説明

電動パワーステアリングコントロールユニット

【課題】車両のステアリングの操舵力をモータでアシストする電動パワーステアリング装置において、モータ電流値はモータの出力の上昇に応じて大きくなり、モータ電流値が大きくなればモータを駆動させるパワー基板に備えられた半導体モジュールの温度が上昇し、過熱状態が続くと半導体モジュールが熱破壊を起こしてしまう。
【解決手段】GNDプレーン50はパワー基板接続部58a及び制御基板接続部58b、トルクセンサアンプ基板接続部58c、掛部56のカバー10との接続部、ヒートシンク接触面52cを除く表面にアルマイト加工を施し、アルマイト皮膜44を備え、パワー基板60の半導体モジュール対向面60aとパワー基板接触面52bのアルマイト皮膜44とが接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリングの操舵力をモータでアシストする電動パワーステアリング装置のコントロールユニットの放熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のステアリングの操舵力をモータでアシストする電動パワーステアリング装置において、モータ電流値はモータの出力の上昇に応じて大きくなり、モータ電流値が大きくなればモータを駆動させるパワー基板に備えられた半導体モジュールの温度が上昇し、過熱状態が続くと半導体モジュールが熱破壊を起こしてしまう問題が生じた。
【0003】
このような問題を解決するために、従来の電動パワーステアリング装置では、ヒートシンクにファンを設ける構成が提案されており、例えば特開2010−111252号公報(以下「特許文献1」が知られている。
【0004】
特許文献1の電動パワーステアリング装置の分解斜視図を図8に示す。図8において、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段で検出された操舵トルクに応じて、操舵補助力を車両の操舵系に付与するモータを制御する電動パワーステアリング装置215が、カバー241と、電子部品252が実装された制御基板242と、制御基板242に電気的に接続されるインサートベース243と、インサートベース243に電気的に接続されるとともに発熱性の電子部品255が実装された金属基板244と、ヒートシンク245とを積層構造とし、さらに、ヒートシンク245にファン246を設ける電動パワーステアリング装置215が提案されている。
【0005】
また、別の例として半導体モジュールが発する熱をヒートシンクへ伝達する放熱シート及び放熱グリスを備える構成が提案されており、例えば特開2010−245174号公報(以下「特許文献2」)が知られている。
【0006】
特許文献2の電動パワーステアリング装置の要部断面図を図9に示す。図9において、樹脂基板320の板厚方向に熱伝導経路手段としてのスルーホール381が形成されている。このスルーホール381は、パワーMOS331の直下に設けられ、樹脂基板320のパワーMOS331側に設けられた外層銅箔382と、ヒートシンク340側に設けられた外層銅箔383とを接続している。また、樹脂基板320とヒートシンク340との間には、第1熱伝導手段としての高硬度絶縁放熱シート353及び放熱グリス352が設けられている。高硬度絶縁放熱シート353は、絶縁性が高く、熱抵抗の小さいシートである。放熱グリス352は、高硬度絶縁放熱シート353とヒートシンク340との隙間を埋めることで、両者間の熱伝導率を高めている。さらに、放熱グリス352は、スルーホール381の内側に満たされ、パワーMOS331と接続している電動パワーステアリングシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−111252号公報
【特許文献2】特開2010−245174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の電動パワーステアリング装置では次のような問題が生じている。即ち、特許文献1において、表面に電子部品が実装された金属基板及び制御基板と、金属基板と制御基板を電気的に接続するインサートベースと、金属基板に接続されたヒートシンクと、ヒートシンクに接続されたファンとを有することで金属基板に実装された発熱性の電子部品の熱を金属基板によって良好に吸熱し、さらに良好にヒートシンクに伝熱するとともに、この熱をさらにファンによって強制的に放熱することができる。よって、発熱性の電子部品の熱を効率良く放熱できることになり、モータの大電流化及び制御装置の小型化に対応しても、モータに流す電流を制限する頻度を低く且つその時間を短くすることができるが、部品点数の増大に伴うコストの増加及び構造の複雑化、ファンを備えることによる電動パワーステアリング装置の大型化が生じる。
