説明

電力調整器及び電力調整方法

【課題】複数の制御対象に対して、出力ピークの重なりを抑制することのできる電力調整器を得る。
【解決手段】出力信号演算手段102は、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させる。または、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス信号に一致させて出力する。電力制御手段103は、出力信号演算手段102の出力起動信号と出力停止信号とに基づいて、各制御対象400−1〜400−nへの電力を開閉制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばヒータといった複数の制御対象の電力制御を行う電力調整器及び電力調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のヒータを備えた工業炉内を均一な温度に保つためには、各ヒータ部に設定温度を設けてヒータ単位で制御を行っている。この場合、ヒータ毎に独立した複数の調節器を使用すると各調節器が連携していないため、出力ピークが重なってしまう。
一方、複数のヒータを制御するマルチチャンネル式として、例えば、交流電源の半周期に同期した信号にオフセット時間分ずらして出力することで各ヒータへの電力配分を平均化する技術があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−77345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来のマルチチャンネルの制御では、出力停止を交流電源の半周期に合わせる必要があり、また各ヒータ間のオフセット時間の設定手法が開示されていないため、複数のヒータを備える場合には出力ピークの重なりを確実にずらすことができなかった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、複数の制御対象に対して、出力ピークの重なりを抑制することのできる電力調整器及び電力調整方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電力調整器は、複数の制御対象に対するそれぞれの電力供給量に基づいて交流電圧の位相制御を行い、複数の制御対象への電力制御を行う電力調整器において、交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出手段と、複数の制御対象に対する制御量に応じて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成し、これら信号をゼロクロス点に同期して出力する出力信号演算手段と、出力信号演算手段の出力起動信号と出力停止信号とに基づいて、制御対象への電力を開閉制御する電力制御手段とを備えたものである。
【0007】
この発明に係る電力調整器は、出力信号演算手段が、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させるか、または、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させて出力するようにしたものである。
【0008】
また、この発明に係る電力調整器は、出力信号演算手段は、さらに別の制御対象については、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、さらに別の制御対象への出力起動信号と一つの制御対象の出力停止信号とを一致させるか、またはさらに別の制御対象への出力停止信号と別の制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、さらに別の制御対象への出力起動信号と別の制御対象の出力停止信号とを一致させるか、またはさらに別の制御対象への出力停止信号と一つの制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0009】
また、この発明に係る電力調整器は、出力信号演算手段は、さらに別の制御対象については、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、一つの制御対象の出力停止信号と別の制御対象の出力起動信号との中間点とさらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、別の制御対象への出力停止信号と一つの制御対象の出力起動信号との中間点と、さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0010】
また、この発明に係る電力調整器は、出力信号演算手段は、各制御対象の出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%以内の場合に、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0011】
また、この発明に係る電力調整器は、出力信号演算手段は、各制御対象の出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%を超過する場合は、合計出力範囲が100%以内となるように各制御対象を複数のグループに分割すると共に、該グループ単位で制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0012】
また、この発明に係る電力調整器は、出力信号演算手段は、上位制御機器から所定の信号を入力した場合に、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0013】
また、この発明に係る電力調整方法は、複数の制御対象に対するそれぞれの電力供給量に基づいて交流電圧の位相制御を行い、複数の制御対象への電力制御を行う電力調整方法において、交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出ステップと、複数の制御対象に対する制御量に応じて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成し、これら信号をゼロクロス点に同期して出力する出力信号演算ステップと、出力信号演算ステップで出力された出力起動信号と出力停止信号とに基づいて、制御対象への電力を開閉制御する電力制御ステップとを備えたものである。
【0014】
また、この発明に係る電力調整方法は、出力信号演算ステップにおいて、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させるか、または、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させて出力するようにしたものである。
【0015】
