説明

開閉検知機構、および、これを備えた画像形成装置

【課題】筐体の隣接する3面に設けられた3つの開閉部の開閉状態を検知することができる開閉検知機構、およびこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】開閉検知機構70は、筐体の互いに隣接する面のパネル10P、10F、10Rの開閉を検知する。被検出部材71は、パネル10Fが閉じているときに、上面および右側面近傍の所定位置から上面側および右側面側に回転可能にパネル10Fに支持される。ねじりばね73は被検出部材71を右側面側へ付勢する。ねじりばね74は、被検出部材71を上面側へ付勢する。当接部75は、パネル10P、10Fが閉じているときに、パネル10Rが閉じると被検出部材71を所定位置へ回転させる。当接部76はパネル10F、10Rが閉じている状態でパネル10Pが閉じると所定位置へ被検出部材71を回転させる。検知部77は被検出部材71が所定位置に位置しているのを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉部の開閉状態を検知する開閉検知機構、および、これを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファクシミリ装置等の画像形成装置では、メンテナンスや紙詰まりした用紙を取り除くために筐体に開閉可能な開閉部が設けられ、開閉部の開閉状態を検知する開閉検知機構を備えている。
【0003】
このような画像形成装置の中には、2つの直交する面に取り付けられた開閉部(カバー部材)の開閉を検知することができる開閉検知機構を備えたものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−223668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に示す開閉検知機構では、筐体の隣接する3面に設けられた3つの開閉部の開閉状態を検知することはできなかった。また、画像形成装置では、メンテナンスや紙詰まりが発生した際に用紙を取り除くために、筐体の隣接する3面に開閉部を設ける必要もある。
【0005】
そこで、本発明では、筐体の隣接する3面に設けられた3つの開閉部の開閉状態を検知することができる開閉検知機構、およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の開閉検知機構は、筐体の互いに隣接する第1乃至第3面のそれぞれに設けられた第1乃至第3開閉部の開閉状態を検知する開閉検知機構であり、被検知手段と、第1付勢手段と、第2付勢手段と、第1突出部と、第2突出部と、検知部と、を備えている。被検知手段は、第3開閉部が閉じているときに第1面および第2面の近傍に位置する所定位置から第1面側および第2面側へ変位可能にして第3開閉部に支持されている。第1付勢手段は、所定位置から第1面側へ被検知手段を付勢する。第2付勢手段は、所定位置から第2面側へ被検知手段を付勢する。第1突出部は、第1開閉部に設けられており、第2開閉部および第3開閉部が閉じている状態で第1開閉部が閉じられるとともに被検知手段と当接し第1付勢手段の付勢力に抗して所定位置へ被検知手段を変位させる。第2突出部は、第2開閉部に設けられており、第1開閉部および第3開閉部が閉じている状態で第2開閉部が閉じられるとともに被検知手段と当接し第2付勢手段の付勢力に抗して所定位置へ被検知手段を変位させる。検知部は、被検知手段が所定位置に位置しているか否かを検知する。
【0007】
この構成では、被検知手段は第1乃至第3開閉部の全てが閉じられているときにだけ所定位置に位置し、開閉部が開かれたときに被検知手段が所定位置から変位させることができる。被検知手段が所定位置に位置しているか否かを検知して全ての開閉部か閉じているか否かを検知することができる。
【0008】
この構成において、被検知手段は、第1面側へ変位可能に支持された第1移動部材と、第1移動部材に所定位置から第2面側へ変位可能に支持される第2移動部材と、を有するものとしても良い。第1移動部材は第1突出部に当接され、第2移動部材は第2突出部に当接される。これにより、第1開閉部の開閉を第1移動部材によって検知するとともに、第2開閉部の開閉を第2移動部材によって検知することができる。
【0009】
