電動機の回転子及びその製造方法並びに永久磁石式電動機
【課題】歩留まり向上を図った電動機の回転子を提供する。
【解決手段】回転子１００は、鉄心片構成鋼板１ａを積層させて形成した鉄心片１を複数個固着させて円環状にした回転子鉄心１０と、各鉄心片１に形成されている磁石挿入孔２に挿入された永久磁石３と、を備えたものである。
【解決手段】回転子１００は、鉄心片構成鋼板１ａを積層させて形成した鉄心片１を複数個固着させて円環状にした回転子鉄心１０と、各鉄心片１に形成されている磁石挿入孔２に挿入された永久磁石３と、を備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、圧縮機やファンモーター等に使われる電動機の回転子及びその製造方法並びに永久磁石式電動機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年から存在している永久磁石式電動機の回転子は、プレス等により一体に打ち抜かれた電磁鋼板を積層して回転子鉄心を形成し、その鉄心の中に永久磁石を埋め込むことにより構成されたものが多い。回転子は、電動機として機能する際には固定子の内部で回転するので、固定子の内径よりも径が小さい外径を有した略円形の形状をしている。つまり、回転子鉄心を構成する電磁鋼板は、平面形状が略円形状をしている。この略円形状の電磁鋼板を積層させて回転子鉄心を形成する。そして、略円形状の電磁鋼板は、短冊状の電磁鋼板の帯をプレス等により打ち抜くことで形成される。
【０００３】
そのようなものとして、「所定の形状に打ち抜いた電磁鋼板を所定枚数積層して構成される回転子鉄心と、前記回転子鉄心の外周部に沿って形成された複数の磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔の周方向両端部に位置する二つの漏れ磁束抑制孔と、前記磁石挿入孔内の前記二つの漏れ磁束抑制孔の間に挿入される永久磁石と、前記回転子鉄心の外周部と前記二つの漏れ磁束抑制孔との間に形成される二つの外周薄肉部と、を備え、前記二つの外周薄肉部のうちの一方の径方向寸法を、他方の径方向寸法の２倍以上とした永久磁石型モータの回転子」が提案されている（たとえば、特許文献１参照）。この回転子は、磁石挿入孔の両端の漏れ磁束抑制孔と回転子鉄心の外周との間の回転子鉄心外周薄肉部のいずれか一方の径方向寸法を他方の径方向寸法よりも大きくし、電磁鋼板をプレス加工する場合の反り返りを抑制するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２０１０−１５８０８５号公報（３〜５頁、図３）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１に記載されているものにおいては、複数の円形状の電磁鋼板を一体に打ち抜こうとすると、短冊状の電磁鋼板と円形状の電磁鋼板との差によって、短冊状の電磁鋼板のうち円形状の電磁鋼板とはならない不要な部分が多く発生することになる。したがって、いわゆる歩留まりの悪化という観点からは改善の余地があった。また、歩留まりの悪化は、省資源化や低コスト化といった面からも問題となる。
【０００６】
ところで、複数枚の電磁鋼板を形成する場合、通常、複数の円形状の電磁鋼板を一体として打ち抜く作業を連続して行なう。このとき、永久磁石を埋設するための孔（磁石挿入孔）も同時に打ち抜き形成される。併せて、埋設される永久磁石から発生する磁束の漏洩、短絡磁束防止用のフラックスバリアと呼ばれる狭小部を形成することが多い。この狭小部には、回転子が回転することによる遠心力等に耐えうる機械的強度が必要とされる。そのために狭小部の薄さには限界があり、現在存在している回転子は、永久磁石の発生する磁束を有効に使用することはできていなかった。