また、この発明に係る電力調整方法は、さらに別の制御対象について、出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、さらに別の制御対象への出力起動信号と一つの制御対象の出力停止信号とを一致させるか、またはさらに別の制御対象への出力停止信号と別の制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、さらに別の制御対象への出力起動信号と別の制御対象の出力停止信号とを一致させるか、またはさらに別の制御対象への出力停止信号と一つの制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0016】
また、この発明に係る電力調整方法は、さらに別の制御対象について、出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、一つの制御対象の出力停止信号と別の制御対象の出力起動信号との中間点とさらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、別の制御対象への出力停止信号と一つの制御対象の出力起動信号との中間点と、さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0017】
また、この発明に係る電力調整方法は、出力信号演算ステップにおいて、各制御対象の出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%以内の場合に、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0018】
また、この発明に係る電力調整方法は、出力信号演算ステップにおいて、各制御対象の出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%を超過する場合は、合計出力範囲が100%以内となるように各制御対象を複数のグループに分割すると共に、該グループ単位で制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【0019】
また、この発明に係る電力調整方法は、上位制御機器から所定の信号を入力した場合に、出力信号演算ステップにおいて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明の電力調整器は、複数の制御対象に対する制御量に応じて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成し、これら信号をゼロクロス点に同期して出力するようにしたので、複数の制御対象への交流電力の出力タイミングをずらすことができ、消費電力のピークを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1による電力調整器を含む電力調整装置の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電力調整器の動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1による電力調整器の各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2による電力調整器の各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2による電力調整器の別の制御による各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2による電力調整器の制御対象が4台の場合の各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2による電力調整器の制御対象が4台の場合の別の制御による各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態3による電力調整器の制御対象が3台の場合の各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態3による電力調整器の制御対象が4台の場合の各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電力調整器を含む電力調整装置の構成図である。
図において、電力調整装置は、電力調整器100と、上位制御機器200と、交流電源回路300と、複数の制御対象400−1〜400−nとを備えている。
電力調整器100は、上位制御機器200からの出力量信号に基づいて制御対象400−1〜400−nへの出力値を演算し、この出力値に基づいて交流電源回路300から供給される電力の位相制御を行うマルチチャンネル電力調整器である。また、制御対象400−1〜400−nは、例えばヒータであり、各制御対象400−1〜400−nに対応した各チャンネルに供給される電力に応じて所定の温度制御環境における加熱を行う。上位制御機器200は、温度制御環境の温度を検出する図示しない温度センサやヒータ温度を検出するセンサからの信号に基づいて各チャンネルのPID演算等を行って、各制御対象400−1〜400−nへの出力量に相当する信号(各チャンネルの出力量信号)を制御量として電力調整器100に出力する機器である。交流電源回路300は、制御対象400−1〜400−nに交流電力を供給する回路である。
【0023】
電力調整器100は、ゼロクロス点検出手段101と出力信号演算手段102と電力制御手段103を備えている。ゼロクロス点検出手段101は、交流電源回路300から供給される交流電圧のゼロクロス点を検出する手段である。出力信号演算手段102は、ゼロクロス点検出手段101で検出されたゼロクロス点に基づいて、上位制御機器200からの出力量信号に対応した各制御対象400−1〜400−nへの出力値を演算する手段である。尚、演算の詳細については後述する。電力制御手段103は、出力信号演算手段102で演算された出力値に基づいて、各チャンネルへの交流電圧の開閉制御を行う手段である。
【0024】
次に、実施の形態1の電力調整器の動作について説明する。
ここでは、制御対象400−1〜400−nが2台である場合(制御対象が2チャンネルである場合)について説明する。
図2は、実施の形態1の電力調整器100の動作を示すフローチャートである。
また、図3は、実施の形態1における各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。
【0025】
電力調整器100は、上位制御機器200から各チャンネルの出力量に相当する信号が入力されることにより動作を開始する(ステップST1)。電力調整器100では、動作を開始するとゼロクロス点検出手段101にてゼロクロス点を検出する(ステップST2:ゼロクロス点検出ステップ)と共に、出力信号演算手段102が各チャンネルの出力起動信号と出力停止信号のタイミングを演算する(ステップST3:出力信号演算ステップ)。図3(a)は、1チャンネル目(1ch)の出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、2チャンネル目(2ch)の出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合を示している。即ち、1チャンネル目の出力起動信号1aを交流電圧半周期における前側のゼロクロス点に一致させ、2チャンネル目の出力停止信号2bを交流電圧半周期の後側のゼロクロス点に一致させるよう出力起動信号1aと出力停止信号2bを出力する。これにより、次の交流電圧半周期では1チャンネル目の次の出力起動信号1aは2チャンネル目の出力停止信号2bと同じタイミングとなる。また、1チャンネル目の出力停止信号1bは、上位制御機器200から通知された1チャンネル目の出力量から演算したタイミング(出力起動信号1a出力タイミングから所定時間経過したタイミング)となり、2チャンネル目の出力起動信号2aは、2チャンネル目の出力量から演算したタイミング(出力停止信号2bの出力タイミングから所定時間繰り上げたタイミング)となる。
