説明

開口部装置

【課題】開閉装置によりロック機構も操作可能とし、簡素な構成で耐風圧性能を向上する。
【解決手段】開閉アーム6の一端を枠体3に枢結し他端を戸先框4Tに対してスライド可能とし、縦枠3Sに対してスライドするスライド体9に一端を枢結した連動アーム10の他端と開閉装置2により中心軸7Aまわりに揺動する操作アーム7の先端とをピン11により連結し、戸先框4T及びスライド体9に設けた掛止部材12,13を備え、開閉アーム6に、ピン11が相対移動する開閉操作用長孔14と障子4が閉じた状態でさらにピン11が室内側へ相対移動するように開閉操作用長孔14に繋がり室内側へ屈曲するロック操作用長孔15を形成した。操作アーム7と共にピン11が開閉操作用長孔14に沿って移動することにより障子4が開閉し、ピン11がロック操作用長孔15に沿って室内側へ移動することにより施錠状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内側から操作する開閉装置により、枠体内に納められた障子を室内外方向へ開閉することができる開口部装置に関わり、更に詳しくは、開閉装置により障子を閉じる際に施錠状態となり、開閉装置により障子を開く際に解錠状態となるロック機構を備えた開口部装置に関するものである。
【0002】
縦すべり出し窓、横すべりだし窓、開き窓又は突き出し窓等のように、室内側から操作する開閉装置(オペレータ)により枠体内に納められた障子を室内外方向へ開閉することができる開口部装置として、枠体と障子とをカム溝を設けた連結アームで連結し、開閉装置のレバー部の先端に取り付けた接触子を連結アームのカム溝に挿通し、開閉装置の操作力によるレバー部の揺動により連結アームを揺動させて障子を開閉するもの(例えば、特許文献1参照。)、開閉装置により駆動される中折れ可能な作動アームの先端と障子とを連結し、開閉装置の操作力により作動アームを揺動(伸縮)させて障子を開閉するもの(例えば、特許文献2参照。)、開閉装置の操作力による連係腕部の回転動作を、連動板を介してガイド板に沿って上下方向にスライド自在な作動板のスライド動作に変換し、縦枠に固定されたベース板に第2スライド孔及びベース板ピンを設け、連結アームの枠側端部に設けた第2アームピンを第2スライド孔に挿通して作動板に回動自在に固定し、連結アームの枠側端部に設けた第3スライド孔内にベース板ピンを挿通させ、作動板のスライド動作により連結アームを回動させて障子を開閉するもの(例えば、特許文献3参照。)等がある。
【0003】
これらの開口部装置は、開閉装置により障子を閉じる際に施錠状態となり、開閉装置により障子を開く際に解錠状態となるロック機構を備えており、ロック機構の操作を行う機構を開閉装置と別に設ける必要がないため、明り取り及び換気用等、特に高所での使用に適している。
例えば、特許文献1の開口部装置は、連結アームのカム溝の上部に折曲部の切り込みを設け、該切り込みを底部の第一経路と、上部の係止点を備えた第二経路によって構成し、障子の閉鎖時に、開閉ユニット(オペレータ)により回動するレバー部先端の接触子を係止点に保持するロック機構を備えている。
また、特許文献2の開口部装置は、作動アームの先端と障子との連結部に、障子の閉鎖時又は閉鎖位置の手前で作動アームの先端の障子開閉方向と略直交する方向への移動を許容する移動許容部を設け、障子の閉鎖時に、作動アームの先端側に設けた係合部を枠体に設けた係合受部に係合させるロック機構を備えている。
さらに、特許文献3の開口部装置は、障子の閉鎖時に、連結アームに設けたロック受部(切欠)を戸先框に設けたロック部(ピン)に嵌合させ、連結アームに設けたロック係合部(切欠)をベース板の下端部に形成したロック被係合部に係合させるロック機構(以下において「連結アーム部ロック機構」という。)と、戸先框の上部に設けたロック部(ピン)を作動板の上端近傍に設けたロック受部に嵌合させるロック機構(以下において「作動板部ロック機構」という。)とを備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−36398号公報(図1−5)
【特許文献2】特開2003−184402号公報(図1−4)