【0009】
また、特許文献2において、モータを駆動する大電流がパワーMOSに流れるとき、パワーMOSが発する熱は、パワーMOSから、樹脂基板、高硬度絶縁放熱シート、放熱グリス、ヒートシンクを伝導し外気へ放熱され、さらにスルーホールに放熱グリスを充満させることで放熱性を向上することができるが、部品点数の増大や加工に伴うコストの増加及び製造工程の複雑化が生じる。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、電動パワーステアリングコントロールユニットに備えられた半導体モジュールの放熱性を向上させ熱破壊に伴う電動パワーステアリング装置の故障を防ぐとともに電動パワーステアリング装置の小型化を図ることのできる電動パワーステアリングコントロールユニットを提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、請求項1の発明においては、ステアリングの入力に対して補助トルクを出力するモータを駆動させるパワー基板と、当該パワー基板を制御する制御基板と、当該パワー基板及び当該制御基板を収容するケースからなる電動パワーステアリングコントロールユニットにおいて、前記ケース内に金属製のGNDプレーンを備え、当該GNDプレーンは前記ケースの底面に位置する底面部と前記ケースの側面に位置する側面部を有し、前記ケース内の底面から前記GNDプレーン、前記パワー基板、前記制御基板の順に配置され、前記パワー基板は前記GNDプレーンに形成したパワー基板接続部と電気的に接続し、前記制御基板は前記GNDプレーンに形成した制御基板接続部と電気的に接続し、前記GNDプレーンは前記半導体モジュール配置部分と対向する部分と接触するパワー基板接触部を有し、当該パワー基板接触部にアルマイト加工を施すことを特徴とする電動パワーステアリングコントロールユニットとする。
【0012】
上記構成においては、前記半導体モジュールの前記パワー基板との対向面と接触する放熱カバーを備え、当該放熱カバーの少なくとも前記半導体モジュールとの接触部にアルマイト加工を施してもよい。また、前記GNDプレーンは前記パワー基板接続部及び前記制御基板接続部を除く表面にアルマイト加工を施してもよい。さらに、前記ケースの底部にヒートシンクを備え、当該ヒートシンクと前記GNDプレーンは電気的に接続され、前記GNDプレーンは前記パワー基板接続部及び前記制御基板接続部、前記ヒートシンクと前記GNDプレーンの接触部を除く表面にアルマイト加工を施してもよい。
【0013】
また、前記ケースの上部に金属製のカバーを配置し、当該カバー及び前記GNDプレーンは電気的に接続され、前記GNDプレーンは前記パワー基板接続部及び前記制御基板接続部、前記カバーと前記GNDプレーンの接触部を除く表面にアルマイト加工を施してもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記の通り、GNDプレーンは半導体モジュール配置部分と対向する部分と接触するパワー基板接触部を有し、パワー基板接触部にアルマイト加工を施すことで、電動パワーステアリングコントロールユニットに備えられた半導体モジュールの放熱性を向上させ熱破壊に伴う電動パワーステアリング装置の故障を防ぐことができる。また、半導体モジュールのパワー基板との対向面と接触する放熱カバーを備え、放熱カバーの少なくとも半導体モジュールとの接触部にアルマイト加工を施すことで、さらなる半導体モジュールの放熱性を向上させることができる。さらに、ケースの底部にヒートシンクを備え、ヒートシンクとGNDプレーンは電気的に接続され、GNDプレーンはパワー基板接続部及び制御基板接続部、ヒートシンクとGNDプレーンの接触部を除く表面にアルマイト加工を施すことで、グランドとしての機能を維持しながら電動パワーステアリングコントロールユニットを小型化しても半導体モジュールの放熱性を十分保つことができる。
【0015】
また、前記ケースの上部に金属製のカバーを配置し、当該カバー及び前記GNDプレーンは電気的に接続され、前記GNDプレーンは前記パワー基板接続部及び前記制御基板接続部、前記カバーと前記GNDプレーンの接触部を除く表面にアルマイト加工を施すことで、グランドとしての機能を維持しながら電動パワーステアリングコントロールユニットを小型化しても半導体モジュールの放熱性を十分保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施例とする電動パワーステアリングコントロールユニットの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例とする電動パワーステアリングコントロールユニットの分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例とする電動パワーステアリングコントロールユニットのGNDプレーンの斜視図である。