【0026】
図3の(b)は、交流電圧半周期において、最初に2チャンネル目の出力起動信号を出力するようにした例である。即ち、出力信号演算手段102は、2チャンネル目の出力起動信号2aを交流電圧半周期の前側のゼロクロス点に一致させて出力し、1チャンネル目の出力停止信号1bを交流電圧半周期の後側のゼロクロス点に一致させて出力する。2チャンネル目の出力停止信号2b及び1チャンネル目の出力起動信号1aの出力タイミングは、上記の(a)の場合と同様に各チャンネルの出力量から求めたものである。また、この場合は、次の交流電圧半周期において、2チャンネル目の次の出力起動信号2aが1チャンネル目の出力停止信号1bと同じタイミングとなる。
【0027】
電力調整器100の電力制御手段103は、出力信号演算手段102から出力された各チャンネルの出力起動信号1a,2aと出力停止信号1b,2bに基づいて、交流電源回路300から供給される電力の開閉制御を行う(ステップST4:電力制御ステップ)。これにより、制御対象400−1〜400−nが2台の場合の位相制御を行うことができる。その後は、ステップST1に戻って、上位制御機器200からの信号入力待ちを行う。
【0028】
以上のように、実施の形態1の電力調整器によれば、複数の制御対象に対してそれぞれ演算された制御量に基づいて交流電圧の位相制御を行い、複数の制御対象への電力制御を行う電力調整器において、交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出手段と、複数の制御対象に対する制御量に応じて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成し、これら信号を前記ゼロクロス点に同期して出力する出力信号演算手段と、出力信号演算手段の出力起動信号と出力停止信号とに基づいて、制御対象への電力を開閉制御する電力制御手段とを備えたので、複数の制御対象への交流電力の出力タイミングをずらすことができ、消費電力のピークを抑えることができる。特に制御安定期に大きな効果を得ることができる。
【0029】
また、実施の形態1の電力調整器によれば、出力信号演算手段が、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させるか、または、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させて出力するようにしたので、出力タイミングを確実にずらすことができ、消費電力のピークをより抑えることができる。
【0030】
また、実施の形態1の電力調整方法によれば、複数の制御対象に対してそれぞれ演算された制御量に基づいて交流電圧の位相制御を行い、複数の制御対象への電力制御を行う電力調整方法において、交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出ステップと、複数の制御対象に対する制御量に応じて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成し、これら信号を前記ゼロクロス点に同期して出力する出力信号演算ステップと、出力信号演算ステップで出力された出力起動信号と出力停止信号とに基づいて、制御対象への電力を開閉制御する電力制御ステップとを備えたので、消費電力のピークを抑えることのできる電力調整器を実現することができる。
【0031】
また、実施の形態1の電力調整方法によれば、出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させるか、または、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させて出力するようにしたので、消費電力のピークをより抑えることのできる電力調整器を実現することができる。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態2は、制御対象400−1〜400−nが3台以上の場合の例である。
電力調整装置における電力調整器100の図面上の構成は図1と同様であるため、図1を援用して説明する。
実施の形態2の出力信号演算手段102は、1チャンネル目の出力起動信号1aを任意のゼロクロス点に一致させ、2チャンネル目の出力停止信号2bを次のゼロクロス点に一致させた場合は、3チャンネル目の出力起動信号3aと1チャンネル目の出力停止信号1bとを一致させるよう出力起動信号1a〜3a及び出力停止信号1b〜3bを生成し、2チャンネル目の出力起動信号2aを任意のゼロクロス点に一致させ、1チャンネル目の出力停止信号1bを次のゼロクロス点に一致させた場合は、3チャンネル目の出力起動信号3aと2チャンネル目の出力停止信号2bとを一致させるよう出力起動信号1a〜3a及び出力停止信号1b〜3bを生成する。これ以外の構成は実施の形態1と同様である。
【0033】
次に、実施の形態2の動作について説明する。
図4は、実施の形態2における各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。ここで、図4(a)は、上述した図3(a)の場合と同様に、1チャンネル目の出力起動信号1aを交流電圧半周期における前側のゼロクロス点に一致させ、2チャンネル目の出力停止信号2bを交流電圧半周期の後側のゼロクロス点に一致させるよう出力起動信号1aと出力停止信号2bを出力するようにした場合である。
【0034】
このように、1チャンネル目と2チャンネル目の出力量が制御された状態で3チャンネル目の出力量の制御を行う場合、出力信号演算手段102は、1チャンネル目の出力停止信号1bのタイミングに3チャンネル目の出力起動信号3aのタイミングを一致させる。また、3チャンネル目の出力停止信号3bは、上位制御機器200で演算された出力量に基づいて所定時間後のタイミングで出力される。
【0035】
また、図4(b)は、図3(b)と同様に、交流電圧半周期において、最初に2チャンネル目の出力起動信号2aを出力するようにした場合を示している。このような制御において、3チャンネル目の出力起動信号3aは、2チャンネル目の出力停止信号2bのタイミングに一致させる。また、3チャンネル目の出力停止信号3bは、上位制御機器200で演算された出力量に基づいて所定時間後のタイミングで出力される。
【0036】
このように、3チャンネル目の出力起動信号3aが、1チャンネル目の出力停止信号1bか2チャンネル目の出力停止信号2bと同期して出力されるため、3チャンネル分の出力ピークが重なる可能性を大幅に少なくすることができる。
