説明

防災用照明器具自動点検システム

【課題】
防災用照明器具の種別の識別を行えるようにして、防災用照明器具の種別に応じた適切な自動点検を行う防災用照明器具自動点検システムを提供する。
【解決手段】
防災用照明器具自動点検システムは、ランプL、常用時に商用電源ACにより付勢されてランプを点灯する点灯回路OC、非常時に点灯回路を付勢する非常用電源B、および外部から到来する点検指令信号に応じてランプまたは非常電源の自動点検を行い、種別に応じた機器情報が付与される自動点検装置AEを備えた複数の自動点検機能付防災用照明器具EEと、その通信部を経由して接続するネットワークNと、自動点検機能付防災用照明器具に対し点検指令信号を送信して制御および監視し、自動点検機能付防災用照明器具ごとの機器情報に応じて予め設定された制御および監視を行う制御監視装置とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔制御により防災用照明器具を自動点検する防災用照明器具自動点検システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導灯および非常灯は、消防法により定期(6ヶ月)点検が義務付けられていて、配設されている点検スイッチを操作することにより、点検を行うことができる。点検は、非常点灯が20分以上行えることを確認するものである。また、法定による点検だけでなく、日常的に点検を行うのが好ましいことである。
【0003】
多数の誘導灯を設置している施設においては、誘導灯の点検作業に要する労力が多大になるが、短時間に、かつ、安全に多数の誘導灯の点検を一括して制御・監視できるようにするために、遠隔制御による自動点検を行えるように構成された誘導灯自動点検システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、非常点灯や連動停止のような非常時の動作に加えて、常時消灯制御やランプの累積点灯時間制御のような常時の動作の監視・制御を行う防災用の照明システム(特許文献2参照。)、点検の制御・監視のために外部通信端末に送信する通信部を器具の下部に設けた誘導灯(特許文献3参照。)などが提案されている。
【0004】
一方、従来の防災用照明器具自動点検システムは、防災用照明器具が誘導灯と非常灯とである場合では、使用する光源が異なるため、それぞれの防災用照明器具専用の自動点検システムとして構成されている。誘導灯には光源として蛍光ランプや冷陰極形蛍光ランプが用いられている。これに対して、非常灯には蛍光ランプ、ミニハロゲン電球または非常灯用電球が用いられている。非常灯のランプは、蛍光ランプが一般照明用蛍光ランプを用いるので、定格寿命が長い。しかし、後二者は定格寿命が100時間と極めて短い。このため、ランプの定格寿命を考慮した自動点検スケジュールを設定する必要があるなどの理由から専用システムとなっている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−111347号公報
【特許文献2】特開平08−180980号公報
【特許文献3】特開2004−206968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の防災用照明器具自動点検システムのように誘導灯用と非常灯用とそれぞれ専用のシステムであると、自動点検を行う場合には建築物には誘導灯および非常灯をそれぞれ設置する必要があるので、それぞれの専用システムを併用しなければならなくなる。
【0007】
このため、中小の建築物においては、自動点検のニーズはあるものの経済性が損なわれる。また、防災用照明器具をネットワークに接続する配線作業は、天井裏において行われるのが一般的であるが、2つのネットワークが並存するために、狭くて暗い天井裏での作業では誤配線が生じやすくなる。
【0008】
例えば、誘導灯自動点検システムに非常灯が誤って配線された場合、週間点検により1回につき3分間の点灯が毎週行われることになる。その結果、週間点検のために非常灯のミニハロゲン電球または非常灯用電球の寿命が比較的早く進行してしまい、本来の非常灯としての機能がその分減退するという不都合が生じることになる。
【0009】
本発明者の検討によれば、上述の問題はそのいずれも防災用照明器具自動点検システムから見たときに、防災用照明器具の種別(誘導灯、非常灯)の識別ができないことに起因していることが分かった。防災用照明器具自動点検システムに接続している防災用照明器具の種別の識別が可能であれば、種別の異なる防災用照明器具が接続されたとしても種別に応じた制御・監視を行うことができる。また、防災用照明器具自動点検システムを特定種別専用として用いる場合であったとしても、異種の接続を検出して排除することができる。本発明は、上述した本発明者の知見に基づいてなされたものである。