【０００７】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、永久磁石から発生する磁束を有効に利用できる電動機の回転子及び永久磁石式電動機を提供することを目的とするものである。また、歩留まり向上を図った電動機の回転子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係る電動機の回転子は、同形状の電磁鋼板を複数枚積層させて形成した鉄心片を周方向に複数個固着させて円環状にした回転子鉄心と、各鉄心片に形成されている磁石挿入孔に挿入された永久磁石と、を備えたことを特徴とする。
【０００９】
本発明に係る永久磁石式電動機は、上記の電動機の回転子と、前記回転子の外周面側に配設され、固定子鉄心に複数相の固定子巻線が装着された固定子と、を備えたことを特徴とする。
【００１０】
本発明に係る電動機の回転子の製造方法は、上記の電動機の回転子の製造方法であって、前記鉄心片を構成している鉄心片構成鋼板が、帯状の電磁鋼板の長手方向に対して、前記外周面形成部及び前記内周面形成部が交互に繰り返すように配列パターンが決定され、複数個が一体に打ち抜かれて形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明に係る電動機の回転子及び永久磁石式電動機によれば、永久磁石から発生する磁束を有効に利用することができ、経済的で高効率な電動機を提供できることになる。
【００１２】
本発明に係る電動機の回転子の製造方法によれば、鉄心片を複数枚の同形状の電磁鋼板を積層させて形成したので、複数個の同形状の電磁鋼板を一体に帯状の電磁鋼板から打ち抜くことが可能となり、帯状の電磁鋼板の無駄を大幅に低減でき、歩留まりを大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の実施の形態１に係る電動機の回転子の平面形状を概略的に示す平面図である。
【図２】本発明の実施の形態１に係る電動機の回転子鉄心を構成する鉄心片の平面形状を概略的に示す平面図である。
【図３】本発明の実施の形態１に係る電動機の回転子を構成する回転子鉄心の鉄心片を構成する一枚一枚の電磁鋼板、及び、従来の円形状の電磁鋼板の製造過程の一部を説明するための説明図である。
【図４】本発明の実施の形態２に係る電動機の回転子の平面形状を概略的に示す平面図である。
【図５】本発明の実施の形態２に係る電動機の回転子を構成する回転子鉄心の鉄心片の平面形状を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態１．
図１は、本発明の実施の形態１に係る電動機の回転子１００の平面形状を概略的に示す平面図である。図１に基づいて、回転子１００の構成について説明する。この回転子１００は、たとえば冷蔵庫や冷凍庫、自動販売機、空気調和機、冷凍装置、給湯器等の冷凍サイクルの構成要素となる圧縮機や、送風機等のファンモーターに使用される。なお、図１を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図１には、永久磁石３の発生する磁束を矢印で図示している。
【００１５】
図１に示すように、回転子１００は、複数個（図１では６個）の鉄心片１を周方向に並べ、隣り合う鉄心片１同士を固着させて円環状に形成した回転子鉄心１０と、各鉄心片１に形成されている磁石挿入孔２に挿入された永久磁石３と、を備えている。回転子鉄心１０の中央部には、図示省略の回転軸を挿入固着するための貫通孔１１が形成されている。また、回転子鉄心１０は、鉄心片１が円環状に組み合わされることで、外周面１０１及び内周面１０２が形成されるようになっている。なお、回転子鉄心１０の外周面１０１を形成する鉄心片１の円弧状の外周面形成部分を外周面形成部１０１ａ、回転子鉄心１０の内周面１０２を形成する円弧状の鉄心片１の内周面形成部分を内周面形成部１０２ａと称するものとする。
【００１６】
