機支援設計)システム等によって電子化された図面に記載され、保守管理に利用されることが一般的になっている。CADシステムでは、パイプが接続されて構成されるパイプラインのように、長手方向の長さに対して幅方向の長さが短い部材が接続されて構成される長距離構造物の形状を線で表し、その線で表されたパイプラインの形状の位置を電子データで表して、その電子データを用いてパイプラインの形状を管理している。
【0003】
しかし、過去に建設されたパイプラインの形状は紙の図面に記載されているため、紙の図面からパイプラインの設置位置や損傷位置等のデータを読み取って電子化しようとしても、読取誤差が発生してしまう。また、紙の図面では、平面形状のみが記載されている場合が多く、立体形状まで細かく記載されている場合は稀である。
したがって、紙の図面に基づいて電子化されたパイプラインの形状は、精度の低いことが多い。
【0004】
一般的に、パイプラインの形状は、ピギング(Pigging:パイプ内部にセンサを搭載したロボットを通すことによって形状計測すること)や測量によって取得することが可能である。しかし、1950年代から1970年代に建設されたパイプラインではピギングが行えないことがある。また、埋設したパイプラインを掘り起こしてその位置を測位したり、ピギングを行ったりすることはコストが掛かるため頻繁には行われない。
また、パイプランの形状が既に電子化されていたとしても、パイプラインが軟弱地面の上や凍土の上に建設されている場合には、パイプラインが自身の重みで当初の設置位置から移動してしまっていることがある。さらに、パイプライン建設後に土砂崩れによって、パイプラインの設置位置が変更されることもある。
そのため、電子化されたデータが現状と合わなくなっている場合も起きる。
【0005】
特許文献1では、新たに測位したパイプの位置データが、更新前の位置データから所定距離以上異なっている場合には、更新前の位置データと測位した位置データとの両方を記憶しておき、矛盾が解消されるまでパイプの連結については保留したままにしておくことが記載されている。
【特許文献1】特開2003−223097号公報(特に、段落0012参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したように、現状では、紙の図面に基づいて電子化されたパイプラインの形状は、精度の低いことが多い。また、電子化されたデータが現状と合わなくなっている場合も起きる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、パイプの接続が不連続になってしまうので、パイプラインの形状とパイプの損傷等の位置との整合性が、図面上で保持できないという問題がおきる。
【0007】
そこで、本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、パイプラインのような長距離構造物の保守管理を行うために、その長距離構造物の一部の設置位置について最新の位置情報に更新しつつ、パイプの損傷等の位置関係との整合性も保持する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明における長距離構造物位置管理装置(以降、パイプライン位置管理装置という)は、前記したパイプラインのような長距離構造物の保守管理を行うために、デジタル化された形状の位置に係るデータと、その位置に係る関連データとを関連付けて統合的に扱うことを特徴とする。すなわち、パイプラインの形状の位置データに、パイプ材料、建設情報(パイプの長さ、内径外径、強度等)、腐食情報、陰極保護電位データ等の保守関連情報(属性情報)を関連データとして対応させることが可能である。
【0009】
そして、パイプラインの位置データの変更が一部分について行われることになるので、属性情報は、パイプラインに沿った距離によってパイプラインの形状と対応付けることにする。すなわち、パイプラインに沿った距離と属性情報に係る位置とを整合させる。
そのために、新たに測位したパイプの位置データが測位前の位置データと異なっていた場合には、そのパイプが隣のパイプと連結するように、元のパイプラインの形状の特徴を保持したまま形状の調整を行って、距離と属性情報との整合を図る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長距離構造物の位置および距離を実測値に合わせ、かつパイプの接続を連続させるために、長距離構造物の形状を変更しつつ、属性情報と距離との整合性も保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以降、「実施形態」という)について、適宜図面を用いながら詳細に説明する。
【0012】
本実施形態は、パイプラインを対象とし、更新対象となる区間の実測距離と、データ上の距離を求め、両者が一致しない場合は、形状データの高さ(深さ)方向の形状を修正することで、実測距離に一致させるものであるが、その概要については、以下の通りである。
【0013】
《概要》
まず、本実施形態のパイプライン位置管理装置(図1に示すパイプライン位置管理装置1)において、表示装置(図1に示す出力装置32)に表示されるパイプラインの形状とその形状データとの関連付けについて、図3を用いて説明する。図3は、パイプラインの形状とその形状データとの関連付けを示す図である。
図3に示す曲線(実線)は、本実施形態のパイプライン位置管理装置の記憶部(図1に示す記憶部20)に格納されている電子データに基づいて描かれたパイプラインの形状を表している。本実施形態のパイプライン位置管理装置では、パイプが接続されて構成されるパイプラインのように長手方向の長さに対して幅方向の長さが短い部材が接続されて構成される長距離構造物の形状を線で表し、その線で表された長距離構造物の形状の位置を電子データで表して、電子データを用いて長距離構造物の形状を管理する。
【0014】
そして、パイプラインは、保守管理を行う際に、パイプの中の流体の流れる方向に基づいて、上流側および下流側が決められている。また、本実施形態では、パイプラインの始まりである開始点が、上流側にあるものとする。この開始点は、パイプラインの累積距離を計測するときの測定開始基点(測定基点)である。
パイプには、上流側から、パイプを識別するパイプ番号がN−1,N,N+1のように付けられている。そして、パイプの接続部は、図3では、黒丸(各点A〜E)によって示されている。
各点A〜Eは、平面上の位置(x,y)と、高さ・深さ方向の位置(z)と、パイプラインの開始点からの累積距離(L)と、位置や累積距離が更新された履歴(更新時刻)情報と紐付けられている。
【0015】
また、パイプは、その端点(各点A〜E)の位置(x,y,z)だけでなく、断面図に示すように、パイプの長手方向の屈曲点についても位置(x,y,z)および累積距離(L)が関連付けられている。
したがって、本実施形態のパイプライン位置管理装置では、図3に示すパイプラインを表す実線上の2点をマウス等の入力装置(図1に示す入力装置31)によって位置指定(クリック)すると、その2点間の形状に沿った距離を、線の長さが表す距離に縮尺を加味して算出可能になっているものとする。そして、この2点間の形状に沿った距離を、図形距離と呼ぶことにする。また、図形距離に対して、実測によって得られた距離を、実距離と呼ぶことにする。
【0016】
次に、パイプラインの位置および図形距離を実測値と整合させるために、そのパイプラインの形状を更新し、属性情報と実距離との整合を採るパイプライン位置管理装置の処理の概要について、図4〜図6を用いて説明する。図4は、更新範囲を決定する一例を示す概念図である。図5(a)は、パイプラインの形状を更新する一例を示す概念図であり、(b)は、平面形状を更新する一例を示す概念図であり、(c)は、断面形状を更新する一例を示す概念図である。図6は、属性情報と実距離との整合を採る一例を示す概念図である。
