説明

電動式流体ポンプ

【課題】流体の温度の高低に拘わらずモータ部の回転制御を適切に行える電動式流体ポンプを提供する。
【解決手段】電動式流体ポンプ1が、各励磁コイルに誘起される速度起電力に基づいてロータ15の回転位置を検出する第1ロータ位置検出手段41と、回転軸14に設けられる磁石21からの磁界の検出結果に基づいてロータ15の回転位置を検出する第2ロータ位置検出手段50と、稼動状態検出手段44とを備え、回転制御手段43は、稼動状態検出手段44による検出結果に基づいて、第1ロータ位置検出手段41により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御と、第2ロータ位置検出手段50により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御とを切り換え可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスDCモータを構成するモータ部とポンプ部とを備え、モータ部の励磁コイルに誘起される速度起電力に基づいて、モータが有するロータの回転位置を検出する電動式流体ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両における自動変速機のクラッチに流体としての作動油を供給することや、ハイブリッド車の電気モータに流体としての冷却油を供給することなどを目的とする電動式流体ポンプがある。そもそも、車両に搭載されるポンプとしては、例えば、車両のエンジンの駆動力を用いる機械式流体ポンプや、エンジンの駆動力を用いない電動式流体ポンプなどがある。但し、エンジンの始動前又は始動直後には機械式流体ポンプから有効な流体圧を供給できないため、その際には電動式流体ポンプを用いる必要がある。
【0003】
特許文献1に記載されている電動式流体ポンプは、センサレスブラシレスDCモータを構成するモータ部と、モータ部によって駆動される回転軸の駆動力を用いて流体を吸引及び吐出するポンプ部とを備える。モータ部は、磁界を発生する複数の励磁コイルを有するステータと、樹脂を用いて形成された有底筒状のモータハウジング内の空間に、励磁コイルに対応する磁石を回転軸と共に回転可能な状態で有するロータと、ロータの回転位置に応じて各励磁コイルへの通電を切り換えることによりロータの回転制御を行う回転制御手段とを有する。
また、特許文献1に記載の電動式流体ポンプでは、モータ部とポンプ部との間には、ポンプ部からモータ部内の空間へ浸入した流体を、ポンプ部へ帰還可能にする帰還路が形成されている。つまり、流体がポンプ部とモータ部の空間内とを還流することで、モータ部の空間内、即ち、ステータ及びロータの冷却が行われる。但し、流体の温度が低く粘度が高いとき、モータ部内の空間においてロータに付着している流体により、ロータにとっての回転抵抗が増大することになる。
【0004】
以上のように、特許文献1に記載の電動式流体ポンプでは、センサレスDCモータを用いているので、ロータの回転位置を検出するための特別な装置を設けなくてもよいという利点がある。また、モータ部のロータなどを冷却するための特別な装置を設けなくてもよいので、ポンプを小型にできるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−317772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電動式流体ポンプは、各励磁コイルに誘起される速度起電力に基づいてロータの回転位置を検出している。よって、ロータの回転速度が高いときにはロータの回転位置の検出精度も高まるが、ロータの回転速度が低いときにはロータの回転位置の検出精度は低くなるという問題がある。ここで、流体の温度が低いときには、流体の粘度が高いために(即ち、流体が大きな回転抵抗となるために)ロータの回転速度は低くなり、流体の温度が高いときには、流体の粘度が低いために(即ち、流体が大きな回転抵抗とはならないために)ロータの回転速度は高くなる。よって、流体の温度が高いときにはロータの回転位置の検出精度も高まるが、流体の温度が低いときにはロータの回転位置の検出精度は低くなる。
具体的には、上述したようなエンジンの始動前又は始動直後、即ち、モータの始動時や始動から間もないときには、流体の温度が低く、モータ部の空間内に存在する流体の粘度が高いのでロータの回転速度が上がらず、ロータの回転位置の検出精度が低くなりがちである。その結果、モータの回転制御が適切に行えないという問題が発生する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータ部の稼動状態に拘わらずモータ部の回転制御を適切に行える電動式流体ポンプを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る電動式流体ポンプの特徴構成は、磁界を発生する複数の励磁コイルを有するステータと、有底筒状のモータハウジング内の空間に、前記励磁コイルに対応する磁石を回転軸と共に回転可能な状態で有するロータと、前記ロータの回転位置に応じて前記各励磁コイルへの通電を切り換えることにより前記ロータの回転制御を行う回転制御手段とを有するブラシレスDCモータを構成するモータ部と、