【0010】
本発明は、防災用照明器具の種別の識別を行えるようにして、防災用照明器具の種別に応じた適切な自動点検を行う防災用照明器具自動点検システムを提供することを一般的な目的とする。
【0011】
また、本発明は、異種の防災用照明器具のネットワークへの接続を許容する防災用照明器具自動点検システムを提供することを具体的な第1の目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、異種の防災用照明器具のネットワークへの接続を排除できる防災用照明器具自動点検システムを提供することを具体的な第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載された本発明の防災用照明器具自動点検システムは、防災照明を行うランプ、常用時に商用電源により付勢されてランプを点灯する点灯回路、非常時に点灯回路を付勢する非常用電源および自動点検装置を備え、自動点検装置は通信部を有し、外部から到来する点検指令信号に応じてランプまたは非常電源の自動点検を行うとともに、自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じた機器情報が付与される複数の自動点検機能付防災用照明器具と;複数の自動点検機能付防災用照明器具がその通信部を経由して接続するネットワークと;ネットワーク内に接続して複数の自動点検機能付防災用照明器具に対し点検指令信号を送信して制御および監視するとともに、自動点検機能付防災用照明器具ごとの機器情報に応じて予め設定された制御および監視を行う制御監視装置と;を具備していることを特徴としている。
〔自動点検機能付防災用照明器具について〕
上記本発明において、自動点検機能付防災用照明器具は、自動点検機能付の誘導灯および自動点検機能付非常用照明器具などを含む概念であり、そのいずれであってもよい。また、後述するネットワークに接続される複数の自動点検機能付防災用照明器具は、複数種が混在してもよいし、単一種のみであってもよい。所望により種別を選択することができる。
【0014】
自動点検防災用照明器具は、防災用照明器具自動点検システムに組み込まれたときに防災用照明器具、例えば誘導灯として機能するための構成を備えている。すなわち、ランプ、点灯回路、非常用電源および自動点検装置を備えている。
【0015】
ランプは、自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じて種々のランプ、例えば蛍光ランプ、冷陰極形蛍光ランプ、発光ダイオード、ミニハロゲン電球または非常灯用電球などを用いることができる。
【0016】
点灯回路は、商用電源および非常用電源のいずれであってもランプを点灯するように構成される。しかし、両電源に対して兼用の構成およびそれぞれの電源に専用の点灯回路を切り換えて使用する構成のいずれであってもよい。
【0017】
非常用電源は、例えばバッテリにより構成される。そして、商用電源により常時に充電され、非常時に点灯回路を付勢する。また、バッテリは、電源遮断時にランプ、点灯回路および自動点検装置などに電源を供給して、ランプを所定時間の間点灯させる手段である。
【0018】
また、非常用電源は、バッテリに加えてその充電回路を備えている。充電回路は、バッテリを充電する手段であり、例えば常用電源の商用電源を整流して直流電圧を得てからバッテリを充電する。なお、バッテリおよび充電回路は、自動点検機能付防災用照明器具に内蔵されていてもよいし、また別置形として構成されてもよい。
【0019】
自動点検装置は、通信部を有し、外部から到来する点検指令信号に応じてランプまたは非常電源の自動点検を行うとともに、自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じた機器情報が付与される。通信部は、ネットワークに接続する際の自動点検機能付防災用照明器具と制御監視装置との間のインタフェースとして作用し、後述する制御監視装置からの信号、例えば点検指令信号の受信および点検結果の制御監視装置への送信を司る。これらを行うために、自動点検機能付防災用照明器具ごとのアドレスおよび機器情報が付与される。
【0020】
アドレスは、従来の防災用照明器具自動点検システムにおいても付与され、そのためにアドレス設定機能が配設されている。アドレス設定機能は、DIPスイッチなどのアドレス設定器を自動点検機能付自動点検防災用照明器具に配設したり、リモコン信号送受手段を配設してリモコンを用いてアドレスを遠隔的に設定するように構成したりすることができる。
【0021】