【0037】
また、3チャンネル目の出力停止信号を後側のチャンネルの出力起動信号に一致させるようにしてもよく、これを次に説明する。即ち、この場合の出力信号演算手段102は、1チャンネル目の出力起動信号1aを任意のゼロクロス点に一致させ、2チャンネル目の出力停止信号2bを次のゼロクロス点に一致させた場合は、3チャンネル目の出力停止信号3bと2チャンネル目の出力起動信号2aとを一致させるよう出力起動信号1a〜3a及び出力停止信号1b〜3bを生成し、2チャンネル目の出力起動信号2aを任意のゼロクロス点に一致させ、1チャンネル目の出力停止信号1bを次のゼロクロス点に一致させた場合は、3チャンネル目の出力停止信号3bと1チャンネル目の出力起動信号1aとを一致させるよう出力起動信号1a〜3a及び出力停止信号1b〜3bを生成する。
【0038】
図5は、この制御について示す説明図である。
図5において、(a)及び(b)における1チャンネル目と2チャンネル目との関係は図3及び図4の場合と同様である。
図5(a)の場合、出力信号演算手段102は、3チャンネル目の出力停止信号3bを2チャンネル目の出力起動信号2aのタイミングと一致させる。また、3チャンネル目の出力起動信号3aのタイミングは、上位制御機器200からの出力量に基づいて演算されたタイミングである。図5(b)の場合、出力信号演算手段102は、3チャンネル目の出力停止信号3bを1チャンネル目の出力起動信号1aのタイミングと一致させる。また、この場合も、3チャンネル目の出力起動信号3aのタイミングは、上位制御機器200からの出力量に基づいて演算されたタイミングである
【0039】
このように、3チャンネル目の出力停止信号3bが、2チャンネル目の出力起動信号2aか1チャンネル目の出力起動信号1aと同期して出力されるため、3チャンネル分の出力ピークが重なる可能性を大幅に少なくすることができる。
【0040】
次に、制御対象400−1〜400−nが4台以上(制御対象が4チャンネル以上)である場合について説明する。
図6は、制御対象400−1〜400−nが4台の場合の説明図であり、(a),(b)における3チャンネル目までの制御は図4の場合と同様である。
図6(a)及び(b)の場合、出力信号演算手段102は、3チャンネル目の出力停止信号3bのタイミングに4チャンネル目の出力起動信号4aのタイミングを一致させる。また、4チャンネル目の出力停止信号4bは、上位制御機器200で演算された出力量に基づいて所定時間後のタイミングで出力される。即ち、出力信号演算手段102は、第N(Nは4以上の整数)制御対象の出力起動信号を第(N−1)制御対象の出力停止信号に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号を生成する。
【0041】
また、4チャンネル目の出力停止信号を後側のチャンネルの出力起動信号に一致させるようにしてもよく、これを次に説明する。
図7は、この制御について示す説明図である。
図7において、(a)及び(b)における3チャンネル目までの制御は図5の場合と同様である。
図7(a)及び(b)の場合、出力信号演算手段102は、4チャンネル目の出力停止信号4bを3チャンネル目の出力起動信号3aのタイミングと一致させる。また、4チャンネル目の出力起動信号4aのタイミングは、上位制御機器200からの出力量に基づいて演算されたタイミングである。即ち、出力信号演算手段102は、第N(Nは4以上の整数)制御対象の出力停止信号を第(N−1)制御対象の出力起動信号に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号を生成する。
【0042】
このように、Nチャンネル目の出力起動信号が、(N−1)チャンネル目の出力停止信号と同期して出力されるか、または、Nチャンネル目の出力停止信号が、(N−1)チャンネル目の出力起動信号と同期して出力されるため、Nチャンネル分の出力ピークが重なる可能性を大幅に少なくすることができる。
【0043】
以上のように、実施の形態2の電力調整器によれば、出力信号演算手段は、さらに別の制御対象については、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、さらに別の制御対象への出力起動信号と一つの制御対象の出力停止信号とを一致させるか、またはさらに別の制御対象への出力停止信号と別の制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、さらに別の制御対象への出力起動信号と別の制御対象の出力停止信号とを一致させるか、またはさらに別の制御対象への出力停止信号と一つの制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる。
【0044】
また、実施の形態2の電力調整器によれば、制御対象をN(Nは4以上の整数)個とし、一つの制御対象を第1制御対象、別の制御対象を第2制御対象、さらに別の制御対象を第3制御対象とした場合、出力信号演算手段は、第3制御対象の出力起動信号を第1制御対象または第2制御対象の出力停止信号に一致させた場合は、第N制御対象の出力起動信号を第(N−1)制御対象の出力停止信号に一致させ、第3制御対象の出力停止信号を第2制御対象または第1制御対象の出力起動信号に一致させた場合は、第N制御対象の出力停止信号を第(N−1)制御対象の出力起動信号に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象が4台以上と多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる。
【0045】
また、実施の形態2の電力調整方法によれば、さらに別の制御対象について、出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、さらに別の制御対象への出力起動信号と一つの制御対象の出力停止信号とを一致させるか、またはさらに別の制御対象への出力停止信号と別の制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、さらに別の制御対象への出力起動信号と別の制御対象の出力停止信号とを一致させるか、またはさらに別の制御対象への出力停止信号と一つの制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることのできる電力調整器を実現することができる。
【0046】