なお、第1規制部と第2規制部をさらに備えるものとしても良い。第1規制部は、第1移動部材の第1面側への変位範囲を第3開閉部および第2開閉部が閉じた状態で、第1開閉部を閉じるときに第1突出部と被検知手段が当接する範囲に規制する。第2規制部は、第2移動部材の第2面側への変位範囲を第3開閉部および第1開閉部が閉じた状態で、第2開閉部を閉じるときに第2突出部と被検知手段が当接する範囲に規制する。これにより、第1開閉部または第2開閉部の開閉動作に伴って被検知手段に第1突出部または第2突出部が当接し、被検知手段をスムーズに所定位置側へ付勢することができる。
【0010】
さらに、第1移動部材には第1面側へ回転可能に第1開閉部に軸支された回転軸が設けられており、第2移動部材は第2面側へ回転可能に支持されるものとしても良い。これにより、第1移動部材および第2移動部材を第1面側および第2面側へそれぞれ回転させて、第1開閉部および第2開閉部の開閉を検知することができる。
【0011】
この発明の画像形成装置は、上記発明のいずれかに係る開閉検知機構と、筐体に格納され用紙に画像形成処理を行なう画像形成処理部と、を備えていている。これにより、上記発明のいずれかに係る開閉検知機構と同様の効果を得ることができる。
【0012】
なお、上記画像形成装置に係る発明において、被検知手段が所定位置に位置していないのを検知部が検知したときに、画像形成処理部における画像形成処理を停止させる制御部をさらに備えるものとしても良い。これにより、第1乃至第3開閉部のいずれか1つの開閉部が開かれたときに画像形成処理を停止させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、筐体の隣接する3面に設けられた3つの開閉部の開閉状態を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、この発明の一実施形態に係る給紙装置を備えた画像形成装置であるファクシミリ装置の斜視図である。図2は、同ファクシミリ装置の開蓋時の側面断面図である。
【0015】
ファクシミリ装置100は、画像読取部110、原稿搬送路120、画像形成部130及び用紙搬送路140等を備えている。画像読取部110は、原稿の画像を読み取る。原稿搬送路120は、画像読取部110に原稿を搬送する。画像形成部130は、用紙に画像を形成する。用紙搬送路140は、用紙トレイ3から画像形成部130を経由して用紙を搬送する。本実施形態では、ファクシミリ装置100を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複写機やプリンタ等に本発明を適用しても良い。
【0016】
また、ファクシミリ装置100は、前面側に前面パネル(第3開閉部)10F、右側面部にメンテナンスパネル(第1開閉部)10R、上面の前面側に操作パネル(第2開閉部)10P、上面の背面側に用紙トレイ3を有する筐体を備えている。さらに、ファクシミリ装置100は、各パネル10F、10P、10Rの開閉を検知する開閉検知機構70(図2参照)を備えている。
【0017】
ここで、ファクシミリ装置100の前後方向をX方向、ファクシミリ装置100の左右方向をY方向、ファクシミリ装置100の上下方向をZ方向とする。
【0018】
操作パネル10P、前面パネル10F、メンテナンスパネル10Rは、筐体の互いに隣接する上面、前面、右側面の3面の開口部11A〜11Cをそれぞれ開閉する。
【0019】
操作パネル10Pは、ファクシミリ装置100の上面の前面側に形成された開口部11Aを被覆しており、背面側の両端近傍に設けられた基端部10Aを支点に図1に実線で示す閉位置と図1に破線で示す開位置とに開閉方向Z3に沿って揺動自在に取り付けられている。
【0020】
前面パネル10Fは、ファクシミリ装置100の前面に設けられた開口部11Bを被覆している。前面パネル10Fは、下端両端部を基端部10Bに開閉方向Z1に沿って、図1に実線で示す閉位置と図1に破線で示す開位置とに揺動自在に支持されている。前面パネル10Fの上側端にはY方向に沿って段差部120Eが形成されており、原稿搬送路120を外側に連通させている。
【0021】
メンテナンスパネル10Rは、ファクシミリ装置100の右側面に設けられた開口部11Cを被覆している。メンテナンスパネル10Rは、背面側のZ方向における両端部をファクシミリ装置100の右側面内側に設けられた基端部10Cに図1に実線で示す閉位置と図1に破線で示す開位置とに開閉方向Z2に沿って揺動自在に取り付けられている。
【0022】
用紙トレイ3は、ファクシミリ装置100の最背面側上面のY方向における両端部に設けられた基端部10Dに、図1に示す閉位置と図2に示す開位置とに揺動自在に支持されている。図1に示すように、閉位置に位置するときには、用紙トレイ3は開口部102の蓋部材として使用される。一方、図2に示すように、用紙トレイ3は開位置に位置するときには、用紙トレイ3は用紙をセットする方向に沿って中央部に設けられた伸縮可動部を上方へ伸ばした状態で保持される。
