説明

防水用両面粘着テープ

【課題】狭いテープ幅でも充分な防水性能を有し、浴室などの高湿度環境下で発生する水蒸気の浸水を遮断することができる防水用両面粘着テープを提供する。
【解決手段】本発明の防水用両面粘着テープは、基材フィルムの両面に粘着剤層が積層された防水用両面粘着テープであって、前記基材フィルムが密度0.92〜0.98g/cmのポリエチレンフィルムであり、かつ基材フィルム単体の水蒸気透過率(厚み100μmの基材フィルムとした際の水蒸気透過率)が10g/m・day以下であり、前記粘着剤層の水蒸気透過率(厚み50μmの粘着剤層とした際の水蒸気透過率)がいずれも10g/m・day以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に携帯電話やタッチパネルなどの携帯情報端末機器の内部を固定する用途に好適な防水用両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多種多様の機能を持つ携帯情報端末機器が開発されており、その一つとして防水機能を有する携帯情報端末機器が要望されている。
携帯電話やタッチパネルなどの携帯情報端末においては、各種部材やモジュールの固定に両面粘着テープが使用され、携帯情報端末機器の防水機能は、前記両面粘着テープの有する防水性能に依存している。防水用両面粘着テープとしては、例えば発泡体基材と粘着剤層とを有する両面粘着テープが報告されている(例えば特許文献1)。
【0003】
防水用両面粘着テープは、例えば携帯情報端末機器などにおいて情報表示部と筐体、カメラ周り、キーパッドといった様々な箇所の固定に使用される。
特許文献1および2に記載されている防水用両面粘着テープは、ポリオレフィン系の発泡体基材とアクリル系の粘着剤を有している。基材が発泡していることにより、基材と粘着剤が界面で強固に結合している。また発泡体基材は独立気泡構造をとっているため、両面粘着テープの一方の面が水に濡れても他方の面まで浸透することが無く、防水性を発揮している。更に発泡体基材は耐衝撃性を有するため、衝撃吸収テープとしても用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−108314号公報
【特許文献2】特開2009−242541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発泡体基材は前述したように水は通さないが、発泡材質であるが故に水蒸気を通しやすい。さらにアクリル系の粘着剤も水蒸気を通しやすい。このような部材で構成される防水両面粘着テープは、浴室など高湿度環境下で発生する水蒸気の浸水を遮断することができない。
【0006】
さらに近年の携帯情報端末機能用途において、画面の大型化に伴い、画面の外枠(いわゆる額縁)が狭い防水用両面粘着テープが要望されている。しかしながら1mm程度の非常に狭いテープ幅の場合、発泡体を使用した防水用両面粘着テープでは、水の浸透を制御する独立気泡の泡壁を幅方向に対して十分に確保できない恐れがあり、充分な防水性は達成されない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、狭いテープ幅でも充分な防水性能を有し、浴室などの高湿度環境下で発生する水蒸気の浸水を遮断することができる防水用両面粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、密度と水蒸気透過率を規定した基材と粘着剤を用いることにより課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記(1)〜(6)を提供するものである。
(1)本発明の防水用両面粘着テープは、基材フィルムの両面に粘着剤層が積層された防水用両面粘着テープであって、前記基材フィルムが密度0.92〜0.98g/cmのポリエチレンフィルムであり、かつ基材フィルム単体の水蒸気透過率(厚み100μmの基材フィルムとした際の水蒸気透過率)が10g/m・day以下であり、前記粘着剤層の水蒸気透過率(厚み50μmの粘着剤層とした際の水蒸気透過率)がいずれも10g/m・day以下であることを特徴とする。
(2)基材フィルムと粘着剤層が、粘着剤層/基材フィルム/粘着剤層/基材フィルム/粘着剤層の順で積層された5層構造を有する防水用両面粘着テープであって、前記基材フィルムが密度0.92〜0.98g/cmのポリエチレンフィルムであり、かつ基材フィルム単体の水蒸気透過率(厚み100μmの基材フィルムとした際の水蒸気透過率)が10g/m・day以下であり、前記粘着剤層の水蒸気透過率(厚み50μmの粘着剤層とした際の水蒸気透過率)がいずれも10g/m・day以下であることを特徴とする
(3)本発明の防水用両面粘着テープは、前記粘着剤層の粘着剤が、ゴム系粘着剤であることが好ましい。