【図4】図1の矢印(A)方向から見たB−B断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例とする電動パワーステアリングコントロールユニットの要部断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例とする電動パワーステアリングコントロールユニットのパワー基板の斜視図である。
【図7】図6の矢印(C)方向から見たD−D断面図である。
【図8】特許文献1の電動パワーステアリング装置の分解斜視図である。
【図9】特許文献2の電動パワーステアリング装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を示す実施例を図1乃至図7に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の第1の実施例とする電動パワーステアリングコントロールユニットの斜視図を図1に、電動パワーステアリングコントロールユニットの分解斜視図を図2に、電動パワーステアリングコントロールユニットのGNDプレーンの斜視図を図3に、図1の矢印(A)方向から見たB−B断面図を図4に、電動パワーステアリングコントロールユニットの要部断面図を図5にそれぞれ示す。
【0019】
図1乃至図5において、電動パワーステアリングコントロールユニット100は、自動車のステアリングの入力に対して補助トルクを出力するブラシレスモータに駆動電流を供給する6個の半導体モジュール62を備えたパワー基板60と、当該パワー基板60を制御する制御基板70と、当該ステアリングから伝達される操舵トルクを演算するトルクセンサアンプ基板80から構成され、当該パワー基板60及び当該制御基板70、当該トルクセンサアンプ基板80はガラスエポキシ基板を用いて形成されている。また、当該電動パワーステアリングコントロールユニット100の外形を構成する樹脂製のケース20は上下面を開口して成型されており、当該ケース20のケース側面部22に当該制御基板70を介して当該ブラシレスモータに駆動電流を供給するバッテリを電気的に接続するためのパワー基板側コネクタ26及び当該トルクセンサアンプ基板80とトルクセンサを電気的に接続するためのトルクセンサアンプ基板側コネクタ28を形成している。さらに、当該ケース側面部22には当該パワー基板60と当該ブラシレスモータを電気的に接続するモータ接続端子30を備えている。
【0020】
また、前記パワー基板側コネクタ26と前記バッテリ及び前記トルクセンサアンプ基板側コネクタ28と前記トルクセンサはそれぞれハーネスを用いて接続されている。さらに、前記モータ接続端子30は前記ブラシレスモータ側に備えられた接続端子とボルトで接続固定されている。
【0021】
また、前記ケース20には車両に前記電動パワーステアリングコントロールユニット100をボルトで固定するためのケース固定部32及び前記電動パワーステアリングコントロールユニット100が取り付け箇所に対して回転することを防ぐためのボルト穴を有した回り止め部34が形成されている。さらに、前記ケース20には前記電動パワーステアリングコントロールユニット100と前記トルクセンサを接続固定するためのトルクセンサ接合部36が形成されている。
【0022】
また、前記ケース20の上面には前記ケース20の上面方向及び側面方向からのノイズを遮断するためのアルミニウム製のカバー10を備えている。さらに、当該カバー10は前記ケース20の上面に位置するカバー上面部12及び前記ケース側面部22に位置するカバー側面部14から構成されている。
【0023】
また、前記ケース20内に1枚のアルミニウム板を折り曲げて成型したGNDプレーン50を備え、当該GNDプレーン50は前記ケース20の底面に位置するGNDプレーン底面部52及び前記パワー基板側コネクタ26と前記トルクセンサアンプ基板側コネクタ28と前記モータ接続端子30の配置面を除く前記ケース側面部22に位置するGNDプレーン側面部54から構成されている。さらに、前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80は当該GNDプレーン底面部52から前記パワー基板60、前記トルクセンサ基板80、前記制御基板70の順番で鉛直方向の階層して配置され、前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80はそれぞれの基板間の電気的接続にフレキシブル基板を用いて行っている。