【0023】
原稿搬送路120は、開口部102内の前面パネル10F側に原稿挿入口120Iが位置しており、前面パネル10Fと操作パネル10Pの間に原稿排出口122が位置している。原稿搬送路120には、原稿搬送ローラ、用紙の重なりを解消する分離ゴム板等が配置されており、原稿挿入口121に挿入された原稿は1枚ずつ画像読取部110へ送られ原稿の画像データを読み取られてから原稿排出口122から排出される。
【0024】
用紙搬送路140は、略U字形に形成されており、用紙トレイ3の基端部10D側近傍に用紙挿入口140Iが位置しており、開口部102のX方向における中央部に用紙排紙口140Eが位置している。用紙挿入口140Iの近傍には、給紙ローラ143及び分離パッド144が配置されている。用紙トレイ3にセットされた複数枚の用紙は、給紙ローラ143と分離パッド144との間で1枚ずつに分離され、最も上側に位置する用紙から順に給紙ローラ143の回転によって画像形成部130へ向けて搬送される。画像形成部130を通過した用紙は、用紙排紙口140Eへ搬送される。
【0025】
画像形成部130は、U字状を呈する用紙搬送路140の湾曲部に配置されており、サーマルヘッド131及びプラテンローラ132を有している。給紙ローラ143によって給紙された用紙には、サーマルヘッド131とプラテンローラ132との間を通過する時に、サーマルヘッド131の加熱によって昇華したインクリボン135のインクによって画像が形成される。
【0026】
制御部60は、画像形成部130における画像形成処理を制御するとともに、原稿搬送路ローラ、給紙ローラ143、プラテンローラ132の回転駆動を制御する。制御部60は、開閉検知機構70が上記パネル10P、10F、10R、のうちいずれかのパネルの開放を検知すると、画像形成部130における画像形成処理を停止させる。
【0027】
本実施形態では、画像形成装置100において、上記パネル10P、10F、10R、のいずれかの開放を検知すると、制御部60が画像形成処理を停止させる例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置100の仕様に応じて停止制御の必要がない場合には、上記パネル10P、10F、10R、の開放を検知しても、制御部60が画像形成処理を停止させないようにしても良い。さらに、上記のように制御部60が画像形成処理を停止させない場合には、開閉検知機構70にスピーカ等の報知部をさらに設けても良い。これにより、上記パネル10P、10F、10R、のいずれかの開放を検知すると、ビープ音を鳴らして開放を報知することができる。
【0028】
また、画像形成装置100において、上記パネル10P、10F、10R、の開放を検知したときに、画像形成処理を停止させるとともに、ビープ音を鳴らすようにしても良い。
【0029】
図3は、操作パネル10P、前面パネル10F、メンテナンスパネル10Rを全て閉じているときの開閉検知機構70の概略構成を示す斜視図である。
【0030】
開閉検知機構70は、前面パネル10Fの右側面側近傍に配置されており、被検出部材(被検知手段)71、ねじりばね(第1付勢手段)73、ねじりばね(第2付勢手段)74、当接部(第1突出部)75、当接部(第2突出部)76、検知部77、を備えている。なお、図3では、当接部75、当接部76は1点鎖線で示し、メンテナンスパネル10R、操作パネル10Pについては図示を省略している。
【0031】
当接部75は、メンテナンスパネル10Rの内面からファクシミリ装置100の内側へ突き出し三角柱状に形成されている。
【0032】
当接部76は、操作パネル10Pの内面から内側へ突き出し、その頂角が鈍角を成す三角柱状に形成されている。また、当接部76の下面は、右側面側、すなわちメンテナンスパネル10R側へ向かって上方へ傾斜して形成されている。
【0033】
被検出部材71は、板部材(第1移動部材)71A、レバー部材(第2移動部材)72、を有している。各パネル10P、10F、10Rが全て閉じられているときには、当接部76にレバー部材72が下方に付勢され、当接部75に板部材71Aがファクシミリ装置100の内側へ付勢される。これにより、被検出部材71は、図3に示すように、前面パネル10Fと直交し、且つ、メンテナンスパネル10Rと並行な位置に保持される。被検出部材71は、前面パネル10Fの開閉方向Z1への開閉に伴って回動される。