【特許文献3】特開2007−100444号公報(図1−6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のロック機構では連結アームのカム溝(長孔)にレバー部先端の接触子(ピン)が引っ掛かっているだけであるため、また特許文献2のロック機構では係合受部のテーパ(傾斜)部に係合部(ピン)が当たっているだけであるため、風圧の変動や外部からの揺動の繰り返しによってガタツキが生じたり、ロック機構が外れて解錠状態となるおそれがあるとともに、ロック機構の信頼性を長期にわたって保持することは困難である。
よって、特許文献1及び特許文献2のような従来の開口部装置では、開閉装置の操作によりロック機構も操作することができるという特徴がある反面、耐風圧性能及び防犯性能については十分な性能が得られておらず、これらの性能向上の観点からは改良の余地がある。
【0006】
また、特許文献3のロック機構は、前記のとおり、連結アームの枠側端部に設けた第2アームピンをベース板の第2スライド孔に挿通して作動板に回動自在に固定し、連結アームの枠側端部に設けた第3スライド孔内にベース板ピンを挿通させることにより、作動板のスライド動作により連結アームを回動させて障子を開閉する構成であるため、連結アームの第2アームピン及びベース板の第2スライド孔の間並びに連結アームの第3スライド孔及びベース板ピンの間でガタツキが生じやすく、したがって、このようなガタツキ防止のために、連結アーム部ロック機構を備える必要がある。
その上、このような連結アーム部ロック機構のみでは、風圧の変動や外部からの揺動の繰り返しによってガタツキが生じたり、ロック機構が外れて解錠状態となるおそれがあるとともに、ロック機構の信頼性を長期にわたって保持することは困難であるため、耐風圧性能及び防犯性能の向上のために、さらに作動板部ロック機構を備える必要がある。
よって、特許文献3のような従来の開口部装置では、開閉装置の操作によりロック機構も操作することができるという特徴がある反面、障子の開閉機構及びロック機構の構成が複雑であり、部品点数が多いこと及び組み付け調整作業に時間がかかることからコストが増大する。
さらに、連結アームに切欠が形成されていることから連結アームが変形しやすいこと及び構成が複雑であること等から、障子の開閉機構及びロック機構の動作の信頼性が長期間の使用により低下する場合がある。
【0007】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、開閉装置の操作によりロック機構も操作することができる構成でありながら、より実用的な簡素な構成により耐風圧性能及び防犯性能を向上することができ、障子の開閉機構及びロック機構の信頼性を長期にわたって保持することがきる開口部装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る開口部装置は、前記課題解決のために、室内側から操作する開閉装置により、左右の縦枠と上下の横枠とからなる枠体内に納められた障子を室内外方向へ開閉することができる開口部装置であって、一端が前記縦枠又は横枠に対して水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に支持され、他端が前記障子の戸先框に対して垂直方向又は水平方向にスライド可能に連結された開閉アームと、前記開閉装置の操作力により前記支軸と平行な揺動中心軸まわりに揺動する操作アームと、前記戸先框に対向する前記縦枠又は横枠に沿って取り付けられたガイド部材により支持され、該ガイド部材に沿って垂直方向又は水平方向にスライド可能なスライド体と、該スライド体に対して一端が水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に連結された連動アームと、該連動アームの他端と前記操作アームの先端とを水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に連結する連結軸と、前記戸先框及び前記スライド体に設けられた一対の掛止部材とを備え、前記開閉アームの中間部分に、前記連結軸が内挿されて相対移動するように長手方向に延びる略直線状の開閉操作用長孔と、前記障子が閉じた状態でさらに前記連結軸が室内側へ相対移動するように、該開閉操作用長孔に繋がり室内側へ屈曲する略円弧状のロック操作用長孔を形成してなり、前記開閉装置の操作力による前記操作アームの揺動に伴い、前記連結軸が前記開閉操作用長孔に沿って移動することにより前記開閉アームが揺動して前記障子が開閉し、前記障子が閉じた状態で前記連結軸が前記ロック操作用長孔に沿って