前記回転軸の一方の端部に連結され、当該回転軸の駆動力を用いて流体を吸入及び吐出するポンプ部と、
前記各励磁コイルに誘起される速度起電力を検出する速度起電力検出手段による検出結果に基づいて、前記ロータの回転位置を検出する第1ロータ位置検出手段と、を備える電動式流体ポンプであって、
前記回転軸に設けられる磁石からの磁界を検出する磁界検出部を有し、当該磁界検出部による検出結果に基づいて前記ロータの回転位置を検出する第2ロータ位置検出手段と、
前記モータ部の稼動状態を検出する稼動状態検出手段と、を備え、
前記回転制御手段は、前記稼動状態検出手段による検出結果に基づいて、前記第1ロータ位置検出手段により検出される前記ロータの回転位置に基づく前記回転制御と、前記第2ロータ位置検出手段により検出される前記ロータの回転位置に基づく前記回転制御とを切り換え可能に構成されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、回転制御手段は、稼動状態検出手段により検出されるモータ部の稼動状態に応じて、第1ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に基づく回転制御と、第2ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に基づく回転制御とを切り換えている。つまり、第1ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置の方が正確であるようなモータ部の稼動状態では、第1ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に基づく回転制御が行われる。また、第2ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置の方が正確であるようなモータ部の稼動状態では、第2ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に基づく回転制御が行われる。ここで、稼動状態検出手段が検出するモータ部の稼動状態としては、ロータの回転速度、流体の温度、及び、それらの組合せなどがある。
従って、モータ部の稼動状態に拘わらずモータ部の回転制御を適切に行える電動式流体ポンプを提供できる。
【0010】
本発明に係る電動式流体ポンプの別の特徴構成は、前記ポンプ部は、前記モータハウジングの開口部側を閉塞するように配置され、
前記モータ部と前記ポンプ部との間には、前記ポンプ部から前記モータ部の前記空間に浸入した前記流体を、前記ポンプ部へ帰還可能にする帰還路が形成されており、
前記磁界検出部は、前記空間内において前記回転軸の他方の端部に設けられる前記磁石からの磁界を、前記モータハウジングの底部の外側から検出する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、ポンプ部からモータ部の上記空間内に流体が浸入し、その浸入した流体がポンプ部へ帰還するようになる。つまり、モータ部の冷却が流体によって行われることになる。このとき、モータ部の上記空間内に浸入してきた流体はモータ部のロータにとっての回転抵抗となるので、流体の粘度の変化に応じてモータ部の稼動状態は大きく左右される。従って、モータ部の稼動状態がこのように変化しがちな状況において、回転制御手段が、稼動状態検出手段により検出されるモータ部の稼動状態に応じて、第1ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に基づく回転制御と、第2ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に基づく回転制御とを切り換えることの効果は顕著に表れることになる。
【0012】
本発明に係る電動式流体ポンプの別の特徴構成は、前記モータハウジングの前記底部の外側には、前記ステータの内径よりも径の小さい凹部が前記回転軸の軸心上に形成され、
前記磁界検出部は、前記凹部内の前記回転軸の軸心上に配置される点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、回転軸の端部に設けられた磁石と磁界検出部との間の距離が短くなる。つまり、磁界検出部は、回転軸の端部に設けられた磁石からの磁界を高い感度で検出できるので、ロータの回転位置の検出精度が高くなる。
【0014】
本発明に係る電動式流体ポンプの別の特徴構成は、前記稼動状態検出手段は、前記流体の温度を検出する流体温度検出手段であり、
前記モータ部の稼動状態は、前記流体温度検出手段によって検出される前記流体の温度であり、
前記回転制御手段は、前記流体温度検出手段によって検出される前記流体の温度が設定温度条件に対して高温側にあるとき、前記第1ロータ位置検出手段により検出される前記ロータの回転位置に基づく前記回転制御を行い、前記流体温度検出手段によって検出される前記流体の温度が前記設定温度条件に対して低温側にあるとき、前記第2ロータ位置検出手段により検出される前記ロータの回転位置に基づく前記回転制御を行うように構成されている点にある。