【0034】
板部材71Aは、前面パネル10F側の上下両端部に回転軸71Cが形成されており、回転軸71Cの上下両端部を前面パネル10Fに設けられた軸受け80に揺動自在に支持されている。下端側の回転軸71Cの周面には突出部(第1規制部)71Dが設けられている。一方、下側の軸受け80の上面の回転軸71Cと近接する位置には、回転軸71Cが回転方向R2へ回転したときに突出部71Dと当接する当接部80Aが形成されている。板部材71Aはメンテナンスパネル10R側の側面上部に回転軸71Bが設けられており、板部材71Aの背面側の端部はZ方向に沿って弧状に形成されている。
【0035】
板部材71Aの背面側の先端部は、メンテナンスパネル10Rが閉じた状態で前面パネル10Fが閉じられるときに当接部75と当接する。これにより、板部材71Aは、回転方向R2と反対方向に付勢される。
【0036】
レバー部材72は、略L字状に形成され、その中心部が円筒状に形成されている。レバー部材72は、上記円筒状に形成された中心部に回転軸71Bが挿嵌されており、回転軸71Bを軸中心に揺動自在に支持されている。レバー部材72は、上記中心部から前面パネル10F側に弧状を成すアーム72Bと、上記中心部から前面パネル10Fと離間する側に直線状に形成されたアーム72Aと、を有している。
【0037】
ねじりばね73は、回転軸71Cの上部に軸着されており、その両端が前面パネル10Fの内面と板部材71Aの中央部上端の突出部71Eとそれぞれ当接している。ねじりばね73は、板部材71Aを回転方向R2へ付勢している。
【0038】
ねじりばね74は、回転軸71Bに軸着されており、その両端がアーム72Bのメンテナンスパネル10R側の側面に設けられた突出部72Cと板部材71Aのメンテナンスパネル10R側の側面に設けられた突出部71Fとそれぞれ当接している。ねじりばね74は、レバー部材72を回転方向R3へ付勢する。
【0039】
検知部77は、画像読取部110の右側面側に設けられたフレームに固定されており、右側下端部に上下方向に揺動可能に支持された検知片77Aを有するマイクロスイッチである。検知部77は、検知片77Aがレバー部材72に上方に付勢され所定位置まで揺動されると検知片77Aの変位を検知する。ここで、所定位置とは、筐体の上面および右側面の近傍に位置しており、各パネル10P、10F、10Rが全て閉じられたときに検知片77Aが被検出部材71によって上方に付勢されて移動する位置である。これにより、各パネル10P、10F、10Rが閉じられているのを検知することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、検知片を用いて位置を検出する検知部77を用いる例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものでない。例えば、光学式の検知部を用いても良い。
【0041】
図4(A)は、各パネル10F、10R、10P、を全て閉じているときの開閉検知機構70の概略構成を示す図である。図4(B)は、図4(A)に示す状態から操作パネル10Pをだけを開いたときの開閉検知機構70の概略構成を示す図である。
【0042】
前面パネル10Fおよびメンテナンスパネル10Rが閉じた状態で操作パネル10Pが開かれると、レバー部材72のアーム72Bは当接部76と離間し、板部材71Aの突出部(第2規制部)71Gと当接する位置まで回転方向R3に沿って回転する。一方、操作パネル10Pが閉じられると、当接部76はレバー部材72のアーム72Bを下方へ付勢し、レバー部材72を回転方向R3と反対方向へ所定位置まで回転させる。
【0043】
突出部71Gは、操作パネル10Pを閉じるときに、当接部76がレバー部材72のアーム72Bと当接する位置に設けられている。このため、パネル10F、10R、を閉じた状態で、操作パネル10Pを閉じると当接部75がレバー部材72に当接して、レバー部材72を回転方向R3の反対方向へ回転させ所定位置へ回転させることができる。これにより、操作パネル10Pが閉じてられているのを検知部77が検知することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、板部材71Aに突出部71Gを設け、レバー部材72の回転範囲を規制する例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、レバー部材72に規制部を設け回転範囲を規制するようにしても良い。
【0045】
