説明

電動モータ、および減速機付モータ

【課題】コギングトルクを減少させつつ、必要最小限の永久磁石を用いて軽量化、小型化、および低コスト化を図ると共に、モータ特性を向上させることができる電動モータ、および減速機付モータを提供する。
【解決手段】6極9スロット9セグメントの電動モータ2において、ヨーク部8の周壁81を軸方向平面視多角形状に形成し、周壁81の平坦部81aに永久磁石を配置し、ヨーク部の底壁に、回転軸12の一端を回転自在に支持するための軸受け部11を一体形成し、ヨーク部の開口部に、ブラシを保持するブラシホルダユニット7を収納可能なブラシホルダ収納部9を一体成形した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両に搭載される電動モータ、およびこれを用いた減速機付モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動モータとしては、例えば、有底筒状のヨークの内周面にセグメント型の永久磁石を複数配置し、この永久磁石よりも径方向内側にアーマチュアを回転自在に設けたブラシ付きの電動モータがある。アーマチュアは、回転軸に外嵌固定されたアーマチュアコアと、複数のセグメントが配設されたコンミテータとを有している。アーマチュアコアには、径方向外側に向かって延びる複数のティースが設けられ、これらティース間に軸方向に長いスロットが複数形成されている。このスロットから巻線が挿通され、各ティースに集中巻や分布巻にて巻線が巻装されている。
【0003】
巻線は、コンミテータのセグメントに導通している。各セグメントは給電を行うためのブラシに摺接しており、このブラシを介して巻線に電流が供給されるようになっている。巻線に電流が供給されると磁界が形成され、この磁界と永久磁石との間に生じる磁気的な吸引力や反発力によってアーマチュアが回転する。
【0004】
ところで、セグメント型の永久磁石を用いる場合、各永久磁石間に空隙が形成されるので、永久磁石の周方向両端を境にして磁束の変化が大きくなる。このため、各ティースが永久磁石の両端を通過する際、各ティースに対する磁気的な吸引力や反発力が大きく変化してコギングトルクが大きくなる。
そこで、永久磁石の中央から周方向両端に向かうにしたがって徐々に永久磁石とアーマチュアコアとの間のエアギャップを大きくし、各ティースが永久磁石の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくする技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
また、永久磁石の周方向両端とアーマチュアコアとのエアギャップを確保しつつ、永久磁石の周方向両端の肉厚を中央部分の肉厚よりも厚く形成し、永久磁石のクラック割れを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−94958号公報
【特許文献2】特開2005−20914号公報
【特許文献3】特開平9−224337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、セグメント型の永久磁石が瓦状に形成されているので永久磁石の加工厚さに制約を受けてしまう。このため、永久磁石の大きさを必要以上に大きくしなければならならず、とりわけ、永久磁石をネオジ焼結磁石などの希土類磁石を用いて成形する場合、切削加工が難しく薄肉化が困難であるという課題がある。
【0008】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、コギングトルクを減少させつつ、必要最小限の永久磁石を用いて軽量化、小型化、および低コスト化を図ると共に、モータ特性を向上させることができる電動モータ、および減速機付モータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、有底筒状のヨークと、前記ヨークの内周面に固定された6つの平板形状の永久磁石と、前記永久磁石よりも径方向内側に回転自在に支持されたアーマチュアと、前記アーマチュアに給電を行うための1対のブラシとを備え、前記アーマチュアは、回転軸と、前記回転軸に外嵌固定されているアーマチュアコアと、前記アーマチュアコアに隣接して設けられ、9つのセグメントが周方向に配置されているコンミテータとを有し、前記アーマチュアコアは、径方向外側に向かって延びる9つのティースと、各ティース間に形成され、軸方向に沿って延びる9つのスロットとを有し、各ティースに巻線を巻装すると共に、この巻線の端末部を前記セグメントに接続し、前記セグメントに前記ブラシを摺接させることで前記巻線に給電を行う6極9スロット9セグメントの電動モータにおいて、前記ヨークの周壁を軸方向平面視多角形状に形成し、前記周壁の平坦部に前記永久磁石を配置し、前記ヨークの底壁に、前記回転軸の一端を回転自在に支持するための第一軸受け部を一体形成し、前記ヨークの開口部に、前記ブラシを保持するブラシホルダユニットを収納可能なブラシホルダ収納部を一体成形したことを特徴とする。
【0010】
このように、6極9スロット9セグメントの電動モータにおいて、平板形状の永久磁石を用いることにより、永久磁石に複雑な加工を施す必要がなくなる。このため、例えば、永久磁石として希土類磁石を使用した場合であっても切削加工等により容易に永久磁石の薄型化を図ることが可能になる。このため、永久磁石の軽量化、低コスト化を図ることができ、電動モータ全体の小型化を図ることもできる。
また、ヨークの周壁を軸方向平面視多角形状に形成し、平坦部に永久磁石を配置することにより、永久磁石が平板形状であってもヨークの内周面に確実に固着させることが可能になる。さらに、永久磁石の中央から周方向両端に向かうにしたがって徐々に永久磁石とアーマチュアコアとの間のエアギャップを大きくすることができる。このため、各ティースが永久磁石の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくすることができ、コギングトルクを減少させることが可能になる。
そして、ヨークの外径を大きくすることなく、永久磁石を薄肉化する分だけアーマチュアコアの外径を大きくすることができる。このため、従来よりも巻線の巻装スペースを確保することができ、巻線の巻装ターン数を増加させることでトルク性能を向上させることが可能になる。
また、ブラシホルダユニットを収納するブラシホルダ収納部をヨークに一体成形しているので、電動モータに別途ブラシホルダユニットを取り付ける場合と比較して電動モータの小型化を図ることが可能になる。
【0011】
請求項2に記載した発明は、前記ブラシホルダユニットを前記ブラシホルダ収納部に内嵌固定可能に形成すると共に、前記ブラシホルダユニットに、前記回転軸の他端を回転自在に支持するための第二軸受け部を一体成形したことを特徴とする。
このように構成することで、ブラシホルダユニットを容易に位置決めさせることができる。また、ブラシホルダ収納部がヨークに一体成形されているので、ヨークに対するブラシホルダユニットの位置決めを容易に行うことができる。
このため、ヨークの底壁に一体成形されている第一軸受け部と、ブラシホルダユニットの第二軸受け部との相対的な位置決めを精度よく行うことが可能になる。よって、回転軸や各軸受け部に無理な応力がかかるのを防止できると共に、各軸受け部の相対位置がずれることによる回転軸のトルク負荷が増大することを防止できる。
【0012】
請求項3に記載した発明は、前記ブラシホルダユニット、および前記ブラシホルダ収納部を平面視長円形状に形成し、前記ブラシホルダ収納部の周壁を2つの平坦壁と、これら平坦壁の周方向端部を連結する弧状壁とで構成し、前記ヨークの平坦部のうち、前記回転軸を中心にして互いに対向する2つの平坦部と、前記ブラシホルダ収納部の平坦壁とを面一としたことを特徴とする。
このように構成することで、電動モータの扁平化、小型化を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載した発明は、前記ブラシホルダユニットの長手方向両側に、前記1対のブラシを前記回転軸を中心にしてそれぞれ対向配置し、前記ブラシホルダユニットには、前記各ブラシを前記コンミテータに向かって付勢するための弾性部材が設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、さらに、電動モータの扁平化、小型化を図ることが可能になる。
【0014】
