説明

難燃性高分子組成物

少なくとも一種の重合体および/または少なくとも一種の硬化性単量体若しくはオリゴマと共に、(a) 熱を加えると膨張する少なくとも一種の微粒子状材料と(b)少なくとも一種の微粒子状ナノ充填材を含んでいる難燃剤組成物が開示される。この組成物はある種のケイ素を基体とする材料を含んでいる場合もある。アミノ、ヒドロキシル、メタクリル、アアクリルおよびエポキシ基から選ばれる一種以上の官能基を含むポリオルガノシロキサン類を含む難燃剤組成物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性高分子組成物類及び、それらを調製するための硬化性組成物類に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の高分子工業において、重合体中で用いられている難燃剤は、一般にハロゲン類(主にClとBr)および有機または無機のリン化合物(例えば、ポリリン酸アンモニウム、赤リン)を基体にしている。古くからのやり方では、膨張性の難燃化材料は、ポリオール(例えば、ペンタエリトリトール)でもよいチャー(char)生成材、チャー生成用触媒(普通、リン酸誘導体)および発泡剤(普通メラミン)を含んでいる。これらは、重合体の熱分解および燃焼時の危険を炎を抑制することにより減らすが、それでも大量の煙を発生し、さらにこれらは、重大な環境的な脅威をも与える。低発火性と限定的な発煙レベルを特徴とし、非毒性で(ハロゲン、リンおよびメラミンを含まないで)環境的に安全な防火剤(fire retardant)または難燃剤(flame retardant) または耐火剤(fire resistant)(これらの用語は、本発明の目的では同意語である)組成物に対する需要が存在する。
【0003】
膨張性材料が、難燃剤として用いられてきた。この数年、新規の化学的膨張性難燃システムの開発のために、膨張性黒鉛が興味を集めている。例えば、米国特許第3,574,644 号明細書には、膨張性の黒鉛フレークを混合することにより燃えやすい材料の耐火性を増大させるための方法が記載されており、一方、米国特許第 6,472,070号明細書には、他の配合成分の中に、エポキシ樹脂、硬化剤および膨張性黒鉛を含んでいる耐火性ペイントが記載されている。
【0004】
ナノ充填材として知られている微粒子状材料も複合材料中で用いられる。例えば、WO 99/09070 号には、ナノ充填材を含む場合もある高分子発泡体が記載されている。WO 00/66657 号には、第2の重合体と共に重合体とナノクレー(nano-clay)を含む重合体組成物が記載されており、そして GB 2367064 号には、ナノクレー充填材および追加の充填材と共にポリオレフィンを含む重合体組成物が記載されている。WO 99/35186 号には、重合体マトリックスと層状複水酸化物を基体とするナノ複合材料について説明しており、そしてこのような材料の調製に関する情報を提供している。
【発明の開示】
【0005】
さて、本発明者達は、複数の微粒子状難燃剤の特定の組合せを用いることにより、重合体系で高い難燃性が得られることを見いだした。かくして、本発明は、(a) 熱を加えると膨張する少なくとも一種の微粒子状材料と(b) 少なくとも一種の微粒子状ナノ充填材を含んでいるところの難燃性添加材として利用される微粒子状組成物を提供する。
【0006】
本発明のこの微粒子状組成物は、不燃性重合体類の製造に利用することが可能で、そして、その重合体と直接、または一種以上の硬化性単量体、オリゴマおよび/または重合体と共に複合材化し、次いで硬化して最終重合体を製造することができる。従って、本発明はさらに、本発明の微粒子状組成物と共に、少なくとも一種の重合体および/または少なくとも一種の硬化性単量体または重合体を含む組成物を提供する。
【0007】
任意の希望される単量体、オリゴマ若しくは重合体またはそれらの任意の混合物が存在してもよい。この難燃性組成物は、広範囲で多様な組成物の中に混和するのに適しており、この組成物は、以下の重合体類または重合体を基体とする材料を含んでいるか、またはそのような材料を得るために硬化させることができる:例えば、ポリアミド類、ナイロン類、ポリエステル類、エポキシ樹脂類、ABS 配合材、ポリ塩化ビニル(PVC) のようなハロゲン化重合体類、ポリエチレン類、ポリプロピレン類、ポリウレタン類、ポリアクリレート類/ポリメタクリレート類(単独および共重合体)ポリスチレン類、ポリクロロプレン類、フェノール樹脂類、シリコーン類、およびシリコーンゴム類、さらにこれら重合体の共重合体類および組合せである。硬化性単量体、オリゴマまたは重合体は、エポキシ、アクリル、メタクリル、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、酸無水物、オレフィン系、スチレン、アセトキシ、メトキシ、エステル、シアノ、アミド、イミド、ラクトン、イソシアナートまたはウレタン、から選ばれる一種以上の基を含むのが望ましい。この組成物は、適した物であれば硬化剤を含んでいてもよい。例えば、この組成物は、少なくとも二つのイソシアナート基を有するポリイソシアナートと、少なくとも二つのヒドロキシル基を有するポリオールとの、またはアミン若しくはカルボン酸との混合物;あるいは、アクリレート類またはメタクリレート類と適切な開始剤との混合物を含んでよい。
【0008】
本発明はまた、本発明の難燃剤組成物とともに重合体マトリックスを含んでいる硬化物品を提供する。
本発明はまた、熱を加えると膨張する少なくとも一種の微粒子状材料、少なくとも一種の微粒子状ナノ充填材および少なくとも一種の硬化性単量体、オリゴマまたは重合体を混合すること、そして次いで、この得られた混合物を硬化すること、を含む硬化物品を製造する方法を提供する。この硬化性混合物の三つの成分は、希望する任意の順序で混合することができるが、第1工程として、その硬化性材料の中にナノ充填材が分散されるのが望ましい。硬化は、任意の適切な方法、例えば、熱または光を適用するかまたは、適切な硬化剤、例えばアミン、カルボン酸、カルボン酸無水物、またはフェノールを添加することにより行われる。
【0009】
本発明組成物は、接着剤、シーラント、熱絶縁体およびコーティング剤として使用するのに特に適している。かくして、本発明はさらに、単量体、オリゴマおよび/または重合体を含む本発明組成物を基材に適用し、そして必要に応じて、該組成物を硬化することを含む、接着用ボンド、シールまたはコーティング剤を製造する方法を提供する。
【0010】
成分(a) を含むこの材料は、火事の時に経験するような熱が加わると膨張するような物である。この材料は、約500℃以上、望ましくは約 300℃以上、特に、約 100℃以上の温度に曝された時に膨張するような物でなければならない。成分(a) は、膨張性黒鉛を含んでいるのが望ましい。
【0011】
膨張性黒鉛は、天然の結晶性黒鉛フレークから製造される。結晶性黒鉛の鉱床は、無数にあり、世界中で発見されており、普通、変成岩中に、または、その侵食(erosion) で生じるシルトおよびクレー中に包有物(inclusions)として見いだされる。黒鉛は、鉱石から粉砕と浮遊選鉱により回収され、選別されて、炭素含有量90〜98%の黒鉛フレークが得られる。結晶性黒鉛は、複数の平行な炭素原子平面のスタック(積層)からなる。層間には共有結合は存在しないので、他の分子がそれら層の間に挿入され得る(層間挿入)。膨張性黒鉛を製造する商業的方法の一つでは、その黒鉛に硫酸が層間挿入され、その後、そのフレークは、洗浄され乾燥される。その層間挿入物は、黒鉛格子の内部に捕捉され、そしてその最終製品は、乾燥していて、流動性で、極く弱い酸性度 (pH:3−4)の無毒の材料である。この層間挿入黒鉛を熱または炎に曝すと、挿入された分子が分解してガスが発生する。このガスが、炭素の層を強制的に引離し、そしてその黒鉛が膨張する。
