説明

閉鎖された容器中に存在する液体および微粒子状の固体を混合する方法、このための容器、エジェクタジェットノズル、ならびにこのようなノズルの使用

本発明は、実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を混合する方法であって、該液体または混合物は、液相によって占有可能な、容器の内部体積を部分的に充填するのみであり、かつその際に残留する残りの占有可能な容器の内部体積は気相によって充填されており、実質的に同一の液体または実質的に同一の混合物を、容器中の液体または混合物中に存在する吸引装置の搬送ジェットとして供給することを含む混合方法を記載する。最も簡単な形では、本発明による方法は、吸引装置としてエジェクタを用いて(つまり水流ポンプの原理により)実施する。この場合、搬送ジェットは、ノズルを通過する際に、たとえば容器の気相中に突出している上昇管を介して、気相からガスが吸引され、かつ搬送ジェットと一緒に分散された気泡の形で、貯蔵容器の液状の内容物へと放出されるようにエジェクタに適合された搬送ノズルによってポンプ輸送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状の固体とからなる液体または混合物を混合する方法であって、該液体または混合物は、容器の液相によって占有可能な内部体積を部分的に充填するのみであり、かつその際、容器の残留する残りの占有可能な内部体積は気相によって充填される混合方法であって、実質的に同一の液体または実質的に同一の混合物を、容器中の液体中または混合物中に存在する吸引装置の搬送ジェットとして供給することを含む方法に関する。
【0002】
実質的に閉鎖された容器中に、液体と微粒子状の固体とからなる液体または混合物を貯蔵することは一般に公知である(たとえば予備的な貯蔵の目的のため)。通常、このような容器はタンクとも呼ばれる。このような容器は通常、完全に閉鎖されることはなく、ふつうはたとえば少なくとも1つの取り出し箇所を有しており、該取り出し箇所を介して、たとえばポンプを用いて、必要に応じて容器中に貯蔵されている内容物を取り出すことができる。相応して容器は通常、少なくとも1の供給箇所を有しており、該供給箇所を介して貯蔵すべき内容物を容器に供給することができる。この場合通常は、遮断部材(たとえばバルブまたは浮き球弁)により、液体もしくは混合物の流入および流出が可能となり、同時に静止状態での密閉性が保証される。同様に、タンク(容器)中の温度、充填レベルおよび圧力を測定するための器具が導入されていてもよい。
【0003】
通常、タンク中に貯蔵すべき、液体と微粒子状の固体とからなる液体または混合物は、タンク中の、流体(気体状もしくは液体状の)相が占有することができる内部体積を完全に満たすことはない。むしろ、種々の理由からこの内部体積の部分量は、気相によって占有される。液体または混合物の貯蔵を大気圧で行う場合には、実質的に閉鎖された容器は気相側で基本的に(たとえばフレア(またはその他の排ガス浄化システム(たとえばガス洗浄)を案内する排ガスシステムにより)大気へ開放されていてもよい。この場合、開口部の横断面は通常、一方ではできる限り小さく、かつ他方では、容器を充填し、かつ空にする際に著しい圧力の損失を伴うことなく気体が均衡化されるような寸法である。典型的には、このような開口部断面の平均直径は、25cm以下である(一般に100m3以上、しばしば10000m3までの充填体積の場合)。あるいは通常、認容することができない過圧または減圧の場合に、大気圧までであるか、または大気圧で、もしくは大気圧を上回るか、もしくは下回っていてもよい応答圧力まで密閉する放圧用の装置が同様に、関連する貯蔵容器に組み込まれている(たとえば逆弁)。貯蔵タンク中にはしばしば、気相および液相中の規定の高さの充填レベルを連続的に測定するために、少量の測定ガスが計量供給される(容器中の気相の体積に対して通常は1体積%/h以下)。これに関してそのつど必要とされる計量供給圧力の差から、公知の充填内容物の場合、直接に充填レベルが明らかになる。
【0004】
多くの場合、取り出しおよび/または供給によって時間の経過により可変的なこのような貯蔵タンクの充填内容物を時々、または常に混合してその均一性を高めるか、もしくは保証することが必要である。これは種々の理由から行うことができる。容器の充填内容物が、液体と微粒子状の固体とからなる混合物(たとえば懸濁液)の場合、微粒子状の固体がタンク中での貯蔵の間に、重力の作用下で沈殿し、かつタンクの内容物が時間の経過と共に分離するという危険がしばしば生じる。次いで貯蔵タンクから取り出す際に、場合によってはたとえば所望の混合物が取り出されずに、該混合物中に含有されている液体のみが取り出されることがある。前記の場合の例は、特に水性ポリマー懸濁液である。あるいはまた、液相の比重に応じて、この分散分布中に含まれている微粒子状の固体もまたクリーム状となり、相境界において液状/気体状で富化されうる。このための1つの可能な事例は、ポリマー分散液(水性ポリマー分散液でもある)を形成する。
【0005】
タンク(容器)中に液体のみを貯蔵する場合、これは同様に多層であってもよく(たとえばエマルション、たとえば水中油型エマルションならびに油中水型エマルションが挙げられる)、比較的長い貯蔵の際に、中間的な均質化を行わないと分離するが、これは通常望ましくない。
【0006】
あるいはまた、化学的に均質な液体は、貯蔵の際に不所望の物理的な不均質性を形成する。これらはたとえば不均一な温度分布により(たとえばタンクの片側に太陽があたることにより)生じる場合がある。その結果、たとえば不所望の結晶形成または貯蔵された液体の望ましくない分解が生じうる。しばしば所望の貯蔵温度を保持する目的のために連続的に貯蔵されている液体の部分量が取り出され、有利には間接的な熱交換器により案内され、引き続き貯蔵タンクへ返送される。この場合、貯蔵容器は通常、適切な迅速な混合により、なお貯蔵容器中に存在する液体と、熱交換器により返送される液体との間でのできる限り迅速な温度平衡が望まれる。
【0007】
ラジカル重合性化合物、たとえばアクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸および/またはこれらのエステル(特にC1〜C8−アルキルエステル)(また該化合物を含有する溶液)を確実に貯蔵するために必要とされるのは、液状のタンク内容物の慎重な温度制御のみではない。むしろ前記の、通常少なくともモノエチレン性不飽和の有機化合物(モノマー)には、思いがけずに開始される不所望のラジカル重合の開始を防止もしくは抑制するために、いわゆる防止剤(ラジカル捕捉剤)を添加する必要がある。このような防止剤は通常、分子酸素(これはそれ自体が防止剤であってもよい)が存在する場合にのみその完全な作用を発揮する。この理由から、このようなモノマーは通常、分子酸素を含有する気体雰囲気下に貯蔵され(たとえばWO2005/049543およびUS−A6,910,511を参照のこと)、かつ液状のモノマー(もしくはその溶液)はその中に溶解している分子酸素が低減しないよう注意しなくてはならない。これはたとえばモノマーが一時的に局所的に晶出し、かつその後再び溶解する場合に開始されうる。その際に生じる、分子酸素の局所的な低減は、同様に相応する混合によって防止することができる。
【0008】
前記の予防措置にも関わらずタンク内容物の不所望のラジカル重合が生じる場合には、タンク内容物にできる限り短時間で、ラジカル重合をただちに終了させるための薬剤を添加し、かつ該薬剤をできる限り迅速にタンク内容物に分散させることによって防止することができる(たとえばWO00/64947、WO99/21893、WO99/24161、WO99/59717を参照のこと)。この場合にも、できる限り均一で迅速に実施することができる薬剤の添加後の、タンク内容物の混合が必要である。
【0009】
基本的にタンクの液状内容物は、たとえば底部の近くで適切なガスをタンク中に導入するか、またはジェット導入する(たとえば「シャワーヘッド」により)ことによって混合することができる(図1を参照のこと)。液状のタンク内容物中で下方から上昇する気泡は、液体を連行することによって所望の混合をもたらす。すべての(基本的に混合作用は下から上に向かって増大する)液状の容器内容物は、このことによって液体レベルの高さとは無関係に、広い空間の流れによって捉えられ、良好に混合される。しかしこのような方法の欠点は、(大工業的な規模でタンク内容物を混合するために比較的大きな気体体積流が必要である)、混合の間に常に適切な混合ガスの要求が存在することである。これはさらに、再び常にタンクから取り出さなくてはならない。混合すべき液状のタンク内容物をバブリングする際に、さらに通常は、タンク内に存在する液体により飽和され、この負荷に基づいて(たとえば貯蔵された有機液体の場合)しばしば容易な方法で環境へ放出することはできない。従って、むしろ多くの場合は、比較的高価な排ガス処理(たとえば燃焼(タンクを充填する際に必然的に逃げるガスをこの場合、有利にはフレア中で燃焼する)または洗浄)が必要である。原則として、タンクから取り出される混合ガスは液状の内容物をバブリングするために再びタンクに返送されてもよい。しかしこのためには、必然的に、排ガスを容器の底部の圧力に圧縮する別の循環ガス圧縮装置が必要である。このような圧縮装置は高価であるのみでなく、高いメンテナンスコストならびに著しいエネルギー需要量の原因となる。
【0010】