【0015】
流体の温度が低いとき(即ち、ロータの回転速度が低いとき)、上述したように第1ロータ位置検出手段によるロータの回転位置の検出精度が低くなるという問題がある。一方で、流体の温度が高いとき(即ち、ロータの回転速度が高いとき)、空間内において回転軸の他方の端部に設けられる磁石からの磁界が弱まることで、第2ロータ位置検出手段によるロータの回転位置の検出精度が低くなるという問題がある。
ところが、上記特徴構成によれば、回転制御手段は、流体温度検出手段により検出される流体の温度が設定温度条件に対して高温側にあるとき(例えば、流体の温度が設定温度閾値以上であるとき)、第1ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に応じて回転制御を行う。そして、回転制御手段は、流体温度検出手段により検出される流体の温度が設定温度条件に対して低温側にあるとき(例えば、流体の温度が設定温度閾値以下であるとき)、第2ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に応じて回転制御を行う。従って、流体の温度が低いとき(即ち、ロータの回転速度が低いとき)、第1ロータ位置検出手段によるロータの回転位置の検出精度が低くなるという問題、及び、流体の温度が高いとき(即ち、ロータの回転速度が高いとき)、第2ロータ位置検出手段によるロータの回転位置の検出精度が低くなるという問題は、回転制御手段が、第1ロータ位置検出手段の検出結果に基づく制御及び第2ロータ位置検出手段の検出結果に基づく制御とを流体温度検出手段により検出される流体の温度に応じて切り換える制御を行うことで解消される。
【0016】
本発明に係る電動式流体ポンプの別の特徴構成は、前記流体温度検出手段は、前記流体の温度を測定する流体温度測定手段及び前記流体の温度を推定する流体温度推定手段のうち少なくとも一方を含む点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、流体の温度を流体温度測定手段を用いて直接的に測定すること、或いは、流体の温度を流体温度推定手段を用いて間接的に測定することができる。例えば、電動式流体ポンプが自動車などの車両に搭載されている場合、上記流体温度推定手段を用いて、ラジエータ冷却水等の温度から流体の温度を推定することもできる。
【0018】
本発明に係る電動式流体ポンプの別の特徴構成は、前記設定温度条件は、前記流体の温度が上昇しているときに用いられる第1温度閾値と、前記流体の温度が降下しているときに用いられる、前記第1温度閾値よりも低い第2温度閾値とで規定される点にある。
【0019】
設定温度条件が一つの温度閾値で規定されている場合、回転制御手段は、流体の温度が温度閾値を跨いで上昇及び降下する度に、第1ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に応じた回転制御と、第2ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に応じた回転制御とを切り換える必要がある。つまり、流体の温度が温度閾値付近にある場合、制御のハンチングが発生してしまう。
ところが、上記特徴構成によれば、設定温度条件を、上述した異なる二つの温度閾値によって規定しているので、上述したような制御のハンチングを防止できる。
【0020】
本発明に係る電動式流体ポンプの別の特徴構成は、前記第2ロータ位置検出手段は、前記磁界検出部により検出される磁界と前記ロータの回転位置との関係を記憶する記憶部と、前記磁界検出部による検出結果と前記記憶部に記憶されている前記関係とに基づいて前記ロータの回転位置を演算する演算処理部とを更に有する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、記憶部が、磁界検出部により検出される磁界とロータの回転位置との関係を記憶しているので、演算処理部は、ロータの回転位置を正確且つ容易に演算できる。よって、回転制御手段は、第2ロータ位置検出手段により検出されるロータの回転位置に基づく回転制御を適切に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に図1〜図4を参照して本発明に係る電動式流体ポンプについて説明する。
図1は、電動式流体ポンプの全体の構成を概略的に示す縦断面図であり、図2は、図1に示した第2ロータ位置検出手段の機能ブロック図である。また、図3は、電動式流体ポンプの詳細な縦断面図であり、図4は、モータ部の上面図である。
電動式流体ポンプ1は、コネクタ部11を介して供給される電力によって回転軸14を回転駆動させるモータ部Mと、このモータ部Mにより回転駆動された回転軸14の駆動力により油や水などの流体を吸入及び吐出するポンプ部Pとを備える。そして、本実施形態の電動式流体ポンプ1は、例えば、自動車などの車両における自動変速機のクラッチに流体としての作動油を供給することや、ハイブリッド車の電気モータに流体としての冷却油を供給することなどの用途に用いることができる。よって、車両に搭載されるポンプのうち、車両のエンジンの駆動力を用いる機械式流体ポンプがエンジンの始動前又は始動直後に有効な流体圧を供給できないときであっても、電動式流体ポンプ1を用いて有効な流体圧を供給できる。また、機械式流体ポンプが有効な流体圧を供給できるときであっても、電動式流体ポンプ1を使用することがある。