【0012】
膨張性黒鉛のフレークは、一般に板状である。50メッシュのフレークの場合、その標準的な長さと幅は約 0.5mmで、その最大の粒子は普通、約 0.9mmであり、一方標準的な厚さは約 0.08mm である。80メッシュのフレークの場合、その標準的な長さと幅は約 0.4mmで、一方標準的な厚さは約0.07mm である。現在は、粒径、酸性度、分解温度および膨張効率の異なる広範囲で多様な膨張性黒鉛が市場で入手可能である[例えば、Graftech社からの製品:GRAFGUARD(登録商標)シリーズ]。これらのいずれもが、本発明で使用するのに適している。これらの入手できる各種等級の膨張性黒鉛は、普通 160〜260 ℃の範囲またはそれ以上の温度に曝された時に膨張する。
【0013】
本発明の単量体、オリゴマおよび/または重合体を含む組成物中で用いられる成分(a)の割合は 0.1〜95 w/w%の範囲、望ましくは 1〜40 w/w%の範囲であるのが望ましい。 ナノ充填材は、サブ・ミクロンの大きさの粒子である。標準的なナノ充填材は、シリカ、硫酸バリウムまたは特にクレーを含む。ナノクレーは、イオン性のフィロケイ酸塩であり;それは、天然または合成の層状ケイ酸塩から得られる任意の親水性または親油性の層状ケイ酸塩である。この種の材料は、シートタイプまたは板状のマルチスケール構造を有する。オングストローム・スケールでは、厚さが0.7−1 nmで、長さと幅が数百ナノメータ(約 100−1000nm)である微小板である。それ故、個々のシートは、200−1000またはそれ以上にまでも変動する縦横比(長さ/厚さ、L/T )を有しているが、微小板の大多数の縦横比は、精製後で 200−400の範囲である。換言すれば、これらのシートは、普通、大体 200×1 nm(L×T)の寸法である。ミクロン・スケールでは、これらの微小板は積層されて、一次粒子になり、そしてより高スケールでは、これら一次粒子は、共に積層されて、凝集体(aggregates)(普通は、約 10−30ミクロン)を形成している。上述のケイ酸塩層は、それらの間に間隙[層間(interlayer)またはギャラリーと呼ばれる]を有するスタックを形成している。これらの層の内部での同形置換(Mg2+がAl3+に代わる)で負の電荷が発生し、層間に所在していたアルカリまたはアルカリ土金属カチオンで相殺される。この無機のカチオンは他のカチオンで置換されてもよい。かさ高いアルキルアンモニウムイオンのようなカチオン性界面活性剤で交換すると、層の間の距離が増し、そして、その充填材の表面エネルギーが減少する。それ故、これらの修飾充填材(有機クレーと呼ばれる)は、重合体類との相溶性が大きくなりそして重合体−層状ケイ酸塩ナノ複合材料を生成する。モンモリロナイト、ヘクトライトおよびサポナイトが、最も普通に用いられる層状ケイ酸塩である。
【0014】
成分(b) に含まれるのは、例えばナノスケールのハイドロタルサイト、オクタケイ酸塩(octasilicate)、マイカ・フルオリド(mica fluoride) またはナノクレー(例えばモンモリロナイト)であり、後者が推奨される。成分(b) は、ナノクレーであるのが望ましい。これは、天然のままでも、層間挿入処理されていてもよい。
【0015】
本発明の、単量体、オリゴマおよび/または重合体を含む組成物中で用いられる成分(b) 、特にナノ−クレーの割合は、該組成物の総重量を基にして 0.1〜95 w/w%の範囲、望ましくは 5〜25 w/w%の範囲であるのが望ましい。
【0016】
この膨張性材料は、ナノ充填材、通常、天然の、または層間挿入処理したナノクレーと相乗的に作用し、その結果、その重合体の熱分解または燃焼時に生成する煙の発生レベルが有意に低下することが見いだされた。
【0017】
本発明のさらなる実施態様では、本発明の微粒子状難燃剤組成物と硬化性組成物は、難燃剤としての性質を有する少なくとも一種の他の微粒子状材料、例えば金属酸化物類/酸類、水和物類、水酸化物類、アルミン酸塩類、炭酸塩類、硫酸塩類、ケイ酸塩類、窒化物類、モリブデン酸塩類およびステアリン酸塩類、例えば亜鉛またはカルシウムのホウ酸塩、スズ酸塩またはモリブデン酸塩、亜鉛またはマグネシウムのステアリン酸塩、モリブデン酸アンモニウム、水酸化カルシウム、三水酸化アルミニウム[例えば ALCOA Industrial Chemicals 社による FlameGard(登録商標)]、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、メタケイ酸ナトリウム・五水和物、テトラホウ酸ナトリウム・四水和物、水酸化マグネシウム[例えば、Martin Marietta 社による MagShield(登録商標)]、ケイ酸マグネシウム、酸化チタン、酸化第二鉄、酸化モリブデン、フタル酸鉛、塩化第一スズ、そして適する場合には、それらの錯体、を含んでいる。これらの材料のうちの少なくとも二種が存在するのが望ましい。このような材料は 1〜95 w/w%の量、望ましくは 1〜40 w/w%の量存在するのが望ましい。
【0018】
該単量体、オリゴマおよび/または重合体を含む材料中への該膨張性材料の分散と、その後のその効果は、上述の無機の任意の添加物を導入することにより高められることが見いだされた。実際に、或る種の添加物が存在すると、そのような添加物を含んでいない組成物中では、その色(黒色)と外観が当該組成物中の黒鉛の存在を示すが、組成物が膨張性黒鉛を含んでいることを明らかには示さない場合がある。さらに、膨張性材料、特に膨張性黒鉛と有機樹脂および/または単量体との混合物の高い均質性が、或る種の無機添加物の導入によって、さらに高められることが見いだされた。さらに、上で言及した煙を抑制する相乗効果は、前述の更なる微粒子材料、特に亜鉛のホウ酸塩/スズ酸塩/モリブデン酸塩、またはモリブデン酸アンモニウムなどを添加することにより、一層高められる。
【0019】
本発明の好ましい微粒子状組成物は 0.1〜95%の膨張性黒鉛; 0.1〜95%のホウ酸、スズ酸またはモリブデン酸亜鉛; 0.1〜95%のオクタモリブデン酸アンモニウム; 0.1〜95%の三水酸化アルミニウム;および 0.1〜95%のナノクレーを含んでいる。
【0020】
本発明による重合体材料が炎または非常に高い温度に曝されると、恐らくガラス様の保護層(単層または複数の層)構造のその場生成が起きる。これは“ワーム(worm)”から成るチャーを形成する傾向のある膨張性材料の膨張作用と相乗的に結び付き、重合体マトリックスのために、複雑でそして極めて効果的な難燃材機構を提供する。この保護層(単層または複数の層)構造の生成は光学顕微鏡で確かめられている。この膨張性材料の膨張の結果として初期に形成されるこのチャーは、次いで、そのチャーの下に、その場生成する保護層(単層または複数の層)構造に対して必要な保護を提供し、該重合体マトリックスに追加的な保護を提供すると思われる。
【0021】