あるいはタンク内容物は、攪拌機により混合してもよい。しかしこのためには、別々の原動力源ならびに容器壁を通って案内される駆動軸が必要である。しかし容器壁により案内される回転部材の封止は、一般にとりわけ困難である。その他に、タンクの充填容積が大きい場合(大工業的な充填容積は、貯蔵タンクに関しては一般に100m3〜10000m3、しばしば200〜1000m3または300〜800m3、特に500m3である)であり、このような攪拌装置を製造することはすでに比較的高価である。
【0011】
この背景に基づいて、液状のタンク内容物を混合するために、タンクからの取り出しのために備えられているポンプにより、タンク(容器)中に貯蔵されている、液体と微粒子状の固体とからなる液体または混合物の部分量を取り出し、かつ、タンクの底部付近に存在し、かつ上方を向いた搬送ノズル(最も簡単な場合には、流れの方向に向かって先が細くなる断面を有する流路であり、ここでその中を流れる液体の圧力エネルギーは失われずに付加的な運動エネルギーに変換され、かつ液体流はこのことによって促進される)を、(搬送用液体)液状のジェット(搬送ジェット)としてタンクに返送することが有利であることが判明した。
【0012】
この場合、上に向いている液状のジェットは、自由噴流の法則に従って、その経路に沿ってタンク中に存在する液体により吸引され、かつ液状の媒体が混合される。あるいは、または付加的に混合の目的のために、液体または混合物による容器の充填(後充填あるいはまた最初の充填)を、液体または混合物が前記の搬送ノズルによって供給されるように行うことができる。
【0013】
しかしこのような混合方法の欠点は、自由噴流の混合作用が、その周囲の比較的限定された空間を補足するのみであるため、適切な混合作用は通常、完全に満足されることがない(図2)。
【0014】
もう1つの欠点は、液状のジェット(特にタンク中の充填レベルが低下する場合)はその比較的高い平均インパルス密度(運動量密度もしくは速度)に基づいてタンク内に存在する液相は比較的容易に排出され(液相と気相との間の相界面の破壊)、かつこれより場合により強力な液滴の形成(噴霧形成)が気相中で生じる。これは特に、タンク内容物が有機液体(たとえばアクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、これらの酸のエステルまたはその他の有機モノマー)を含み、その気相が分子酸素の存在下で爆発性でありうる場合に不利である(たとえばDE−A102004034515を参照のこと)。一方では微分散した液滴が気相中でその有機材料の含有率を高め、このことによって場合により元々は点火性ではない気相が点火性となり、かつ形成される液滴が飛散している間に気相による摩擦条件によって規則的にその表面で帯電する。その結果発生する火花放電によって点火が惹起されうる。しかしまた、液滴が水性ポリマー分散液の液滴である場合、これらはたとえばその途中で気相により不所望な方法で不可逆的に被膜を形成し、かつポリマー分散液を後に使用する際に妨げとなる。
【0015】
タンク内容物が、液体中の微粒子状の固体のスラリーである場合、相の界面を破壊するジェットにより容器の内壁に衝突する固体が場合により壁の上に付着し、このことによって容器中に貯蔵されているスラリーが除去される。
【0016】
あるいはまた、その他の液体の場合、前記の通りに調整される噴霧形成は特に、小さい噴霧滴が高い蒸気圧を有する点において欠点を有する。このことにより不所望の蒸気冷却が生じ、これはタンク内容物の温度の一定性を損なう。
【0017】
混合を強力にするために、本願の図3に記載の従来技術(Chemie-Ing. Techn. 42. Jahrg. 1970, 第474〜479頁を参照のこと)では、搬送ノズル(1)の後方に、(入口および出口において開放された)混合室(2)が配置されている(数字は常に本願の図面を参照するものである)。このことによりタンク室中に存在する液体は、自由噴流の場合のように噴流経路に沿って吸引されることはなく、一連のインパルスにより搬送される量は入口(もしくは吸引開口部)(3)を通って、混合室の入口横断面へ入る(以下では簡略化して、インパルス交換室またはインパルス交換管と呼ぶが、ただし断面は必ずしも円形である必要はなく、管型の実施態様は適用技術的に有利である)。搬送ノズルおよび混合室のこの配置(たとえば比較的大きな断面を有する短い管として搬送ノズルの後方に接続されている)は実質的にジェットノズルと呼ぶべきである。この場合、搬送ジェットは比較的高い速度で、タンク体積と比較して比較的小さいインパルス交換室(しばしばインパルス交換室の体積は、タンク内部体積のわずか約0.0001%〜1%である)へ入り、かつその際にタンク内に存在する液体の循環量を吸引する。このような適切なジェットノズルの製造業者はたとえばGEA Wiegand GmbH(D−76275 Ettlingen)である。
【0018】
インパルス交換管から排出される混合物は、搬送ジェットと比較してすでに明らかにその要素のインパルスが低減しており(平均インパルス密度の低減)、このことは、前記の液滴の形成(噴霧の形成)を伴う排出の可能性を低減する(これは比較的低い相界面のレベルで、および平均排出インパルス密度の低下と共に初めて現れる、図4を参照のこと)。下方から作用する吸引と一緒に、インパルス交換管からの上向きの排出流は、図5に記載されているような、連続的なフィールド線を有する、空間的に大きな円形の流れ領域を形成し、これは上斜め向きの方向で、かつタンク中で有利にはわずかに高い位置に設置されたジェットノズル(たとえばAcrylate Esters, A Summary Of Safety And Handling、第3版、2002年、compiled by Atofina, BASF, Celanese, Dow und Rohm & Haasを参照のこと)が、搬送ノズルと比較して改善された(特に完全な)混合を条件付けるが、しかしこれはなお改善の余地がある。さらに(相界面の)充填レベルが吸引レベルよりも低下した場合、搬送ジェットはここからも妨げられることなく、インパルス交換管を通って排出され、かつ噴霧されて、すでに記載した危険を有する微細な液滴となる(図6)。従って通常、搬送ジェットの液体は、ジェットノズルへ該液体が入る前に、通常はバルブを通過して流れるが、該バルブはタンク中の規定の充填レベルを下回る際に閉鎖し、かつ液体の貫流を防止する。
【0019】
この従来技術を鑑みて、液状のタンク充填物の混合を改善する方法であって、前記の全ての問題の事例に適用可能であり、かつ特に迅速な混合を可能にする方法を提供するという課題が存在していた。
【0020】
これに応じて、実質的に閉鎖された容器中に存在する(貯蔵されている)、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を混合する方法であって、該液体または混合物は液相により占有可能な、容器の内部体積を部分的に充填するのみであり、かつその際に残留する残りの占有可能な、容器の内部体積は気相によって充填されており、実質的に同一の液体または実質的に同一の混合物を、容器中の液体または混合物中に存在する吸引装置の搬送ジェットとして容器に供給することを含む混合方法において、吸引装置は搬送ジェットによって容器中に存在する気相からガスを吸引し、かつ吸引されたガスは搬送ジェットと一緒に容器中に存在する液体または混合物へと放出されることを特徴とする、実質的に閉鎖された容器中に存在する液体または混合物を混合する方法が提供される。
【0021】
本発明によれば有利には、液体または混合物の部分量を容器から取り出し、かつ取り出された部分量の少なくとも1部を、吸引装置の搬送ジェットの成分として返送することを含むようにして、本発明による方法を容易な方法で実施することができる。基本的に吸引装置の搬送ジェットは本発明による方法ではもっぱら、予め容器から取り出された、容器中に存在する液体または混合物の部分量の少なくとも一部(または全量)であってもよい。
【0022】
必要に応じて場合により取り出された部分量の搬送ジェットとして返送される一部を、別の使用目的に供給することができる。
【0023】
あるいはまた当然のことながら、本発明による方法は、容器中に搬送ジェットとして供給される液体または混合物が、容器から予め取り出された液体または混合物を含むことなく実施することもできる。これはたとえば、容器に後充填するために供給される液体または混合物を搬送ジェットとして容器の吸引装置へ供給することによって可能である。あるいは当然のことながら、吸引装置の搬送ジェットは、本発明による方法ではまた、容器への後充填の目的のために供給される液体または混合物、および容器から予め取り出される液体または混合物であってもよい。
【0024】
通常、本発明による方法では気相は実質的に化学反応を行わない。つまり気相は、本発明による方法では実質的に消費されない。通常、搬送ジェットと一緒に容器中に存在する液体または混合物へと、気相から放出されるガスは、1体積%以下、有利には0.75体積%以下、特に有利には0.5体積%以下、または0.25体積%以下、およびとりわけ有利には0.1体積%以下が、貯蔵されている液体または混合物を1回バブリングして通過する(上昇する)際に、化学的に変化する。
【0025】
