説明

開閉体応動装置

【課題】リッドやドア等の開閉体の開閉に応動して該開閉体を開放方向に付勢すると共に該開閉体の開閉を検知するのに、2つの部品を必要とせず、1つの部品で済ませ得るようにする。
【解決手段】付勢機構部1が、開閉体の閉鎖動に応動して該開閉体を開放させるための付勢力を蓄え、該開閉体の開放時にその蓄えた付勢力を放って該開閉体を開放方向に付勢するものであり、スイッチ部2は、開閉体の開閉動に付勢機構部1を介し応動して接離する可動コンタクト32と固定コンタクト26,27とを有するもので、これら付勢機構部1とスイッチ部2とを結合して一体化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッドやドア等の開閉体の開閉に応動する開閉体応動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば車両のフューエルリッドに対しては、それの閉鎖動に応動して該リッドを開放させるための付勢力を蓄え、該リッドの開放時にその蓄えた付勢力を放って該リッドを開放方向に付勢する付勢機構が設けられている(例えば特許文献1参照)。
又、それとは別に、上記フューエルリッドの開閉動に応動して接離するコンタクトを有するスイッチが設けられ、それにより該リッドの開閉を検知して、例えば該リッドの開閉を表示する表示作動に役立てられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−290573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものの場合、フューエルリッドの開閉に応動して該リッドを開放方向に付勢すると共に該リッドの開閉を検知するのに、付勢機構とスイッチの、2つの部品が必要であり、従って、それらを設置するのにも、2つ分の別個のスペースが必要とされると共に、2つ分の別個の作業が必要とされるという欠点を有していた。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、リッドやドア等の開閉体の開閉に応動して該開閉体を開放方向に付勢すると共に該開閉体の開閉を検知するのに、2つの部品を必要とせず、1つの部品で済ませ得て、設置スペースの縮減化や設置作業の簡略化を図ることのできる開閉体応動装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の開閉体応動装置は、開閉体の閉鎖動に応動して該開閉体を開放させるための付勢力を蓄え、該開閉体の開放時にその蓄えた付勢力を放って該開閉体を開放方向に付勢する付勢機構部と、この付勢機構部に一体化して設けられ、前記開閉体の開閉動に前記付勢機構部を介し応動して接離するコンタクトを有するスイッチ部とを具備して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によれば、付勢機構部とスイッチ部とを一体化していることにより、それらの両機能を得るのに、2つの部品を必要とせず、1つの部品で済ませ得て、設置スペースの縮減化や設置作業の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例を示す装置全体の断面図その1
【図2】装置全体の断面図その2
【図3】装置全体の分解斜視図
【図4】主要部分の、一部を展開した分解図
【図5】主要部分の動作を(a)〜(e)で操作順に示す、一部を展開した説明図
【図6】図1とは状態の異なる装置全体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例(一実施形態)につき、図面を参照して説明する。
まず、図1及び図2には、装置の全体構成を組み立て状態で示しており、大別して、付勢機構部1とスイッチ部2とから成っている。
付勢機構部1は、ボディ3を主体としており、このボディ3は、図3に示すように、前(図で左側)寄りの中間部につば部4を有し、このつば部4より前方の前側部5が円筒状で、後方の後側部6が外形で角柱状を成している。
【0010】
後側部6は、更に、前側が小角柱部6aで、後側が大角柱部6bとなっており、そのうちの小角柱部6aの外面部に取付爪7を形成し、大角柱部6bに連結孔8を形成している。なお、取付爪7はボディ3を図示しない取付相手部材に取り付けるためのものであり、連結孔8はボディ3に後述するインシュレータ25を連結するためのものである。
【0011】
前側部5から大角柱部6b前部までのボディ3の内部は、図1及び図2に示すように、同一径の円洞状を成しており、その内周面部には、膨出壁9によって、図4に示す係合部10,11とガイド部12,13,14とを形成している。このうち、係合部10は、膨出壁9の後縁から前側へ軸方向(図4の矢印A方向)に延びる長溝で、複数がボディ3の周方向(図4の矢印B方向)にほゞ均等間隔置きに列している。係合部11は、係合部10の各間にあって、係合部10よりも膨出壁9の後縁から前側への奥行の小さな凹部から成っている。
【0012】
ガイド部12,13,14は膨出壁9の後縁であり、ガイド部12が係合部10の開放端から係合部11の奥端へ斜状に延び、ガイド部13が係合部11の奥端から後方へ直状に延び、ガイド部14がガイド部13の後端から隣の係合部10の開放端へ斜状に延びている。
【0013】