一方、機器情報は、自動点検機能付防災用照明器具の種別を識別するための情報であり、本発明特有の構成である。すなわち、例えば自動点検機能付防災用照明器具が誘導灯か非常灯かを区別するもの、あるいは非常灯であってもランプが蛍光ランプとミニハロゲン電球および非常灯用電球とを区別するものなどである。
【0022】
また、機器情報は、自動点検機能付防災用照明器具において設定してもよいし、制御監視装置において設定されてもよい。自動点検機能付防災用照明器具において機器情報を設定する場合、例えばアドレス信号の一部に機器情報を付加することができる。自動点検機能付防災用照明器具において設定された当該機器情報は、いずれかの段階で制御監視装置に送信され、制御監視装置に保有される。
【0023】
前記通信部は、その機能を実行するために、信号送受信機能、自己点検機能、演算機能および記憶機能などを備えていることが許容される。
【0024】
信号送受信機能は、制御監視装置からの点検指令信号などの受信機能および点検結果などの送信機能を有している。制御信号などの受信機能は、点検指令信号などを受信する。送信機能は、制御監視装置に対して点検結果を含む応答信号などを送信する。
【0025】
自己点検機能は、演算機能を含み、点検指令信号などの制御信号を受信したときに作用して、当該制御信号に応動して回路を擬似的に停電状態として点灯回路の電源をバッテリに切り換えて、バッテリの寿命点検または主光源の不点検出などを自動的に行う。なお、演算機能は、マイコンなどの演算・記憶手段からなる。また、演算機能は、点灯回路を所要に制御するのにも寄与させることができる。
【0026】
記憶機能は、自動点検結果を記憶し、所要のプログラムを記憶し、演算手段の求めに応じてプログラムを読み出せるように作用する機能であり、マイコンなどの記憶機能を利用することができる。
【0027】
自己診断手段は、自動点検機能付防災用照明器具が正常な使用状態であるか、または不正な使用状態であるかを自己診断するための手段である。なお、本発明において、不正な使用状態とは、防災用照明器具制御システムに接続するための信号線などが何らかの原因で断線し、または誤って信号線などに接続していない場合や自動点検機能付防災用照明器具のアドレス設定が行われていない場合など少なくとも当該防災用照明器具から見て自動点検機能付の防災用照明器具としては使用不能な状態になっているときをいう。また、自己診断手段は、点灯回路および自動点検手段を制御するためにマイコンを使用する場合、このマイコンの演算機能を利用して構成することができる。
【0028】
また、自動点検機能付防災用照明器具は、以上の構成の他に手動点検手段を備えている。手動点検手段は、点検スイッチを含んでいる。点検スイッチは、自動点検機能付防災用照明器具の外部から操作可能なように配設され、例えばプルスイッチ、押し釦スイッチなどからなる。そして、点検スイッチを外部から手動で操作すると、回路を擬似的に停電状態として、ランプの点灯回路の電源を非常電源に切り換える。この状態でランプが所定時間点灯するかを目視により確認することにより、手動点検を行うこともできる。
〔ネットワークについて〕
本発明において、ネットワークは、有線および無線で構築されたネットワークのいずれであってもよい。また、ネットワーク内の通信方式は、既知の各種通信方式のいずれを用いてもよい。例えば、専用信号線、電話線、配電線、電波、赤外線または超音波などの信号伝送媒体を用いてネットワークを構築することができる。なお、有線の場合、電源線と分離したネットワークでもよいし、電源を兼用する電力線重畳方式のネットワークでもよい。
〔制御監視装置について〕
本発明において、制御監視装置は、複数の自動点検機能付防災用照明器具とともにネットワークに接続し、ネットワークを経由して複数の自動点検機能付防災用照明器具を、それらの種別を識別したうえで統括して制御し、かつ、監視する。また、監視結果に基づく判断を行い、それを表示するように構成してもよい。
【0029】
自動点検機能付防災用照明器具の種別を識別するために、制御監視装置は、機器情報を保有する。機器情報を保有するためには、各自動点検機能付防災用照明器具からネットワークを経由して送信された機器情報を記憶するか、制御監視装置において予め各自動点検機能付防災用照明器具に対する個別の機器情報を設定するように構成することができる。
【0030】
また、制御監視装置は、複数個の自動点検機能付防災用照明器具を統括して制御、監視するために、少なくとも複数個の自動点検機能付防災用照明器具に対して自動点検指令信号を個別に送信することができ、また自動点検を行った自動点検機能付防災用照明器具から点検結果信号を受信する。
【0031】
