説明

防振装置

【課題】ブラケットを樹脂材料にて形成することによって、軽量化を実現した防振装置において、樹脂ブラケットの耐久性の低下を招くことなしに、ブラケットの内側で、ブッシュを十分強固に保持させて、ブラケットからのブッシュの抜け出しや、ブラケット内でのブッシュのがたつきを確実に防止することができる防振装置を提供する。
【解決手段】樹脂製ブラケット2の内周面に、ブッシュ1の外筒4を取り囲む内周面から突出形成されて、ブラケット2の周方向に延びる弾性係合部10と、ブラケットの内部に埋め込み配置される埋設固定部11とを連結してなるブッシュ保持部材9を設け、ブッシュ保持部材9の、弾性係合部10および埋設固定部11の相互を連結する連結部分12を、ブラケット2の内周面の半径方向線分に対して傾斜させて延在させるとともに、前記ブッシュ1を、ブラケット2の周方向の複数個所に存在する前記弾性係合部10の内側に弾性係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、互いに平行に配置した、いずれも剛性材料からなる円筒状の内筒および外筒の相互を、それらの相互間に配設した弾性体で連結してなるブッシュと、前記外筒を取り囲んでブッシュを保持するブラケットとを具える、エンジンマウントとして用いて好適な防振装置に関するものであり、とくには、防振装置の耐久性を低下させることなしに、軽量化を実現することができる技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防振装置では、ブッシュを保持するブラケットを金属材料にて形成しており、かかる防振装置を製造するに際しては、金属製ブラケットの内側に、内筒および外筒の相互を弾性体で連結してなるブッシュを組付けるに当って、金属製ブラケットの内径と同一または、それよりも僅かに大きい外径を有する、金属材料等の剛性材料からなる外筒を、金属製ブラケットの内側に圧入することとしており、これにより、外筒の外周面を、金属製ブラケットの内周面に摩擦係合させて、ブラケットにブッシュを保持させていた。
【0003】
しかるに、このような防振装置を、車両に搭載する用途に用いる場合は、近年の環境問題への関心の高まりに伴う、車両の低燃費性の要請から、車体等の軽量化のみならず、たとえば、車両のエンジンマウントとして用いられることのあるこの種の防振装置それ自体の軽量化もまた希求されている状況の下、上述したような従来の防振装置では、ブッシュを保持するブラケットを、密度の大きい金属材料で構成していることから、装置を、要求されるほどに軽量化することができなかった。
そこで、ブラケットを、金属材料よりも密度の小さい樹脂材料にて形成することが案出されている。
【0004】
ところで、このような樹脂ブラケットは、金属製のものに比して強度が低く、ブッシュの、金属材料等からなる外筒を、樹脂ブラケットの内側に、摩擦係合に基く所要の保持力を発揮させ得る程度の大きな力で、直接的に圧入したり、経年の使用により繰り返し入力があった場合には、樹脂ブラケットが破損するおそれがあるため、樹脂ブラケットによる、ブッシュの保持力を所期したほどに高めることができず、それ故に、樹脂ブラケットの軸線方向に、ブッシュが抜け出るおそれがあった。
【0005】
ところで、特許文献1には、「内筒と外筒との間にゴムを介してなるゴムブッシュと、外筒の外周表面を覆う、樹脂製等のブラケットとの一体型防振ゴムであって、ゴムブッシュの外筒に貫挿された前記ブラケットをその左右から挟んで前記外筒の端縁を折返してフランジを形成してなるゴムブッシュの抜け出しを防止したブラケット一体型防振装置」が提案されており、この「ブラケット一体型防振装置」では、「ブラケットをその両側より外筒の端縁のフランジ部で挟んだものであり、ブラケット及びゴムブッシュの相互における左右の抜け出しを防止するものであり、・・・両者の嵌合力が充分でない場合でも抜け出しを防止できることとなった」とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−54335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された「ブラケット一体型防振装置」を製造するに際しては、ブラケット内に配設したゴムブッシュの、外筒の両端部分にプレス加工等を施して形成される端縁折返しフランジで、ブラケットを挟んで抜け止めすることから、外筒の端縁フランジにより、ブラケットの軸線方向への、ゴムブッシュの抜け出しは防止できるものの、この「ブラケット一体型防振装置」もまた、樹脂製等のブラケットの内側に、ゴムブッシュの外筒を直接的に圧入するものであるので、装置の使用状態で、とくに、ブラケットの半径方向の振動入力に対し、ゴムブッシュの変位を十分に拘束することができず、それ故に、装置の使用状態で、ゴムブッシュの、ブラケット内でのがたつき等が発生するおそれがあった。