請求項5に記載した発明は、前記ブラシホルダ収納部の開口縁に外フランジ部を一体形成し、前記ブラシホルダ収納部の前記周壁と前記外フランジ部との接続部に、凹部を少なくとも1箇所形成すると共に、前記ブラシホルダユニットの外周縁であって前記凹部に対応する位置に、この凹部に載置可能な凸部を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、ブラシホルダ収納部に対するブラシホルダユニットの位置決めを正確に行うことが可能になる。このため、ブラシホルダユニットの組み付け精度、およびブラシホルダユニットの組み付け作業性を向上させることができる。
【0015】
請求項6に記載した発明は、前記ヨークにおいて、前記周壁の前記底壁近傍から前記第一軸受け部に至る間の範囲に、軸方向平面視円形状の円形部を形成したことを特徴とする。
ここで、ヨークの周壁を軸方向平面視多角形状に形成する一方、ヨークの底壁に第一軸受け部を形成する場合において、例えば、金属板を深絞り加工等を施すことによりヨークを形成すると、周壁の平坦部を形成する際に第一軸受け部が引っ張られ、第一軸受け部の真円度が低下する虞がある。また、第一軸受け部の真円度を向上させるために、プレス工程数が増大し、加工コストが増大する虞がある。
しかしながら、ヨークの周壁の底壁近傍から第一軸受け部に至る間の範囲に、円形部を形成することで、深絞り加工等の際、第一軸受け部を全周に渡って均等に引っ張ることが可能になる。このため、容易に第一軸受け部の真円度を向上させることが可能になり、加工コストを低減することが可能になる。
【0016】
請求項7に記載した発明は、前記永久磁石は、軸方向に沿って長くなるように形成され、かつ短手方向両側辺が軸方向に沿う直線に対して傾斜した状態で配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、永久磁石をアーマチュアのティースに対してスキューさせた状態にすることができる。このため、アーマチュアが回転する際、各ティースに対する永久磁石の磁束変化をさらに小さくすることができる。よって、さらにコギングトルクを低減させることが可能になる。
【0017】
請求項8に記載した発明は、前記ヨークの前記周壁を軸方向平面視6角形状に形成したことを特徴とする。
このように構成することで、6つの永久磁石を確実にヨークの周壁に固着しつつ、ヨークの周壁の扁平化を図ることができる。
【0018】
請求項9に記載した発明は、前記ヨークの前記周壁を軸方向平面視12角形状に形成したことを特徴とする。
このように構成することで、ヨークの周壁を軸方向平面視6角形状に形成する場合と比較して、回転軸を中心にして対向する周壁の角と角との間の距離を短くすることができる。このため、平板形状の永久磁石をヨークの周壁に確実に固着しつつ、ヨーク全体をさらに小型化できる。
【0019】
請求項10に記載した発明は、前記ヨークの前記周壁の内面には、各永久磁石の間に、位置決め用凸部が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、永久磁石の位置決めを容易に行うことができるので、永久磁石の取り付け作業性を向上させることが可能になる。
【0020】
請求項11に記載した発明は、前記回転軸の他端は、前記ブラシホルダユニットから突出した状態になっており、この突出した部位に、前記回転軸の回転を外部装置に伝達するための連結部が設けられ、前記連結部は、前記外部装置に着脱自在に構成されていることを特徴とする。
このように構成することで、外部装置に電動モータを取り付ける場合において、外部装置毎に電動モータを用意する必要がなく、電動モータの汎用性を高めることができる。
【0021】
請求項12に記載した発明は、請求項11に記載の外部装置を減速機構で構成し、この減速機構と前記アーマチュアの前記回転軸とを前記連結部を介して連結したことを特徴する減速機付モータとした。
このように構成することで、コギングトルクを減少させつつ、必要最小限の永久磁石を用いて軽量化、小型化、および低コスト化を図ると共に、モータ特性を向上させることができる減速機付モータを提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、6極9スロット9セグメントの電動モータにおいて、平板形状の永久磁石を用いることにより、永久磁石に複雑な加工を施す必要がなくなる。このため、例えば、永久磁石として希土類磁石を使用した場合であっても切削加工等により容易に永久磁石の薄型化を図ることが可能になる。このため、永久磁石の軽量化、低コスト化を図ることができ、電動モータ全体の小型化を図ることもできる。
【0023】
また、ヨークの周壁を軸方向平面視多角形状に形成し、平坦部に永久磁石を配置することにより、永久磁石が平板形状であってもヨークの内周面に確実に固着させることが可能になる。さらに、永久磁石の中央から周方向両端に向かうにしたがって徐々に永久磁石とアーマチュアコアとの間のエアギャップを大きくすることができる。このため、各ティースが永久磁石の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくすることができ、コギングトルクを減少させることが可能になる。
【0024】
そして、ヨークの外径を大きくすることなく、永久磁石を薄肉化する分だけアーマチュアコアの外径を大きくすることができる。このため、従来よりも巻線の巻装スペースを確保することができ、巻線の巻装ターン数を増加させることでトルク性能を向上させることが可能になる。
また、ブラシホルダユニットを収納するブラシホルダ収納部をヨークに一体成形しているので、電動モータに別途ブラシホルダユニットを取り付ける場合と比較して電動モータの小型化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一実施形態における減速機付モータの斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態における減速機付モータの分解斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態における電動モータを示し、(a)は分解斜視図、(b)は(a)のアーマチュアの拡大図である。
【図4】本発明の第一実施形態におけるモータケースを示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第一実施形態におけるブラシホルダユニットの平面図である。
【図6】本発明の実施形態におけるウォーム減速機構の分解斜視図である。
【図7】本発明の第二実施形態におけるモータケースの縦断面図である。
【図8】本発明の第三実施形態におけるモータケースを示し、(a)は側面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図9】本発明の第四実施形態におけるモータケースを示し、(a)は側面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図10】本発明の第五実施形態におけるモータケースを示し、(a)は側面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図である。
【図11】本発明の第五実施形態におけるヨーク部の他の形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第一実施形態)
(減速機付モータ)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1は、減速機付モータ1の斜視図、図2は、減速機付モータ1の分解斜視図、図3は、電動モータ2を示し、(a)は分解斜視図、(b)は(a)のアーマチュア6の拡大図である。
図1〜図3に示すように、減速機付モータ1は、例えば、車両のパワーウインドウ装置の駆動源として用いられるものであって、電動モータ2と、電動モータ2の回転軸12に連結されるウォーム減速機構3とを備え、電動モータ2とウォーム減速機構3との間に、電動モータ2に電力を供給するためのコネクタユニット4が設けられている。
【0027】
(電動モータ)
図4はモータケース5を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図3、図4に詳示するように、電動モータ2は、有底筒状のモータケース5内にアーマチュア6が回転自在に設けられ、モータケース5の開口部5a側にブラシホルダユニット7が内嵌固定されたものである。
【0028】
(モータケース)
ここで、モータケース5は、金属板をプレス加工等によって深絞り成型したものであって、有底筒状のヨーク部8と、ヨーク部8の開口部8a端に一体形成された長円形状のブラシホルダ収納部9とで構成されている。つまり、ブラシホルダ収納部9の開口部9aがモータケース5の開口部5aになっている。