【0023】
電動式流体ポンプ1は、モータ部Mを形作るモータハウジング10と、ポンプ部Pを形作るポンプボディ25及びポンプカバー36とを備え、それらの内部に各種部品が収容されている。そして、モータハウジング10とポンプボディ25との間にはシール部材24が設けられ、ポンプボディ25とポンプカバー36との間にはシール部材35が設けられることで、これらモータハウジング10とポンプボディ25とポンプカバー36とが互いに組み付けられている。このように、ポンプ部Pは、樹脂を用いて形成された有底筒状のモータハウジング10の開口部側を閉塞している。
【0024】
モータハウジング10は、接続される外部端子から電力の供給を受けるコネクタ部11、及び、コネクタ部11から供給される電力を使用して回転軸14を駆動させるモータ部Mを有している。
モータ部Mは、磁界を発生する複数の励磁コイル18を有するステータ16と、有底筒状のモータハウジング10内の空間13に、励磁コイル18に対応する磁石15aを回転軸14と共に回転可能な状態で有するロータ15とを備える。また、モータ部Mは、ロータ15の回転位置に応じて各励磁コイル18への通電を切り換えることによりロータ15の回転制御を行う回転制御手段43を備える。以上のように、本実施形態におけるモータ部Mは、ブラシレスDCモータを構成する。
【0025】
具体的には、モータ部Mが備えるロータ15は、回転軸14に対して固定され、ステータ16は、ロータ15の周囲に設定間隔を空けて環状に配置されている。ステータ16は、複数の鉄板が積層されたコア17と、コア17の表面を部分的に覆う絶縁性の樹脂材料で形成されたボビン部20と、コア17との絶縁を確保しつつ、コア17を取り囲むような形態でボビン部20に巻回された励磁コイル18とを備えている。コネクタ部11が備えるターミナル部材12(12a、12b、12c)は、一端部がステータ16の励磁コイル18と接続され、他端部がコネクタ部11の接続端子40を構成する。ターミナル部材12は板状の金属である。また、樹脂製のボビン部20は、ステータ16及びターミナル部材12a、12b、12cを保持する。
また、モータハウジング10の底部10aの外側には、ステータ16の内径よりも径の小さい凹部22が回転軸14の軸心X上に形成されている。
【0026】
図4に示すように、コア17を取り囲んだ歯部は6個設けられている。3個のターミナル部材12a、12b、12cには、夫々位相の異なる交流電圧が印加されている。その結果、ターミナル部材12bと歯部19aと歯部19dとが同相(V相)となり、ターミナル部材12aと歯部19bと歯部19eとが同相(U相)となり、ターミナル部材12cと歯部19cと歯部19fとが同相(W相)となる。
【0027】
コネクタ部11は、モータハウジング10の一部分に開口を有した筒状空間を形成し、その筒状空間内に接続端子40(ターミナル部材12の他端部)を突出させた形態で構成されている。そして、モータ部Mに電力を供給する外部端子は、この接続端子40と接触するように筒状空間内に挿入される。
【0028】
ポンプ部Pを形作るポンプボディ25は、モータ部Mによって駆動された回転軸14の回転力を用いて流体を吸引及び吐出させるポンプ作動部26を収容している。本実施形態では、ポンプ作動部26としてトロコイド式のポンプを用いている。ポンプカバー36は、ポンプ作動部26へ流体を吸入させる吸入ポート37と、ポンプ作動部26から流体を吐出させる吐出ポート38とを収容している。このポンプ作動部26では、アウタロータ28の内歯に噛合う外歯を有するインナロータ27が、アウタロータ28内に配置される。インナロータ27は、ポンプボディ25の内部に形成された軸受孔32に挿入され、モータ部Mによって回転駆動される回転軸14に固定されて共に回転する。これにより、インナロータ27及びアウタロータ28の間には、回転に伴い容積が増減する複数のポンプ作動室29が形成される。吸入室30に連通するポンプ作動室29の容積が増大しているときポンプ作動室29には負圧が生じ、流体が吸入ポート37及び吸入室30を経てポンプ作動室29に流入する。ポンプ作動室29に流入した流体は、インナロータ27の回転に伴って吐出室31へと移送され、吐出ポート38から吐出される。
従って、モータ部Mの駆動力により回転軸14が回転駆動されると、吸入ポート37から吸入された流体が、吐出ポート38から吐出される。
【0029】
本実施形態の電動式流体ポンプ1には、吐出室31を軸受孔32に連通する切欠き部33が形成され、流体が回転軸14の表面に染み出すように構成されている一方で、ポンプ作動部26からモータ部Mへの回転軸14の表面を伝った流体の移動を阻止するための手段が設けられていない。そのため、ポンプ作動部26から回転軸14を伝って染み出した流体は、モータ部Mの空間13内に浸入して、ロータ15及びステータ16などに付着することになる。