【0017】
まず、現場で収集される更新データについて説明する。
例えば、図3に示すパイプ番号=Nのパイプを掘り起こして、図4に示すように、そのパイプの両端(更新点C1,D1)の位置(x,y)と累積距離(L)とが計測される。なお、累積距離の計測は、現場では、測定開始基点から実測されることは少ない。実際には、パイプライン上に、測定開始基点からの距離を予め測定しておいた点(測定基点)が設けられている。そして、掘り起こしたパイプの端から、最寄の測定基点までの距離が実測される。
【0018】
その例を、図4を用いて説明する。まず、測定基点が各点B,Eであるものとする。なお、測定基点は、図3では各点B,Eはパイプの接続部であるものとして説明したが、必ずしもパイプの接続部である必要はない。
そして、更新点C1における累積距離Lc1は、測定基点Bにおける累積距離に、測定基点Bと更新点C1との間の実測値を加算することによって算出される。また、更新点D1における累積距離Ld1は、測定基点Eにおける累積距離から、測定基点Eと更新点D1との間の実測値を減算することによって算出される。
【0019】
次に、実測結果を入力されたパイプライン位置管理装置における更新処理の概要について、以下に説明する。
はじめに、パイプライン形状の更新範囲の算出について、図4を用いて説明する。
まず、パイプライン位置管理装置は、更新データとして、測定基点B(第1の測定基点)と測定基点E(第2の測定基点)と、測定基点Bと更新点C1との間の実測の距離と、測定基点Eと更新点D1との間の実測の距離と、の入力を受け付ける。
図4に示す平面図では、その受け付けた更新点が白丸によって示されている。次に、パイプライン位置管理装置は、実線上に、測定基点Bから測定基点Bと更新点C1との間の実測の距離だけ離れた対応点C'を特定する。また,パイプライン位置管理装置は、実線上に、測定基点Eから測定基点Eと更新点D1との間の実測の距離だけ離れた対応点D'を特定する。
【0020】
なお、パイプライン位置管理装置は、各測定基点B,Eの入力の代わりに、各更新点C1,D1の累積距離が入力されている場合には、更新点C1の累積距離Lc1を用いて、更新点C1より上流側の測定基点Bを抽出し、また、更新点D1の累積距離Ld1を用いて、更新点D1より下流側の測定基点Eを抽出する。
もしくは、パイプライン位置管理装置は、各測定基点B,Eの入力の代わりに、パイプ番号が入力されている場合には、後記するように、パイプ番号の両端の累積距離をキーとして、各測定基点B,Eを抽出することが可能である。
すなわち、更新範囲は、各測定基点B−Eの区間(図4では、ハッチングを付した区間)であることが決定される。
【0021】
なお、抽出した各測定基点B,Eは、その位置(x,y,z)および累積距離(L)が正しいものとする。このことによって、例えば、更新点C1と更新点D1との間の距離は、測定基点Bと測定基点Eとの間の図形距離から、測定基点Bと更新点C1との間の実測の距離および測定基点Eと更新点D1との間の実測の距離を減算して算出される。
【0022】
次に、パイプライン形状の変更について、図5を用いて説明する。
初めに、パイプライン形状の変更のための前提条件を示しておく。
・前提条件1.更新範囲の形状の変更は、更新前のパイプラインの形状の曲がり方等の特徴を保つように行う。具体的には、更新前の形状に相似な図形が作成される。
・前提条件2.測定基点の位置(x,y,z)は正しいものとする。
・前提条件3.前提条件1に基づいて平面形状を変更した後に、パイプラインの測定開始基点からの累積距離を正しく図形距離に反映するために、断面形状(z軸方向の形状)を変形させる。
【0023】
まず、図5(a)に示すように、更新前図形上で、測定基点Bから測定基点Bと更新点C1との間の実測の距離だけ離れた対応点C'が特定される。また,更新前図形上で、測定基点Eから測定基点Eと更新点D1との間の実測の距離だけ離れた対応点D'が特定される。次に、図5(b)に示すように、平面形状の更新を行う。すなわち、各対応点C’,D’を端点とする更新前図形を縦横座標の平面に射影した平面形状に相似な図形を更新後の平面形状とし、その更新後の平面形状の端点が各更新点C1,D1になるように調整する。これによって、前提条件1に示したように、更新後の平面形状が更新前の平面形状の特徴を承継する。
また、測定基点B(E)と更新点C1(D1)との間についても、更新後の平面形状が、更新前の平面形状に相似な図形となるようにして、更新前の平面形状の特徴を承継させる。
ただし、各更新点C1,D1における高さ・深さ方向の位置については変更しない。
【0024】
次に、更新点C1−D1区間の図形距離(データ上の区間距離)と実距離(実区間距離)との差の絶対値が所定の値ε以下かεより大きいかが判定される。なお、εは、測定誤差に相当する値であり、ゼロ(測定誤差がないもの)としておいても構わない。
そして、図形距離と実距離との差の絶対値が所定の値εより大きいと判定された場合、更新点C1−D1区間の図形距離が実距離より長い場合には、図5(c)の左図のように、凸部および凹部の曲がり角度を大きくし(起伏形状を平坦にし)、図形距離を短くするように(破線のように)変更する。また、更新点C1−D1区間の図形距離が実距離より短い場合には、図5(c)の右図のように、凸部および凹部の曲がり角度を小さくし(起伏形状を強調し)、図形距離を長くするように(破線のように)変更する。
【0025】
なお、測定基点B(E)と更新点C1(D1)との間の形状の変更については、更新後の形状が、更新点C1−D1区間の形状の変更と同様に、更新前の測定基点B(E)と対応点C’(D’)との間の平面形状に相似な図形となるようにして、更新前の形状の特徴を承継させる。その後、高さ・深さ方向の形状が、実距離に等しくなるように調整される。
【0026】
なお、更新点が1点であって、図5に示す点C1だけであった場合について説明する。
この場合には、パイプライン位置管理装置は、更新データとして、測定基点B(第1の測定基点)と測定基点E(第2の測定基点)と、測定基点Bと更新点C1(第1の箇所)との間の実測の距離と、の入力を受け付ける。
次に、パイプライン位置管理装置は、測定基点Bと測定基点Eとの間の図形距離を算出し、測定基点間の図形距離から、測定基点Bと更新点C1との間の実測の距離を減算して、その結果の値だけ、測定基点Eから測定基点B方向に離れた対応点C’を特定する。
そして、測定基点Bと更新点C1との間の形状の変更については、更新後の形状が、更新前の測定基点Bと対応点C’との間の平面形状に相似な図形となるようにして、更新前の形状の特徴を承継させる。その後、高さ・深さ方向の形状が、実距離に等しくなるように調整される。
また、測定基点Eと更新点C1との間の形状の変更についても、測定基点Bと更新点C1との間の形状の変更と同様に、更新後の形状が、更新前の測定基点Eと対応点C’との間の平面形状に相似な図形となるようにして、更新前の形状の特徴を承継させる。その後、高さ・深さ方向の形状が、実距離に等しくなるように調整される。
【0027】
次に、属性情報の位置更新の概要について、図6を用いて説明する。図6は、属性情報の位置更新の概要を示す図である。
図6に示すように、パイプラインの上流側から、パイプ番号=N−1、パイプ番号=N、パイプ番号=N+1、・・のようにパイプが接続されているものとする。そして、パイプ番号=Nのパイプが掘り起こされて、そのパイプの端点が計測されたものとする。その際、更新点C1(第1の箇所)の累積距離がLc1であり、更新前の点C(第1の箇所に対応する元の箇所)の累積距離Lcと異なることが判明したとする。