ヨーク部8の周壁81は、軸方向平面視略6角形状に形成されており、6つの平坦部81aと、これら平坦部81aを連結する弧状部81bとで構成されている。各平坦部81aの内面には、それぞれセグメント型の永久磁石10が設けられている。つまり、ヨーク部8の周壁81は、永久磁石10間の磁路を形成する役割を有しており、周壁81には6つの永久磁石10が設けられていることになる。
【0029】
永久磁石10は、例えば、ネオジ焼結磁石などの希土類磁石により平板形状に形成されたものである。また、永久磁石10は、軸方向に長くなるように平面視略長方形状に形成されており、厚さ方向に対向配置され互いに平行な表裏面10a,10aと、表裏面10a,10aの短手方向両端において対向配置され、互いに平行な長側面10b,10bと、表裏面10a,10aの長手方向両端において対向配置され、互いに平行な短側面10c,10cとを有している。
また、ヨーク部8の弧状部81bは、各永久磁石10の長側面10bの間に形成される空隙Kに対応して設けられた状態になっている。
【0030】
ヨーク部8の底壁82には、径方向略中央に軸方向外側に向かって突出する軸受け部11が一体形成されている。軸受け部11は有底円筒状に形成され、かつ底壁11aが外側を向くように形成されている。軸受け部11は、回転軸12の一端を回転自在に支持するものである。なお、底壁82は、軸受け部11の周囲に略円形に形成された平面により形成されている。
【0031】
軸受け部11の内部には、底壁11aにスラストプレート13が載置されている。また、軸受け部11の内周面11bには、すべり軸受け14が圧入固定されている。さらに、軸受け部11の内部には、スラストプレート13とすべり軸受け14との間にスチールボール15が設けられている。そして、回転軸12のスラスト荷重は、スチールボール15を介してスラストプレート13で受けるようになっている。
【0032】
ここで、ヨーク部8には、周壁81の底壁82近傍から軸受け部11に至る間の範囲に、軸方向平面視略円形状の円形部16が形成されている。円形部16が形成されていることにより、周壁81と底壁82との接続部分には、丸面取り部16aが形成された状態になっている(図4(b)参照)。
【0033】
ヨーク部8の開口部8a端に一体形成されたブラシホルダ収納部9は、軸方向略長円形状に形成されたものであって、軸方向に直交する方向に沿って長くなっている。ブラシホルダ収納部9は、回転軸12を中心にして対向配置され平面視長方形状の1対の平坦壁91,91と、平坦壁91,91の周方向両端、つまり、長手方向両端を連結する1対の弧状壁92,92とを有している。
【0034】
1対の平坦壁91,91は、それぞれ回転軸12を中心にして対向配置されたヨーク部8の平坦部81aと面一になるように設けられている。一方、ブラシホルダ収納部9の弧状壁92とヨーク部8の周壁81との間には、段差壁93が形成されている。この段差壁93によって、ヨーク部8の周壁81からブラシホルダ収納部9の弧状壁92に至る間が連続形成された状態になっている。
【0035】
ブラシホルダ収納部9の開口部9a端には、電動モータ2をウォーム減速機構3に締結固定するための外フランジ部17が形成されている。この外フランジ部17は、ブラシホルダ収納部9の長手方向に沿って長くなるように軸方向平面視略5角形状に形成され、かつ頂点となる部分が長手方向に位置するように形成されている。
外フランジ部17の短手方向の幅E1は、ブラシホルダ収納部9の1対の平坦壁91,91の距離よりもやや大きく設定されている。
【0036】
外フランジ部17の長手方向一端側であって頂点となる部分には、ボルト孔18aが1つ形成されている。また、外フランジ部17の長手方向一端側には、ボルト孔18aを挟んで両側に、それぞれ切り欠き部19,19が形成されている。
一方、外フランジ部17の長手方向他端側には、短手方向両側に平面取り部20,20が形成されている。この平面取り部20,20の長手方向内側には、それぞれボルト孔18b,18cが形成されている。
【0037】
ここで、外フランジ部17と、ブラシホルダ収納部9の弧状壁92,92との接続部17aには、内面側にそれぞれ2箇所ずつ凹部21が形成されている。そして、これら凹部21は、回転軸12を中心にして振り分け配置された状態になっている。各凹部21は、ブラシホルダユニット7の位置決めを行うためのものである(詳細は後述する)。
【0038】
(アーマチュア)
図3に示すように、モータケース5内に回転自在に設けられたアーマチュア6は、回転軸12のヨーク部8に対応する位置に外嵌固定されたアーマチュアコア61と、アーマチュアコア61に巻装されたアーマチュアコイル62と、回転軸12の他端側に配置され、かつブラシホルダ収納部9に対応する位置に外嵌固定されたコンミテータ63とを備えている。アーマチュアコア61は、リング状の金属板64を軸方向に複数枚積層したものである。
【0039】
金属板64の外周部にはT字型の9つのティース65が周方向に沿って等間隔で放射状に形成されている。ティース65の先端部は周方向に沿って延在しており、アーマチュアコア61の外周部を形成している。すなわち、ティース65の先端部は、ヨーク部8の周壁81に配設されている永久磁石10の表裏面10aに径方向で対向した状態になっている。
ここで、ティース65の先端部は軸方向平面視で弧状に形成されているのに対し、これに対向する永久磁石10の表裏面10aは平坦に形成されている。このため、永久磁石10の中央から周方向両端の長側面10bに向かうに従って、徐々に永久磁石10とアーマチュアコア61との間のエアギャップが大きくなる。
【0040】
このように構成されたティース65には、インシュレータ67が装着されている。インシュレータ67は、アーマチュアコイル62とアーマチュアコア61とを絶縁するためのものであって、断面略コの字状に形成されている。そして、1つのティース65の軸方向両端側から2つのインシュレータ67を装着し、ティース65の先端部を除いた全体をインシュレータ67によって被覆するようになっている。
【0041】
また、複数枚の金属板64を回転軸12に外嵌固定することにより、アーマチュアコア61の外周には、隣接するティース65間に、軸方向に沿って延びる蟻溝状のスロット66が9つ形成されている。
これらスロット66間にエナメル被覆の巻線62aを挿通し、ティース65に絶縁材であるインシュレータ67を介して巻線62aが巻装される。これにより、アーマチュアコア61の外周に、複数のアーマチュアコイル62が形成される。
【0042】
コンミテータ63は、回転軸12の他端側に外嵌固定されている。コンミテータ63の外周面には、導電材で形成されたセグメント68が9枚取り付けられている。
セグメント68は軸方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。
したがって、この第一実施形態の電動モータ2は、永久磁石10が6つ、スロット66が9つ、セグメント68が9枚の6極9スロット9セグメントで構成された電動モータとなっている。
【0043】
各セグメント68のアーマチュアコア61側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ69が一体成形されている。ライザ69には、アーマチュアコイル62の巻き始め端部と巻き終わり端部となる巻線62aが掛け回わされ、巻線62aはヒュージングによりライザ69に固定されている。これにより、セグメント68とこれに対応するアーマチュアコイル62とが導通される。
【0044】
(ブラシホルダユニット)
図5は、ブラシホルダユニット7の平面図である。
ここで、図3、図5に示すように、セグメント68には、ブラシホルダ収納部9に収納されているブラシホルダユニット7に設けられたブラシ22が摺接されている。ブラシホルダユニット7は、開口部70aを有する箱状のユニット本体70を有している。ユニット本体70は、開口部70aをアーマチュアコア61側に向けた状態でブラシホルダ収納部9に収納されている。
【0045】
一方、ユニット本体70の底壁71は、ブラシホルダユニット7がブラシホルダ収納部9に収納された状態でブラシホルダ収納部9の開口部9aを閉塞している。ユニット本体70の底壁71は、ブラシホルダ収納部9の断面形状に対応するように長円形状に形成されており、1対の平坦辺71aと1対の弧状辺71bとを有している。
弧状辺71bには、ブラシホルダ収納部9に形成された凹部21に対応する位置に、凸部72が4箇所形成されている。
【0046】
これら凸部72は、凹部21に載置可能な大きさに形成されており、周方向の幅は凹部21の幅よりもやや短く設定されている。すなわち、ブラシホルダユニット7は、凸部72がブラシホルダ収納部9の凹部21に載置されることによって、軸方向の位置決めが行われるようになっている。
