説明

電力合成分配器および電力合成分配器を用いた送信機

【課題】複数の増幅器のうちの一部が故障しても、電力合成分配器の分配損、合成損を最小とする。
【解決手段】複数の並列接続された第1の分岐側端子(113、114)と1つの第1の合成側端子(115)が第1の電力合成点(116)を介して接続された第1の分岐回路(127)と、複数の並列接続された第2の分岐側端子(133、134)と1つの第2の合成側端子(135)が第2の電力合成点(136)を介して接続された第2の分岐回路(137)とを有し、第1の合成側端子と複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、第1の電力合成点から第2の電力合成点までの長さが1/2波長の整数倍である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波帯で使用される電力合成分配器、および電力合成分配器を用いた送信機に関し、特に、分配損または合成損の低減策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力合成分配器は、電力を合成、または分配するために広く用いられる。複数の並列動作させる増幅器へ電力を分配して入力する場合、または増幅器からの電力を合成する場合、並列動作している増幅器の一部が故障すると、故障した増幅器の入出力端でのインピーダンスが変化する。この結果、電力合成分配器の分配損、または合成損が生じる。
【0003】
このような分配損、または合成損を小さくするために、方向性結合器により電力合成分配器を構成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。このような構成の電力合成分配器は、故障した増幅器を取り外し、増幅器を取り外した電力合成分配器の端子を短絡、または開放としている。これにより、開放となる端子の反射電力が方向性結合器の終端抵抗に入力されるため、インピーダンス不整合が生じず、合成損、または分配損を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-150377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来の電力合成分配器は、インピーダンス不整合による合成損、分配損はないが、故障した増幅器を取り外した端子に接続されている方向性結合器の終端抵抗で吸収される電力は損失となる。すなわち、従来の電力合成分配器では、少なくとも終端抵抗で吸収される電力分は、損失になるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、並列動作させる複数の増幅器へ電力を分配する場合、または、複数の増幅器からの電力を合成する場合、複数の増幅器のうちの一部が故障しても、電力合成分配器の分配損、または合成損が最小となる電力合成分配器、および電力合成分配器を用いた送信機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電力合成分配器は、複数の並列接続された第1の分岐側端子と1つの第1の合成側端子が第1の電力合成点を介して接続された第1の分岐回路と、複数の並列接続された第2の分岐側端子と1つの第2の合成側端子が第2の電力合成点を介して接続された第2の分岐回路とを有し、第1の合成側端子と複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、第1の電力合成点から第2の電力合成点までの長さが1/2波長の整数倍であるものである。
また、本発明に係る電力合成分配器は、複数の直列接続された第1の分岐側端子と1つの第1の合成側端子が第1の電力合成点を介して接続された第1の分岐回路と、複数の直列接続された第2の分岐側端子と1つの第2の合成側端子が第2の電力合成点を介して接続された第2の分岐回路とを有し、第1の合成側端子と複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、第1の電力合成点から第2の電力合成点までの長さが1/2波長の整数倍であるものである。
また、本発明に係る電力合成分配器は、複数の直列接続された第1の分岐側端子と1つの第1の合成側端子が第1の電力合成点を介して接続された第1の分岐回路と、複数の並列接続された第2の分岐側端子と1つの第2の合成側端子が第2の電力合成点を介して接続された第2の分岐回路とを有し、第1の合成側端子と複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、第1の電力合成点から第2の電力合成点までの長さが1/4波長の奇数倍であるものである。
さらに、本発明に係る電力合成分配器は、複数の並列接続された第1の分岐側端子と1つの第1の合成側端子が第1の電力合成点を介して接続された第1の分岐回路と、複数の直列接続された第2の分岐側端子と1つの第2の合成側端子が第2の電力合成点を介して接続された第2の分岐回路とを有し、第1の合成側端子と複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、第1の電力合成点から第2の電力合成点までの長さが1/4波長の奇数倍であるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電力合成分配器、および電力合成分配器を用いた送信機によれば、接続される2つの分岐回路の電力合成点間に配置されるインピーダンス変成器の個数や長さに応じて、段間の接続線路長を決定し、このような接続線路を用いて電力合成分配器を構成することにより、並列動作させる複数の増幅器へ電力を分配する場合、または、複数の増幅器からの電力を合成する場合、複数の増幅器のうちの一部が故障しても、電力合成分配器の分配損、または合成損が最小となる電力合成分配器、および電力合成分配器を用いた送信機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における電力合成器の回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1における電力合成器で、第1分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。
【図3】本発明の実施の形態1における電力合成器で、2つの第1分岐側端子に接続されるそれぞれの増幅器が故障した場合の回路図である。
【図4】本発明の実施の形態1における電力合成器で、第1分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。
【図5】本発明の実施の形態2における電力合成器の回路図である。
【図6】本発明の実施の形態2における電力合成器で、第2分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。
【図7】本発明の実施の形態2における電力合成器で、2つの第2分岐側端子に接続されるそれぞれの増幅器が故障した場合の回路図である。
【図8】本発明の実施の形態2における電力合成器で、第2分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。
【図9】本発明の実施の形態3における電力合成器の回路図である。
【図10】本発明の実施の形態3における電力合成器で、第3分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。
【図11】本発明の実施の形態3における電力合成器で、2つの第3分岐側端子に接続されるそれぞれの増幅器が故障した場合の回路図である。
【図12】本発明の実施の形態3における電力合成器で、第3分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。
【図13】本発明の実施の形態4における電力合成器の回路図である。
【図14】本発明の実施の形態4における電力合成器で、第4分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。
【図15】本発明の実施の形態4における電力合成器で、2つの第4分岐側端子に接続されるそれぞれの増幅器が故障した場合の回路図である。
【図16】本発明の実施の形態4における電力合成器で、第4分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。
【図17】本発明の実施の形態5における電力合成器の回路図である。
【図18】本発明の実施の形態5における電力合成器で、第2分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。
【図19】本発明の実施の形態1における電力合成器で、第2分岐側端子と第1分岐側端子とに接続される2つの増幅器が故障した場合の回路図である。
【図20】本発明の実施の形態5における電力合成器で、第2分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。
【図21】本発明の実施の形態6における電力合成器の上面図であり、方形同軸線路を用いた電力合成器である。
【図22】本発明の実施の形態6における電力合成器の図21中のA−A’における断面図である。
【図23】本発明の実施の形態6における電力合成器の図21中のB−B’における断面図である。
【図24】本発明の実施の形態6における方形同軸線路を用いた電力合成器で、入力側同軸線路コネクタに接続する増幅器が故障した場合の入力側同軸線路コネクタの断面図である。
【図25】本発明の実施の形態6における方形同軸線路を用いた電力合成器で、入力側同軸線路コネクタに接続する増幅器が故障した場合の出力側同軸線路コネクタの断面図である。
【図26】本発明の実施の形態7における電力合成器回路図である。
【図27】本発明の実施の形態7における電力合成器で、第1分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。
【図28】本発明の実施の形態7における電力合成器で、第1分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。
【図29】本発明の実施の形態7における直列分岐回路の第1分岐回路と、並列分岐回路の第2分岐回路とを用いて構成された電力合成器の回路図である。
【図30】本発明の電力合成分配器に適用可能な分岐回路の接続構成を示す図である。
【図31】本発明の電力合成分配器に適用可能な並列分岐回路の基本構成を示す図である。
【図32】本発明の電力合成分配器に適用可能な直列分岐回路の基本構成を示す図である。
【図33】本発明の電力合成分配器を、複数台並列動作させた増幅器の入出力端で用いた送信機の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の電力合成分配器および電力合成分配器を用いた送信機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。なお、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。また、以下の実施の形態においては、電力を合成する電力合成器として使用する場合を中心に説明するが、電力を分配する電力分配器として使用することも可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における電力合成器の回路図である。図1に示した本実施の形態1における電力合成器は、第1インピーダンス変成器101、第1接続線路112、122、第1分岐側端子113、114.123、124、133、134、第1合成側端子115、125、135、および第1電力合成点116、126、136を備えている。なお、第1接続線路112、122は、電気長が約1/4波長の奇数倍で構成されている。
【0012】
ここで、図1に示した電力合成器は、3つの第1分岐回路117、127、137を有しており(図1中の点線の円で示した部分に相当)、第1接続線路112、122を介して3つの第1分岐回路117、127、137がトーナメント構成で接続されている。第1分岐回路117は、第1インピーダンス変成器101、第1分岐側端子113、114、第1合成側端子115、および第1電力合成点116で構成されている。
【0013】
また、第1分岐回路127は、第1インピーダンス変成器101、第1分岐側端子123、124、第1合成側端子125、および第1電力合成点126で構成されている。さらに、第1分岐回路137は、第1インピーダンス変成器101、第1分岐側端子133、134、第1合成側端子135、および第1電力合成点136で構成されている。なお、3つの第1分岐回路117、127、137内で用いられている第1インピーダンス変成器101は、インピーダンス開放手段に相当する。
【0014】
また、第1分岐回路117および第1分岐回路127の前段の入力部は、入力端子1、増幅器2、サーキュレータ3、および終端抵抗4を備えて構成されている。
【0015】
ここで、第1分岐側端子113、114、123、124、133、134における入力端子1側のインピーダンスと、第1合成側端子115、125、135における第1電力合成点側のインピーダンスと、第1接続線路112、122のインピーダンスは、同じZ0である。
【0016】
すなわち、第1分岐回路117を例に説明すると、第1インピーダンス変成器101は、第1電力合成点116における、第1分岐側端子113、または第1分岐側端子114側のインピーダンスが、2Z0となるように、下式(1)で表されるインピーダンスZtとなる、電気長が1/4波長の奇数倍の線路で構成されている。したがって、第1電力合成点116と第1電力合成点136間の電気長、および第1電力合成点126と第1電力合成点136間の電気長は1/2波長の整数倍となる。
【0017】
【数1】