つまり、鉄心片１は、円弧状の外周面形成部１０１ａ及び円弧状の内周面形成部１０２ａをそれぞれ有している。そして、各鉄心片１の外周面形成部１０１ａ及び内周面形成部１０２ａを周方向に結合して、回転子鉄心１０の外周面１及び内周面１０２を形成している。また、磁石挿入孔２は、外周面形成部１０１ａに近い部分に、回転子鉄心１０の軸方向に貫通するように直方体状に形成されている。なお、隣接する鉄心片１同士の固着については、特に限定するものではなく、たとえば接着材による接着や、溶接、機械的嵌め合い等を用いるとよい。
【００１７】
この回転子１００が、図示省略の固定子の内周面側に回転可能に配設されて電動機（永久磁石式電動機）を構成するようになっている。そして、回転子１００が回転することで貫通孔１１に固着されている回転軸も回転することになる。なお、図１では、６個の鉄心片１で回転子鉄心１０を構成している場合を例に示しているが、鉄心片１の個数を６個に限定するものではない。
【００１８】
図２は、回転子鉄心１０を構成する鉄心片１の平面形状を概略的に示す平面図である。図２に基づいて、鉄心片１の構成について説明する。図２に示すように、鉄心片１は、薄板の電磁鋼板をプレス等の手段により打ち抜いたものを所定の枚数又は積厚まで積層して構成されている。各鉄心片１の平面形状は、円環状の回転子鉄心１０を複数個に分割した形状、つまり扇形環形状をしている。この鉄心片１には、永久磁石３を挿入するための磁石挿入孔２が形成されている。
【００１９】
ここで、回転子の製造について説明する。図３は、鉄心片１を構成する一枚一枚の電磁鋼板（以下、鉄心片構成鋼板１ａと称する）、及び、従来の円形状の電磁鋼板（以下、円形鋼板Ａと称する）の製造過程の一部を説明するための説明図である。図３（ａ）が鉄心片構成鋼板１ａの製造過程の一部を、図３（ｂ）が円形鋼板Ａの製造過程の一部を、それぞれ示している。
【００２０】
回転子１００は、鉄心片構成鋼板１ａを所定の枚数又は積厚まで積層した鉄心片１を複数組み合わせて回転子鉄心１０を形成するようになっている。この鉄心片構成鋼板１ａは、図３（ａ）に示すように、電磁鋼板の帯（以下、帯状電磁鋼板２０と称する）の長手方向に１個おきに１８０度反転させた状態で一体に打ち抜かれて形成されるようになっている。つまり、鉄心片構成鋼板１ａは、帯状電磁鋼板２０の長手方向に対して、一側部側に外周面形成部１０１ａ及び内周面形成部１０２ａが交互に繰り返すように配列パターンが決定され、複数個が一体に打ち抜かれて形成されるようになっている。
【００２１】
更に言えば、磁石挿入孔２が帯状電磁鋼板２０の両側部側に平行となるように、つまり外周面形成部１０１ａの一端部（図３（ａ）に示す頂点Ｘ１）と内周面形成部１０２ａの一端部（図３（ａ）に示す頂点Ｙ１）とを結ぶ辺が、隣接する一端部（図３（ａ）に示す頂点Ｘ２）と内周面形成部１０２ａの一端部（図３（ａ）に示す頂点Ｙ２）とを結ぶ辺に平行となるように、鉄心片構成鋼板１ａを配列させている。鉄心片構成鋼板１ａの平面形状は、略四角形状であるため、その長手方向を帯状電磁鋼板２０の長手方向に沿うように配列することで、帯状電磁鋼板２０の不要部分（図３（ａ）で示す斜線部分、以下、不要部分２１と称する）を極力少なくしている。
【００２２】
それに対し、従来から存在している回転子は、一般的に、円形鋼板Ａを所定の枚数又は積厚まで積層して回転子鉄心を形成するようになっている。この円形鋼板Ａは、図３（ｂ）に示すように、電磁鋼板の帯（以下、帯状電磁鋼板Ｂと称する）の長手方向に一列に配列された状態で一体に打ち抜かれて形成されるようになっている。
【００２３】
図３から、帯状電磁鋼板２０では、不要部分２１が少ないのに対し、帯状電磁鋼板Ｂでは不要部分（図３（ｂ）で示す斜線部分、以下、不要部分Ｃと称する）が多いということがわかる。また、図３から、帯状電磁鋼板２０の幅（短手方向の長さ）Ｌが、鉄心片構成鋼板１ａの外周面形成部１０１ａと内周面形成部１０２ａとを結んだ直線のうち最も長くなる直線を含むような長さであればよいのに対し、帯状電磁鋼板Ｂの幅（短手方向の長さ）Ｌ’が、円形鋼板Ａの直径を含む長さを有していなければならない。つまり、図３に示すように、帯状電磁鋼板２０の幅Ｌを、帯状電磁鋼板Ｂの幅Ｌ’に比べて大幅に短くできる。