本発明組成物は、潜在的難燃性能を効果的に有する、即ち炎に曝された時に、炎に耐えるであろう物品を製造するために用いられる。一つの態様では、該物品は、硬化後に難燃性の被膜がその目的物の表面上に形成される様な条件下で、高温で特に処理される。この被膜は、恐らく上述のようなガラス様またはセラミック様保護層を含んでいる。かくして、本発明はさらに、難燃性被膜を生成させるのに十分な熱で本発明の硬化物品を処理することにより製造された難燃性の被膜を含む物品を提供する。上述の無機添加物の存在下では、本発明の重合体組成物の難燃性のさらなる改善が起きることが見いだされたが、これは、その重合体基材を、さらなる分解から、外見上、より一層保護する、恐らくガラス様構造の非常に効果的な保護層(単層または複数の層)が生成することによる。かくして、ホウ酸亜鉛は、低い発煙レベルに、そしてまた、膨張耐火性の膨張性黒鉛を補完する二次的難燃剤機構を含むガラス様保護層構造の生成にも貢献し得る。さらに、“ワーム(worm)”の下に、そのような強靭な層が、その場生成すると、該重合体マトリックスが提供できる何等かの機械的強度がさらに強化され、その膨張性黒鉛が有効に機能することが可能になる。三水酸化アルミニウムも、例えば、約10w/w %のような少ない量用いても、ガラス様保護層構造の生成に貢献し得る。
【0022】
単量体、オリゴマおよび/または重合体を含む本発明組成物中の微粒子状材料の総含有量は、勿論、その重合体マトリックスの機械的性質と性能が、その意図する用途にとって十分であるようなレベルになるべきである。本発明組成物中に存在する微粒子状材料の総量は 1〜95 w/w%、望ましくは 5〜60 w/w%、特に10〜40 w/w%の範囲であるのが望ましい。
【0023】
該組成物も、常用の難燃剤製品中に、普通に存在する構成成分をさらに含んでいてもよい。これらは、例えば繊維状および/または微粒子状充填剤および/または強化材、例えば強化用繊維(例えば、ガラス、炭素または玄武岩またはそれらの混合物);難燃性を持つとして前に述べていない充填材および/または顔料、例えば、様々な他の金属酸化物、金属水和物、金属水酸化物、金属のアルミン酸塩、金属の炭酸塩、金属の硫酸塩、澱粉、タルク、カオリン、分子篩、フュームドシリカ、または有機顔料)を含み得る。安定剤、レオロジー改質剤、および界面活性剤のような添加剤も含まれることがある。これら任意の微粒子状充填材の粒径は 20μm未満であるのが望ましい。
【0024】
本発明組成物を調製する時、該ナノ充填材は、第1工程で、単量体、オリゴマおよび/または重合体と混合され、そして次いで該膨張性材料と任意の他の添加物が、個別にまたは、二種または三種を組合せて添加されるのが望ましい。他の混合法、例えば、該膨張性材料とナノ充填材を単量体/オリゴマ/重合体とを一緒に混合する方法が用いられる場合もある。
【0025】
本発明の重合体組成物は、例えば、航空宇宙産業、ケーブル、自動車、軍事、ペイントおよびコーティング剤並びに建築工業で使用される。これら重合体組成物は、例えば、接着剤、シーラント、ペイント/コーティング剤、注型用樹脂、不燃化剤、熱絶縁体、強化剤またはチキソトロピー剤、ケーブルとして;成形可能な成型材料中で、そして仕上げ成型物中で、または複合材用材料中で、望ましくはナノ複合材料中で用いられる。ナノ複合材料は、樹脂分子とナノスケール粒子との近分子(near-molecular)ブレンドである。
【0026】
本発明はさらに、反応性単量体類、オリゴマ類、重合体類を基体とし、硬化すると、改善された難燃性、耐火性、熱絶縁性および燃焼時における煙の放散が少ないことを特徴とする接着剤、シーラント、熱絶縁体、コーティング剤または成型物を生成する組成物であって、膨張性黒鉛、ナノクレーおよび、場合により用いられる、ホウ酸亜鉛、三水酸化アルミニウム、オクタモリブデン酸アンモニウムなどから成る群からの一種以上の難燃剤添加物および煙抑制剤類、との相乗作用性混合物を含んでおり、該反応性種が以下の群:
a.アミノ官能性化合物類、樹脂類、オリゴマ類、重合体類と組合せたエポキシ官能性化合物類および樹脂類;
b.イソシアナート官能性単量体類、二量体類、オリゴマ類、重合体類と組合せたヒドロキシ官能性化合物類、オリゴマ類、重合体類;
c.メタクリル系またはアクリル系官能性オリゴマ類または重合体類と組合せたメタクリル系またはアクリル系官能性単量体類;
から選ばれている、該組成物を提供する。
【0027】
本発明のさらなる態様では、重合体の混合物であって、該重合体の少なくとも一種が、縮合またはヒドロシリル化以外の他の方法により重合体マトリックスに導入されたシリコーンである、該混合物を含んでいる難燃性材料が提供される。
【0028】
好適なシロキサン化合物は、アミノ、アルコキシ、ヒドロキシまたはエポキシ官能性ポリオルガノシロキサン類およびメタクリル化またはアクリル化ポリオルガノシロキサン類を含み、ポリジメチルシロキサン類が好ましい。他の好適なポリシロキサン類またはポリオルガノシロキサン類は、それらの繰返し単位(一つまたは複数)のケイ素原子が、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ハロゲンアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシ、フェニル、シクロアルキル、グリシジルアルキル、アルキルオキシシクロアルキルまたはアリールオキシシクロアルキル基により一または二置換されていてよいものである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、反応性単量体類およびオリゴマ類を基体とし、その反応性単量体類が、以下の群:
a.アミノ官能性化合物類、樹脂類またはオリゴマ類と組合せたエポキシ官能性化合物類および樹脂類;
b.イソシアナート官能性単量体類、二量体類またはオリゴマ類と組合せたヒドロキシ官能性化合物類またはオリゴマ類;
c.イソシアナート官能性単量体類、二量体類またはオリゴマ類と組合せたメトキシ官能性化合物類またはオリゴマ類;
d.メタクリル系およびアクリル系官能性オリゴマ類または重合体類と組合せたメタクリル系またはアクリル系官能性単量体類;
e.エポキシ官能性化合物類および樹脂類またはオリゴマ類と組合せた、アミノ官能性ポリジメチルシロキサン;
f.イソシアナート官能性単量体類、二量体類またはオリゴマ類と組合せた、ヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン;
g.イソシアナート官能性単量体類、二量体類またはオリゴマ類と組合せた、メトキシ官能性ポリジメチルシロキサン;
h.メタクリル化またはアクリル化ポリジメチルシロキサン;
i.任意の割合でのa群とd群の組合せ;
j.任意の割合でのb群とe群の組合せ;
k.任意の割合でのc群とf群の組合せ;
から選ばれている組成物、を提供することである。
【0030】
このような組成物は、膨張性黒鉛、ナノクレーから選ばれる一種以上の添加物および上述の一種以上の難燃剤添加物も含んでいるのが望ましい。本発明による、ケイ素を基体とする材料は、希望により、上述の微粒子状難燃剤パッケージを含んでよい。該ポリオルガノシロキサンはポリジメチルシロキサンであるのが望ましい。
【0031】
本発明によれば、室温または高温での、官能性シリコーンと、エポキシド、イソシアナート、アミン、アルコキシシラン、官能性シラン部位などとの間での硬化反応、または適当な開始剤の存在下でのラジカル重合による単独/共重合は、上述のような無機の添加剤を使用しなくても耐火性が高められた材料を供給し得る。この場合、支配的で、そして恐らく主要な難燃化の機構は、凝集性で且つ比較的弾性のあるチャーの生成を含み、このチャーは、お互いに結合を保ちそして、その表面が実質的に水平になっている時に、下側の面は落下しないであろう。
【0032】