室内側へ移動することにより前記連結アームが揺動して前記スライド体がスライドし、前記一対の掛止部材が掛止して施錠状態となり、この施錠状態で前記連結軸が前記ロック操作用長孔に沿って室外側へ移動することにより前記施錠状態が解除されて解錠状態となるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る開口部装置によれば、室内側から操作する開閉装置により、左右の縦枠と上下の横枠とからなる枠体内に納められた障子を室内外方向へ開閉することができる開口部装置であって、一端が前記縦枠又は横枠に対して水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に支持され、他端が前記障子の戸先框に対して垂直方向又は水平方向にスライド可能に連結された開閉アームと、前記開閉装置の操作力により前記支軸と平行な揺動中心軸まわりに揺動する操作アームと、前記戸先框に対向する前記縦枠又は横枠に沿って取り付けられたガイド部材により支持され、該ガイド部材に沿って垂直方向又は水平方向にスライド可能なスライド体と、該スライド体に対して一端が水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に連結された連動アームと、該連動アームの他端と前記操作アームの先端とを水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に連結する連結軸と、前記戸先框及び前記スライド体に設けられた一対の掛止部材とを備え、前記開閉アームの中間部分に、前記連結軸が内挿されて相対移動するように長手方向に延びる略直線状の開閉操作用長孔と、前記障子が閉じた状態でさらに前記連結軸が室内側へ相対移動するように、該開閉操作用長孔に繋がり室内側へ屈曲する略円弧状のロック操作用長孔を形成してなり、前記開閉装置の操作力による前記操作アームの揺動に伴い、前記連結軸が前記開閉操作用長孔に沿って移動することにより前記開閉アームが揺動して前記障子が開閉し、前記障子が閉じた状態で前記連結軸が前記ロック操作用長孔に沿って室内側へ移動することにより前記連結アームが揺動して前記スライド体がスライドし、前記一対の掛止部材が掛止して施錠状態となり、この施錠状態で前記連結軸が前記ロック操作用長孔に沿って室外側へ移動することにより前記施錠状態が解除されて解錠状態となるので、開閉装置(オペレータ)の操作力による操作アームの揺動により開閉アームが直接駆動されて障子を開閉する操作が行われるとともに、操作アームの揺動に伴って、操作アームの先端に枢結された連動アームが揺動し、連動アームの他端に枢結されたスライド体がガイド部材に沿ってスライドすることにより施錠・解錠の操作が行われるため、開閉装置の操作によりロック機構も操作することができる。したがって、ロック機構の操作を行う機構を開閉装置と別に設ける必要がないため、明り取り及び換気用等、特に高所での使用に適している。
【0010】
また、開閉アームの開閉操作用長孔内を操作アーム先端の連結軸がスライドするため、開閉アームと操作アームとにより揺動スライダクランク機構が構成され、操作アーム及び連動アームの揺動によりスライド体がスライドするため、ガイド部材及びスライド体並びに操作アーム及び連動アームにより往復スライダクランク機構が構成され、これらのスライダクランク機構は、簡素な構成で作動誤差が少なく、強度及び剛性を高めることが容易であり、安定かつ確実に動作するものである。
よって、操作アームにより駆動される開閉機構が前記揺動スライダクランク機構により構成され、同じく操作アームにより駆動されて一対の掛止部材を掛止させるロック機構が前記往復スライダクランク機構により構成されることから、開閉機構及びロック機構の動作が安定かつ確実なものとなるとともに、その信頼性を長期にわたって保持することができる。
その上、障子が閉じた状態でさらに連結軸をロック操作用長孔に沿って室内側へ移動させることにより、前記往復スライダクランク機構を操作して一対の掛止部材を掛止させることにより施錠状態となることから、ロック機構の動作がさらに確実なものとなるとともに、一対の掛止部材により障子が閉じた状態でさらに開口部装置の枠体と障子とを引き付けて密閉度を向上することができる。