最も簡単な形では、本発明による方法はエジェクタを用いて(つまり水流ポンプの原理によって)吸引装置として実施されている。この場合搬送ジェットは、ノズルを通過する際に、たとえば容器の気相へと突出している上昇管(これは通常、容器壁に固定されたホルダによって保持されている)を介して気相からガスを吸引し、かつ搬送ジェットと一緒に、分散された気泡の形で貯蔵容器の液状内容物へと排出されるように、エジェクタに適合されている搬送ノズルによって輸送される。エジェクタの基本的な構造および名称(文献中及び以下では、ジェット圧縮装置とも呼ばれる)は、図7が示している(Chem,−Ing.Techn.47、1975年、第5号、第209頁、Chemie−Ing.Techn.MS201/75、"Verfahrenstechnik"、15、(1981)、第10号、第738〜749頁、「1の円筒形の搬送ジェットによる水流空気ポンプにおける試験(Untersuchungen an Wasserstrahl−Luftpumpen mit einem einzigen kreiszylindrischen Treibstrahl)」、D.I.G.v.Pawel−Rammingen、学位論文、1936年、TH Braunschweig、ならびに「混合衝撃およびその気液エジェクタの設計に対する影響(Mixing shocks and their influence on the design of liquid−gas ejectors)」、J.H.Witte、試験報告書、Technische Hogeschool、Delft(1962年12月)を参照のこと)。
【0026】
エジェクタ(たとえば図7を参照のこと)は、通常、搬送ノズル(1)、(搬送ノズルを通常は包囲している)吸引室(4)、混合室(通常は混合管)への入口(5)、混合管(混合室)(6)、および拡散装置(7)からなる(か、もしくはこれらを有する)。搬送ノズルから排出される、搬送液の迅速なジェットは(位置(0)でエジェクタへ輸送される)、吸引室中で負圧を生じる。このことによりガスは吸引室(その入口(8)が、たとえば気体透過性の接続部を介して(たとえば相応する上昇管)容器中で(相の境界面の上方で)気相と結合している)、吸引され(促進され)、かつ搬送液と気体との間でのインパルス交換により混合管(混合室)ならびに拡散装置中で圧縮され、搬送液中で分散され、かつこれと一緒にタンクの液体へと放出される。気泡は上昇する際に液体を連行し、かつ貯蔵されている液体または貯蔵されている混合物中で所望の(上向きの、作用が増大していく)混合を生じる。相界面によって気相へ返送されるガスは再び吸引することができる等。
【0027】
搬送ノズルのノズル接続部が高い乱流で液体ジェットを発生させる搬送ノズルは、本発明により適切なエジェクタ中で特に有利である。というのも、高められた乱流と共に排出される搬送ジェットは、ガスを吸引室から特に効果的に連行し(気相と液相との接触面積が高まる)、このことによって、吸引作用が高められ、かつ時間単位あたりに吸引されるガス量が高まり、その結果、所望の混合が改善されるからである。搬送ジェットをその搬送ノズルからの出口の後方でさらに拡大することを改善することは、搬送ノズルを通過する前に、わずかな旋回運動を行うことによって達成される。これはたとえば、搬送ノズルの直前に適切な旋回体(9)を設置することによって可能である。このようなものとして、本発明によれば有利にはたとえば、"Verfahrenstechnik"、15(1981年)、第10号、第739頁の図3に示されているような羽根輪が考えられる。しかし、液体ジェットに対する旋回が強すぎる旋回体を使用すると(つまり、強すぎる旋回によって乱流が生じる搬送ジェット)、吸引特性の低下も生じうる。原則として旋回は搬送ジェットの接線に搬送液を供給することによって発生させることもできる。
【0028】
搬送ジェットを旋回させるためにはこれに代えて、および/または付加的に、たとえば搬送ジェットの出口横断面が、多数の出口開口部を有している(搬送ノズルの横断面が搬送ジェット分散装置を備えている)ことによって搬送ジェットを分割(複数の個別のジェットに分割)することができる。最も簡単な方法ではこれは、たとえば前記のJ.H. Witteの試験報告、第14頁の図2に示されているような、搬送ノズルの出口横断面に多数の流出開口部を有する(最も簡単な場合にはリング状)スクリーン(板)が組み込まれていることによって実現可能である。
【0029】
あるいは穿孔の代わりに(この場合、スクリーンノズルまたは多孔式ノズルが該当する)たとえばスリットノズル(たとえば同心円のリング状ギャップ)も考えられる。
【0030】
本発明によるエジェクタの使用の際に、混合作用が、特に液体と微粒子状の固体とからなる貯蔵されている液体もしくは貯蔵されている混合物へとノズル導入されるガスによって行われる場合、貯蔵容器中のエジェクタはジェットノズルのように斜め上方に向かって設置されている必要も、わずかに高い位置に設置されている必要もない。むしろエジェクタは貯蔵タンクの直接底部付近に設置されていてもよい。さらに、搬送ノズル(エジェクタ中(ひいてはエジェクタ自体)は、実質的に混合効率を失うことなく、貯蔵タンクの底部に対して平行に(つまり標準的には水平に)設置されていてもよい。垂直な設置によって、相境界面(液面)は、液体による不十分な覆いが最早存在しなくなる前に、貯蔵容器中で実質的により低い位置に低下することができる。液面が、水平に設置されたエジェクタの分散装置よりも下方までさらに低下する場合、エジェクタから水平に排出されるジェットは特に、該ジェットが予め旋回および/または分割されている場合には、拡大され、かつ容器壁に衝突するする際に、ジェットノズルと比較して低減された噴霧量を生じる。貯蔵タンクの液状内容部を混合するために使用されるエジェクタの設計(これはたとえばタンク内容物の物質データおよびタンクの形状寸法に依存する)は、前記の文献に記載されているとおりに行うことができる。製造材料として、貯蔵されている液体/混合物の特性に適合させて、特殊鋼もプラスチック(たとえばEP−A245844で推奨されているような繊維強化プラスチック材料)も考えられる。貯蔵内容物がアクリル酸、メタクリル酸、これらのエステルであるか、またはこれらの溶液である場合、ジェットノズルのための原材料として、特にDIN材料番号1.4541および1.4547の特殊鋼が推奨される。基本的に本発明による方法のために本発明によるエジェクタを使用することで十分である。本発明によれば有利には、これは容器中で、拡散装置からの出口が容器の中央に存在するように位置決めする。あるいはまた、当然のことながら、同一の容器中で、複数のエジェクタが同時に本発明により運転されてもよい。適用技術的に有利にはこの場合、同じ大きさのエジェクタを使用する。その際、エジェクタは原則として任意の位置でタンク中で相対して配置されていてもよく、かつたとえば一緒に星形または球形の星形を形成してもよい。本発明によれば、搬送ジェットを生じるポンプが、容器中に貯蔵されている液体/混合物を取り出すために使用されるポンプと同一でありうることが有利である(あるいはまた両方の木手Kのために2つのポンプを使用することもできる)。(メタ)アクリルモノマーを含有する貯蔵されている液体の場合(またはその他の液状で貯蔵される化学薬品の場合)、このような搬送ポンプとしてたとえばWO2004/003389で推奨されている、二重の滑りリングパッキングを有する搬送ポンプが考えられる。
【0031】
この代替的な搬送ポンプとして、たとえばUS−A5,727,792、US−A4,168,936、EP−A1092874ならびにUS−A4,865,333に記載されているポンプが考えられる。
【0032】
本発明による方法のためにエジェクタによって時間単位あたりに気相から吸引されるガス量(およびこれと共に混合作用)は、本発明によれば有利には、本発明による方法のためのエジェクタの利点を、本願の冒頭に記載した(およびたとえばDE−A2404289にも記載されている)ジェットノズルの有利な観点と適切な方法で組み合わせて、図8に略図で示されている、本発明によるエジェクタに代えて使用される吸引装置としての、いわゆるエジェクタジェットノズルにすることにより(一般に2〜3倍)向上することができる(エジェクタジェットノズルの原理はたとえば、Chemie−Ing.Techn.47、1975年、第5号、第209頁、Chemie−Ing.Techn.MS201/75、Chemie−Ing.Techn.61(1989)、第11号、第908〜909頁、DE−A2410570およびDE−A1557018に記載されている)。
【0033】
これは物理的には、エジェクタ中のガスが、搬送ジェットの液体のみと接触する一方で、ジェットノズルのインパルス交換室へはさらに何倍もの量の搬送ジェットが周囲の液体から吸引されることに基づいている。簡単にいうならば、エジェクタジェットノズルは、ジェットノズル以外の何者でもなく、この場合、搬送ジェットとして、エジェクタの搬送ノズルの後方で形成される、吸引されたガスと、エジェクタの搬送ノズルを通って輸送された搬送液とからなる混合物が使用される。
【0034】
この目的のために、エジェクタジェットノズルのエジェクタ部分の吸引室は、一般的なエジェクタとは異なって継ぎ目がないように混合管(混合室)へと移行する。むしろここでは、吸引室は混合ノズル(10)へとつながっており(吸引室が混合ノズルへと伸びており)、ここから「エジェクタ」に由来する、搬送液と吸引された気体とからなる混合物、たとえば搬送ジェットが、搬送ノズルにおいてインパルス交換管(一般に(入口および出口が開放されている)インパルス交換室)へとノズル導入される。これはエジェクタジェットノズルの場合、通常、まず一定の横断面を有し、かつ流れの方向で次いで通常は(ただし必ずしも必要ではないが)分散装置へと伸びている(分散装置は、流れの方向で拡大する横断面を有する)。このことによって混合ノズル/インパルス交換管の移行部の周囲から貯蔵タンク中で時間単位あたりに吸引される液体量は、エジェクタ部分中で時間単位あたりに輸送される搬送液の数倍(通常、1もしくは2〜10倍、しばしば4〜8倍)である。
【0035】