【0018】
次に、本発明の実施の形態1に係る電力合成器の動作について説明する。はじめに、本発明の実施の形態1に係る電力合成器に接続される複数の増幅器すべてが、正常動作している場合について考える。それぞれの増幅器の入力端子1に同じ信号が入力され、入力された電力は、電力増幅器2により増幅され、第1分岐側端子113、114、123、124へ、それぞれ振幅位相が同じ信号として入力されたとする。また、第1分岐側端子113、114、123、124でのインピーダンスをZ0とする。
【0019】
第1電力合成点116における第1分岐側端子113側、および第1分岐側端子114側のインピーダンスは、第1インピーダンス変成器101により、それぞれ2Z0となる。したがって、第1合成側端子115における第1電力合成点116側のインピーダンスは、Z0となる。さらに、第1接続線路112のインピーダンスもZ0であることから、第1分岐側端子134における第1分岐回路117側のインピーダンスはZ0となる。
【0020】
第1分岐回路127も第1分岐回路117と同様であることから、第1分岐側端子133、134における第1分岐回路117、127側のインピーダンスはZ0となる。したがって、第1分岐回路137でも第1分岐回路117と同様であることから、第1合成側端子135における、第1電力合成点136側のインピーダンスはZ0となる。また、第1合成側端子135に接続される負荷インピーダンスもZ0である。
【0021】
以上のことから、増幅器の入力端子1に入力された電力は、電力増幅器2により増幅され、インピーダンス不整合による損失なく合成され、第1合成側端子135から出力される。
【0022】
次に、本発明の実施の形態1に係る電力合成分配器に接続される複数の増幅器の内、第1分岐側端子114に接続される増幅器が故障し、第1分岐側端子113、123、124からのみ信号が入力される場合を考える。図2は、本発明の実施の形態1における電力合成器で、第1分岐側端子114に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。この図2は、上述した故障が発生した際に、故障した増幅器を電力合成器から取り外し、第1分岐側端子114が短絡となるように終端した状態を示している。
【0023】
第1分岐回路127に接続される増幅器は、正常動作時と同様であるため、第1分岐側端子133における第1分岐回路127側のインピーダンスは、Z0となる。
【0024】
第1インピーダンス変成器101の電気長は、1/4波長の奇数倍であることから、第1電力合成点116における第1分岐側端子114側のインピーダンスは、開放となる。一方、第1電力合成点116における第1分岐側端子113側のインピーダンスは、第1インピーダンス変成器101により2Z0となる。したがって、第1合成側端子115における第1電力合成点116側のインピーダンスは、2Z0となる。
【0025】
第1接続線路112は、インピーダンスがZ0で電気長1/4の奇数倍である。従って、第1接続線路112は、インピーダンス変成器として動作し、第1分岐側端子134における第1接続線路112側のインピーダンスは、Z0/2となる。そして、第1インピーダンス変成器101によりインピーダンス変成されるため、第1電力合成点136における第1分岐側端子134側のインピーダンスは4Z0となる。
【0026】
つまり、第1電力合成点136における第1分岐側端子133側のインピーダンスは、2Z0であり、第1電力合成点136における第1分岐側端子134側のインピーダンスは4Z0となる。したがって、第1分岐回路137は、第1分岐側端子133側からの電力と第1分岐側端子134側からの電力の比が2対1で合成する場合に、インピーダンス不整合なく合成する第1分岐回路となっている。
【0027】
一方、第1分岐側端子134側から入力される信号は、第1分岐側端子113に接続された増幅器からの電力のみであり、第1分岐側端子133側から入力される信号は、第1分岐側端子123、124に接続された2つの増幅器からの合成電力である。このことから、第1分岐側端子133側からの電力と第1分岐側端子134側からの電力との比は、2対1となっている。この結果、電力合成器内でのインピーダンス不整合による損失なく合成され、第1合成側端子135から出力される。
【0028】
以上のように、実施の形態1の電力合成器によれば、並列動作している増幅器が正常動作している場合には、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく電力を合成できる。さらに、並列動作している増幅器の一部が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されている第1分岐側端子を短絡することで、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく、合成することができる。
【0029】
なお、本実施の形態1では、第1インピーダンス線路は、上式(1)で表されるインピーダンスを有する、電気長が1/4波長の奇数倍の線路とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、1/4波長を直列に多段接続したインピーダンス変成器、テーパ線路を用いたインピーダンス変成器等、増幅器が正常動作している場合に、第1分岐回路117、127、137でのインピーダンス整合が実現できるインピーダンス変成器であって、第1接続線路の長さは、第1電力合成点116と第1電力合成点136間の電気長、および第1電力合成点126と第1電力合成点136間の電気長は1/2波長の整数倍となるように決定してもよい。
【0030】
また、本実施の形態1では、第1分岐側端子114に接続された増幅器のみが故障した場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数の第1分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されていた端子を短絡することで、同様の効果が得られる。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態1における電力合成器で、第1分岐側端子114と第1分岐側端子123とに接続される2つの増幅器が故障した場合の回路図である。この図3は、上述した故障が発生した際に、故障した2つの増幅器の両方とも電力合成器から取り外し、第1分岐側端子114および第1分岐側端子123が短絡となるように終端した状態を示している。このように、2つ以上の増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続される第1分岐側端子のそれぞれを短絡することで、同様の効果が得られる。
【0032】
また、本実施の形態1では、並列接続する増幅器の正常動作時、第1分岐側端子113、114、123、124、133、134、および第1合成側端子135に接続される回路のインピーダンスは、すべて同じとした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、それぞれの負荷インピーダンスは、任意の値でよい。ただし、電力合成器内の回路は、並列接続する増幅器の正常動作時には、インピーダンス不整合が生じないような値に設計する。
【0033】
また、本実施の形態1では、第1分岐回路を3つトーナメント接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第1分岐回路を2−1(nは自然数)個トーナメント接続、または直列接続するなど、2つの第1分岐回路間を第1接続線路により接続する構成であればよい。
【0034】
また、本実施の形態1では、第1分岐側端子を2つ、第1合成側端子を1つ有する第1分岐回路117、127、137をトーナメント接続することにより構成した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第1分岐回路の一部、または、すべてを第1分岐側端子がK個(Kは2以上の整数)、第1合成側端子を1個有する第1分岐回路により構成してもよい。
【0035】
また、本実施の形態1では、第1分岐側端子114に接続された増幅器が故障した場合に、第1分岐側端子114を短絡した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第1分岐側端子114に先端が開放された電気長が1/4波長の線路、または、先端が短絡された電気長が1/2波長の整数倍の線路等、第1電力合成点116における第1分岐側端子114側のインピーダンスが開放となるように、増幅器が故障した第1分岐側端子114を終端すればよい。
【0036】
また、本実施の形態1では、第1分岐側端子114に接続された増幅器が故障した場合、第1合成側端子135のインピーダンスは、第1電力合成点136における第1分岐側端子133側のインピーダンス2Z0と、第1電力合成点136における第1分岐側端子134側のインピーダンス4Z0とが並列接続されているため、4/3Z0となる。
【0037】
一方、第1合成側端子135に接続される負荷インピーダンスは、Z0となるため、第1合成側端子135でインピーダンス不整合が生じ、反射損が生じる。図4は、本発明の実施の形態1における電力合成器で、第1分岐側端子114に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。この図4に示すように、電気長1/4波長の奇数倍で、下式(2)のインピーダンスの線路である第1整合用インピーダンス変成器111を第1合成側端子135に接続するなど、第1合成側端子135でのインピーダンス整合を実現することで、反射損を0にできる。
【0038】
【数2】

【0039】
また、先の図4に示すように、4台中1台の増幅器が故障した場合には、上式(2)となるが、M個(Mは、2以上の整数)の増幅器を並列動作させる際に、N個(Nは、1以上M未満の整数)の増幅器が正常に動作し、(M−N)個の増幅器で故障が発生した場合には、下式(3)のインピーダンスの線路である第1整合用インピーダンス変成器111を第1合成側端子135に接続するなど、第1合成側端子135でのインピーダンス整合を実現することで、反射損を0にできる。
【0040】
【数3】

【0041】
なお、図4では、第1整合用インピーダンス変成器111を第1電力合成点136へ接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、反射損が0となるようなインピーダンスとして、第1整合用インピーダンス変成器111を第1分岐側端子113、114、123、124とサーキュレータ3との間に接続してもよい。この場合の各第1整合用インピーダンス変成器111は、M個(Mは、2以上の整数)の増幅器を並列動作させる際に、N個(Nは、1以上M未満の整数)の増幅器が正常に動作し、(M−N)個の増幅器で故障が発生したとすると、下式(4)のインピーダンスの線路として与えられる。
【0042】
【数4】

【0043】
また、本実施の形態1では、第1整合用インピーダンス変成器111を電気長1/4波長の奇数倍で、上式(2)のインピーダンスの線路であるインピーダンス変成器とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、短絡した第1分岐側端子に応じて、第1合成側端子135でのインピーダンス不整合を整合させるインピーダンス変成器を接続することで、同様の効果が得られる。
【0044】
また、本実施の形態1では、複数の並列動作させる増幅器の電力を合成する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数のアンテナからの電力を合成する場合にも、同様の効果が得られる。また、本実施の形態1では、電力を合成する電力合成器として説明したが、電力を分配する電力分配器として使用した場合にも、同様の効果が得られる。
【0045】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2における電力合成器の回路図である。図5に示した本実施の形態2における電力合成器は、第2インピーダンス変成器201、第2接続線路212、222、第2分岐側端子213、214.223、224、233、234、第2合成側端子215、225、235、および第2電力合成点216、226、236を備えている。なお、第2接続線路212、222は、電気長が約1/4波長の奇数倍で構成されている。
【0046】
ここで、図5に示した電力合成器は、3つの第2分岐回路217、227、237を有しており(図5中の点線の円で示した部分に相当)、第2接続線路212、222を介して3つの第2分岐回路217、227、237がトーナメント構成で接続されている。第2分岐回路217は、第2インピーダンス変成器201、第2分岐側端子213、214、第2合成側端子215、および第2電力合成点216で構成されている。
【0047】
また、第2分岐回路227は、第2インピーダンス変成器221、第2分岐側端子223、224、第2合成側端子225、および第2電力合成点226で構成されている。さらに、第2分岐回路237は、第2インピーダンス変成器231、第2分岐側端子233、234、第2合成側端子235、および第2電力合成点236で構成されている。なお、3つの第2分岐回路217、227、237内で用いられている第2インピーダンス変成器201は、インピーダンス開放手段に相当する。
【0048】
また、第2分岐回路217および第2分岐回路227の前段の入力部は、入力端子1、増幅器2、サーキュレータ3、および終端抵抗4を備えて構成されている。
【0049】
ここで、第2分岐側端子213、214、223、224、233、234における入力端子1側のインピーダンスと、第2合成側端子215、225、235における第2電力合成点側のインピーダンスと、第2接続線路212、222のインピーダンスは、同じZ0である。
【0050】
すなわち、第2分岐回路217を例に説明すると、第2インピーダンス変成器201は、第2合成側端子215における第2電力合成点226側のインピーダンスが、Z0となるように、下式(5)で表されるインピーダンスZt2となる、電気長が1/4波長の奇数倍の線路で構成されている。したがって、第2接続線路の長さは、第2電力合成点216と第2電力合成点236間の電気長、および第2電力合成点226と第2電力合成点236間の電気長は1/2波長の整数倍となる。
【0051】
【数5】

