説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】 セキュリティ機器の異常検知を受けて居室親機が予備警報を発報したら、その後警報確定信号を出さなくても一定の時間が経過したら、管理室親機、集合玄関機等の住戸外で警報発報する集合住宅インターホンシステムを提供する。
【解決手段】 居室親機2は、セキュリティ機器5が異常を検知したら居室親機2自身で予備警報を発報させると共に制御機4へ予備警報信号を送信し、その後警報復旧操作を受けずに一定時間が経過したら、警報確定信号を制御機4に対して送信する親機CPU25を有する。制御機4は、予備警報信号を基に集合玄関機1、管理室親機3に対して警報発報を通知する制御機CPU43を備え、制御機CPU43は、予備警報信号を受けてスタートした制御機タイマ42がカウントアップしても居室親機2から警報確定信号を受けなかったら、集合玄関機1及び管理室親機3に対して警報発報を実施させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、特に居室親機に火災センサやガスセンサ等の異常検知器やドアセンサや窓センサ等の防犯センサが接続されて、異常発生時に住戸内及び管理室等で発報する機能を備えた集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より居室親機に火災センサやガスセンサ等の異常検知器やドアセンサや窓センサ等の防犯センサ(以下、これら異常検知器や防犯センサを一括して「セキュリティ機器」と称する。)が接続されて、異常発生時に住戸内及び管理室等で発報する機能を備えた集合住宅インターホンシステムがある。
このような集合住宅インターホンシステムでは、集合玄関機や管理室親機に対する不要な発報(例えば、セキュリティ機器の誤検知や、居住者が帰宅時に防犯設定中の玄関を解錠した場合の発報など)を行わないようにするために、居室親機が各種センサから接点出力を受け取った場合に、まず予備警報の発報を行う。予備警報は居住者宅内でのみ発報され、居室親機にて発報された。この発報に対して一定時間経過しても警報復旧が行われない場合は、誤報ではないと判断して本警報の発報に移行する。本警報では外部での発報を伴い、居室親機から制御機へ警報確定が通知され、制御機から管理室親機や集合玄関機へ警報発報信号が伝送され、外部でも警報発報が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−143307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の集合住宅インターホンシステムは、居住者宅内で予備警報の発報中に制御機に信号を伝送する伝送線が切断されたら、居室親機が予備警報発報後から一定時間経過して本警報の発報に移行しても、警報確定の通知が伝送されなかった。また、居室親機の電源線が切断されて居室親機への電源供給がなくなった場合は、一定時間経過しても警報確定の通知自体できなかった。そのため、異常が発生した場合に管理室親機や集合玄関機で警報発報を行うよう構成されても、このような外部での警報が実施されない場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、セキュリティ機器の異常検知を受けて居室親機が予備警報を発報したら、その後警報確定信号を出さなくても一定の時間が経過したら、管理室親機、集合玄関機等の住戸外で警報発報する集合住宅インターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、集合住宅の集合玄関に設置されて住戸を選択して呼び出すための集合玄関機と、各住戸に設置されて集合玄関機からの呼び出しに応答するための居室親機と、管理室に設置されて管理者が来訪者や居住者と通話するための管理室親機と、集合玄関機、居室親機、管理室親機をそれぞれ制御する制御機とを有し、居室親機には火災センサやドアセンサ等のセキュリティ機器が接続されて成る集合住宅インターホンシステムにおいて、居室親機は、セキュリティ機器が異常を検知したら居室親機自身で予備警報を発報させると共に予備警報信号を制御機へ送信し、その後警報復旧操作を受けずに一定時間が経過したら、外部で発報させるための警報確定信号を送信し、更に一定時間が経過するまでに警報復旧操作を受けたら警報復旧信号を送信する警報制御部を有する一方、制御機は、予備警報信号を基に管理室親機、集合玄関機に対して警報発報を実施させる警報発報制御部を備え、警報発報制御部は、予備警報信号を受けた後、警報復旧信号を受けずに一定時間が経過したら、居室親機から警報確定信号を受けなくても、管理室親機及び/又は集合玄関機を警報発報させることを特徴とする。