また、実施の形態2の電力調整方法によれば、制御対象をN(Nは4以上の整数)個とし、一つの制御対象を第1制御対象、別の制御対象を第2制御対象、さらに別の制御対象を第3制御対象とした場合、出力信号演算ステップでは、第3制御対象の出力起動信号を第1制御対象または第2制御対象の出力停止信号に一致させた場合は、第N制御対象の出力起動信号を第(N−1)制御対象の出力停止信号に一致させ、第3制御対象の出力停止信号を第2制御対象または第1制御対象の出力起動信号に一致させた場合は、第N制御対象の出力停止信号を第(N−1)制御対象の出力起動信号に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象が4台以上と多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることのできる電力調整器を実現することができる。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態3は、制御対象が3台以上の場合、一つの制御対象と別の制御対象との中間点に着目して出力タイミングを制御するようにしたものである。実施の形態3においても、電力調整器100の図面上の構成は図1と同様であるため、図1を援用して説明する。
【0048】
実施の形態3の出力信号演算手段102は、1チャンネル目の出力起動信号1aを任意のゼロクロス点に一致させ、2チャンネル目の出力停止信号2bを次のゼロクロス点に一致させた場合は、1チャンネル目の出力停止信号1bと2チャンネル目の出力起動信号2aとの中間点と3チャンネル目の出力起動信号3aから出力停止信号3bまでの出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号1a〜3a及び出力停止信号1b〜3bを生成する。また、出力信号演算手段102は、2チャンネル目の出力起動信号2aを任意のゼロクロス点に一致させ、1チャンネル目の出力停止信号1bを次のゼロクロス点に一致させた場合は、2チャンネル目の出力停止信号2bと1チャンネル目の出力起動信号1aとの中間点と、3チャンネル目の出力起動信号3aから出力停止信号3bまでの出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号1a〜3a及び出力停止信号1b〜3bを生成する。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
図8は、実施の形態3における各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。ここで、図8(a),(b)における1チャンネル目と2チャンネル目の制御は図3の場合と同様である。
このように、1チャンネル目と2チャンネル目の出力量が制御された状態で3チャンネル目の出力量の制御を行う場合、出力信号演算手段102は、1チャンネル目の出力停止信号1bのタイミングと2チャンネル目の出力起動信号2aのタイミングの中間点に、3チャンネル目の出力起動信号3aと出力停止信号3bの中間点を一致させるようこれら出力起動信号3a及び出力停止信号3bを出力する。また、これら信号の出力間隔は、上位制御機器200で演算された出力量に基づいて演算されたタイミングである。また、3チャンネル目の中間点を1チャンネル目の出力起動信号1aと2チャンネル目の出力停止信号2bの中間点と一致させるようにしてもよい。
【0050】
即ち、出力信号演算手段102は、制御対象を3個とした場合、1チャンネル目の出力起動信号1aを任意のゼロクロス点に一致させると共に、2チャンネル目の出力停止信号2bを次のゼロクロス点に一致させた場合は、3チャンネル目の出力範囲の中間点と、1チャンネル目の出力停止信号1bと2チャンネル目の出力起動信号2aとの中間点とを一致させ、2チャンネル目の出力起動信号2aを任意のゼロクロス点に一致させると共に、1チャンネル目の出力停止信号1bを次のゼロクロス点に一致させた場合は、3チャンネル目の出力範囲の中間点と、2チャンネル目の出力停止信号2bと1チャンネル目の出力起動信号2aとの中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成する。
【0051】
また、Nが5の場合は、例えば、図8(a)のような1,2チャンネル目のタイミングであった場合において、3チャンネル目の出力起動信号を1チャンネル目の出力停止信号に一致させると共に、4チャンネル目の出力停止信号を2チャンネル目の出力起動信号に一致させる場合、3チャンネル目の出力停止信号のタイミングと4チャンネル目の出力起動信号のタイミングの中間点に、5チャンネル目の出力起動信号と出力停止信号の中間点を一致させる。但し、この場合は、3チャンネル目の出力停止信号と4チャンネル目の出力起動信号との間には所定の時間間隔が存在しているものとする。
【0052】
即ち、制御対象を5個とした場合、出力信号演算手段102は、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合において、第3制御対象への出力起動信号を一つの制御対象への出力停止信号に一致させると共に、第4制御対象への出力停止信号を別の出力起動信号に一致させた場合、第5制御対象の出力範囲の中間点と、第3制御対象の出力停止信号と第4制御対象の出力起動信号との中間点とを一致させ、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合において、第4制御対象への出力起動信号を別の制御対象への出力停止信号に一致させると共に、第3制御対象への出力停止信号を一つの出力起動信号に一致させた場合、第5制御対象の出力範囲の中間点と、第4制御対象の出力停止信号と第3制御対象の出力起動信号との中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成する。
【0053】
また、Nが5で、図8(a)のような1,2チャンネル目のタイミングであった場合において、4チャンネルの出力起動信号を1チャンネルの出力停止信号に一致させると共に、3チャンネルの出力停止信号を2チャンネルの出力起動信号に一致させる場合、3チャンネル目の出力起動信号のタイミングと4チャンネル目の出力停止信号のタイミングの中間点に、5チャンネル目の出力起動信号と出力停止信号の中間点を一致させる。但し、この場合も、4チャンネル目の出力停止信号と3チャンネル目の出力起動信号との間には所定の時間間隔が存在しているものとする。
【0054】
次に、Nが4以上の偶数の場合を説明する。
この場合は、出力信号演算手段102が、一つの制御対象の出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象の出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、第(N−1)制御対象の出力停止信号と第N制御対象の出力起動信号とを、第(N−3)制御対象の出力停止信号と第(N−2)制御対象の出力起動信号との中間点とを一致させ、別の制御対象の出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象の出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、第N制御対象の出力停止信号と第(N−1)制御対象の出力起動信号とを、第(N−2)制御対象の出力停止信号と第(N−3)制御対象の出力起動信号との中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成する。
【0055】
図9は、この場合の各チャンネルの出力信号と交流電源との関係を示す説明図である。ここで、図9(a),(b)における1チャンネル目と2チャンネル目の制御は図3の場合や図8の場合と同様である。