【0024】
また、前記GNDプレーン50には前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80と電気的に接続するためのパワー基板接続部58a及び制御基板接続部58b、トルクセンサアンプ基板接続部58cが形成されている。さらに、当該パワー基板接続部58aは前記GNDプレーン底面部52から鉛直方向に切り起し屈曲させて4箇所に形成している。
【0025】
また、前記制御基板接続部58bは前記GNDプレーン側面部54から水平方向に切り起し屈曲させ、さらに鉛直方向に屈曲させて両方の前記GNDプレーン側面部54に合計7箇所形成している。さらに、前記トルクセンサアンプ基板接続部58cは前記GNDプレーン側面部54から水平方向に切り起し屈曲させ、さらに鉛直方向に屈曲させて左右の前記GNDプレーン側面部54にそれぞれ2箇所ずつ、合計4箇所に形成している。
【0026】
また、前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80はGND配線上にスルーホール90a,90b,90cを形成し、前記パワー基板接続部58a及び前記制御基板接続部58b、前記トルクセンサアンプ基板接続部58cに対してそれぞれ垂直方向から挿入し、超音波接合によって半田で電気的に接続されている。さらに、前記GNDプレーン側面部54の上端部には前記ケース側面部22に固定するための掛部56が形成され、前記ケース側面部22の上端部に形成されたケース溝部24に当該掛部56を引掛けることで位置決めしている。
【0027】
また、前記GNDプレーン底面部52には前記パワー基板60の6個の前記半導体モジュール62配置部分と対向する半導体モジュール対向面60aと接触するパワー基板接触部52aが形成され、当該パワー基板接触部52aは前記GNDプレーン底面部52から前記ケース20の上面方向に切り起し屈曲させ、さらに前記GNDプレーン底面部52と水平方向に屈曲させて形成し、当該パワー基板接触部52aのパワー基板接触面52bが当該半導体モジュール対向面60aと接触している。さらに、前記ケース20の底部には前記半導体モジュール62の放熱を行うアルミニウム製のヒートシンク40が嵌合されている。
【0028】
また、前記ヒートシンク40と前記GNDプレーン50はヒートシンク接触面52cを前記ヒートシンク40に接触させ、前記カバー10と前記GNDプレーン50は前記掛部56が前記カバー上面部12と接触することで前記ヒートシンク40及び前記GNDプレーン50、前記カバー10は電気的に接続されている。さらに、前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80は前記カバー10及び前記ヒートシンク40、前記GNDプレーン50に周囲を囲まれている。
【0029】
また、前記GNDプレーン50は前記パワー基板接続部58a及び前記制御基板接続部58b、前記トルクセンサアンプ基板接続部58c、前記掛部56の前記カバー10との接続部、前記ヒートシンク接触面52cを除く表面にアルマイト加工を施し、アルマイト皮膜44を備え、前記パワー基板60の前記半導体モジュール対向面60aと前記パワー基板接触面52bの当該アルマイト皮膜44とが接触している。
【0030】
前記アルマイト皮膜44は前記GNDプレーン50に電解液を用いて電気分解することで前記GNDプレーン50の表面に生成されるものである。
【0031】
上記構成により、前記パワー基板接触部52aの表面に前記アルマイト皮膜44を備えることで、熱の吸収率が向上する。即ち、前記GNDプレーン50の前記アルマイト皮膜44によって前記半導体モジュール62の発熱した熱は前記パワー基板60を介して前記アルマイト皮膜44に吸収され前記GNDプレーン50に伝達されるため、前記半導体モジュール62の放熱性が向上される。また、前記パワー基板接続部58a及び前記制御基板接続部58b、前記トルクセンサアンプ基板接続部58c、前記掛部56の前記カバー10との接続部、前記ヒートシンク接触面52cを除く表面に前記アルマイト皮膜44を備えることで、前記GNDプレーン50の電気的接続は保ちながら、前記GNDプレーン50に伝達された熱の放射率が向上する。即ち、前記GNDプレーン50の放熱性能が向上すると、前記GNDプレーン50に熱を伝達する前記半導体モジュール62の放熱性も向上される。さらに、前記掛部56の前記カバー10との接続部及び前記GNDプレーン底面部52の前記ヒートシンク40との接続部を除く表面に前記アルマイト皮膜44を備えることで、前記カバー10及び前記ヒートシンク40のグランドとしての機能を維持しながら電動パワーステアリングコントロールユニットを小型化しても半導体モジュールの放熱性を十分保つことができる。