【００２４】
以上のように、回転子１００は、複数個の鉄心片構成鋼板１ａを一体にかつ連続的に打ち抜くことで製作し、それらを積層固着して鉄心片１を形成し、複数個の鉄心片１を円環状に並べ、隣り合う鉄心片１同士を固着させて形成することができる。したがって、図３（ａ）に示すように、鉄心片１は略四角形状であるため、円形鋼板Ａをプレスで打ち抜いた際に発生する不要部分Ｃに比べ、不要部分２１を少なくでき、歩留まりよく鉄心片構成鋼板１ａを製作できる。また、不要部分２１を少なくできるので、省資源化、低コスト化が実現できる。さらに、帯状電磁鋼板２０の幅Ｌを短くできるので、金型サイズも小さくでき、金型にかかる費用も低減できる。
【００２５】
ところで、永久磁石３の発生する磁束（図１の矢印（イ）、（ロ））は、外周面１０１側（固定子）と鎖交する率が高いほど利用率が高まる。つまり、事象的には、漏れ磁束（矢印（ロ））を抑制する（通りにくくする、又は、漏れにくくする）と、固定子と鎖交する磁束（矢印（イ））が増えて、利用率｛矢印（イ）／（矢印（イ）＋矢印（ロ））｝が高まり、永久磁石３の発生する磁束の多くが回転力に利用されるということである。なお、（矢印（イ）＋矢印（ロ））は、永久磁石３から発生する磁束で一定の値である。磁束の利用率が高まると、経済的で高効率な電動機を得ることができることになる。上記のように作製した回転子鉄心１０では、隣接する永久磁石３の間は厳密には隙間があいている。そして、隣接する鉄心片１を固着している際には、鉄心片１の形状を保持する保持力を発生させるために、接触の応力が生じている。この隙間と応力により、電磁鋼板の透磁率が悪化することになる。
【００２６】
すなわち、上記のように作製した回転子鉄心１０と永久磁石３とを有する回転子１００では、隣接する永久磁石３間に存在している隙間、及び、隣接する鉄心片１同士の接触部分に発生している応力により、固定子と鎖交しない漏れ磁束の通路を形成している。そのため、回転子１００においては、固定子と鎖交しない漏れ磁束の通りやすさ、つまり透磁率を悪化させた部分を形成しているので、磁束が漏れにくく、経済的で高効率な電動機を得ることができる。よって、回転子１００によれば、従来存在していなかった新しい構成、つまり複数の鉄心片を組み合わせた構成を採用しているので、上記効果がより一層顕著に現れることになる。
【００２７】
実施の形態２．
図４は、本発明の実施の形態２に係る電動機の回転子１００Ａの平面形状を概略的に示す平面図である。図５は、回転子１００Ａを構成する回転子鉄心の鉄心片（以下、鉄心片１Ａと称する）の平面形状を概略的に示す平面図である。図４及び図５に基づいて、回転子１００Ａの構成について説明する。実施の形態２に係る電動機の回転子１００Ａの基本的な構成は、実施の形態１で説明した回転子１００と同様である。なお、実施の形態２では実施の形態１との相違点を中心に説明し、実施の形態１と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
【００２８】
図４に示すように、回転子１００Ａは、複数個（図４では６個）の鉄心片１Ａを円環状に並べ、隣り合う鉄心片１Ａ同士を固着させて形成した回転子鉄心１０を有している。各鉄心片１Ａには、永久磁石３を挿入するための磁石挿入孔２が形成されている。そして、回転子鉄心１０の中央部に形成されている貫通孔１１には、回転軸５が挿入されている。回転軸５の外径と回転子１００Ａの内径（貫通孔１１の径）の寸法の関係は、（回転軸５の外径）＞（回転子１００Ａの内径）となっている。
【００２９】
この回転子１００Ａが、図示省略の固定子の内周面側に回転可能に配設されて電動機（永久磁石式電動機）を構成するようになっている。そして、回転子１００Ａが回転することで貫通孔１１に固着されている回転軸５も回転することになる。なお、図４では、６個の鉄心片１Ａで回転子鉄心１０を構成している場合を例に示しているが、鉄心片１Ａの個数を６個に限定するものではない。