(4)本発明の防水用両面粘着テープは、前記ゴム系粘着剤が、ポリイソブチレン樹脂と、水添石油樹脂とを含有することが好ましい。
(5)本発明の防水用両面粘着テープは、0.1〜5mmの幅の額縁状に打ち抜かれていることが好ましい。
(6)本発明の防水用両面粘着テープは、携帯情報端末機器内部固定用に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の防水用両面粘着テープによれば、狭いテープ幅でも充分な防水性能を有し、更に、防湿性能をも有するため、浴室などの高湿度環境下で発生する水蒸気の侵入を抑制することができる。上記防水性、防湿性は、携帯情報端末機器を構成する部材の面に対してだけでなく、積層された部材の断面に対しても発揮されるため、本発明の防水用両面粘着テープを用いた携帯情報端末機器においては、従来の防水両面粘着テープより水及び水蒸気の浸入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】防水性試験の説明図である。
【図2】防湿性試験の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の防水用両面粘着テープは、基材フィルムの両面に粘着剤層が積層された防水用両面粘着テープであって、前記基材フィルムが密度0.92〜0.98g/cmのポリエチレンフィルムであり、かつ基材フィルム単体の水蒸気透過率(厚み100μmの基材フィルムとした際の水蒸気透過率)が10g/m・day以下であり、前記粘着剤層の水蒸気透過率(厚み50μmの粘着剤層とした際の水蒸気透過率)がいずれも10g/m・day以下である。
【0012】
また本発明のもう一つの形態の防水用両面粘着テープは、基材フィルムと粘着剤層が、粘着剤層/基材フィルム/粘着剤層/基材フィルム/粘着剤層の順で積層された5層構造を有する防水用両面粘着テープであって、前記基材フィルムが密度0.92〜0.98g/cmのポリエチレンフィルムであり、かつ基材フィルム単体の水蒸気透過率(厚み100μmの基材フィルムとした際の水蒸気透過率)が10g/m・day以下であり、前記粘着剤層の水蒸気透過率(厚み50μmの粘着剤層とした際の水蒸気透過率)がいずれも10g/m・day以下である。
【0013】
尚、本発明において基材フィルム単体の水蒸気透過率とは、JISK7129で規定される水蒸気透過率を指し、粘着剤層の水蒸気透過率とは、後述する実施例で記載している通り、厚み6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム2枚に挟持された状態にて、JISK7129で規定された方法で測定した水蒸気透過率を指す。
【0014】
本発明の防水用両面粘着テープは、携帯情報端末機器を構成する部材、例えば、情報表示部と筐体、カメラ周り、キーパッドといった様々な箇所の固定に使用されるため、基材フィルムの両面に粘着剤層が積層されていることが必須である。
【0015】
本発明の防水用両面粘着テープに用いられる基材フィルムとしては、分子骨格がすべて炭化水素で構成されているため非常に疎水性が高く、水や水蒸気の透過を抑えることができるポリエチレンが必須である。ポリエチレンはTg(ガラス転移点)が低く寒冷地での使用も可能であるので、携帯情報端末機器に好適である。
【0016】
ポリエチレンを材質として用いた基材フィルム(ポリエチレンフィルム)の密度は、0.92〜0.98g/cmであることが必須であり、0.94〜0.97g/cmが好ましく、0.95〜0.96g/cmがより好ましい。
基材フィルムの密度を上げることにより、水蒸気の透過を抑えることができ、芯材として発泡体基材を用いた場合の欠点を解消することができる。すなわち、本発明の防水用両面粘着テープによれば、狭いテープ幅であっても充分な防水性および防湿性を付与することができる。
【0017】
基材フィルム単体の水蒸気透過率(厚み100μmの基材フィルムとした際の水蒸気透過率)としては、10g/m・day以下であることが必須であり、5g/m・day以下であることが好ましい。尚、本発明において基材フィルム単体の水蒸気透過率とは、JISK7129で規定される水蒸気透過率を指す。
【0018】
基材フィルムの厚さとしては、特に限定されないが、加工性、薄型化の観点から、2μm〜500μmが好ましく、5μm〜300μmがより好ましく、5μm〜200μmが特に好ましい。2μm以上とすることにより、基材自体の加工性、2次加工性及び強度を確保でき、500μm以下とすることにより、柔軟性を確保できる。
【0019】