【0052】
次に、本発明の実施の形態2に係る電力合成器の動作について説明する。はじめに、本発明の実施の形態2に係る電力合成器に接続される複数の増幅器すべてが、正常動作している場合について考える。それぞれの増幅器の入力端子1に同じ信号が入力され、入力された電力は、電力増幅器2により増幅され、第2分岐側端子213、214、223、224へ、それぞれ振幅位相が同じ信号として入力されたとする。
【0053】
ここで、第2分岐側端子213、214、223、224でのインピーダンスは、Z0であるとする。そして、第2分岐側端子213、第2分岐側端子214に入力された信号は、第2電力合成点216に入力される。
【0054】
第2電力合成点216における第2分岐側端子213側と第2分岐側端子214側の合成インピーダンスは、並列接続される第2分岐側端子213と第2分岐側端子214におけるインピーダンスがそれぞれZ0であるから、Z0/2である。第2合成側端子215から第2インピーダンス変成器201側のインピーダンスは、第2インピーダンス変成器201よりインピーダンス変成され、Z0となる。
【0055】
第2分岐回路227も第2分岐回路217と同様である。また、第2接続線路212と222のインピーダンスはZ0であることから、第2分岐側端子233における第2接続線路222側のインピーダンス、および第2分岐側端子234における第2接続線路212側のインピーダンスは、ともにZ0となる。したがって、第2分岐回路237内におけるインピーダンスも、第2分岐回路217、227と同様となり、第2合成側端子235における第2電力合成点236側のインピーダンスはZ0となる。また、第2合成側端子235に接続される負荷インピーダンスもZ0である。
【0056】
以上のことから、増幅器の入力端子1に入力された信号は、電力増幅器2により増幅され、第2分岐側端子213、214、223、224へ入力され、電力合成器内のインピーダンス不整合による損失なく合成され、第2合成側端子235から出力される。
【0057】
次に、本発明の実施の形態2に係る電力合成器に接続される複数の増幅器の内、第2分岐側端子214に接続される増幅器が故障し、第2分岐側端子213、223、224からのみ信号が入力される場合を考える。図6は、本発明の実施の形態2における電力合成器で、第2分岐側端子214に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。この図6は、上述した故障が発生した際に、故障した増幅器を取り除き、第2分岐側端子214に、片側が短絡され、インピーダンスがZ0で、電気長が1/4波長の奇数倍の第2終端線路218で終端した状態を示している。なお、第2終端線路218は、インピーダンス開放手段に相当する。
【0058】
第2分岐回路227に接続される増幅器は、正常動作時と同様であるため、第2合成側端子225のインピーダンスは、Z0となる。第2接続線路222のインピーダンスと第2合成側端子225のインピーダンスは、ともにZ0であるため、第2分岐側端子233のインピーダンスは、Z0となる。したがって、第2電力合成点236における第2分岐側端子233側のインピーダンスは、Z0となる。
【0059】
第2終端線路218の電気長は、1/4波長の奇数倍であることから、第2電力合成点216における第2分岐側端子214側のインピーダンスは、開放となる。一方、第2電力合成点216における第2分岐側端子213側のインピーダンスは、Z0となる。したがって、第2電力合成点216のインピーダンスは、Z0となる。そして、第2インピーダンス変成器201によりインピーダンス変成されるため、第2合成側端子215における第2電力合成点216側のインピーダンスは、Z0/2となる。
【0060】
第2接続線路212は、インピーダンスがZ0で電気長1/4の奇数倍であることから、第2接続線路212は、インピーダンス変成器として動作し、第2分岐側端子234のインピーダンスは、2Z0となる。
【0061】
つまり、第2電力合成点236における第2分岐側端子233側のインピーダンスは、Z0であり、第2電力合成点236における第2分岐側端子234側のインピーダンスは、2Z0となる。したがって、第2分岐回路237は、第2分岐側端子233側からの電力と第2分岐側端子234側からの電力の比が、2対1で合成する分岐回路となっている。
【0062】
一方、第2分岐側端子234側から入力される信号は、第2分岐側端子213に接続された増幅器からの電力であり、第2分岐側端子233側から入力される信号は、第2分岐側端子223、224に接続された2つの増幅器からの合成電力である。このことから、第2分岐側端子233側からの電力と第2分岐側端子234側からの電力との比は、2対1となっている。この結果、電力合成器内でのインピーダンス不整合による損失なく合成され、第2合成側端子235から出力される。
【0063】
以上のように、実施の形態2の電力合成器によれば、並列動作している増幅器が正常動作している場合には、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく電力を合成できる。さらに、並列動作している増幅器の一部が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されている第2分岐側端子を終端線路により終端することで、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく、合成することができる。
【0064】
なお、本実施の形態2では、第2インピーダンス線路は、上式(2)で表されるインピーダンスを有する、電気長が1/4波長の奇数倍の線路とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、1/4波長を直列に多段接続したインピーダンス変成器、テーパ線路を用いたインピーダンス変成器等、増幅器が正常動作している場合に、第2分岐回路217、227、237でのインピーダンス整合が実現できるインピーダンス変成器であって、第2接続線路の長さは、第2電力合成点216と第2電力合成点236間の電気長、および第2電力合成点226と第2電力合成点236間の電気長は1/2波長の整数倍となるように決定してもよい。
【0065】
また、本実施の形態2では、第2分岐側端子214に接続された増幅器のみが故障した場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数の第2分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されていた端子を第2終端線路218により終端することで、同様の効果が得られる。
【0066】
図7は、本発明の実施の形態2における電力合成器で、第2分岐側端子214と第2分岐側端子223とに接続される2つの増幅器が故障した場合の回路図である。この図7は、上述した故障が発生した際に、故障した2つの増幅器の両方とも電力合成器から取り外し、第2分岐側端子214および第2分岐側端子223を第2終端線路218により終端した状態を示している。このように、2つ以上の増幅器が故障した場合にも、それぞれ故障した増幅器が接続される第2分岐側端子を第2終端線路218で終端することで、同様の効果が得られる。
【0067】
また、本実施の形態2では、並列接続する増幅器の正常動作時、第2分岐側端子213、214、223、224、233、234、および第2合成側端子235に接続される回路のインピーダンスは、すべて同じとした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、それぞれの負荷インピーダンスは、任意の値でよい。ただし、電力合成器内の回路は、並列接続する増幅器の正常動作時には、インピーダンス不整合が生じないような値に設計する。
【0068】
また、本実施の形態2では、第2分岐回路を3つトーナメント接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第2分岐回路を2−1(nは自然数)個トーナメント接続、または直列接続するなど、2つの第2分岐回路間を第2接続線路により接続する構成であればよい。
【0069】
また、本実施の形態2では、第2分岐側端子を2つ、第2合成側端子を1つ有する第2分岐回路217、227、237をトーナメント接続することにより構成した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第2分岐回路の一部、または、すべてを第2分岐側端子がK個(Kは2以上の整数)、第2合成側端子を1個有する第2分岐回路により構成してもよい。
【0070】
また、本実施の形態2では、第2分岐側端子214に接続された増幅器が故障した場合に、先端が短絡された電気長が1/4波長の奇数倍である第2終端線路218で第2分岐側端子214を終端した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第2分岐側端子214に先端が開放された電気長が1/2波長の整数倍の線路等、第2電力合成点216から第2分岐側端子214側のインピーダンスが無限大となるように、増幅器が故障した第2分岐側端子214を全反射終端すればよい。
【0071】
また、本実施の形態2では、第2分岐側端子214に接続された増幅器が故障した場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第2分岐側端子214以外の端子に接続された増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続される第2分岐側端子のそれぞれを第2終端線路により終端することで、同様の効果が得られる。
【0072】
また、本実施の形態2では、第2分岐側端子214に接続された増幅器が故障した場合、第2合成側端子235のインピーダンスは、第2電力合成点236における第2分岐側端子233側のインピーダンスZ0と、第2電力合成点236における第2分岐側端子234側のインピーダンスZ0/2とが並列接続されているため、2/3Z0となる。
【0073】
そして、第2インピーダンス変成器201によりインピーダンス変成され、第2合成側端子235における第2インピーダンス変成器側のインピーダンスは、3/4Z0となる。
【0074】
一方、第2合成側端子235に接続される負荷インピーダンスは、Z0であることから、第2合成側端子235でインピーダンス不整合が生じ、反射損が生じる。図8は、本発明の実施の形態2における電力合成器で、第2分岐側端子214に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。この図8に示すように、電気長1/4波長の奇数倍で、下式(6)のインピーダンスの線路である第2整合用インピーダンス変成器211を第2合成側端子235に接続し、第2合成側端子235でインピーダンス整合することで、反射損を0にできる。
【0075】
【数6】

【0076】
また、先の図8に示すように、4台中1台の増幅器が故障した場合には、上式(6)となるが、M個(Mは、2以上の整数)の増幅器を並列動作させる際に、N個(Nは、1以上M未満の整数)の増幅器が正常に動作し、(M−N)個の増幅器で故障が発生した場合には、下式(7)のインピーダンスの線路である第2整合用インピーダンス変成器211を第2合成側端子235に接続し、第2合成側端子235でのインピーダンス整合を実現することで、反射損を0にできる。
【0077】
【数7】

【0078】
なお、図8では、第2整合用インピーダンス変成器211を第2電力合成点236へ接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、反射損が0となるようなインピーダンスとして、第2整合用インピーダンス変成器211を第2分岐側端子213、214、223、224とサーキュレータ3の間に接続してもよい。この場合の各第2整合用インピーダンス変成器211は、M個(Mは、2以上の整数)の増幅器を並列動作させる際に、N個(Nは、1以上M未満の整数)の増幅器が正常に動作し、(M−N)個の増幅器で故障が発生したとすると、下式(8)のインピーダンスの線路として与えられる。
【0079】
【数8】