さらに、制御監視装置は、複数個の自動点検機能付防災用照明器具を個別に識別するために、個別に設定されたアドレスを登録し、複数個の自動点検機能付防災用照明器具のランプまたは非常用電源の接続状態などを監視し、複数個の自動点検機能付防災用照明器具に対して自動点検実施の日時を自動的に割り付けるなどの機能を備えることができる。
【0032】
なお、自動点検としては、定期点検、週間点検および常時監視などの点検モードについて実施するように制御監視装置を構成することができる。定期点検は、20分または60分間の法定時間非常点灯させて行い、バッテリ電圧が基準電圧であるか点検する。週間点検は、1分間の非常点灯を行い、バッテリ電圧および点灯回路をチェックする。常時監視は、ランプ寿命監視、ランプ不点監視、バッテリ異常監視、器具異常監視および通信異常監視などを適宜行う。また、以上の点検結果の異常に対しては、異常表示を行う。
〔本発明の防災用照明器具自動点検システムの動作について〕
本発明によれば、制御監視装置において、ネットワークに接続する複数個の自動点検機能付防災用照明器具の種別を個別に識別できるので、種別に応じて予め設定された制御および監視を行うことができる。上記制御および監視は、特定のものに限定されるものではなく、所望により種々の制御および監視を行うことができる。
【0033】
例えば、1つの防災用照明器具自動点検システムの中に複数種の自動点検機能付防災用照明器具の併用を許容する。この場合、所定の種別の自動点検機能付防災用照明器具(例えば、非常灯)に対しては、所定の自動点検(例えば、週間自動点検)に対する点検指令信号の送信をスキップさせることができる。また、所望により異なった自動点検をさせることもできる。
【0034】
したがって、自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じて最適な自動点検を行うことができる。しかし、上記のように特定種別に対する特別な自動点検を行わない場合には、全ての種別の自動点検機能付防災用照明器具に対して、同じ自動点検を指令することができるのはいうまでもない。
【0035】
また、特定の種別の自動点検機能付防災用照明器具のみを対象とした専用の防災用照明器具自動点検システムを指向することを許容する。この場合には、異種の自動点検機能付防災用照明器具が誤配線によって上記システムに接続されていれば、機器情報を識別することで、当該自動点検機能付防災用照明器具の接続が異常である旨の異常表示行うことができる。なお、異常表示は、制御監視装置および当該自動点検機能付防災用照明器具のいずれか一方または両方において行うように構成することができる。
【0036】
請求項2に記載の本発明の防災用照明器具自動点検システムは、防災照明を行うランプ、常用時に商用電源により付勢されてランプを点灯する点灯回路、非常時に点灯回路を付勢する非常用電源および自動点検装置を備え、自動点検装置は通信部を有し、外部から到来する点検指令信号に応じてランプまたは非常電源の自動点検を行うとともに、自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じた機器情報が付与される複数の自動点検機能付防災用照明器具と;特定種別の自動点検機能付防災用照明器具がその通信部を経由して接続するネットワークと;ネットワーク内に接続して特定種別の自動点検機能付防災用照明器具を制御および監視する制御監視装置と;を具備し、自動点検機能付防災用照明器具または/および制御監視装置に異種の自動点検機能付防災用照明器具がネットワークに接続されたことを報知する異常表示を行うように構成されていることを特徴としている。
【0037】
本発明は、特定種別の自動点検機能付防災用照明器具に対して異種の自動点検機能付防災用照明器具がネットワークに接続されて防災用照明器具自動点検システムに含まれる場合に、それが誤配線および意識下での配線の如何にかかわらず、機器情報を識別することでそれを検出し、異常表示を行い、その表示を見て異種の自動点検機能付防災用照明器具を排除することができる。
【0038】
そうして、特定種別のみの自動点検機能付防災用照明器具を対象とした防災用照明器具自動点検システムとして運用することが可能になる。
【0039】
また、本発明は、異常表示を行う機器情報の対象となる種別および自動点検の指令内容を切り換え可能に構成することにより、複数の種別に対応可能な専用の防災用照明器具自動点検システムとして運用することが可能になる。このため、製造および商品の管理が容易になる。
【0040】
請求項3に記載の防災用照明器具自動点検システムは、請求項1または2記載の防災用照明器具自動点検システムにおいて、制御監視装置は、短時間の非常点灯点検動作において、自動点検機能付防災用照明器具が機器情報により識別して非常灯であれば、当該非常灯に対する短時間の非常点灯点検指令信号をスキップし、かつ、そのスキップの回数をカウントして、カウント値が所定回数になったときに当該カウント値をクリアすることを特徴としている。