【００３０】
図５に示すように、鉄心片１Ａは、実施の形態１で説明した鉄心片１と同様に、薄板の電磁鋼板をプレス等の手段により打ち抜いたものを所定の枚数又は積厚まで積層して構成されている。各鉄心片１Ａの平面形状は、円環状の回転子鉄心を複数個に分割した形状、つまり扇形環形状をしている。この鉄心片１Ａには、永久磁石３を挿入するための磁石挿入孔２が形成されている。
【００３１】
また、鉄心片１Ａの一方の当接面（紙面左側の当接面、以下当接面４ａと称する）には、周方向に伸びる凸部４１が形成されている。鉄心片１Ａの他方の当接面（紙面右側の当接面、以下当接面４ｂと称する）には、凸部４１が嵌り込む凹部４２が形成されている。そして、隣接する鉄心片１Ａ同士を固着させて形成した回転子鉄心が形成される。このとき、凸部４１が凹部４２に嵌まり込むようになっている。なお、鉄心片１Ａを構成する一枚一枚の電磁鋼板については図３と同様に製造される。また、当接面４ａと当接面４ｂとを併せて当接面４と称する場合がある。
【００３２】
回転子１００Ａの貫通孔１１に回転軸５が挿入されると、各鉄心片１Ａの当接面４には接触力が発生し、回転子１００Ａとしての強度を上げることができる。よって、隣接する鉄心片１Ａ同士の固着の際に、接着材や溶接等を用いずに回転子１００Ａを製作することができることになる。そうすると、工数を低減できたり、接着材等を嫌う冷媒圧縮機内部の電動機に使用したりすることができる。なお、回転軸５の貫通孔１１への挿入は、加圧による圧入や、回転子１００Ａと回転軸５に温度差をもたせた焼嵌め等、何でもよい。
【００３３】
以上のように、実施の形態２に係る回転子は、実施の形態１に係る回転子１００と同様に、歩留まりの向上、省資源、低コストが実現できる。また、実施の形態２に係る回転子は、実施の形態１に係る回転子１００と同様の効果を奏するに加え、凸部４１と凹部４２とを嵌め合うことにより、回転子としての内径及び外径の寸法や真円形状精度を向上できる。したがって、実施の形態２に係る回転子によれば、回転軸等が内径（実施の形態１で示した貫通孔１１）に挿入される場合の精度確保、固定子とのエアギャップの均一化を図れ、エアギャップの不均一による騒音悪化や、回転子と固定子との接触などの発生を効果的に防ぐことができる。
【００３４】
実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子を、固定子の内周面側に設置することで永久磁石式電動機を得ることができる。この永久磁石式電動機は、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子を備えているので、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子が有する効果を奏することになる。この永久磁石式電動機を構成している固定子は、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子の外周面側に配設されている。また、固定子を構成している固定子鉄心には、複数相の固定子巻線が装着されている。そして、この永久磁石式電動機は、圧縮機やファンモーター等に用いられるようになっている。これらの圧縮機やファンモーターは、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子を備えているので、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子が有する効果を奏することになる。
【符号の説明】
【００３５】