吸引されたガスをエジェクタジェットノズルへと、ひいては流れの方向で連行する液体量は、純粋なエジェクタの場合よりも大きい。このことは、明らかな吸引力の向上を条件付け、かつ本発明による意味でこのことによって達成可能な高い混合作用を条件付ける。簡単にいうならば、エジェクタの混合管中で分割される液滴は、連続的な気相を促進し、他方、液体流はエジェクタジェットノズルのインパルス交換管中で、この中で分散した気泡へと促進される。
【0036】
本発明により有利には、エジェクタジェットノズルのエジェクタ部分中の搬送ジェットノズルもまた、搬送ジェットノズルから排出される搬送ジェットを拡大および/または分散する部材を有している。ジェット圧縮装置の記載においてすでに説明したように、このような部材として、たとえば旋回体および/またはスクリーン板もしくはスリット板(搬送ジェット分割装置)が考えられる。純粋なジェット圧縮装置と比較した、エジェクタジェットノズルのもう1つの利点は、自ずと調整される微細なガス分割であり、これは所望の混合に対して同様に有利に作用する。要するに、エジェクタジェットノズル中でエジェクタ部分中で吸引されるガスは吸引される搬送ジェットと共に混合ノズルへと案内され、かつその中で相互に混合される。こうして生じた搬送液−ガス混合物は、貯蔵されている液状の媒体中に存在し、かつ搬送液−ガス混合物の入口方向に伸びている、容易に体積に対して極めて小さい(通常は、インパルス交換室の体積は、容器の最大液状充填内容物の数百〜数十万もしくは数百万分の一である)インパルス交換室(の最も狭い横断面)に一緒に導入(ノズル導入)される。この場合、混合ノズルから排出される搬送液−ガス混合物(貯蔵されている液状媒体が存在しない場合には、重力によって混合ノズルの最も狭い横断面を通って(流出する)(およびインパルス交換室につながる)の入口において、ジェットはこの明細書中では、混合ノズルからインパルス交換室へと案内される中心ジェット(図15の(11)を参照のこと)と呼ばれる)は、周囲の貯蔵されている液状媒体からインパルス交換室へと吸引される。この吸引された「第二の」液体流は、インパルス交換管(インパルス交換室の入口)の比較的狭い横断面に基づいて、著しく促進される。このことによりエジェクタ中のガスの吸引圧力は静圧まで低下する。同時に、コンマ数秒以内にインパルス交換室へ導入されたあとで、吸引された液体および搬送液−ガス混合物は、強力に攪拌される。このことによって、分散相中での急激な交換が行われるので、その結果として、ガスは液体中に微分散した気泡の形で連行される。
【0037】
具体的な実施の問題に関するエジェクタジェットノズルの設計は、ふたたびこの明細書中で引用した文献のエジェクタジェットノズルとの関連に基づいて行うことができる(製造材料として、エジェクタのために挙げられたものが考えられる)。
【0038】
混合ノズルからの出口における搬送液の速度は、通常、10〜100m/s、有利には15〜70もしくは30m/sであってよい。インパルス交換室の入口開口部の平均直径は、通常、混合ノズルの平均直径の1.1〜4倍、有利には1.2〜2倍であり、インパルス交換室の長さは一般に、その水力直径の3〜30倍、有利には3〜10倍である。
【0039】
インパルス交換室から排出される質量流は通常、103〜105N/m2、有利には5×103〜2×104N/m2の平均インパルス密度を有する。これとは異なり、搬送ジェットの平均インパルス密度は、本発明による方法では通常、2.5×104〜107N/m2、しばしば105〜5×106N/m2である。
【0040】
この場合、平均直径とは、ノズルもしくはインパルス交換室の入口開口部(これらはいずれも必ずしも円形である必要はない)の該当する横断面(これは四角であってもよい)と同じ面積を有する円の直径であると理解する。インパルス交換室は通常、一定の横断面を有し、かつ分散装置は通常、流れの方向で拡大する横断面を有する。基本的にインパルス交換室は構造的には種々の形態であってよく、その際、この形は有利には混合ノズルの形に適合される。
【0041】
一般にはインパルス交換室として、円筒形の管を使用し、かつ分散装置として、円すい形のスタブを使用する。インパルス交換室が円筒形の管として構成されている場合には、その長さは通常、その直径の3〜30倍であり、有利には3〜10倍であり、これはこの場合、同時にその水力直径でもある。インパルス交換室が円形の横断面またはその長さにわたって一定の横断面を有する場合、その長さは通常、その水力直径の2〜30倍、有利には3〜10倍である。この場合、水力直径とは、該当するインパルス交換室と同一の使用量および同一の長さにおいて、同一の圧力損失を示す円筒形の管の直径であると理解される。
【0042】
混合ノズルの最も狭い横断面は、本発明により適切なエジェクタジェットノズルの場合、適用技術的に有利には、エジェクタ部分の搬送ノズルから一定の間隔で存在しており、これは混合ノズルの最も狭い水力直径の1〜10倍に相応する。
【0043】
さらに混合ノズルの最も狭い横断面は、本発明により適切なエジェクタジェットノズルの場合、適用技術的に有利には、搬送ノズルの最も狭い水力直径の0以上〜3倍もしくは2倍までよりも低い位置でインパルス交換室へと突出していない。
【0044】
本発明によれば有利には、混合ノズルはインパルス交換室中に突出している。基本的に混合ノズルの最も狭い横断面積は、インパルス交換室への入口に対して、一定の間隔を有していてもよく、これはたとえば搬送ノズルの最も狭い水力直径の1倍まで、またはそれ以上であってよい。
【0045】
さらに、本発明により適切なエジェクタジェットノズルの混合ノズルの最も狭い断面積は適用技術的に有利には、最も狭い搬送ノズル断面積の1.5〜15倍、有利には2〜10倍である。エジェクタ部分の搬送ノズルを離れる搬送ジェットの速度は、本発明により適切な方法では、エジェクタジェットノズルの場合、通常、20〜50m/sである。
【0046】
ここでエジェクタジェットノズルのエジェクタ部分の可能な形状寸法のために行った記載は、単独のエジェクタにも該当する。
【0047】
1のエジェクタジェットノズルに代えて、本発明による方法のために、すでに純粋なエジェクタの適用の場合において言及したように、複数の(束状の)エジェクタジェットノズルを、同一の貯蔵容器中で適用することもできる。エジェクタの場合も同様に、本発明によれば、(特に本発明により貯蔵すべき混合物中での微粒子状の固体の沈殿を回避するために)エジェクタジェットノズル(もしくはエジェクタ)は、容器の中央に水力に下向きに設置されることが有利である。本発明によればまた、エジェクタジェットノズルにおいて、複数のその混合ノズルを含むエジェクタ部分が、共通のインパルス混合室と一体化されている(組み合わされている)ことも可能であり、この場合、その入口開口部の横断面は、そのつどの混合ノズルのためにその個別的な適用の際に必要とされる横断面の合計に相応すべきである。
【0048】
基本的にインパルス交換室および混合ノズルを一緒に含むエジェクタジェットノズルのエジェクタ部分は、複数の(有利には3つの(完全に十分な集中化が可能となる)ブリッジであって、そのうちのそのつど2つのブリッジが、120°の角度を含む)ブリッジによって相互に結合されていてもよい。しかしまたこれらは相互にネジ止めされていてもよい。この場合、最も簡単な事例では、ジャケット中の容器底部に向かって設置されたスリットもしくは少なくとも1の、継ぎ目のないようにジャケットにつながっている浸漬管中で、周囲の液体の吸引を行う。
【0049】
一般に、本発明による方法をエジェクタジェットノズルを用いて実施する際には、供給されるガス体積に対する、インパルス交換室に案内される全液体体積の比率は、0.1〜10であってよい。
【0050】
インパルス交換室中のインパルス交換によって、および分散装置中での動力学的エネルギーから圧力エネルギーへの変換によって、エジェクタジェットノズル中で静圧が生じる。この圧縮工程は、液体量の増大によって、エジェクタの場合よりも改善された効率で行われる。さらに、壁での摩擦による流れの損失は、慣用のエジェクタの混合室に対して通常、インパルス交換室が直径においてより大きく、その他は同じ比率の場合に、より小さい流れ速度に基づいて、より小さいことによって有利に作用する。
【0051】
その他に、本明細書の図9は、吸引装置として有利なエジェクタジェットノズルを使用した、本発明によるガスにより誘導される、液体と微粒子状の固体とからなる液体または混合物により充填されているタンクの、一次的な混合の実施態様を略図により示している。エジェクタジェットノズルの水平な設置の可能性により、液面(相界面)は、図10に相応して、液体による十分な被覆がもはや存在しなくなる前に、比較的低い位置に低下してもよい。液面(相界面)がノズルの下方にまでさらに低下する場合、付加的な液体はそれ以上吸引されない。しかし水平に排出されるジェットは、(特に旋回体をエジェクタ部分の搬送ノズルの前方で併用する場合には)、容器壁に衝突する際に、顕著な噴霧量はもはや生じることがなく(図11)、というのも、ジェットはもはや、束状のジェットとして容器壁に達することがないからである。
【0052】