ボディ3の内部には、前方より順に、シャフト15と、スプリング16、及びロータ17を挿入している。このうち、シャフト15は、図2に示すように、前端を閉塞し、後端を開放した短円筒状で、図3に示すように、外周面部の複数か所(例えば3か所)に突部18を有しており、その突部18を図1に示すように上記係合部10の1つずつに挿入している。なお、係合部10は突部18の個数以上の数で設けている。又、シャフト15の後端の周縁部には、ほゞ等ピッチの鋸歯状に複数の歯19を形成している。スプリング16は、図2に示すように、シャフト15の内部に挿入して該シャフト15の前端部とロータ17との間に介在させている。
【0014】
ロータ17は、短円柱状で、前端面部に上記スプリング16の後端部を収容する凹部20を有し、図3に示すように、外周面部の例えば3か所に突部21を有している。この突部21は、軸方向に延びており、その前端部はロータ17の前端より前方に突出し、上記シャフト15の歯19に対応する斜面21aとなっている。又、この突部21の前端部は、図1に示すように、上記ボディ3の係合部10の1つずつに進入している。このほか、ロータ17は、後端部の外周につば部22を有しており、端面部に凹部23を有している。
ボディ3の前部には、つば部4にかけて該ボディ3の前部を覆う袋状の例えばゴム製のカバー24を被着している。
【0015】
以上で付勢機構部1を組成しており、それに対して、スイッチ部2はインシュレータ25を主体としている。インシュレータ25は直方体の箱状で、図1及び図2に示すように、内部の対向する壁面にそれぞれ固定コンタクト26,27を設けており、そのうちの固定コンタクト26は固定コンタクト27より前方に長くしている。又、これらの固定コンタクト26,27の後端部は、インシュレータ25外に延出形成したコネクタケース部28内に位置する接続端子29,30となっている。
【0016】
インシュレータ25の内部には、後方より順に、スプリング31と、可動コンタクト32、及びこの可動コンタクト32を取り付けたリテーナ33を収容しており、付勢手段であるスプリング31の付勢力で可動コンタクト32は、常時は、固定コンタクト26の前部に接し、固定コンタクト27からは離間する位置に保持されている。なお、リテーナ33は、後側に突出部32aを、前側に突出部32bを有していて、そのうちの後側の突出部32aに可動コンタクト32を取り付けている。
【0017】
そして、インシュレータ25の外面部には取付爪34を形成しており、リテーナ33の前側の突出部32bを前記付勢機構部1におけるロータ17の後端部の凹部23に挿入しつつ、インシュレータ25の前部を前記ボディ3の後部(大角柱部6b)の内部に挿入して、取付爪34を前記連結孔8に係合させることにより、インシュレータ25をボディ3に連結し、ひいてはスイッチ部2を付勢機構部1に結合し一体化している。
従って、この場合、ボディ3の連結孔8とインシュレータ25の取付爪34は、付勢機構部1とスイッチ部2とを一体化する一体化手段として機能するものである。
【0018】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
図1、図2、及び図5(a)は装置全体の常態を示している。このとき、スイッチ部2においては、スプリング31の付勢力でリテーナ33が付勢機構部1側に押し出されていることにより、可動コンタクト32が固定コンタクト26に接しながらも、固定コンタクト27からは離間しており、いわゆるスイッチオフ状態となっている。
【0019】
一方、付勢機構部1においては、ロータ17が上記リテーナ33によりボディ3の前側方向へ押し込まれていることにより、突部21の前端部の斜面21aでシャフト15の1つの歯19の斜面に接して、該シャフト15を押圧している。又、このとき、突部21は前端部がボディ3の係合部10内に位置してもいる。更に、このとき、上記ロータ17に押圧されたシャフト15は、ボディ3から前方にカバー24を押しやりつつ突出しているが、突部18がボディ3の係合部10の前端部に至って衝止されることで、それ以上のシャフト15の突出が制止されている。
【0020】
なお、カバー24の前方には、図示しない開閉体、例えば車両のフューエルリッドがいわゆる半開きの開放状態で存在しており、該フューエルリッドが裏面でカバー24に接している。
【0021】
さて、この状態から、上記フューエルリッドを閉鎖すべく押し込んで閉じると、カバー24と共にシャフト15が該フューエルリッドにより後方へ押し込まれる。これにより、ロータ17が、突部21の斜面21aをシャフト15の1つの歯19の斜面に押されて、スプリング31の付勢力に抗し、図5(b)に矢印C及び二点鎖線で示すように後方に移動される。このとき、シャフト15は、突部18がボディ3の係合部10にガイドされて後退することで回転はしない。
【0022】
又、このとき、ロータ17は、シャフト15の1つの歯19の斜面から突部21の斜面21aの押圧による、斜面の分力作用により回転が与えられているので、突部21がボディ3の係合部10から脱出したところで、同図に矢印D及び実線で示すように、斜面21aが隣のガイド部12に対抗する位置に移る。
【0023】
次いで、前記フューエルリッドの押し込みが解除されると、上述の押し込まれたシャフト15及びロータ17も押し込みが解除されることにより、スプリング31の付勢力で復帰方向に移動し、それに伴い、ロータ17の突部21の斜面21aが、シャフト15の次の1つの歯19の斜面に接した状態でシャフト15を前方に押し戻しつつ、ロータ17自体が回転して、該次の1つの歯19を越える。それと共に、ロータ17の突部21の斜面21aは、図5(c)に矢印Eで示すように、上述の接したガイド部12を滑動して係合部11に衝止される位置に至り、ロータ17及びシャフト15のそれ以上の復帰が制止される。このときも、シャフト15は、突部18がボディ3の係合部10にガイドされて前進することで回転はしない。