また、電動式流体ポンプ1において、モータ部Mとポンプ部Pとの間には、ポンプ部Pからモータ部Mの上記空間13に浸入した流体をポンプ部Pへ帰還可能にするべくモータ部Mと吸入室30とを接続する帰還路34が設けられる。そして、吸入室30に負圧が発生すると、ポンプ部Pから空間13に浸入した流体の一部が負圧によって上記帰還路34を通って吸入室30に引き込まれる。
以上のように、流体がポンプ作動部からモータ部Mの空間13内及び帰還路34を通ってポンプ作動部へ帰還する流体循環系統が存在する。よって、流体は、モータ部Mの空間13内において、ロータ15及びステータ16などの熱を奪う冷却の役割を担っている。
【0030】
次に、本発明に係る電動式流体ポンプ1の動作について説明する。
上述のように、電動式流体ポンプ1は、モータ部Mとポンプ部Pとを備えている。そして、このモータ部Mは、磁界を発生する複数の励磁コイル18を有するステータ16と、樹脂を用いて形成された有底筒状のモータハウジング10内の空間13に、励磁コイル18に対応する磁石15aを回転軸14と共に回転可能な状態で有するロータ15と、前記ロータ15の回転位置に応じて前記各励磁コイル18への通電を切り換えることにより前記ロータ15の回転制御を行う回転制御手段43とを有するブラシレスDCモータを構成する。
更に、電動式流体ポンプ1は、モータ部の稼動状態を検出する稼動状態検出手段44としての流体温度検出手段45を備えている。そして、回転制御手段43は、稼動状態検出手段44としての流体温度検出手段45による検出結果に基づいて、第1ロータ位置検出手段41により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御と、第2ロータ位置検出手段50により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御とを切り換え可能に構成されている。つまり、本実施形態では、流体温度検出手段45によって検出される流体の温度が、モータ部Mの稼動状態に相当する。
【0031】
流体温度検出手段45は、流体の温度を直接測定する流体温度測定手段45aと、流体の温度以外のパラメータから流体の温度を推定する流体温度推定手段45bとの少なくとも一方を有する。流体温度推定手段45bが流体の温度を推定するために利用するパラメータ(即ち、流体の温度に関連するパラメータ)としては、車両の内燃機関を冷却する冷却水(ラジエータの冷却水)の温度等を例示することができる。本実施形態では、これら流体温度測定手段45a及び流体温度推定手段45bの一方のみを用いて流体温度を検出することもできる。また、流体温度測定手段45aによる流体温度の検出結果と、流体温度推定手段45bによる流体温度の検出結果との何れの結果を採用するのかを、何らかの条件によって切り換えるようにしてもよい。
【0032】
流体温度検出手段45は、ポンプ部Pを通流している流体の温度を検出するものであってもよく、或いは、モータ部Mの空間13内に存在する流体の温度を検出するものであってもよい。流体温度検出手段45が、ポンプ部Pを通流する流体の温度を検出するものである場合、例えば、流体温度検出手段45(ここでは、流体温度測定手段45a)を、吸入ポート37又は吐出ポート38に連通した流体の流路(図示せず)中に設けることができる。また、流体温度検出手段45が、モータ部Mの空間13内に存在する流体の温度を検出するものである場合、流体温度検出手段45(ここでは、流体温度測定手段45a)を、モータ部Mの空間13内に設けることができる。本実施形態では、流体の温度が検出できれば、流体温度検出手段45がどこに設けられていても構わない。
【0033】
そして、回転制御手段43は、具体的には、流体温度検出手段45によって検出される流体の温度が設定温度条件に対して高温側にあるとき、第1ロータ位置検出手段41により検出されるロータ15の回転位置に応じて回転制御を行い、流体温度検出手段45によって検出される流体の温度が設定温度条件に対して低温側にあるとき、第2ロータ位置検出手段50により検出されるロータ15の回転位置に応じて回転制御を行う。
【0034】
第1ロータ位置検出手段41は、前記各励磁コイル18に誘起される速度起電力を検出する速度起電力検出手段42による検出結果に基づいて、前記ロータ15の回転位置を検出する。具体的には、速度起電力検出手段42は、図4に示すように、通電されていない励磁コイル18のU相、V相、W相のそれぞれに誘起される速度起電力のゼロクロス点に関する検出結果を出力する。その結果、第1ロータ位置検出手段41は速度起電力検出手段42の検出結果に基づいてロータ15の回転位置を検出できる。
【0035】