この構成によれば、セキュリティ機器が異常を検知したら居室親機から出力される予備警報信号を基に管理室親機や集合玄関機が警報発報するので、警報確定信号が送信されなくても住戸外で警報発報を実施できる。そのため、侵入した不審者が居室親機を取り外す等の伝送線や電源線の切断操作をしても、外部に異常発生を通知できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、制御機は、個々の居室親機に対して接続状態の診断を行う接続診断部を有し、警報発報制御部は、一定時間が経過するまでに予備警報信号送信元の居室親機に対して接続診断部が接続異常発生と診断したら、その時点で管理室親機及び/又は集合玄関機を警報発報させることを特徴とする。
この構成によれば、予備警報信号を出力してから一定時間が経過するまでに、予備警報信号送信元の居室親機に対して接続異常が発生したら、外部で発報動作してそれを通知する。よって、異常発生を速やかに通知できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、セキュリティ機器が異常を検知したら出力される予備警報信号を基に管理室親機や集合玄関機が警報発報するので、警報確定信号が送信されなくても住戸外で警報発報を実施できる。そのため、侵入した不審者が居室親機を取り外す等の伝送線や電源線の切断操作をしても、外部に異常発生を通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図である。
【図2】集合玄関機の一部回路ブロック図である。
【図3】居室親機の一部回路ブロック図である。
【図4】管理室親機の一部回路ブロック図である。
【図5】制御機の一部回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図であり、1は集合住宅の集合玄関に設置されて来訪者が訪問先の住戸を選択して呼び出すための集合玄関機、2は各住戸に設置されて集合玄関機1からの呼び出しに応答するための居室親機、3は管理室に設置されて管理者が来訪者や居住者と通話するための管理室親機、4は集合玄関機1、居室親機2、管理室親機3をそれぞれ制御する制御機、5は住戸毎に居室親機2に接続されたセキュリティ機器である。セキュリティ機器5は、火災発生を検知する火災センサ5aや、ドアの開閉を検知するドアセンサ5b等であり、異常を検知したら異常検知信号を出力する。
集合玄関機1は伝送線L1を介して制御機4に接続され、居室親機2は親機幹線L2により制御機4に接続され、管理室親機3は伝送線L3により制御機4に接続されている。
【0011】
図2は集合玄関機1の回路ブロックの一部を示している。図2に示すように集合玄関機1は、異常発生を通知するための警報音を出力するスピーカ11、異常発生元の情報等を表示する表示部12、集合玄関機1全体の制御を行う集合玄関機CPU13、制御機4と通信を行うための集合玄関機IF14等を備えている。
【0012】
図3は居室親機2の回路ブロックの一部を示している。図3に示すように居室親機2は、接続されているセキュリティ機器5が異常を検知した場合に警報音を出力するスピーカ21、警報発報の種別等を表示する表示部22、セキュリティ機器5から受信した異常検知信号を警報情報として記憶する警報記憶部23、居室親機2内で使用する一定時間をカウントする親機タイマ24、居室親機2全体の制御を行う親機CPU25、制御機4と通信を行うための親機IF26、セキュリティ機器5を接続するためのセンサIF27等を備えている。
【0013】
図4は管理室親機3の回路ブロックの一部を示している。図4に示すように管理室親機3は、異常発生を通知するための警報音を出力するスピーカ31、異常発生元の情報等を表示する表示部32、管理室親機3全体の制御を行うための管理室親機CPU33、制御機4との通信を行う管理室親機IF34等を備えている。
【0014】
図5は制御機4の回路ブロックの一部を示している。図5に示すように制御機4は、居室親機2から受信したセキュリティ機器5の動作情報(後述する予備警報情報等)を記憶する警報記憶部41、制御機4内で使用する一定時間をカウントする制御機タイマ42、制御機4全体の制御を行う制御機CPU43、集合玄関機1と通信を行なうための第1IF44、居室親機2と通信を行なうための第2IF45、管理室親機3と通信を行なうための第3IF46等を備えている。尚、制御機CPU43は、制御機各部の制御に加えて、各居室親機2,2,・・に対して例えばポーリング処理による接続診断を実施し、接続異常を検出したらそれを管理室親機3に通知する接続診断機能を備えている。