本発明により特に有利な実施態様では、図12に記載の本発明による方法のための吸引装置として、混合ノズルとインパルス交換室(インパルス交換管)との間の吸引領域(周囲の液体用)が、少なくとも1の開口部(少なくとも1の入口開口部(少なくとも1の吸引開口部)を有するジャケットを備えており、少なくとも1の開口部は、混合ノズルからインパルス交換室に案内される中心ジェットの下方(下方とはこの場合、中心流から出発して容器もしくはタンクの底の方向に向かって下方を意味する)エジェクタジェットノズルを使用することもできる。とりわけ有利であるのは、これは少なくとも1の入口開口部を、容器の底部の方向に案内される(伸びている)浸漬管として実施されており、かつこのことによって容器の底部付近に(このことは、下側からの吸引に基づいて)特に迅速な混合を条件付ける)存在する。原則として、浸漬管の横断面は任意である、つまり円形であっても、楕円形であっても、四角形であってもよい。通常、浸漬管の横断面は、本発明による方法の場合、その長さにわたって一定している。円形の横断面を有する浸漬管が本発明によれば有利である。混合ノズルからインパルス混合室へとつながる中心ジェットの下方に存在する、少なくとも1の吸引開口部の平均直径は、通常、混合ノズルの平均直径の1〜20倍、有利には2〜10倍である。一般に、浸漬管は、その貫流ができる限りわずかな圧力損失を条件付けるように構成されている。基本的に、少なくとも1の吸引開口部は、浸漬管の長さにわたってその壁に分散して設置された穿孔および/またはスリットとして実施されていてもよい。浸漬管はその底部付近に存在する端部において、たとえばフックのように上向きに曲がっており、吸引開口部は容器の底の方を向いているのではなく、容器の天井(フタ)に向いていてもよい。あるいはまたこの湾曲は、ゴルフクラブの場合のように実施されており、かつ出口開口部と共に容器の底部に対して平行に伸びていてもよい。さらに浸漬管は吸引開口部と一緒に、容器の底部に存在する、上に向かって開放されたポット中に突出していてもよい。浸漬管の吸引開口部およびインパルス交換室(管)からの出口は、空間的に相互に(たとえば相互に最大の距離をおいて)無関係に配置されていてもよい(その空間的な位置では必ずしも相互に相関していなくてもよい)。浸漬管を有する実施変法(浸漬管はジャケットと継ぎ目のないように溶接されていてもよいし、またはジャケットにネジ止めされているか、またはジャケット中に存在する相応する接続部(たとえば接続用ソケットを備えたフランジによって)接続されていてもよい)は、貯蔵容器中の充填レベルが著しく低下した場合でも、依然として実質的にほぼ損なわれることのない、本発明による方法の実施を可能にする。しかしこの場合の問題は、搬送ポンプを短時間、停止することである。この場合、浸漬管は混合ノズルに対してもはや、液体と微粒子状の固体とからなる、貯蔵されている液体または貯蔵されている混合物により充填されるのではなく、ガスによって充填される。しかし搬送ノズルの搬送ジェットの旋回および/または分散が十分な場合には(たとえば旋回体および/または搬送ジェット流分割装置および/または搬送ジェットの接線への供給による)、エジェクタジェットノズルのエジェクタ部分において、生じる吸引力は、運転の再開後に、浸漬管中の液体もしくは混合物のレベルを、必要とされる部分にまで引き上げて、本発明による方法を継続することができるために十分である。
【0053】
容器中の気相の体積は、本発明による方法の場合、容器中に貯蔵されている液体もしくは混合物の体積の少なくとも5体積%、または少なくとも10体積%であるべきである。しかしまたこれは、30体積%、60体積%、90体積%、150体積%、250体積%、350体積%およびそれ以上であってもよい。
【0054】
本発明によればさらに、本発明による方法において、貯蔵容器の液状内容物1リットルあたり、毎分、少なくとも約10-5標準リットル(0℃および1気圧での気体の体積、単位はリットル)のガス(通常はしかし、10-1標準リットルを越えない)がノズル導入される。
【0055】
容器自体は、有利には円筒形(たとえば円形または方形、または四角形の横断面を有する)の構造を有しており、これは上に向かって円すい形の覆いにより、または半球形の、もしくはドーム方の覆いによって閉鎖されている。
【0056】
本発明による方法は特に、この明細書の冒頭記載した全ての液体(あるいはまたたとえばベンゼン、トルエン、アルコール、その他の炭化水素)、もしくは液体と微粒子状の固体とからなる混合物を有利に貯蔵するために適切である。この場合、これらは通常、液体の蒸気によって飽和の気体により過負荷状態となっている(つまり気相は通常、気化された液体のみからなるのではない)。
【0057】
このようなガスとして、たとえば不活性ガス、たとえばN2、希ガス、たとえばArおよび/またはCO2が考えられる。
【0058】
あるいはまた当然のことながら、このようなガス、もしくは分子酸素と不活性ガスとからなるその他の混合物も可能である。タンク中の絶対圧は、たとえば50バールまでの大気圧であってもよく、タンク中の温度はたとえば0℃(もしくはそれ以下)〜100℃(もしくはそれ以上)であってもよい。
【0059】
ただし、両方の前記のパラメータは、本発明による方法では制限を受けない。
【0060】
本発明による方法は、貯蔵されている液体が、少なくともモノエチレン性の不飽和有機化合物(たとえばN−ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、マレイン酸のエステル、スチレン、および/またはN−置換されたアクリルアミド)であるか、または少なくとも1のこのようなモノエチレン性不飽和有機化合物を含有する溶液であり、特にこれらが不所望のラジカル重合を防止する目的で重合防止剤が添加されている場合に特に有利である。
【0061】
そのような少なくともモノエチレン性の不飽和有機化合物の別の例として、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸ならびにアクリル酸および/またはメタクリル酸と一価もしくは多価のアルカノールとのエステルが挙げられる。これらのエステルには特に、そのアルコールが、1〜20個の炭素原子を有するか、または1〜12個の炭素原子を有するか、または1〜8個の炭素原子を有するものが挙げられる。このようなエステルの代表例として、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル−アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、およびt−ブチルメタクリレートが挙げられる。ラジカル重合の防止剤として、前記のモノマーおよび有機溶剤または水中のこれらの溶液に関して、たとえばヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、フェノール(たとえば2,4−ジメチル−6,6−ブチルフェノール)、キノン、ブチルピロカテキン、フェノチアジン、ジフェニルアミン、p−フェニレンジアミン、ニトロキシルラジカルおよび/またはニトロソ化合物、たとえばニトロフェノールが考えられる(ならびにWO00/64947に挙げられている全ての重合防止剤)。モノマー含有率に対して、貯蔵の目的で添加される重合防止剤の量は、0.5〜1000質量ppm(しばしば1〜600質量ppmまたは2〜500質量ppm)であってよい。
【0062】
氷酢酸、つまり純粋な酢酸(アクリル酸含有率99.5質量%以上)の場合、通常、200±20質量ppmのMEHQが貯蔵防止剤として添加されている(推奨貯蔵温度は15〜25℃)。n−ブチルアクリレート(n−ブチルアクリレート含有率99.5質量%以上)およびその他の前記の(メタ)アクリルエステルの場合、通常、15±5質量ppmのMEHQが、貯蔵安定剤として添加されている(推奨貯蔵温度は20〜35℃)。MEHQもまた、その他の前記の(メタ)アクリルモノマーおよびこれらの溶液のために有利な貯蔵安定剤である。
【0063】
すでに記載したように、前記の重合防止剤(特にMEHQ)は、通常、分子酸素の存在のみによってその防止作用を展開する。
【0064】
ただし、特に(メタ)アクリルモノマーは、分子酸素によって爆発性の混合物を形成する可能性がある。
【0065】
従来は、貯蔵タンク中での噴霧(噴霧形成)の場合にも、相応する爆発を排除するために、安全技術的に高度に利用可能であった液体レベル制御により、このような噴霧形成を防止するか、またはWO2005/049543がUS−A6,910,511との関係の文脈で推奨しているように、貯蔵タンク中の気相の酸素含有率を相応して限定しなければならなかった。
【0066】
これに対して本発明による方法の適用により容器中の液体レベルが低い場合でも噴霧形成を回避することができ、タンク内容物を、タンク中に貯蔵されている液体により飽和されている空気によって比較的簡単かつ確実にブランケッティングすることが可能になる。しかし貯蔵されるべきアクリル酸(貯蔵される粗アクロレイン)が、プロパンの存在下でのプロピレンの不均一系触媒反応による部分的な気相酸化によって、またはプロパン自体の不均一系触媒反応による部分的な気相酸化によって生じたアクリル酸(アクロレイン)である場合、貯蔵すべき粗製アクリル酸(貯蔵すべき粗アクロレイン)は、生成物混合物から分離した後で通常、プロパンによって飽和された形で生じる。この場合、気体雰囲気はさらに燃焼性のプロパンを含有する。より安全な貯蔵のためにはこの場合、WO2005/049543によるリーン空気下での貯蔵によって気相中の酸素限界濃度を下回ることが推奨される。
【0067】
基本的に、本発明による方法において貯蔵容器中の充填レベルが低減するにつれて、搬送ジェットを形成するための供給(返送)率は低減することができる。
【0068】
ごく一般的に、貯蔵されるべき液体または貯蔵されるべき混合物への分子酸素の導入は、本発明による方法では極めて簡単に行うことができる。
【0069】
従って、本発明による方法は特に、特に大きなタンク内容物を有するタンク貯蔵容器のためにも適切である。
【0070】
従って、本特許出願は、特に以下の本発明による実施態様を含む:
実施態様:
