説明

電力供給装置、放電灯点灯装置および照明装置

【課題】配線特性を検出することによって、配線が含んでいる浮遊容量なのによって生じる電圧降下や電力損失を付加した電圧や電力を供給可能な電力供給装置および放電灯点灯装置及びこれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】放電灯が点灯しない状態の無負荷時において、点灯装置に含まれるインダクタ成分L31と点灯装置のコンダクタC41と点灯装置に接続された配線に含まれている浮遊容量CyによってLC共振回路を形成する。インバータ回路14の発生する周波数によって変化する電圧やLC共振回路の共振周波数を求める事によって配線に含まれる浮遊容量などの配線特性を検出し、この配線特性の浮遊容量などによって生じる電圧降下分や電力損失分を加えた電圧や電力を放電灯3に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置、放電灯点灯装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧放電灯を始動させる高圧パルス電圧を発生させる始動装置を内蔵した高圧放電灯点灯装置においては、点灯装置が高圧放電灯に近接配置され、始動装置と高圧放電灯との配線距離が短い場合は高圧パルス電圧が減衰することなく高圧放電灯に印加されるため始動性に問題は生じない。しかし、器具類の設置の都合から点灯装置と高圧放電灯との配線距離が長くなる場合がある。このような場合は配線長などによる浮遊容量やインダクタンス成分などが大きくなり高圧パルス電圧の減衰が大きくなって放電灯を点灯させることができなくなる。
【0003】
このため、始動装置として、パルス発生部の主コンデンサに、複数のコンデンサをそれぞれ外部からの操作によって並列に接続させる出力切換手段を設け、始動装置と放電灯との距離が長くなると主コンデンサに並列に接続されるコンデンサの数を増やして全体の容量を大きくし、距離に応じた適切なパルス電圧を発生させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、高圧放電灯安定器と照明器具とを離して設置し、高圧放電灯安定器側に昇圧装置を配置するとともに照明器具に高圧放電ランプと高電圧パルス発生装置を配置し、高圧放電灯安定器からの無負荷二次電圧に昇圧装置からの高い電圧を重畳した高電圧を高電圧パルス発生装置に出力し、高電圧パルス発生装置では入力する高電圧にさらに高電圧パルスを重畳して高圧放電灯に印加するものが知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
さらに、特許文献4では、第1の始動装置が内蔵された点灯装置を用いて高圧放電灯を点灯させる場合、この第1の始動装置のみでは高圧放電灯が始動されないほど距離が長くなった場合に、点灯装置と高圧放電灯の間に第2の点灯装置を配置して、確実に高圧放電ランプを点灯させるものが知られている。
【特許文献1】特開平5−283180号公報
【特許文献2】実用新案登録第2598521号公報
【特許文献3】特開平8−45678号公報
【特許文献4】特開2005−251722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、始動装置と放電灯との間の配線長は、設置場所などによって異なるため、上記した特許文献1のものでは設置の都度、出力切換手段を操作して調整を行わなければならない面倒があり、また、複数のコンデンサや出力切換手段を設けることにより全体として始動装置が大形化する問題があった。
【0007】
また、上記した特許文献2及び3のように、安定器側から発生した高電圧を高電圧パルス発生装置がそのまま取込み、この取込んだ高電圧に高圧パルスを重畳して高圧放電灯に印加する構成では、安定器側からの高電圧が高電圧パルス発生装置の各素子に悪影響を及ぼす虞がある。さらに特許文献4のものでも、始動装置と放電灯との間の配線長は、設置場所や設置位置などによって異なるため、設置の都度、第2の始動装置を設置調整するなどを行わなければならず面倒であった。
【0008】
このため、本願発明では配線長を検出することによって、配線が含んでいる浮遊容量などによって生じる電圧降下や電力損失分を付加した電圧や電力を供給可能な電力供給装置および放電灯点灯装置及びこれを用いた照明装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の電力供給装置は、負荷が動作しない範囲の電力を出力した状態で、配線特性を検出する配線特性検出手段と;検出された配線特性による電圧降下分を付加して負荷に電力を供給する電力変換部と;を具備している。
【0010】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り、用語の定義および技術的な意味は次による。
【0011】
配線は、電力供給装置の出力端と負荷を接続する電力線を示す。
【0012】