【0041】
本発明は、特に異種の自動点検機能付防災用照明器具である誘導灯と非常灯とが混在する防災用照明器具自動点検システムに好適なように、点検指令信号の送出周期を自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じて異なるように構成したものである。
【0042】
すなわち、制御監視装置は、例えば週間点検のような短時間の非常点灯点検のための点検指令信号を誘導灯に対して送出する際に、自動点検機能付防災用照明器具が非常灯であれば、上記点検指令信号の送出を所定回数まではスキップする。そして、スキップの回数をカウントしてカウント値が所定値になったときに、例えば短時間の非常点灯点検指令信号を送出し、かつカウント値をクリアする。
【0043】
カウント値がクリアされると、次回の短時間の非常点灯点検時には非常灯に対しても点検指令信号が送出される。非常灯が点検指令信号を受信すると、短時間の自動点検を行い、その結果を制御監視装置に向けて送信する。
【0044】
したがって、誘導灯に対しては週間点検を実施させ、非常に対しては例えば3箇月点検のように周期の長い点検を実施させることができる。
【0045】
しかし、本発明は、異種の自動点検機能付防災用照明器具である誘導灯と非常灯とが混在する防災用照明器具自動点検システムだけでなく、特定種別専用の防災用照明器具自動点検システムに対しても実施することができる。すなわち、非常灯専用の防災用照明器具自動点検システムにおいて、短時間の点灯点検を週間点検と同じソフトウエアを用いて例えば3ヶ月点検として行うことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、防災用照明器具の種別の識別を行えるようにして、自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じた適切な自動点検を行い、異種の自動点検機能付防災用照明器具のネットワークへの接続を許容したり、異種の自動点検機能付防災用照明器具のネットワークへの接続を異常表示して排除したりする防災用照明器具自動点検システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0048】
図1ないし図3は、本発明の防災用照明器具自動点検システムを実施するための第1の形態を示し、図1は概略配線図、図2は自動点検機能付誘導灯の回路ブロック図、図3は同じく内部の部品配置を示す分解斜視図、図4は回路図、図5は制御監視装置の正面図である。
【0049】
本形態において、防災用照明器具自動点検システムは、異種混在を許容する構成である。そして、自動点検機能付防災用照明器具EEとして自動点検機能付誘導灯EEEおよび自動点検機能付非常灯EEL、ネットワークNならびに制御監視装置CMを具備して構成されている。なお、ACは、常用電源としての商用電源である。
【0050】
自動点検機能付誘導灯EEEは、図2および図3に示すように、ランプL、非常用電源B、点灯ユニット部OU、点検スイッチES、通信部CO、赤外線通信部IRC、表示部Dおよび端子台TBなどを備えている。
【0051】
ランプLは、冷陰極形蛍光ランプからなり、防災照明として図3に示す誘導表示板EDをエッジライティング方式によって照明する。
【0052】
非常用電源Bは、バッテリからなり、非常時に点灯回路OCを付勢して、ランプLを点灯する。
【0053】
点灯ユニット部OUは、図4に示す回路図における点灯回路OCおよびマイコンμComなどをユニット化したものである。なお、点灯回路OCは、インバータを主体とする高周波点灯回路からなり、常用時に商用電源ACにより付勢されてランプLを点灯する。
【0054】
点検スイッチESは、プルスイッチからなり、手動点検を行う際に操作される。
【0055】
通信部COは、通信用端子台CTBを備え、ネットワークNと点灯ユニット部OUとの間に介在して、点灯ユニット部OU中のマイコンμComとともに自動点検装置を構成している。
【0056】
赤外線通信部IRCは、赤外線送受信部IRT/Rを含み、赤外線リモコンIRRとの間で赤外線通信を行って、自動点検機能付誘導灯EEEの機器情報およびアドレスの設定や個別の点検などのために遠隔操作を可能にする。なお、機器情報およびアドレスは、点灯ユニット部OU中のマイコンμComに保存され、さらに後述する制御監視装置CMにネットワークNを経由して伝送され、登録される。
【0057】
表示部Dは、自動点検機能付誘導灯EEEの動作状態を表示する。
【0058】
端子台TBは、商用電源ACの配線接続を行う。
