説明

電力変換装置および電力制御方法

【課題】普通充電中の電動車両の低圧負荷の動作を制限せずに、普通充電の充電効率を向上させる。
【解決手段】車両の高圧バッテリの充電時に、ステップS1において、普通充電であると判定され、ステップS2において、モード切替対象負荷が動作していないと判定された場合、省電力モード移行処理が実行される。これにより、高圧バッテリの電圧を降圧し、その高圧電圧を低圧バッテリおよび低圧負荷に供給するDCDCコンバータの動作モードが、通常モードより消費電力が少ない省電力モードに設定される。その後、ステップS5において、モード切替対象負荷の起動操作が行われたと判定された場合、DCDCコンバータの動作モードが通常モードに変更される。本発明は、例えば、電動車両用のDCDCコンバータに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置および電力制御方法に関し、特に、電動車両の普通充電の充電効率を向上させるようにした電力変換装置および電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle、電気自動車)、HEV(Hybrid Electric Vehicle、ハイブリッドカー)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、プラグインハイブリッドカー)などの電動車両には、高圧バッテリと低圧バッテリの2種類のバッテリが通常設けられる。
【0003】
高圧バッテリは、例えば、電動車両の車輪を駆動し走行させるための主動力モータ、A/C(エアコンディショナ)のコンプレッサモータなどの高電圧の負荷(以下、高圧負荷と称する)用の電源として主に使用される。
【0004】
低圧バッテリは、例えば、各種のECU(Electronic Control Unit)、EPS(電動パワーステアリング)、電動ブレーキ、カーオーディオ機器、ワイパー、パワーウインドウ用のモータ、照明ランプなどの低電圧の負荷(以下、低圧負荷と称する)用の電源として主に使用される。
【0005】
高圧バッテリの充電は、例えば、急速充電および普通充電の2種類の充電方法により行うことができる。急速充電は、高圧バッテリを専用の急速充電装置に接続し、大電流により短時間で充電を行う充電方法である。普通充電は、専用の充電ケーブルを介して、電動車両に設けられている車載充電器を一般家庭やオフィスなどにある標準的なコンセント(英語でOutlet)に接続し、接続したコンセントの先にある電源から供給される電力を用いて充電を行う充電方法である。
【0006】
低圧バッテリの充電は、例えば、高圧バッテリの電圧をDCDCコンバータにより降圧して供給することにより行われる。従って、高圧バッテリの普通充電を行う際にも、低圧バッテリを充電するためにDCDCコンバータが動作する。そして、普通充電は長時間(例えば、8時間)に及ぶため、DCDCコンバータの電力損失の総計が無視できない値になり、充電効率に影響を及ぼす。
【0007】
一方、従来、DCDCコンバータ等のスイッチング電源では、電力の損失を削減し、高効率化するための工夫がなされている。
【0008】
例えば、出力電力に合わせて周波数を切り替えてスイッチングロスを軽減するスイッチング電源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、軽負荷時にスイッチングトランジスタのパルス幅変調制御における周波数を低くすることにより、内部クロックを発生させる際に必要とされる消費電流のうち、スイッチングトランジスタのゲート容量をチャージあるいはディスチャージするために必要とされる電流量を低減するDCDCコンバータが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
さらに、DCDCコンバータの出力電流に応じて、DCDCコンバータの発振周波数を可変することにより、エネルギー変換効率の高い電源回路を実現することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−222429号公報
【特許文献2】特開2000−201473号公報
【特許文献3】特開平10−323027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、普通充電中の電動車両の低圧負荷の動作を制限せずに、普通充電の充電効率を向上させるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面の電力変換装置は、スイッチング素子を備え、スイッチング素子を駆動することにより、電動車両の走行用の第1のバッテリの電圧を降圧し、その降圧電圧を第2のバッテリおよび負荷に供給する電力変換装置において、スイッチング素子の駆動を制御するスイッチング制御手段と、負荷のうち所定の対象負荷に対する起動操作の有無を検出する負荷監視手段と、第1のバッテリの充電の有無および充電方法を検出する充電検出手段と、第1のバッテリの充電中に電力変換装置の供給動作モードを第1のモードより消費電力が少ない第2のモードに設定するとともに、負荷監視手段が、第2のモードに設定している場合に対象負荷に対する起動操作を検出したとき、第1のモードに変更するモード設定手段とを備える。
【0014】
本発明の一側面の電力変換装置であって、スイッチング素子を備え、スイッチング素子を駆動することにより、電動車両の走行用の第1のバッテリの電圧を降圧し、その降圧電圧を第2のバッテリおよび負荷に供給する電力変換装置においては、スイッチング素子の駆動が制御され、所定の対象負荷に対する起動操作の有無が検出され、第1のバッテリの充電の有無および充電方法が検出され、第1のバッテリの充電中に電力変換装置の供給動作モードが第1のモードより消費電力が少ない第2のモードに設定されるとともに、第2のモードに設定している場合に対象負荷に対する起動操作が検出されたとき、第1のモードに変更される。
【0015】
従って、普通充電中の電動車両の低圧負荷の動作を制限せずに、普通充電の充電効率を向上させることができる。
【0016】
この電力変換装置は、例えば、DCDCコンバータにより構成される。このスイッチング制御手段、負荷監視手段、充電検出手段、および、モード設定手段は、例えば、CPU、MPUなどの演算装置により構成される。
【0017】
この電力変換装置には、第2のモードに設定されている場合、スイッチング素子の駆動の制御に用いるパラメータの少なくとも一部の検出を停止させるパラメータ検出制御手段をさらに設けることができる。
【0018】
これにより、電動車両の普通充電中に、パラメータ検出で消費される電力を削減することができる。
【0019】
このパラメータ検出制御手段は、例えば、CPU、MPUなどの演算装置により構成される。
【0020】