配線特性とは、配線が持つ抵抗分や浮遊容量分などの電気的特性や、配線の長さなどの物理的特性を含む。このような配線特性の特に電気的特性は、配線の長さや配線同士の配置、材質などによって特性が変化する場合がある。
【0013】
配線特性検出手段は、負荷を動作させないようにした状態で出力側に接続された配線が含んでいる浮遊容量などを検出する。検出された浮遊容量などによって配線特性を算出し、配線特性による電圧降下分を考慮して、電圧降下による負荷への入力電力の低下分を予め加えた状態の電力を出力するようにしたものである。
【0014】
請求項2の発明の放電灯点灯装置は、インダクタ成分を含み、負荷に電力を供給する電力変換部と;電力変換部の出力を変換可能な周波数として出力するインバータ回路と;放電灯が動作しない範囲の電力を出力した状態で、配線特性を検出する配線特性検出手段と;配線特性検出手段によって検出された配線特性による電圧降下分を付加して電力変換部を制御する制御回路と;を具備している。
【0015】
配線は、放電灯点灯装置の出力端と放電灯を接続する電力線を示す。
【0016】
電力変換部は例えば、昇圧チョッパ回路、降圧チョッパ回路やトランスなどを許容しインダクタ成分を含んでいる。インバータ回路はフルブリッジ回路やハーフブリッジ回路のような極性反転回路を許容する。インバータ回路の生成する周波数は連続変化可能であることが好ましい。
【0017】
こうして得られた配線特性などによる電圧降下を考慮して、負荷である放電灯へ電力を供給するようにしている。
【0018】
請求項3の発明の放電灯点灯装置は、放電灯始動時に必要な高電圧を印可するイグナイタと;インダクタ成分を含み、負荷に電力を供給する電力変換部と;電力変換部の出力を変換可能な周波数として出力するインバータ回路と;イグナイタを停止させ放電灯が動作しない状態で、配線特性を検出する配線特性検出手段と;配線特性検出手段によって検出された配線特性による電圧降下分を付加してイグナイタの出力電圧を制御する制御回路と;を具備している。
【0019】
イグナイタは、放電灯の始動に必要な高電圧を生成するものであればよい。配線特性検出手段が検出した配線の浮遊容量などから配線特性を算出し、配線特性によって低下するイグナイタの出力電圧を考慮した始動電圧を出力させて放電ランプに印可する。
【0020】
請求項4の発明は請求項2または3記載の放電灯点灯装置であって、配線特性検出手段は、極性反転回路の出力周波数を可変させて共振周波数を求めることによって、配線特性を検出することを特徴とする。
【0021】
配線特性検出手段は、電力変換部に含まれたインダクタ成分と接続される配線が持っている浮遊容量とで構成される共振回路の共振周波数によって、配線の浮遊容量などを検出し、検出された値から配線特性を算出する事ができる。
【0022】
請求項5の発明の照明装置は、照明器具本体と;照明器具本体に配設される放電灯と;請求項2ないし4いずれか一記載の放電灯点灯装置と;を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、配線特性などによる電圧降下による負荷への電力供給不足を補って、所定の電力供給できる電力供給装置を提供することができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、配線特性などによる電圧降下による放電灯への電力供給不足を補って、所定の電力を供給することのできる放電灯点灯装置を提供することができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、配線特性などによるイグナイタの出力する高電圧パルスの出力電圧の低減による放電灯の始動不良を低減し、配線特性などにかかわらず点灯可能な放電灯点灯装置を提供することができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、配線長などの配線特性の検出を共振周波数を求めることによって浮遊容量を検出するので、配線特性の算出を容易にすることができる。
【0027】
請求項5発明によれば、請求項2ないし5の効果を奏した照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の第1の実施形態である電力供給装置を図1および図2を参照して説明する。図1は、電力供給装置の概略図、図2は、電力供給装置の出力電圧の立ち上がりを示す図である。なお、これらの図中、同一または相当部分には同一符号を付して、重複した説明の記載は省略または簡略化している。
【0029】
図1において、交流電源Vsから負荷3への電力の供給を行う電力供給装置1が配線2を介して接続される。
【0030】
電力供給装置1は内部にリアクタンス成分R0を含んでおり、電力供給装置1の出力電力を制御する制御装置4を備えている。また配線2には浮遊容量Cyを含んでおり、この浮遊容量Cyは配線2の長さと比例して大きくなる。
【0031】