【0059】
なお、図3において、符号11は本体ケース、12はランプ収納部であり、その内部にランプLを収納している。
【0060】
自動点検機能付非常灯EELは、詳細構成を図していないが、商用電源遮断時に点灯して空間を照明し、自動点検機能付誘導灯EEEと同様、ランプL、非常用電源B、点灯ユニット部OU、点検スイッチES、通信部CO、赤外線通信部IRC、表示部Dおよび端子台TBなどを備えている。
【0061】
なお、図4において、図2および図3と同一部分については同一符号を付している。また、図4において、SWは商用電源遮断時にマイコンμComによりオンされ、非常用電源のバッテリBを点灯回路OCの入力端に接続する。IPDは擬似停電回路、ADは手動のアドレス設定手段であり、赤外線リモコンIRRによらないで手動でアドレス設定を行うこともできる。図において、符号BCCはバッテリBの充電回路である。
【0062】
ネットワークNは、複数の自動点検機能付防災用照明器具EEと制御監視装置CMとの間を接続して自動点検を行えるようにする通信媒体である。本形態において、ネットワークNは、シールド付2線からなる。
【0063】
制御監視装置CMは、ネットワークNに接続するとともに、自動火災報知設備AFAのb接点に接続して、火災報知動作に連動して複数の自動点検機能付防災用照明器具EEを所要に制御する。
【0064】
また、制御監視装置CMは、自システムに接続する複数の自動点検機能付防災用照明器具EEすなわち各自動点検機能付誘導灯EELおよび自動点検機能付非常灯EELから送出されるアドレスおよび機器情報を受信して内部に登録し、点検指令信号をアドレスにしたがい順次ネットワークNを経由して各自動点検機能付防災用照明器具EEへ送出する。なお、点検は、定期点検、週間点検および常時監視の3点検モードで行うことができる。そして、自動点検機能付防災用照明器具EEからの応答信号を受信し、集計して、各自動点検機能付防災用照明器具EEの点検結果を一覧可能に表示することができる。
【0065】
さらに、制御監視装置CMは、図5に示すように、その正面において外部から見える位置に器具状態表示・操作部D/Oが配設されている。この器具状態表示・操作部D/Oには、それぞれ複数の表示部および操作スイッチが配置されている。また、その内部には、電源端子台T1、自火報接続用端子台T2および器具通信用端子台T3を備えている。そして、電源端子台T1には専用の100V商用交流電源ACが電源線を経由して接続している。自火報接続用端子台T2には、火災報知設備AFAのb接点Cbが接続している。器具通信用端子台T3には、ネットワークNを経由して前記自動点検機能付誘導灯EEEの通信用端子台が接続する。
【0066】
ところで、自動点検機能付防災用照明器具EEがその機器情報を制御監視装置CMに登録する点順は、次のとおりである。すなわち、アドレス設定時に機器情報も一緒に設定されると、点灯ユニット部OU中のマイコンμComおよび通信部COは、信号起動を行う。これに応答して、制御監視装置CMは、当該自動点検機能付防災用照明器具EEに対してアドレスおよび機器情報を問い合わせる。次いで、当該自動点検機能付防災用照明器具EEから制御監視装置CMへアドレスおよび機器情報を送信する。そして、制御監視装置CMは、受信したアドレスおよび機器情報を保留する。
【0067】
さらに、制御監視装置CMは、週間点検において、内部に保留している自動点検機能付防災用照明器具EEの機器情報を参照する。その結果、自動点検機能付非常灯EELに対しては、その点検指令信号を所定回数の間スキップする。したがって、スキップされている間、自動点検機能付非常灯EELは、週間点検を行わない。なお、所定回数は予め制御監視装置CMにおいて設定しておくことができる。
【0068】
週間点検の点検指令信号のスキップ回数は、制御監視装置CMにおいてカウントされ、カウント値が所定回数に達すると、カウント値がクリアされる。その結果、次回の点検指令信号は、自動点検機能付非常灯EELに対して送信されることになり、したがってそのときには週間点検が行われる。その後上記の動作が繰り返される。
【0069】
以上のプロセスにより、自動点検機能付誘導灯EEEに対しては週間点検が毎週実施されるが、自動点検機能付非常灯EELに対しては例えば3ヶ月に1回程度の間隔で短時間の点灯点検が行われる。
【0070】
図6および図7は、本発明の防災用照明器具自動点検システムを実施するための第2の形態を示し、図6は概略配線図、図7は制御監視装置の操作部および表示部を示す正面図である。
【0071】
本形態は、異種の自動点検機能付防災用照明器具EE、例えば自動点検機能付非常灯EELがネットワークNに接続した場合に、制御監視装置CMに異常表示部D3を配設して種々の異常表示を行うように構成されている。