また、外筒への、端縁折返しフランジの形成に伴い、樹脂ブラケットの開口縁の、該折返しフランジとの当接箇所に応力集中を招くおそれがあるため、装置の耐久性が低下するという懸念もある。
【0008】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、ブラケットを樹脂材料にて形成することによって、軽量化を実現した防振装置において、樹脂ブラケットの耐久性の低下を招くことなしに、ブラケットの内側で、ブッシュを十分強固に保持させて、ブラケットからのブッシュの抜け出しや、ブラケット内でのブッシュのがたつきを確実に防止することができる防振装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の防振装置は、互いに平行に配置した、いずれも剛性材料からなる円筒状の内筒および外筒の相互を、それらの相互間に配設した弾性体で連結してなるブッシュと、該ブッシュの外筒を取り囲んでブッシュを保持する樹脂製のブラケットとを具えるものであって、前記ブラケットの内周面に、ブッシュの外筒を取り囲む内周面から突出形成されて、ブラケットの周方向に延びる弾性係合部と、ブラケットの内部に埋め込み配置される埋設固定部とを連結してなるブッシュ保持部材を設け、ブッシュ保持部材の、弾性係合部および埋設固定部の相互を連結する連結部分を、ブラケットの内周面の半径方向線分に対して傾斜させて延在させるとともに、前記ブッシュを、ブラケットの周方向の複数個所に存在する前記弾性係合部の内側に弾性係合させてなるものである。
【0010】
ここで好ましくは、筒状をなすブッシュ保持部材を、ブラケットの内周面の全周にわたって配設し、該ブッシュ保持部材の弾性係合部と埋設固定部とを、ブラケットの周方向に交互に形成する。
【0011】
また好ましくは、ブッシュ保持部材の弾性係合部および埋設固定部をともに円弧状に形成するとともに、弾性係合部の中心軸線を、前記外筒の中心軸線に一致させる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の防振装置によれば、ブッシュを、ブッシュ保持部材の、ブラケットの周方向の複数個所に存在する弾性係合部の内側に弾性係合させたことにより、ブッシュの外筒を取り囲むブラケットの内周面から突出形成されて、ブラケットの周方向に延びる弾性係合部の、ブラケットの内周面側への弾性変形に基く復元力の作用の下で、ブッシュの外筒が、弾性係合部の内側に向けて強固に締め付け固定されることになるので、ブッシュを、複数の弾性係合部の内側に、抜け出しやがたつき等のおそれなしに確実に保持させることができる。
【0013】
しかもここでは、ブッシュを、樹脂製ブラケットの内周面に直接的に接触させることなく、ブッシュ保持部材の内側に保持させたことに加えて、ブッシュ保持部材の弾性係合部および埋設固定部の相互を、ブラケットの内周面の半径方向線分に対して傾斜して延びる連結部分で連結したことにより、ブッシュを、弾性係合部の内側に、たとえば圧入することで保持させるに際し、弾性係合部の、ブラケットの内周面側への弾性変形に起因にしてブラケットに伝達される力は、半径方向線分に対して傾斜する連結部分の、ブラケットの内周面側への撓み変形をもって十分に吸収されることになるので、ブラケットを樹脂材料にて形成したことによる装置の軽量化を実現してなお、樹脂製ブラケットの破損等の、装置の耐久性の低下のおそれを有効に取り除くことができる。
【0014】
ここで、ブラケットの内周面の全周にわたる筒状のブッシュ保持部材を設け、該ブッシュ保持部材の弾性係合部と埋設固定部とを、ブラケットの周方向に交互に形成したときは、弾性係合部が、その両端側に各々存在する埋設固定部のそれぞれに連結された状態で、各弾性係合部がブラケットの内側で支持されることになるので、弾性係合部の弾性変形に基く、ブラケット内でのブッシュの保持力を大きく高めることができる他、たとえば、ブッシュ保持部材を、樹脂製ブラケットと一体成形する際に、ブラケットの周方向に連続しない複数のブッシュ保持部材を、その周方向に間隔をおいて設ける場合に比して、筒状ブッシュ保持部材の、金型内での位置決めが容易となって、装置の生産性を向上させることができる。