このスイッチング制御手段には、第2のモードに設定されている場合、検出が停止されているパラメータの異常時の対応処理を実行させないようにすることができる。
【0021】
これにより、電動車両の普通充電中に、パラメータの異常時の対応処理で消費される電力を削減することができる。
【0022】
この電力変換装置には、第2のモードに設定されている場合、第1のモードに設定されている場合より電力変換装置の制御周期を長くする制御周期制御手段をさらに設けることができる。
【0023】
これにより、電動車両の普通充電中に、電力変換装置の制御で消費される電力を削減することができる。
【0024】
この制御周期は、スイッチング素子の駆動の制御に用いるパラメータの検出を行う周期、および、スイッチング素子の駆動の制御を行う周期のうち少なくとも一方を含むようにすることができる。
【0025】
これにより、電動車両の普通充電中に、パラメータ検出で消費される電力、および、スイッチング素子の駆動制御で消費される電力のうち少なくとも一方を削減することができる。
【0026】
パラメータは、電力変換装置の入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流、および、温度のうち少なくとも1つを含むようにすることができる。
【0027】
この負荷監視手段には、対象負荷の状態をさらに検出させ、このモード設定手段には、第1のバッテリの普通充電の開始時に対象負荷が動作している場合、第1のモードに設定させるようにすることができる。
【0028】
これにより、電動車両の普通充電中に、対象負荷を動作させることができる。
【0029】
このモード設定手段には、第1のバッテリの普通充電中に第1のモードに設定している場合に全ての対象負荷の停止が検出されたとき、第2のモードに変更させるようにすることができる。
【0030】
これにより、電動車両の普通充電中の充電効率をより向上させることができる。
【0031】
このモード設定手段には、第1のバッテリの急速充電中に第1のモードに固定させるようにすることができる。
【0032】
これにより、電動車両の急速充電中に低圧負荷をより動作させることができる。
【0033】
本発明の一側面の電力制御方法は、スイッチング素子を備え、スイッチング素子を駆動することにより、電動車両の走行用の第1のバッテリの電圧を降圧し、その降圧電圧を第2のバッテリおよび負荷に供給する電力変換装置が、負荷のうち所定の対象負荷に対する起動操作の有無を検出し、第1のバッテリの充電の有無および充電方法を検出し、第1のバッテリの充電中に電力変換装置の供給動作モードを第1のモードより消費電力が少ない第2のモードに設定するとともに、第2のモードに設定している場合に対象負荷に対する起動操作が検出されたとき、第1のモードに変更するステップを含む。
【0034】
本発明の一側面の電力制御方法においては、スイッチング素子を備え、スイッチング素子を駆動することにより、電動車両の走行用の第1のバッテリの電圧を降圧し、その降圧電圧を第2のバッテリおよび負荷に供給する電力変換装置により、負荷のうち所定の対象負荷に対する起動操作の有無が検出され、第1のバッテリの充電の有無および充電方法が検出され、第1のバッテリの充電中に電力変換装置の供給動作モードが第1のモードより消費電力が少ない第2のモードに設定されるとともに、第2のモードに設定している場合に対象負荷に対する起動操作が検出されたとき、第1のモードに変更される。
【0035】
従って、普通充電中の電動車両の低圧負荷の動作を制限せずに、普通充電の充電効率を向上させることができる。
【0036】
この電力変換装置は、例えば、DCDCコンバータにより構成される。
【発明の効果】
【0037】
本発明の一側面によれば、普通充電中の電動車両の低圧負荷の動作を制限せずに、普通充電の充電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明を適用したDCDCコンバータを搭載した車両の電気系統の構成例を示すブロック図である。
【図2】電力の供給経路および通信経路の例を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用したDCDCコンバータの構成例を示す回路図である。
【図4】DCDCコンバータの電力変換部の構成例を示す回路図である。
【図5】電流検出回路の構成例を示す回路図である。
【図6】温度検出回路の構成例を示す回路図である。
【図7】出力電圧検出回路の構成例を示す回路図である。
【図8】IG電圧検出回路の構成例を示す回路図である。
【図9】入力電圧検出回路の構成例を示す回路図である。
【図10】制御部の機能の構成例を示すブロック図である。
【図11】高圧バッテリ充電時のDCDCコンバータの処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】省電力モード移行処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図13】通常モードの制御周期と省電力モードの制御周期を比較する図である。
【図14】通常モード移行処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図15】電力の供給経路および通信経路の他の例を示すブロック図である。
【図16】操作パネルに表示される操作画面の第1の例である。
【図17】操作パネルに表示される操作画面の第2の例である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。な
お、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0040】
<1.実施の形態>
[車両101の電気系統の構成例]
図1は、本発明を適用したDCDCコンバータを搭載した車両の電気系統の構成例を示すブロック図である。
【0041】
車両101は、高圧バッテリ113をエネルギー源とする電動車両である。
【0042】
高圧バッテリ113の充電は、急速充電および普通充電の2種類の充電方法により行うことができる。
【0043】
大電流を消費する急速充電は、車両101の高圧バッテリ113を専用の急速充電装置(不図示)に接続し、短時間で充電を行う充電方法である。
【0044】
一方、急速充電に比べて小さな電流を消費する普通充電は、専用の充電ケーブルを介して、車両101の車載充電器111を一般家庭やオフィスなどにある標準的なコンセント(英語でOutlet)に接続し、接続したコンセントの先にある電源から供給される電力を用いて、車載充電器111が高圧バッテリ113の充電を行う充電方法である。
【0045】
BMU112は、車載充電器111および急速充電装置とCAN(Controller Area Network)に準拠した通信を行い、高圧バッテリ113の普通充電および急速充電の制御を行う。