図5(A)および図6(A)は、各パネル10F、10R、10P、を全て閉じているときの開閉検知機構70の概略構成を示す正面図および上面視における図である。
【0046】
図5(B)および図6(B)は、メンテナンスパネル10Rだけを開いたときの開閉検知機構70の概略構成を示す図である。なお、図5では、検知部77およびアーム72Aについては図示を省略している。
【0047】
図5(A)に示すように被検出部材71は正面視において上下方向に垂直に配置されており、図6(A)に示すように上面視において前面パネル10Fと直交する位置に保持され、レバー部材72のアーム72Aの背面側先端部が所定位置に保持されている。
【0048】
操作パネル10Pおよび前面パネル10Fが閉じた状態でメンテナンスパネル10Rが開かれると、板部材71Aは当接部75と離間し、被検出部材71は突出部71Dと当接部80Aが当接する位置まで回転方向R2へ回転する。一方、メンテナンスパネル10Rが閉じられると、当接部75が板部材71Aを回転方向R2と反対方向へ付勢する。この際、アーム72Bは、当接部76の下面が傾斜しているため当接部76の下面と当接しつつ序々に下方へ付勢される。このため、レバー部材72を回転方向R3と反対方向にスムーズに回転させることができる。
【0049】
ここで、突出部71Dと当接部80Aが当接する位置は、メンテナンスパネル10Rを閉じるときに当接部75と板部材71Aが当接する位置に設定されている。これにより、メンテナンスパネル10Rを閉じるときに、当接部75が板部材71Aに当接して回転方向R2の反対方向へ板部材71Aを回転させることができる。
【0050】
図7は、操作パネル10Pおよびメンテナンスパネル10Rが閉じた状態において、前面パネル10Fの開閉時における開閉検知機構70の動作を示す概略図である。図7(A)は前面パネル10Fが閉じている状態を示し、図7(B)は前面パネル10Fが開かれた状態を示している。
【0051】
前面パネル10Fが開閉方向Z1に沿って開かれるのに伴い、被検出部材71も前側へ回動する。この際、板部材71Aは、前面パネル10Fが開かれるのに伴い当接部75と離間し、突出部71Dが当接部80Aと当接する位置まで回転方向R2に回転する。レバー部材72は、前面パネル10Fが開かれるのに伴い当接部76と離間し、回転方向R3に突出部71Gと当接する位置まで回転する。また、アーム72Bが弧状に形成されているので、前面パネル10Fを開くときにアーム72Bが当接部76に引っ掛かることがなく、前面パネル10Fの開動作をスムーズに行なうことができる。
【0052】
前面パネル10Fが開閉方向Z1に沿って閉じられるのに伴い、被検出部材71も後方へ回動する。この際、アーム72Aが検知片77Aの直下方まで回動してからアーム72Bが当接部76と当接し、レバー部材72が回転方向R3と反対方向に付勢される。これにより、レバー部材72をスムーズに所定位置へ回転させることができる。
【0053】
ここで、突出部71Dと当接部80Aが当接する位置は、メンテナンスパネル10Rが閉じた状態で前面パネル10Fを閉じるときに、板部材71Aの背面側の先端部が当接部75の前面側の傾斜面と当接する位置に設定されている。これにより、前面パネル10Fを閉じるときに板部材71Aを回転方向R2と反対方向にスムーズ回転させることができる。このように、板部材71Aの回転方向R2への回転範囲を規制することで、前面パネル10Fを閉じるときに、板部材71Aが開口部11Bの右側面部を形成する筐体に引っ掛かって閉められなくなるのを防止する効果もある。
【0054】
本実施形態では、板部材71Aに突出部71Dが設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、前面パネル10Fに突出部を設けて板部材71Aのメンテナンスパネル10R側の側面と当接して回転範囲を規制するようにしても良い。
【0055】
本実施形態では、当接部75は三角柱状に形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、板部材71Aをスムーズに付勢することができる場合には、当接部75をZ方向が軸方向となる半円柱状に形成しても良いし、半球状に形成しても良い。
【0056】
本実施形態では、当接部76は三角柱状に形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。当接部76の下面がメンテナンスパネル10R側へ向かって上方へ傾斜して形成されている場合には、当接部76の下面を弧状に形成しても良い。また、当接部76の頂点部分を平面状とし、当接部76が台形状の四角柱を成すように形成しても良い。この場合には、レバー部材72との当接面を広くすることができる。