【0028】
この場合、まず、この累積距離の差分が有意であるか否かが式(1)によって判定される。そして、式(1)を満足していれば、更新点C1以降の累積距離が全て、差分(=Lc1-Lc)を加算する補正を行う。
累積距離の差分>∫{Err(x)・P(x)}dx ・・式(1)
ただし、積分範囲は、標準偏差−σ〜+σであり、P(x)は誤差発生確率密度関数であり、ガウス分布である。また、Err(x)は、距離計測値の平均誤差である。
【0029】
《第1実施形態》
次に、第1実施形態におけるパイプライン位置管理装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、第1実施形態におけるパイプライン位置管理装置の構成を示す図である。
図1に示すように、パイプライン位置管理装置1は、制御部10、記憶部20、入出力部30、通信部40によって構成される。
【0030】
制御部10は、前記した概要で説明した処理を実行する。また、制御部10は、各部(20,30,40)の制御および各部間のデータ送受信を司る。
また、制御部10は、演算処理等を実行する図示しないCPU(Central Processing Unit)と、このCPUが演算処理等に用いる図示しないメインメモリとによって構成される。そして、制御部10は、アプリケーションプログラムがメインメモリに展開され、CPUが、それを実行することにより、種々の機能を具現化する。メインメモリは、RAM(Random Access Memory)等により実現される。
【0031】
記憶部20は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置によって実現され、パイプライン形状の位置情報や属性情報を記憶している。
入出力部30は、パイプライン位置管理装置1に接続される入力装置31(キーボードやマウス等)からの情報を受け付け、出力装置32(液晶モニタ等)に処理結果や入力を促すメッセージ等を出力する。
通信部40は、ネットワーク50に接続されている図示しない装置と通信するときの信号の入出力を制御する。
【0032】
次に、パイプライン位置管理装置の機能について、図2を用いて説明する。図2は、パイプライン位置管理装置の機能を示す図である。
制御部10の機能は、各部104〜114に展開される。また、記憶部20には、各データベース101〜103が格納される。
以下に、各データベース101〜103および各部104〜114の機能について、説明する。
【0033】
パイプライン形状データベース101は、制御部10によって作成されたパイプライン形状および測定基点を記憶している。ここで、パイプライン形状データベースの詳細について、図7を用いて説明する。図7は、パイプライン形状データベースの一例を示す図である。
図7に示すように、パイプライン形状データベースは、位置を識別する位置IDごとに、位置情報(x,y,z)、更新時刻および累積距離(L)が関連付けられている。
位置IDは、パイプの接続部(図7では、B,C,C1)やパイプの屈曲点(図7では、Bh1,Bh2,Bh3)を識別する情報である。なお、パイプの屈曲点は、平面形状や高さ・深さ方向の形状において曲がっている位置を意味している。また、屈曲点は、形状をベクトルで表示する場合には、そのベクトルの始点または終点に相当する。
また、位置IDは、過去の履歴が管理可能なように、更新前の位置IDと更新後の位置IDとが関連付けられるように記録されている。例えば、図7の下から2行目には、更新前の点Cが更新後に点C1となっていることによって関連付けられている。
【0034】
図2に戻って、更新データベース102は、新たに実測されたパイプの接続部の位置(x,y)と、測定基点からその位置までの実測の距離とを更新データとして格納する。更新データは、位置の座標および実測の距離以外に、パイプライン名称および更新時刻も関連付けられている。
【0035】
パイプライン属性データベース103は、パイプラインの材料、建設情報、腐食情報、陰極保護電位、写真などの属性情報を格納している。ここで、パイプライン属性データベース103の詳細について、図8を用いて説明する。図8は、パイプライン属性データベースの一例を示す図である。
図8に示すように、パイプライン属性データベース103は、パイプライン名称、更新時間、更新距離、および属性情報ごとにパイプの始点距離・終点距離または累積距離を記憶している。
【0036】
例えば、属性情報ごとのデータテーブルは、区間データテーブル321、建設データテーブル331、腐食データテーブル341等である。
区間データテーブル321は、パイプ番号とそのパイプの始点距離および終点距離とを記憶している。
建設データテーブル331は、始点距離と、終点距離と、建設情報(パイプの材料、強度、内径外径等)とを記憶している。
腐食データテーブル341は、腐食位置の累積距離とその腐食情報とを記憶している。
【0037】
そして、属性情報の累積距離を更新する場合には、以下のようにして行う。
いま、パイプ番号=Nのパイプの始点距離が実測により増加していることが判明したとする。すなわち、更新前の始点距離が423610.7mから更新後の始点距離が423612.5mになったとする。
この場合、区間データテーブル321では、パイプ番号をキーとして検索され、パイプ番号=Nの始点距離が特定される。そして、更新後の区間データテーブル322の破線で囲まれた領域323に示すように、パイプ番号N以降の始点距離および終点距離が全て差分(1.8m=423612.5m-423610.7m)だけ変更される。
【0038】
また、建設データテーブル331では、始点距離をキーとして検索され、該当する始点距離が特定される。そして、更新後の建設データテーブル332の破線で囲まれた領域333に示すように、該当する始点距離および終点距離が全て差分(1.8m=423612.5m-423610.7m)だけ変更される。
【0039】
また、腐食データテーブル341では、累積距離が423610.7m以上となるものが特定される。そして、更新後の腐食データテーブル342の破線で囲まれた領域343に示すように、該当する累積距離が全て差分(1.8m=423612.5m-423610.7m)だけ変更される。
【0040】
図2に戻って、形状更新範囲検索部104は、更新データベース102に記載された更新データに基づいて、更新点の上流側および下流側の測定基点を更新範囲として特定する。そして、形状更新範囲検索部104は、更新範囲に含まれる対応点、接続点、屈曲点の位置や累積距離を取得する。
【0041】
測定基点取得部105は、更新データに含まれる測定基点(図4では、各点B,E)の位置および累積距離を取得する。
また、測定基点取得部105は、更新データに各測定基点B,Eに係る情報の代わりに累積距離の入力がある場合には、更新点C1の累積距離Lc1を用いて、更新点C1より上流側の測定基点Bを抽出し、また、更新点D1の累積距離Ld1を用いて、更新点D1より下流側の測定基点Eを抽出する。
もしくは、測定基点取得部105は、更新データに各測定基点B,Eに係る情報の代わりにパイプ番号の入力がある場合には、パイプライン属性データベース103を参照して、パイプ番号をキーとして、各更新点の累積距離を特定し、測定基点を抽出する。
【0042】
内側形状更新部106は、更新点の位置と、実測の距離と、測定基点の位置と、更新範囲内の形状の位置および累積距離とを用いて、図5(b)に示す更新点C1−D1間の形状を作成する。なお、更新点が1つの場合は、内側形状更新部106における処理は実行されない。
【0043】