【0080】
また、本実施の形態2では、第2整合用インピーダンス変成器211を電気長1/4波長の奇数倍で、上式(6)のインピーダンスの線路であるインピーダンス変成器とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第2合成側端子235でのインピーダンス不整合を整合させるインピーダンス変成器を接続することで、同様の効果が得られる。または、第2合成側端子235でのインピーダンス不整合を整合させるように、第2インピーダンス変成器のインピーダンスや、第2接続線路のインピーダンスを変更することによっても、同様の効果が得られる。
【0081】
また、本実施の形態2では、複数の並列動作させた増幅器からの電力を合成する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数のアンテナからの電力を合成する場合にも、同様の効果が得られる。また、本実施の形態2では、電力を合成する電力合成器として説明したが、電力を分配する電力分配器として使用した場合にも、同様の効果が得られる。
【0082】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3における電力合成器の回路図である。図9に示した本実施の形態3における電力合成器は、第3接続線路312、322、第3分岐側端子313、314.323、324、333、334、第3合成側端子315、325、335、および第3電力合成点316、326、336を備えている。なお、第3接続線路312、322は、電気長が約1/2波長の整数倍で構成されている。
【0083】
ここで、図9に示した電力合成器は、3つの第3分岐回路317、327、337を有しており(図9中の点線の円で示した部分に相当)、第3接続線路312、322を介して3つの第3分岐回路317、327、337がトーナメント構成で接続されている。第3分岐回路317は、第3分岐側端子313、314、第3合成側端子315、および第3電力合成点316で構成されている。
【0084】
また、第3分岐回路327は、第3分岐側端子323、324、第3合成側端子325、および第3電力合成点326で構成されている。さらに、第3分岐回路337は、第3分岐側端子333、334、第3合成側端子335、および第3電力合成点336で構成されている。
【0085】
また、第3分岐回路317および第3分岐回路327の前段の入力部は、入力端子1、増幅器2、サーキュレータ3、および終端抵抗4を備えて構成されている。ここで、終端抵抗4のインピーダンスは、4Z0である。
【0086】
ここで、第3合成側端子での負荷インピーダンスをZ0とすると、第3接続線路312、322のインピーダンスは、2Z0であり、第3分岐側端子313、314、323、324のインピーダンスは、4Z0である。
【0087】
次に、本発明の実施の形態3に係る電力合成器の動作について説明する。はじめに、本発明の実施の形態3に係る電力合成器に接続される複数の増幅器すべてが、正常動作している場合について考える。それぞれの増幅器の入力端子1に同じ信号が入力され、入力された電力は、電力増幅器2により増幅され、第3分岐側端子313、314、323、324へ、それぞれ振幅位相が同じ信号として入力されたとする。
【0088】
また、第3分岐側端子313、314、323、324でのインピーダンスは、4Z0であるとする。この場合、第3電力合成点316における第3分岐側端子313と314側の合成インピーダンスは、インピーダンス4Z0が並列接続されているため、2Z0となる。第3分岐回路327も第3分岐回路317と同様であり、第3合成側端子325における第3電力合成点326側のインピーダンスは、2Z0となる。
【0089】
したがって、第3電力合成点336には、第3分岐側端子333、334側のインピーダンス2Z0が並列接続されていることから、第3電力合成点336における第3分岐側端子333、334側の合成インピーダンスは、Z0となる。ここで、第3合成側端子335に接続される負荷インピーダンスは、Z0である。このことから、増幅器の入力端子1に入力された電力は、電力増幅器2により増幅され、電力合成器内のインピーダンス不整合による損失なく合成され、第3合成側端子335から出力される。
【0090】
次に、本発明の実施の形態3に係る電力合成器に接続される複数の増幅器の内、第3分岐側端子313に接続される増幅器が故障し、第3分岐側端子314、323、324からのみ信号が入力される場合を考える。図10は、本発明の実施の形態3における電力合成器で、第3分岐側端子213に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。この図10は、上述した故障が発生した際に、故障した増幅器を取り除き、第3分岐側端子313に、先端が短絡され、インピーダンスが4Z0で、電気長が1/4波長の奇数倍である第3終端線路318で終端した状態を示している。なお、第3終端線路318は、インピーダンス開放手段に相当する。
【0091】
第3分岐回路327に接続される増幅器は、正常動作時と同様であるため、第3合成側端子325のインピーダンスは、2Z0となる。第3接続線路322のインピーダンスと第3合成側端子325のインピーダンスは、ともに2Z0であるため、第3分岐側端子334のインピーダンスは、2Z0となる。したがって、第3電力合成点336における第3分岐側端子334側のインピーダンスは、2Z0となる。
【0092】
第3終端線路318の電気長は、1/4波長の奇数倍であることから、第3電力合成点316における第3分岐側端子313側のインピーダンスは、開放となる。一方、第3電力合成点316における第3分岐側端子314側のインピーダンスは、4Z0となる。したがって、第3合成側端子315における第3電力合成点側のインピーダンスは、4Z0となる。
【0093】
第3接続線路312は、電気長1/2の整数倍であることから、第3電力合成点336における第3分岐側端子333側のインピーダンスは、4Z0となる。
【0094】
つまり、第3電力合成点336における第3分岐側端子333側のインピーダンスは、4Z0であり、第3電力合成点336における第3分岐側端子334側のインピーダンスは、2Z0となる。したがって、第3分岐回路337は、第3分岐側端子333側からの電力と第3分岐側端子334側からの電力の比が、1対2で合成する分岐回路となっている。
【0095】
一方、第3分岐側端子333側から入力される電力は、第3分岐側端子313に接続された増幅器からの電力であり、第3分岐側端子334側から入力される信号は、第3分岐側端子323、324に接続された2つの増幅器からの合成電力である。このことから、第3分岐側端子333側からの電力と第3分岐側端子334側からの電力の比は、1対2となっている。この結果、電力合成器内でのインピーダンス不整合による損失なく合成され、第3合成側端子335から出力される。
【0096】
以上のように、実施の形態3の電力合成器によれば、並列動作している増幅器が正常動作している場合には、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく電力を合成できる。さらに、並列動作している増幅器の一部が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されている第3分岐側端子を終端線路により終端することで、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく、合成することができる。
【0097】
また、実施の形態3では、第3分岐側端子313に接続された増幅器のみが故障した場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数の第1分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されていた第3分岐側端子を第3終端線路318により終端することで、同様の効果が得られる。
【0098】
図11は、本発明の実施の形態3における電力合成器で、第3分岐側端子313と第3分岐側端子324とに接続される2つの増幅器が故障した場合の回路図である。この図11は、上述した故障が発生した際に、故障した2つの増幅器の両方とも電力合成器から取り外し、第3分岐側端子313および第3分岐側端子324を第3終端線路318により終端した状態を示している。このように、2つ以上の増幅器が故障した場合にも、それぞれ故障した増幅器が接続される第3分岐側端子を第3終端線路318で終端することで、同様の効果が得られる。
【0099】
また、本実施の形態3では、並列接続する増幅器の正常動作時、第3分岐側端子313、314、323、324、333、334に接続される負荷インピーダンスを4Z0、第3合成側端子335に接続される負荷インピーダンスをZ0とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、それぞれの負荷インピーダンスは、任意の値でよい。ただし、電力合成器内の回路は、並列接続する増幅器の正常動作時には、インピーダンス不整合が生じないような値に設計する。
【0100】
また、本実施の形態3では、第3分岐回路を3つトーナメント接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、2つの第3分岐回路間を第3接続線路により接続する構成であればよい。例えば、第3分岐回路を2−1(nは自然数)個トーナメント接続する構成や、直列接続する構成でもよい。
【0101】
また、本実施の形態3では、第3分岐側端子を2つ、第3合成側端子を1つ有する第3分岐回路317、327、337をトーナメント接続することにより構成した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第3分岐回路の一部、または、すべてを第3分岐側端子がK個(Kは2以上の整数)、第3合成側端子を1個有する第3分岐回路により構成してもよい。
【0102】
また、本実施の形態3では、第3分岐側端子313に接続された増幅器が故障した場合に、先端が短絡された電気長が1/4波長の奇数倍である第3終端線路318で第3分岐側端子313を終端した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第3分岐側端子313に先端が開放された電気長が1/2波長の整数倍の線路等、第3電力合成点316から第3分岐側端子313側のインピーダンスが無限大となるように、増幅器が故障した第3分岐側端子313を全反射終端すればよい。
【0103】
また、本実施の形態3では、第3分岐側端子313に接続された増幅器が故障した場合について述べた。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第3分岐側端子313以外の端子に接続された増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続される第3分岐側端子のそれぞれを第3終端線路により終端することで、同様の効果が得られる。
【0104】
また、本実施の形態3では、第3分岐側端子313に接続された増幅器が故障した場合、第3合成側端子335におけるインピーダンスは、第3電力合成点336における第3分岐側端子333側のインピーダンス4Z0と、第3電力合成点336における第3分岐側端子334側のインピーダンス2Z0とが並列接続されているため、4/3Z0となる。
【0105】
一方、第3合成側端子335に接続される負荷インピーダンスは、Z0となるため、第3合成側端子335でインピーダンス不整合が生じ、反射損が生じる。図12は、本発明の実施の形態3における電力合成器で、第3分岐側端子313に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。この図12に示すように、電気長1/4波長の奇数倍で、上式(2)のインピーダンスの線路である第3整合用インピーダンス変成器311を第3合成側端子335に接続し、第3合成側端子335でインピーダンス整合することで、反射損を0にできる。
【0106】
なお、図12では、第3整合用インピーダンス変成器311を第3電力合成点336へ接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、反射損が0となるようなインピーダンスとして、第3整合用インピーダンス変成器311を第3分岐側端子313、314、323、324とサーキュレータ3の間に接続してもよい。
【0107】
また、本実施の形態3では、第3整合用インピーダンス変成器311を電気長1/4波長の奇数倍で、上式(2)のインピーダンスの線路であるインピーダンス変成器とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第3合成側端子335でのインピーダンス不整合を整合させるインピーダンス変成器を接続することで、同様の効果が得られる。または、第3合成側端子335でのインピーダンス不整合を整合させるように、第3インピーダンス変成器のインピーダンスや、第3接続線路のインピーダンスを変更することによっても、同様の効果が得られる。
【0108】
また、本実施の形態3では、複数の並列動作させた増幅器からの電力を合成する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数のアンテナからの電力を合成する場合にも、同様の効果が得られる。また、本実施の形態3では、電力を合成する電力合成器として説明したが、電力を分配する電力分配器として使用した場合にも、同様の効果が得られる。
【0109】
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4における電力合成器の回路図である。図13に示した本実施の形態4における電力合成器は、第4インピーダンス変成器401、第5インピーダンス変成器402、第4接続線路412、422、第4分岐側端子413、414.423、424、433、434、第4合成側端子415、425、435、および第4電力合成点416、426、436を備えている。なお、第4接続線路412、422は、電気長が約1/2波長の整数倍で構成されている。
【0110】
ここで、図13に示した電力合成器は、3つの第4分岐回路417、427、437を有しており(図13中の点線の円で示した部分に相当)、第4接続線路412、422を介して3つの第4分岐回路417、427、437がトーナメント構成で接続されている。第4分岐回路417は、第4インピーダンス変成器401、第5インピーダンス変成器402、第4分岐側端子413、414、第4合成側端子415、および第4電力合成点416で構成されている。
【0111】
また、第4分岐回路427は、第4インピーダンス変成器401、第5インピーダンス変成器402、第4分岐側端子423、424、第4合成側端子425、および第4電力合成点426で構成されている。さらに、第4分岐回路437は、第4インピーダンス変成器401、第5インピーダンス変成器402、第4分岐側端子433、434、第4合成側端子435、および第4電力合成点436で構成されている。なお、3つの第4分岐回路417、427、437内で用いられている第4インピーダンス変成器401および第5インピーダンス変成器402は、インピーダンス開放手段に相当する。
【0112】
また、第2分岐回路217および第2分岐回路227の前段の入力部は、入力端子1、増幅器2、サーキュレータ3、および終端抵抗4を備えて構成されている。
【0113】
ここで、第4分岐側端子413、414、423、424、433、434における入力端子1側のインピーダンスと、第4合成側端子435に接続される負荷インピーダンスと、第4接続線路412、422のインピーダンスは、同じZ0とする。
【0114】
すなわち、第4インピーダンス変成器401を、電気長1/4の奇数倍のインピーダンスがaZ0(a>0の任意定数)の線路とすると、第4合成側端子415、425、435におけるそれぞれ第4電力合成点416、426、436側のインピーダンスがZ0となるように、第5インピーダンス変成器は、インピーダンスが下式(9)で表される、電気長が1/4波長の奇数倍の線路である。したがって、第4電力合成点416と第4電力合成点436間の電気長、および第4電力合成点426と第4電力合成点436間の電気長は1/2波長の整数倍となる。
【0115】
【数9】