また、ユニット本体70の底壁71には、短手方向略中央であって、長手方向両端側に、ブラシホルダ部73が設けられている。ブラシホルダ部73は、略直方体の箱状に形成されたものであって、長手方向両端が開口されている。そして、ブラシホルダ部73は、長手方向が径方向に沿うような向きで配置されている。
【0047】
ブラシホルダ部73には、ブラシ22が径方向中央に向かって出没自在に内装されている。このため、ブラシ22は、ユニット本体70の長手方向両側に、回転軸12を中心して対向配置された状態になっている。
ブラシ22は、コンミテータ63のセグメント68に摺接し、アーマチュアコイル62に電流を供給するためのものである。ブラシ22は、ブラシホルダ部73の短手方向に隣接配置されたコイルスプリング23によって、セグメント68側に向かって付勢されている。
【0048】
また、ブラシホルダ部73には、底壁71とは反対側の面(図5における手前側の面)に、スリット74が長手方向に沿うように形成されている。各ブラシ22には、スリット74を介してピグテール24の一端が接続されている。ピグテール24は、ブラシ22から底壁71の外周部に沿うような形で平面視略L字状に配索されている。そして、各ピグテール24の他端は、底壁71の平坦辺71a側に設けられた給電部25に接続されている。この給電部25は、コネクタユニット4と電気的に接続されるようになっている。
なお、図5において特に図示しないが、ブラシ22と給電部25との間に配索されたピグテール24上に、供給される電流を平滑化する平滑コンデンサや、雑防阻止であるチョークコイルなどを設けてもよい。
【0049】
また、ユニット本体70の底壁71には、中央部に軸方向外側に向かって、つまり、アーマチュアコア61とは反対側に向かって膨出するように、膨出部75が形成されている。この膨出部75の中央には、略球状の断面を有する軸受け部76が一体成形されている。
この軸受け部76は、回転軸12の他端側を回転自在に支持するためのものであって、すべり軸受け26が圧入されている。すべり軸受け26は、外形が略球形状をしており、軸受部76に組み付けられた状態で傾動することができる。すべり軸受け26が傾動することで、回転軸12が軸ずれをした場合でも対応可能となる。また、軸受け部76の周壁には、複数のスリット76aが周方向に等間隔で形成されており、軸受け部76の内径とすべり軸受け26の外径の製作誤差をある程度許容できるようになっている。
【0050】
一方、ユニット本体70の周壁77は、底壁71の外周部から立ち上がり形成されている。周壁77は、ブラシホルダ収納部9の内周面に沿うように、1対の平坦部77aと、これら平坦部77aを連結する1対の弧状部77bとが一体成形されたものである。すなわち、周壁77は、ブラシホルダユニット7をモータケース5のブラシホルダ収納部9にインロー嵌合するためのインロー部としての役割を有している。
弧状部77bの周方向中央、つまり、弧状部77bのブラシホルダ部73に対応する位置には、開口部78が形成されている。開口部78が形成されることによって、ブラシホルダ部73へのブラシ22の組み付け作業が容易化されている。
【0051】
ここで、回転軸12の他端は、ブラシホルダ部73に設けられたすべり軸受け26を介してウォーム減速機構3側に向かって突出している。この突出した回転軸12の他端には、三つ又状に形成されたジョイントモータ27が取り付けられている。
ジョイントモータ27は、ウォーム減速機構3に回転軸12の回転力をウォーム減速機構3に伝達するジョイントユニット29の一方を構成するものであって、略円板状の本体部51を有している。本体部51の径方向中央には、この大部分に角孔52が形成されている。
【0052】
一方、回転軸12の他端には、二方面取り部53が形成されており、この二方面取り部53がジョイントモータ27の本体部51の角孔52に圧入されるようになっている。これにより、回転軸12とジョイントモータ27とが相対回転不能、かつ軸方向に移動可能に連結される。
本体部51の外周面には、軸方向平面視略扇状の凸部54が径方向外側に向かって3箇所設けられている。これら凸部54がジョイントユニット29の他方を構成する後述のジョイントフレーム28に着脱自在に係合することにより、回転軸12の回転力がウォーム減速機構3に伝達される。
【0053】
(コネクタユニット)
このように構成された電動モータ2は、コネクタユニット4を間に挟んでウォーム減速機構3にボルト105を介して締結固定されている。
コネクタユニット4は、不図示の外部電源と減速機付モータ1を電気的に接続するためのものである。コネクタユニット4は、ブラシホルダユニット7の底壁71の形状に対応するように長円形状に形成されたベース部41と、ベース部41の一側に突設されたコネクタ部42とで構成されている。
【0054】
ベース部41には、径方向中央にジョイントモータ27を挿通可能な開口部43が形成されている。また、ベース部41には、開口部43のコネクタ部42側に、ウォーム減速機構3側に向かって略垂直に立ち上がり形成された立ち上がり部44が設けられている。立ち上がり部44には、基板45が固定されている。
基板45には、コネクタユニット4の回転位置を検出するための検出素子(不図示)が実装されている。この検出素子による検出信号は、コネクタ部42を介して外部制御機器に出力されるようになっている。この検出信号により、電動モータ2の回転制御が行われる。
【0055】
コネクタ部42は、不図示の外部電源などから延びるコネクタ(不図示)を嵌着可能な筒状の受部46を有している。受部46内には、電源用やセンサ用として用いられる複数の端子47の一端が突設されている。各端子47は、受部46からベース部41を介してウォーム減速機構3側に折り曲げられることで基板45に至るまで延在し、基板45と電気的に接続されているものと、受部46からベース部41を介して電動モータ2側に折り曲げられることでブラシホルダユニット7の給電部25に至るまで延在し、ブラシホルダユニット7の給電部25と電気的に接続されているものとがある。
そして、各端子47のうち、基板45に接続されているものは、センサ用の端子として用いられ、給電部25に接続されているものは、電源用の端子として用いられる。これにより、外部電源の電力がブラシホルダユニット7を介して電動モータ2へと供給される。
【0056】
(ウォーム減速機構)
図6は、ウォーム減速機構3の分解斜視図である。
図1、図2、図6に示すように、ウォーム減速機構3は、ギヤケーシング30内に、電動モータ2の回転軸12に連結されるウォーム軸33と、ウォーム軸33に噛合うウォームホイール34と、ウォームホイール34の回転を出力するドライブユニット35とを収納したものである。
ギヤケーシング30は、ウォーム軸33、ウォームホイール34、およびドライブユニット35とを収納するギヤ収納部31と、電動モータ2に対応する部位に配置され、コネクタユニット4のベース部41を受入れ可能な受入れ部48とが一体成形されたものである。
【0057】
受入れ部48は、電動モータ2側が開口した箱状に形成されたものである。受入れ部48の内周面は、コネクタユニット4のベース部41に対応するように、断面略長円形状に形成されている。また、受入れ部48の周壁48aには、コネクタユニット4のベース部41とコネクタ部42との接続部分を受け入れる凹部49が形成されている。
ギヤ収納部31は、ウォーム軸33を収納するためのウォーム軸収納部36と、ウォームホイール34、およびドライブユニット35を収納するウォームホイール収納部37とで構成されている。ウォーム軸33には、軸方向略中央の大部分に歯部33aが形成されており、この歯部33aがウォームホイール34に噛合う。
【0058】
ウォーム軸収納部36は、略円筒状に形成されたものであって、回転軸12の軸方向に沿って延在している。ウォーム軸収納部36には、受入れ部48とは反対側端の開口部36aに、この開口部36aを閉塞するエンドナット38が圧入されている。
エンドナット38の内側には、ウォーム軸33の一端を回転自在に支持するためのすべり軸受け101a、およびウォーム軸33のスラスト荷重を受けるためのスチールボール102が設けられている。すべり軸受け101aは、受入れ部48に圧入固定される。スチールボール102は、エンドナット38によってウォーム軸収納部36からの脱落が防止されるようになっていると共に、エンドナット38によってウォーム軸33のスラスト方向への位置調整を行うことができるようになっている。
【0059】
ウォーム軸収納部36の受入れ部48側端は、この受入れ部48と連通している。また、ウォーム軸収納部36の受入れ部48側端には、ウォーム軸33の他端を回転自在に支持するためのすべり軸受け101bが内嵌固定されている。ウォーム軸33の他端は、すべり軸受け101bを介して受入れ部48側へと突出した状態になっている。このウォーム軸33の他端であって突出した部位には、スプライン加工が施されており、ここにジョイントユニット29の他方を構成するジョイントフレーム28がスプライン嵌合されている。