【0046】
高圧バッテリ113の電力は、インバータ114により直流から交流に変換され、車両101の走行を駆動するモータ115に供給される。また、高圧バッテリ113の電力は、DCDCコンバータ116により、所定の電圧に降圧され、低圧バッテリ117および低圧負荷118に供給される。さらに、高圧バッテリ113の電力は、モータ115およびDCDCコンバータ116以外にも、例えば、図示せぬエアコンディショナのコンプレッサモータなど高電圧で動作する高圧負荷に供給される。
【0047】
低圧バッテリ117は、DCDCコンバータ116から供給される電力により充電されるとともに、低圧負荷118に電力を供給する。
【0048】
低圧負荷118は、例えば、各種のECU、EPS、電動ブレーキ、カーオーディオ装置、カーナビゲーション装置、ワイパー、パワーウインドウ用のモータ、照明ランプ、エアコンディショナの制御回路などの低電圧で動作する負荷を含む。
【0049】
また、車載充電器111、BMU112、インバータ114、DCDCコンバータ116、および、低圧負荷118の一部(例えば、ECUなど)は、互いにCANに準拠した通信を行い、車両101の各部の状態や各種の指令等を示す信号や情報の授受を行う。
【0050】
さらに、後述するように、DCDCコンバータ116は、低圧負荷118のうち予め決められている負荷(以下、モード切替対象負荷)の操作や状態に基づいて、高圧バッテリ113の充電中の動作モードを切替える。
【0051】
モード切替対象負荷は、高圧バッテリ113の充電中のDCDCコンバータ116の動作モードの切替の判定に用いられる低圧負荷118である。例えば、カーオーディオ装置、カーナビゲーション装置、エアコンディショナの制御回路等、高圧バッテリ113の充電中に、ユーザ操作により起動および停止することが可能な低圧負荷118が選ばれる。なお、高圧バッテリ113の充電中に常時動作している低圧負荷118は、モード切替対象負荷から除かれる。
【0052】
図2は、車載充電器111、BMU112、高圧バッテリ113、DCDCコンバータ116、低圧バッテリ117、および、モード切替対象負荷131−1乃至131−nの間の電力の供給経路および通信経路の例を示すブロック図である。
【0053】
上述したように、車載充電器111は、高圧バッテリ113の普通充電を行う。また、高圧バッテリ113の電力はDCDCコンバータ116に入力され、DCDCコンバータ116により、所定の電圧に降圧され、低圧バッテリ117およびモード切替対象負荷131−1乃至131−nに供給される。
【0054】
また、車載充電器111、BMU112、DCDCコンバータ116、および、モード切替対象負荷131−1乃至131−nは、互いにCANに準拠した通信を行う。そして、モード切替対象負荷131−1乃至131−nは、ユーザにより行われた操作の種類、および、状態等を示す動作信号をBMU112に送信する。BMU112は、モード切替対象負荷131−1乃至131−nから受信した動作信号を、必要に応じてDCDCコンバータ116に送信する。これにより、DCDCコンバータ116は、モード切替対象負荷131−1乃至131−nの操作状況や状態を把握することができる。
【0055】
なお、以下、モード切替対象負荷131−1乃至131−nを個々に区別する必要がない場合、単に、モード切替対象負荷131と称する。
【0056】
[DCDCコンバータ116の構成例]
図3は、DCDCコンバータ116の構成例を示す回路図である。
【0057】
DCDCコンバータ116は、電力変換部151、補助電源152、電流検出回路153a,153b、温度検出回路154、出力電圧検出回路155、IG(イグニション)電圧検出回路156、制御部157、および、ドライブ回路158を含むように構成される。また、電力変換部151は、フィルタ回路171、スイッチング回路172、トランス173、ダイオード174a、174b、コイル175、および、コンデンサ176を含むように構成される。
【0058】
また、DCDCコンバータ116の入力端子Pは、高圧バッテリ113の正極に接続され、入力端子Nは、高圧バッテリ113の負極に接続されている。DCDCコンバータ116の出力端子+Bは、低圧バッテリ117の正極に接続され、出力端子GNDは、低圧バッテリ117の負極に接続されるとともに、接地されている。
【0059】
さらに、図2には、図1では図示が省略されている入力電圧異常検出回路181が図示されている。
【0060】
電力変換部151のスイッチング回路172は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのスイッチング素子を用いた、フルブリッジ方式、ハーフブリッジ方式などのインバータにより構成される。そして、高圧バッテリ113から供給される電力は、スイッチング回路172により交流変換される。フィルタ回路171は、スイッチング回路172のスイッチング制御により生じる高周波のノイズを、DCDCコンバータ116の入力側から外部に漏れないように除去する役割を果たす。また、フィルタ回路171は、図1に示されるモータ115からの駆動ノイズを除去する役割も有する。
【0061】
スイッチング回路172により交流変換された電力は、トランス173により電圧変換されるとともに、トランス173およびダイオード174a,174bにより構成される整流回路により所定の電圧(例えば、14V)に直流変換される。そして、コイル175およびコンデンサ176により構成されるLCフィルタにより高調波成分が除去されて、電圧が変換された直流電力が出力される。
【0062】
補助電源152は、高圧バッテリ113から供給される電力の電圧を所定の電圧(例えば、12V)に変換し、制御部157に動作用の電源として供給する。
【0063】
電流検出回路153aは、スイッチング回路172に入力される前の電流、すなわち、DCDCコンバータ116の入力電流Iinを検出し、検出結果を示す信号を制御部157に供給する。
【0064】
電流検出回路153bは、DCDCコンバータ116(電力変換部151)の出力電流Ioutを検出し、検出結果を示す信号を制御部157に供給する。
【0065】
なお、以下、電流検出回路153a,153bを個々に区別する必要がない場合、単に、電流検出回路153と称する。
【0066】
温度検出回路154は、例えば、スイッチング回路172内のスイッチング素子の周辺に設置される。そして、温度検出回路154は、スイッチング回路172の周囲の温度Taを検出し、検出結果を示す信号を制御部157に供給する。
【0067】
出力電圧検出回路155は、コンデンサ176と出力端子+Bの間の検出ポイントP2におけるDCDCコンバータ116(電力変換部151)の出力電圧Voutを検出し、検出結果を示す信号を制御部157に供給する。