【0024】
かくして、装置全体が図6に示すプッシュ状態に保持されるものであり、この状態では、スプリング31は、前記フューエルリッドを押し込んで閉じたときより若干伸長しているものの、当初の常態時(図1)よりは未だ充分に圧縮された状態にあり、要するに、フューエルリッドを開放させるための付勢力を蓄えた状態にある。
【0025】
又、この間(前記フューエルリッドを押し込んで閉じて以来)、スイッチ部2においては、リテーナ33がロータ17に押されて可動コンタクト32を後方に移動させていることにより、該可動コンタクト32が固定コンタクト26に接すると共に、固定コンタクト27にも接しており、すなわち、それら両固定コンタクト26,27間を可動コンタクト32が橋絡していて、いわゆるスイッチオン状態となっている。
なお、このときにはフューエルリッドは図示しないロック機構により閉鎖状態にロックされる。
【0026】
この後、フューエルリッドのロックを解除すると、スプリング16の付勢力でシャフト15がカバー24を押し出しつつ前方に移動し、カバー24を介してフューエルリッドを若干押し開ける。
【0027】
次いで、フューエルリッドを再度押し込むと、前述同様、カバー24と共にシャフト15が該フューエルリッドにより後方へ押し込まれることにより、ロータ17が、突部21の斜面21aをシャフト15の上記次の1つの歯19の斜面に押されて、スプリング31の付勢力に抗し、図5(d)に矢印F及び二点鎖線で示すように後方に移動される。又、このとき、ロータ17は、前述同様、シャフト15の上記次の1つの歯19の斜面から突部21の斜面21aの押圧による、斜面の分力作用により回転が与えられているので、突部21がボディ3の係合部11からガイド部13を脱出したところで、同図に矢印G及び実線で示すように、斜面21aが更に隣のガイド部14に対向する位置に移る。このときも、シャフト15は、突部18がボディ3の係合部10にガイドされて後退することで回転はしない。
【0028】
そして更に、フューエルリッドの押し込みが解除されると、上述の押し込まれたシャフト15及びロータ17も押し込みが解除されることにより、スプリング31の付勢力で、すなわち、スプリング31が前述の蓄えた付勢力を放つことで、復帰方向に移動される。そして、それに伴い、ロータ17の突部21の斜面21aが、シャフト15の上記次の1つの歯19の斜面に接してシャフト15を前方に押し戻しつつ、ロータ17自体が回転して、更に次の1つの歯19を越える。それと共に、ロータ17の突部21は、図5(e)に矢印Hで示すように、上述の接したガイド部14を滑動して係合部10内に進入し、更に、その係合部10内を前進して該係合部10の奥端に衝止される位置に至り、ロータ17及びシャフト15のそれ以上の復帰が制止される。このときも、シャフト15は、突部18がボディ3の係合部10にガイドされて前進することで回転はしない。
【0029】
かくして、装置全体が初期状態に戻るものであり、それに伴って、フューエルリッドは前述の半開き状態に戻る。従って、その後、フューエルリッドに手を掛けて引くことにより、フューエルリッドを全開させることができる。一方、このとき、スイッチ部2においては、リテーナ33がスプリング31の付勢力で付勢機構部1側に押し戻されることにより、可動コンタクト32が固定コンタクト27からは離間し、いわゆるスイッチオフ状態に戻る。
以降、フューエルリッドを開閉するごとに上述の動作を繰り返す。
【0030】
このように上記構成のものでは、付勢機構部1が、開閉体であるフューエルリッドの閉鎖動に応動して該リッドを開放させるための付勢力を蓄え、該リッドの開放時にその蓄えた付勢力を放って該リッドを開放方向に付勢するものであり、スイッチ部2は、フューエルリッドの開閉動に付勢機構部1を介し応動して接離する可動コンタクト32と固定コンタクト26,27とを有するもので、これら付勢機構部1とスイッチ部2とを結合して一体化している。それにより、それらの両機能を得るのに、2つの部品を必要とせず、1つの部品で済ませ得て、設置スペースの縮減化や設置作業の簡略化を達成することができる。
【0031】
なお、フューエルリッドで例示した開閉体は、車両のトランクリッドやドアなど他の開閉体であっても良く、更には車両以外の開閉体であっても良い。
そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0032】
図面中、1は付勢機構部、2はスイッチ部、8は連結孔(一体化手段)、10,11は係合部、12〜14はガイド部、15はシャフト、17はロータ、18は突部、19は歯、21は突部、26,27は固定コンタクト、31はスプリング(付勢手段)、32は可動コンタクト、34は取付爪(一体化手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体の閉鎖動に応動して該開閉体を開放させるための付勢力を蓄え、該開閉体の開放時にその蓄えた付勢力を放って該開閉体を開放方向に付勢する付勢機構部と、
この付勢機構部に一体化して設けられ、前記開閉体の開閉動に前記付勢機構部を介し応動して接離するコンタクトを有するスイッチ部とを具備して成ることを特徴とする開閉体応動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−253748(P2011−253748A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127524(P2010−127524)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】