【0032】
なお上記実施例1の変形例として、前記パワー基板60に備えられる前記半導体モジュール62の個数は前記パワー基板60に要求される仕様に応じて適宜変更してもよいし、前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80の回路構成は前記電動パワーステアリングコントロールユニット100に要求される仕様に応じて適宜変更してもよい。また、前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80はセラミック基板等のガラスエポキシ基板以外の基板を用いて形成してもよい。さらに、前記カバー10及び前記GNDプレーン50の形状は設計事情によって任意に変更してもよいし、前記ケース20及び前記GNDプレーン50はインサート成型等によって一体成型する構造としてもよい。
【0033】
また、前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80の階層の順番は前記ケース20の底面に前記パワー基板60から配置されていれば、設計事情によって任意の順番で階層させてよい。さらに、前記パワー基板接続部58a及び前記制御基板接続部58b、前記トルクセンサ基板接続部58cの形状及び個数、形成位置は設計事情によって適宜変更してもよい。
【0034】
また、前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80と前記パワー基板接続部58a及び前記制御基板接続部58b、前記トルクセンサアンプ基板接続部58cの電気的接続は、前記パワー基板接続部58a及び前記制御基板接続部58b、前記トルクセンサアンプ基板接続部58cの表面にスズメッキを施して半田付けしてもよい。さらに、前記GNDプレーン50と前記パワー基板60及び前記制御基板70、前記トルクセンサアンプ基板80との電気的接続方法は設計事情によって任意に変更してもよい。
【0035】
また、前記ケース20と前記GNDプレーン50の固定方法は設計事情によって任意に変更してもよい。さらに、前記GNDプレーン50に形成される前記パワー基板接触部52aの形状は設計事情によって適宜変更可能なものである。
【0036】
また、前記GNDプレーン50表面に施す前記アルマイト皮膜44は例えば黒アルマイト又は白アルマイト等を用いてもよい。さらに、前記GNDプレーン50は少なくとも前記パワー基板接触部52aにアルマイト加工を施し、前記アルマイト皮膜44を備える構成としてもよい。
【0037】
また、前記カバー10は前記GNDプレーン50の前記掛部56を除く表面にアルマイト加工を施し、前記アルマイト皮膜44を備える構造として前記カバー10と前記GNDプレーン50の電気的接続を保ちながら前記カバー10の放熱性を向上させてもよいし、前記ヒートシンク40は前記GNDプレーン50の前記ヒートシンク接触面52cを除く表面にアルマイト加工を施し、前記アルマイト皮膜44を備える構成として前記ヒートシンク40と前記GNDプレーン50の電気的接続を保ちながら前記ヒートシンク40の放熱性を向上させてもよい。
【実施例2】
【0038】
次に、本発明の第2の実施例とする電動パワーステアリングコントロールユニットのパワー基板の斜視図を図6に、図6の矢印(C)方向から見たD−D断面図を図7に示す。
【0039】
当該第2の実施例においては前記第1の実施例で説明した前記半導体モジュール62の表面に放熱カバー42を備える構成を除いた他の構成は前記第1の実施例と同一であるため説明は省略する。
【0040】
図6及び図7において、前記パワー基板60に備えられた前記半導体モジュール62のパワー基板対向面62aにアルミニウム板で形成した放熱カバー42を備えている。また、当該放熱カバー42の表面にアルマイト加工を施し、アルマイト皮膜44を備え、当該パワー基板対向面62aと当該放熱カバー42の半導体モジュール接触面42aの当該アルマイト皮膜44とが接触している。さらに、当該放熱カバー42は接着材を用いて前記パワー基板60に固定されている。
【0041】