様々な重量%の、望ましくは15〜35%の範囲のシリコーン類と、重合体または重合性単量体(一種または複数)との混合物は、何か他の添加剤を使用する必要なしに不燃性で、限定的な煙しか出さない重合体組成物を与えることが見いだされた。この難燃性は、上述の添加物を様々な組合せで導入することにより、さらに向上させることが可能であり;その主な成分は、膨張性材料、特に膨張性黒鉛であるのが望ましい。炭素を基体とする重合体網目の中へ比較的少量の官能性または非官能性のシリコーン類の導入は、燃焼性を低下させ、そしてそれ故、総体的難燃性能の向上に寄与する。膨張性黒鉛と様々な無機の添加剤を、複雑な重合体網目に導入すると、ドリッピング(dripping)と発煙レベルを低下させ、そしてさらに、その材料の発火性を低下させる。
【0033】
ケイ素も膨張性黒鉛も含んでいる材料の燃焼試験を追跡して行くと、有意量のケイ素が、その炭素“ワーム”の中に招き入れられ、その結果、該重合体の熱分解および燃焼過程における膨張性黒鉛の膨張により提供されるチャーの保護が強化され、そのチャーの保護的役割と熱伝達バリヤーとしての性能が劇的に増大し、それと共に、発煙レベルが有意に低下する(煙抑制効果)ことが見いだされた。
【0034】
本発明組成物の難燃性のさらなる改善が、本明細書で前に説明したような、無機の特定の添加物の存在下で起きることが見いだされたが、この添加剤は、有機またはケイ素基材、あるいは有機およびケイ素基材を、さらなる分解から、明らかにさらに保護する恐らくはガラス様構造の非常に有効な保護層(単層または複数の層)の生成を通して作用する。この保護層(単層または複数の層)構造の生成は光学顕微鏡で確かめられている。
【0035】
官能性または非官能性有機重合体または有機重合性単量体と官能性または非官能性シリコーンとのブレンドの場合には、他の有機成分に対するシリコーンの比は、普通、99:1から1:99重量%そして、望ましくは 3〜80%である。
【0036】
ケイ素を基体とする重合体プラットフォーム(platforms) の場合、膨張性黒鉛と本明細書で説明したような各種無機添加剤との間での相乗作用により、発煙レベルが低下することが見いだされている。
【0037】
さらに、ケイ素を基体とする重合体材料の場合には、ナノ充填材、特にナノクレーと本明細書で説明した各種無機添加剤との間での相乗作用により、発煙レベルが低下し、一方、モリブデン酸アンモニウムを導入すると、この材料の燃焼性が低下することが見いだされている。
【0038】
本発明による、ケイ素を基体とする材料は、火災中に保護的表面被覆を生成するので、そして、それらの高い耐熱性、無毒性、さらにまた燃焼中に有毒ガスを発生しないことにより、難燃剤製品中での利用にとって魅力的である。これらの三つの非常に重要な特性は、これらの材料が、「環境負荷の少ない(“green ”)」難燃化製品中で使用する際、添加剤として、または重合体を基体とする“キャリアー”プラットフォーム(“carrier ”platform)の化学構造の一部として関与するのに適していることを意味する。
【0039】
試験では、ケイ素を基体とする配合物は、炭素を基体とするその対等物より幾分良好な難燃性を示す。その理由は、該膨張性黒鉛に起源を持つチャーの下に少なくとも二層の累積する保護層が共存しているためである。試験にかけた組成物の残留物および膨張していない膨張性黒鉛で行なった光学顕微鏡観察と元素分析は、一連の少なくとも二層の保護層が生成していることを示し、その最上層は SiOX に非常に富んでおり、そしてこの層の下で、重合体マトリックスの最上部の上に位置する層は、無機酸化物の残りから生成した(恐らくガラス様構造の)物質に比較的富んでいることを示した。ケイ素を基体とする組成物の場合には、一層以上の累積する保護層が形成されると考えられるが、これは、シリコーン分子は、フィルムの表面に向かって移動する傾向があり、無機添加物の分子をも表面に向かって押し流し、保護層(一層または複数層)構造の生成を促進するためである。
【0040】
本発明は、反応性単量体類、オリゴマ類および重合体類を基体とし、硬化すると、接着剤、シーラント類、熱絶縁体類、コーティング剤または成形物をベースとする組成物であって、アミノ基、ヒドロキシル基、メタクリル基、アクリル基およびエポキシ基からの選ばれる一種以上の官能基を含むポリオルガノシロキサンと、第2成分との混合物からなり、その第2成分の反応種は、以下の群:
a.アミノ官能性化合物類、樹脂類、オリゴマ類、重合体類と組合せたエポキシ官能性化合物類および樹脂類;
b.イソシアナート官能性単量体類、二量体類、オリゴマ類、重合体類と組合せたヒドロキシ官能性化合物類、オリゴマ類、重合体類;
c.メタクリル系またはアクリル系官能性単量体類、メタクリル系またはアクリル系官能性オリゴマ類または重合体類;
の一種以上から選ばれている、改善された難燃性、耐火性、熱絶縁性および燃焼時における煙の放散が少ないことを特徴とする該組成物を提供する。
【0041】
本発明はまた、反応性単量体類、オリゴマ類および重合体類を基体とし、硬化すると、接着剤、シーラント類、熱絶縁体類、コーティング剤または成形物を生成する組成物であって、膨張性黒鉛と、ナノクレーと、場合により用いられる、ホウ酸亜鉛、三水酸化アルミニウム、オクタモリブデン酸アンモニウムなどを含む群からの一種以上の難燃剤添加物および煙抑制剤との相乗作用性混合物を含んでおり、該反応性種が以下の群:
a.アミノ官能性化合物類、樹脂類、オリゴマ類、重合体類と組合せたエポキシ官能性化合物類および樹脂類;
b.イソシアナート官能性単量体類、二量体類、オリゴマ類、重合体類と組合せたヒドロキシ官能性化合物類、オリゴマ類、重合体類;
c.メタクリル系およびアクリル系官能性オリゴマ類または重合体類と組合せたメタクリル系またはアクリル系官能性単量体類;
d.エポキシ官能性化合物類および樹脂類またはオリゴマ類と組合せた、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン;
e.イソシアナート官能性単量体類、二量体類、オリゴマ類と組合せた、ヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサン;
f.メタクリル化またはアクリル化ポリオルガノシロキサン;
g.任意の割合でのa群とd群の組合せ;
h.任意の割合でのb群とe群の組合せ;
i.任意の割合でのc群とf群の組合せ;
から選ばれている、改善された難燃性、耐火性、熱絶縁性および燃焼時における煙の放散が少ないことを特徴とする該組成物を提供する。
【0042】
該ポリオルガノシロキサンはポリジメチルシロキサンであるのが望ましい。
以下の実施例は、本発明を例示している。
【実施例】
【0043】
実施例
燃焼性試験法
これら組成物の燃焼性を BSS 7230 試験法(F2法、垂直試験法)に従って試験した。アルミニウム短冊状試験片(strips)(75×305 mm)のコーティングは、ドローダウン・バー(draw down bar) を用いて行われた(乾燥薄膜の平均厚さ:0.15〜0.20mm) 。試料を、試験前に一日間室温で硬化させた。その試験法は次の通り:
ブンゼン・バーナー(メタン・タイプの炎、平均温度、約 950℃)は、試料ホルダーから少なくとも 76mmの位置に 離して置かれた。組成物でコーティングしたアルミニウム試験片を試料ホルダーの中に入れ、次いでこの試料ホルダーを、その試料の下の端が、バーナーのオリフィスの最上部の上方、公称19 mm のところに位置するように、試験試料ホルダーの中に垂直に挿入し、次いで、キャビネットのドアを閉めた。タイマーを0にセットし、バーナーの位置を、試料の面の中心の下端の下に調整してから、試験を開始した。炎を12秒(点火時間)当て、次いで、バーナーを試料から少なくとも76 mm 離すように移動させ、炎を遠ざけた。