【0068】
IG電圧検出回路156は、入力端子IGから入力される車両101のイグニション電源からのイグニション信号に基づいて、IG電圧Vigを検出し、検出結果を示す信号を制御部157に供給する。
【0069】
なお、イグニション信号は、補助電源152にも供給される。
【0070】
入力電圧異常検出回路181は、DCDCコンバータ116の端子Tから出力される、フィルタ回路171とスイッチング回路172との間の検出ポイントP1における入力電圧Vinの異常の有無を検出する。入力電圧異常検出回路181は、CANに準拠した通信により、検出結果を示す信号を制御部157に供給する。
【0071】
制御部157は、入力電流Iin、出力電圧Vout、出力電流Iout、および、スイッチング回路の周囲の温度Ta、並びに、入力電圧Vinの異常の有無に基づいて、スイッチング回路172のスイッチング周波数および出力電圧Voutの目標値を設定する。そして、制御部157は、設定したスイッチング周波数および出力電圧Voutの目標値を指令値としてドライブ回路158に与える。また、制御部157は、BMU112、低圧負荷118などの外部の装置とCANに準拠した通信を行い、各種の信号や情報の授受を行う。さらに、制御部157は、高圧バッテリ113の充電の有無および充電方法、並びに、モード切替対象負荷131に対する操作およびモード切替対象負荷131の状態に基づいて、DCDCコンバータ116の動作モードを設定する。
【0072】
ドライブ回路158は、制御部157により指令されたスイッチング周波数の駆動信号をスイッチング回路172に供給するとともに、スイッチング回路172のPWM制御(例えば、Duty比の制御など)を行い、電力変換部151の出力電圧Voutが制御部157からの指令値になるように、スイッチング回路172の出力電圧を制御する。
【0073】
[電力変換部151の構成例]
図4は、DCDCコンバータ116の電力変換部151の構成の一例を示している。
【0074】
電力変換部151は、例えば、図4に示されるような共振電源により構成される。
【0075】
なお、図4の電力変換部151において、フィルタ回路171は、コンデンサにより構成される。また、スイッチング回路172は、スイッチング素子201a乃至201d、コンデンサ202a乃至202d、および、コイル203からなる単相フルブリッジ方式のインバータにより構成される。
【0076】
[電流検出回路153の構成例]
図5は、電流検出回路153の構成例を示している。
【0077】
電流検出回路153は、半導体スイッチ301、コンデンサ302、および、電流センサ303を含むように構成される。
【0078】
半導体スイッチ301の一端は、電源V1に接続され、他の一端は、電流センサ303の端子Vccおよびコンデンサ302の一端に接続されている。コンデンサ302の他の一端は、電流センサ303の端子GNDに接続されるとともに、接地されている。電流センサ303の出力端子OUTは、制御部157に接続されている。
【0079】
半導体スイッチ301は、制御部157の制御の基に、オンまたはオフする。そして、半導体スイッチ301がオンされている場合、電流センサ303は、電流の検出を行い、検出結果を示す信号を端子OUTから出力し、制御部157に供給する。一方、半導体スイッチ301がオフされている場合、電流センサ303は、電流の検出および検出結果を示す信号の出力を停止する。
【0080】
なお、電源V1は、例えば、補助電源152により構成される。
【0081】
[温度検出回路154の構成例]
図6は、温度検出回路154の構成例を示している。
【0082】
温度検出回路154は、半導体スイッチ321、サーミスタ322、抵抗323、および、コンデンサ324を含むように構成される。
【0083】
半導体スイッチ321の一端は、電源V1に接続され、他の一端は、サーミスタ322の一端に接続されている。サーミスタ322の他の一端は、抵抗323の一端、コンデンサ324の一端、および、制御部157に接続されている。抵抗323の他の一端、および、コンデンサ324の他の一端は接地されている。
【0084】
半導体スイッチ321は、制御部157の制御の基に、オンまたはオフする。そして、半導体スイッチ301がオンされている場合、温度検出回路154は、スイッチング回路172の周囲の温度Taの検出結果として、温度Taにより変化するサーミスタ322の抵抗値に応じた電圧を示す信号を制御部157に供給する。一方、半導体スイッチ301がオンされていない場合、温度検出回路154は、温度Taに関わらず、一定(接地レベル)の信号を制御部157に供給する。
【0085】
[出力電圧検出回路155の構成例]
図7は、出力電圧検出回路155の構成例を示している。
【0086】
出力電圧検出回路155は、半導体スイッチ341、抵抗342、抵抗343、ダイオード344、ダイオード345、および、コンデンサ346を含むように構成される。
【0087】
半導体スイッチ341の一端は、DCDCコンバータ116の電力変換部151の検出ポイントP2に接続され、他の一端は、抵抗342の一端に接続されている。抵抗342の他の一端は、抵抗343の一端、ダイオード344のアノード、ダイオード345のカソード、コンデンサ346の一端、および、制御部157に接続されている。抵抗343の他の一端、および、コンデンサ346の他の一端は、接地されている。ダイオード344のカソードは電源V1に接続され、ダイオード345のアノードは接地されている。
【0088】
半導体スイッチ341は、制御部157の制御の基に、オンまたはオフする。そして、半導体スイッチ341がオンされている場合、出力電圧検出回路155は、出力電圧Voutに応じた電圧の信号を制御部157に供給する。一方、半導体スイッチ341がオフされている場合、出力電圧検出回路155は、出力電圧Voutに関わらず、一定(接地レベル)の信号を制御部157に供給する。
【0089】
[IG電圧検出回路156の構成例]
図8は、IG電圧検出回路156の構成例を示している。
【0090】
IG電圧検出回路156は、半導体スイッチ361、抵抗362、抵抗363、ダイオード364、ダイオード365、および、コンデンサ366を含み、図7の出力電圧検出回路155と同様の回路構成を有している。なお、半導体スイッチ361の一端は、DCDCコンバータ116の端子IGに接続されている。
【0091】
従って、半導体スイッチ361がオンされている場合、IG電圧検出回路156は、IG電圧Vigに応じた電圧の信号を制御部157に供給する。一方、半導体スイッチ361がオフされている場合、IG電圧検出回路156は、IG電圧Vigに関わらず、一定(接地レベル)の信号を制御部157に供給する。
【0092】
[入力電圧異常検出回路181の構成例]
図9は、入力電圧異常検出回路181の構成例を示している。