このように、1チャンネル目と2チャンネル目の出力量が制御された状態で3チャンネル目の出力量の制御を行う場合、出力信号演算手段102は、図9(a)の場合においては、1チャンネル目の出力停止信号1bのタイミングと2チャンネル目の出力起動信号2aのタイミングの中間点に、3チャンネル目の出力停止信号3bと4チャンネル目の出力起動信号4aを一致させるようこれら出力起動信号3a,4a及び出力停止信号3b,4bを出力する。また、図9(b)の場合は、2チャンネル目の出力停止信号2bのタイミングと1チャンネル目の出力起動信号1aのタイミングの中間点に、4チャンネル目の出力停止信号4bと3チャンネル目の出力起動信号3aを一致させるようこれら出力起動信号3a,3b及び出力停止信号3b,4bを出力する。
尚、これら信号の出力間隔は、上位制御機器200で演算された出力量に基づいて演算されたタイミングである。
【0056】
また、Nが6の場合は、例えば、図9(a)のような1,2チャンネル目のタイミングであった場合、3チャンネル目の出力起動信号3aを1チャンネル目の出力停止信号1bに一致させ、また4チャンネル目の出力停止信号4bを2チャンネル目の出力起動信号2aに一致させた場合、3チャンネル目の出力停止信号3bのタイミングと4チャンネル目の出力起動信号4aのタイミングの中間点に、5チャンネル目の出力停止信号と6チャンネル目の出力起動信号を一致させる。但し、この場合は、3チャンネル目の出力停止信号3bと4チャンネル目の出力起動信号4aとの間には所定の時間間隔が存在しているものとする。
【0057】
また、Nが6の場合は、例えば、図9(a)のような1,2チャンネル目のタイミングであった場合において、3チャンネル目の出力起動信号3aを1チャンネル目の出力停止信号1bに一致させると共に、4チャンネル目の出力停止信号4bを2チャンネル目の出力起動信号2aに一致させる場合、3チャンネル目の出力起動信号3aのタイミングと4チャンネル目の出力停止信号4bのタイミングの中間点に、5チャンネル目の出力停止信号と6チャンネル目の出力起動信号を一致させるようにしてもよい。但し、この場合も、3チャンネル目の出力停止信号3bと4チャンネル目の出力起動信号4aとの間には所定の時間間隔が存在しているものとする。
【0058】
このように、3チャンネル目以上の出力起動信号と出力停止信号のタイミングを、1チャンネル目と2チャンネル目の中間点に基づいて算出することにより、3チャンネル目以上のオン領域が重なることを極力少なくすることができ、消費電力を平均化することができる。
【0059】
以上のように、実施の形態3の電力調整器によれば、出力信号演算手段は、さらに別の制御対象については、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、一つの制御対象の出力停止信号と別の制御対象の出力起動信号との中間点と、さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、別の制御対象への出力停止信号と一つの制御対象の出力起動信号との中間点と、さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる。
【0060】
また、実施の形態3の電力調整器によれば、制御対象を5個とした場合、出力信号演算手段は、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合において、第3制御対象への出力起動信号を一つの制御対象への出力停止信号に一致させると共に、第4制御対象への出力停止信号を別の出力起動信号に一致させた場合、第5制御対象の出力範囲の中間点と、第3制御対象の出力停止信号と第4制御対象の出力起動信号との中間点とを一致させ、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合において、第4制御対象への出力起動信号を別の制御対象への出力停止信号に一致させると共に、第3制御対象への出力停止信号を一つの出力起動信号に一致させた場合、第5制御対象の出力範囲の中間点と、第4制御対象の出力停止信号と第3制御対象の出力起動信号との中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる。
【0061】
また、実施の形態3の電力調整器によれば、制御対象を4個とした場合、出力信号演算手段102は、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、第3制御対象の出力停止信号と第4制御対象の出力起動信号とを、第1制御対象の出力停止信号と第2制御対象の出力起動信号との中間点とを一致させ、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、第4制御対象の出力停止信号と第3制御対象の出力起動信号とを、第2制御対象の出力停止信号と第1制御対象の出力起動信号との中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる。
【0062】
また、実施の形態3の電力調整器によれば、制御対象を6個とした場合、出力信号演算手段102は、一つの制御対象の出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象の出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させ、かつ、第3制御対象の出力起動信号を一つの制御対象の出力停止信号に一致させると共に、第4制御対象の出力停止信号を別の制御対象の出力起動信号に一致させた場合、第5制御対象の出力停止信号と第6制御対象の出力起動信号とを、第3制御対象の出力停止信号と第4制御対象の出力起動信号との中間点とを一致させ、別の制御対象の出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象の出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させ、かつ、第4制御対象の出力起動信号を別の制御対象の出力停止信号に一致させると共に、第3制御対象の出力停止信号を一つの制御対象の出力起動信号に一致させた場合、第6制御対象の出力停止信号と第5制御対象の出力起動信号とを、第4制御対象の出力停止信号と第3制御対象の出力起動信号との中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる。
【0063】
また、実施の形態3の電力調整方法によれば、さらに別の制御対象について、出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、一つの制御対象の出力停止信号と別の制御対象の出力起動信号との中間点とさらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、別の制御対象への出力停止信号と一つの制御対象の出力起動信号との中間点と、さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることのできる電力調整器を実現することができる。