本実施形態の配線特性検出について説明する。まず、制御装置4は負荷3が動作しない程度の電力を供給する。例えば、負荷が動作不可能である低電力状態や始動回路を停止させた状態をしめす。負荷が動作しないので、電力供給装置のリアクタンス成分R0と配線2の浮遊容量CyにてRC回路を形成する。このように形成されたRC回路に供給される電圧の立ち上がりを図2に示す。電源投入時からの電力供給装置1の出力端の電圧の変化を検出し、所定電圧値になるまでの時間によってこのRC回路の時定数からコンデンサ成分つまり浮遊容量Cyが検出される。こうして検出された浮遊容量によって、負荷が接続される配線の特性を算出する。
【0032】
配線の特性、特に配線の浮遊容量Cyを検出した後、電力供給装置1の制御手段は、配線2によって損失される電圧降下分や電力損失分を付加した電圧および電力を負荷3に供給するように制御を行う。そうすることによって、負荷3には所定の電圧や電力が配線の長さや配置にかかわらず供給される。
【0033】
次に、本発明の第2の実施形態である放電灯点灯装置を図3および4を参照して説明する。図3は、放電灯点灯装置の回路図、図4は無負荷時の周波数特性を示す図である。なお、これらの図中、同一または相当部分には同一符号を付して、重複した説明の記載は省略または簡略化している。
【0034】
放電灯点灯装置1に入力された電力はフィルタ回路11、整流回路12、昇圧チョッパ13、ハーフブリッジ回路14が接続され、ハーフブリッジ回路の出力端には、LC共振回路15に接続されLC共振回路15の出力端には出力電圧検出手段16を順次接続している。
【0035】
フィルタ回路11はコンデンサC1とインダクタL1からなり、整流回路12は、ブリッジ型全波整流回路BD、コンデンサC2などからなり、商用交流電源VSを整流し、直流電源を出力している。昇圧チョッパ13は、整流回路12にインダクタンスL2、スイッチング素子Q1の直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1の両端には逆流阻止用のダイオードD1を介して平滑用のコンデンサC3が接続されている。また、スイッチング素子Q1は、電界効果型トランジスタ(FET)を用いており、FETQ1のドレインがインダクタンスL1とダイオードD1の接続端に、FETQ1のソースがコンデンサC3と整流回路12の出力端に接続されている。FETQ1のゲートは、制御回路17と接続されている。制御回路17は昇圧チョッパ13のFETQ1のスイッチングにより、コンデンサC3にかかる電圧を制御している。
【0036】
インバータ回路14は、2つの電界効果型トランジスタ(FET)Q2,Q3からなるハーフブリッジ回路で構成される。この2つのFETQ1,Q2が交互にオンオフを繰返すことによって高周波を出力する。インバータ回路14の出力端には、LC共振回路15が並列に接続される。
【0037】
インダクタL31と共振コンデンサC41とで構成されるLC共振回路15は、インバータ回路14から入力される高周波電圧を直流カットコンデンサC51を介してLC共振回路15に入力する。LC共振回路15の出力端は放電灯3が接続可能な端子A,Bが接続される。インバータ回路14が出力する高周波電圧を配線2を介して放電灯3に印加する。
【0038】
次に、回路の動作を説明する。商用交流電源VSからの交流電圧はフィルタ回路11を介して整流回路12で整流されて直流電圧となり、昇圧回路13に入力される。このとき、抵抗R1にかかる電圧を電源にして制御回路17を動作させている。その後制御回路17の電源は、昇圧回路13のインダクタL2に係る電力をインダクタL4で取り出しダイオードD2で整流しコンデンサC6に蓄電されたエネルギーを利用している。昇圧回路13は整流回路12で得られた直流電圧を昇圧平滑する。昇圧された出力はコンデンサ回路C3の電圧およびFETQ1に接続された電流検出手段R2を制御回路17に入力されて所望の電力が得られるようにフィードバック制御を行うためFETQ1のスイッチング制御を制御回路17は行っている。
【0039】
昇圧回路13で昇圧平滑された直流電圧は、インバータ回路14を構成する直列接続された2個のFETQ2、Q3の両端に印加される。インバータ回路14は制御回路17により所定の発振周波数で交互にオンオフ制御され、並列接続されたLC共振回路15に高周波電圧を供給する。
【0040】
そしてまず始めに配線特性を検出する。まず、負荷である放電灯3が始動しない状態で高周波電圧を印加すると、図4のように出力した周波数によって検出される電圧が浮遊容量Cyの値によって変化する。この変化量によって配線の有している浮遊容量Cyが検出される。検出された浮遊容量Cyによって、負荷が接続されるまでの配線特性が検出できる。
【0041】
配線の特性、特に配線の浮遊容量Cyを検出した後、放電灯点灯装置1の制御手段は、配線2によって損失される電圧降下分や電力損失分を付加した電力を放電灯3に供給するように制御を行う。つまり、配線特性による電力損失分を付加した電力が放電灯点灯装置1から出力されるように,制御回路17は放電灯点灯装置1の出力電力を制御する。そうすることによって放電灯3には配線の長さや配置によらず所定の電圧および電力を供給することができる。
