説明

防振装置

【課題】本体ゴム弾性体の剪断方向と圧縮方向の両方向の弾性変形に基づく十分な防振効果が低コストに確保され得る防振装置を提供する。
【解決手段】内筒部材10と外筒部材12とを、テーパ筒状の本体ゴム弾性体14にて相互に連結した。そして、本体ゴム弾性体14の小径側端部の側に位置する、内筒部材10の軸方向一端部に対して一体的に組み付けられた剛性部材42に、内筒部材10の径方向外方に広がる当接面48を形成し、更に、本体ゴム弾性体14の小径側端面30が当接面48にて軸方向に押圧されたときに、本体ゴム弾性体14の小径側端部の径方向外方への膨出を規制する規制手段32を設けて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置に係り、特に、内筒部材と外筒部材とがテーパ筒状の本体ゴム弾性体にて相互に連結されて構成されて、かかる本体ゴム弾性体の弾性変形に基づいて防振効果を得るようにした防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、内筒部材と、この内筒部材の周りに径方向外方に離間して配置された外筒部材との間に、テーパ筒状の本体ゴム弾性体を、内筒部材に対する外挿状態で介装して、かかる本体ゴム弾性体の小径側端部の内周面を内筒部材に固着する一方、本体ゴム弾性体の大径側端部の外周面を外筒部材に固着することにより、内筒部材と外筒部材とを本体ゴム弾性体にて相互に連結してなるものが、知られている。このような防振連結体乃至は防振支持体は、一般に、内筒部材の軸方向両端部のうち、本体ゴム弾性体の小径側端部の側に位置する軸方向一端部に対して、本体ゴム弾性体よりも高い剛性を有する剛性部材が、本体ゴム弾性体とは非接着で、内筒部材と一体移動可能に組み付けられた防振装置として構成されて、例えば、自動車等の車両のエンジンマウント等に適用されている。
【0003】
なお、かかる防振装置において、内筒部材の軸方向一端部に組み付けられる剛性部材は、例えば、金属製のエンジン側ブラケットやストッパ金具にて構成される。剛性部材がエンジン側ブラケットにて構成される場合には、このエンジン側ブラケットを介して、内筒部材がエンジンに取り付けられる一方、外筒部材が車体に取り付けられて、防振装置が自動車等に装着されることとなる。また、剛性部材がストッパ金具にて構成される場合には、ストッパゴム部が、ストッパ金具と軸方向に離間して位置するように、本体ゴム弾性体に一体形成され、軸方向の振動荷重の入力時に、ストッパゴム部がストッパ金具に当接することにより、本体ゴム弾性体の過大変形が防止されるようになる。
【0004】
そして、上記の如き構造とされた従来の防振装置にあっては、例えば、特許第4299298号公報等において明らかにされるように、テーパ筒状の本体ゴム弾性体の小径側端部の内周面が固着される内筒部材の軸方向一端側部分の外周面が、本体ゴム弾性体のテーパ筒形状とは逆のテーパ形状とされている。これにより、軸方向に振動荷重が入力された際に、本体ゴム弾性体が、剪断方向において弾性変形するだけでなく、内筒部材のテーパ状の外周面部分にて軸方向に押圧されて、圧縮方向において弾性変形する。そうして、内外筒部材の間に入力される軸方向の振動荷重が、本体ゴム弾性体の剪断方向と圧縮方向の両方向の弾性変形に基づいて有利に吸収され得るようになっているのである。
【0005】
ところが、従来の防振装置では、内筒部材が、一般に、アルミニウム等の金属材料を用いて形成されている。それ故、そのような従来の防振装置においては、金属製の内筒部材を、軸方向一端部の外周面がテーパ形状とされた異形形状において形成するために、内筒部材の製造コストが嵩み、それが防振装置全体の製造コストを圧迫するといった問題が内在していたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4299298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、上記した事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、内外筒部材がテーパ筒状の本体ゴム弾性体にて相互に連結されると共に、本体ゴム弾性体の小径側端部の側に位置する内筒部材の軸方向一端部に対して、剛性部材が一体的に組み付けられてなる防振装置において、本体ゴム弾性体の剪断方向と圧縮方向の両方向の弾性変形に基づく十分な防振効果が低コストに確保され得るように改良された構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0009】