【0093】
入力電圧異常検出回路181は、半導体スイッチ381、抵抗382、抵抗383、コンデンサ384、および、異常検出回路385を含むように構成される。
【0094】
半導体スイッチ381の一端は、DCDCコンバータ116の端子Tに接続され、他の一端は、抵抗382の一端に接続されている。抵抗382の他の一端は、抵抗383の一端、コンデンサ384の一端、および、異常検出回路385に接続されている。抵抗383の他の一端、および、コンデンサ384の他の一端は、接地されている。異常検出回路385は、制御部157に接続されている。
【0095】
半導体スイッチ381は、制御部157の制御の基に、オンまたはオフする。そして、半導体スイッチ381がオンされている場合、異常検出回路385は、DCDCコンバータ116の端子Tから出力される入力電圧Vinの異常の有無を検出し、検出結果を示す信号を制御部157に供給する。一方、半導体スイッチ381がオフされている場合、異常検出回路385は、入力電圧Vinの異常の有無の検出、および、検出結果の出力を停止する。
【0096】
[制御部157の構成例]
図10は、制御部157の機能の構成例を示すブロック図である。制御部157は、通信部401、充電検出部402、負荷監視部403、モード設定部404、パラメータ検出制御部405、制御周期制御部406、および、スイッチング制御部407を含むように構成される。
【0097】
通信部401は、BMU112、低圧負荷118の一部、および、入力電圧異常検出回路181等とCANに準拠した通信を行い、各種の信号や情報の授受を行う。また、通信部401は、取得した信号や情報を、必要に応じて充電検出部402、負荷監視部403、モード設定部404、パラメータ検出制御部405、および、スイッチング制御部407に供給する。
【0098】
充電検出部402は、通信部401を介してBMU112から供給される情報に基づいて、高圧バッテリ113の充電の有無および充電方法(急速充電または普通充電)を検出する。充電検出部402は、検出結果をモード設定部404に通知する。
【0099】
負荷監視部403は、通信部401を介してBMU112から供給される情報に基づいて、モード切替対象負荷131に対する操作の有無および操作の種類、並びに、モード切替対象負荷131の状態を検出し、検出結果をモード設定部404に通知する。
【0100】
モード設定部404は、高圧バッテリ113の充電の有無および充電方法、並びに、モード切替対象負荷に対する操作およびモード切替対象負荷の状態に基づいて、DCDCコンバータ116の動作モードを設定する。モード設定部404は、設定した動作モードをパラメータ検出制御部405、および、制御周期制御部406に通知する。
【0101】
なお、DCDCコンバータ116の動作モードには、後述するように、通常モードと省電力モードの2種類のモードがある。
【0102】
パラメータ検出制御部405は、スイッチング素子201a乃至201dの駆動の制御に用いるパラメータを検出したり、パラメータを検出する検出手段のオンまたはオフを制御したりする。
【0103】
具体的には、パラメータ検出制御部405は、電流検出回路153a,153b、温度検出回路154、出力電圧検出回路155、および、IG電圧検出回路156から供給される信号に基づいて、入力電流Iin、出力電流Iout、スイッチング回路172の周囲の温度Ta、出力電圧Vout、および、IG電圧Vigを検出する。また、パラメータ検出制御部405は、通信部401を介して入力電圧異常検出回路181から受信する信号に基づいて、入力電圧Vinの異常の有無を検出する。そして、パラメータ検出制御部405は、検出結果をスイッチング制御部407に通知する。
【0104】
また、パラメータ検出制御部405は、モード設定部404により設定された動作モードに従って、電流検出回路153a,153b、温度検出回路154、IG電圧検出回路156、および、入力電圧異常検出回路181のオンまたはオフを制御する。
【0105】
制御周期制御部406は、モード設定部404により設定された動作モードに従って、DCDCコンバータ116の制御周期を制御する。例えば、制御周期制御部406は、パラメータ検出制御部405が各パラメータを検出する周期を制御する。また、例えば、制御周期制御部406は、スイッチング制御部407が、ドライブ回路158を介してスイッチング回路172のスイッチング素子201a乃至201dの駆動を制御する周期を制御する。
【0106】
スイッチング制御部407は、パラメータ検出制御部405により検出された各パラメータに基づいて、スイッチング回路172のスイッチング周波数、および、出力電圧Voutの目標値を設定する。そして、スイッチング制御部407は、設定したスイッチング周波数および出力電圧Voutの目標値を指令値としてドライブ回路158に与えることにより、ドライブ回路158を介して、スイッチング回路172のスイッチング素子201a乃至201dの駆動を制御する。
【0107】
[高圧バッテリ113充電時のDCDCコンバータ116の処理]
次に、図11のフローチャートを参照して、高圧バッテリ113充電時のDCDCコンバータ116の処理について説明する。
【0108】
なお、この処理は、例えば、車両101の高圧バッテリ113の充電が開始され、DCDCコンバータ116の充電検出部402が、通信部401を介してBMU112から、高圧バッテリ113の充電の開始を通知する信号を受信したとき開始される。
【0109】
ステップS1において、充電検出部402は、BMU112から受信した信号に基づいて、高圧バッテリ113の充電が、普通充電であるか否かを判定する。普通充電であると判定された場合、処理はステップS2に進む。
【0110】
ステップS2において、負荷監視部403は、通信部401を介してBMU112から受信する動作信号に基づいて、モード切替対象負荷131が動作しているか否かを判定する。モード切替対象負荷131が全て動作していないと判定された場合、処理はステップS3に進む。
【0111】
ステップS3において、DCDCコンバータ116は、省電力モード移行処理を実行し、その後、処理はステップS4に進む。
【0112】
ここで、図12のフローチャートを参照して、省電力モード移行処理の詳細について説明する。
【0113】
ステップS51において、モード設定部404は、省電力モードに設定されているか否かを判定する。省電力モードに設定されていないと判定された場合、処理はステップS52に進む。
【0114】
ステップS52において、モード設定部404は、DCDCコンバータ116の動作モードを省電力モードに設定する。そして、モード設定部404は、省電力モードに設定したことを、パラメータ検出制御部405および制御周期制御部406に通知する。
【0115】