【0060】
ジョイントフレーム28は、略円板状に形成された本体部55を有している。本体部55の径方向中央には、ウォーム軸33の他端を挿通可能な挿通孔56が形成されている。この挿通孔56には、スプライン加工が施されており、これによってジョイントフレーム28とウォーム軸33とがスプライン嵌合されるようになっている。
本体部55の電動モータ2側の面には、軸方向に沿って突出する凸部57が3箇所一体形成されている。
【0061】
各凸部57は、ジョイントモータ27の3つの凸部54の間に介在するように構成されている。すなわち、電動モータ2が駆動することによりジョイントモータ27が回転すると、ジョイントモータ27の凸部54とジョイントフレーム28の凸部57とが周方向で係合し、両者27,28が一体となって回転する。このように、ジョイントモータ27とジョイントフレーム28は、それぞれ互いに軸方向で着脱自在、かつ回転方向(周方向)で係合可能に形成されており、ウォーム軸33に回転軸12の回転力が伝達されるようになっている。
【0062】
また、回転軸12とウォーム軸33との間には、スチールボール58が設けられている。このスチールボール58は、回転軸12とウォーム軸33とが直接当接し、各々の摺動抵抗が増大することを防止する役割を有すると共に、各軸12,38の軸方向のずれを規制する役割を有している。
【0063】
一方、ウォームホイール収納部37は、略有底円筒状に形成されている。ウォームホイール収納部37の底部37aには、径方向略中央に、裏側(図6における下側)から内部に向かって挿入されたセンターシャフト111が突設されている。ウォームホイール34は、センターシャフト111に回転自在に軸支された状態でウォームホイール収納部37に収納されている。
【0064】
ウォームホイール34は、略円板状に形成されたものであって、外周面にウォーム軸33に噛合う歯部34aが形成されている。ウォームホイール34の径方向中央には、センターシャフト111を挿通するための挿通孔112が形成されている。センターシャフト111は、ウォームホイール34を貫通し、ウォームホイール34から突出した状態になっている。
【0065】
また、ウォームホイール34において、ウォームホイール収納部37の底部37aとは反対側の面には、挿通孔112の周囲に、軸方向平面視略扇状の収納凹部113が3箇所等間隔に形成されている。ウォームホイール34に3箇所収納凹部113が形成されることにより、挿通孔112の周囲には、3つの壁113aが放射状に形成された状態になる。また、各収納凹部113が軸方向平面視略扇状に形成されていることから、各壁113aは、軸方向平面視で径方向内側から径方向外側に向かって末広がり状になっている。
【0066】
これら収納凹部113には、ゴム製のダンパー114が収納されている。ダンパー114は、周方向に等間隔で配置された6つのダンパー本体115と、これらダンパー本体115の径方向内側に配置され、6つのダンパー本体115を連結するリング部116とで構成されている。
ダンパー本体115は、断面略蒲鉾状に形成されたものであって、ウォームホイール34の1つの収納凹部113に、2つのダンパー本体115が収納可能となる大きさに設定されている。これにより、ダンパー114の回転方向への移動がウォームホイール34の壁113aによって規制される。
【0067】
ダンパー114を挟んでウォームホイール34とは反対側には、ドライブユニット35がセンターシャフト111に回転自在に軸支されている。ドライブユニット35は、略円板状のベースプレート117を有している。ベースプレート117の直径は、ダンパー114のダンパー本体115の端面を被覆可能な大きさに設定されている。
ベースプレート117のダンパー114側の面には、凸部118が3箇所周方向に等間隔で突設されている。そして、各凸部118は、それぞれウォームホイール34の各収納凹部113に収納されている2つのダンパー本体115の間に介在している。
【0068】
すなわち、ウォームホイール34が回転すると、ウォームホイール34の壁113aとドライブユニット35の凸部118とがダンパー本体115を介して周方向で係合することになる。これにより、ウォームホイール34とドライブユニット35とが一体となって回転する。
また、ウォームホイール34の回転力のドライブユニット35への伝達がダンパー114を介して行われるので、ウォームホイール34、およびドライブユニット35に作用する衝撃を緩和することができるようになっている。
【0069】
一方、ベースプレート117のダンパー114とは反対側には、柱状に形成された出力部119が突設されている。出力部119は、円板状のベース部122と、このベース部122上に突設された連結部123とで構成されている。連結部123には、例えば、車両のパワーウインドウ装置(不図示)に連結される。これにより、このパワーウインドウ装置にウォームホイール34の回転が伝達可能になる。
出力部119、およびベースプレート117には、軸方向に貫通する貫通孔121が形成されている。この貫通孔121にセンターシャフト111が挿通され、ドライブユニット35が回転自在に軸支される。
【0070】
また、ウォームホイール収納部37には、この開口部37bを閉塞する略円環状のカバー131が設けられている。カバー131は、ウォームホイール収納部37内への塵埃や水滴などの浸入を防止すると共に、ドライブユニット35の抜け方向への移動を規制する役割を有している。カバー131は、略円環状に形成されたカバー本体132を有し、このカバー本体132の中央からドライブユニット35の出力部119が突出するようになっている。
【0071】
カバー131の内周縁には、ウォームホイール収納部37の内部の密閉性を高めるためにゴム製のシール部材133が設けられている。このシール部材133と出力部119のベース部122とが摺接することにより、ウォームホイール収納部37の内部への塵埃や水滴などの浸入を防止できる。
【0072】
一方、カバー131の外周縁には、係止片134が複数設けられている。係止片134は弾性変形可能に形成されたものであって、ウォームホイール収納部37の外周面に沿うようにして、ウォームホイール収納部37の底部37aに向かって延出している。
また、ウォームホイール収納部37の外周面には、係止片134に対応する部位に、係止突起135が形成されている。この係止突起135と係止片134とが係合することで、カバー131が固定されると共に、ドライブユニット35の抜け方向への移動が規制される。
【0073】
この他に、ギヤケーシング30には、ウォーム軸収納部36にボルト座141aが1箇所形成され、ウォームホイール収納部37にボルト座141bが2箇所形成されている。これらボルト座141a,141bは、例えば、不図示のパワーウインドウ装置に減速機付モータ1を締結固定するために用いられるものである。各ボルト座141a,141bには、それぞれ不図示のボルトを挿通するための挿通孔142a,142bが形成されている。これら挿通孔142a,142bには、フランジ付ブッシュ143が挿入されている。
【0074】
(作用)
次に、減速機付モータ1の作用について説明する。
電動モータ2に、外部電源の電力をコネクタユニット4を介して供給すると、アーマチュアコア61に磁界が形成され、ヨーク部8に配設されている永久磁石10との間に磁気的な吸引力や反発力が生じ、アーマチュア6が回転する。
【0075】
ここで、永久磁石10軸方向に対してスキューした状態になっていると共に、平板形状に形成されているので、永久磁石10の中央から周方向両端の長側面10bに向かうに従って、徐々に永久磁石10とアーマチュアコア61との間のエアギャップが大きくなる。
このため、アーマチュアコア61に対する永久磁石10の周方向両端を境にした磁束の変化を小さくすることができるので、コギングトルクが減少する。コギングトルクが減少することによって、電動モータ2の駆動時の振動や騒音を小さくすることができる。
【0076】
アーマチュア6が回転することにより、ジョイントユニット29を介して回転軸12に連結されたウォーム軸33が回転する。続いて、ウォーム軸33に噛合うウォームホイール34が回転する。ウォームホイール34が回転すると、これと一体となってドライブユニット35が回転する。このとき、ウォームホイール34とドライブユニット35との間には、ダンパー114が設けられているので、ウォームホイール34とドライブユニット35との間に生じる衝撃が緩和される。
【0077】
一方、例えば、ドライブユニット35に不図示のパワーウインドウ装置を連結した場合、このパワーウインドウ装置に何らかの外力が加わり、この外力がドライブユニット35に伝達されて場合であっても、ダンパー114により、ドライブユニット35からウォームホイール34に伝達される衝撃を緩和することができる。