本発明は、上記した課題の解決のために、内筒部材と、該内筒部材の周りに径方向外方に離間して配置された外筒部材との間に、該内筒部材に対して外挿状態で介装されたテーパ筒状の本体ゴム弾性体の小径側端部の内周面を該内筒部材に固着すると共に、該本体ゴム弾性体の大径側端部の外周面を該外筒部材に固着することにより、該内筒部材と該外筒部材とを該本体ゴム弾性体にて相互に連結する一方、該内筒部材の軸方向両端部のうち、該本体ゴム弾性体の小径側端部の側に位置する軸方向一端部に対して、剛性部材を、該本体ゴム弾性体とは非接着で、該内筒部材と一体移動可能に組み付けてなる防振装置において、前記内筒部材の径方向外方に広がる当接面が、前記剛性部材に形成されて、該当接面に対して、前記本体ゴム弾性体の小径側の端面が当接せしめられていると共に、軸方向の振動入力による該内筒部材と前記外筒部材の軸方向での相対移動により、該本体ゴム弾性体の小径側端面が該剛性部材の該当接面にて軸方向に押圧されたときに、該本体ゴム弾性体の小径側端部の径方向外方への膨出を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする防振装置を、その要旨とするものである。
【0010】
なお、本発明の好ましい態様の一つによれば、前記剛性部材の前記内筒部材に対する組付により、該剛性部材の前記当接面にて押圧されて軸方向に予備圧縮される環状のゴム突条が、前記本体ゴム弾性体の小径側端面に一体形成されて、前記規制手段が、該ゴム突条にて構成される。
【0011】
また、本発明の有利な態様の一つによれば、前記本体ゴム弾性体の小径側端部の周りを取り囲む筒状突起が、前記剛性部材の前記当接面に形成されて、前記規制手段が、該筒状突起にて構成される。
【0012】
さらに、本発明の望ましい態様の一つによれば、前記本体ゴム弾性体の小径側端部の内周面の端縁部に対して、周方向に連続して延びる段差部が設けられて、該本体ゴム弾性体の小径側端部の内周面と内筒部材との外周面との間に環状の隙間が形成される。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明に従う防振装置にあっては、軸方向に振動荷重が入力された際に、本体ゴム弾性体が、内筒部材と外筒部材との軸方向の相対移動により、剪断方向に弾性変形する。また、剛性部材の当接面にて軸方向に押圧されることで、圧縮方向へも確実に弾性変形する。それ故、従来装置とは異なって、内筒部材を、軸方向一端部の外周面がテーパ筒形状とされた異形形状とすることなく、単純な円筒形状としても、軸方向の振動入力時に、本体ゴム弾性体が、剪断方向と圧縮方向の両方向において確実に弾性変形するようになる。そして、そのような単純な円筒形状を呈する内筒部材の採用が可能となるため、内筒部材の製作コストの低下と製作工程の簡略化が、効果的に図られ得る。
【0014】
しかも、軸方向に振動荷重が入力されて、本体ゴム弾性体が剛性部材の当接面にて軸方向に押圧された際に、本体ゴム弾性体の小径側端部の径方向外方への膨出が、規制手段によって規制される。そのため、軸方向の振動入力時において本体ゴム弾性体に作用する圧縮荷重が、小径側端部の膨出によって径方向外方に分散することが有利に回避され、以て、軸方向の振動入力時における本体ゴム弾性体の圧縮変形量が、十分に確保され得る。
【0015】
従って、本発明に従う防振装置にあっては、本体ゴム弾性体の剪断方向と圧縮方向の両方向の弾性変形に基づく十分な防振効果が、より低コストに且つ確実に確保され得、以て、優れた防振性能が、極めて有効に発揮され得る。また、内筒部材の製作工程の簡略化により、防振装置全体の製作性の向上が、効果的に図られ得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従う防振装置の一実施形態を示す縦断面説明図である。
【図2】本発明に従う防振装置の別の実施形態を示す図1に対応する図である。
【図3】本発明に従う防振装置の更に別の実施形態を示す図1に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0018】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する防振装置の一実施形態としての自動車のエンジンマウントが、その縦断面形態において示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のエンジンマウントは、内筒部材としての内筒金具10と、外筒部材としての外筒金具12とを有している。これら内筒金具10と外筒金具12は、互いに径方向に所定距離を隔てて、同軸的に配置されており、それらの間に介装された本体ゴム弾性体14にて、互いに弾性的に連結されている。
【0019】
そして、かかる本実施形態のエンジンマウントは、内筒金具10が自動車のエンジンに取り付けられる一方、外筒金具12が自動車のボデーに取り付けられることにより、エンジンをボデーに対して防振支持させるようになっている。また、そのような自動車への装着状態下において、防振すべき主たる振動が、内筒金具10と外筒金具12の軸方向(図1中の上下方向)に入力されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、内筒金具10と外筒金具12の軸方向となる、図1、及び後述する図2、図3中の上下方向を言う。