【0042】
また、出力電圧検出手段16は、A−B間に接続される放電灯3の両端にかかる電圧を検出してランプの点灯不点灯を検出する。出力電圧検出手段16が検出するランプ電圧によってランプの寿命などの不具合などを検出することにも使用することを許容する。
【0043】
このような配線特性の検出は、電源を投入する毎に行う必要は無いので、点灯装置にはじめて交流電源Vsが供給されたときのみに行えば、点灯装置および放電灯3の設置状態での配線特性を検出することができる。この種の点灯装置や放電灯3は使用のたびに配線を変更するようなことはほとんど無いので、初期の電源投入時のみに上記の検出作業を行うことによって次回から配線特性を検出する動作を行うことを省略することができる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態である放電灯点灯装置を図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の高圧放電ランプ点灯装置の回路図である。なお、これらの図中、同一または相当部分には同一符号を付して、重複した説明の記載は省略または簡略化している。
【0045】
図5の回路図において、交流電源Vsに高圧放電ランプLへの電源の入り切りを行う電源スイッチS1が接続される。高圧放電ランプ点灯装置1に入力された電力はフィルタ回路11、整流回路12、昇圧チョッパ回路13、降圧チョッパ回路14、極性反転回路15、高圧パルス発生回路IGおよび高圧放電ランプLを順次接続している。
【0046】
整流回路12は、ブリッジ型全波整流回路BD、コンデンサC1などからなり、商用交流電源VSを整流し、直流電源を出力している。昇圧チョッパ回路13は、整流回路12の出力端にインダクタンスL1、スイッチング素子Q1の直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1の両端には逆流素子用のダイオードD1を介して平滑用のコンデンサC2が接続されている。また、スイッチング素子Q1は、電界効果型トランジスタ(FET)を用いており、FETQ1のドレインがインダクタンスL1とダイオードD1の接続端に、FETQ1のソースがコンデンサC2と整流回路12の出力端に接続されている。FETQ1のゲートは、制御回路16と接続されている。昇圧チョッパ回路13はFETQ1のスイッチングにより、コンデンサC2にかかる電圧を制御して出力している。
【0047】
降圧チョッパ回路14は、昇圧チョッパ回路13の出力端に、還流用のダイオードD2とスイッチング素子Q2の直列回路が接続されている。ダイオードD2の両端にインダクタンスL2および平滑用のコンデンサC3が接続されている。また、スイッチング素子Q2もまた電界効果型トランジスタ(FET)を用いており、FETQ2のドレインが昇圧チョッパ回路13の出力端に、FETQ2のソースがインダクタンスL2とダイオードD2の接続端に接続されている。FETQ2のゲートは、制御回路16と接続されている。降圧チョッパ回路14はFETQ2のスイッチングにより、出力電力を調節して高圧放電ランプLに供給する電力変換部として機能を有している。
【0048】
降圧チョッパ回路14の出力端には、出力端と並列にチョッパ電圧検出回路18が接続され、出力端と直列にチョッパ回路電流検出回路17が接続されている。チョッパ回路の出力端に極性反転回路を介して接続される高圧放電ランプLの出力電圧が現れるので、このチョッパ電圧検出回路でランプ電圧の変動を検知している。チョッパ電圧検出回路(ランプ電圧検出回路)18は高圧放電ランプ電圧を検出するとともに、高圧放電ランプLの点灯・不点灯を検出やランプ電圧を検出した結果、高圧放電ランプLの異常なども検出して、制御回路16に入力する。また、チョッパ回路14に極性反転回路15を介して接続される高圧放電ランプLのランプ電流もまたこのチョッパ回路電流検出回路17でランプ電流の変動を検知している。これらのチョッパ電圧検出回路18とチョッパ回路電流検出回路17の検出結果から、ランプ電力を検出して制御回路16に入力し、制御回路16このランプ電力を所定値とするように降圧チョッパ回路14のFETQ2のスイッチング動作を制御している。
【0049】
極性反転回路15は、4つの電界効果型トランジスタ(FET)Q3〜Q6からなるフルブリッジ回路で構成される。極性反転回路15の出力端には、高圧パルスを発生する高圧パルス発生回路IGに接続するパルストランスPTおよび高圧放電ランプLが接続される配線2が取り付けられる出力端子A-Bが並列に接続されている。
【0050】
配線特性を検出について説明する。まず、負荷である放電灯が始動しないように高圧パルス発生回路IGを停止させた状態で高周波電圧を出力すると、出力した周波数によって検出される電圧が変化する。この変化量を求めることによってパルストランスPTのインダクタ成分と配線の有している浮遊容量CyによるLC共振回路の共振周波数を検出することができる。この共振周波数によって配線に含まれている浮遊容量Cyは検出され、負荷が接続されるまでの配線特性を算出する。