本発明の防水用両面粘着テープに用いられる粘着剤層の水蒸気透過率(厚み50μmの粘着剤層とした際の水蒸気透過率)は、いずれも10g/m・day以下であることが必須であり、5g/m・day以下であることが好ましい。尚、本発明における粘着剤層の水蒸気透過率とは、後述する実施例で記載している通り、厚み6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム2枚に挟持された状態にて、JISK7129で規定された方法で測定した水蒸気透過率を指す。
【0020】
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられるが、水蒸気透過率が低いという観点からゴム系粘着剤が好ましい。
【0021】
ゴム系粘着剤は、主成分としてのゴム系高分子と、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤等の添加剤とから構成される粘着剤である。本発明の防水用両面粘着テープにおける粘着力は、粘着剤、軟化剤、可塑剤の選択や含有量の制御などにより調整することができる。
【0022】
ゴム系高分子としては、例えばポリブテン、ポリイソブチレン、イソプレン−イソブチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム共重合体、及びこれらの混合物が挙げられるが、水蒸気透過率が低い点からポリイソブチレンが特に好ましい。
【0023】
前記ポリイソブチレン樹脂の重量平均分子量としては2万以上が好ましく、20万〜600万がより好ましく、50万〜500万が特に好ましい。
また、ポリイソブチレン樹脂の含有量は、粘着剤中、10〜95質量%が好ましく20〜90質量%がより好ましく、30〜80質量%が特に好ましい。
【0024】
粘着付与剤としては、特に限定されず、水添石油樹脂(例えばジシクロペンタジエン等)、ロジン、ロジン誘導体(例えばロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、液状樹脂、樹脂エマルジョン、アルキルフェノール樹脂、石炭酸樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられるが、透明性、耐黄変性の観点から水添石油樹脂がより好ましく、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。
これらは、1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
これら粘着付与剤の含有量は、粘着剤中、10〜90質量%が好ましく20〜75質量%がより好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0025】
すなわち、本発明の防水用両面粘着テープは、粘着剤層の粘着剤が、ポリイソブチレン樹脂と、水添石油樹脂とを含有するゴム系粘着剤であることが好ましく、ポリイソブチレン樹脂と、ジシクロペンタジエンとを含有するゴム系粘着剤であることが特に好ましい。
【0026】
可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油等)、シリコンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、液状ポリブテン、液状イソプレンゴム等)等が挙げられる。中でも、ゴム系高分子との相溶性が良好な液状ポリイソブチレン、液状ポリブテンが好ましい。
これらの成分は、1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。
これら可塑剤の含有量は、粘着剤中、50質量%以下が好ましく1〜40質量%がより好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。
【0027】
また、溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノンなど挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明の防水用両面粘着テープに用いられる粘着剤層の厚さとしては、特に限定されないが、5μm〜60μmが好ましく、10μm〜60μmがより好ましい。5μm以上とすることにより、十分な粘着力を確保することができ、60μm以下とすることにより、粘着剤がはみ出すことなく加工性を確保できる。
【0029】
また、本発明の防水用両面粘着テープは、搬送時や使用時の利便性から、剥離シートを積層したものが好ましい。本発明の防水用両面粘着テープが2枚の剥離シートに挟持された形態でもよいし、両面に離型性を持たせた1枚の剥離シートと積層してそのまま巻き取った形態でもよい。
【0030】