両側形状更新部107は、更新点の位置と、実測の距離と、測定基点の位置と、更新範囲内の形状の位置および累積距離とを用いて、測定基点と更新点との間の形状を作成する。具体的には、図5(a)に示す、測定基点B−更新点C1間の形状、および更新点D1−測定基点E間の形状を更新する。
図形距離計算部108は、パイプラインの形状の位置の座標の数値を用いて、指定した2点間の図形距離を算出する。
【0044】
座標間距離判定部109は、更新点間または更新点−測定基点間について、図形距離計算部108によって算出した図形距離と、累積距離取得部111によって更新データベース102から取得された累積距離から算出された実距離との差の絶対値が所定の値以下かそうでないかを判定する。なお、所定の値は、ゼロであっても構わない。
【0045】
高さ方向距離調整部110は、更新点間または更新点−測定基点間について、座標間距離判定部109によって図形距離と実距離との差の絶対値が所定の値より大きいと判定された場合に、図形距離計算部108を介して取得した更新図形の位置の座標の数値を用いて、高さ・深さ方向(z軸)に形状を変更して、高さ・深さ方向(z軸)に形状の調整を行う。具体的には、高さ方向距離調整部110は、高さ・深さ方向(z軸)に形状の変更を、その変更後の図形距離と実距離とを比較し、その差の絶対値が所定の値以下になるまで繰り返す。
【0046】
累積距離取得部111は、更新データベース102から更新点の累積距離を取得し、測定基点取得部105から測定基点の累積距離を取得する。
形状更新ログ生成部112は、更新図形を生成して確定したパイプライン形状データについて更新履歴を作成する。例えば、形状更新ログ生成部112は、図7に示すように、「更新前」の位置IDおよび更新時間によって履歴を作成する。
パイプライン形状登録部113は、更新図形のパイプライン形状データをパイプライン形状データベース101(図7参照)に登録する。
【0047】
属性データ生成・更新部114は、図7に示すパイプライン形状データ101を参照して、累積距離取得部111によって取得された更新点の実距離と、その更新点に対応する更新前の点の累積距離を抽出し、その実距離と更新前の累積距離とが異なっているか否かを判定する。そして、属性データ生成・更新部114は、更新点の実距離が更新前の累積距離と異なっていると判定した場合、この更新点から下流の接続点について、更新点の実距離から更新前の累積距離を減算した差分を伝播させて、パイプライン属性データベース103(図8参照)を更新する。
【0048】
次に、パイプライン形状データの更新および属性情報の累積距離の更新を行う処理の流れについて、図9を用いて説明する(適宜図1、図2、図7、図8参照)。図9は、パイプライン形状データの更新および属性情報の累積距離の更新を行う処理の流れを示す図である。
【0049】
ステップS501では、パイプライン位置管理装置1は、現場でのパイプラインのパイプの掘り返し等によって取得したパイプの接続部の位置座標および距離に係る更新データを取得する。位置座標は、例えば、GPS(Global Positioning System)によって測位される。また、実測の距離は、パイプラインの測定開始基点から所定の距離に設置される測定基点から、オドメータにより実測される。そして、更新データは、ネットワーク50(図1参照)を経由して通信部40を介して取得される、または、入力装置31(図1参照)から入力される。そして、取得または入力された更新データは、更新データベース102(図2参照)に格納される。
【0050】
ステップS502では、形状更新範囲検索部104が、更新データベース102に記載された更新データに基づいて、更新点の上流側および下流側の測定基点を更新範囲として特定し、更新範囲に含まれる対応点、測定基点、屈曲点の位置や距離を取得する。
ステップS503では、測定基点取得部105は、測定基点の位置および累積距離を取得する。
【0051】
ステップS504では、更新データベース102に記載された更新点が、2点以上か否かが判定される。
【0052】
更新点が2点以上である場合(ステップS504でYes)、ステップS505では、内側形状更新部106は、更新点の位置と、実測の距離と、測定基点の位置および累積距離と、更新範囲内の形状の位置および累積距離とを用いて、図5(b)に示す更新点C1−D1間の形状を作成する。
また、更新データが2点以上でない場合(ステップS504でNo)、例えば、更新点が独立した1点(パイプの片端のもの)である場合には、処理は、ステップS506に進む。
【0053】
ステップS506では、両側形状更新部107が、更新範囲内の形状の位置および実測の距離を用いて、測定基点と更新点との間の形状を作成する。具体的には、図5(a)に示す、測定基点B−更新点C1間の形状、および更新点D1−測定基点E間の形状を更新する。
【0054】
ステップS507では、図形距離計算部108は、パイプラインの形状の位置の座標の数値を用いて、指定した2点間の図形距離を算出する。例えば、図形距離計算部108は、表示装置32に表示されているパイプライン形状の2点をマウスで選択(クリック)すると、その2点間の図形距離を算出する。
そして、座標間距離判定部109は、更新点間または更新点−測定基点間について、図形距離計算部108によって算出した図形距離と、実距離との差の絶対値が所定の値以下かそうでないかを判定する。
【0055】
更新した図形の図形距離と実距離との差の絶対値が所定の値以下でない場合(ステップS507でNo)、ステップS508では、高さ方向距離調整部110は、更新点間または更新点−測定基点間について、座標間距離判定部109によって図形距離と実距離との差の絶対値が所定の値より大きいと判定された場合に、図形距離計算部108を介して取得した更新図形の位置の座標の数値を用いて、高さ・深さ方向(z軸)に形状を変更して、高さ・深さ方向(z軸)に形状の調整を行う。具体的には、図5(c)に示す断面形状更新を行って、実距離がパイプライン形状データに反映されるように処理される。
また、更新した図形の図形距離と実距離との差の絶対値が所定の値以下である場合(ステップS507でYes)、処理は、ステップS509へ進む。
【0056】
ステップS509では、形状更新ログ生成部112は、更新図形を生成して確定したパイプライン形状データについて更新履歴を作成する。そして、パイプライン形状登録部113は、更新図形のパイプライン形状データをパイプライン形状データベース101(図7参照)に登録する。
【0057】
ステップS510では、属性データ生成・更新部114は、図7に示すパイプライン形状データ101を参照して、累積距離取得部111によって取得された更新点の累積の実距離と、その更新点に対応する更新前の点の累積の距離を抽出し、その実距離と更新前の距離とが異なっているか否かを判定する。
更新点の実距離が更新前の距離と異なっていると判定した場合、(ステップS510でYes)、ステップS511では、属性データ生成・更新部114は、この更新点から下流の接続点について、更新点の実距離から更新前の距離を減算した差分を伝播させて、パイプライン属性データベース103(図8参照)を更新する。
更新点の実距離が更新前の距離と異ならないと判定した場合(ステップS510でNo)、処理は終了する。
【0058】
ここで、図9のステップS508における高さ・深さ方向の形状の変更の詳細について、(i)測定基点と更新点との間の場合および(ii)更新点間の場合、に分けて、以下に説明する(適宜図5(a)参照)。
【0059】
(i)測定基点B−更新点C1間および測定基点E−更新点D1間の場合
式(1)の右辺の値をεとして、式(2)を満たす場合、ステップS508を終了する。すなわち、式(2)は、平面形状を更新した図形の図形距離と実距離との差分が、測定誤差εの範囲内であること(統計的に有意でないこと)を表している。