【0020】
より詳細には、内筒金具10は、全体として、所定の軸方向長さを有する厚肉の円筒形状を呈している。これにより、内筒金具10の外周面の全体が、一定の径を有してストレートに延びる円筒面とされている。
【0021】
外筒金具12は、全体として、内筒金具10よりも薄肉の円筒形状を呈し、内筒金具10の軸方向長さと略同程度の軸方向長さと、内筒金具10の外径よりも十分に大きな内径とを有している。そして、この外筒金具12の上側部分が、上方に向かって次第に大径化するテーパ筒部16とされている一方、その下側部分が、円筒部20とされている。また、テーパ筒部16の上側開口部(大径側開口部)の周縁部には、径方向外方に所定高さ突出し、且つ周方向に連続して延びる外フランジ部18が、一体的に周設されている。
【0022】
そして、内筒金具10が、上側略半分の部分に相当する上端側部分22を外筒金具12の上側開口部(テーパ筒部16の大径側開口部)から上方に突出させる一方、外筒金具12が、円筒部20を内筒金具10の下端面よりも下方に突出させた状態、つまり、内筒金具10の軸方向の中心部を、外筒金具12の軸方向の中心部よりも上方に偏倚させた状態で、それら内筒金具10と外筒金具12とが、互いに同軸的に配置されている。
【0023】
一方、本体ゴム弾性体14は、全体として、上方に向かって次第に小径化するテーパ筒形状を呈している。即ち、外筒金具12のテーパ筒部16とは逆のテーパ筒形状とされている。また、本体ゴム弾性体14の大径側端部となる下端部には、比較的に厚肉の円筒状突出部24が、下方に向かって延びるように一体形成されている。この円筒状突出部24は、外筒金具12の円筒部20の軸方向長さよりも所定寸法だけ長い長さと、かかる円筒部20の内径と同一の外径と、内筒金具10の外径よりも大きな内径とを有している。
【0024】
そして、このような本体ゴム弾性体14の小径側端部の内周面に対して、外筒金具12の上側開口部から突出する内筒金具10の上端側部分22が、その外周面において加硫接着されている一方、本体ゴム弾性体14の大径側端部の外周面に対して、外筒金具12のテーパ筒部16が、その内周面において加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体14の円筒状突出部24の外周面に対して、外筒金具12の円筒部20が、その内周面において加硫接着されている。更に、本体ゴム弾性体14の円筒状突出部24の下端部が、外筒金具12の円筒部20の下端から下方に突出しており、この突出部分が、ストッパゴム部28とされている。
【0025】
かくして、ここでは、本体ゴム弾性体14が、その内外周面に、内筒金具10と外筒金具12とがそれぞれ加硫接着されてなる一体加硫成形品26として構成されている。また、そのような一体加硫成形品26を含んで、本実施形態のエンジンマウントが構成されているのである。
【0026】
そして、そのような本実施形態のエンジンマウントにおいては、特に、本体ゴム弾性体14の上端面となる小径側端面30が、平坦な円環面とされている。また、かかる小径側端面30の幅:W(小径側端面の内径と外径との差)が、従来のエンジンマウントにおける本体ゴム弾性体の小径側端面の幅よりも、十分に大きくされている。具体的には、本実施形態のエンジンマウントでは、内筒金具10の上端側部分22の外周面が円筒面とされているため、内筒金具10の上端側部分22の外周面が上方に向かって大径化するテーパ面とされた従来のエンジンマウントに比して、少なくとも、上端側部分22の内径が小さくされている分だけ、小径側端面30の幅:Wが大なる大きさとされている。
【0027】
そして、そのような小径側端面30には、その外周部に対して、ゴム突条32が一体形成されている。このゴム突条32は、図1に二点鎖線で示されるように、全体として、厚肉の円筒形状乃至は円環形状を呈しており、その上端側部分が、内筒金具10の上端面よりも上方に所定高さだけ突出している。
【0028】
また、本体ゴム弾性体14の小径側端部の内周面の端縁部には、かかる端縁部の内径を、端縁部以外の内周面部分の径よりも大径とする段差部34が、周方向に連続して延びるように形成されている。これによって、本体ゴム弾性体14の小径側端部の内周面と、内筒金具10の上端側部分22における上側端縁の外周面との間に、環状の隙間36が形成されている。
【0029】
すなわち、本体ゴム弾性体14の小径側端部には、その外周部に、内筒金具10の上端面よりも上方に突出する円筒状乃至は円環状のゴム突条32が一体的に周設されており、また、その内周部には、ゴム突条32の内側において、その周方向に延びる環状の隙間36が、ゴム突条32の内周面を、内筒金具10の上端側部分22の外周面に対して、内筒金具10の径方向において所定距離を隔てて対向配置させるように形成されているのである。
【0030】
そして、上記の如き構造を有する一体加硫成形品26には、エンジン側ブラケット38とストッパ金具40とが、それぞれ組み付けられている。