【0057】
本実施形態に係るファクシミリ装置100では、前面パネル10F、操作パネル10P、メンテナンスパネル10Rが片開きのパネルである例を挙げて説明した。しかし、本発明これに限定されるものではない。例えば、各パネル10F、10P、10Rの代わりにスライド式の開閉部を備えても良い。
【0058】
上記実施形態に係る開閉検知機構70では、板部材71Aを回転支持されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。開閉検知機構70は、板部材71Aを回転支持する代わりに、例えば、板部材71AをY方向へ水平移動させるスライド部171を備えても良い。この場合における上記実施形態と異なる構成について図8を用いて説明すると以下の通りである。スライド部171は、溝171A、圧縮ばね(第1付勢手段)171B、係止部171C、規制部(第1規制部)171D、を備えている。
【0059】
溝171Aは、前面パネル10Fの右側面部近傍にY方向に沿って断面がL字状となるように形成されている。
【0060】
係止部171Cは、板部材71Aの前面パネル10F側の側端面に設けられL字状を成す突出部であり、溝171AにY方向に移動可能に係合されている。
【0061】
圧縮ばね171Bは、メンテナンスパネル10Rと離間する側の溝171Aと板部材71Aとの間に配置されており、板部材71Aをメンテナンスパネル10R側へ付勢している。
【0062】
規制部171Dは、前面パネル10Fの溝171Aの上方に配置されており、メンテナンスパネル10Rが開放されたときに、メンテナンスパネル10R側へ付勢される板部材71Aと当接して、被検出部材71を所定の退避位置で停止させる。
【0063】
ここで、所定の退避位置は、前面パネル10Fを閉じた状態で、メンテナンスパネル10Rを閉じるときに当接部75が板部材71Aと当接する位置に設定されている。さらに、所定の退避位置は、メンテナンスパネル10Rを閉じた状態で、前面パネル10Fを閉じるときに板部材71Aが当接部75と当接する位置に設定されている。
【0064】
なお、例えば、所定の退避位置と一致するように溝171Aの右側の側面を設けても良い。この場合には、規制部171Dを別途設ける必要がなく製造コストを抑制することができる。
【0065】
この場合にも上記実施形態に係る開閉検知機構70と同様の効果を得ることができる。
【0066】
上記実施形態に係る開閉検知機構70では、板部材71AをY方向へ水平移動させるスライド部171を備えている例を挙げて説明した。しかし、本発明これに限定されるものではない。例えば、開閉検知機構70の代わりに、図9に示すように、被検出部材271を上下方向と左右方向にスライドさせる開閉検知機構370を用いても良い。開閉検知機構370を用いる場合の構成について上記実施形態に係る開閉検知機構70と異なる構成について説明すると以下の通りである。
【0067】
図9は、操作パネル10P、前面パネル10F、メンテナンスパネル10R、を全て閉じている状態における開閉検知機構370周辺の構成を示す図である。図9では、操作パネル10Pに設けられている当接部(第2突出部)276、メンテナンスパネル10Rに設けられている当接部(第1突出部)275は、それぞれ1点鎖線で示している。図10は、X方向における被検出部材270の概略構成を模式的に示す断面図である。なお、断面表記については図示を省略している。
【0068】
前面パネル10Fの右側面側には、Y方向に沿ってその断面がL字状に形成された溝271Aが設けられており、メンテナンスパネル10R側の上部には突出部(第1規制部)271Dが形成されている。溝271Aは、Y方向に沿って断面がL字状に形成されている。
【0069】
開閉検知機構370は、前面パネル10Fの右側面側近傍に配置されており、被検出部材270、圧縮ばね(第1付勢手段)271B、圧縮ばね(第2付勢手段)271F、当接部275、当接部276、検知部277、を備えている。
【0070】
当接部275は、メンテナンスパネル10Rに設けられており、各パネル10P、10F、10Rを閉じたときに板状部材271をファクシミリ装置100の内側へ付勢する。
【0071】
当接部276は、操作パネル10Pの内面から下方に向かってドーム状に突き出して形成されている。当接部276は、各パネル10P、10F、10Rを閉じたときに、当接部276の下面がレバー部材272と当接しレバー部材272を下方へ付勢する位置に配置されている。
【0072】