1.実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を混合する方法であって、該液体または混合物は液相により占有可能な、容器の内部体積を部分的に充填するのみであり、かつその際に残留する残りの占有可能な、容器の内部体積は気相によって充填されており、実質的に同一の液体または実質的に同一の混合物を、容器中の液体または混合物中に存在する吸引装置の搬送ジェットとして容器に供給することを含む混合方法において、吸引装置は搬送ジェットによって容器中に存在する気相からガスを吸引し、かつ吸引されたガスは搬送ジェットと一緒に容器中に存在する液体または混合物へと放出されることを特徴とする、実質的に閉鎖された容器中に存在する液体または混合物を混合する方法。
2.吸引装置が少なくとも1のエジェクタを有しており、該エジェクタは、1の搬送ノズルと、気相に(気相からガスを吸引することができる接続部を介して)接続している1の吸引室とを有しており、かつその搬送ノズルによって搬送ジェットが案内されることを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
3.搬送ジェットは、搬送ノズルを通過する前に旋回運動をすることを特徴とする、実施態様2に記載の方法。
4.旋回運動が、搬送ノズルの前に設置された旋回体によって行われることを特徴とする、実施態様3に記載の方法。
5.旋回運動が、搬送ノズルの搬送液を接線に供給することによって行われることを特徴とする、実施態様3に記載の方法。
6.搬送ジェットは、搬送ノズルを通過する際に分割されることを特徴とする、実施態様1から5までのいずれか1に記載の方法。
7.搬送ノズルは、スクリーンノズルであるか、またはスリットノズルであることを特徴とする、実施態様6に記載の方法。
8.吸引装置が少なくとも1のエジェクタジェットノズルを有し、該ノズルは1の搬送ノズル、搬送ノズルを包囲し、かつ混合ノズルへと伸びている1の吸引室、および混合ノズルの出口が向いている1のインパルス交換室を有しており、その際、吸引室は気相と(気相からガスを吸引することができる接続部を介して)接続されており、かつその搬送ノズルを通過して搬送ジェットは(吸引されたガスとの混合物として)混合ノズルを経由してインパルス混合室へ案内されることを特徴とする、実施態様1に記載の方法。
9.搬送ジェットは、搬送ノズルを通過する前に、旋回運動をすることを特徴とする、実施態様8に記載の方法。
10.旋回運動は、搬送ノズルの前に設置された旋回体によって行われることを特徴とする、実施態様9に記載の方法。
11.旋回運動は、搬送液を搬送ノズルの接線に供給することによって行われることを特徴とする、実施態様9に記載の方法。
12.搬送ジェットは、搬送ノズルを通過する際に分割されることを特徴とする、実施態様8から11までのいずれか1つに記載の方法。
13.搬送ノズルは、スクリーンノズルであるか、またはスリットノズルであることを特徴とする、実施態様12に記載の方法。
14.エジェクタは、容器中で水平に設置されていることを特徴とする、実施態様1から7までのいずれか1つに記載の方法。
15.エジェクタジェットノズルは、容器中で水平に設置されていることを特徴とする、実施態様8から13までのいずれか1つに記載の方法。
16.混合ノズルからインパルス交換室への移行部は、少なくとも1の開口部を有するジャケットを備えており、少なくとも1の開口部は、混合ノズルからインパルス交換室へと案内される中心ジェットの下方に存在することを特徴とする、実施態様8から13までのいずれか1つまたは実施態様15に記載の方法。
17.混合ノズルからインパルス交換室への移行部は、1のジャケットを備えており、該ジャケットは少なくとも1の開口部を有し、該開口部は、容器の底部の方向へ案内される浸漬管へと伸びていることを特徴とする、実施態様8から13までのいずれか1つまたは実施態様15に記載の方法。
18.液体が、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステルおよびメタクリル酸のエステルを含む群からの少なくとも1の有機化合物を含有することを特徴とする、実施態様1から17までのいずれか1つに記載の方法。
19.液体が、N−ビニルホルムアミドを含有することを特徴とする、実施態様1から17までのいずれか1つに記載の方法。
20.液体が少なくとも1の重合防止剤を溶解して含有していることを特徴とする、実施態様18または19に記載の方法。
21.気相が分子酸素を含有していることを特徴とする、実施態様1から20までのいずれか1つに記載の方法。
22.容器中の気相の体積が、容器中に貯蔵されている液体または混合物の体積の少なくとも5体積%であることを特徴とする、実施態様1から21までのいずれか1つに記載の方法。
23.容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状の固体とからなる液体または混合物1リットルあたり、少なくとも10-5標準リットルのガスを気相から吸引し、かつ容器中に存在する液体または混合物へと放出することを特徴とする、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の方法。
24.容器中へ搬送ジェットとして供給される液体または混合物が、予め容器から取り出された、容器中に存在する液体または混合物の部分量の一部または全量を含むことを特徴とする、実施態様1から23までのいずれか1つに記載の方法。
25.容器中へ搬送ジェットとして供給される液体または混合物が、予め容器から取り出された、容器中に存在する液体または混合物の部分量の一部または全量を含まないことを特徴とする、実施態様1から23までのいずれか1つに記載の方法。
26.容器中へ搬送ジェットとして供給される液体または混合物が、予め熱交換器に案内されていることを特徴とする、実施態様1から25までのいずれか1つに記載の方法
27.気相以外に、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を含有し、ならびに1の搬送ノズルおよび気相への接続部(該接続部を介して、気相からガスを吸引することができる)を有する1の吸引室を有する少なくとも1のエジェクタを有する容器。
28.気相以外に、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を含有し、ならびに1の搬送ノズル、搬送ノズルを包囲し、かつ混合ノズルへと伸びる1の吸引室および混合ノズルの出口が向いている1のインパルス交換室、および吸引室と気相との接続部(該接続部を介して、気相からガスを吸引することができる)を有する有するエジェクタジェットノズルを有する容器。
29.実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を、気体により誘導されて混合するためのエジェクタの使用であって、該液体または混合物は、液相によって占有可能な、容器の内部体積の一部のみを充填し、かつその際、残留する残りの占有可能な、容器の内部体積は、気相によって充填されている、エジェクタの使用。
30.実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を、気体により誘導されて混合するためのエジェクタジェットノズルの使用であって、該液体または混合物は、液相によって占有可能な、容器の内部体積の一部のみを充填し、かつその際、残留する残りの占有可能な、容器の内部体積は、気相によって充填されている、エジェクタジェットノズルの使用。
31.1の搬送ノズル、搬送ノズルを包囲し、かつ1の混合ノズルへと伸びている吸引室、および混合ノズルの出口が向いている1のインパルス交換室を有するエジェクタジェットノズルにおいて、混合ノズルからインパルス交換室への移行部が、ジャケットを備えており、該ジャケットは、浸漬管のための少なくとも1の接続部を有するか、またはジャケットへつながる少なくとも1の浸漬管を有することを特徴とする、エジェクタジェットノズル。
【0071】
本発明による方法は、実質的に閉鎖された容器中に、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物が存在し、該液体または混合物は、液相により占有可能な、容器の内部体積を部分的に充填するのみであり、かつその際、残留する残りの占有可能な、容器の内部体積は、気相によって充填されている場合に、該液体または混合物を、他の液体または他の混合物とできる限り迅速に混合するためにも適切である。
【0072】
この場合、最も簡単な方法では、本発明により搬送ジェットとして供給される、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物が、もっぱら混合導入される他の液体または他の混合物であるように実施することができる。他の液体または他の混合物の供給を行った後で、容器中での均質な混合物の形成をさらに促進するためには、たとえば容器からの取り出しのために利用可能なポンプを用いて、容器中に存在する液体または混合物の全量の部分量を取り出し、かつ取り出された部分量の少なくとも一部を(場合により熱交換器に通過させた後で)、容器中の液体または混合物中に存在する、本発明により使用される吸引装置の搬送ジェットして容器に返送することが適用技術的に有利である。
【0073】