【0031】
エンジン側ブラケット38は、金属材料(例えば、アルミニウム等)等を用いて形成された剛性部材からなり、取付部42とアーム部44とを一体的に有している。取付部42は、略厚肉の円筒形状を呈し、その内径が、内筒金具10の内径と略同一の大きさとされており、また、外径が、本体ゴム弾性体14の小径側端部の外径と略同一の大きさとされている。そして、その内孔が、内周面に雌ネジが形成された雌ネジ孔46とされている。
【0032】
アーム部44は、取付部42の外周面の周上の一箇所から軸直角方向に所定長さで延び出すロッド状部材にて構成され、図示されてはいないものの、先端部において、エンジンに対して、例えばボルト固定等により取り付けられるようになっている。
【0033】
そして、このようなエンジン側ブラケット38においては、特に、取付部42の下端面が、当接面48とされている。この当接面48は、内筒金具10の軸直角方向に広がる平坦な円環面からなり、取付部42の内外径と対応して、内径が、内筒金具10の内径と略同一の大きさとされている一方、外径が、本体ゴム弾性体の小径側端部の外径と略同一の大きさとされている。
【0034】
一方、ストッパ金具40は、上側底部を有して下方に向かって開口する、比較的に薄肉で有底の円筒金具にて構成されている。そして、この円筒金具からなるストッパ金具40は、内筒金具10の外径よりも大きく、且つ本体ゴム弾性体14の円筒状突出部24よりも小さな径を有し、また、その軸方向長さが、円筒状突出部24の軸方向長さよりも所定寸法大きくされている。更に、上側底部の中心部には、内筒金具10の内径と略同一内径を円形の貫通孔50が設けられている。また、下側開口部の周縁部には、径方向外方に突出し、且つ周方向に連続して延びる円環板状の外フランジ部52が、一体形成されている。この円環板状の外フランジ部52は、その外径が、外筒金具12の外径と略同一の大きさとされている。
【0035】
そして、そのようなストッパ金具40の上側底部の上面が、内筒金具10の下端面に重ね合わされる一方、エンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48が、内筒金具10の上端面に重ね合わされて、それらストッパ金具40とエンジン側ブラケット38とが、内筒金具10を、その軸方向において間に挟んで配置されている。また、かかる配置状態下において、取付ボルト54が、ストッパ金具40の貫通孔50と内筒金具10の内孔に下側から挿通されて、エンジン側ブラケット38の取付部42の雌ネジ孔46に螺入されている。これによって、ストッパ金具40が、内筒金具10の下端部に対して、内筒金具10と一体移動可能に組み付けられている一方、エンジン側ブラケット38(取付部42)が、内筒金具10の上端部に対して、内筒金具10と一体移動可能に組み付けられている。かくして、本実施形態のエンジンマウントが、一体加硫成形品26に対してエンジン側ブラケット38とストッパ金具40とが一体的に組み付けられてなる一体組付品として構成されているのである。
【0036】
なお、ここでは、内筒金具10の下端部へのストッパ金具40の組付状態下において、ストッパ金具40の外フランジ部52が、本体ゴム弾性体14の円筒状突出部24の下端に一体形成されたストッパゴム部28の下方に、ストッパゴム部28と所定距離を隔てて対向配置されている。これにより、後述するようにして自動車に装着されたエンジンマウントに対して、本体ゴム弾性体14を大きく引張変形させるような振動荷重が入力された際に、ストッパ金具40の外フランジ部52がストッパゴム部28に当接して、本体ゴム弾性体14の過大な引張変形が阻止されるようになっている。そうして、本体ゴム弾性体14の耐久性の向上が図られている。
【0037】
また、前記したように、本実施形態では、本体ゴム弾性体14の小径側端面30に一体的に突設されたゴム突条32の上端部が、内筒金具10の上端面よりも上方に突出している。そのため、エンジン側ブラケット38を内筒金具10の上端部に組み付ける際には、エンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48の外周部が、本体ゴム弾性体14のゴム突条32の上端面に当接して、その内周部が、内筒金具10の上端面に対して離間させられた状態から、当接面48の内周部が、内筒金具10の上端面に当接した状態となるまで、取付ボルト54を締め付ける操作が行われる。このとき、ゴム突条32が、内筒金具10の上端面よりも上方に突出した高さに相当する寸法だけ、当接面48により下方に押圧される。そして、下方に押圧されたゴム突条32は、それの内側に形成された環状の隙間36を埋めるようにして、径方向に膨らむ。これによって、本実施形態のエンジンマウントでは、内筒金具10の上端部へのエンジン側ブラケット38の組付状態下において、実質的に、ゴム突条32だけが、軸方向に予備圧縮されているのである。
【0038】