検知部277は、被検出部材270の下方に配置されており、上下方向に移動可能に支持された上端部277Aを有している。上端部277Aは、ドーム状に形成されている。検知部277は、上端部277Aが押圧力により下方に設定された所定位置まで移動するとその移動を検知する。検知部277は、各パネル10P、10F、10Rが全て閉じているときに、上端部277Aがレバー部材272に下方に付勢されて上記所定位置まで移動する位置に配置されている。これにより、各パネル10P、10F、10Rが全て閉じているのを検知することができる。
【0073】
被検出部材270は、板状部材271、レバー部材272、を有している。各パネル10P、10F、10Rの全てが閉じられているときには、当接部275に板状部材271がファクシミリ装置100の内側へ付勢されている。また、当接部276にレバー部材272が下方へ付勢され、レバー部材272の下端部が検知部277を下方へ付勢する。前面パネル10Fが開かれるのに伴い被検出部材270は前方へ回動する。
【0074】
板状部材271は、前面パネル10Fに直交するように配置されており、前面パネル10F側の端面にL字状を成す係止部271Cが形成されている。また、板状部材271は、上下方向に貫通する貫通孔271Eが設けられている。貫通孔271Eの上部には径が他の部分よりも大きい膨張部271Fが形成されている。
【0075】
溝271Aには、係止部271Cが係合されており、メンテナンスパネル10Rと離間した位置の溝271Aと係止部271Cとの間に、板状部材271を右側面側に付勢する圧縮ばね271Bが配置されている。
【0076】
レバー部材272は、貫通孔271Eに挿嵌され、上下両端部が半球状に形成された円柱状の部材である。レバー部材272には、膨張部271E上部に位置する部分に径方向に突出しリング状に形成された係止部(第2規制部)272Aが形成されている。また、前面パネル10Fと操作パネル10Pが閉じられている状態で、メンテナンスパネル10Rを閉じるときに、レバー部材272は当接部276に下方へ付勢されつつ検知部277の直上方まで移動してから検知部277の上端部277Aと当接するように配置されている。
【0077】
なお、本実施形態では、レバー部材272の押圧力を検知する検知部277を用いる例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検知部277の代わりに、レバー部材272と接触しない非接触式のセンサを用いても良い。より具体的には、各パネル10P、10F、10Rが全て閉じられているときのレバー部材272の下端部の位置を検知する近接センサを用いることが考えられる。この場合には、レバー部材272の下端部の位置から、各パネル10P、10F、10Rが全て閉じられているか否かを検知することができる。
【0078】
係止部272Aは、圧縮ばね271Fに上方へ付勢されている。係止部272Aは、操作パネル10Pが閉じられるときに、当接部276とレバー部材272の上端部が当接する位置に設けられている。
【0079】
圧縮ばね271Bは、被検出部材271をメンテナンスパネル10R側へ付勢している。
【0080】
各パネル10P、10F、10Rのうち、メンテナンスパネル10Rだけが開かれると、板状部材271が突出部271D側と当接する位置までY方向に移動する。
【0081】
突出部271Dは、メンテナンスパネル10Rを閉じる際に、当接部275と板部材271が当接する位置に設定されている。これにより、メンテナンスパネル10Rを閉じるときに、板状部材271を内側へ付勢することができる。
【0082】
突出部271Dは、メンテナンスパネル10Rが閉じた状態で前面パネル10Fが閉じられるときに、板状部材271の背面側の先端部が当接部275と当接する位置に設定されている。これにより、前面パネル10Fを閉じるときに、板状部材271をファクシミリ装置100の内側へ付勢することができる。
【0083】
この場合にも上記実施形態に係る開閉検知機構70と同様の効果を得ることができる。
【0084】
なお、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の外観図である。
【図2】ファクシミリ装置の側面視における内部構成を示す断面図である。
【図3】開閉検知機構70の概略構成を示す斜視図。
【図4】(A)操作パネル10Pを閉じた状態を示す断面図である。(B)操作パネル10Pを開いた状態を示す断面図である。
【図5】(A)メンテナンスパネル10Rを閉じた状態を示す右側面の正面図である。(B)メンテナンスパネル10Rを開いた状態を示す右側面の正面図である。