【0116】
次に、本発明の実施の形態4に係る電力合成器の動作について説明する。はじめに、本発明の実施の形態4に係る電力合成器に接続される複数の増幅器すべてが、正常動作している場合について考える。それぞれの増幅器の入力端子1に同じ信号が入力され、入力された電力は、電力増幅器2により増幅され、第4分岐側端子413、414、423、424へ、それぞれ振幅位相が同じ信号として入力されたとする。
【0117】
第4分岐側端子413、414、423、424に接続される負荷インピーダンスは、Z0である。第4電力合成点416における第4分岐側端子413、414側のインピーダンスは、第4分岐側端子413、414に接続される負荷インピーダンスが第4インピーダンス変成器401でそれぞれ変成されるため、それぞれaZ0となる。したがって、第4電力合成点416における第4分岐側端子413、414側の合成インピーダンスは、aZ0が並列接続されているため、aZ0/2となる。
【0118】
第4合成側端子415における第4電力合成点416側のインピーダンスは、第4電力合成点416でのインピーダンスaZ0/2が第5インピーダンス変成器402によりインピーダンス変成されるため、Z0となる。
【0119】
一方、第4合成側端子415に接続される第4接続線路412のインピーダンスは、Z0である。また、第4合成側端子415における第4電力合成点416側のインピーダンスは、Z0であり、第4接続線路412のインピーダンスは、Z0であることから、第4分岐側端子433における第4接続線路412側のインピーダンスは、Z0となる。
【0120】
第4分岐回路417の動作と、第4分岐回路427の動作は、同じであることから、第4分岐側端子434における第4接続線路422側のインピーダンスも、Z0となる。また、第4分岐回路417の動作と、第4分岐回路437の動作は、同じであることから、第4合成側端子435における第4電力合成点436側のインピーダンスも、Z0となる。
【0121】
以上のことから、増幅器の入力端子1に入力された信号は、電力増幅器2により増幅され、第4分岐側端子413、414、423、424へ入力され、電力合成器内のインピーダンス不整合による損失なく合成され、第4合成側端子435から出力される。
【0122】
次に、本発明の実施の形態4に係る電力合成器に接続される複数の増幅器の内、第4分岐側端子413に接続される増幅器が故障し、第4分岐側端子414、423、424からのみ信号が入力される場合を考える。図14は、本発明の実施の形態4における電力合成器で、第4分岐側端子413に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。この図14は、上述した故障が発生した際に、故障した増幅器を電力合成器から取り外し、第4分岐側端子413を短絡した状態を示している。
【0123】
第4分岐回路427に接続される増幅器は、正常動作時と同様であるため、第4電力合成点436における第4分岐側端子434側のインピーダンスは、aZ0となる。
【0124】
第4分岐側端子413は、短絡されることから、第4電力合成点416における第4分岐側端子413側のインピーダンスは、開放となる。一方、第4電力合成点416から第4分岐側端子414側のインピーダンスは、aZ0となる。したがって、第4電力合成点416における第4分岐側端子413、414側の合成インピーダンスは、aZ0となる。
【0125】
そして、第4電力合成点416における第4分岐側端子413、414側の合成インピーダンスaZ0が、第5インピーダンス変成器402によりインピーダンス変成されるため、第4合成側端子415における第4電力合成点416側のインピーダンスは、Z0/2となる。
【0126】
第4接続線路412は、インピーダンスがZ0で電気長1/2の整数倍である。したがって、第4分岐側端子433における第4分岐回路417側のインピーダンスは、Z0/2となる。そして、第4分岐側端子433における第4分岐回路417側のインピーダンスZ0/2は、第4インピーダンス変成器401によりインピーダンス変成されるため、第4電力合成点436における、第4分岐側端子433側のインピーダンスは、2aZ0となる。
【0127】
つまり、第4電力合成点436における第4分岐側端子433側のインピーダンスは、2aZ0であり、第4電力合成点436における第4分岐側端子434側のインピーダンスは、aZ0となる。したがって、第4分岐回路437は、第4分岐側端子433側からの電力と第4分岐側端子434側からの電力の比が1対2で合成する場合に、インピーダンス不整合なく合成する分岐回路となっている。
【0128】
一方、第4分岐側端子433側から入力される信号は、第4分岐側端子414に接続された増幅器からの電力のみであり、第4分岐側端子434側から入力される信号は、第4分岐側端子423、424に接続された2つの増幅器からの合成電力である。このことから、第4分岐側端子433側からの電力と第4分岐側端子434側からの電力との比は、1対2となっている。この結果、電力合成器内でのインピーダンス不整合による損失なく合成され、第4合成側端子435から出力される。
【0129】
以上のように、実施の形態4の電力合成器によれば、並列動作している増幅器が正常動作している場合には、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく電力を合成できる。さらに、並列動作している増幅器の一部が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されている第4分岐側端子を短絡することで、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく、合成することができる。
【0130】
なお、本実施の形態4では、第4インピーダンス線路はaZ0,第5インピーダンス線路は上式(9)で表されるインピーダンスを有する、電気長が1/4波長の奇数倍の線路とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、インピーダンスが異なる1/4波長を直列に多段接続したインピーダンス変成器、テーパ線路を用いたインピーダンス変成器等、増幅器が正常動作している場合に、第4分岐回路417、427、437でのインピーダンス整合が実現できるインピーダンス変成器であって、第4接続線路の長さは、第4電力合成点416と第4電力合成点436間の電気長、および第4電力合成点426と第4電力合成点436間の電気長は1/2波長の整数倍となるように決定してもよい。
【0131】
また、本実施の形態4では、第4分岐側端子414に接続された増幅器のみが故障した場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数の第4分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されていた端子を短絡することで、同様の効果が得られる。
【0132】
図15は、本発明の実施の形態4における電力合成器で、第4分岐側端子413と第4分岐側端子424とに接続される2つの増幅器が故障した場合の回路図である。この図15は、上述した故障が発生した際に、故障した2つの増幅器の両方とも電力合成器から取り外し、第4分岐側端子413および第4分岐側端子424が短絡となるように終端した状態を示している。このように、2つ以上の増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続される第4分岐側端子のそれぞれを短絡することで、同様の効果が得られる。
【0133】
また、本実施の形態4では、並列接続する増幅器の正常動作時、第4分岐側端子413、414、423、424、433、434、および第4合成側端子435に接続される回路のインピーダンスは、すべて同じとした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、それぞれの負荷インピーダンスは、任意の値でよい。ただし、電力合成器内の回路は、並列接続する増幅器の正常動作時には、インピーダンス不整合が生じないような値に設計する。
【0134】
また、本実施の形態4では、第4分岐回路を3つトーナメント接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、2つの第4分岐回路間を第4接続線路により接続する構成であればよい。例えば、第4分岐回路を2−1(nは自然数)個トーナメント接続、または直列接続してもよい。
【0135】
また、本実施の形態4では、第1分岐側端子を2つ、第4合成側端子を1つ有する第4分岐回路417、427、437をトーナメント接続することにより構成した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第4分岐回路の一部、または、すべてを第4分岐側端子がK個(Kは2以上の整数)、第4合成側端子を1個有する第4分岐回路により構成してもよい。
【0136】
また、本実施の形態4では、第4分岐側端子413に接続された増幅器が故障した場合に、第4分岐側端子413を短絡した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第4分岐側端子413に先端が開放された電気長が1/4波長の奇数倍の線路、第4分岐側端子413に先端が短絡された電気長が1/2波長の線路等、第4電力合成点416における第4分岐側端子413側のインピーダンスが無限大となるように、増幅器が故障した第4分岐側端子413を全反射終端すればよい。
【0137】
また、本実施の形態4では、第4分岐側端子413に接続された増幅器が故障した場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第4分岐側端子413以外の端子に接続された増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続される第2分岐側端子のそれぞれを短絡することで、同様の効果が得られる。
【0138】
また、本実施の形態4では、第4分岐側端子413に接続された増幅器が故障した場合、第4合成側端子435のインピーダンスは、第4電力合成点436における第4分岐側端子433側のインピーダンス2aZ0と、第4電力合成点436における第4分岐側端子434側のインピーダンスaZ0とが並列接続されているため、2/3aZ0となる。
【0139】
そして、第5インピーダンス変成器402によりインピーダンス変成され、第4合成側端子435における第4インピーダンス変成器401側のインピーダンスは、3/4Z0となる。
【0140】
一方、第4合成側端子435に接続される負荷インピーダンスは、Z0であることから、第4合成側端子435でインピーダンス不整合が生じ、反射損が生じる。図16は、本発明の実施の形態4における電力合成器で、第4分岐側端子413に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。この図16に示すように、電気長1/4波長の奇数倍で、上式(6)のインピーダンスの線路である第4整合用インピーダンス変成器411を第4合成側端子435に接続し、第4合成側端子435でインピーダンス整合することで、反射損を0にできる。
【0141】
なお、図16では、第4整合用インピーダンス変成器411を第4合成側端子435へ接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、反射損が0となるようなインピーダンスとして、第4整合用インピーダンス変成器411を第4分岐側端子413、414、423、424とサーキュレータ3の間へ接続してもよい。
【0142】
また、本実施の形態4では、第4整合用インピーダンス変成器411を電気長1/4波長の奇数倍で、上式(6)のインピーダンスの線路であるインピーダンス変成器とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第4合成側端子435でのインピーダンス不整合を整合させるインピーダンス変成器を接続することで、同様の効果が得られる。または、第4合成側端子435でのインピーダンス不整合を整合させるように、第4インピーダンス変成器のインピーダンス、第5インピーダンス変成器のインピーダンス、あるいは第4接続線路のインピーダンスを変更することによっても、同様の効果が得られる。
【0143】
また、本実施の形態4では、複数の並列動作させた増幅器からの電力を合成する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数のアンテナからの電力を合成する場合にも、同様の効果が得られる。また、本実施の形態4では、電力を合成する電力合成器として説明したが、電力を分配する電力分配器として使用した場合にも、同様の効果が得られる。
【0144】
実施の形態5.
図17は、本発明の実施の形態5における電力合成器の回路図である。図17に示した本実施の形態5における電力合成器は、第1分岐回路127、137と、第2分岐回路217の3つの分岐回路がトーナメント接続されて構成されている。第2分岐回路217と第1分岐回路137を接続する第5接続線路512は、インピーダンスがZ0で1/2波長の整数倍の電気長となる線路である。また、第1分岐回路127と第1分岐回路137を接続する第5接続線路522は、インピーダンスがZ0で1/4波長の奇数倍の電気長となる線路である。
【0145】
次に、本発明の実施の形態5に係る電力合成分配器の動作について説明する。はじめに、本発明の実施の形態5に係る電力合成器に接続される複数の増幅器すべてが、正常動作し、第1分岐側端子123、124、第2分岐側端子213、214から入力される場合について考える。第1分岐回路127は、先の実施の形態1と同様に動作し、第2分岐回路217は、先の実施の形態2と同様に動作する。このため、第1分岐側端子123、124、第2分岐側端子213、214から入力された信号は、インピーダンス不整合による損失なく合成され、第1合成側端子135から出力され、第1合成側端子135に接続される負荷に出力される。
【0146】
次に、本発明の実施の形態5に係る電力合成器に接続される複数の増幅器の内、第2分岐側端子214に接続される増幅器が故障し、第2分岐側端子213、第1分岐側端子123、124からのみ信号が入力される場合を考える。図18は、本発明の実施の形態5における電力合成器で、第2分岐側端子214に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。この図18は、上述した故障が発生した際に、故障した増幅器を電力合成器から取り外し、第2分岐側端子214を短絡した状態を示している。
【0147】
第1分岐回路127に接続される増幅器は、正常動作時と同様であるため、第1電力合成点136における第1分岐側端子133側のインピーダンスは、2Z0となる。
【0148】
第2分岐側端子214は、短絡されることから、先の実施の形態2と同様に、第2合成側端子215における第2電力合成点216側のインピーダンスはZ0/2となる。第5接続線路512は、1/2波長の整数倍の線路であることから、第1分岐側端子134における第5接続線路512側のインピーダンスは、Z0/2となる。
【0149】
第1分岐側端子134における第5接続線路512のインピーダンスZ0/2は、第1インピーダンス変成器101によりインピーダンス変成されるため、第1電力合成点136における第1分岐側端子134側のインピーダンスは、4Z0となる。
【0150】
つまり、第1電力合成点136における第1分岐側端子133側のインピーダンスは、2Z0であり、第1電力合成点136から第1分岐側端子134側のインピーダンスは4Z0となる。したがって、第1分岐回路137は、第1分岐側端子133側からの電力と第2分岐側端子134側からの電力の比が2対1で合成する分岐回路となっている。
【0151】
一方、第1分岐側端子134側から入力される信号は、第2分岐側端子213に接続された増幅器からの電力、第1分岐側端子133側から入力される信号は、第1分岐側端子123、124に接続された2つの増幅器からの合成電力である。このことから、第1分岐側端子133側からの電力と第1分岐側端子134側からの電力の比が2対1となっている。この結果、電力合成器内でのインピーダンス不整合による損失なく合成され、第1合成側端子135から出力される。
【0152】
以上のように、実施の形態5の電力合成器によれば、並列動作している増幅器が正常動作している場合には、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく電力を合成できる。さらに、並列動作している増幅器の一部が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されている第1分岐側端子を短絡することで、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく、合成することができる。
【0153】
なお、本実施の形態5では、第1分岐回路と第2分岐回路をトーナメント接続して構成した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、先の実施の形態1〜4で説明したような、複数の第1分岐回路、第2分岐回路、第3分岐回路、第4分岐回路を、任意の組み合わせで構成してもよい。
【0154】
その場合、接続線路を介して接続される分岐回路の電力合成点間の長さが1/2波長の整数倍となるように、接続線路の長さを決定する。ただし、各接続線路のインピーダンスは、増幅器が正常動作している場合に、電力合成器内すべての部分でインピーダンス整合が実現できていればよい。
【0155】
また、本実施の形態5では、第2分岐側端子214に接続された増幅器のみが故障した場合について述べた。しかし、本発明は、これに限るものではなく、いずれかの端子に接続された1つ以上の増幅器が故障した場合にも、それぞれ故障した増幅器が接続される分岐側端子を短絡することで、同様の効果が得られる。
【0156】
図19は、本発明の実施の形態1における電力合成器で、第2分岐側端子214と第1分岐側端子123とに接続される2つの増幅器が故障した場合の回路図である。この図19は、上述した故障が発生した際に、故障した2つの増幅器の両方とも電力合成器から取り外し、第2分岐側端子214および第1分岐側端子123が短絡となるように終端した状態を示している。このように、2つ以上の増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続される第1分岐側端子、第2分岐側端子のそれぞれを短絡することで、同様の効果が得られる。
【0157】
また、本実施の形態5では、並列接続する増幅器の正常動作時、第1分岐側端子123、124、133、134、第2分岐側端子213、214、および第1合成側端子135に接続される回路のインピーダンスは、すべて同じとした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、それぞれの負荷インピーダンスは、任意の値でよい。ただし、電力合成器内の回路は、並列接続する増幅器の正常動作時には、インピーダンス不整合が生じないような値に設計する。
【0158】
また、本実施の形態5では、実施の形態1と同様に、第1合成側端子135における第1電力合成点136側のインピーダンスは4/3Z0となる。一方、第1合成側端子135に接続される負荷インピーダンスは、Z0となるため、第1合成側端子135でインピーダンス不整合が生じ、反射損が生じる。
【0159】
図20は、本発明の実施の形態5における電力合成器で、第2分岐側端子214に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。先の実施の形態1と同様に、図20に示すように、第1整合用インピーダンス変成器111を第1合成側端子135に接続し、第1合成側端子135でインピーダンス整合を実現することで、反射損を0にできる。
【0160】
なお、図20では、第1整合用インピーダンス変成器111を第1電力合成点136へ接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、反射損が0となるようにインピーダンスとして、第1整合用インピーダンス変成器111を第1分岐側端子123、124、第2分岐側端子213、214とサーキュレータ3との間に接続してもよい。
【0161】
また、本実施の形態5では、第1整合用インピーダンス変成器111とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第1合成側端子135でのインピーダンス不整合を整合させるインピーダンス変成器を接続する、または、第1合成側端子135でのインピーダンス不整合を整合させるように、第1インピーダンス変成器のインピーダンスや、第1接続線路のインピーダンスを変更することで、同様の効果が得られる。
【0162】
また、本実施の形態5では、複数の並列動作させる増幅器の電力を合成する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数のアンテナからの電力を合成する場合にも、同様の効果が得られる。また、本実施の形態5では、電力を合成する電力合成器として説明したが、電力を分配する電力分配器として使用した場合にも、同様の効果が得られる。
【0163】
実施の形態6.
図21は、本発明の実施の形態6における電力合成器の上面図であり、方形同軸線路を用いた電力合成器である。図22は、本発明の実施の形態6における電力合成器の図21中のA−A’における断面図である。さらに、図23は、本発明の実施の形態6における電力合成器の図21中のB−B’における断面図である。
【0164】
図21〜図23における各符号は、以下のものを示している。
601:方形同軸線路の外導体
602:インピーダンスがZ0の方形同軸線路の内導体
603:インピーダンスが下式(10)で、電気長が1/4波長の第6インピーダンス変成器の内導体
【0165】
【数10】