第2ロータ位置検出手段50は、ポンプ部P側とは逆側に位置している、回転軸14の他方の端部に設けられる磁石(例えば、2極の永久磁石)21からの磁界を検出する磁界検出部としてのセンサ部52を有する。センサ部52は、複数のホールICを備えて構成され、モータハウジング10の底部10aの外側から、永久磁石21からの磁界を検出している。そして、第2ロータ位置検出手段50は、上記センサ部52による検出結果に基づいてロータ15の回転位置を検出する。具体的には、第2ロータ位置検出手段50は、センサ部52により検出される磁界とロータ15の回転位置との関係を記憶する記憶部51と、センサ部52による検出結果と記憶部51に記憶されている上記関係とに基づいてロータ15の回転位置を演算する演算処理部53とを有する。そして、演算されたロータ15の回転位置に関する情報は、第2ロータ位置検出手段50が有する出力部54から回転制御手段43へ出力される。このように、記憶部51が、センサ部52により検出される磁界とロータ15の回転位置との関係を記憶しているので、演算処理部53は、ロータ15の回転位置を正確且つ容易に演算できる。
【0036】
このように、第2ロータ位置検出手段50が有するセンサ部52はモータハウジング10の外側から、モータハウジング10の内部の空間13に配置されている回転軸14の端部に設けられた永久磁石21により形成される磁界を検出する。よって、センサ部52と永久磁石21との間の距離は短い方が好ましい。本実施形態では、モータハウジング10の底部10aの外側には、ステータ16の内径よりも径の小さい凹部22が回転軸14の軸心上に形成され、その凹部22に、第2ロータ位置検出手段50が有するセンサ部52が設けられるので、センサ部52と永久磁石21との間の距離は短くなっている。従って、センサ部52は、回転軸14の端部に設けられた永久磁石21からの磁界を高い感度で検出できるので、ロータ15の回転位置の検出精度が高くなる。更に、本実施形態では、モータハウジング10の底部10aの外側に形成された凹部22の中央に、窪み23が形成されている。そして、第2ロータ位置検出手段50が有するセンサ部52は、凹部22の中に形成された窪み23内に設けられる。ここで、回転軸14に対する永久磁石21の設置位置、並びに、センサ部52の設置位置は上述した構成から変更してもよい。
【0037】
ここで、流体の温度が低いときには、流体の粘度が高いために(即ち、ロータ15にとって流体が大きな回転抵抗となるために)ロータ15の回転速度は低くなり、流体の温度が高いときには、流体の粘度が低いために(即ち、ロータ15にとって流体が大きな回転抵抗とはならないために)ロータ15の回転速度は高くなる。
よって、流体の温度が高くなれば(即ち、ロータ15の回転速度が高くなれば)、第1ロータ位置検出手段41による、ロータ15の回転位置の検出精度も高まる。但し、流体の温度が低くなれば(即ち、ロータ15の回転速度が低くなれば)、励磁コイル18のU相、V相、W相に誘起される速度起電力が小さくなるため、第1ロータ位置検出手段41によるロータ15の回転位置の検出精度が低くなることもある。
一方で、流体の温度が低くても(即ち、ロータ15の回転速度が低くても)、第2ロータ位置検出手段50によるロータ15の回転位置の検出精度は十分良好である。しかし、流体の温度が高くなると、回転軸14の端部に固定された永久磁石21の温度も高くなり、それにより永久磁石21の磁力が弱くなるため、第2ロータ位置検出手段50によるロータ15の回転位置の検出精度は低くなる。
【0038】
よって、回転制御手段43は、流体温度検出手段45により検出される流体の温度が設定温度条件に対して高温側にあるとき(例えば、流体の温度が設定温度閾値以上であるとき)、第1ロータ位置検出手段41により検出されるロータ15の回転位置に応じて回転制御を行う。そして、回転制御手段43は、流体温度検出手段45により検出される流体の温度が設定温度条件に対して低温側にあるとき(例えば、流体の温度が設定温度閾値以下であるとき)、第2ロータ位置検出手段50により検出されるロータ15の回転位置に応じて回転制御を行う。
【0039】
このように、流体の温度が低いとき(即ち、ロータ15の回転速度が低いとき)、第1ロータ位置検出手段41によるロータ15の回転位置の検出精度が低くなるという問題、及び、流体の温度が高いとき(即ち、ロータ15の回転速度が高いとき)、第2ロータ位置検出手段50によるロータ15の回転位置の検出精度が低くなるという問題は、回転制御手段43が、第1ロータ位置検出手段41の検出結果に基づく制御及び第2ロータ位置検出手段50の検出結果に基づく制御とを流体温度検出手段45により検出される流体の温度に応じて切り換える制御を行うことで解消される。
【0040】
本発明に係る電動式流体ポンプ1において、上記設定温度条件は、流体の温度特性やモータ部Mの特性などによって適宜設定される。例えば、設定温度条件として0℃を設定温度閾値とする場合がある。この場合、回転制御手段43は、流体の温度が上昇中において流体の温度が0℃未満の間、第2ロータ位置検出手段50によって検出されるロータ15の回転位置に応じて励磁コイル18への通電を制御し、流体の温度が0℃以上になると、第1ロータ位置検出手段41によって検出されるロータ15の回転位置に応じて励磁コイル18への通電を制御する。また、回転制御手段43は、流体の温度が降下中において0℃以下になると、第2ロータ位置検出手段50によって検出されるロータ15の回転位置に応じて励磁コイル18への通電を制御する。
【0041】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、稼動状態検出手段44が、流体の温度を検出する流体温度検出手段45であり、モータ部Mの稼動状態が、流体温度検出手段45によって検出される流体の温度である構成について説明したが、稼動状態検出手段44として他の構成を採用することもできる。