本発明の防水用両面粘着テープに用いられる剥離シートとしては、種々の剥離シートを使用できるが、代表的に剥離性を表面に有する剥離シート用基材から構成される。剥離シート用基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、トリアセチルセルロース等の樹脂フィルムや、上質紙、コート紙、グラシン紙、ラミネート紙などが挙げられる。剥離シート用基材の厚さは、5μm〜300μmが好ましく、10μm〜200μmがより好ましい。
【0031】
剥離シート用基材の表面に剥離性を持たせるには、その表面にフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤を塗布により設ける。剥離剤の厚さは、0.05μm〜2.0μmが好ましく、0.1μm〜1.5μmがより好ましい。
本発明の防水用両面粘着テープを製造する際には、それぞれの剥離シートの剥離力に差をつけておくことが好ましい。剥離力に差をつけておけば、軽剥離シート側のみを剥がす際に、粘着剤層が重剥離シート側から浮くおそれや、双方の剥離シートに追従しようとして粘着剤層が引き伸ばされて変形するおそれを防ぐことができる。また、両面に離型性を持たせた1枚の剥離シートと積層してそのまま巻き取った両面粘着テープ形態の場合においても、剥離シートの表裏で剥離力に差をつけておくことで、同様の効果が得られる。
【0032】
本発明の防水用両面粘着テープは、例えばゴム系粘着剤をポリエチレンフィルム上に層状に設けることにより得られる。本発明の防水用両面粘着テープの具体的な製造方法としては、例えば以下のような製造方法が挙げられる。
軽剥離シートの剥離処理面に粘着剤を塗布する。次いでその粘着剤層にポリエチレンフィルムを貼り合わせて片面に粘着剤層を有する粘着テープとする。一方で重剥離シートの剥離処理面に粘着剤を塗布する。その粘着剤層に前記片面粘着テープのポリエチレンフィルム面を貼合し、本発明の防水用両面粘着テープを得る。
また、別の方法としてポリエチレンフィルムの片面に粘着剤を塗布し、その粘着剤層に軽剥離シートを貼合し、さらにポリエチレンフィルムの逆の面にも粘着両面に粘着剤含有組成物を直接塗布し、剥離シートを貼り合わせて積層体としてもよい。
【0033】
次に、本発明の防水用両面粘着テープの使用形態について説明する。
近年の携帯情報端末機能用途においては、画面の大型化に伴い、防水用両面粘着テープは幅が狭いものが求められる場合がある。このような場合、発泡体を使用した従来の防水用両面粘着テープでは、水の浸透を制御する独立気泡の泡壁を幅方向に対して十分に確保できない恐れがあり、十分な防水性は達成されない。本発明の防水用両面粘着テープにおいては、水蒸気透過率の低いポリエチレンを基材としており、さらに水蒸気透過率の低い粘着剤層を基材の両面に積層させているので、本発明の防水用両面粘着テープは、水蒸気透過率が低く水蒸気バリア性の面で優れているため湿気を嫌う精密機器から構成されている携帯情報端末の使用に適している。また、本発明の防水用両面粘着テープの有する防水性、防湿性は、携帯情報端末機器を構成する部材の面に対してだけでなく、積層された部材の断面に対しても発揮される。
このように本発明の防水用両面粘着テープを用いた携帯情報端末機器においては、狭い幅の額縁状に打ち抜かれた形状が適しており、その幅は0.1〜5.0mmであることが好ましく、0.3〜3.0mmであることがさらに好ましく、0.5〜2.0mmが特に好ましい。
【0034】
また前述のように本発明の防水用両面粘着テープは、携帯情報端末機器内部固定用に用いられることが好ましい。
【0035】
さらに本発明の両面粘着テープは、基材フィルムの両面に粘着剤層が積層された構成であるが、特に厚みが必要である場合は、基材と粘着剤層が交互に複数存在する形態が好ましく、粘着剤層/基材フィルム/粘着剤層/基材フィルム/粘着剤層の順で積層された5層構造のものであるものが特に好ましい。5層構造とした場合、中間の粘着剤層が緩衝層として作用するため凹凸追従性と衝撃吸収性が向上する。
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
ゴム状炭化水素系エラストマーであるポリブテン−ポリイソブチレン系樹脂(新日本化学株式会社製、製品名「エバータックSA400E」、分子量60万)100重量部と粘着付与剤(荒川化学工業社製、製品名「アルコンP−125」、水添石油樹脂)50重量部、及びトルエン100質量部を混合して粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を、軽剥離シート(リンテック社製、製品名「SP−PET381031」)の剥離処理面に、ナイフコーターを用いて乾燥後の膜厚が50μmになるように塗布し、100℃で約1分間乾燥後、両面にコロナ処理を施した基材フィルム(タマポリ社製、高密度ポリエチレンフィルム、製品名「HD」、厚さ100μm)を乾燥した粘着剤面にラミネートし、片面粘着テープを得た。