【0078】
(効果)
したがって、上述の第一実施形態によれば、6極9スロット9セグメントの電動モータ2において、セグメント型の永久磁石10として平板形状のものを用いることにより、永久磁石10に複雑な加工を施す必要がなくなる。このため、例えば、永久磁石10としてネオジ焼結磁石などの希土類磁石を使用した場合であっても切削加工等により容易に永久磁石10の薄型化を図ることが可能になる。よって、永久磁石10の軽量化、低コスト化を図ることができ、電動モータ2全体の小型化を図ることもできる。
【0079】
また、モータケース5において、ヨーク部8の周壁81を軸方向平面視略6角形状に形成し、周壁81を平坦部81aと弧状部81bとで構成している。そして、平坦部81aに永久磁石10を配置することにより、永久磁石10が平板形状であってもヨーク部8の内周面に確実に固着させることが可能になる。また、それぞれの平坦部81aの間に弧状部81bが形成されているため、ヨーク部8の剛性が向上し、電動モータ2の駆動時の振動や作動音を小さくすることができる。
【0080】
さらに、ヨーク部8の外径を大きくすることなく、永久磁石10を薄肉化する分だけアーマチュアコア61の外径を大きくすることができる。このため、従来よりも巻線62aの巻装スペースを確保することができ、アーマチュアコイル62を形成するにあたって、巻線62aの巻装ターン数を増加させることができる。このため、電動モータ2のトルク性能を向上させることが可能になる。
【0081】
さらに、永久磁石10を平板形状とすることで、永久磁石10の中央から周方向両端の長側面10bに向かうに従って、徐々に永久磁石10とアーマチュアコア61との間のエアギャップが大きくなる。このため、アーマチュア6の各ティース65の先端部が永久磁石10の両端を通過する際の磁気的な吸引力や反発力の変化を小さくすることができ、コギングトルクを減少させることが可能になる。
【0082】
そして、ブラシホルダユニット7を収納するブラシホルダ収納部9をヨーク部8に一体成形することで、モータケース5をヨーク部8とブラシホルダ収納部9とで構成している。このため、別途ブラシホルダユニット7を電動モータ2に組み付ける場合と比較して電動モータ2の小型化を図ることが可能になる。
【0083】
また、ブラシホルダ収納部9にブラシホルダユニット7をインロー嵌合させていると共に、ブラシホルダ収納部9に回転軸12の他端側を回転自在に支持するための軸受け部76を一体形成している。このため、ヨーク部8に対するブラシホルダユニット7の位置決めを正確に行うことができると共に、ヨーク部8に形成されている軸受け部11を基準にしてブラシホルダユニット7の軸受け部76の位置を容易に決定させることができる。したがって、各軸受け部11,76の相対的な位置決めを精度よく行うことが可能になる。よって、回転軸12や各軸受け部11,76に無理な応力がかかるのを防止できる。これに加え、各軸受け部11,76の相対位置がずれることによる回転軸12のトルク負荷が増大することを防止でき、電動モータ2のモータ特性を向上させることが可能になる。
【0084】
さらに、ブラシホルダ収納部9を軸方向略長円形状に形成すると共に、このブラシホルダ収納部9に収納されるブラシホルダユニット7を軸方向平面視略長円形状に形成している。そして、ブラシホルダ収納部9の平坦壁91と、ヨーク部8の回転軸12を中心にして対向配置された平坦部81aとを互いに面一となるように形成している。このため、電動モータ2全体として扁平化、小型化を図ることができる。
【0085】
また、ブラシホルダユニット7の短手方向略中央であって長手方向両端側に、各ブラシホルダ部73を配置することで、さらに電動モータ2の扁平化、小型化を図ることができる。
これに加え、ブラシ22をコンミテータ63に向かって付勢するコイルスプリング23をブラシホルダ部73の短手方向に隣接配置している。このため、ブラシ22の長手方向端部にブラシ22を付勢する弾性部材(スプリング)を配置する場合と比較して、ブラシホルダ部73の長さを短く設定することができる。よって、ブラシホルダユニット7の長さを短く設定することが可能になる。
【0086】
さらに、ブラシホルダ収納部9の開口部9a端に外フランジ部17を形成し、外フランジ部17と、ブラシホルダ収納部9の弧状壁92,92との接続部17aに、凹部21を形成している。一方、ブラシホルダユニット7の凹部21に対応する部位に、凸部72を形成している。そして、ブラシホルダユニット7を組み付ける際、凸部72をブラシホルダ収納部9の凹部21に載置することで、ブラシホルダユニット7の軸方向の位置決めを容易、かつ正確に行うことができる。
このため、ブラシホルダユニットの組み付け精度、および組み付け作業性を向上させることができる。
【0087】
また、ヨーク部8には、周壁81の底壁82近傍から軸受け部11に至る間の範囲に、軸方向平面視略円形状の円形部16が形成されている。円形部16が形成されていることにより、周壁81と底壁82との接続部分には、丸面取り部16aが形成された状態になっている(図4(b)参照)。
ここで、ヨーク部8の周壁81は軸方向平面視略6角形状に形成されている一方、底壁82には有底円筒形状の軸受け部11が形成されている。このように構成されたモータケース5をプレス加工等によって深絞り成型する場合、ブランクとしての金属板が周壁81の平坦部81aに引っ張られ、軸受け部11の真円度が低下する虞がある。また、軸受け部11の真円度を向上させるために、プレス工程数が増大し、加工コストが増大する虞がある。
しかしながら、モータケース5には、円形部16が形成されているので、深絞り成型する際、軸受け部11は外周全体が均等に引っ張られることになる。また、丸面取り部16aによって軸受け部11と周壁81との間隔が大きくとれるため、周壁81を形成する際の軸受け部11への真円度の影響を低減させることができる。このため、容易に軸受け部11の真円度を向上させることができ、加工コストを低減することが可能になる。
【0088】
さらに、電動モータ2の回転軸12とウォーム減速機構3のウォーム軸33とをジョイントユニット29を介して連結している。このため、ウォーム減速機構3に代わって、他の減速機構や外部機器などに電動モータ2を取り付ける場合であっても電動モータ2の回転軸12を設計変更する必要がなくなる。このため、電動モータ2の汎用性を高めることができる。しかも、電動モータ2の回転軸12に、予めジョイントユニット29の一方を構成するジョイントモータ27を取り付けておくことで、電動モータ2とウォーム減速機構3との取り付けを容易に行うことができる。このため、組み付け作業性を向上させることができる。
【0089】
なお、上述の第一実施形態では、セグメント型の永久磁石10を例えば、ネオジ焼結磁石などの希土類磁石により平板形状に形成し、かつ軸方向に長くなるように平面視略長方形状に形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、永久磁石10をネオジボンド磁石やフェライト磁石などを用いて形成してもよい。
【0090】
(第二実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を図7に基づいて説明する。
図7は、第二実施形態のモータケース5の縦断面図である。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明し、説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
【0091】
この第二実施形態において、減速機付モータ1は、例えば、車両のパワーウインドウ装置の駆動源として用いられるものであって、電動モータ2と、電動モータ2の回転軸12に連結されるウォーム減速機構3とを備え、電動モータ2とウォーム減速機構3との間に、電動モータ2に電力を供給するためのコネクタユニット4が設けられている点、電動モータ2は、有底筒状のモータケース5内にアーマチュア6が回転自在に設けられ、モータケース5の開口部5a側にブラシホルダユニット7が内嵌固定されたものである点、電動モータ2は、6極9スロット9セグメントで構成された電動モータとなっている点、ウォーム減速機構3は、ギヤケーシング30内に、電動モータ2の回転軸12に連結されるウォーム軸33と、ウォーム軸33に噛合うウォームホイール34と、ウォームホイール34の回転を出力するドライブユニット35とを収納したものである点等の基本的構成は前述の第一実施形態と同様である(以下の実施形態についても同様)。
【0092】