【0166】
604:インピーダンスがZ0の電気長が1/4波長の第6接続線路の内導体
605:電力合成部
606:電力合成分配器へ電力を入出力させるための同軸線路
607:同軸線路606の内導体
608:同軸線路606の外導体
610:出力側同軸線路コネクタ
611〜614:入力側同軸線路コネクタ
【0167】
次に、本発明の実施の形態6に係る電力合成器の動作について説明する。はじめに、本発明の実施の形態6に係る電力合成器に接続される複数の増幅器すべてが正常動作し、入力側同軸線路コネクタ611、612,613,614から等振幅、同相の信号が入力される場合を考える。この場合の等価回路は、先の実施の形態1で示した図1で表される。したがって、同軸線路から入力された電力は、合成され、出力側同軸線路コネクタ610から出力される。
【0168】
次に、本発明の実施の形態6に係る電力合成器に接続される複数の増幅器の内、入力側同軸線路コネクタ614に接続される増幅器が故障した場合を考える。図24は、本発明の実施の形態6における方形同軸線路を用いた電力合成器で、入力側同軸線路コネクタ614に接続する増幅器が故障した場合の入力側同軸線路コネクタ614の断面図である。また、図25は、本発明の実施の形態6における方形同軸線路を用いた電力合成器で、入力側同軸線路コネクタ614に接続する増幅器が故障した場合の出力側同軸線路コネクタ610の断面図である。
【0169】
図24に示すように、故障した増幅器が接続される入力側同軸線路コネクタ614にショートコネクタ609を接続することで、短絡している。ただし、電力合成部605におけるショートコネクタ側のインピーダンスが無限大となるように、方形同軸線路602の電気長を約1/2波長とする。
【0170】
また、本実施の形態6における方形同軸線路を用いた電力合成器は、出力側同軸線路コネクタ610では、インピーダンス変成器615を介して同軸線路606に接続される。このときの等価回路は、先の図4のようになる。したがって、入力側同軸線路コネクタ611、612,613に入力された電力は、インピーダンス不整合による合成損なく、すべて合成され、出力側同軸線路コネクタ610から出力される。
【0171】
以上のように、実施の形態6によれば、方形同軸線路を用いた電力合成器において、故障した増幅器が接続される入力側同軸線路コネクタでは、ショートコネクタを接続することで短絡し、出力側同軸線路コネクタでは、インピーダンス変成器を介して同軸線路に接続している。これにより、上述した実施の形態1〜5で示した効果を、方形同軸線路を用いた電力合成器において実現することができる。
【0172】
実施の形態7.
図26は、本発明の実施の形態7における電力合成器回路図である。図26に示した本実施の形態7における電力合成器は、第1インピーダンス変成器1001、第1接続線路1012、1022、第1分岐側端子1013、1014.1023、1024、1033、1034、第1合成側端子1015、1025、1035、および第1電力合成点1016、1026、1036を備えている。なお、第1接続線路1012、1022は、電気長が約1/4波長の奇数倍で構成されている。
【0173】
ここで、図26に示した電力合成器は、3つの第1分岐回路1017、1027、1037を有しており(図26中の点線の円で示した部分に相当)、第1接続線路1012、1022を介して3つの第1分岐回路1017、1027、1037がトーナメント構成で接続されている。第1分岐回路1017は、第1インピーダンス変成器1001、第1分岐側端子1013、1014、第1合成側端子1015、および第1電力合成点1016で構成されている。
【0174】
また、第1分岐回路1027は、第1インピーダンス変成器1001、第1分岐側端子1023、1024、第1合成側端子1025、および第1電力合成点1026で構成されている。さらに、第1分岐回路1037は、第1インピーダンス変成器1001、第1分岐側端子1033、1034、第1合成側端子1035、および第1電力合成点1036で構成されている。
【0175】
ここで、第1分岐側端子1013、1014、1023、1024、1033、1034における入力端子1側のインピーダンスと、第1合成側端子1015、1025、1035における第1電力合成点側のインピーダンスと、第1接続線路1012、1022のインピーダンスは、同じZ0である。
【0176】
すなわち、第1分岐回路1017を例に説明すると、第1インピーダンス変成器1001は、第1合成側端子1015における、第1電力合成点1036側のインピーダンスがZ0となるように、上式(1)で表されるインピーダンスZtとなる、電気長が1/4波長の奇数倍の線路で構成されている。
【0177】
次に、本発明の実施の形態7に係る電力合成器の動作について説明する。はじめに、本発明の実施の形態7に係る電力合成器に接続される複数の増幅器すべてが、正常動作している場合について考える。それぞれの増幅器の入力端子1に同じ信号が入力され、入力された電力は、電力増幅器2により増幅され、第1分岐側端子1013、1014、1023、1024へ、それぞれ振幅位相が同じ信号として入力されたとする。また、第1分岐側端子1013、1014、1023、1024でのインピーダンスをZ0とする。
【0178】
第1電力合成点1016における第1分岐側端子1013および第1分岐側端子1014側のインピーダンスは、それぞれZ0である。ここで、第1分岐側端子1013と第1分岐側端子1014は、直列に接続されていることから、第1電力合成点1016における第1分岐側端子1013および第1分岐側端子1014側のインピーダンスは、2Z0となる。そして、第1インピーダンス変成器1001によりインピーダンス変成されるため、第1合成側端子1015における第1電力合成点1016側のインピーダンスは、Z0となる。
【0179】
第1分岐回路1027も第1分岐回路1017と同様であることから、第1分岐側端子1033、1034における第1分岐回路1017、1027側のインピーダンスは、Z0となる。したがって、第1分岐回路1037でも第1分岐回路1017と同様であることから、第1合成側端子1035における、第1電力合成点1036側のインピーダンスは、Z0となる。また、第1合成側端子1035に接続される負荷インピーダンスもZ0である。
【0180】
以上のことから、増幅器の入力端子1に入力された電力は、電力増幅器2により増幅され、インピーダンス不整合による損失なく合成され、第1合成側端子1035から出力される。
【0181】
次に、本発明の実施の形態7に係る電力合成分配器に接続される複数の増幅器の内、第1分岐側端子1014に接続される増幅器が故障し、第1分岐側端子1013、1023、1024からのみ信号が入力される場合を考える。図27は、本発明の実施の形態7における電力合成器で、第1分岐側端子1014に接続される増幅器が故障した場合の回路図である。この図27は、上述した故障が発生した際に、故障した増幅器を電力合成器から取り外し、第1分岐側端子1014が短絡となるように終端した状態を示している。
【0182】
第1分岐回路1027に接続される増幅器は、正常動作時と同様であるため、第1分岐側端子1033における第1分岐回路1027側のインピーダンスは、Z0となる。
【0183】
また、第1分岐側端子1014は短絡されているため、第1電力合成点1016における第1分岐側端子1013側のインピーダンスは、Z0となる。そして、第1インピーダンス変成器によりインピーダンス変成されるため、第1合成側端子1015における第1電力合成点1016側のインピーダンスは、2Z0となる。
【0184】
第1接続線路1012は、インピーダンスがZ0で電気長1/4の奇数倍である。従って、第1接続線路1012は、インピーダンス変成器として動作し、第1分岐側端子1034における第1接続線路1012側のインピーダンスは、Z0/2となる。
【0185】
つまり、第1電力合成点1036における第1分岐側端子1033側のインピーダンスは、Z0であり、第1電力合成点1036における第1分岐側端子1034側のインピーダンスは、Z0/2がとなり、それらが直列接続されていることになる。したがって、第1分岐回路1037は、第1分岐側端子1033側からの電力と第1分岐側端子1034側からの電力の比が2対1で合成する場合に、インピーダンス不整合なく合成する第1分岐回路となっている。
【0186】
一方、第1分岐側端子1034側から入力される信号は、第1分岐側端子1013に接続された増幅器からの電力のみであり、第1分岐側端子1033側から入力される信号は、第1分岐側端子1023、1024に接続された2つの増幅器からの合成電力である。このことから、第1分岐側端子1033側からの電力と第1分岐側端子1034側からの電力との比は、2対1となっている。この結果、電力合成器内でのインピーダンス不整合による損失なく合成され、第1合成側端子1035から出力される。
【0187】
以上のように、実施の形態7の電力合成器によれば、並列動作している増幅器が正常動作している場合には、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく電力を合成できる。さらに、並列動作している増幅器の一部が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されている第1分岐側端子を短絡することで、電力合成器内のインピーダンス不整合による合成損なく、合成することができる。
【0188】
なお、本実施の形態7では、第1インピーダンス線路は、上式(1)で表されるインピーダンスを有する、電気長が1/4波長の奇数倍の線路とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、1/4波長を直列に多段接続したインピーダンス変成器、テーパ線路を用いたインピーダンス変成器等、増幅器が正常動作している場合に、第1分岐回路1017、1027、1037でのインピーダンス整合が実現できるインピーダンス変成器とし、第1電力合成点1016と第1電力合成点1036間、および第1電力合成点1016と第1電力合成点1036間の長さが1/2波長の整数倍となるように第1接続線路の長さを調整すればよい。
【0189】
また、本実施の形態7では、第1分岐側端子1014に接続された増幅器のみが故障した場合について述べた。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数の第1分岐側端子に接続される増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器が接続されていた端子を短絡することで、同様の効果が得られる。
【0190】
また、本実施の形態7では、並列接続する増幅器の正常動作時、第1分岐側端子1013、1014、1023、1024、1033、1034、および第1合成側端子1035に接続される回路のインピーダンスは、すべて同じとした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、それぞれの負荷インピーダンスは、任意の値でよい。ただし、電力合成器内の回路は、並列動作する増幅器の正常動作時には、インピーダンス不整合が生じないような値に設計する。
【0191】
また、本実施の形態7では、第1分岐回路を3つトーナメント接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、2つの第1分岐回路間を第1接続線路により接続する構成であればよい。
【0192】
また、本実施の形態7では、第1分岐側端子を2つ、第1合成側端子を1つ有する第1分岐回路1017、1027、1037をトーナメント接続することにより構成した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第1分岐回路の一部、またはすべてを第1分岐側端子がK個(Kは2以上の整数)、第1合成側端子を1個有する第1分岐回路により構成してもよい。
【0193】
また、上記実施の形態7では、第1分岐側端子1014に接続された増幅器が故障した場合に、第1分岐側端子1014を短絡した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、第1分岐側端子1014に先端が開放された電気長が1/4波長の線路、または先端が短絡された電気長が1/2波長の整数倍の線路等、第1分岐側端子1014のインピーダンスが短絡となるように、増幅器が故障した第1分岐側端子1014を終端すればよい。
【0194】
また、本実施の形態7では、第1分岐側端子1014に接続された増幅器が故障した場合、第1合成側端子1035のインピーダンスは、第1分岐側端子1033側のインピーダンスZ0と、第1分岐側端子134側のインピーダンスZ0/2とが直列接続され、第1インピーダンス変成器1001によりインピーダンス変成されるため、4/3Z0となる。
【0195】
一方、第1合成側端子1035に接続される負荷インピーダンスは、Z0となるため、第1合成側端子1035でインピーダンス不整合が生じ、反射損が生じる。図28は、本発明の実施の形態7における電力合成器で、第1分岐側端子1014に接続される増幅器が故障した場合に、反射損を0とするための回路図である。この図28に示すように、線路長1/4波長の奇数倍で、上式(2)のインピーダンスの線路である第1整合用インピーダンス変成器1011を第1合成側端子1035に接続し、第1合成側端子1035でのインピーダンス整合を実現することで、反射損を0にできる。
【0196】
なお、図28では、第1整合用インピーダンス変成器1011を第1電力合成点1036へ接続した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、反射損が0となるようなインピーダンスとして、第1整合用インピーダンス変成器1011を第1分岐側端子1013、1014、1023、1024とサーキュレータ3との間に接続してもよい。
【0197】
また、本実施の形態7では、第1整合用インピーダンス変成器1011を線路長1/4波長の奇数倍で、上式(2)のインピーダンスの線路であるインピーダンス変成器とした。しかし、本発明は、これに限るものではなく、短絡した第1分岐側端子に応じて、第1合成側端子1035でのインピーダンス不整合を整合させるインピーダンス変成器を接続することで、同様の効果が得られる。
【0198】
また、本実施の形態7では、複数の並列動作させる増幅器の電力を合成する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限るものではなく、複数のアンテナからの電力を合成する場合にも、同様な効果が得られる。また、本実施の形態7では、電力を合成する電力合成器として説明したが、電力を分配する電力分配器として使用しても、同様の効果が得られる。
【0199】
また、本実施の形態7では、直列分岐回路である第1分岐回路を3つトーナメント接続した場合について説明したが、本発明は、これに限るものではない、図29は、本発明の実施の形態7における直列分岐回路の第1分岐回路と、並列分岐回路の第2分岐回路とを用いて構成された電力合成器の回路図である。図29に示すように、並列分岐回路である第2分岐回路2037に対して、2つの直列分岐回路である第1分岐回路1017、1027を接続する構成としても、同様の効果が得られる。ただし、この場合には、第1電力合成点1026と第2電力合成点2036間、および第1電力合成点1016と第2電力合成点2036間の電気長が1/4波長の奇数倍となるように、第1接続線路1012、1022の電気長を1/2波長の整数倍の電気長とする。
【0200】
上述した実施の形態1〜7の要点をまとめると、以下のようになる。
実施の形態1〜7において、直列分岐回路、並列分離回路、およびそれらを組み合わせた回路により構成された本発明の電力合成分配器について説明した。これらのいずれの場合にも共通する技術的特徴は、「接続される2つの分岐回路の電力合成点間の長さが1/2波長の整数倍となるように段間の接続線路長を決定し、このような接続線路を用いて電力合成分配器を構成する」ことにある。
【0201】
このような構成を備えることで、1以上の増幅器が故障した場合にも、故障した増幅器を接続していた端子を、開放または短絡することで、上述したように、合成損、分配損なく動作させることが可能となる。
【0202】
また、トーナメント接続について、補足説明する。上述した実施の形態1〜7では、分岐回路を3つトーナメント接続した場合について詳述した。さらに、分岐回路を2−1(nは自然数)個トーナメント接続、または直列接続するなど、2つの第1分岐回路間を第1接続線路により接続する構成であればよいことも説明した。そこで、このような接続構成について、具体的に説明する。
【0203】
図30は、本発明の電力合成分配器に適用可能な分岐回路の接続構成を示す図である。分岐回路の接続構成は、2−1(nは自然数)個のトーナメント接続の場合に限定されず、図30に示すように、異なる構成の分岐回路を直列接続した場合、あるいは、トーナメント構成の一部分が直列接続に置き換わっている場合などの接続構成によっても、同様の効果を得ることができる。そこで、本発明においては、2−1(nは自然数)個のトーナメント接続の場合のみならず、図30のような一部が置き換わった構成も含めて、「トーナメント構成」と称している。
【0204】
また、実施の形態7において、直列分岐回路を用いた電力合成分配器について説明したが、並列分岐回路と直列分岐回路について、補足説明する。
図31は、本発明の電力合成分配器に適用可能な並列分岐回路の基本構成を示す図である。また、図32は、本発明の電力合成分配器に適用可能な直列分岐回路の基本構成を示す図である。
【0205】
先の実施の形態1〜6では、図31のような並列分岐回路(マイクロストリップ線路を用いた分岐回路等)を用いる場合について説明した。一方、実施の形態7では、図32のような直列分岐回路(導波管のE面分岐を用いた分岐回路等)を用いる場合(図26〜図28参照)、および並列分岐回路と直列分岐回路を組み合わせた場合(図29参照)について説明した。
【0206】
並列分岐回路のみを用いた場合と、直列分岐回路のみを用いた場合の相違点、および並列分岐回路のみを用いた場合と、並列分岐回路と直列分岐回路を組み合わせた場合の注意点は、以下のようになる。
【0207】
[1]並列分岐回路のみを用いた場合と直列分岐回路のみを用いた場合の相違点
(1−1)故障した増幅器が接続されていた端子の終端条件
並列分岐回路を用いた場合には、実施の形態1〜6で説明したように、分岐回路内の電力合成点における増幅器が接続されていた分岐側端子側のインピーダンスが無限大(開放)となるように終端する。これに対して、直列分岐回路を用いた場合には、実施の形態7で説明したように、分岐回路内の電力合成点における増幅器が接続されていた分岐側端子側のインピーダンスが0(短絡)となるように終端するという違いがある。
(1−2)反射損を低減するために入出力端子に接続するインピーダンス変成器
M個の増幅器を並列動作させる際に、N個の増幅器が正常に動作し、(M−N)個の増幅器で故障が発生した場合を考える。この場合に、直列分岐回路を用いた電力合成分配器と、並列分岐回路を用いた電力合成分配器とでは、反射損を低減するために、出力端子(例えば、先の図1の第1合成側端子135など)に接続するインピーダンス変成器のインピーダンス値の係数の分母分子が逆になる関係にある。