ステップS53において、DCDCコンバータ116は、検出機能の一部をオフする。例えば、パラメータ検出制御部405は、電流検出回路153aの半導体スイッチ301、電流検出回路153bの半導体スイッチ301、温度検出回路154の半導体スイッチ321、IG電圧検出回路156の半導体スイッチ361、および、入力電圧異常検出回路181の半導体スイッチ381をオフし、これらの検出回路の動作を停止させる。その結果、複数の検出回路のうち、出力電圧検出回路155のみが動作した状態となる。
【0116】
これにより、動作を停止した検出回路の抵抗やセンサ等で消費される電力を削減することができる。
【0117】
ステップS54において、パラメータ検出制御部405は、停止した検出機能の検出値を固定する。具体的には、パラメータ検出制御部405は、検出を停止した入力電流Iin、出力電流Iout、スイッチング回路172の周囲の温度Ta、および、IG電圧Vigの検出値を、所定の正常値に固定してスイッチング制御部407に通知するようにする。また、パラメータ検出制御部405は、入力電圧Vinの異常検出結果を異常なしに固定してスイッチング制御部407に通知するようにする。
【0118】
なお、パラメータ検出制御部405は、検出が継続される出力電圧Voutについては、実際の検出値をそのままスイッチング制御部407に通知する。
【0119】
ステップS55において、スイッチング制御部407は、フェール機能の一部をオフする。すなわち、スイッチング制御部407は、検出が停止された入力電流Iin、出力電流Iout、スイッチング回路172の周囲の温度Ta、IG電圧Vig、および、入力電圧Vinの異常に対するフェール機能を実行しないようにする。
【0120】
なお、フェール機能とは、検出されたパラメータの異常時の対応処理を実行する機能である。異常時の対応処理には、例えば、異常を回避したり、DCDCコンバータ116の故障を回避したりするために、スイッチング回路172の動作を停止させたり、スイッチング周波数を下げたりする処理などが含まれる。
【0121】
ステップS56において、制御周期制御部406は、制御周期を長くする。すなわち、制御周期制御部406は、例えば、DCDCコンバータ116の動作に用いるクロック信号の周期等を長くすることにより、図13に示されるように、制御周期を通常モードより長くする。これにより、DCDCコンバータ116の各部の動作周期(例えば、パラメータ検出制御部405のパラメータの検出周期、スイッチング制御部407のスイッチング素子201a乃至201dの駆動制御周期等)が長くなり、その分消費電力が削減される。
【0122】
その後、省電力モード移行処理は終了する。
【0123】
一方、ステップS51において、すでに省電力モードに設定されていると判定された場合、ステップS52乃至S56の処理は行われずに、省電力モード移行処理は終了する。
【0124】
なお、普通充電は、充電時間が長いため、主に夜間に実施されることが想定される。従って、車両101内に人がいる可能性が低く、モード切替対象負荷131が動作する可能性も低いと想定され、DCDCコンバータ116の負荷が小さく、負荷変動も非常に小さいと考えられる。そのため、フェール機能の一部をオフしたり、制御周期を長くしたりしても、動作や安全性等にあまり影響はないと考えられる。
【0125】
そこで、上述したように、普通充電時には、省電力モードに設定して、DCDCコンバータ116を最小限の制御で動作させる。その結果、DCDCコンバータ116およびその周辺(各検出回路等)の損失が低減し、充電効率が向上する。
【0126】
図11に戻り、一方、ステップS2において、モード切替対象負荷131のうち少なくとも1つが動作していると判定された場合、処理はステップS4に進む。
【0127】
ステップS4において、DCDCコンバータ116は、通常モード移行処理を実行し、その後、処理はステップS5に進む。
【0128】
ここで、図14のフローチャートを参照して、通常モード移行処理の詳細について説明する。
【0129】
ステップS71において、モード設定部404は、通常モードに設定されているか否かを判定する。通常モードに設定されていないと判定された場合、処理はステップS72に進む。
【0130】
ステップS72において、モード設定部404は、DCDCコンバータ116の動作モードを通常モードに設定する。そして、モード設定部404は、通常モードに設定したことを、パラメータ検出制御部405および制御周期制御部406に通知する。
【0131】
ステップS73において、制御周期制御部406は、制御周期を短くする。すなわち、制御周期制御部406は、上述した図12のステップS56の処理で長く設定した制御周期を短くし、通常の制御周期に戻す。
【0132】
ステップS74において、DCDCコンバータ116は、検出機能を全てオンする。すなわち、パラメータ検出制御部405は、上述した図12のステップS53の処理で停止した検出機能を全てオンする。
【0133】
ステップS75において、パラメータ検出制御部405は、停止していた検出機能の検出値の固定を解除する。すなわち、パラメータ検出制御部405は、上述した図12のステップS54の処理で、スイッチング制御部407に所定の固定値を通知するようにした検出値について、実際に検出された値をスイッチング制御部407に通知するようにする。
【0134】
ステップS76において、DCDCコンバータ116は、フェール機能を全てオンする。すなわち、DCDCコンバータ116は、上述した図12のステップS55の処理で停止したフェール機能を全てオンする。
【0135】
その後、通常モード移行処理は終了する。
【0136】
一方、ステップS71において、すでに通常モードに設定されていると判定された場合、ステップS72乃至S76の処理は行われずに、通常モード移行処理は終了する。
【0137】
このように、普通充電の開始時に、モード切替対象負荷131が動作している場合、DCDCコンバータ116の負荷が大きくなり、負荷変動も大きくなるため、DCDCコンバータ116は、通常の制御で動作するようになる。
【0138】
図11に戻り、ステップS5において、負荷監視部403は、モード切替対象負荷131の起動操作が行われたか否かを判定する。負荷監視部403は、通信部401を介してBMU112から受信した動作信号に基づいて、モード切替対象負荷131のうち少なくとも1つの起動操作が行われたことを検出した場合、モード切替対象負荷131の起動操作が行われたと判定し、処理はステップS6に進む。
【0139】
ステップS6において、DCDCコンバータ116は、ステップS4の処理と同様に、通常モード移行処理を実行し、その後、処理はステップS9に進む。
【0140】
このように、普通充電時に、モード切替対象負荷131に対する起動操作が行われた場合、DCDCコンバータ116の負荷が大きくなり、負荷変動も大きくなると想定されるため、通常モードに戻し、DCDCコンバータ116を通常の制御で動作させる。