【0015】
次に、上記構成の集合住宅インターホンシステムの動作を説明する。但し、集合玄関機1からの呼び出し、呼び出しを受けた居室親機2からの応答操作等の集合住宅インターホンシステムの基本動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは居室親機2に接続されているセキュリティ機器5が異常を検知した場合の動作を説明する。
【0016】
セキュリティ機器5から異常検知信号が出力されると、例えば玄関ドアに設置されたドアセンサ5bが玄関ドアの開操作を検知して異常検知信号が出力されると、居室親機2に送信される。この異常検知信号を受信した居室親機2は、親機CPU25が予備警報として居住者宅内でのみの発報を実施し、警報記憶部23へ予備警報情報を記憶する。尚、このとき記憶される予備警報情報には、異常検知信号を発したセキュリティ機器5のドアセンサ等の警報種別情報や、受信した時刻情報等が含まれている。
【0017】
居住者宅内での発報は、居室親機2の表示部22へ予備警報であることを知らせる情報の表示と、スピーカ21から予備警報であることを知らせる警報音の報音で実施される。更に親機CPU25は、制御機4へ予備警報信号を送信し、親機タイマ24をスタートさせる。親機タイマ24は外部で警報発報させる発報確定までの時間をカウントする。また、予備警報信号が具備する予備警報情報は、異常検知信号を発したセキュリティ機器5の警報種別情報や、送信元の住戸情報(居室親機情報)等である。
【0018】
予備警報信号を受信した制御機4は、制御機CPU43が予備警報情報を警報記憶部41へ記憶させ、制御機タイマ42のカウントをスタートさせ、発報確定信号の待ち時間をカウントする。具体的に制御機タイマ42は、居室親機2の親機タイマ24がカウントしている発報確定までの時間よりも僅かに長い時間をカウントする。
【0019】
その後、警報が誤報である等の理由で居住者により所定のリセット操作、即ち復旧操作が成されることなく、親機タイマ24がカウントアップしたら、親機CPU25が発報確定信号を制御機4に出力する。この発報確定信号を受信した制御機CPU43は、管理室親機3及び集合玄関機1に発報確定信号を送信して警報発報させる。この発報確定信号には、予備警報信号と同様に送信元住戸情報、警報種別情報が添付されており、発報信号を受信した集合玄関機CPU13、及び管理室親機CPU33は、スピーカ11,31から警報音を発報させると同時に、発報情報を読み取って表示部12,32において異常発生住戸情報や警報種別情報を表示させる。
【0020】
以上は、制御機4が予備警報信号送信元の居室親機2から、その後発報確定信号を正常に受信した場合の動作であるが、予備警報信号送信元の居室親機2の親機タイマ24がカウント中の時に、この居室親機2と制御機4との間で断線等の通信異常が発生した場合は次のように動作する。
予備警報信号送信元の居室親機2から、復旧操作による復旧信号や発報確定信号を受信すること無く、制御機タイマ42がカウントアップしたら、制御機CPU43は警報記憶部41に記憶されている居室親機2の予備警報情報を読み出し、発報認定信号を作成する。この発報認定信号は、発報確定信号と同様の信号であり、警報記憶部41へ記憶されるとともに、管理室親機3及び集合玄関機1へ送信される。
【0021】
発報認定信号を受信した管理室親機3は、管理室親機CPU33の制御で発報確定情報を受けた場合と同様に、警報発報中の居室番号や警報種別情報を表示部32へ表示させ、スピーカ31から警報音を出力させる。また、発報認定信号を受信した集合玄関機1は、集合玄関機CPU13の制御で、同様に警報発報中の居室番号や警報種別情報を表示部12へ表示させ、スピーカ11から警報音を出力させる。こうして、予備警報信号が送信された後、復旧信号が送信されることなく一定の時間が経過したら、自動的に居室親機2以外で警報発報が実施される。
【0022】
一方、制御機CPU43は、予備警報信号受信の有無に関わらず居室親機2に対する接続診断を実施している。制御機タイマ42がカウント中で、発報確定信号待ちの時に接続診断により接続異常を検出したら、以下のように動作する。
制御機CPU43は、検出した居室親機2が予備警報信号送信元でないか警報記憶部41に確認する。予備警報信号送信元の居室親機2が接続異常検知対象の端末であることが判明したら、警報記憶部41に記憶されている居室親機2の予備警報情報を読み出して上述した発報認定信号を作成し、管理室親機3及び集合玄関機1へ送信する。また、発報認定信号が具備する発報認定情報は警報記憶部41へ記憶し、制御機タイマ42によるカウントを停止する。