あるいはまた、まず他の液体または他の混合物と、容器から予め取り出しておいた、該容器中に含有されていた液体または混合物とからなる混合物を、本発明により使用すべき吸引装置の搬送ジェットとして使用して実施することもできる。このようにして供給すべき他の液体または他の混合物の全量を供給した後で、容器中での均質な混合物の形成をさらに促進するために、たとえば容器からの取り出しのために利用可能なポンプを用いて、容器中に存在する液体または混合物の全量の一部を取り出し、かつ取り出された量の一部を(場合により熱交換器に通過させた後で)、容器中の液体または混合物中に存在する、本発明により使用すべき吸引装置の搬送ジェットとして容器に返送することが適用技術的に有利である。
【0074】
場合により、他の液体または他の混合物の供給された全量の供給を行った後で、容器中での均質な混合物の形成は、実質的に同一の液体または混合物をの搬送ジェットとして、これらを予め容器から取り出しておくことなく供給することによってさらに促進することができる。
【0075】
容器中に存在する液体、または容器中に存在する混合物の液体が、少なくとも1の、少なくともモノエチレン性不飽和基を有する化合物(たとえばアクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステルおよび/またはメタクリル酸のエステル)を含有するものである場合(通常、添加された重合防止剤により安定された形で)、これは種々の理由から、不所望のラジカル重合につながりうる。このような不所望のラジカル重合が、広範囲で発生することをできる限り迅速に防止するために、従来技術ではできる限り濃縮されたラジカル重合防止剤の溶液をできる限り早く混合することが推奨されている(WO00/64947、WO99/21893、WO99/24161、WO99/59717を参照のこと)。
【0076】
このような溶液はたとえば、前記の本発明により混合される液体であってもよい。特にこれは、「ショート・ストップ・ソリューション(short stop solution)」である場合には、少なくとも10質量%のフェノチアジン、5〜10質量%のp−メトキシフェノールおよび少なくとも50質量%のN−メチルピロリドンを含有する防止剤溶液である。
【0077】
あるいは、前記のWO文献において推奨されているその他の全ての「ショート・ストップ・ソリューション」が考えられる。
【0078】
従って本特許出願はさらに、以下の本発明による実施態様を含む:
33.実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を、他の液体または他の混合物と混合する方法であって、該液体または混合物は、液相によって占有可能な、容器の内部体積を一部のみ充填し、かつその際、残留する残りの、容器の占有可能な内部体積は気相によって充填されており、他の液体または他の混合物を、容器中の液体または混合物中に存在する吸引装置の搬送ジェットとして容器に供給することを含む混合方法において、吸引装置は搬送ジェットによって、容器中に存在する気相からガスを吸引し、かつ吸引されたガスは、搬送ジェットと一緒に、容器中に存在する液体または混合物へと放出されることを特徴とする、実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を、他の液体または他の混合物と混合する方法。
34.容器中に存在する液体が、少なくとも1のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有し、かつ搬送ジェットとして供給される他の液体が、少なくとも10質量%のフェノチアジン、5〜10質量%のp−メトキシフェノールおよび少なくとも50質量%のN−メチルピロリドンを含有する防止剤溶液を含有することを特徴とする、実施態様32に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】従来技術による混合方法を示す図
【図2】従来技術による混合方法を示す図
【図3】従来技術によるノズルを示す図
【図4】従来技術による混合方法を示す図
【図5】従来技術による混合方法を示す図
【図6】従来技術による混合方法を示す図
【図7】エジェクタを示す図
【図8】エジェクタを示す図
【図9】本発明による混合方法を示す図
【図10】本発明による混合方法を示す図
【図11】本発明による混合方法を示す図
【図12】本発明による混合方法を示す図
【図13】貯蔵タンクを示す図
【図14】エジェクタジェットノズルの寸法を示す図
【図15】エジェクタジェットノズルと旋回体を示す図
【図16】旋回体の立体図を示す図
【図17】エジェクタジェットノズルの断面図を示す図
【図18】エジェクタジェットノズルの爆発図を示す図
【0080】
実施例
図13に記載の屋外に存在するタンク(壁厚:5mm、製造材料:DIN番号1.4541の特殊鋼、直径8.5mの円形の底面を有する円筒形であり、円すい形の覆いの開始部分まで高さ10mを有する)中で、200質量ppmのMEHQにより安定化された純粋なアクリル酸(GAA)を、目標内部温度20℃で、大気圧下に最大の充填高さで貯蔵した。貯蔵タンク中の最大充填高さは、9mであった。最大充填高さで残留する気体体積は、69m3であった。
【0081】
タンクからの取り出しは、KSB社(D−67227、Frankenthal在)のCPK 50−200タイプの遠心ポンプを用いて行った。
【0082】
二重の滑りリングシーリングを有するポンプは、封液としてエチレングリコールと水とからなる混合物を含有している。貯蔵タンク中の純粋なアクリル酸の被覆は、空気によって行った。フレアから大気に向かって開放されている排ガスシステムを介して(円すい形の覆いの開口部断面積=20cm2)、充填の際に放圧のため、タンクの気相からのガスをフレアにおいて放出することができた。
【0083】
相応する方法で、タンクから純粋なアクリル酸を取り出す際に、圧力保持装置を介して、圧力を平衡にするために空気を後供給した。
【0084】
図13において明らかなように、底部付近には、図14からのエジェクタジェットノズル(DIN1.4541の特殊鋼製)が、拡散装置自体がタンク内へ突出するように、水平に設置されている。図14の記載は、エジェクタジェットノズルの相応する寸法(内寸)を、mmもしくは角度で示している(NWは標準寸法を表す)。壁圧は1〜6mmである。図15は、さらに、エジェクタ部分の搬送ノズルの前に存在する旋回体を、側面および正面から示しており、旋回角は30°である。図14は、さらに、エジェクタジェットノズルのエジェクタ部分の吸引室におけるタンクの気相に突出している上昇管の接続部(12)を示している。
【0085】
循環ポンプによりタンクから1週間にわたって連続的にアクリル酸40m3/hを取り出し、かつ図13に記載の熱交換器に、エジェクタジェットノズルの搬送ジェットして供給した。外部温度(これは試験期間中、±15℃の間隔で変動した)とは無関係に、貯蔵タンクの取り出し箇所の温度は、20±1℃の間隔内で一定に維持することができた。
【0086】
最後にタンクの上方から(最大の充填高さで)、純粋なアクリル酸中フェノチアジン1質量%の溶液1リットルを一度に添加した。5分後に、添加されたフェノチアジンの均等な分布濃度は、±10%の範囲内で貯蔵タンクの取り出し箇所における理論値にほぼ達した。
【0087】
引き続き、返送率を維持したが、しかし取り出し量は、20m3/h高めた、つまり、タンクは20m3/h空にされた。こうしてタンクから、タンク中で噴霧形成が行われることなく、その液状充填内容物を99%取り出すことが、問題なく可能であった(基本的にタンクからは循環ポンプにより案内されない排出部を介して純粋なアクリル酸を取り出すことができた)。
【0088】
図16はさらに、使用される旋回体の立体的な図を示している。
【0089】
図17は、具体的に示すために、エジェクタジェットノズルの立体的な図(切断図)を、および図18は、その爆発図を示している。
【0090】
その他には、図13で略号は次のものを表している:
TIA:「温度指示警報装置」
LIS:「レベル指示スイッチ」、過剰の充填(+)および過小の充填(−)として、
TIS:「温度指示安全装置」、
FIS:「流量指示安全装置」、
F:「流量」(ポンプの保護としての小さい安全流)
さらに、図13は、容器の覆い部分において双方向逆止弁、ならびにポンプの後方であって、かつ取り出し部の前方に、片側用の(外側のみに向かって開く)逆止弁を示している。
【0091】
米国仮特許出願番号60/846094、出願日2006年9月21日は、引用することによって本出願の内容とする。上述の教示に関して、本発明の多様な変更および逸脱が可能である。従って、本発明は、添付されている特許請求の範囲内で、本明細書中の特定の記載とは異なる構成で実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を混合する方法であって、該液体または混合物は液相により占有可能な、容器の内部体積を部分的に充填するのみであり、かつその際に残留する残りの占有可能な、容器の内部体積は気相によって充填されており、実質的に同一の液体または実質的に同一の混合物を、容器中の液体または混合物中に存在する吸引装置の搬送ジェットとして容器に供給することを含む混合方法において、吸引装置は搬送ジェットによって容器中に存在する気相からガスを吸引し、かつ吸引されたガスは搬送ジェットと一緒に容器中に存在する液体または混合物へと放出されることを特徴とする、実質的に閉鎖された容器中に存在する液体または混合物を混合する方法。
【請求項2】
吸引装置が少なくとも1のエジェクタを有しており、該エジェクタは、1の搬送ノズルと、気相に接続している1の吸引室とを有しており、かつその搬送ノズルによって搬送ジェットが案内されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