【0072】
すなわち、制御監視装置CMがネットワークNに接続する複数の自動点検機能付誘導灯EEE中に自動点検機能付非常灯EELが混入していると、その機器情報を識別して異常表示ランプADを点灯する。
【0073】
したがって、防災用照明器具自動点検システム中の自動点検機能付非常灯EELが混入していることが容易に判明するので、自動点検機能付非常灯EELを排除することにより、自動点検機能付誘導灯EEE専用の防災用照明器具自動点検システムとして運用することができる。
【0074】
図7において、制御監視装置CMの器具状態表示・操作部D/Oには、それぞれ複数の表示部および操作スイッチが配置されている。
【0075】
表示部は、通電表示部D1、アドレス表示部D2、上記異常表示部D3、異常内容モニタD4、機器状態モニタD5および通信線短絡モニタD6を含んでいる。異常内容モニタD4には、異種の自動点検機能付防災用照明器具が接続されていることを示す表示部として、「誤接続」が含まれている。
【0076】
操作スイッチは、異常アドレス確認スイッチPB1、アドレス表示送りスイッチPB2および設定/確認/手動点検スイッチPB3を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の防災用照明器具自動点検システムを実施するための第1の形態を示す概略配線図
【図2】同じく自動点検機能付誘導灯の回路ブロック図
【図3】同じく内部の部品配置を示す分解斜視図
【図4】同じく回路図
【図5】同じく制御監視装置の正面図
【図6】本発明の防災用照明器具自動点検システムを実施するための第2の形態を示す概略配線図
【図7】同じく制御監視装置の操作部および表示部を示す正面図
【符号の説明】
【0078】
AC…商用電源、AFA…自動火災報知設備、CM…制御監視装置、EE…自動点検機能付防災照明器具、EEE…自動点検機能付誘導灯、EEL…自動点検機能付非常灯、N…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災照明を行うランプ、常用時に商用電源により付勢されてランプを点灯する点灯回路、非常時に点灯回路を付勢する非常用電源および自動点検装置を備え、自動点検装置は通信部を有し、外部から到来する点検指令信号に応じてランプまたは非常電源の自動点検を行うとともに、自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じた機器情報が付与される複数の自動点検機能付防災用照明器具と;
複数の自動点検機能付防災用照明器具がその通信部を経由して接続するネットワークと;
ネットワーク内に接続して複数の自動点検機能付防災用照明器具に対し点検指令信号を送信して制御および監視するとともに、自動点検機能付防災用照明器具ごとの機器情報に応じて予め設定された制御および監視を行う制御監視装置と;
を具備していることを特徴とする防災用照明器具自動点検システム。
【請求項2】
防災照明を行うランプ、常用時に商用電源により付勢されてランプを点灯する点灯回路、非常時に点灯回路を付勢する非常用電源および自動点検装置を備え、自動点検装置は通信部を有し、外部から到来する点検指令信号に応じてランプまたは非常電源の自動点検を行うとともに、自動点検機能付防災用照明器具の種別に応じた機器情報が付与される複数の自動点検機能付防災用照明器具と;
特定種別の自動点検機能付防災用照明器具がその通信部を経由して接続するネットワークと;
ネットワーク内に接続して特定種別の自動点検機能付防災用照明器具を制御および監視する制御監視装置と;
を具備し、自動点検機能付防災用照明器具または/および制御監視装置に異種の自動点検機能付防災用照明器具がネットワークに接続されたことを報知する異常表示を行うように構成されていることを特徴とする防災用照明器具自動点検システム。
【請求項3】
制御監視装置は、短時間の非常点灯点検動作において、自動点検機能付防災用照明器具が機器情報により識別して自動点検機能付非常灯であれば、当該非常灯に対する短時間の非常点灯の点検指令信号をスキップし、かつ、そのスキップの回数をカウントして、カウント値が所定回数になったときに当該カウント値をクリアすることを特徴とする請求項1または2記載の防災用照明器具自動点検システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−87060(P2007−87060A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274397(P2005−274397)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】