【0023】
発報認定信号を受信した管理室親機CPU33は、発報確定情報を受けた場合と同様に、警報発報中の居室番号や警報種別情報を表示部32へ表示させ、スピーカ31から警報音を出力させる。また、発報認定信号を受信した集合玄関機CPU13も同様に、警報発報中の居室番号や警報種別情報を表示部12へ表示させ、スピーカ11から警報音を出力させる。尚、接続異常を検知した対象の居室親機2が予備警報信号送信元の居室親機2ではない場合は、通常通り管理室親機3に通知される。
【0024】
このように、セキュリティ機器5が異常を検知したら出力される予備警報信号を基に管理室親機3や集合玄関機1が警報発報するので、警報確定信号が送信されなくても住戸外で警報発報を実施できる。そのため、侵入した不審者が居室親機2を取り外す等の伝送線L2や電源線の切断操作をしても、外部に異常発生を通知できる。
また、予備警報信号を出力してから一定時間が経過するまでに、予備警報信号送信元の居室親機2に対して接続異常発生と判断したら、外部で発報動作してそれを通知するので、異常発生を速やかに通知できる。
【0025】
尚、上記実施形態では、制御機CPU43にて作成された発報認定信号を管理室親機3及び集合玄関機1に対して送信しているが、送信先は何れか一方のみであっても良いし、更に全ての居室親機2,2,・・を加えても良い。
また、親機タイマ24の設定時間に対して制御機タイマ42の設定時間を僅かに長く設定しているが、ここで言う「僅かに長い」とは1秒程度であり、親機タイマ24の設定時間を例えば30秒とすると、制御機タイマ42の設定時間は例えば31秒となる。更に、殆ど差のない時間で設定しても良く、双方の設定時間を同一としても良い。但し、制御機タイマ42の方を親機タイマ24より短くすると、復旧操作を受けたにもかかわらず発報する場合が発生するため好ましくない。
【符号の説明】
【0026】
1・・集合玄関機、2・・居室親機、3・・管理室親機、4・・制御機、5・・セキュリティ機器、11・・スピーカ、12・・表示部、13・・集合玄関機CPU、21・・スピーカ、22・・表示部、23・・警報記憶部、25・・親機CPU(警報制御部)、31・・スピーカ、32・・表示部、33・・管理室親機CPU、41・・制御機記憶部、42・・制御機タイマ、43・・制御機CPU(警報発報制御部、接続診断部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の集合玄関に設置されて住戸を選択して呼び出すための集合玄関機と、各住戸に設置されて前記集合玄関機からの呼び出しに応答するための居室親機と、管理室に設置されて管理者が来訪者や居住者と通話するための管理室親機と、前記集合玄関機、前記居室親機、前記管理室親機をそれぞれ制御する制御機とを有し、前記居室親機には火災センサやドアセンサ等のセキュリティ機器が接続されて成る集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記居室親機は、前記セキュリティ機器が異常を検知したら居室親機自身で予備警報を発報させると共に予備警報信号を前記制御機へ送信し、その後警報復旧操作を受けずに一定時間が経過したら、外部で発報させるための警報確定信号を送信し、更に前記一定時間が経過するまでに警報復旧操作を受けたら警報復旧信号を送信する警報制御部を有する一方、前記制御機は、前記予備警報信号を基に前記管理室親機、前記集合玄関機に対して警報発報を実施させる警報発報制御部を備え、
前記警報発報制御部は、前記予備警報信号を受けた後、前記警報復旧信号を受けずに一定時間が経過したら、前記居室親機から前記警報確定信号を受けなくても、前記管理室親機及び/又は前記集合玄関機を警報発報させることを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記制御機は、個々の前記居室親機に対して接続状態の診断を行う接続診断部を有し、
前記警報発報制御部は、前記一定時間が経過するまでに前記予備警報信号送信元の居室親機に対して前記接続診断部が接続異常発生と診断したら、その時点で前記管理室親機及び/又は前記集合玄関機を警報発報させることを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−70335(P2012−70335A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215596(P2010−215596)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】