【0015】
そして、この場合において、ブッシュ保持部材の弾性係合部および埋設固定部をともに円弧状に形成するとともに、弾性係合部の中心軸線を、前記外筒の中心軸線に一致させたときは、弾性係合部の内表面の、外筒の外周面との接触面積が十分に確保されることから、弾性係合部の内側でのブッシュの弾性係合をより一層強固なものとすることができて、ブッシュの、ブラケットの内側からの抜け出しや、ブッシュのがたつきを防止する効果がさらに高まることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】外筒の中心軸線と直交する垂直面内の縦断面図である。
【図3】ブッシュの圧入工程を示す斜視図である。
【図4】図2に示す防振装置の要部拡大断面図である。
【図5】ブッシュ保持部材の変形例を示す断面図である。
【図6】ブッシュ保持部材の他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について説明する。
図中1は、エンジン側部材もしくは車体側部材のいずれか一方に取り付けられるブッシュを示し、また、2は、エンジン側部材もしくは車体側部材の他方に取り付けられて、ブッシュ1を取り囲んで保持するブラケットを示す。
なお、ここでは、この発明を適用したエンジンマウントを例にとって説明するが、この発明は当然に、エンジンマウント以外のブッシュタイプの防振装置にも適用可能である。
【0018】
ここで、ブッシュ1は、内側に、エンジン側部材もしくは車体側部材の一方が挿入連結される、金属やプラスチック等の剛性材料からなる円筒状の内筒3と、内筒3の外周側に内筒3と平行に配設されて、これもまた剛性材料からなる円筒状の外筒4と、内筒3および外筒4の相互間で、それらの相互を連結する、たとえばゴム材料にて形成することができる弾性体5とを具えてなる。
【0019】
またここで、ブラケット2は、図に示すところでは、ブッシュ1を取り囲む筒状部分6の周方向の二箇所に、その筒状部分6の外側へ突出するそれぞれの脚部7、8を形成してなるものであり、これらの脚部7、8の各々を、エンジン側部材もしくは車体側部材の他方側に、たとえばボルト連結することで、ブラケット2を車体側部材等に固定することができる。
なお、ブラケット2は、その脚部を、所要に応じて一本もしくは三本以上とすることができる他、脚部なしで、筒状部分を車体側部材等に、嵌め込み等によって取り付けることも可能である。
【0020】
ここにおいて、ブラケット2は、金属材料に比して比重の小さい、たとえば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリブテンその他の樹脂材料にて形成することが、装置の軽量化を図る上で好ましい。
このようにブラケット2を樹脂製とした場合は、金属製とした場合よりも防振装置の軽量化の故に、防振装置が取り付けられる、たとえば車両の燃費を向上させることができる。
【0021】
ところで、このような樹脂製ブラケット2の筒状部分6の内側に、ブッシュ1の剛性外筒4を、たとえば、直接的に圧入して保持させる場合は、金属製のものに比して強度の低い樹脂製ブラケット2が破損する等のおそれがあって、ブッシュ1を樹脂製ブラケット2の内側に強固に保持させることができないため、この発明は、かかる問題に有効に対処するべく、図2に断面図で示すところから明らかなように、樹脂製ブラケット2の筒状部分6の、ブッシュ1の外筒4を取り囲む内周側に、ブッシュ保持部材9を埋設配置して、このブッシュ保持部材9の内側に、ブッシュ1を保持させる。
【0022】
このように、ブラケット2の筒状部分6と、ブッシュ1の外筒4との間に介装させた、ブッシュ保持部材9の露出部分をもって、ブッシュ1を弾性的に保持させることによれば、たとえば、ブッシュ1をブラケット2の内側に圧入して保持させる際の圧入力の、ブラケット2への伝達を、ブッシュ保持部材9の弾性変形に基いて、有効に緩和することができるので、強度の低い樹脂ブラケットそれ自体の破損を十分に防止することができる。
【0023】