そして、かかるエンジンマウントは、外筒金具12の円筒部20が、ボデー側ブラケット56の円筒状取付部58(図1に二点鎖線で示す)に対して、圧入等により取り付けられる一方、エンジン側ブラケット38のアーム部44が図示しないエンジンに対して、ボルト固定等により取り付けられて、自動車に装着されるようになっている。
【0039】
かくして、本実施形態のエンジンマウントにおいては、エンジンとボデーとの間に上下方向の振動荷重が入力された際に、内筒金具10と外筒金具12とが、上下方向に相対移動させられるようになっている。そして、そのような内外筒金具10,12の上下方向の相対移動に伴って、本体ゴム弾性体14が、剪断方向に弾性変形させられるようになっている。また、特に、そのような相対移動のうち、内筒金具10が、外筒金具12に対して、下側に向かって相対移動させられた際には、本体ゴム弾性体14の小径側端面30を含む小径側端部が、エンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48にて下方に押圧されて、本体ゴム弾性体14が圧縮方向に弾性変形させられるようになっている。そうして、そのような剪断方向と圧縮方向の両方向の弾性変形に基づいて、上下方向の振動荷重が、有効に吸収されるようになっているのである。
【0040】
そして、本実施形態のエンジンマウントでは、特に、本体ゴム弾性体14の小径側端面30に一体的に突設されたゴム突条32が予備圧縮されている。このため、エンジンとボデーとの間、即ち、内筒金具10と外筒金具12との間に、上下方向の振動荷重が入力されて、エンジン側ブラケット38が、内筒金具10と共に、外筒金具12に対して下方に相対移動して、本体ゴム弾性体14の小径側端部が、エンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48にて下方に押圧された際には、かかる当接面48と当接するゴム突条32が、径方向外方に膨出するように、弾性的に圧縮変形することが有利に防止される。これによって、当接面48からの圧縮荷重が、本体ゴム弾性体14に対して、ロス無く、極めて確実に及ぼされるようになる。このことから明らかなように、本実施形態では、ゴム突条32にて規制手段が構成されている。
【0041】
また、かかるエンジンマウントにおいては、予備圧縮されたゴム突条32から、エンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48に対して、復元力に基づく反力が加えられて、それらゴム突条32と当接面48との間に、より大きな摩擦抵抗が発生している。そのため、上下方向の入力振動により、本体ゴム弾性体14の小径側端部がエンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48にて下方に押圧された際には、ゴム突条32が、その先端面(当接面48に対する接触面)を当接面48に対して摺動させながら、径方向外方に膨出するするようなことも効果的に防止される。これによっても、当接面48からの圧縮荷重が、本体ゴム弾性体14に対して、ロス無く、極めて確実に及ぼされるようになる。
【0042】
このように、本実施形態のエンジンマウントでは、内筒金具の上端側部分の外周面がテーパ面とされた従来のエンジンマウントとは異なって、内筒金具10の外周面の全体が円筒面とされているにも拘わらず、上下方向の振動が入力された際に、本体ゴム弾性体14が、剪断方向は勿論、圧縮方向にも確実に弾性変形させられるようになっている。それ故、単純な円筒形状を呈する内筒金具10の採用により、内筒金具10の製作コストの低減と製作工程の簡略化を十分に図りつつ、本体ゴム弾性体14において、剪断変形に基づくばね特性と、圧縮変形に基づくばね特性の両方が、極めて安定的に且つ効果的に発揮され得る。
【0043】
従って、かくの如き本実施形態のエンジンマウントによれば、本体ゴム弾性体14の剪断方向と圧縮方向の両方向の弾性変形による高度な振動吸収作用に基づく優れた防振性能が、より低コストに確保され得る。しかも、内筒金具10の製作工程の簡略化により、エンジンマウント全体の製作性の向上も、極めて効果的に図られ得ることとなるのである。
【0044】
また、本実施形態のエンジンマウントにおいては、本体ゴム弾性体14のゴム突条32が、エンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48にて下方に押圧されて、予備圧縮されている。そのため、上下方向の振動が入力されて、内筒金具10と取付部42が、外筒金具12に対して上方に相対移動した際、つまり、本体ゴム弾性体14に対して引張方向の作用力が加えられた際に、ゴム突条32の予備圧縮量が小さくされることで、本体ゴム弾性体14の引張変形量が有利に軽減される。その結果、上下方向の入力振動に対して、本体ゴム弾性体14において、より安定的なばね特性が発揮され、以て、更に一層優れた防振特性が発揮され得るのである。
【0045】