【0141】
また、モード切替対象負荷131の起動操作が行われたと判定された時点で通常モードに移行することにより、モード切替対象負荷131の起動時の過渡的な電圧または電流の変動に適切に対処することが可能になる。一方、実際にモード切替対象負荷131が起動した後に通常モードに移行するようにした場合、モード切替対象負荷131の起動時にDCDCコンバータ116が省電力モードで動作し、その結果、過渡的な電圧または電流の変動に適切に対処できないことが想定される。
【0142】
図11に戻り、一方、ステップS5において、モード切替対象負荷131の起動操作が行われていないと判定された場合、処理はステップS7に進む。
【0143】
ステップS7において、負荷監視部403は、通信部401を介してBMU112から受信する動作信号に基づいて、モード切替対象負荷131が全て停止しているか否かを判定する。モード切替対象負荷131が全て停止していると判定された場合、処理はステップS8に進む。
【0144】
ステップS8において、ステップS3の処理と同様に、省電力モード移行処理が実行される。これにより、モード切替対象負荷131の少なくとも1つに対して起動操作が行われ、通常モードに移行した後、モード切替対象負荷131が全て停止した時点で、省電力モードに移行する。
【0145】
一方、ステップS7において、モード切替対象負荷131のうち少なくとも1つが動作していると判定された場合、ステップS8の処理はスキップされ、処理はステップS9に進む。
【0146】
ステップS9において、充電検出部402は、通信部401を介しBMU112から受信する信号に基づいて、充電の終了が指令されたか否かを判定する。充電の終了が指令されていないと判定された場合、処理はステップS10に進む。
【0147】
ステップS10において、充電検出部402は、通信部401を介してBMU112から受信する信号に基づいて、高圧バッテリ113が満充電になったか否かを判定する。高圧バッテリ113が満充電になっていないと判定された場合、処理はステップS5に戻る。
【0148】
その後、ステップS9において、充電の終了が指令されたと判定されるか、ステップS10において、高圧バッテリ113が満充電になったと判定されるまで、ステップS5乃至S10の処理が繰り返し実行される。
【0149】
一方、ステップS9において、充電の終了が指令されたと判定されるか、または、ステップS10において、高圧バッテリ113が満充電になったと判定された場合、図11の処理は終了する。
【0150】
一方、ステップS1において、急速充電であると判定された場合、処理はステップS11に進む。
【0151】
ステップS11において、ステップS4の処理と同様に、通常モード移行処理が実行される。
【0152】
ステップS12において、ステップS9の処理と同様に、充電の終了が指令されたか否かが判定され、充電の終了が指令されていないと判定された場合、処理はステップS13に進む。
【0153】
ステップS13において、ステップS10の処理と同様に、高圧バッテリ113が満充電になったか否かが判定され、高圧バッテリ113が満充電になっていないと判定された場合、処理はステップS12に戻る。
【0154】
その後、ステップS12において、充電の終了が指令されたと判定されるか、ステップS13において、高圧バッテリ113が満充電になったと判定されるまで、ステップS12およびS13の処理が繰り返し実行される。
【0155】
一方、ステップS12において、充電の終了が指令されたと判定されるか、または、ステップS13において、高圧バッテリ113が満充電になったと判定された場合、図11の処理は終了する。
【0156】
すなわち、高速充電の場合、充電時間が短く、DCDCコンバータ16の消費電力が充電効率に及ぼす影響が小さく、また、車内に人がいて、低圧負荷118が動作している可能性が高いため、DCDCコンバータ16は通常モードで動作する。
【0157】
このように、高圧バッテリ113の普通充電中、基本的にDCDCコンバータ16が省電力モードで動作するため、消費電力を削減し、充電効率を向上させることができる。
【0158】
また、高圧バッテリ113の普通充電中であっても、モード切替対象負荷131の起動操作が行われた場合に、即座に通常モードに移行するため、モード切替対象負荷131を正常に動作させることができる。
【0159】
<2.変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0160】
[変形例1]
例えば、図15に示されるように、操作パネル501から各モード切替対象負荷131に対する操作を行うようにして、操作パネル501から各モード切替対象負荷131の動作信号をBMU112に供給するようにしてもよい。
【0161】
なお、操作パネル501は、低圧負荷118の1つであり、モード切替対象負荷131を操作するためのユーザインタフェースを提供する。
【0162】
図16および図17は、操作パネル501に表示される操作画面の一例を示している。
【0163】
図16は、車両101の普通充電中に操作パネル501に表示される操作画面の例を示している。この操作画面には、普通充電中であることが表示されるとともに、充電の残り時間が表示されている。
【0164】
また、この操作画面には、モード切替対象負荷131を操作するためのボタン531乃至533が表示されている。具体的には、ボタン531は、モード切替対象負荷131の1つであるエアコンディショナ(の制御回路)の操作画面を表示させるためのボタンである。ボタン532は、モード切替対象負荷131の1つであるカーオーディオ装置およびカーナビゲーション装置の操作画面を表示させるためのボタンである。ボタン533は、その他のモード切替対象負荷131の操作画面を表示させるためのボタンである。
【0165】
図17は、図16の操作画面で、ボタン531が押下されたときに表示される操作画面の例を示している。この操作画面には、普通充電中であることが示されている。
【0166】
また、この操作画面には、モード切替対象負荷131を操作するためのボタン551乃至556が表示されている。具体的には、ボタン551および552は、車両101の前席のエアコンディショナの温度を上げるまたは下げるためのボタンである。ボタン553は、車両101の後席のエアコンディショナの温度設定の操作画面を表示させるためのボタンである。ボタン554は、車両101のトランクのエアコンディショナの温度設定の操作画面を表示させるためのボタンである。ボタン555は、カーオーディオ装置およびカーナビゲーション装置の操作画面を表示させるためのボタンである。ボタン556は、その他の装置の操作画面を表示させるためのボタンである。
【0167】