その上さらに、前記揺動スライダクランク機構を用いた開閉機構及び前記往復スライダクランク機構と一対の掛止部材とを組み合わせたロック機構の構造上、上記密閉度の向上とともに、風圧の変動や外部からの揺動の繰り返しによってもガタツキが生じたり、ロック機構が外れて解錠状態となるおそれがないことから、十分な耐風圧性能及び防犯性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、室内側から室外側へ向かう方向の前側を前、後側を後とし、左右は前方に向かっていうものとし、左方から見た図を正面図とする。
【0012】
図1〜図6は本発明の実施の形態に係る開口部装置の説明図であり、図1は部分断面正面図、図2及び図3は横断平面図、図4は要部の分解斜視図、図5及び図6は障子の開閉機構及びロック機構を示す正面図であり、図1は障子を開けた状態、図5は障子を閉じた状態、図6は施錠状態を示している。
【0013】
図1〜図3に示す開口部装置1は、室内側から操作する開閉装置(オペレータ)2により枠体3内に納められた障子4を前側(室外側)へ開くことができるとともに、開いた障子4を枠体3内へ納めるように閉じることができるものであり、縦すべり出し窓である場合を示している。
図1に示すように、枠体3は横枠である上枠3U及び下枠3L並びに左右の縦枠3S,3Sにより、障子4は横框である上框4U及び下框4L並びに左右の縦框4S,4S及び前後2枚のガラス4G,4G等により構成されており、上枠3Uと上框4Uとの間並びに下枠3L下框4Lとの間にそれぞれ取り付けられた上下のステー5,5により障子4は枠体3により支持されている。
【0014】
また、開閉装置2は、障子4の開閉端である戸先框4Tに対向する縦枠3Sに固定され、モータ2B(図2参照。)により入力軸である回転軸2Aを駆動することにより(例えば図1の矢印A参照。)、あるいは、チェーン2Cを操作することによりスプロケット2D(図3参照。)を回転させて回転軸2Aを駆動することにより(例えば図1の矢印A参照。)、回転軸2Aと同軸に固定された図示しないウォームに噛み合うウォームホイール7C(図4参照。)を前記ウォームに対して相対的に移動させ、水平の揺動中心軸7Aまわりに操作アーム7を揺動させるものである。
【0015】
図1〜図4に示すように、水平支軸である段付きピン19の軸部を開閉アーム6の一端(枠側端部)の通孔6A及び戸先框4Tに対向する縦枠3Sに取り付けられた枠側ブラケット17の通孔17Aを通して軸端をかしめることにより、開閉アーム6の一端は、縦枠3Sに対して段付きピン19まわりに揺動可能に支持される。
また、開閉アーム6の他端(框側端部)の水平ピン16が、障子4の戸先框4Tに取り付けられた障子側ブラケット18の上下に延びる長孔18Aに内挿されるため、開閉アーム6の他端は、障子4の戸先框4Tに対して垂直方向(上下方向)にスライド可能に連結される。
そして、開閉アーム6には、その中間部分に、長手方向に延びる略直線状の開閉操作用長孔14及び開閉操作用長孔14に繋がり室内側へ屈曲する略円弧状のロック操作用長孔15が形成されている。
【0016】
さらに、戸先框4Tに対向する縦枠3Sに沿ってガイド部材8が取り付けられ、ガイド部材8によりスライド体9が垂直方向にスライド可能に支持される。
そして、水平支軸である段付きピン20の軸部をスライド体9の下端部の通孔9A及び連動アーム10の一端(枠側端部)の通孔10Aを通して軸端をかしめることにより、連動アーム10の一端はスライド体9に対して段付きピン20まわりに揺動可能に連結される。
【0017】
さらにまた、連動アーム10の他端(遊端部)には連結軸である水平ピン11が垂設されており、水平ピン11が操作アーム7先端部の通孔7B内に挿入されるため、連動アーム10の他端(遊端部)と操作アーム7の先端とは、水平ピン11まわりに揺動可能に連結される。
また、水平ピン11はさらに開閉アーム6の開閉操作用長孔14内にも挿入され、水平ピン11の側面11Aが開閉操作用長孔14を形成する側壁に摺接した状態で、取付けねじ21が水平ピン11の螺孔に螺合される。このようにして開閉アーム6の開閉操作用長孔14に沿って相対移動可能な水平ピン11は、障子4が閉じた状態(図5参照。)で、その側面11Aをロック操作用長孔15を形成する側壁に摺接させながら、さらに室内側へ相対移動することができる。
さらに、障子4の戸先框4Tには掛止ピン12が取り付けられ、縦枠3Sに対して垂直方向にスライドするスライド体9には鈎状掛止片13が取り付けられ、これら掛止ピン12及び鈎状掛止片13が一対の掛止部材を構成する。