ここで、図7に示すように、第一実施形態と第二実施形態との相違点は、前述の第一実施形態の永久磁石10が軸方向に長くなるように平面視略長方形状に形成されているのに対し、第二実施形態の永久磁石310は、軸方向が長くなるように平面視略平行四辺形状に形成されている点にある。
より詳しくは、永久磁石310は、長側面310b,310bが軸方向に沿う直線L1に対して傾斜した状態となるように、かつ表裏面310a,310aの一面がヨーク部8の平坦部81aに当接するように配置されている。また、各永久磁石10は、それぞれ一方の短側面310cが同一平面上に位置するように並設されている。すなわち、永久磁石310はスキューした状態になっている。
【0093】
したがって、上述の第二実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果を奏することができる。また、これに加え、永久磁石310を軸方向に長くなるように平面視略平行四辺形状に形成されており、アーマチュア6のティース65に対してスキューした状態で配置するので、さらに、コギングトルクを減少させることができる。
【0094】
(第三実施形態)
次に、この発明の第三実施形態を図8に基づいて説明する。
図8は、第三実施形態のモータケース205を示し、(a)は側面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
ここで、図8(a)、図8(b)に示すように、第一実施形態と第三実施形態との相違点は、前述の第一実施形態のヨーク部8が軸方向平面視略6角形状に形成されているのに対し、第三実施形態のヨーク部208は軸方向平面視略12角形状に形成されている点にある。
【0095】
モータケース205は、金属板をプレス加工等によって深絞り成型したものであって、有底筒状のヨーク部208と、ヨーク部208の開口部208a端に一体形成された長円形状のブラシホルダ収納部9とで構成されている。
ヨーク部208の周壁281は、第一実施形態のヨーク部8の周壁81を構成している平坦部81aに代わって形成された6つの第一平坦部281aと、弧状部81bに代わって形成された6つの第二平坦部281bとで構成されている。
【0096】
第一平坦部281aと第二平坦部281bは、周方向に交互に配置された状態になっている。第二平坦部281bの周方向の幅W1は、第一実施形態の弧状部81bに代わって形成されたものなので、第一平坦部281aの周方向の幅W2よりも小さく設定されている。
各第一平坦部281aには、セグメント型の永久磁石10が配置されている。ここで、永久磁石10は、軸方向に長くなるように平面視略平行四辺形状に形成してもよいし、長方形状に形成してもよい。
【0097】
したがって、上述の第三実施形態によれば、上述の第一実施形態と同様の効果に加え、ヨーク部208が軸方向平面視略12角形状に形成されている分、前述の第一実施形態のヨーク部8よりも小型化することができる。
【0098】
より具体的には、ヨーク部208の周壁281にあっては、第一実施形態のヨーク部8に形成されている弧状部81bに代わって第二平坦部281bが形成されている。これにより、弧状部81bよりも第二平坦部281bが径方向内側に位置することになる。つまり、ヨーク部208は、第一実施形態のヨーク部8の角(弧状部81b)を押し潰した状態になる。このため、回転軸12を中心にして対向する角と角との間の距離E2(図8(b)参照)を第一実施形態のヨーク部8の回転軸12を中心にして対向する弧状部81b,81b間の距離E3(図4(a)参照)よりも短くすることができる。
【0099】
(第四実施形態)
次に、この発明の第四実施形態を図9に基づいて説明する。
図9は、第四実施形態のモータケース305を示し、(a)は側面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
ここで、図9(a)、図9(b)に示すように、第一実施形態と第四実施形態との相違点は、前述の第一実施形態のヨーク部8に永久磁石310の周方向の位置決めを行うための位置決め用凸部311が形成されている点にある。
【0100】
より詳述すると、モータケース305におけるヨーク部308の周壁381は、軸方向平面視略6角形状に形成されており、6つの平坦部381aと、これら平坦部381aを連結する弧状部381bとで構成されている。各平坦部381aの内面には、永久磁石10が設けられている。
【0101】
ここで、ヨーク部308の弧状部381bには、径方向内側に向かって位置決め用凸部311が複数突出形成されている。位置決め用凸部311は、弧状部381b毎に軸方向に沿って2つずつ形成されており、周方向で隣接する各位置決め用凸部311は、同一平面上に位置している。また、位置決め用凸部311は、治具等を用いて弧状部381bを径方向外側から径方向内側に向かって押圧することによって形成される。このため、弧状部381bの外周面には、位置決め用凸部311に対応する位置に凹部311aが形成された状態になっている。
【0102】
各平坦部381aに配置された永久磁石10は、この両側に位置する位置決め用凸部311に挟持された状態になる。すなわち、各位置決め用凸部311は、各永久磁石10の間に形成され、永久磁石10の周方向の位置決めを行っている。
【0103】
したがって、上述の第四実施形態によれば、上述の第一実施形態と同様の効果に加え、永久磁石10の位置決めを容易に行うことができる。このため、永久磁石10の取り付け作業性を向上させることができる。
【0104】
なお、上述の第四実施形態では、位置決め用凸部311をヨーク部308の弧状部381b毎に、軸方向に沿って2つずつ形成すると共に、平坦部381aに平面視略長方形状の永久磁石10を配置した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ヨーク部308の弧状部381b毎に形成された2つの位置決め用凸部311を軸方向でずらして配置し、平面視略長方形状の永久磁石10に代わって平面視略平行四辺形状の永久磁石310を用いてもよい。
【0105】
(第五実施形態)
次に、この発明の第五実施形態を図10、図11に基づいて説明する。
図10は、第五実施形態のモータケース405を示し、(a)は側面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図である。
【0106】
ここで、図10(a)、図10(b)に示すように、第四実施形態と第五実施形態との相違点は、前述の第四実施形態のモータケース305には、ヨーク部308に永久磁石10の周方向の位置決めを行うための位置決め用凸部311が複数形成されているのに対し、第五実施形態のモータケース405には、ヨーク部408に、位置決め用凸部311に代わって位置決め用凸条部411が形成されている点にある。
【0107】
位置決め用凸条部411は、ヨーク部408の周壁481内面において、各平坦部481aの間に軸方向に沿うように全体に渡って形成されている。すなわち、ヨーク部408の周壁481は、平坦部481aと位置決め用凸条部411とで構成されている。そして、これら平坦部481aと位置決め用凸条部411とが周方向に交互に配置された状態になっている。
また、位置決め用凸条部411は、治具等を用いて周壁481を径方向外側から径方向内側に向かって押圧することによって形成される。このため、周壁481の外周面には、各平坦部481a間に、凹部481bが形成された状態になっている。
【0108】
したがって、上述の第五実施形態によれば、前述の第四実施形態と同様の効果を奏することができる。これに加え、位置決め用凸条部411が周壁481の軸方向全体に渡って形成されているので、永久磁石10の短手方向側辺をより確実に挟持できる。このため、確実に永久磁石10の位置決めを行うことができる。
【0109】
ここで、上述の第五実施形態では、周壁481を治具を用いて径方向外側から径方向内側に向かって押圧することによって、位置決め用凸条部411を形成した場合について説明した。そして、周壁481の平坦部481aに永久磁石10を配置した場合について説明した。この場合、図11に示すように、平坦部481aの内面に切削加工を施した切削加工部482を形成し、より精度よく永久磁石10を位置決めできるようにしてもよい。
【0110】
図11は、第五実施形態におけるヨーク部408の他の形態を示す横断面図である。
ここで、同図に示すように、平坦部481aの内面に切削加工部482を形成する場合、位置決め用凸条部411を精度よく形成する必要がなくなる。また、平坦部481aの内面に切削加工部482を形成する場合、ヨーク部408の周壁481の肉厚を切削加工代を考慮した厚さに設定することが望ましい。
【0111】