【0044】
消火時間(extinguishing time)、残光時間(afterglow time)、および、ドリップ消失時間(drip extinguishing time) を記録した。収縮するか、または溶融して炎から離れる材料では、炎の足が試料を這い上がる最大距離を記録した。
【0045】
試験完了後、キャビネットのドアを開け、そして排煙フードの下で、その試験キャビネットから煙と煙霧を取除いた。試料をチャンバーから取出し、次いで、燃えた長さの測定
を助けるために、ティシューで試料の表面から煤と煙汚れを取除いた。
【0046】
各組成物で、二回燃焼試験が行なわれ、以後報告される値は、その平均値である。
これら組成物はまた、BSS 7230に説明されているように炎の酸素含有量を段階的に変えて、黄色タイプの炎から、純粋に青いタイプの炎にまで移行させて、試験された。そして全ての場合に、それらの結果は正確に同じで、これは、これら難燃化した重合体組成物は、火災が起り得る環境の酸素含有量(換気条件)に無関係であることを示している。
【0047】
各試験の間に、試料の燃焼時に発生した煙のレベルの推定値も記録された。観測された煙のレベルは、次の様に特徴付けされた。
【0048】
【表1】

【0049】
この試験は、航空宇宙用接着剤としての規格付与に広く利用(例えば、BOEINNG Co.,など)されており、そしてFAA(米国連邦航空局)により承認されている。接着剤は、それが次の目標に到達すれば、十分な難燃性を有していると見なされる:
消火時間:15 秒、燃焼長さ: 20.32cm 、ドリップ消失時間: 5 秒、および残光がないこと。
【0050】
若干の残光および/またはドリッピングが記録された場合、それらの対応時間を試験結果の中に報告してある。
熱絶縁性評価法
ある種の組成物の熱絶縁性を、難燃性の評価に用いたのと同じ実験装置の中で、次の方法に従って評価した:組成物を,10×10×25 mm のバーに成型し、そしてそのバーの一つの端から、他方の端から 1 mm の所まで円筒状の孔(直径 1mm)を穿孔した。熱電対のプローブ(探針)は、試料の温度を記録するためのそのチップがブンゼンバーナーの炎(メタン・タイプの炎、平均温度、約 950℃)が当るはずの場所であるバーの先端(測定端)から丁度 1 mm のところに来るようにはめ込まれた。
【0051】
ブンゼンバーナーは、試料ホルダーから少なくとも76 mmの位置にに置かれた。熱電対のプローブをはめ込んだバーを、適切に作られている試料ホルダーの中に入れ、次いでそのホルダーを、そのバーの測定端が、バーナーのオリフィスの最上部の上方、公称19 mm のところに位置するように、水平に挿入し、次いで、キャビネットのドアを閉めた。この熱電対のプローブ(タイプK)をバーナント(Barnant) ディジタル温度計につなぎ、この温度計を赤外線通信を介して手提げ式のプリンタ(Hewlett Packard 8224)に連結した。バーナーをバーの測定端の下に置いた後すぐに温度測定を始め、間隔を置いて測定した。炎は(特に断らない限り)260 秒当て、次いで、そのバーナーを試料から少なくとも76 mm のところに動かして、炎を遠ざけた。試験完了後、キャビネットのドアを開け、そして排煙フードの下で、その試験キャビネットから煙と煙霧を取除いた。試料をチャンバーから取出し、次いで、損傷の測定を助けるために、ティシューで試料の表面から煤と煙汚れを取除いた。
【0052】
物理的/機械的性質の試験法
ガラス転移温度(Tg)を、DSC(示差走査熱量測定)、TMA(熱機械的分析およびDMA(動機械的分析)で測定した。対応の各装置は:示差走査熱量測定計(DSC)、高温セル(窒素雰囲気、加熱速度:10℃/min) を備えたDSC−2920(TA Instruments 社);熱機械的分析計、TMA 40(Mettler 社)(窒素雰囲気、加熱速度:10℃/min)および動的機械的分析計、AR−2000 (TA Instruments 社)(直方体固形試料: 10×2 ×55mm、変形:± 1%、周波数 1 Hz 、空気雰囲気、加熱速度 5℃/min);である。
【0053】
熱膨張係数は、TMA 40(Mettler 社)(窒素雰囲気、加熱速度:10℃/min)で測定された。
23℃でのヤング貯蔵モジュラス(G')は、DMA 法により動的機械的分析計、AR−2000(TA Instruments社)(直方体固形試料 10×2 ×55 mm 、変形:± 1%、周波数 1Hz、空気雰囲気、加熱速度 5℃/min)を用いて測定された。
【0054】
23℃でのLap せん断強さは、EN 2243−1 に従って、Instron 4467を用いて23℃で測定された。
23℃でのCharpyの衝撃強さは、ISO 179 に従って測定された。
【0055】
23℃での破壊エネルギーと破壊靭性は、ASTM D−5045 に従って測定された。
23℃での圧縮強さと圧縮モジュラスは、ASTM 695に従って測定された。
23℃での平均剥離加重は EN 2243−2(120°ローラ剥離試験)に従って測定された。
【0056】
実施例1〜8:各種重合体又は重合性単量体中に分散させた、ナノクレー分散物の調製
ナノクレー Cloisite 25A [(登録商標)Southern Clays 社]および Nanofil 32[( 登録商標)Sud Chemie 社]を無溶媒で、各種樹脂または重合性単量体中に分散させた分散物を、以下の概略工程にしたがい調製した。
【0057】
樹脂または重合性単量体(100 重量部)と上述のナノクレーの一つ(1 重量部)の混合物を、機械的撹拌機、加熱マントルおよびディジタル温度制御器(精度:± 1℃)を備えた丸底フラスコの中に入れた。次いで、この混合物を、強いせん断下(3〜3500 rpm)、50〜60℃の温度で6時間に加熱した(加熱しないで必要な分散が起きる場合もあった)。次いでフラスコからこのペーストを取出し、プラスチックの容器に入れた。表1に各分散物の調製条件(樹脂、ナノクレー、温度)とそれらに付けた生成物名をまとめて示した。
【0058】
【表2】

【0059】
ナノクレー Cloisite 25A (d001=18.6Å)と Cloisite 10A (d001 =19.2Å)は Southern Clays 社から供給され、一方Nanofil 32 (d001 =18.0Å)は Sud Chemie 社により供給された。これらは全て、天然のナノクレーから、表面修飾剤(層間挿入剤)で処理することにより調製された。これらの層間挿入剤は、それぞれ、ジメチル水素化牛脂(tallow)、2−エチルヘキシル第4アンモニウム塩(水素化牛脂:〜65% C18、〜30% C15、〜5 % C13)、ジメチルベンジル水素化牛脂第4アンモニウム塩(水素化牛脂:〜65% C18、〜30% C16、〜5 % C14)、およびステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩である。
【0060】
実施例9〜12: 対照配合物の調製
市場から入手可能で、そして広く知られているハロゲンを基体とする難燃化 2k−エポキシ接着剤、EPIBOND 1559[(商標) Vantico Ltd.社]が、比較用のハロゲンを基体とする難燃化組成物(実施例9)として用いられた。本発明の目的に合わせて、材料の分散と混合のためにカートリッジが用いられた。この対照配合物に付けられた製品名は、R1H である。