【0060】
【数1】


ただし、
q:測定基点B(E)から更新点C1(D1)までの図形距離
Q:測定基点B(E)から更新点C1(D1)までの実距離
w:測定基点B(E)から対応点C’(D’)までの図形距離
W:測定基点B(E)から更新点C1(D1)までの実距離
【0061】
また、式(3)を満足する場合、各測定基点B,Eおよび各対応点C’,D’における高さ・深さは正しいものとして固定して、高さ・深さ方向の形状を変更する。なお、高さ・深さの調整は、式(2)を満足するまで行われる。
【0062】
【数2】

【0063】
(ii)更新点C1−更新点D1間の場合
式(1)の右辺の値をεとして、式(4)を満たす場合、ステップS508を終了する。すなわち、式(4)は、平面形状を更新した図形の図形距離と実距離との差分が、測定誤差εの範囲内であること(統計的に有意でないこと)を表している。
【0064】
【数3】


ただし、
e:測定基点Bから測定基点Eまでの更新前の図形距離
0:測定基点Bから対応点C’までの更新前の図形距離
1:測定基点Eから対応点D’までの更新前の図形距離
E:測定基点Bから測定基点Eまでの更新後の実距離
0:測定基点Bから更新点C1までの実距離
1:測定基点Eから更新点D1までの実距離
w:対応点C’から対応点D’までの図形距離
W:測定基点C1から更新点D1までの実距離
【0065】
また、式(5)を満足する場合、各対応点C’,D’における高さ・深さは正しいものとして、高さ・深さ方向の形状を変更する。なお、高さ・深さの調整は、式(4)を満足するまで行われる。
【0066】
【数4】

【0067】
ここで、高さ・深さ方向の形状の変更方向と、式(3)および式(5)との関係を、図10を用いて説明する。図10は、高さ・深さ方向の形状の変更方向を示す図である。
図10の左側上下の図は図形距離が実距離より大きい場合であって、折れ曲がり点における断面が下に凸の場合は、浅くなる方向に変更し、上に凸の場合は、深くなる方向に変更して、図形距離を短くする修正を行う。
また、図10の右側上下の図は図形距離が実距離より小さい場合であって、折れ曲がり点における断面が下に凸の場合は、深くなる方向に変更し、上に凸の場合は、浅くなる方向に変更して、図形距離を長くする修正を行う。
【0068】
(変形例1)
なお、前記した「(ii)更新点C1−更新点D1間の場合の高さ・深さ方向の形状の変更」において、実測が、上流側の測定基点Bからしか行われなかった場合について説明する。
式(1)の右辺の値をεとして、式(6)を満たす場合、ステップS508を終了する。すなわち、式(6)は、平面形状を更新した図形の図形距離と実距離との差分が、測定誤差εの範囲内であること(統計的に有意でないこと)を表している。
【0069】
【数5】


ただし、
e:測定基点Bから測定基点Eまでの更新前の図形距離
2:測定基点Bから対応点C’までの更新前の図形距離
3:測定基点Eから対応点D’までの更新前の図形距離(=e−Q2−Q3
2:測定基点Bから更新点C1までの実距離
3:更新点C1から更新点D1までの実距離
w:対応点C’から対応点D’までの図形距離
W:更新点C1から更新点D1までの実距離
【0070】
また、式(7)を満足する場合、各対応点C’,D’における高さ・深さは正しいものとして固定し、高さ・深さ方向の形状を変更する。なお、高さ・深さの調整は、式(6)を満足するまで行われる。
【0071】
【数6】

【0072】
(変形例2)
なお、前記した「(ii)更新点C1−更新点D1間の場合の高さ・深さ方向の形状の変更」において、実測が、下流側の測定基点Eからしか行われなかった場合について説明する。
式(1)の右辺の値をεとして、式(8)を満たす場合、ステップS508を終了する。すなわち、式(8)は、平面形状を更新した図形の図形距離と実距離との差分が、測定誤差εの範囲内であること(統計的に有意でないこと)を表している。
【0073】
【数7】


ただし、
e:測定基点Bから測定基点Eまでの更新前の図形距離
4:測定基点Bから対応点C’までの更新前の図形距離(=e−Q4−Q5
5:測定基点Eから対応点D’までの更新前の図形距離
4:測定基点Eから更新点D1までの実距離
5:更新点D1から更新点C1までの実距離
w:対応点C’から対応点D’までの図形距離
W:測定基点C1から更新点D1までの実距離
【0074】
また、式(9)を満足する場合、各対応点C’,D’における高さ・深さは正しいものとして固定し、高さ・深さ方向の形状を変更する。なお、高さ・深さの調整は、式(8)を満足するまで行われる。
【0075】
【数8】

【0076】
ここで、高さ・深さ方向の形状の変更方向と、式(7)および式(9)との関係を、図11を用いて説明する。図11は、高さ・深さ方向の形状の変更方向を示す図である。
図11の左側上下の図は図形距離が実距離より大きい場合であって、折れ曲がり点における断面が下に凸の場合は、浅くなる方向に変更し、上に凸の場合は、深くなる方向に変更して、図形距離を短くする修正を行う。
また、図11の右側上下の図は図形距離が実距離より小さい場合であって、折れ曲がり点における断面が下に凸の場合は、深くなる方向に変更し、上に凸の場合は、浅くなる方向に変更して、図形距離を長くする修正を行う。
【0077】
以上、第1実施形態および各変形例に係るパイプライン位置管理装置1(図1参照)は、パイプラインの位置情報が部分的に変更になる場合、パイプラインの位置および距離を実測値に合わせるためにそのパイプラインの形状を変更し、属性情報と距離との整合を採ることが可能となる。
すなわち、部分的に新しく測位されたパイプライン形状のデータを、既設のパイプライン形状データに適用する場合、まず、平面図の位置について実測値が反映される。次に、高さ・深さ方向を調整して実距離に整合するようにしている。そのため、属性情報と位置との関係に矛盾を起こすことがない。
【0078】
また、第1実施形態および各変形例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。
例えば、各更新点C1,D1間に、パイプが複数連結されていても、第1実施形態および各変形例において説明した形状の更新処理と同様の処理を用いることが可能である。
また、更新データベース102に格納されるデータは、更新前の図形の位置データと異なると判定されたもののみに制限すると、図9に示す処理を省略することができ、計算コストの低減に役立つ。
また、更新点の累積距離は、必ずしもパイプラインの測定開始基点から測られるのではなく、パイプラインの途中に設置される測定基点から測定されてもよい。その場合には、その測定基点の累積距離に実測の距離を加算して、更新点の累積距離としてもよい。
【0079】
《第2実施形態》
第2実施形態では、パイプラインのような長距離構造物では、パイプラインの管理区間を2以上に分けて、管理区間だけを管理する下位管理センタと、複数の下位管理センタを統括する統括管理センタとによって管理される場合について説明する。第2実施形態におけるパイプラインの形状の変更および属性情報と距離との整合を実行するパイプライン位置管理システムの構成について、図12を用いて説明する。図12は、第2実施形態におけるパイプライン位置管理システムの構成を示す図である。
【0080】
図12に示すように、パイプラインは、パイプラインの管理境界850において、各管理区間851,852に分けられている。そして、管理区間851のパイプラインの位置および属性情報の距離値に係る情報は、データ収集されて、下位管理センタに設置されているパイプライン位置管理装置811によって受け付けられる。また、管理区間852のパイプラインの位置および属性情報の距離値に係る情報は、データ収集されて、下位管理センタに設置されているパイプライン位置管理装置821によって受け付けられる。