【0018】
以上のような構成により、開閉装置2の入力軸2Aを例えば図1の矢印A方向に回転させることにより、操作アーム7が揺動中心軸7Aまわりに揺動して水平ピン11が開閉操作用長孔14に沿って移動するため、例えば図1の矢印Bのように開閉アーム6を揺動させて障子4を閉じることができ(図5の障子4を閉じた状態参照。)、この状態からさらに開閉装置2の入力軸2Aを同方向に回転させることにより、開閉アーム6は揺動せずに操作アーム7が室内側へ揺動して水平ピン11がロック操作用長孔15に沿って室内側へ移動するため、連動アーム10を介してスライド体9とともに鈎状掛止片13が上昇し(図5の矢印C参照。)、鈎状掛止片13が掛止ピン12に掛止する(図6の施錠状態参照。)。
【0019】
また、この施錠状態から、開閉装置2の入力軸2Aを図1及び図5の矢印Aと逆方向に回転させることにより、操作アーム7が室外側へ揺動して水平ピン11がロック操作用長孔15に沿って室外側へ移動するため、連動アーム10を介してスライド体9とともに鈎状掛止片13が下降し、鈎状掛止片13が掛止ピン12から外れて解錠状態となり、この状態からさらに開閉装置2の入力軸2Aを同方向に回転させることにより、操作アーム7の揺動に伴って水平ピン11が開閉操作用長孔14に沿って移動するため、開閉アーム6を図1の矢印Bと逆方向に揺動させて障子4を開くことができる。
【0020】
このように、開閉装置2の操作力による操作アーム7の揺動により開閉アーム6が直接駆動されて障子4を開閉する操作が行われるとともに、操作アーム7の揺動に伴って、操作アーム7の先端に枢結された連動アーム10が揺動し、連動アーム10の他端に枢結されたスライド体9がガイド部材8に沿ってスライドすることにより施錠・解錠の操作が行われるため、開閉装置2の操作によりロック機構も操作することができる。したがって、ロック機構の操作を行う機構を開閉装置と別に設ける必要がないため、明り取り及び換気用等、特に高所での使用に適している。
【0021】
また、開閉アーム6の開閉操作用長孔14内を操作アーム7先端の水平ピン11がスライドするため、開閉アーム6と操作アーム7とにより揺動スライダクランク機構が構成され、操作アーム7及び連動アーム10の揺動によりスライド体9がスライドするため、ガイド部材8及びスライド体9並びに操作アーム7及び連動アーム10により往復スライダクランク機構が構成され、これらのスライダクランク機構は、簡素な構成で作動誤差が少なく、強度及び剛性を高めることが容易であり、安定かつ確実に動作するものである。
よって、操作アーム7により駆動される開閉機構が前記揺動スライダクランク機構により構成され、同じく操作アーム7により駆動されて一対の掛止部材12,13を掛止させるロック機構が前記往復スライダクランク機構により構成されることから、開閉機構及びロック機構の動作が安定かつ確実なものとなるとともに、その信頼性を長期にわたって保持することがきる。
【0022】
その上、障子4が閉じた状態でさらに水平ピン11をロック操作用長孔15に沿って室内側へ移動させることにより、前記往復スライダクランク機構を操作して一対の掛止部材12,13を掛止させることにより施錠状態となることから、ロック機構の動作がさらに確実なものとなるとともに、障子4が閉じた状態で、一対の掛止部材12,13によりさらに開口部装置1の枠体3と障子4とを引き付けて密閉度を向上することができる。
その上さらに、前記揺動スライダクランク機構を用いた開閉機構及び前記往復スライダクランク機構と一対の掛止部材12,13とを組み合わせたロック機構の構造上、例えば図6の施錠状態において、上記密閉度の向上とともに、風圧の変動や外部からの揺動の繰り返しによっても開口部装置1にガタツキが生じたり、ロック機構が外れて解錠状態となるおそれがないことから、十分な耐風圧性能及び防犯性能を得ることができる。
【0023】
以上の説明においては、一対の掛止部材を、戸先框4Tに取り付けた掛止ピン12とスライド体9に取り付けた鈎状掛止片13とにより構成する場合について説明したが、例えば戸先框4Tに鈎状掛止片を取り付けてスライド体9に掛止ピンを取り付けてもよく、障子4が閉じた状態で開閉装置2により前記往復スライダクランク機構を操作することにより、一対の掛止部材が掛止して施錠状態となる構成であればよい。