また、操作パネル501は、CANに準拠した通信により、モード切替対象負荷131およびBMU112と通信を行う。そして、操作パネル501は、ユーザにより行われた操作の種類等を示す信号をモード切替対象負荷131に送信し、モード切替対象負荷131の状態等を示す信号をモード切替対象負荷131から受信する。また、操作パネル501は、ユーザにより行われた操作の種類、および、モード切替対象負荷131の状態等を示す動作信号をBMU112に送信し、高圧バッテリ113の充電状態等を示す情報をBMU112から受信する。
【0168】
[変形例2]
また、上述した省電力モード時に停止する検出機能の種類の組み合わせは、その一例であり、他の組み合わせに設定することも可能である。
【0169】
[変形例3]
さらに、以上の説明では、省電力モード時に、パラメータ検出機能の一部を停止するようにしたが、停止せずに、検出周期を長くするようにしてもよい。
【0170】
[変形例4]
また、省電力モード時に、上述したパラメータの検出周期、および、スイッチング素子201a乃至201dの駆動制御周期以外の他の制御周期を長くするようにしてもよい。
【0171】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、制御部157など、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0172】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0173】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0174】
101 車両
112 BMU
113 高圧バッテリ
116 DCDCコンバータ
117 低圧バッテリ
118 低圧負荷
131 モード切替対象負荷
151 電力変換部
153a,153b 電流検出回路
154 温度検出回路
155 出力電圧検出回路
156 IG電圧検出回路
157 制御部
158 ドライブ回路
172 スイッチング回路
181 入力電圧異常検出回路
201a乃至201d スイッチング素子
301,321,341,361,381 半導体スイッチ
401 通信部
402 充電検出部
403 負荷監視部
404 モード設定部
405 パラメータ検出制御部
406 制御周期制御部
407 スイッチング制御部
501 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を備え、前記スイッチング素子を駆動することにより、電動車両の走行用の第1のバッテリの電圧を降圧し、その降圧電圧を第2のバッテリおよび負荷に供給する電力変換装置において、
前記スイッチング素子の駆動を制御するスイッチング制御手段と、
前記負荷のうち所定の対象負荷に対する起動操作の有無を検出する負荷監視手段と、
前記第1のバッテリの充電の有無および充電方法を検出する充電検出手段と、
前記第1のバッテリの充電中に前記電力変換装置の供給動作モードを第1のモードより消費電力が少ない第2のモードに設定するとともに、前記第2のモードに設定している場合に、前記負荷監視手段が、前記対象負荷に対する起動操作を検出したとき、前記第1のモードに変更するモード設定手段と
備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記第2のモードに設定されている場合、前記スイッチング素子の駆動の制御に用いるパラメータの少なくとも一部の検出を停止させるパラメータ検出制御手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記スイッチング制御手段は、前記第2のモードに設定されている場合、検出が停止されている前記パラメータの異常時の対応処理を実行しない
ことを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第2のモードに設定されている場合、前記第1のモードに設定されている場合より前記電力変換装置の制御周期を長くする制御周期制御手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御周期は、前記スイッチング素子の駆動の制御に用いるパラメータの検出を行う周期、および、前記スイッチング素子の駆動の制御を行う周期のうち少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記パラメータは、前記電力変換装置の入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流、および、温度のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項2、3および5のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記負荷監視手段は、前記対象負荷の状態をさらに検出し、
前記モード設定手段は、前記第1のバッテリの普通充電の開始時に前記対象負荷が動作している場合、前記第1のモードに設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記モード設定手段は、前記第1のバッテリの普通充電中に前記第1のモードに設定している場合に全ての前記対象負荷の停止が検出されたとき、前記第2のモードに変更する
ことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記モード設定手段は、前記第1のバッテリの急速充電中に前記第1のモードに固定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項10】
スイッチング素子を備え、前記スイッチング素子を駆動することにより、電動車両の走行用の第1のバッテリの電圧を降圧し、その降圧電圧を第2のバッテリおよび負荷に供給する電力変換装置が、
前記負荷のうち所定の対象負荷に対する起動操作の有無を検出し、
前記第1のバッテリの充電の有無および充電方法を検出し、
前記第1のバッテリの充電中に前記電力変換装置の供給動作モードを第1のモードより消費電力が少ない第2のモードに設定するとともに、前記第2のモードに設定している場合に前記対象負荷に対する起動操作が検出されたとき、前記第1のモードに変更する
ステップを含むことを特徴とする電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−182894(P2012−182894A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43518(P2011−43518)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】