次に、図2には、本発明に従う防振装置の別の実施形態としてのエンジンマウントが示されている。本実施形態のエンジンマウントは、本体ゴム弾性体の小径側端部以外の構造が、前記第一の実施形態に係るエンジンマウントと同様な構造とされている。従って、この本実施形態のエンジンマウントについては、前記第一の実施形態のエンジンマウントと同様な構造とされた部材及び部位について、図1と同様な符号を図2に付すことにより、それらの詳細の説明を省略する。なお、後述する図3に示される別の実施形態に関しても同様とする。
【0046】
すなわち、図2に示されるように、本実施形態のエンジンマウントは、内筒金具10が円筒形状を呈し、その外周面が、軸方向の全長に亘って同一の外径とされたストレートの円筒面とされている。また、本体ゴム弾性体14の小径側端面30には、ゴム突条(32)が何等設けられておらず、小径側端面30の全体が平坦な円環面とされている。そして、この小径側端面30が、内筒金具10の上端面と略面一の高さ位置となるように配置されている。
【0047】
エンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48は、平坦な円環面とされており、ここでは、その内径が、内筒金具10の内径と略同一の大きさとされ、その外径が、本体ゴム弾性体14の小径側端面30の外径よりも所定寸法だけ大きくされている。
【0048】
また、そのような当接面48の外周部には、筒状突起60が一体形成されている。この筒状突起60は、全体として、高さの低い円筒形状を呈しており、その内径が、本体ゴム弾性体14の小径側端面30の外径よりも僅かに大きくされており、その高さが、本体ゴム弾性体14の小径側端部の高さに略相当する寸法とされている。
【0049】
そして、本実施形態のエンジンマウントにおいては、エンジン側ブラケット38の取付部42が、当接面48の内周部を内筒金具10の上端面に当接させて、内筒金具10の上端部に、取付ボルト54にて取り付けられている。また、そのような取付状態下で、本体ゴム弾性体14の小径側端部が、当接面48の外周部に設けられた筒状突起60にて周りを取り囲まれて、配置されている。更に、かかる状態において、本体ゴム弾性体14の小径側端面30が、取付部42の当接面48にて、何等押圧されることなく、当接面48の外周部に対して、所謂ゼロタッチで接触している。即ち、前記実施形態とは異なって、ここでは、本体ゴム弾性体14の小径側端部が予備圧縮されていないのである。
【0050】
このような構造とされた本実施形態のエンジンマウントにあっては、上下方向の振動荷重が入力されて、エンジン側ブラケット38が、内筒金具10と共に、外筒金具12に対して下方に相対移動して、本体ゴム弾性体14の小径側端部が、エンジン側ブラケット38の取付部42の当接面48にて下方に押圧された際に、かかる小径側端部の外周面が、取付部42の筒状突起60の内周面と接触する。それによって、小径側端部が、径方向外方に膨出するように弾性変形することが、有利に防止される。その結果、当接面48からの圧縮荷重が、本体ゴム弾性体14に対して、ロス無く、極めて確実に及ぼされるようになる。このことから明らかなように、本実施形態では、筒状突起60にて規制手段が構成されている。
【0051】
それ故、本実施形態のエンジンマウントにおいては、単純な円筒形状を呈する内筒金具10の採用により、内筒金具10の製作コストの低減と製作工程の簡略化を十分に図りつつ、本体ゴム弾性体14において、剪断変形に基づくばね特性と、圧縮変形に基づくばね特性の両方が、極めて安定的に且つ効果的に発揮され得る。
【0052】
従って、本実施形態のエンジンマウントにあっても、前記第一の実施形態において奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、有効に享受され得る。
【0053】
次に、図3には、前記第一及び第二の実施形態とは異なる構造を有する更に別の実施形態が示されている。本実施形態のエンジンマウントは、エンジン側ブラケット38が内筒金具10の下端部に取り付けられて、エンジンを吊り下げた状態で支持する、所謂吊り下げタイプのものである。
【0054】
より詳細には、図3に示されるように、本実施形態のエンジンマウントでは、内筒金具10が、円筒形状を呈し、その外周面が、軸方向の全長に亘って同一の外径とされたストレートの円筒面とされている。また、この内筒金具10の内周面には、雌ネジ62が刻設されている。
【0055】
エンジン側ブラケット38は、略厚肉の金属円板からなっている。そして、その中心部から径方向一方側に所定寸法だけ偏倚した部位に、ボルト挿通孔64が形成されている。また、エンジン側ブラケット38の中心から径方向他方側に所定寸法だけ偏倚した部位には、固定ボルト66が、下方に向かって一体的に立設されている。
【0056】