【0061】
エポキシ (R1)(実施例10)、ポリウレタン (R2)(実施例11)、およびポリメタクリレート (R3)(実施例12)、を含む各比較用配合物が調製された。全ての対照組成物は、燃焼性試験の前に、一日間室温で硬化された。表2に、これらの組成と配合物に付けられた製品名をまとめて示した。
【0062】
【表3】

【0063】
工程:
配合成分は、表2に見られる順番で添加された。次いで、それらは、完全に混合され、そして次に(燃焼試験をするために)上に説明した工程に従って、アルミニウム試験片の上にコーティングされた。
【0064】
次の表に、対照組成物での BSS 7230 燃焼性試験の結果がまとめられている。
【0065】
【表4】

【0066】
実施例組成物中で用いられた添加物とその供給業者は:膨張性黒鉛(Grafguard 220−80B 、膨張性 100 cc/g 、Graftech社)、オクタモリブデン酸アンモニウム(Climax Chemicals 社)、ホウ酸亜鉛(Firebrake ZB 、OMYA UK Ltd.社)、三水酸化アルミニウム(ULV84、Alcan Chemicals 社、および Apyral−22,Nabaltec GmbH 社)、窒化ホウ素(BNSP−2CL、SHS Ceramicas 社)および窒化ケイ素(SNSP−2、SHS Ceramicas 社)である。
【0067】
実施例13〜27: 新規の難燃剤組成物の調製
以下の配合物が、下に説明された工程に従って調製された。
【0068】
【表5】

【0069】
工程:
配合物C1〜C13 の配合成分は、次のようにして、添加され、そして混合された:
第1添加工程:テトラエチレンペンタミンを除く全成分。完全に混合。
第2添加工程:前もって調製したこの混合物にテトラエチレンペンタミンを添加した。
【0070】
次いで、それらは、完全に混合され、そして次に(燃焼試験をするために)上に説明した工程に従って、アルミニウム試験片の上にコーティングされた。
配合物 C14〜C15 の配合成分は、次のようにして、添加され、そして混合された:
第1添加工程:トリレンジイソシアナートと過酸化ベンゾイルとを、それぞれ除く全成分。完全に混合。
第2添加工程:これらの前もって調製した対応する混合物に、トリレンジイソシアナートまたは過酸化ベンゾイルを添加した。
【0071】
次いで、それらは、完全に混合され、そして次に(燃焼試験をするために)上に説明した工程に従って、アルミニウム試験片の上にコーティングされた。
次の表に、比較用組成物での BSS 7230 燃焼性試験の結果がまとめられている。
【0072】
【表6】

【0073】
組成物 C3 と C1(比較用組成物)、C2(比較用組成物)および C4 と比較すると、膨張性黒鉛とナノクレーとの相乗作用は、強化された難燃性に関して見られたが、さらに煙抑制効果に関しても相乗効果が見られたことが最も重要である。膨張性黒鉛が存在しないと(比較用組成物 C6)、無機添加剤単独では同じ耐火性は達成できない。組成物 C5(比較用組成物)と C10の燃焼試験データは、効果的な煙の抑制とより短い燃焼長さの強力な証拠を提供する。煙の抑制に対するオクタモリブデン酸アンモニウムの追加的な貢献は、組成物 C7 と C10を比較すれば非常に明確に確認できる。さらに、膨張性黒鉛、ホウ酸亜鉛、ナノクレーおよびオクタモリブデン酸アンモニウム間での相乗作用は、C3、C6、C7、C8および C10を比べて見れば分かる。ホウ酸亜鉛を含まない組成物はより高い発煙レベルを示し、そしてより長い燃焼長も示す。三水酸化アルミニウムは、消火時間を0にするのに役立つことが見いだされた(組成物 C6、C9および C10)。窒化ホウ素および窒化ケイ素の効果が、組成物 C13と C8 に示されている。
【0074】
この新規に開発された難燃剤パッケージが、ポリウレタンとポリ(メチルメタクリレート)に適用された:組成物 C14および C15を比較用組成物 R2 および R3 と比較、表3。これは、軟質重合体マトリックス中でのこの新規の難燃剤パッケージの有効性を例証示している。
【0075】
エポキシド MY−0510を基体とする、本発明組成物の全てが、市販のハロゲン基体の難燃剤より優れた不燃性を示し(R1H 、表3)そしてエポキシを充填していない同等対抗組成物(R1、表3)より優れた不燃性を示す。特に、C10 組成物の優れた難燃性能(消火時間0、極小燃焼長、ドリッピングなし、残光なし、および限定的な煙)は、エポキシ基体のどの比較用組成物よりもはるかに良好である。
実施例28〜49: ケイ素重合体基材を基体とする新規の難燃組成物の調製
下に説明する方法により次の配合物が調製された。
【0076】
【表7】

【0077】
工程:
配合物 S1 〜C19 の配合成分は、次のようにして、添加され、そして混合された:
第1添加工程:エポキシ樹脂 MY−0510または D4608または D5006(適用可能な場合)を除く全成分。完全に混合。
第2添加工程:この前もって調製した混合物に、エポキシ樹脂 MY−0510または D4608または D5006(適用可能な場合)を添加した。
【0078】
次いで、それらは、完全に混合され、そして次に(燃焼試験をするために)上に説明し
た方法に従ってアルミニウム試験片の上にコーティングされた。
配合物 S20〜S21 の配合成分は、次のようにして、添加されそして混合された:
第1添加工程:トリレンジイソシアナートを除く全成分。完全に混合。
第2添加工程:これらの前もって調製した混合物に、トリレンジイソシアナートを添加し
た。
【0079】
次いで、それらは、完全に混合され、そして次に(燃焼試験をするために)上に説明した方法に従って、アルミニウム試験片の上にコーティングされた。
次の表に、対照組成物での BSS 7230 燃焼性試験の結果がまとめられている。
【0080】
【表8】

【0081】
添加物を含まない組成物 (S1) は、非常に良好な耐火性を示すが、その耐火性は、膨張性黒鉛(添加量>5w/w%)とナノクレーを導入することにより、さらに高められた。組成物 S1 〜S11 は、膨張性黒鉛の量を変動させることの効果を例証している。 S1 組成物の燃焼性試験データを、S2〜S6のデータと比較すると、ケイ素と膨張性黒鉛との間に相乗作用があることを示す。
【0082】
ケイ素を基体とする組成物中のナノクレーの効果は、膨張性黒鉛の添加量が 3w/w %より多い(組成物 S12と S17 )場合、他の無機添加物を組合わせるとさらに高められる。ケイ素を基体とする組成物中に膨張性黒鉛が含まれることの効果が、組成物 S13と S17の燃焼性試験データを比べることにより例証されている。ケイ素を基体とする組成物中のオクタモリブデン酸アンモニウムの役割は、煙の抑制剤として作用するよりはむしろ、燃焼性の減少にプラスであるように思われる( S14と S17 )。三水酸化アルミニウム(S16)は、ケイ素を基体とする重合体のプラットフォーム中では、オクタモリブデン酸アンモニウムに似た挙動をするように見える
S17〜 S19組成物の燃焼性試験データは、ケイ素と膨張性黒鉛との間の相乗作用を裏付ける。より一層柔軟な材料、ケイ素を基体とするポリウレタンの耐火性の改善が、組成物S20 と S21により例証されている。組成物 S17が、最も良好な難燃性能を達成している。
【0083】