なお、収集したデータは、通信によって受け付けられても、手入力によって受け付けられても構わない。
【0081】
各パイプライン位置管理装置811,821は、ネットワーク830を介して、統括管理センタに設置されているパイプライン位置管理装置801と通信可能に接続されている。そして、パイプライン位置管理装置801は、各パイプライン位置管理装置811,821から取得したパイプラインの位置および属性情報の距離値に係る情報を用いて、更新形状の位置と累積距離とを算出し、更新形状における管理境界850の位置および累積距離を算出する。次に、パイプライン位置管理装置801は、その算出結果を管理区間851,852ごとに対応する情報に分割し、その分割した情報をそれぞれの管理区間851,852を管理する各パイプライン位置管理装置811,821に送信する。また、パイプライン位置管理装置801は、算出したパイプラインの形状の位置と累積距離と管理境界850の位置および累積距離を記憶部に記憶する。
【0082】
そして、各パイプライン位置管理装置811,821は、受信した情報に含まれる更新形状の位置と累積距離と管理する該当管理区間851,852の更新形状における管理境界850の位置および累積距離に係る情報と、自身の記憶部に記憶してある管理対象となる管理区間のパイプラインの形状の位置と累積距離と当該管理区間851,852の管理境界850の位置および累積距離に係る情報とを比較して、比較結果が相違する情報を受信した情報に更新する。
【0083】
前記したように、第2実施形態におけるパイプライン位置管理装置801は、パイプラインの位置情報や更新すべき累積距離を管理区間851,852ごとの情報に分割する機能を有している点において、第1実施形態におけるパイプライン位置管理装置1とは異なる。しかし、その分割に係る機能以外については、各パイプライン位置管理装置801,811,821の構成および機能は、第1実施形態において説明したパイプライン位置管理装置1の構成および機能と同様であるので、図示を省略し、第1実施形態と同様の機能については説明を省略する。
【0084】
パイプライン位置管理システム2の処理の流れについて、図13を用いて説明する(適宜図12参照)。図13は、パイプライン位置管理システムの処理の流れを示す図である。
ステップS1001では、下位管理センタのパイプライン位置管理装置811(821)は、自身の管理区間851(852)の更新データを取得する。
そして、ステップS1002では、パイプライン位置管理装置811(821)は、第1実施形態における処理と同様に、管理区間851(852)内のパイプラインの形状の位置の更新および累積距離の更新の双方またはいずれか一方を行う。すなわち、更新する必要のある処理が実行される。
次に、ステップS1003では、パイプライン位置管理装置811(821)は、更新データを統括管理センタのパイプライン位置管理装置801に送信する。
【0085】
ステップS1004では、パイプライン位置管理装置801は、パイプライン位置管理装置811(821)から更新データを受信する。
ステップS1005では、パイプライン位置管理装置801は、第1実施形態における処理と同様に、管理区間851(852)内のパイプラインの形状の位置の更新および累積距離の更新の双方またはいずれか一方を行う。すなわち、更新する必要のある処理が実行される。
【0086】
そして、ステップS1006では、パイプライン位置管理装置801は、処理した結果に管理境界850を含むか否かが判定される。この判定の詳細については後記する。
管理境界を含む場合(ステップS1006でYes)、ステップS1007では、パイプライン位置管理装置801は、管理境界850における形状の位置およびを作成する。
管理境界を含まない場合(ステップS1006でNo)、処理は、ステップS1008へ進む。
【0087】
次に、ステップS1008では、パイプライン位置管理装置801が、管理区間851(852)ごとに、パイプライン形状データおよび累積距離に係る情報の双方またはいずれか一方を送信する。なお、パイプラインの形状の位置および/または累積距離に係る情報を送信するのは、管理境界850おける情報を含む場合だけであっても構わない。
ステップS1009では、パイプライン位置管理装置811(821)が、自身の管理する管理区間851(852)に対応する、パイプラインの形状の位置および累積距離に係る情報の双方またはいずれか一方を受信する。
【0088】
ステップS1010では、パイプライン位置管理装置811(821)は、受信した情報と、ステップS1002において自身によって算出した処理結果とを比較し、管理区間851(852)内の情報に変更が有るか無いかを判定する。例えば、管理区間851(852)内の情報に変更が有る場合とは、受信した情報と自身によって算出した処理結果との間に相違がある場合である。
管理区間内の情報に変更が有る場合(ステップS1010でYes)、ステップS1011では、パイプライン位置管理装置811(821)は、自身によって算出した処理結果を受信した情報に含まれる形状の位置および累積距離の中の相違するデータに更新する。そして、処理は終了する。
また、管理区間内の情報に変更が無い場合(ステップS1010でNo)も、処理は終了する。
【0089】
ここで、更新後の管理境界の設定について、図14を用いて説明する。図14は、更新後の管理境界の設定について示す図である。
図14に示した各点C1,D1,C’,D’は、図5(a)に示した各点と同じものである。そして、更新前図形における各対応点C'−D’間の図形距離をKとし、対応点C’(または対応点D’)と更新前の管理境界点901との間の図形距離をkとする。そして、更新点C1(または更新点D1)と更新後の管理境界点902との図形距離は、各更新点C1−D1間の図形距離をJとするとき、J×k/Kとして算出されるものとする。
そして、パイプライン位置管理装置801は、更新図形から、更新後の管理境界点902におけるパイプライン形状の位置および属性情報の距離値の双方またはいずれか一方を読み取って、更新後の管理境界点902のデータを作成する。
【0090】
以上、第2実施形態に係るパイプライン位置管理システム2(図12参照)は、パイプラインの管理区間が2以上に分かれている場合において、各管理区間851,852の更新データを収集して管理する下位管理センタに設置される各パイプライン位置管理装置811,821と、それらを統括する統括管理センタに設置されるパイプライン位置管理装置801とによって構成される。そして、各パイプライン位置管理装置811,821は、自身の管理区間851,852のパイプラインの形状の位置および/または累積距離の更新を行う。また、パイプライン位置管理装置801は、管理境界850に跨る更新データについても演算処理を行って、その処理結果を該当する管理区間851,852を管理する各パイプライン位置管理装置811,821に送信する。そして、各パイプライン位置管理装置811,821は、受信した処理結果を、自身の管理しているデータに反映する。
【0091】
このようにして、パイプライン位置管理システム2は、パイプラインの形状の位置の更新と累積距離の更新があった場合でも、管理境界850を跨る区間におけるパイプラインの形状の位置および累積距離に係る変更は上位のパイプライン位置管理装置801で処理し、その処理結果を下位のパイプライン位置管理装置811,821に反映させて、全体的な整合性を取ることが可能となる。また、属性情報は累積距離をキーとして管理されているため、累積距離の更新のみでパイプラインの形状との整合性が維持される。
【0092】