次いで前述と同様に作成した粘着剤組成物を、重剥離シート(リンテック社製、製品名「SP−PET3811」)の剥離処理面に、ナイフコーターを用いて乾燥後の膜厚が50μmになるように塗布し、100℃で約1分間乾燥後、前記片面粘着テープのポリエチレンフィルム面に貼合し、両面粘着テープを得た。
【0038】
(実施例2)
ポリイソブチレン樹脂(BASF社製、製品名「オパノール B100」、分子量110万)60重量部と粘着性付与剤(出光興産社製、製品名「アイマーブP−100」、水素添加石油樹脂)40重量部、及びトルエン100質量部を混合して得られた粘着剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着テープを得た。
【0039】
(実施例3)
ポリイソブチレン樹脂(BASF社製、製品名「オパノール B200」、分子量410万)60重量部と粘着性付与剤(ヤスハラケミカル社製、水素添加テルペン樹脂、製品名「Clearon P85」)40重量部、及びトルエン100質量部を混合して得られた粘着剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着テープを得た。
【0040】
(実施例4)
基材フィルムとして中密度ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、製品名「NB−1」、厚さ100μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着テープを得た。
【0041】
(実施例5)
基材フィルムとして低密度ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、製品名「A−1」、厚さ100μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着テープを得た。
【0042】
(実施例6)
実施例1の途中で得られた片面粘着シートを用意した。一方それとは別に実施例1で得られた両面粘着テープの軽剥離シートのみを剥離し、用意した片面粘着シートを表出した粘着剤層にラミネートし、軽剥離シート/粘着剤/基材フィルム/粘着剤/基材フィルム/粘着剤/重剥離シートの構成を有する両面粘着テープを得た。
【0043】
(比較例1)
アクリル酸n−ブチル79重量%、アクリル酸メチル20重量%、アクリル酸ヒドロキシエチル1重量%を共重合して得たアクリル酸エステル共重合体(分子量:50万、濃度35wt%)100重量部に、トルエン及びキシリレンジイソシアネート系3官能性アダクト体(綜研化学社製、製品名「TD−75」、濃度75wt%)を0.1重量部添加し、撹拌して得られた粘着剤組成物を使用し、基材フィルムとして黒色ポリオレフィン系発泡体(積水化学工業社製、製品名「ボラーラ」、厚さ100μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着テープを得た。
【0044】
(比較例2)
基材フィルムとして高密度ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、製品名「HD」、厚さ100μm)を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法で両面粘着テープを得た。
【0045】
(比較例3)
基材フィルムとして黒色ポリオレフィン系発泡体(積水化学工業社製、製品名「ボラーラ」、厚さ100μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着テープを得た。
【0046】
実施例1〜5及び比較例1〜3の粘着剤を、以下の試験方法で測定し、結果を表1に示した。
(1) 水蒸気透過率
JISK7129に準じて、水蒸気透過度計(LYSSY社製、製品名「L80−5000」)を使用して測定した。但し、粘着剤に関しては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、製品名「K200−6E」、厚み6μm、以下「PET6μm」)を粘着剤層50μmの両面に貼付し、PET6μm/粘着剤層50μm/PET6μmの構成で測定した。
【0047】
(2) 防水性試験
図1に示されるように、実施例および比較例で得られた両面粘着テープ2を外形寸法60mm×60mmで幅が2mmの額縁状に裁断し、70mm×70mm×2mm厚のガラス板1に貼付した。前記両面粘着テープ2の内側四隅に水没判定テープ3(住友スリーエム社製、製品名「水没検知テープ5557」)を貼付後、両面粘着テープ2でもう1枚のガラス1’に貼着し、内側の空間がガラス1、1’で封止されるようにした。作製した試験体を常温で、水道水、かつ静水の水深1mの水槽4に沈め、72時間水底に放置した。その後、額縁内への浸水の有無を評価した。