実施例50〜65: ケイ素系重合体と炭素系重合体のブレンドを基体とする新規の難燃剤組成物の調製
下に説明する方法により次の配合物が調製された。
【0084】
【表9】

【0085】
工程:
配合物 CS1〜CS13の配合成分は、次のようにして、添加されそして混合された:
第1添加工程:エポキシ樹脂 MY−0510または D3508(適用可能な場合)を除く全成分。完全に混合。
第2添加工程:この前もって調製した混合物に、エポキシ樹脂 MY−0510または D3508(適用可能な場合)を添加した。
【0086】
次いで、それらは、完全に混合され、そして次に(燃焼試験をするために)上に説明した工程に従って、アルミニウム試験片の上にコーティングされた。
配合物 CS14 〜C14 の配合成分は、次のようにして、添加され、そして次に混合された:
第1添加工程:それぞれ、トリレンジイソシアナートと過酸化ベンゾイルを除く全成分。完全に混合。
第2添加工程:これらの前もって調製した混合物に、トリレンジイソシアナートおよび過酸化ベンゾイルを添加した。
【0087】
次いで、それらは、完全に混合され、そして次に(燃焼試験をするために)上に説明した工程に従って、アルミニウム試験片の上にコーティングされた。
次の表に、対照組成物での BSS 7230 燃焼性試験の結果がまとめられている。
【0088】
【表10】

【0089】
炭素基体、およびケイ素基体の基材基板をブレンドし、次いで両者または少なくとも一方(即ち、二種の重合体の一つが官能性でない場合)を架橋する場合、用いられるシリコーンの量が極く少なくても(3 w/w %に下げても)そして、何等かの有機/無機の添加物を導入しなくても(組成物 CS9と CS11)、対照 R1 組成物に比べて消火時間が劇的に短くなる。
【0090】
実施例66
本出願の組成物の物理/機械的諸性質を評価するために、市場から入手可能で、非難燃性の二成分型エポキシ基体の接着剤 EPIBOND 1590 [(商標) Vantico Ltd.社]を本出願発明に係る組成物に準じて再配合(接着剤 1)し、その難燃性を、一連の物理/機械的諸性質と共に記録した。
【0091】
工程:
接着剤 1の部分Aの調製
接着剤 EPIBOND 1590(登録商標) の樹脂部分(70 g)と Cloisite 10A(登録商標)(7.25g)を高せん断ミキサーの中で 4〜6 時間混合した。次いで、その混合物に 7.00 g の Grsfguard 220B、3.00g のオクタモリブデン酸アンモニウム、10.00gの Firebrake−ZB および 10.00g の Apyral−22を添加し、そして低せん断ミキサーの中で、混合を約 1時間続けた。
【0092】
接着剤 1の部分Bの調製
EPIBOND 1590 (登録商標) の硬化剤部分(70 g)と 7.00 g の Grsfguard 220B 、3.00 gのオクタモリブデン酸アンモニウム、10.00gの Firebrake−ZB および 10.00g の Apyral−22を低せん断ミキサーの中で、約 1時間混合した。
【0093】
接着剤 1のこの二つの成分を、1.95:1 w/w(部分A:部分B)の混合比で混合した。調製されたこの試料の硬化法は:a) 23℃で 7日(接着剤 1−23C)および 60℃で 4時間(接着剤 1−60C)、であった。
【0094】
次の表は、接着剤 1−23Cと接着剤 1−60Cの物理/機械的諸性質を記録している。両試料の難燃性は実験の中で説明した難燃性測定法に従い、そして“ブルー”炎の中で試験された。
【0095】
【表11】

【0096】
実施例67
本出願の組成物の熱絶縁性能を評価するために、実施例66に説明したようにして調製された接着剤 1−23Cが、その熱絶縁性評価法に従って試験された。
【0097】
実施例68
23℃で 7日間硬化された EPIBOND 1590(登録商標) の試料の熱絶縁性も、この熱絶縁性評価法に従って評価された。この場合、165 秒間だけ炎が当てられたが、それはこの時間の後にはその試料は完全に燃え尽きるからである。
【0098】
実施例69
図1は、実施例67および68で、それぞれ調製されそして試験された接着剤 1−23Cと EPIBOND 1590(登録商標) について、熱絶縁性評価法により記録された結果を示している。165 秒後には、EPIBOND 1590の試料は完全に燃え尽き、記録された最高温度は、約565℃で、これは、この材料の初期分解温度を大幅に超えていた。対照的に、接着剤 1−23Cは、約 260秒後に、寸法的にはそのまま残っていた。 180〜200 秒を超えると、その接着剤1−23C の温度は、殆ど一様(平準化)であった(記録された最高温度:226℃)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の重合体および/または少なくとも一種の硬化性単量体若しくはオリゴマと共に、(a) 熱を加えると膨張する少なくとも一種の微粒子状材料と(b) 少なくとも一種の微粒子状ナノ充填材を含んでいる組成物。
【請求項2】
成分(a) が、膨張性黒鉛を含んでいる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(b) が、ナノクレーである、請求項1または請求項2のいずれかに記載の組成物。
【請求項4】
難燃剤としての性質を有する少なくとも一種の他の微粒子状材料をさらに含んでいる請求項1から3の任意の一項に記載の組成物。
【請求項5】
金属酸化物類/酸類、水和物類、水酸化物類、炭酸塩類、硫酸塩類、ケイ酸塩類、窒化物類、モリブデン酸塩類およびステアリン酸塩類から選ばれる少なくとも一種の材料を含んでいる請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
亜鉛またはカルシウムのホウ酸塩、スズ酸塩またはモリブデン酸塩、亜鉛またはマグネシウムのステアリン酸塩、モリブデン酸アンモニウム、水酸化カルシウム、三水酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、メタケイ酸ナトリウム・五水和物、テトラホウ酸カリウム・四水和物、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化チタン、酸化第二鉄、酸化モリブデン、フタル酸鉛、塩化第一スズ、及び適切な場合には、それらの錯体、から選ばれる少なくとも一種の材料を含んでいる請求項4または請求項5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
難燃剤としての性質を有する少なくとも二種の前記の更なる微粒子状材料を含んでいる請求項5または請求項6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記の更なる微粒子状材料(一種または複数)が 1〜95 w/w%,好ましくは 1〜40 w/w%の量存在する請求項6または7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