以上、第2実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。
例えば、図12では、管理区間を2、下位管理センタを2として記載しているが、3以上であっても構わない。さらに、統括管理センタの下には下位管理センタを1階層しか記載していないが、2以上の階層としても、第2実施形態と同様の処理が適用可能である。
また、図13に示すステップS1006において、各パイプライン位置管理装置801,811,821は、管理区間850を跨るパイプには、それを識別するフラグを付しておき、その両端の位置の座標またはパイプ番号(図8参照)と関連付けて記憶しておくことにより、ステップS1003において更新データを送信する際、あるいはステップS1008において管理区間851,852ごとにパイプラインの形状の位置および/または累積距離に係る情報を送信する際に、そのフラグを付加して、管理境界850を含むデータの存在を伝達するようにしてもよい。
【0093】
なお、各実施形態において、パイプライン位置管理装置1(図1参照)の各部の処理について説明したが、これらの処理は、パイプライン位置管理装置1をコンピュータで実現したときに搭載されるプログラムによって実現されてもよい。このプログラムは、通信回線を介して提供することもできるし、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0094】
(相似な図形の処理について)
図5(b)に示す平面形状更新における、相似な図形の処理について、図15を用いて説明する。図15は、相似な図形の処理について説明する。
図15に示すように、上図が更新前図形であり、下図が更新図形である。上図において、対応点C’と対応点D’とを通る直線の対応点間の長さをU0とする。そして、対応点C’と対応点D’とを通る直線に更新前図形上の点から下ろした垂線の長さをH、その垂線と直線との交点と対応点C’との間の長さをUとする。同様に、下図において、更新点C1と更新点D1とを通る直線の更新点間の長さをu0とする。そして、更新点C1と更新点D1とを通る直線に更新図形上の点から下ろした垂線の長さをh、その垂線と直線との交点と更新点C1との間の長さをuとする。
そして、それぞれの長さの間に、式(10)のような関係となるようにして、更新前図形から更新図形を作成する。
【0095】
【数9】

【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1実施形態におけるパイプライン位置管理装置の構成を示す図である。
【図2】パイプライン位置管理装置の機能を示す図である。
【図3】パイプラインの形状とその形状データとの関連付けを示す図である。
【図4】更新範囲を決定する一例を示す概念図である。
【図5】(a)は、パイプラインの形状を更新する一例を示す概念図であり、(b)は、平面形状を更新する一例を示す概念図であり、(c)は、断面形状を更新する一例を示す概念図である。
【図6】属性情報と実距離との整合を採る一例を示す概念図である。
【図7】パイプライン形状データベースの一例を示す図である。
【図8】パイプライン属性データベースの一例を示す図である。
【図9】パイプライン形状データの更新および属性情報の累積距離の更新を行う処理の流れを示す図である。
【図10】高さ・深さ方向の形状の変更方向を示す図である。
【図11】高さ・深さ方向の形状の変更方向を示す図である。
【図12】第2実施形態におけるパイプライン位置管理システム構成を示す図である。
【図13】パイプライン位置管理システムの処理の流れを示す図である。
【図14】更新後の管理境界の設定について示す図である。
【図15】相似な図形の処理について説明する。
【符号の説明】
【0097】
1 パイプライン位置管理装置
2 パイプライン位置管理システム
10 制御部(処理部)
20 記憶部
101 パイプライン形状データベース
102 更新データベース
103 パイプライン属性データベース
104 形状更新範囲検索部
105 測定基点取得部
106 内側形状更新部
107 両側形状更新部
108 図形距離計算部
109 座標間距離判定部
110 高さ方向距離調整部
111 累積距離取得部
112 形状更新ログ生成部
113 パイプライン形状登録部
114 属性データ生成更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長距離構造物の位置を管理する長距離構造物の位置管理装置において、
前記長距離構造物の位置管理装置は、記憶部と、演算部とを備え、
前記記憶部は、
前記長距離構造物の各箇所の位置を縦横高さ方向の3次元の座標データとして記憶するとともに、前記長距離構造物の距離のデータと形状のデータとを記憶する長距離構造物の形状データベースを予め備えており、
前記演算部は、
更新対象となる区間における、実測値から求めた実区間距離と、前記形状データベースから求めたデータ上の区間距離とを比較し、
前記実区間距離よりも前記データ上の区間距離の方が長い場合は、前記形状データベースにおける該当区間の形状のデータの上下方向の起伏形状を平坦化するように当該区間のデータを修正することでデータ上の区間距離を短くして、前記実区間距離と前記データ上の区間距離とが同じになるように修正し、
前記実区間距離よりも前記データ上の区間距離の方が短い場合は、前記形状データベースにおける該当区間の形状のデータの上下方向の起伏形状を強調化するように当該区間のデータを修正することでデータ上の区間距離を長くして、前記実区間距離と前記データ上の区間距離とが同じになるように修正し、
前記修正したデータを用いて、前記形状データベースを更新すること
を特徴とする長距離構造物の位置管理装置。
【請求項2】
前記長距離構造物には、適宜箇所に、当該長距離構造物の距離の基点となる測定基点が設定されており、
前記形状データベースには、前記測定基点の各座標データと各測定基点の間の距離とが予め記憶されており、
前記更新対象となる区間が、前記測定基点のうちの2点である第1の測定基点と第2の測定基点との間に位置する、前記第1の測定基点寄りの第1の箇所と前記第2の測定基点寄りの第2の箇所とで区切られる区間であるときにおいて、
前記演算部は、
前記第1の測定基点および前記第2の測定基点を指示する入力と、前記第1の測定基点から前記第1の箇所の間の実測の距離である第1の実距離の入力と、前記第2の測定基点から前記第2の箇所の間の実測の距離である第2の実距離の入力とを、入力部を介して受け付ける処理と、
前記形状データベースを参照して、前記第1の測定基点から前記第1の実距離だけ離れた前記第1の箇所に対応するデータ上の第1の箇所を特定し、
前記形状データベースを参照して、前記第2の測定基点から前記第2の実距離だけ離れた前記第2の箇所に対応するデータ上の第2の箇所を特定し、
前記形状データベースを参照して、前記特定したデータ上の第1の箇所から前記特定したデータ上の第2の箇所までの間のデータ上の距離を算出して、その結果の値を、前記データ上の区間距離とする処理と、
前記形状データベースを参照して、前記第1の測定基点から前記第2の測定基点までの間の測定基点間のデータ上の距離を算出し、
前記算出した測定基点間のデータ上の距離から、前記第1の実距離と前記第2の実距離とを減算して、その結果の値を、前記実測値から求めた実区間距離とする処理と、
を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の長距離構造物の位置管理装置。
【請求項3】
前記長距離構造物には、適宜箇所に、当該長距離構造物の距離の基点となる測定基点が設定されており、
前記形状データベースには、前記測定基点の各座標データと各測定基点の間の距離とが予め記憶されており、