【0208】
具体的には、並列分岐回路では、例えば、第2の合成側端子に電気長が1/4波長の奇数倍で、インピーダンスが上式(7)のインピーダンス変成器を接続していた。
【0209】
これに対して、直列分岐回路では、例えば、第2の合成側端子に電気長が1/4波長の奇数倍で、インピーダンスが上式(8)のインピーダンス変成器を接続することとなり、インピーダンス値の係数の分母分子が逆になる関係にある。
【0210】
なお、接続される2つの分岐回路の電力合成点間の長さが1/2波長の整数倍となるように段間の接続線路長を決定するのは、並列分岐回路でも直列分岐回路でも、同じである。
【0211】
[2]並列分岐回路のみを用いた場合と並列分岐回路と直列分岐回路を組み合わせた場合の注意点
(2−1)故障した増幅器が接続されていた端子の終端条件
故障した増幅器が接続されていた端子の終端条件は、故障した増幅器が直接接続されていた分岐回路の種類により決定されることとなる。すなわち、故障した増幅器が直接接続されていた分岐回路が並列分岐回路ならば、分岐回路内の電力合成点における増幅器が接続されていた分岐側端子側のインピーダンスが無限大(開放)となるように終端することとなる。
【0212】
一方、故障した増幅器が直接接続されていた分岐回路が直列分岐回路ならば、分岐回路内の電力合成点における増幅器が接続されていた分岐側端子側のインピーダンスが0(短絡)となるように終端することとなる。
【0213】
(2−2)反射損を低減するために入出力端子に接続するインピーダンス変成器
電力合成分配器の出力端を含む分岐回路(すなわち、最終段に分岐回路)の種類により決定さることとなる。例えば、最終段が、合成側端子側にインピーダンス変成器がある並列分岐回路であれば、インピーダンスが上式(7)のインピーダンス変成器を接続することとなる。
【0214】
一方、最終段が、合成側端子側にインピーダンス変成器がある直列分岐回路であれば、インピーダンスが上式(8)のインピーダンス変成器を接続することとなる。
【0215】
また、最終段が、分岐側端子側にインピーダンス変成器がある並列分岐回路であれば、インピーダンスが上式(8)のインピーダンス変成器を接続することとなる。一方、最終段が、分岐側端子側にインピーダンス変成器がある直列分岐回路であれば、インピーダンスが上式(7)のインピーダンス変成器を接続することとなる。
【0216】
(2−3)接続線路の条件
並列分岐回路と直列分岐回路のどちらか一方の分岐回路のみからなる電力分配回路の場合には、接続される2つの分岐回路の電力合成点間の長さが1/2波長の整数倍となるように段間の接続線路長を決定する。
【0217】
これに対して、並列分岐回路と直列分岐回路を接続する接続線路の電気長は、「接続される2つの分岐回路の電力合成点間の長さが1/4波長の奇数倍となるような長さ」となる。すなわち、並列分岐回路と直列分岐回路のどちらか一方の分岐回路のみからなる電力分配回路の場合と異なる。
【0218】
最後に、実施の形態1〜7で示した本発明の電力合成分配器を複数台、並列動作させる構成について、図を用いて説明する。図33は、本発明の電力合成分配器を、複数台並列動作させた増幅器の入出力端で用いた送信機の構成図である。具体的には、図33(a)は、電力合成分配器に接続される増幅器がすべて正常動作している場合の構成を示しており、図33(b)は、電力合成分配器に接続される増幅器のうち、故障した増幅器が外された各端子を終端した構成を示している。本発明の電力合成分配器は、この図33に示したような構成を備えた送信機に適用することができる。
【符号の説明】
【0219】
1 入力端子、101 第1インピーダンス変成器(インピーダンス開放手段)、201 第2インピーダンス変成器(インピーダンス開放手段)、221 第2インピーダンス変成器(インピーダンス開放手段)、231 第2インピーダンス変成器(インピーダンス開放手段)、401 第4インピーダンス変成器(インピーダンス開放手段)、402 第5インピーダンス変成器(インピーダンス開放手段)、111 第1整合用インピーダンス変成器、211 第2整合用インピーダンス変成器、311 第3整合用インピーダンス変成器、411 第4整合用インピーダンス変成器、112、122 第1接続線路、212、222 第2接続線路、312、322 第3接続線路、412、422 第4接続線路、512、522 第5接続線路、113、114、123、124、133、134 第1分岐側端子、213、214、223、224、233、234 第2分岐側端子、313、314、323、324、333、334 第3分岐側端子、413、414、423、424、433、434 第4分岐側端子、115、125、135 第1合成側端子、215、225、235 第2合成側端子、315、325、335 第3合成側端子、415、425、435 第4合成側端子、116、126、136 第1電力合成点、216、226、236 第2電力合成点、316、326、336 第3電力合成点、416、426、436 第4電力合成点、117、127、137 第1分岐回路、217、227、237 第2分岐回路、317、327、337 第3分岐回路、417、427、437 第4分岐回路、218 第2終端線路(インピーダンス開放手段)、318 第3終端線路(インピーダンス開放手段)、601 方形同軸線路の外導体、602 方形同軸線路の内導体、603 第6インピーダンス変成器の内導体、604 第6接続線路の内導体、605 電力合成部、606 同軸線路、607 同軸線路の内導体、608 同軸線路の外導体、609 ショートコネクタ、610 出力側同軸線路コネクタ、611〜614 入力側同軸線路コネクタ、615 インピーダンス変成器、1001 第1インピーダンス変成器、1011 第1整合用インピーダンス変成器、1012、1022 第1接続線路、1013、1014、1023、1024、1033、1034 第1分岐側端子、1015、1025、1035 第1合成側端子、1016、1026、1036 第1電力合成点、1017、1027、1037 第1分岐回路、2001 第2インピーダンス変成器、2033、2034 第2分岐側端子、2035 第2合成側端子、2036 第2電力合成点、2037 第2分岐回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の並列接続された第1の分岐側端子と1つの第1の合成側端子が第1の電力合成点を介して接続された第1の分岐回路と、
複数の並列接続された第2の分岐側端子と1つの第2の合成側端子が第2の電力合成点を介して接続された第2の分岐回路と
を有し、
前記第1の合成側端子と前記複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点から前記第2の電力合成点までの長さが1/2波長の整数倍であることを特徴とする電力合成分配器。
【請求項2】
請求項1に記載の電力合成分配器において、
前記第1の合成側端子と前記第2の分岐側端子は、長さが1/4波長の奇数倍である第1の接続線路を介して接続され、
前記第1の電力合成点と前記第1の合成側端子の間、もしくは前記第1の接続線路が接続された前記第2の分岐側端子と前記第2の電力合成点の間のいずれか一方に、長さが1/4波長の奇数倍であるインピーダンス変成器が設けられたことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項3】
請求項1に記載の電力合成分配器において、
前記第1の合成側端子と前記第2の分岐側端子は、長さが1/2波長の整数倍である第1の接続線路を介して接続され、
前記第1の電力合成点と前記第1の合成側端子の間と、前記第1の接続線路が接続された前記第2の分岐側端子と前記第2の電力合成点の間のそれぞれに、長さが1/4波長の奇数倍であるインピーダンス変成器が設けられたことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項4】
複数の直列接続された第1の分岐側端子と1つの第1の合成側端子が第1の電力合成点を介して接続された第1の分岐回路と、
複数の直列接続された第2の分岐側端子と1つの第2の合成側端子が第2の電力合成点を介して接続された第2の分岐回路と
を有し、
前記第1の合成側端子と前記複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点から前記第2の電力合成点までの長さが1/2波長の整数倍であることを特徴とする電力合成分配器。
【請求項5】
請求項4に記載の電力合成分配器において、
前記第1の合成側端子と前記第2の分岐側端子は、長さが1/4波長の奇数倍である第1の接続線路を介して接続され、
前記第1の電力合成点と前記第1の合成側端子の間、もしくは前記第1の接続線路が接続された前記第2の分岐側端子と前記第2の電力合成点の間のいずれか一方に、長さが1/4波長の奇数倍であるインピーダンス変成器が設けられたことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項6】
請求項4に記載の電力合成分配器において、
前記第1の合成側端子と前記第2の分岐側端子は、長さが1/2波長の整数倍である第1の接続線路を介して接続され、
前記第1の電力合成点と前記第1の合成側端子の間と、前記第1の接続線路が接続された前記第2の分岐側端子と前記第2の電力合成点の間のそれぞれに、長さが1/4波長の奇数倍であるインピーダンス変成器が設けられたことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項7】
複数の直列接続された第1の分岐側端子と1つの第1の合成側端子が第1の電力合成点を介して接続された第1の分岐回路と、
複数の並列接続された第2の分岐側端子と1つの第2の合成側端子が第2の電力合成点を介して接続された第2の分岐回路と
を有し、
前記第1の合成側端子と前記複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点から前記第2の電力合成点までの長さが1/4波長の奇数倍であることを特徴とする電力合成分配器。
【請求項8】
請求項7に記載の電力合成分配器において、
前記第1の合成側端子と前記第2の分岐側端子は、長さが1/2波長の整数倍である第1の接続線路を介して接続され、
前記第1の電力合成点と前記第1の合成側端子の間、もしくは前記第1の接続線路が接続された前記第2の分岐側端子と前記第2の電力合成点の間のいずれか一方に、長さが1/4波長の奇数倍であるインピーダンス変成器が設けられたことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項9】
請求項7に記載の電力合成分配器において、
前記第1の合成側端子と前記第2の分岐側端子は、長さが1/4波長の奇数倍である第1の接続線路を介して接続され、
前記第1の電力合成点と前記第1の合成側端子の間と、前記第1の接続線路が接続された前記第2の分岐側端子と前記第2の電力合成点の間のそれぞれに、長さが1/4波長の奇数倍であるインピーダンス変成器が設けられたことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項10】
複数の並列接続された第1の分岐側端子と1つの第1の合成側端子が第1の電力合成点を介して接続された第1の分岐回路と、
複数の直列接続された第2の分岐側端子と1つの第2の合成側端子が第2の電力合成点を介して接続された第2の分岐回路と
を有し、
前記第1の合成側端子と前記複数の第2の分岐側端子が接続された電力合成あるいは電力分配を行う電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点から前記第2の電力合成点までの長さが1/4波長の奇数倍であることを特徴とする電力合成分配器。
【請求項11】
請求項10に記載の電力合成分配器において、
前記第1の合成側端子と前記第2の分岐側端子は、長さが1/2波長の整数倍である第1の接続線路を介して接続され、
前記第1の電力合成点と前記第1の合成側端子の間、もしくは前記第1の接続線路が接続された前記第2の分岐側端子と前記第2の電力合成点の間のいずれか一方に、長さが1/4波長の奇数倍であるインピーダンス変成器が設けられたことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項12】
請求項10に記載の電力合成分配器において、
前記第1の合成側端子と前記第2の分岐側端子は、長さが1/4波長の奇数倍である第1の接続線路を介して接続され、
前記第1の電力合成点と前記第1の合成側端子の間と、前記第1の接続線路が接続された前記第2の分岐側端子と前記第2の電力合成点の間のそれぞれに、長さが1/4波長の奇数倍であるインピーダンス変成器が設けられたことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項13】
請求項1ないし3または請求項10ないし12のいずれか1項に記載の電力合成分配器において、
前記第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが第1の電力合成点における前記第1の分岐側端子側のインピーダンスが無限大となるように、前記第1の分岐側端子が全反射終端された
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項14】
請求項13に記載の電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点との間に第1の中間線路が接続された、前記複数の第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが、前記第1の中間線路と合わせた電気長が1/4波長の奇数倍となるような先端が短絡された第1の終端線路を接続した
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項15】
請求項13または14に記載の電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点との間に第2の中間線路が接続された、前記複数の第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが、前記第2の中間線路と合わせた電気長が1/2波長の整数倍となるような、先端が開放された第2の終端線路を接続した
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれか1項に記載の電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点と直接接続された前記複数の第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが、電気的に開放となるように終端した
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項17】
請求項13ないし16のいずれか1項に記載の電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点と直接接続された前記複数の第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが、先端が開放され電気長が1/2波長の整数倍の第3の終端線路を接続した
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項18】
請求項13ないし17のいずれか1項に記載の電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点と直接接続された前記複数の第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが、先端が電気的に短絡され電気長が1/4波長の奇数倍の第4の終端線路を接続した
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項19】
請求項4ないし9のいずれか1項に記載の電力合成分配器において、
前記第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが第1の電力合成点における前記第1の分岐側端子側のインピーダンスが0となるように、前記第1の分岐側端子が全反射終端された
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項20】
請求項19に記載の電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点との間に第1の中間線路が接続された、前記複数の第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが、前記第1の中間線路と合わせた電気長が1/2波長の整数倍となるような先端が短絡された第1の終端線路を接続した
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項21】
請求項19または20に記載の電力合成分配器において、
前記第1の電力合成点との間に第2の中間線路が接続された、前記複数の第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが、前記第2の中間線路と合わせた電気長が1/4波長の奇数倍となるような、先端が開放された第2の終端線路を接続した
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項22】
請求項19ないし21のいずれか1項に記載の電力合成分配器において、
前記複数の第1の分岐側端子のうち、少なくとも1つが、電気的に短絡となるように終端した
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項23】
請求項13ないし22のいずれか1項に記載の電力合成分配器において、
全反射終端された第1の分岐側端子の数に応じて、前記第2の合成側端子でのインピーダンス不整合をインピーダンス整合させる整合用インピーダンス変成器をさらに備える
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項24】
請求項23に記載の電力合成分配器において、
第1の分岐端子の総数をM個(Mは、2以上の整数)、全反射終端された第1の分岐側端子の総数を(M−N)個(Nは、1以上M未満の整数)としたとき、
(ケース1)前記第2の分岐回路において、前記第2の合成側端子が長さ1/4波長の奇数倍である前記インピーダンス変成器を介して前記第2の電力合成点と接続されており、前記第2の合成側端子に接続される負荷インピーダンスがZ0である場合であり、かつ、前記第2の分岐回路が複数の並列接続された第2の分岐側端子で構成されている場合には、前記整合用インピーダンス変成器を、電気長が1/4波長の奇数倍であり、インピーダンスが
【数1】