【図6】(A)メンテナンスパネル10Rを閉じた状態における被検出部材71周辺の構成を示す右側面の上面視における模式図である。(B)メンテナンスパネル10Rを開いた状態における被検出部材71周辺の構成を示す右側面の上面視における模式図である。
【図7】(A)前面パネル10Fを閉じた状態における被検出部材71周辺の構成を示す図である。(B)前面パネル10Fを開いた状態における被検出部材71周辺の構成を示す図である。
【図8】他の実施形態に係る1方向に板部材をスライドさせる開閉検知機構の概略構成を示す斜視図である。
【図9】他の実施形態に係る2方向に被検出部材をスライドさせる開閉検知機構の概略構成を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態に係る2方向にスライドする被検出部材の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0086】
10P 操作パネル(第2開閉部)
10F 前面パネル(第3開閉部)
10R メンテナンスパネル(第1開閉部)
70 開閉検知機構
71 被検出部材(被検知手段)
73 ねじりばね(第1付勢手段)
74 ねじりばね(第2付勢手段)
75 当接部(第1突出部)
76 当接部(第2突出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の互いに隣接する第1乃至第3面のそれぞれに設けられた第1乃至第3開閉部の開閉状態を検知する開閉検知機構であって、
前記第3開閉部が閉じているときに前記第1面および前記第2面の近傍に位置する所定位置から前記第1面側および前記第2面側へ変位可能にして前記第3開閉部に支持された被検知手段と、
前記所定位置から前記第1面側へ前記被検知手段を付勢する第1付勢手段と、
前記所定位置から前記第2面側へ前記被検知手段を付勢する第2付勢手段と、
前記第1開閉部に設けられており、前記第2開閉部および前記第3開閉部が閉じている状態で前記第1開閉部が閉じられるとともに前記被検知手段と当接し前記第1付勢手段の付勢力に抗して前記所定位置へ前記被検知手段を変位させる第1突出部と、
前記第2開閉部に設けられており、前記第1開閉部および前記第3開閉部が閉じている状態で前記第2開閉部が閉じられるとともに前記被検知手段と当接し前記第2付勢手段の付勢力に抗して前記所定位置へ前記被検知手段を変位させる第2突出部と、
前記被検知手段が前記所定位置に位置しているか否かを検知する検知部と、
を備えている開閉検知機構。
【請求項2】
前記被検知手段は、前記第1面側へ変位可能に支持された第1移動部材と、前記第1移動部材に前記所定位置から第2面側へ変位可能に支持される第2移動部材と、を有し、
前記第1移動部材は前記第1突出部に当接され、前記第2移動部材は前記第2突出部に当接される、
請求項1に記載の開閉検知機構。
【請求項3】
前記第1移動部材の前記第1面側への変位範囲を前記第3開閉部および前記第2開閉部が閉じた状態で、前記第1開閉部を閉じるときに前記第1突出部と前記被検知手段が当接する範囲に規制する第1規制部と、
前記第2移動部材の前記第2面側への変位範囲を前記第3開閉部および前記第1開閉部が閉じた状態で、前記第2開閉部を閉じるときに前記第2突出部と前記被検知手段が当接する範囲に規制する第2規制部と、
をさらに備えている、
請求項2に記載の開閉検知機構。
【請求項4】
前記第1移動部材には、前記第1面側へ回転可能に前記第1開閉部に軸支された回転軸が設けられており、
前記第2移動部材は、前記第2面側へ回転可能に支持されている、
請求項2または3に記載の開閉検知機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉検知機構と、
前記筐体に格納され用紙に画像形成処理を行なう画像形成処理部と、
を備えている画像形成装置。
【請求項6】
前記被検知手段が前記所定位置に位置していないのを前記検知部が検知したときに、前記画像形成処理部における前記画像形成処理を停止させる制御部をさらに備えている、
請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−177473(P2009−177473A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13734(P2008−13734)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】