【0064】
また、実施の形態3の電力調整方法によれば、制御対象を5個とした場合、出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合において、第3制御対象への出力起動信号を一つの制御対象への出力停止信号に一致させると共に、第4制御対象への出力停止信号を別の出力起動信号に一致させた場合、第5制御対象の出力範囲の中間点と、第3制御対象の出力停止信号と第4制御対象の出力起動信号との中間点とを一致させ、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合において、第4制御対象への出力起動信号を別の制御対象への出力停止信号に一致させると共に、第3制御対象への出力停止信号を一つの出力起動信号に一致させた場合、第5制御対象の出力範囲の中間点と、第4制御対象の出力停止信号と第3制御対象の出力起動信号との中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる電力調整器を実現することができる。
【0065】
また、実施の形態3の電力調整方法によれば、制御対象を4個とした場合、出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、第3制御対象の出力停止信号と第4制御対象の出力起動信号とを、第1制御対象の出力停止信号と第2制御対象の出力起動信号との中間点とを一致させ、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、第4制御対象の出力停止信号と第3制御対象の出力起動信号とを、第2制御対象の出力停止信号と第1制御対象の出力起動信号との中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる電力調整器を実現することができる。
【0066】
また、実施の形態3の電力調整方法によれば、制御対象を6個とした場合、出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させ、かつ、第3制御対象の出力起動信号を一つの制御対象の出力停止信号に一致させると共に、第4制御対象の出力停止信号を別の制御対象の出力起動信号に一致させた場合、第5制御対象の出力停止信号と第6制御対象の出力起動信号とを、第3制御対象の出力停止信号と第4制御対象の出力起動信号との中間点とを一致させ、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させ、かつ、第4制御対象の出力起動信号を別の制御対象の出力停止信号に一致させると共に、第3制御対象の出力停止信号を一つの制御対象の出力起動信号に一致させた場合、第6制御対象の出力停止信号と第5制御対象の出力起動信号とを、第4制御対象の出力停止信号と第3制御対象の出力起動信号との中間点に一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成するようにしたので、制御対象がさらに多くなった場合でも消費電力のピークを抑えることができる電力調整器を実現することができる。
【0067】
尚、上記各実施の形態において、出力信号演算手段102は、初めに、各制御対象400−1〜400−nの出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%以内の場合に、各制御対象400−1〜400−nへの出力起動信号と出力停止信号とを生成するようにしてもよい。このように構成することにより、確実に消費電力のピークを抑えることができる。
【0068】
また、出力信号演算手段102は、各制御対象400−1〜400−nの出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%を超過する場合は、合計出力範囲が100%以内となるように各制御対象400−1〜400−nを複数のグループに分割し、グループ単位で前記実施の形態1から3のような制御を行い、制御対象400−1〜400−nへの出力起動信号と出力停止信号とを生成するようにしてもよい。なお、グループ分けは、例えば、出力合算量を100で除算した商の値に応じてグループ数を算出する。各グループは、出力が大きな制御対象から順番にグループを作成したり、出力が大きな制御対象を各グループに振り分けるなど手法は問わない。これにより、制御対象の立上げ時等の電力消費量がより多くなった場合でも、負荷を配分することができ、消費電力のピークを抑えることができる。
【0069】
尚、各実施の形態では、電力調整器として温度制御を行う構成を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、湿度や圧力、流量等の制御を行う電力調整器であっても良い。また制御対象が4つ以上ある場合において、各実施形態の事例に限定させることなく、他の事例にも適応可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 電力調整器
101 ゼロクロス点検出手段
102 出力信号演算手段
103 電力制御手段
200 上位制御機器
300 交流電源回路
400−1〜400−n 制御対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御対象に対してそれぞれ演算された制御量に基づいて交流電圧の位相制御を行い、前記複数の制御対象への電力制御を行う電力調整器において、
交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出手段と、
前記複数の制御対象に対する制御量に応じて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成し、これら信号を前記ゼロクロス点に同期して出力する出力信号演算手段と、
前記出力信号演算手段の出力起動信号と出力停止信号とに基づいて、前記制御対象への電力を開閉制御する電力制御手段とを備えたことを特徴とする電力調整器。
【請求項2】
出力信号演算手段は、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させるか、または、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させて出力することを特徴とする請求項1記載の電力調整器。
【請求項3】
出力信号演算手段は、さらに別の制御対象については、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、前記さらに別の制御対象への出力起動信号と前記一つの制御対象の出力停止信号とを一致させるか、または前記さらに別の制御対象への出力停止信号と前記別の制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、