搬送ジェットは、搬送ノズルを通過する前に旋回運動をすることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
旋回運動が、搬送ノズルの前に設置された旋回体によって行われることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
旋回運動が、搬送ノズルの搬送液を接線に供給することによって行われることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項6】
搬送ジェットは、搬送ノズルを通過する際に分割されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
搬送ノズルは、スクリーンノズルであるか、またはスリットノズルであることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
吸引装置が少なくとも1のエジェクタジェットノズルを有し、該ノズルは1の搬送ノズル、搬送ノズルを包囲し、かつ混合ノズルへと伸びている1の吸引室、および混合ノズルの出口が向いている1のインパルス交換室を有しており、その際、吸引室は気相と接続されており、かつその搬送ノズルを通過して搬送ジェットは混合ノズルを経由してインパルス混合室へ案内されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項9】
搬送ジェットは、搬送ノズルを通過する前に、旋回運動をすることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
旋回運動は、搬送ノズルの前に設置された旋回体によって行われることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
旋回運動は、搬送液を搬送ノズルの接線に供給することによって行われることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項12】
搬送ジェットは、搬送ノズルを通過する際に分割されることを特徴とする、請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
搬送ノズルは、スクリーンノズルであるか、またはスリットノズルであることを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
エジェクタは、容器中で水平に設置されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
エジェクタジェットノズルは、容器中で水平に設置されていることを特徴とする、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
混合ノズルからインパルス交換室への移行部は、少なくとも1の開口部を有するジャケットを備えており、少なくとも1の開口部は、混合ノズルからインパルス交換室へと案内される中心ジェットの下方に存在することを特徴とする、請求項8から13までのいずれか1項または請求項15記載の方法。
【請求項17】
混合ノズルからインパルス交換室への移行部は、1のジャケットを備えており、該ジャケットは少なくとも1の開口部を有し、該開口部は、容器の底部の方向へ案内される浸漬管へと伸びていることを特徴とする、請求項8から13までのいずれか1項または請求項15記載の方法。
【請求項18】
液体が、アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステルおよびメタクリル酸のエステルを含む群からの少なくとも1の有機化合物を含有することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
液体が、N−ビニルホルムアミドを含有することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
液体が少なくとも1の重合防止剤を溶解して含有していることを特徴とする、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
気相が分子酸素を含有していることを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
容器中の気相の体積が、容器中に貯蔵されている液体または混合物の体積の少なくとも5体積%であることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状の固体とからなる液体または混合物1リットルあたり、少なくとも10-5標準リットルのガスを気相から吸引し、かつ容器中に存在する液体または混合物へと放出することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
容器中へ搬送ジェットとして供給される液体または混合物が、予め容器から取り出された、容器中に存在する液体または混合物の部分量の一部または全量を含むことを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
容器中へ搬送ジェットとして供給される液体または混合物が、予め容器から取り出された、容器中に存在する液体または混合物の部分量の一部または全量を含まないことを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
容器中へ搬送ジェットとして供給される液体または混合物が、予め熱交換器に案内されていることを特徴とする、請求項1から25までのいずれか1項記載の方法
【請求項27】
気相以外に、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を含有し、ならびに1の搬送ノズルおよび気相への接続部を有する1の吸引室を有する少なくとも1のエジェクタを有する容器。
【請求項28】
気相以外に、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を含有し、ならびに1の搬送ノズル、搬送ノズルを包囲し、かつ混合ノズルへと伸びる1の吸引室および混合ノズルの出口が向いている1のインパルス交換室、および吸引室と気相との接続部を有する有するエジェクタジェットノズルを有する容器。
【請求項29】
実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を、気体により誘導されて混合するためのエジェクタの使用であって、該液体または混合物は、液相によって占有可能な、容器の内部体積の一部のみを充填し、かつその際、残留する残りの占有可能な、容器の内部体積は、気相によって充填されている、エジェクタの使用。
【請求項30】
実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を、気体により誘導されて混合するためのエジェクタジェットノズルの使用であって、該液体または混合物は、液相によって占有可能な、容器の内部体積の一部のみを充填し、かつその際、残留する残りの占有可能な、容器の内部体積は、気相によって充填されている、エジェクタジェットノズルの使用。
【請求項31】
1の搬送ノズル、搬送ノズルを包囲し、かつ1の混合ノズルへと伸びている吸引室、および混合ノズルの出口が向いている1のインパルス交換室を有するエジェクタジェットノズルにおいて、混合ノズルからインパルス交換室への移行部が、ジャケットを備えており、該ジャケットは、浸漬管のための少なくとも1の接続部を有するか、またはジャケットへつながる少なくとも1の浸漬管を有することを特徴とする、エジェクタジェットノズル。
【請求項32】
実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を、他の液体または他の混合物と混合する方法であって、該液体または混合物は、液相によって占有可能な、容器の内部体積を一部のみ充填し、かつその際、残留する残りの、容器の占有可能な内部体積は気相によって充填されており、他の液体または他の混合物を、容器中の液体または混合物中に存在する吸引装置の搬送ジェットとして容器に供給することを含む混合方法において、吸引装置は搬送ジェットによって、容器中に存在する気相からガスを吸引し、かつ吸引されたガスは、搬送ジェットと一緒に、容器中に存在する液体または混合物へと放出されることを特徴とする、実質的に閉鎖された容器中に存在する、1の液体と1の微粒子状固体とからなる液体または混合物を、他の液体または他の混合物と混合する方法。
【請求項33】
容器中に存在する液体が、少なくとも1のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有し、かつ搬送ジェットとして供給される他の液体が、少なくとも10質量%のフェノチアジン、5〜10質量%のp−メトキシフェノールおよび少なくとも50質量%のN−メチルピロリドンを含有する防止剤溶液を含有することを特徴とする、請求項32記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−504195(P2010−504195A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528695(P2009−528695)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059756
【国際公開番号】WO2008/034783
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】