なお、上述の第五実施形態では、位置決め用凸条部411を軸方向に沿うように形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、位置決め用凸条部411を軸方向に対して斜めに形成してもよい。このようにすることで、平坦部481aに、平面視略長方形状の永久磁石10に代わって平面視略平行四辺形状の永久磁石310を配置することが可能になる。
【0112】
また、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
さらに、上述の実施形態では、モータケース5,205,305,405において、外フランジ部17と、ブラシホルダ収納部9の弧状壁92,92との接続部17aに、それぞれ2箇所ずつ凹部21を形成する一方、この凹部21に対応する4つの凸部72をブラシホルダユニット7に形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシホルダ収納部9に少なくとも1つの凹部21を形成し、ブラシホルダユニット7に少なくとも1つの凸部72を形成すればよい。
【0113】
そして、上述の実施形態では、ブラシホルダ収納部9の弧状壁92,92との接続部17aに、凹部21を形成する一方、ブラシホルダユニット7の凹部21に対応する部位に、凸部72を形成し、ブラシホルダユニット7を組み付ける際、凸部72をブラシホルダ収納部9の凹部21に載置することで、ブラシホルダユニット7の軸方向の位置決めを行う場合について説明した(図2参照)。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシホルダ収納部9の弧状壁92とヨーク部8の周壁81との間に形成されている段差壁93(図4(b)参照)に、ブラシホルダユニット7の周壁77を当接させて軸方向の位置決めを行うようにしてもよい。この場合、モータケース5,205,305,405に凹部21を形成しなくてもよい。また、ブラシホルダユニット7に凸部72を形成しなくてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態では、電動モータ2にウォーム減速機構3を連結した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、電動モータ2をウォーム減速機構3に代わって、例えば、台形ネジ等を用いたアクチュエータ機構や、他の外部機器に連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 減速機付モータ
2 電動モータ
3 ウォーム減速機構
4 コネクタユニット
5,205,305,405 モータケース
6 アーマチュア
7 ブラシホルダユニット
8,208,308,408 ヨーク部(ヨーク)
8a,9a,208a 開口部
9 ブラシホルダ収納部
10,310 永久磁石
11 軸受け部(第一軸受け部)
12 回転軸
16 円形部
17 外フランジ部
17a 接続部
21 凹部
22 ブラシ
23 コイルスプリング(弾性部材)
27 ジョイントモータ(連結部)
28 ジョイントフレーム
29 ジョイントユニット
33 ウォーム軸
34 ウォームホイール
61 アーマチュア
62 アーマチュアコイル
62a 巻線
63 コンミテータ
65 ティース
66 スロット
68 セグメント
72 凸部
76 軸受け部(第二軸受け部)
77,81,281,381,481 周壁
77a,81a,381a,481a 平坦部
77b,381b 弧状部
82 底壁
91 平坦壁
92 弧状壁
93 段差壁
281a 第一平坦部
281b 第二平坦部
311 位置決め用凸部
411 位置決め用凸条部(位置決め用凸部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のヨークと、
前記ヨークの内周面に固定された6つの平板形状の永久磁石と、
前記永久磁石よりも径方向内側に回転自在に支持されたアーマチュアと、
前記アーマチュアに給電を行うための1対のブラシとを備え、
前記アーマチュアは、
回転軸と、
前記回転軸に外嵌固定されているアーマチュアコアと、
前記アーマチュアコアに隣接して設けられ、9つのセグメントが周方向に配置されているコンミテータとを有し、
前記アーマチュアコアは、
径方向外側に向かって延びる9つのティースと、
各ティース間に形成され、軸方向に沿って延びる9つのスロットとを有し、
各ティースに巻線を巻装すると共に、この巻線の端末部を前記セグメントに接続し、
前記セグメントに前記ブラシを摺接させることで前記巻線に給電を行う6極9スロット9セグメントの電動モータにおいて、
前記ヨークの周壁を軸方向平面視多角形状に形成し、前記周壁の平坦部に前記永久磁石を配置し、
前記ヨークの底壁に、前記回転軸の一端を回転自在に支持するための第一軸受け部を一体形成し、
前記ヨークの開口部に、前記ブラシを保持するブラシホルダユニットを収納可能なブラシホルダ収納部を一体成形したことを特徴とする電動モータ。
【請求項2】
前記ブラシホルダユニットを前記ブラシホルダ収納部に内嵌固定可能に形成すると共に、
前記ブラシホルダユニットに、前記回転軸の他端を回転自在に支持するための第二軸受け部を一体成形したことを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。
【請求項3】
前記ブラシホルダユニット、および前記ブラシホルダ収納部を平面視長円形状に形成し、前記ブラシホルダ収納部の周壁を2つの平坦壁と、これら平坦壁の周方向端部を連結する弧状壁とで構成し、
前記ヨークの平坦部のうち、前記回転軸を中心にして互いに対向する2つの平坦部と、前記ブラシホルダ収納部の平坦壁とを面一としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動モータ。
【請求項4】
前記ブラシホルダユニットの長手方向両側に、前記1対のブラシを前記回転軸を中心にしてそれぞれ対向配置し、前記ブラシホルダユニットには、前記各ブラシを前記コンミテータに向かって付勢するための弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電動モータ。
【請求項5】
前記ブラシホルダ収納部の開口縁に外フランジ部を一体形成し、
前記ブラシホルダ収納部の前記周壁と前記外フランジ部との接続部に、凹部を少なくとも1箇所形成すると共に、
前記ブラシホルダユニットの外周縁であって前記凹部に対応する位置に、この凹部に載置可能な凸部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の電動モータ。
【請求項6】
前記ヨークにおいて、前記周壁の前記底壁近傍から前記第一軸受け部に至る間の範囲に、軸方向平面視円形状の円形部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の電動モータ。
【請求項7】
前記永久磁石は、軸方向に沿って長くなるように形成され、かつ短手方向両側辺が軸方向に沿う直線に対して傾斜した状態で配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の電動モータ。
【請求項8】
前記ヨークの前記周壁を軸方向平面視6角形状に形成したことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の電動モータ。
【請求項9】
前記ヨークの前記周壁を軸方向平面視12角形状に形成したことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の電動モータ。
【請求項10】
前記ヨークの前記周壁の内面には、各永久磁石の間に、位置決め用凸部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の電動モータ。
【請求項11】
前記回転軸の他端は、前記ブラシホルダユニットから突出した状態になっており、この突出した部位に、前記回転軸の回転を外部装置に伝達するための連結部が設けられ、
前記連結部は、前記外部装置に着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項10の何れかに記載の電動モータ。
【請求項12】
請求項11に記載の外部装置を減速機構で構成し、
この減速機構と前記アーマチュアの前記回転軸とを前記連結部を介して連結したことを特徴する減速機付モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−263689(P2010−263689A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112131(P2009−112131)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】