評価基準を以下に示した。
○:浸水なし (水没判定テープの色変化なし)
△:わずかに浸水(水没判定テープがわずかに色変化)
×:浸水あり (水没判定テープが色変化)
【0048】
(3) 防湿性試験
図2に示されるように、実施例および比較例で得られた両面粘着テープ5を12.5mm×12.5mmの大きさに裁断し、70mm×70mm×2mm厚のガラス板6の表面に貼付した。次いでガラスセル7(藤原製作所社製、製品名「MG−10」、外形12.5mm×12.5mm×全高46.25mmで縁の厚みが1.25mm、光路長10mm×光路幅10mm×高さ45mm)の内側にモレキュラシーブス8(和光純薬工業社製 製品名「モレキュラシーブス3A 1/16」)を約2g入れ、前記両面粘着テープ5がガラスセル7の縁全体を覆うように、ガラス板6とガラスセル7を貼り合せて試料を作成した。試料の作製は23℃50%Rh環境下で行った。前述の試料を60℃95%Rh環境下で7日間促進し、取り出したモレキュラシーブス8の重量変化を測定した。
重量変化率(%)=(W−W)×100/W
W :促進後モレキュラシーブスの重量
:促進前のモレキュラシーブスの重量
算出した重量変化率から下記評価基準に従い防湿性を評価した。
○:水蒸気侵入なし (重量変化率が1.0%未満)
△:わずかに水蒸気侵入(重量変化率が1.0%以上、2.5%未満)
×:水蒸気侵入あり (重量変化率が2.5%以上)
【0049】
(4) 凹凸追従性試験
平滑なアクリル板に、長さ50mm、幅5mm、厚さ10μmの直線状の黒色印刷を行い、凹凸を作製した。その凹凸全面に実施例および比較例で得られた両面粘着テープを貼付した。その際、黒色印刷端部の縁の空気溜り(エア噛み)の有無を光学顕微鏡(倍率100倍)にて確認した。
○:エア噛みが無く貼り合せできている
×:エア噛みが発生した
【0050】
【表1】

【0051】
表1に示すとおり、基材フィルムの水蒸気透過率が10g/m・day以下であり、粘着剤の水蒸気透過率が10g/m・day以下である本発明の防水用両面粘着テープを用いた実施例1〜6は、比較例1〜3に比べて防水性、防湿性の面で優れていた。特に中密度、高密度のポリエチレンフィルムを用いた実施例1〜4及び実施例6では浸水が全くなかった。
【符号の説明】
【0052】
1、1’、6 ガラス板
2、5 両面粘着テープ
3 水没判定テープ
4 水槽
7 ガラスセル
8 モレキュラシーブス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの両面に粘着剤層が積層された防水用両面粘着テープであって、前記基材フィルムが密度0.92〜0.98g/cmのポリエチレンフィルムであり、かつ基材フィルム単体の水蒸気透過率(厚み100μmの基材フィルムとした際の水蒸気透過率)が10g/m・day以下であり、前記粘着剤層の水蒸気透過率(厚み50μmの粘着剤層とした際の水蒸気透過率)がいずれも10g/m・day以下であることを特徴とする防水用両面粘着テープ。
【請求項2】
基材フィルムと粘着剤層が、粘着剤層/基材フィルム/粘着剤層/基材フィルム/粘着剤層の順で積層された5層構造を有する防水用両面粘着テープであって、前記基材フィルムが密度0.92〜0.98g/cmのポリエチレンフィルムであり、かつ基材フィルム単体の水蒸気透過率(厚み100μmの基材フィルムとした際の水蒸気透過率)が10g/m・day以下であり、前記粘着剤層の水蒸気透過率(厚み50μmの粘着剤層とした際の水蒸気透過率)がいずれも10g/m・day以下であることを特徴とする防水用両面粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層の粘着剤が、ゴム系粘着剤である請求項1または2に記載の防水用両面粘着テープ。
【請求項4】
前記ゴム系粘着剤が、ポリイソブチレン樹脂と、水添石油樹脂とを含有するゴム系粘着剤である請求項1〜3のいずれかに記載の防水用両面粘着テープ。
【請求項5】
0.1〜5mmの幅の額縁状に打ち抜かれたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防水用両面粘着テープ。
【請求項6】
携帯情報端末機器内部固定用に用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の防水用両面粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−126962(P2011−126962A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285010(P2009−285010)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】