また、以上の説明においては、開口部装置1が縦すべり出し窓である場合について説明したが、開口部装置1は、横すべりだし窓、開き窓又は突き出し窓等であってもよく、開口部装置1が例えば横すべりだし窓である場合には、開閉アーム6が水平方向に揺動するように、その枠側端部を枠体3の横枠(上枠3U又は下枠3L)に対して垂直支軸まわりに揺動可能に連結し、その框側端部を障子4の戸先框に対して水平方向にスライド可能に連結し、前記戸先框に対向する横枠に沿ってガイド部材8を取り付け、ガイド部材8に沿ってスライド体9を水平方向にスライド可能とし、操作アーム7及び連動アーム10を垂直支軸まわりに揺動可能なものとすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る開口部装置の部分断面正面図であり、障子を開けた状態を示している。
【図2】同じく横断平面図である。
【図3】同じく横断平面図である。
【図4】要部の分解斜視図である。
【図5】障子の開閉機構及びロック機構を示す正面図であり、障子を閉じた状態を示している。
【図6】同じく正面図であり、施錠状態を示している。
【符号の説明】
【0025】
1 開口部装置
2 開閉装置(オペレータ)
2A 回転軸(入力軸)
2B モータ
2C チェーン
2D スプロケット
3 枠体
3U 上枠
3L 下枠
3S 縦枠
4 障子
4U 上框
4L 下框
4S 縦框
4T 戸先框
4G ガラス
5 ステー
6 開閉アーム
6A 通孔
7 操作アーム
7A 揺動中心軸
7B 通孔
7C ウォームホイール
8 ガイド部材
9 スライド体
9A 通孔
10 連動アーム
10A 通孔
11 ピン(連結軸)
11A 側面
12 掛止ピン(掛止部材)
13 鈎状掛止片(掛止部材)
14 開閉操作用長孔
15 ロック操作用長孔
16 ピン
17 枠側ブラケット
17A 通孔
18 障子側ブラケット
18A 長孔
19,20 段付きピン(水平支軸)
21 取付けねじ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内側から操作する開閉装置により、左右の縦枠と上下の横枠とからなる枠体内に納められた障子を室内外方向へ開閉することができる開口部装置であって、
一端が前記縦枠又は横枠に対して水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に支持され、他端が前記障子の戸先框に対して垂直方向又は水平方向にスライド可能に連結された開閉アームと、
前記開閉装置の操作力により前記支軸と平行な揺動中心軸まわりに揺動する操作アームと、
前記戸先框に対向する前記縦枠又は横枠に沿って取り付けられたガイド部材により支持され、該ガイド部材に沿って垂直方向又は水平方向にスライド可能なスライド体と、
該スライド体に対して一端が水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に連結された連動アームと、
該連動アームの他端と前記操作アームの先端とを水平支軸又は垂直支軸まわりに揺動可能に連結する連結軸と、
前記戸先框及び前記スライド体に設けられた一対の掛止部材とを備え、
前記開閉アームの中間部分に、前記連結軸が内挿されて相対移動するように長手方向に延びる略直線状の開閉操作用長孔と、前記障子が閉じた状態でさらに前記連結軸が室内側へ相対移動するように、該開閉操作用長孔に繋がり室内側へ屈曲する略円弧状のロック操作用長孔を形成してなり、
前記開閉装置の操作力による前記操作アームの揺動に伴い、前記連結軸が前記開閉操作用長孔に沿って移動することにより前記開閉アームが揺動して前記障子が開閉し、前記障子が閉じた状態で前記連結軸が前記ロック操作用長孔に沿って室内側へ移動することにより前記連結アームが揺動して前記スライド体がスライドし、前記一対の掛止部材が掛止して施錠状態となり、この施錠状態で前記連結軸が前記ロック操作用長孔に沿って室外側へ移動することにより前記施錠状態が解除されて解錠状態となることを特徴とする開口部装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−155965(P2009−155965A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337016(P2007−337016)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】