そして、このようなエンジン側ブラケット38が、その上端面において、内筒金具10の下端面に重ね合わされた状態で、ボルト挿通孔64に挿通された取付ボルト54が、内筒金具10の内孔に形成された雌ネジ62に螺合されることにより、内筒金具10の下端部に対して、内筒金具10と一体移動可能に取り付けられている。また、かかるエンジン側ブラケット38の上端面には、円環板形状を呈するストッパゴム部68が、内筒金具10の周りに、周方向に延びるように固着されている。
【0057】
一方、内筒金具10の上端部には、剛性部材としてのストッパ金具40が配置されている。このストッパ金具40は、中心孔70を備えた大径の略円環板形状を呈している。そして、中心孔70に挿通された取付ボルト72が、内筒金具10の内孔内に上側開口部を通じて挿入されて、雌ネジ62に螺合されることにより、ストッパ金具40が、内筒金具10の上端部に、径方向外方に広がるように配置された状態で、内筒金具10と一体移動可能に取り付けられている。
【0058】
また、そのようなストッパ金具40の内筒金具10への取付状態下では、ストッパ金具40の内周部のうち、中心孔70の周辺部分が、内筒金具10の上端面に当接されている。そして、ストッパ金具40の内周部のうち、内筒金具10の上端面との当接部位の周りを位置して周方向に延びる部分が、内筒金具10の径方向外方に広がる当接面48とされている。
【0059】
外筒金具12は、略薄肉の円筒形状を有して、内筒金具10の周りに、径方向外方に所定間隔を隔てて同軸的に配置されている。この外筒金具12においては、その上側部分が、円筒部20とされている一方、下側部分が、上方に向かって次第に大径化するテーパ筒部16とされている。円筒部20の上端部には、円環板状の外フランジ部18が一体的に周設されている。また、ここでは、かかる外筒金具12が、円筒部20において、外筒金具12よりも厚肉で略円筒状を呈する取付用筒金具74内に圧入固定されている。この取付用筒金具74の下端部には、円環板状の内フランジ部76が、一体的に周設されている。かかる内フランジ部76は、内筒金具10の下端部に取り付けられたエンジン側ブラケット38に固着されたストッパゴム部68に対して、上下方向に所定距離を隔てて対向配置されている。
【0060】
そして、本体ゴム弾性体14の小径側端部の内周面に対して、内筒金具10の上端部が、その外周面において加硫接着されている一方、本体ゴム弾性体14の大径側端部の外周面に対して、外筒金具12のテーパ筒部16が、その内周面において加硫接着されている。また、外筒金具12の外フランジ部18の上面上には、本体ゴム部弾性体14に一体形成されたストッパゴム部28が固着されている。このストッパゴム部28は、内筒金具10の上端部に取り付けられたストッパ金具40の外周面に対して、上下方向に所定距離を隔てて対向配置されている。
【0061】
本実施形態のエンジンマウントにあっても、前記第一の実施形態と同様に、本体ゴム弾性体14の小径側端面30の外周部に、円筒状乃至は円環状のゴム突条32が一体形成されている。このゴム突条32は、図3に二点鎖線で示されるように、その上端側部分が、内筒金具10の上端面よりも上方に突出している。また、小径側端面30の内周部には、ゴム突条32の内周面を内筒金具10の上端部の外周面と離間させる環状の隙間36が形成されている。そして、ストッパ金具40の内筒金具10の上端部への取付状態下で、ゴム突条32が、ストッパ金具40の当接面48にて、内筒金具10の上端面よりも上方に突出した寸法分だけ下方に押圧されている。これにより、ゴム突条32が、環状の隙間36を埋めるように径方向に膨らんで、予備圧縮されているのである。
【0062】
このうような構造とされたエンジンマウントは、エンジン側ブラケット38が、それに立設された固定ボルト66にて、エンジンに固定される一方、外筒金具12に固定された取付用筒金具74が、ボデー側ブラケット56の円筒状取付部58に圧入される等して、ボデー側ブラケット56に固定されている。これによって、エンジンマウントが、エンジンとボデーとの間に介装され、エンジンを吊り下げた状態で、ボデーに対して防振支持させるようになっている。
【0063】
このように、本実施形態のエンジンマウントにあっても、前記第一の実施形態と同様に、本体ゴム弾性体14の小径側端面30に一体的に突設されたゴム突条32が予備圧縮されている。このため、上下方向の振動荷重が入力されて、本体ゴム弾性体14の小径側端部が、ストッパ金具40の当接面48にて下方に押圧された際には、予備圧縮されたゴム突条32が、径方向外方に膨出するように、弾性的に更に圧縮変形することが有利に防止される。また、ゴム突条32が、その先端面(当接面48に対する接触面)を当接面48に対して摺動させながら、径方向外方に膨出するようなことも効果的に防止される。これによって、当接面48からの圧縮荷重が、本体ゴム弾性体14に対して、ロス無く、極めて確実に及ぼされるようになる。このことから明らかなように、本実施形態でも、ゴム突条32にて規制手段が構成されている。
【0064】