例えば、稼動状態検出手段44が検出するモータ部Mの稼動状態がモータ部M(ロータ15)の回転速度である構成でもよい。ここで、回転制御手段43は、上記第1ロータ位置検出手段41及び上記第2ロータ位置検出手段50の検出結果から、ロータ15の回転位置だけでなく、ロータ15の回転速度も識別できる。よって、稼動状態検出手段44として、第1ロータ位置検出手段41及び第2ロータ位置検出手段50の少なくとも何れか一方を採用することができる。そして、回転制御手段43は、その稼動状態検出手段44による検出結果に基づいて、第1ロータ位置検出手段41により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御と、第2ロータ位置検出手段50により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御とを切り換え可能に構成されている。
【0042】
具体的には、回転制御手段43は、ロータ15の回転速度が設定回転速度条件よりも高回転速度側にあるとき、第1ロータ位置検出手段41により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御を行う。また、回転制御手段43は、ロータ15の回転速度が設定回転速度条件よりも低回転速度側にあるとき、第2ロータ位置検出手段50により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御を行う。従って、ロータ15の回転速度が低いとき(即ち、流体の温度が低いとき)、第1ロータ位置検出手段41によるロータ15の回転位置の検出精度が低くなるという問題、及び、ロータ15の回転速度が高いとき(即ち、流体の温度が高いとき)、第2ロータ位置検出手段50によるロータ15の回転位置の検出精度が低くなるという問題は解消される。また或いは、回転制御手段43が、上述した設定温度条件と設定回転速度条件との組み合わせに基づいて、第1ロータ位置検出手段41により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御と、第2ロータ位置検出手段50により検出されるロータ15の回転位置に基づく回転制御とを切り換えるように構成してもよい。
【0043】
<2>
上記実施形態では、設定温度条件が一つの設定温度閾値(例えば、0℃)によって規定される例について説明したが、複数の設定温度閾値によって設定温度条件が規定されるように改変してもよい。例えば、設定温度条件が、流体の温度が上昇しているときに用いられる第1温度閾値と、流体の温度が降下しているときに用いられる、第1温度閾値よりも低い第2温度閾値とで規定されるように構成してもよい。
以下に、第1温度閾値を例えば0℃とし、第2温度閾値を−10℃とした場合の回転制御手段43の動作について説明する。この場合、回転制御手段43は、流体の温度が上昇中において流体の温度が0℃未満の間、第2ロータ位置検出手段50によって検出されるロータ15の回転位置に応じて励磁コイル18への通電を制御し、流体の温度が0℃以上になると、第1ロータ位置検出手段41によって検出されるロータ15の回転位置に応じて励磁コイル18への通電を制御する。また、回転制御手段43は、流体の温度が降下中において−10℃以下になると、第2ロータ位置検出手段50によって検出されるロータ15の回転位置に応じて励磁コイル18への通電を制御する。
【0044】
上記実施形態のように、設定温度条件が一つの設定温度閾値によって規定される場合、回転制御手段43は、流体の温度が設定温度閾値を跨いで上昇及び降下する度に、第1ロータ位置検出手段41により検出されるロータ15の回転位置に応じた回転制御と、第2ロータ位置検出手段50により検出されるロータ15の回転位置に応じた回転制御とを切り換えなければならない。つまり、流体の温度が設定温度閾値付近にある場合、制御のハンチングが発生してしまう。
ところが、流体の温度が上昇中であるときと降下中であるときとで温度閾値を異ならせることで、上述したような制御のハンチングを防止できるという利点がある。
【0045】
同様に、上記別実施形態<1>で説明したような、稼動状態検出手段44が検出するモータ部Mの稼動状態がモータ部M(ロータ15)の回転速度である構成においても、上記設定回転速度条件が複数の設定回転速度閾値によって規定されるように構成してもよい。例えば、設定回転速度条件が、ロータ15の回転速度が上昇しているときに用いられる第1回転速度閾値と、ロータ15の回転速度が降下しているときに用いられる、第1回転速度閾値よりも低い第2回転速度閾値とで規定されるように構成してもよい。
【0046】
<3>
上記実施形態では、電動式流体ポンプにおいて、ポンプ部が、モータハウジングの開口部側を閉塞するように配置され、モータ部とポンプ部との間には、ポンプ部からモータ部の空間に浸入した流体をポンプ部へ帰還可能にする帰還路が形成されている場合について説明したが、電動式流体ポンプの構成はそれと異なっていてもよい。例えば、モータ部とポンプ部との間での流体の通流が無く、上記帰還路も形成されていないような構成の電動式流体ポンプでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】電動式流体ポンプの全体の構成を概略的に示す縦断面図