上記構成により、前記半導体モジュール62の前記パワー基板対向面62aに前記アルマイト皮膜44を有した前記放熱カバー42を備えることで、前記実施例1における前記アルマイト皮膜44を有した前記パワー基板接触部52aとの組み合わせにより熱の吸収率がさらに向上する。
【0042】
なお上記実施例2の変形例として、前記放熱カバー42の形状は設計事情によって任意の形状に変更してもよいし、前記放熱カバー42は少なくとも前記半導体モジュール接触面42aにアルマイト加工を施し、前記アルマイト皮膜44を備える構成としてもよい。また、前記放熱カバー42はネジ止め等を用いて前記パワー基板60に固定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10:カバー
12:カバー上面部
14:カバー側面部
20:ケース
22:ケース側面部
24:ケース溝部
26:パワー基板側コネクタ
28:トルクセンサアンプ基板側コネクタ
30:モータ接続端子
32:ケース固定部
34:回り止め部
36:トルクセンサ接合部
40:ヒートシンク
42:放熱カバー
42a:半導体モジュール接触面
44:アルマイト皮膜
50:GNDプレーン
52:GNDプレーン底面部
52a:パワー基板接触部
52b:パワー基板接触面
52c:ヒートシンク接触面
54:GNDプレーン側面部
56:掛部
58a:パワー基板接続部
58b:制御基板接続部
58c:トルクセンサアンプ基板接続部
60:パワー基板
60a:半導体モジュール対向面
62:半導体モジュール
62a:パワー基板対向面
70:制御基板
80:トルクセンサアンプ基板
90a,90b,90c:スルーホール
100:電動パワーステアリングコントロールユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングの入力に対して補助トルクを出力するモータを駆動させる半導体モジュールを備えたパワー基板と、当該パワー基板を制御する制御基板と、当該パワー基板及び当該制御基板を収容するケースからなる電動パワーステアリングコントロールユニットにおいて、
前記ケース内に金属製のGNDプレーンを備え、
当該GNDプレーンは前記ケースの底面に位置する底面部と前記ケースの側面に位置する側面部を有し、
前記ケース内の底面から前記GNDプレーン、前記パワー基板、前記制御基板の順に配置され、
前記パワー基板は前記GNDプレーンに形成したパワー基板接続部と電気的に接続し、
前記制御基板は前記GNDプレーンに形成した制御基板接続部と電気的に接続し、
前記GNDプレーンは前記半導体モジュール配置部分と対向する部分と接触するパワー基板接触部を有し、
当該パワー基板接触部にアルマイト加工を施すことを特徴とする電動パワーステアリングコントロールユニット。
【請求項2】
前記半導体モジュールの前記パワー基板との対向面と接触する放熱カバーを備え、
当該放熱カバーの少なくとも前記半導体モジュールとの接触部にアルマイト加工を施すことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリングコントロールユニット。
【請求項3】
前記GNDプレーンは前記パワー基板接続部及び前記制御基板接続部を除く表面にアルマイト加工を施すことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリングコントロールユニット。
【請求項4】
前記ケースの底部にヒートシンクを備え、
当該ヒートシンクと前記GNDプレーンは電気的に接続され、
前記GNDプレーンは前記パワー基板接続部及び前記制御基板接続部、前記ヒートシンクと前記GNDプレーンの接触部を除く表面にアルマイト加工を施すことを特徴とする請求項1乃至3に記載の電動パワーステアリングコントロールユニット。
【請求項5】
前記ケースの上部に金属製のカバーを配置し、
当該カバー及び前記GNDプレーンは電気的に接続され、
前記GNDプレーンは前記パワー基板接続部及び前記制御基板接続部、前記カバーと前記GNDプレーンの接触部を除く表面にアルマイト加工を施すことを特徴とする請求項1乃至4に記載の電動パワーステアリングコントロールユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−73957(P2013−73957A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209717(P2011−209717)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【Fターム(参考)】