しかも、本実施形態のエンジンマウントにおいては、単純な円筒形状を呈する内筒金具10の採用により、内筒金具10の製作コストの低減と製作工程の簡略化が、効果的に図られている。
【0065】
従って、かくの如き本実施形態のエンジンマウントにあっても、本体ゴム弾性体14の剪断方向と圧縮方向の両方向の弾性変形による高度な振動吸収作用に基づく優れた防振性能が、より低コストに確保され得る。そして、内筒金具10の製作工程の簡略化によって、エンジンマウント全体の製作性の向上も、極めて効果的に図られ得ることとなるのである。
【0066】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0067】
例えば、本体ゴム弾性体14の小径側端面30に、当接面48により下方に押圧されて予備圧縮されるゴム突条32を設けると共に、当接面48の外周部に対して、本体ゴム弾性体14の小径側端部の周りを取り囲む筒状突起60を形成しても良い。即ち、規制手段を、ゴム突条32と筒状突起60の両方にて構成することも可能である。
【0068】
また、当接面が形成される剛性部材は、エンジン側ブラケット38やストッパ金具40に何等限定されるものではなく、本体ゴム弾性体の小径側端部の側に位置する、内筒部材の軸方向一端部に対して、内筒部材と一体移動可能に組み付けられる部材であって、且つ本体ゴム弾性体よりも高い剛性を有するものであれば、如何なるものであっても良い。
【0069】
さらに、規制手段は、形成が可能であれば、外筒部材に設けても良い。
【0070】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、内外筒部材がテーパ筒状の本体ゴム弾性体にて連結されると共に、本体ゴム弾性体の小径側端部の側に位置する、内筒部材の軸方向一端部に剛性部材が一体的に組み付けられてなる、自動車用エンジンマウント以外の防振装置の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0071】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0072】
10 内筒金具 12 外筒金具
14 本体ゴム弾性体 30 小径側端面
32 ゴム突条 34 段差部
36 隙間 38 エンジン側ブラケット
40 ストッパ金具 48 当接面
60 筒状突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒部材と、該内筒部材の周りに径方向外方に離間して配置された外筒部材との間に、該内筒部材に対して外挿状態で介装されたテーパ筒状の本体ゴム弾性体の小径側端部の内周面を該内筒部材に固着すると共に、該本体ゴム弾性体の大径側端部の外周面を該外筒部材に固着することにより、該内筒部材と該外筒部材とを該本体ゴム弾性体にて相互に連結する一方、該内筒部材の軸方向両端部のうち、該本体ゴム弾性体の小径側端部の側に位置する軸方向一端部に対して、剛性部材を、該本体ゴム弾性体とは非接着で、該内筒部材と一体移動可能に組み付けてなる防振装置において、
前記内筒部材の径方向外方に広がる当接面が、前記剛性部材に形成されて、該当接面に対して、前記本体ゴム弾性体の小径側の端面が当接せしめられていると共に、軸方向の振動入力による該内筒部材と前記外筒部材の軸方向での相対移動により、該本体ゴム弾性体の小径側端面が該剛性部材の該当接面にて軸方向に押圧されたときに、該本体ゴム弾性体の小径側端部の径方向外方への膨出を規制する規制手段が設けられていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記剛性部材の前記内筒部材に対する組付により、該剛性部材の前記当接面にて押圧されて軸方向に予備圧縮される環状のゴム突条が、前記本体ゴム弾性体の小径側端面に一体形成されて、前記規制手段が、該ゴム突条にて構成されている請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記本体ゴム弾性体の小径側端部の周りを取り囲む筒状突起が、前記剛性部材の前記当接面に形成されて、前記規制手段が、該筒状突起にて構成されている請求項1又は請求項2に記載の防振装置。
【請求項4】
前記本体ゴム弾性体の小径側端部の内周面の端縁部に対して、周方向に連続して延びる段差部が設けられて、該本体ゴム弾性体の小径側端部の内周面と内筒部材との外周面との間に環状の隙間が形成されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の防振装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−207761(P2012−207761A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75491(P2011−75491)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】