ここで、たとえば金属材料にて形成することができるブッシュ保持部材9は、ブラケット2の筒状部分6の内周面から突出形成されて、筒状部分6の周方向に延びる弾性係合部10と、ブラケット2の筒状部分6の内部に埋め込み配置される埋設固定部11と、弾性係合部10および埋設固定部11の相互を連結する連結部分12とからなるものであり、弾性係合部10と、筒状部分6の内周面との間には隙間13が形成される。
なお、図に示すところでは、弾性係合部10と埋設固定部11とを、ブラケット2の周方向に交互に等間隔でそれぞれ4個ずつ形成したが、これらの弾性係合部および埋設固定部はそれぞれ、2もしくは3個または、5個以上形成することもできる。
【0024】
そして、図3に例示するように、たとえば、ブッシュ1を、ブッシュ保持部材9の内側に圧入することで、弾性係合部10を、隙間13側へ弾性変形させた状態で、ブッシュ1を、ブッシュ保持部材9のそれぞれの弾性係合部10の内側に弾性係合させる。
このことによれば、弾性係合部10の、前記弾性変形に基く、筒状部分6の内側への復元力によって、ブッシュ1が弾性係合部10の内周に強固に締め付け保持されることになるので、ブラケット2内でのブッシュ1の保持を十分確実なものとすることができる。
【0025】
またここで、図4に拡大断面図で示すように、連結部分12を、筒状部分6の内周面の、図に仮想線で示す半径方向線分に対して傾斜させて延在させることにより、ブッシュ1の、弾性保持部10の内側への圧入に起因して、弾性係合部10が隙間13側へ弾性変形する際に、連結部分12の露出部分が、筒状部分6の内周面側に撓み変形して、弾性係合部10からブラケット2へ伝達される力が、連結部分12のその撓み変形によってより効果的に緩和されることになるので、樹脂ブラケット2の破損のおそれを一層有効に取り除くことができる。
なお、この発明の防振装置では、広く一般に用いられる既存のブッシュ1に、手を加えることなしに、ブラケット2のブッシュ保持部材9の内側に圧入して保持させることで利用することができるので、ブラケット2に合わせて、ブッシュ1を新たに開発することが不要となる。
【0026】
なおここでは、ブッシュ保持部材9の弾性係合部10および埋設固定部11をともに、図2に示すように円弧状に形成するとともに、弾性係合部9の中心軸線を、ブッシュ1の外筒4の中心軸線に一致させたことにより、弾性係合部10と外筒4とが十分大きな面積で接触することになって、ブッシュ保持部材9によるブッシュ1の保持力がより一層高まることになる。
【0027】
図2に示すような防振装置の、ブッシュ保持部材9の埋設固定部11が埋設配置される樹脂ブラケット2は、ブッシュ保持部材9と一体成形することが好ましい。
すなわち、図示は省略するが、ブラケット2を成形するための金型のキャビティに、たとえば予め筒状に成形したブッシュ保持部材9を配置するとともに、キャビティ内に樹脂材料を射出等することにより、ブッシュ保持部材9が一体成形されたブラケット2を形成することができる。
【0028】
ここで、弾性係合部10と筒状部分6との間への隙間13の形成は、たとえば、金型のキャビティに向けて突出する爪部を、キャビティに配置されるブッシュ保持部材9の弾性係合部10のそれぞれの外周側に位置するように、金型と一体に形成しておくか、あるいは、ブッシュ保持部材9をキャビティに配置した後、弾性係合部10のそれぞれの外周側に、ブラケット2の射出成形の終了後に取り外すことのできる、金型とは別個の板状部材を配置しておくことにより行うことができる。
【0029】
ところで、筒状のブッシュ保持部材9は、一個の筒状の部材として形成することの他、複数の湾曲板状の構成部材を筒状に組み合わせることによっても形成することができ、かかる湾曲板状の構成部材は、筒状の部材に比して成形し易いという加工上の利点がある。
【0030】
また、ブッシュ保持部材9によるブッシュ1の保持を確実なものとするとの観点および、ブラケット2を射出成形する際の、ブッシュ保持部材9の、金型内での位置決めを容易なものとするとの観点からは、図1および2に示すように、各弾性係合部10の両端を、その両端側に隣接して存在するそれぞれの埋設固定部11に連結させることで、弾性係合部10が強固に支持される筒状のブッシュ保持部材9とすることが好ましいが、図5に例示するような、筒状以外の形状のブッシュ保持部材とすることも可能である。
【0031】