【0051】
配線の浮遊容量Cyを検出した後、放電灯点灯装置1の制御手段は、配線2によって損失される電圧降下分や電力損失分を付加した電力を放電灯Lに供給するように制御を行う。配線の長さによる高圧パルスの吸収分を付加して高圧パルス発生回路から放電灯が始動可能な高さの始動パルスが発生するように制御回路によって制御し、始動を確実なものとする。
【0052】
高圧パルス発生回路IGは図示しないが昇圧コイルやトリガ発生回路などで構成され、高圧放電ランプLにパルス状の高電圧を印加する。高圧パルス発生回路IGは連続的または間欠的に動作して高電圧パルスを発生させて、高圧放電ランプLを点灯させるものであるが、高圧放電ランプLの不具合などによって高圧放電ランプLが始動しない場合がまれに発生する。この場合高圧パルス発生回路IGは数分から数十分動作させえた後でも高圧放電ランプLが点灯しない場合は、この高圧放電ランプLは異常であるとみなして高圧パルス発生回路IGの動作を停止させ、降圧チョッパ回路14のFETQ2をOFFとする。こうすることで、高電圧パルスを高圧放電ランプLおよびソケットに印加し続けるのを予防し、高圧放電ランプLに供給する電力を低減することができる。また高圧パルス発生回路IGの発生タイミングや出力パルスの高さは制御回路16によって制御される。
【0053】
また、配線特性による電力損失分を負荷した電力が放電灯点灯装置1から出力されるように、制御回路17は放電灯点灯装置1の出力電力を制御する。そうすることによって放電灯3には配線の長さや配置によらず所定の電圧および電力を供給することができる。
【0054】
図6は本発明の第4の実施の形態に係る照明装置の構成を示す斜視図である。図中100は、第1の実施の形態の高圧放電灯点灯装置で、この高圧放電灯点灯装置100は器具本体101と別置されている。前記器具本体101に高圧放電灯Lを装填している。 このような構成の照明装置においては、第1の実施の形態における高圧放電灯点灯装置100の効果を有する照明装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態である電力供給装置のブロック図。
【図2】同じく立ち上がりを示すグラフ。
【図3】本発明の第2の実施形態である放電灯点灯装置の回路図。
【図4】同じく放電灯点灯装置の無負荷時周波数特性図。
【図5】本発明の第3の実施形態である放電灯点灯装置の回路図。
【図6】本発明の第4の実施形態である照明装置の斜視図。
【符号の説明】
【0056】
1・・・放電灯点灯装置 VS…商用交流電源 14・・・LC共振回路 2…配線 3・・・負荷である放電灯 16…出力電圧検出回路 17・・・制御回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷が動作しない範囲の電力を出力した状態で、配線特性を検出する配線特性検出手段と;
検出された配線特性による電圧降下分を付加して負荷に電力を供給する電力変換部と;
を具備していることを特徴としている電力供給装置。
【請求項2】
インダクタ成分を含み、負荷に電力を供給する電力変換部と;
電力変換部の出力を変換可能な周波数として出力するインバータ回路と;
放電灯が動作しない範囲の電力を出力した状態で、配線特性を検出する配線特性検出手段と;
配線特性検出手段によって検出された配線特性による電圧降下分を付加して電力変換部を制御する制御回路と;
を具備していることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項3】
放電灯始動時に必要な高電圧を印可するイグナイタと;
インダクタ成分を含み、負荷に電力を供給する電力変換部と;
電力変換部の出力を変換可能な周波数として出力するインバータ回路と;
イグナイタを停止させ放電灯が動作しない状態で、配線特性を検出する配線特性検出手段と;
配線特性検出手段によって検出された配線特性による電圧降下分を付加してイグナイタの出力電圧を制御する制御回路と;
を具備していることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項4】
配線特性検出手段は、極性反転回路の出力周波数を可変させて共振周波数を求めることによって、配線特性を検出することを特徴とする請求項2または3記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
照明器具本体と;
照明器具本体に配設される放電灯と;
請求項2ないし4いずれか一記載の放電灯点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−236140(P2007−236140A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56452(P2006−56452)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】