エポキシ、アクリル、メタクリル、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、酸無水物、オレフィン、スチレン、アセトキシ、メトキシ、エステル、シアノ、アミド、イミド、ラクトンまたはウレタン、から選ばれる一種以上の基を含む硬化性単量体、オリゴマおよび/または重合体を含んでいる請求項1〜8の任意の一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ナノ充填材が、前記組成物の総重量を基にして 0.1〜95 w/w%、好ましくは 5〜25 w/w%の量存在する請求項1〜9の任意の一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記膨張性材料が 0.1〜95 w/w%、好ましくは 1〜40 w/w%の量存在する請求項1〜10の任意の一項に記載の組成物。
【請求項12】
接着剤、シーラントまたはコーティング組成物である、請求項1〜11の任意の一項に記載の組成物。
【請求項13】
熱を加えると膨張する少なくとも一種の微粒子状材料及び少なくとも一種の微粒子状ナノ充填材とともに、重合体マトリックスを含む硬化物品。
【請求項14】
請求項1〜12の任意の一項に記載の硬化性組成物を硬化することを含む、請求項13に記載の硬化物品を製造する方法。
【請求項15】
熱を加えると膨張する少なくとも一種の微粒子状材料、少なくとも一種の微粒子状ナノ充填材並びに少なくとも一種の硬化性単量体、オリゴマおよび/または重合体を混合すること、そして次いで、この得られた混合物を硬化させることを含む、請求項13に記載の硬化物品を製造する方法。
【請求項16】
請求項1〜12の任意の一項に記載の硬化性重合体組成物を、難燃性コーティングを生成させるのに十分な熱にかけることにより調製された耐火性コーティングを含んでいる、請求項13に記載の物品。
【請求項17】
請求項1〜12の任意の一項に記載の硬化性組成物を基材に適用し、そして該組成物を硬化させることを含む、接着ボンド、シールまたはコーティングを製造する方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法により生成されたボンド、シールまたはコーティングを含んでいる請求項13または請求項16のいずれかに記載の物品。
【請求項19】
(a) 熱を加えると膨張する少なくとも一種の微粒子状材料と(b) 少なくとも一種の微粒子状ナノ充填材を含んでいる、難燃剤用添加物として使用される微粒子状組成物。
【請求項20】
反応性単量体類、オリゴマ類および重合体類を基体とし、硬化すると、接着剤、シーラント、コーティングまたは成形物を生成する組成物であって、アミノ基、ヒドロキシル基、メタクリル基、アクリル基およびエポキシ基から選ばれる一種以上の官能基を含むポリオルガノシロキサンと第2成分との混合物からなり、その第2成分の反応性種が、一種以上の以下の基:
a.アミノ官能性化合物類、樹脂類、重合体類と組合せたエポキシ官能性化合物類および樹脂類;
b.イソシアナート官能性単量体類、二量体類、オリゴマ類、重合体類と組合せたヒドロキシ官能性化合物類、オリゴマ類、重合体類;
c.メタクリル系またはアクリル系官能性単量体類、メタクリル系またはアクリル系官能性オリゴマ類または重合体類;
から選ばれている、改善された難燃性と燃焼時に放散される煙が少ないことを特徴とする前記組成物。
【請求項21】
反応性単量体類、オリゴマ類および重合体類を基体とし、硬化すると、接着剤、シーラント、コーティングまたは成形物を生成する組成物であって、膨張性黒鉛と、ナノクレーと、場合により用いられる、ホウ酸亜鉛、三水酸化アルミニウム、オクタモリブデン酸アンモニウムなどからなる群からの一種以上の難燃性添加物および煙抑制剤との相乗作用性混合物を含んでおり、前記反応性種が以下の群:
a.アミノ官能性化合物類、樹脂類、オリゴマ類、重合体類と組合せたエポキシ官能性化合物類および樹脂類;
b.イソシアナート官能性単量体類、二量体類、オリゴマ類、重合体類と組合せたヒドロキシ官能性化合物類、オリゴマ類、重合体類;
c.メタクリル系またはアクリル系官能性オリゴマ類または重合体類と組合せたメタクリル系またはアクリル系官能性単量体類;
d.エポキシ官能性化合物類および樹脂類またはオリゴマ類と組合せた、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン;
e.イソシアナート官能性単量体類、二量体類、オリゴマ類と組合せた、ヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサン;
f.メタクリル化またはアクリル化ポリオルガノシロキサン;
g.任意の割合でのa群とd群の組合せ;
h.任意の割合でのb群とe群の組合せ;
i.任意の割合でのc群とf群の組合せ;
から選ばれている、改善された難燃性と燃焼時における煙の放散が少ないことを特徴とする前記組成物。
【請求項22】
前記ポリオルガノシロキサンが、ポリジメチルシロキサンである請求項20または請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
重合体の混合物を含む難燃性材料であって、前記重合体の少なくとも一種が、縮合またはヒドロシリル化以外の他の反応により、その重合体マトリックスに導入されたシリコーンである、前記難燃性材料。
【請求項24】
反応性単量体類、オリゴマ類および重合体類を基体とする硬化性組成物であって、アミノ基、ヒドロキシル基、メタクリル基、アクリル基およびエポキシ基から選ばれる一種以上の官能基を含む少なくとも一種のポリオルガノシロキサンと第2成分からなり、前記第2成分の反応性種が、一種以上の以下の群:
a.アミノ官能性化合物類と組合せたエポキシ官能性化合物類;
b.イソシアナート官能性化合物類と組合せたヒドロキシ官能性化合物類類;
c.メタクリル系またはアクリル系官能性化合物類;
から選ばれている、前記硬化性組成物。
【請求項25】
アミノ官能性性ポリオルガノシロキサンと組合せたエポキシ官能性化合物;ヒドロキシル官能性ポリオルガノシロキサンと組合せたイソシアナート官能性化合物;または、メタクリル化若しくはアクリル化ポリオルガノシロキサンと組合せたメタクリル系またはアクリル系官能性化合物、を含んでいる、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記ポリオルガノシロキサンが、ポリジメチルシロキサンである請求項24または請求項25のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
(a) 熱を加えると膨張する少なくとも一種の微粒子状材料と(b) 少なくとも一種の微粒子状ナノ充填材をさらに含んでいる、請求項24から26の任意の一項に記載の組成物。
【請求項28】
請求項2から12の任意の一項で特定された特徴の中の任意の一つを有する請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
請求項20から28の任意の一項に記載の組成物の、難燃剤としての、または改善された耐火性を必要とする任意の用途での使用。

【公表番号】特表2006−523725(P2006−523725A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561630(P2004−561630)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005503
【国際公開番号】WO2004/056913
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(504177804)ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・(スイッツランド)・ゲーエムベーハー (43)
【Fターム(参考)】