である線路として構成し、
(ケース2)前記第2の分岐回路において、前記第2の合成側端子が長さ1/4波長の偶数倍である前記インピーダンス変成器を介して前記第2の電力合成点と接続されており、前記第2の合成側端子に接続される負荷インピーダンスがZ0である場合であり、かつ、前記第2の分岐回路が複数の並列接続された第2の分岐側端子で構成されている場合には、前記整合用インピーダンス変成器を、電気長が1/4波長の奇数倍であり、インピーダンスが
【数2】

である線路として構成し、
(ケース3)前記第2の分岐回路において、前記第2の合成側端子が長さ1/4波長の奇数倍である前記インピーダンス変成器を介して前記第2の電力合成点と接続されており、前記第2の合成側端子に接続される負荷インピーダンスがZ0である場合であり、かつ、前記第2の分岐回路が複数の直列接続された第2の分岐側端子で構成されている場合には、前記整合用インピーダンス変成器を、電気長が1/4波長の奇数倍であり、インピーダンスが
【数3】

である線路として構成し、
(ケース4)前記第2の分岐回路において、前記第2の合成側端子が長さ1/4波長の偶数倍である前記インピーダンス変成器を介して前記第2の電力合成点と接続されており、前記第2の合成側端子に接続される負荷インピーダンスがZ0である場合であり、かつ、前記第2の分岐回路が複数の直列接続された第2の分岐側端子で構成されている場合には、前記整合用インピーダンス変成器を、電気長が1/4波長の奇数倍であり、インピーダンスが
【数4】

である線路として構成し、
(ケース5)前記第2の分岐回路において、前記第2の合成側端子が前記インピーダンス変成器を介さずに直接前記第2の電力合成点と接続されており、前記第2の合成側端子に接続される負荷インピーダンスがZ0である場合であり、かつ、前記第2の分岐回路が複数の並列接続された第2の分岐側端子で構成されている場合には、前記整合用インピーダンス変成器を、電気長が1/4波長の奇数倍であり、インピーダンスが
【数5】

である線路として構成し、
(ケース6)前記第2の分岐回路において、前記合成側端子が前記インピーダンス変成器を介さずに直接前記第2の電力合成点と接続されており、前記第2の合成側端子に接続される負荷インピーダンスがZ0である場合であり、かつ、前記第2の分岐回路が複数の直列接続された第2の分岐側端子で構成されている場合には、前記整合用インピーダンス変成器を、電気長が1/4波長の奇数倍であり、インピーダンスが
【数6】

である線路として構成する
ことを特徴とする電力合成分配器。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれか1項に記載の電力合成分配器を複数並列動作させることを特徴とする電力合成分配器を用いた送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−234036(P2011−234036A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101241(P2010−101241)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】