【図2】第2ロータ位置検出手段の機能ブロック図
【図3】電動式流体ポンプの詳細な縦断面図
【図4】モータ部の上面図
【符号の説明】
【0048】
1 電動式流体ポンプ
10 モータハウジング
10a 底部
13 空間
14 回転軸
15 ロータ
15a 磁石
16 ステータ
18 励磁コイル
21 磁石
22 凹部
34 帰還路
41 第1ロータ位置検出手段
42 速度起電力検出手段
43 回転制御手段
44 稼動状態検出手段
45 流体温度検出手段
45a 流体温度測定手段
45b 流体温度推定手段
50 第2ロータ位置検出手段
51 記憶部
52 センサ部(磁界検出部)
53 演算処理部
M モータ部
P ポンプ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界を発生する複数の励磁コイルを有するステータと、有底筒状のモータハウジング内の空間に、前記励磁コイルに対応する磁石を回転軸と共に回転可能な状態で有するロータと、前記ロータの回転位置に応じて前記各励磁コイルへの通電を切り換えることにより前記ロータの回転制御を行う回転制御手段とを有するブラシレスDCモータを構成するモータ部と、
前記回転軸の一方の端部に連結され、当該回転軸の駆動力を用いて流体を吸入及び吐出するポンプ部と、
前記各励磁コイルに誘起される速度起電力を検出する速度起電力検出手段による検出結果に基づいて、前記ロータの回転位置を検出する第1ロータ位置検出手段と、を備える電動式流体ポンプであって、
前記回転軸に設けられる磁石からの磁界を検出する磁界検出部を有し、当該磁界検出部による検出結果に基づいて前記ロータの回転位置を検出する第2ロータ位置検出手段と、
前記モータ部の稼動状態を検出する稼動状態検出手段と、を備え、
前記回転制御手段は、前記稼動状態検出手段による検出結果に基づいて、前記第1ロータ位置検出手段により検出される前記ロータの回転位置に基づく前記回転制御と、前記第2ロータ位置検出手段により検出される前記ロータの回転位置に基づく前記回転制御とを切り換え可能に構成されている電動式流体ポンプ。
【請求項2】
前記ポンプ部は、前記モータハウジングの開口部側を閉塞するように配置され、
前記モータ部と前記ポンプ部との間には、前記ポンプ部から前記モータ部の前記空間に浸入した前記流体を、前記ポンプ部へ帰還可能にする帰還路が形成されており、
前記磁界検出部は、前記空間内において前記回転軸の他方の端部に設けられる前記磁石からの磁界を、前記モータハウジングの底部の外側から検出する請求項1記載の電動式流体ポンプ。
【請求項3】
前記モータハウジングの前記底部の外側には、前記ステータの内径よりも径の小さい凹部が前記回転軸の軸心上に形成され、
前記磁界検出部は、前記凹部内の前記回転軸の軸心上に配置される請求項2記載の電動式流体ポンプ。
【請求項4】
前記稼動状態検出手段は、前記流体の温度を検出する流体温度検出手段であり、
前記モータ部の稼動状態は、前記流体温度検出手段によって検出される前記流体の温度であり、
前記回転制御手段は、前記流体温度検出手段によって検出される前記流体の温度が設定温度条件に対して高温側にあるとき、前記第1ロータ位置検出手段により検出される前記ロータの回転位置に基づく前記回転制御を行い、前記流体温度検出手段によって検出される前記流体の温度が前記設定温度条件に対して低温側にあるとき、前記第2ロータ位置検出手段により検出される前記ロータの回転位置に基づく前記回転制御を行うように構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の電動式流体ポンプ。
【請求項5】
前記流体温度検出手段は、前記流体の温度を測定する流体温度測定手段及び前記流体の温度を推定する流体温度推定手段のうち少なくとも一方を含む請求項4記載の電動式流体ポンプ。
【請求項6】
前記設定温度条件は、前記流体の温度が上昇しているときに用いられる第1温度閾値と、前記流体の温度が降下しているときに用いられる、前記第1温度閾値よりも低い第2温度閾値とで規定される請求項4又は5記載の電動式流体ポンプ。
【請求項7】
前記第2ロータ位置検出手段は、前記磁界検出部により検出される磁界と前記ロータの回転位置との関係を記憶する記憶部と、前記磁界検出部による検出結果と前記記憶部に記憶されている前記関係とに基づいて前記ロータの回転位置を演算する演算処理部とを更に有する請求項1〜6の何れか一項に記載の電動式流体ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−86117(P2008−86117A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262669(P2006−262669)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】