前記別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、前記一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、前記さらに別の制御対象への出力起動信号と前記別の制御対象の出力停止信号とを一致させるか、または前記さらに別の制御対象への出力停止信号と前記一つの制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項2記載の電力調整器。
【請求項4】
出力信号演算手段は、さらに別の制御対象については、
一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、前記一つの制御対象の出力停止信号と前記別の制御対象の出力起動信号との中間点と前記さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、
前記別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、前記一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、前記別の制御対象への出力停止信号と前記一つの制御対象の出力起動信号との中間点と、前記さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項2記載の電力調整器。
【請求項5】
出力信号演算手段は、各制御対象の出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%以内の場合に、前記各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の電力調整器。
【請求項6】
出力信号演算手段は、各制御対象の出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%を超過する場合は、合計出力範囲が100%以内となるように前記各制御対象を複数のグループに分割すると共に、該グループ単位で前記各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の電力調整器。
【請求項7】
出力信号演算手段は、上位制御機器から所定の信号を入力した場合に、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の電力調整器。
【請求項8】
複数の制御対象に対するそれぞれ演算された制御量に基づいて交流電圧の位相制御を行い、前記複数の制御対象への電力制御を行う電力調整方法において、
交流電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス点検出ステップと、
前記複数の制御対象に対する制御量に応じて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成し、これら信号を前記ゼロクロス点に同期して出力する出力信号演算ステップと、
前記出力信号演算ステップで出力された出力起動信号と出力停止信号とに基づいて、前記制御対象への電力を開閉制御する電力制御ステップとを備えたことを特徴とする電力調整方法。
【請求項9】
出力信号演算ステップでは、一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させるか、または、別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させて出力することを特徴とする請求項8記載の電力調整方法。
【請求項10】
さらに別の制御対象について、出力信号演算ステップでは、
一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、前記さらに別の制御対象への出力起動信号と前記一つの制御対象の出力停止信号とを一致させるか、または前記さらに別の制御対象への出力停止信号と前記別の制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、
前記別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、前記一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、前記さらに別の制御対象への出力起動信号と前記別の制御対象の出力停止信号とを一致させるか、または前記さらに別の制御対象への出力停止信号と前記一つの制御対象の出力起動信号とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項9記載の電力調整方法。
【請求項11】
さらに別の制御対象について、出力信号演算ステップでは、
一つの制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、別の制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、前記一つの制御対象の出力停止信号と前記別の制御対象の出力起動信号との中間点と前記さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成し、
前記別の制御対象への出力起動信号を任意のゼロクロス点に一致させると共に、前記一つの制御対象への出力停止信号を次のゼロクロス点に一致させた場合は、前記別の制御対象への出力停止信号と前記一つの制御対象の出力起動信号との中間点と、前記さらに別の制御対象の出力範囲の中間点とを一致させるよう出力起動信号及び出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項9記載の電力調整方法。
【請求項12】
出力信号演算ステップにおいて、各制御対象の出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%以内の場合に、前記各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項8から請求項11のうちのいずれか1項記載の電力調整方法。
【請求項13】
出力信号演算ステップにおいて、各制御対象の出力起動信号から出力停止信号までの出力範囲を合算し、全出力範囲が交流周期の100%を超過する場合は、合計出力範囲が100%以内となるように前記各制御対象を複数のグループに分割すると共に、該グループ単位で制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項8から請求項11のうちのいずれか1項記載の電力調整方法。
【請求項14】
上位制御機器から所定の信号を入力した場合に、出力信号演算ステップにおいて、各制御対象への出力起動信号と出力停止信号とを生成することを特徴とする請求項8から請求項11のうちのいずれか1項記載の電力調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−176292(P2010−176292A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16813(P2009−16813)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】