すなわち、図5(a)に示す防振装置は、ブラケット2の筒状部分6の周方向の4箇所に、4個のブッシュ保持部材19のそれぞれを、周方向に若干の間隔をおいて設けたものであり、各ブッシュ保持部材19は、弾性係合部20と、筒状部分6の内部に埋設配置された埋設固定部21と、弾性係合部20の一端と埋設固定部21の一端とを相互連結する連結部分22とからなる。
ところで、このブッシュ保持部材19は、筒状部分6の周方向の2箇所もしくは3箇所に設けることもできるが、装置の使用に際し、ブッシュ1の外筒4の中心軸線と、筒状部分6の中心軸線とがずれることなく、ブッシュ1を十分強固に弾性保持するためには、筒状部分6の周方向の4箇所以上に設けることが好ましい。
【0032】
また、図5(b)に示すように、ブッシュ保持部分29を、弾性係合部30と、弾性係合部30の外周側で、筒状部分6に埋設配置された埋設固定部31と、それらの両端部を連結するそれぞれの連結部分32とで構成することもできる。
このブッシュ保持部分29もまた、図5(a)に示すブッシュ保持部材19と同様に、筒状部分6の周方向での配設個数を所要に応じて変更することができる。
【0033】
なおここで、図6に示すように、外筒4の外周面に沿う円弧状の一対の弾性係合部40と、筒状部分6と同心をなす円弧状の一対の埋設固定部41とのそれぞれを、連結部分42で連結してなる、異形楕円形の断面形状を有する筒状のブッシュ保持部材39とすることも可能である。
【0034】
上述した防振装置は、図1に示すように、ブラケット2および、ブッシュ1の外筒4のそれぞれの中心軸線をともに、ブラケット2に設けた脚部7、8が取り付けられる車体側部材等の表面に直交し、それらの中心軸線を含む垂直面(図に破線で示す)内で傾けて延在させることもできる。
なお、図1に示すところでは、両中心軸線を、車体側部材等の表面と平行に延在させている。
ところで、これらのいずれの場合にあっても、ブッシュ1の、少なくとも、車体側部材等の前記表面側の外周面の半部は、ブラケット2によって覆われるものであることが好ましい。
このことによれば、防振装置を、エンジン側部材および車体側部材のそれぞれに取り付けて使用に供するに際し、ブッシュ保持部材9を強固に固定し、使用時にも脱落のおそれを小さくすることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 ブッシュ
2 樹脂ブラケット
3 内筒
4 外筒
5 弾性体
6 筒状部分
7、8 脚部
9、19、29、39 ブッシュ保持部材
10、20、30、40 弾性係合部
11、21、31、41 埋設固定部
12、22、32、42 連結部分
13 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置した、いずれも剛性材料からなる円筒状の内筒および外筒の相互を、それらの相互間に配設した弾性体で連結してなるブッシュと、該ブッシュの外筒を取り囲んでブッシュを保持する樹脂製のブラケットとを具える防振装置であって、
前記ブラケットの内周面に、ブッシュの外筒を取り囲む内周面から突出形成されて、ブラケットの周方向に延びる弾性係合部と、ブラケットの内部に埋め込み配置される埋設固定部とを連結してなるブッシュ保持部材を設け、ブッシュ保持部材の、弾性係合部および埋設固定部の相互を連結する連結部分を、ブラケットの内周面の半径方向線分に対して傾斜させて延在させるとともに、前記ブッシュを、ブラケットの周方向の複数個所に存在する前記弾性係合部の内側に弾性係合させてなる防振装置。
【請求項2】
筒状をなすブッシュ保持部材を、ブラケットの内周面の全周にわたって配設し、該ブッシュ保持部材の弾性係合部と埋設固定部とを、ブラケットの周方向に交互に形成してなる請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
ブッシュ保持部材の弾性係合部および埋設固定部をともに円弧状に形成するとともに、弾性係合部の中心軸線を、前記外筒の中心軸線に一致させてなる請求項2に記載の防振装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−117620(P2012−117620A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268628(P2010−268628)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】