前記更新対象となる区間が、前記測定基点のうちの2点である第1の測定基点と第2の測定基点との間に位置する、前記第1の測定基点寄りの第1の箇所と前記第2の測定基点寄りの第2の箇所とで区切られる区間であるときにおいて、
前記演算部は、
前記第1の測定基点および前記第2の測定基点を指示する入力と、前記第1の測定基点から前記第1の箇所の間の実測の距離である第1の実距離の入力と、前記第1の箇所から前記第2の箇所の間の実測の距離である第2の実距離の入力とを、入力部を介して受け付ける処理と、
前記形状データベースを参照して、前記第1の測定基点から前記第1の実距離だけ離れた前記第1の箇所に対応するデータ上の第1の箇所を特定し、
前記形状データベースを参照して、前記第1の測定基点から前記第2の測定基点までの間の測定基点間のデータ上の距離を算出し、
前記算出した測定基点間のデータ上の距離から、前記第1の実距離と前記第2の実距離とを減算した距離して第3の距離を算出し、
前記形状データベースを参照して、前記第2の測定基点から前記第3の実距離だけ離れた前記第2の箇所に対応するデータ上の第2の箇所を特定し、
前記形状データベースを参照して、前記特定したデータ上の第1の箇所から前記特定したデータ上の第2の箇所までの間のデータ上の距離を算出して、その結果の値を、前記データ上の区間距離とする処理と、
前記第2の実距離を、前記実測値から求めた実区間距離とする処理と、
を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の長距離構造物の位置管理装置。
【請求項4】
前記長距離構造物には、適宜箇所に、当該長距離構造物の距離の基点となる測定基点が設定されており、
前記形状データベースには、前記測定基点の各座標データと各測定基点の間の距離とが予め記憶されており、
前記更新対象となる区間が、前記測定基点のうちの2点である第1の測定基点および第2の測定基点の間に位置する第1の箇所と前記第1の測定基点とで区切られる区間であるときにおいて、
前記演算部は、
前記第1の測定基点および前記第2の測定基点を指示する入力と、前記第1の測定基点から前記第1の箇所の間の実測の距離である第1の実距離の入力とを、入力部を介して受け付ける処理と、
前記形状データベースを参照して、前記第1の測定基点から前記第2の測定基点までの測定基点間のデータ上の距離を算出し、
前記算出した測定基点間のデータ上の距離から前記第1の実距離を減算して、その結果の値だけ、前記第2の測定基点から前記第1の測定基点方向に離れた前記第1の箇所に対応するデータ上の第1の箇所を特定し、
前記形状データベースを参照して、前記特定したデータ上の第1の箇所から前記第1の測定基点までのデータ上の距離を算出し、その結果の値を、前記データ上の区間距離とする処理と、
前記入力部を介して取得した前記第1の実距離を、前記実測値から求めた実区間距離とする処理と、
を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の長距離構造物の位置管理装置。
【請求項5】
前記演算部は、
前記形状データベースを参照して、前記データ上の区間距離の算出に用いられる区間である対応区間の形状データを取得し、前記取得した対応区間の形状データを縦横の座標で構成される平面に射影した射影形状を求め、当該射影形状に相似な図形を算出して、当該射影形状の両端の縦横座標のデータを、前記更新対象となる区間の両端の縦横座標のデータに一致させる処理を行うこと
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の長距離構造物の位置管理装置。
【請求項6】
前記演算部は、
前記第1の実距離が、更新前の前記形状データベース上の前記第1の箇所に対応する元の箇所と前記第1の測定基点とのデータ上の距離と異なる場合、
前記更新前の前記形状データベース上の前記第1の箇所に対応する元の箇所と前記第1の測定基点とのデータ上の距離から前記第1の実距離を減算して算出した差分距離を、前記第2の測定基点を含む前記第1の箇所から前記長距離構造物の端点までの区間内における各箇所の前記更新後の形状データベースの距離のデータに加算して、前記形状データベースの距離のデータを更新すること
を特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の長距離構造物の位置管理装置。
【請求項7】
前記長距離構造物を2以上に分けた管理区間ごとに、その管理区間の長距離構造物の位置を管理する請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の位置管理装置である第1の位置管理装置と、前記第1の位置管理装置と通信可能に接続される請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の位置管理装置である第2の位置管理装置とによって構成される長距離構造物の位置管理システムであって、
前記第1の位置管理装置は、
前記形状データベースに、さらに、管理対象となる管理区間の境界点における位置を3次元の座標データとして記憶するとともに、前記境界点に最寄の測定基点から前記境界点までの距離のデータを予め記憶しており、
前記第1の位置管理装置の演算部は、
前記区間内で、前記更新対象となる区間が存在する場合、所定の処理を行って、前記形状データベースを更新する更新情報を算出し、前記更新対象となる区間の端点の位置および距離に係る実測値を前記第2の位置管理装置に送信し、
前記第2の位置管理装置は、
前記形状データベースに、さらに、前記長距離構造物の距離のデータと形状のデータと前記境界点の位置のデータと距離のデータとを管理区間ごとに予め記憶しており、
前記第2の位置管理装置の演算部は、
前記第1の位置管理装置から受信した前記更新対象となる区間の端点の位置および距離に係る実測値を用いて、前記形状データベースを更新する更新情報を算出し、その算出した更新情報を前記管理区間ごとに管理区間情報として分割し、その分割した管理区間情報をそれぞれの管理区間を管理する前記第1の位置管理装置に送信し、
前記第1の位置管理装置の演算部は、
受信した前記管理区間情報と、既に算出した自身の前記更新情報とを比較して、比較結果が相違する情報を受信した情報に更新すること
を特徴とする長距離構造物の位置管理システム。
【請求項8】
前記第2の位置管理装置の演算部は、
前記境界点が前記更新対象となる区間内にある場合、
更新前の予め記憶してある前記形状データベース上の前記更新対象となる区間の端点に対応する元の箇所の間のデータ上の区間距離と、前記更新対象となる区間の端点に対応する元の箇所のうちのいずれか一方の第1の元の箇所と前記境界点とのデータ上の距離との比が、前記更新対象となる区間における前記実区間距離と、前記第1の元の箇所に対応する前記更新後の形状データベース上の前記第1の箇所と新たに算出される境界点とのデータ上の距離との比に、等しくなるように前記更新後の形状データベース上の境界点を算出すること
を特徴とする請求項7に記載の長距離構造物の位置管理システム。
【請求項9】
コンピュータを請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の長距離構造物の位置管理装置として機能させることを特徴とする長距離構造物の位置管理プログラム


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−107330(P2010−107330A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279170(P2008−279170)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】