１ 鉄心片、１Ａ 鉄心片、１ａ 鉄心片構成鋼板、２ 磁石挿入孔、３ 永久磁石、４ａ 当接面、４ｂ 当接面、５ 回転軸、１０ 回転子鉄心、１１ 貫通孔、２０ 帯状電磁鋼板、２１ 不要部分、４１ 凸部、４２ 凹部、１００ 回転子、１００Ａ 回転子、１０１ 外周面、１０１ａ 外周面形成部、１０２ 内周面、１０２ａ 内周面形成部、Ａ 円形鋼板、Ｂ 帯状電磁鋼板、Ｃ 不要部分、Ｌ 幅、Ｌ’ 幅、Ｘ１ 頂点、Ｘ２ 頂点、Ｙ１ 頂点、Ｙ２ 頂点。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、圧縮機やファンモーター等に使われる電動機の回転子及びその製造方法並びに永久磁石式電動機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年から存在している永久磁石式電動機の回転子は、プレス等により一体に打ち抜かれた電磁鋼板を積層して回転子鉄心を形成し、その鉄心の中に永久磁石を埋め込むことにより構成されたものが多い。回転子は、電動機として機能する際には固定子の内部で回転するので、固定子の内径よりも径が小さい外径を有した略円形の形状をしている。つまり、回転子鉄心を構成する電磁鋼板は、平面形状が略円形状をしている。この略円形状の電磁鋼板を積層させて回転子鉄心を形成する。そして、略円形状の電磁鋼板は、短冊状の電磁鋼板の帯をプレス等により打ち抜くことで形成される。
【０００３】
そのようなものとして、「所定の形状に打ち抜いた電磁鋼板を所定枚数積層して構成される回転子鉄心と、前記回転子鉄心の外周部に沿って形成された複数の磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔の周方向両端部に位置する二つの漏れ磁束抑制孔と、前記磁石挿入孔内の前記二つの漏れ磁束抑制孔の間に挿入される永久磁石と、前記回転子鉄心の外周部と前記二つの漏れ磁束抑制孔との間に形成される二つの外周薄肉部と、を備え、前記二つの外周薄肉部のうちの一方の径方向寸法を、他方の径方向寸法の２倍以上とした永久磁石型モータの回転子」が提案されている（たとえば、特許文献１参照）。この回転子は、磁石挿入孔の両端の漏れ磁束抑制孔と回転子鉄心の外周との間の回転子鉄心外周薄肉部のいずれか一方の径方向寸法を他方の径方向寸法よりも大きくし、電磁鋼板をプレス加工する場合の反り返りを抑制するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２０１０−１５８０８５号公報（３〜５頁、図３）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１に記載されているものにおいては、複数の円形状の電磁鋼板を一体に打ち抜こうとすると、短冊状の電磁鋼板と円形状の電磁鋼板との差によって、短冊状の電磁鋼板のうち円形状の電磁鋼板とはならない不要な部分が多く発生することになる。したがって、いわゆる歩留まりの悪化という観点からは改善の余地があった。また、歩留まりの悪化は、省資源化や低コスト化といった面からも問題となる。
【０００６】
ところで、複数枚の電磁鋼板を形成する場合、通常、複数の円形状の電磁鋼板を一体として打ち抜く作業を連続して行なう。このとき、永久磁石を埋設するための孔（磁石挿入孔）も同時に打ち抜き形成される。併せて、埋設される永久磁石から発生する磁束の漏洩、短絡磁束防止用のフラックスバリアと呼ばれる狭小部を形成することが多い。この狭小部には、回転子が回転することによる遠心力等に耐えうる機械的強度が必要とされる。そのために狭小部の薄さには限界があり、現在存在している回転子は、永久磁石の発生する磁束を有効に使用することはできていなかった。
【０００７】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、永久磁石から発生する磁束を有効に利用できる電動機の回転子及び永久磁石式電動機を提供することを目的とするものである。また、歩留まり向上を図った電動機の回転子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明に係る電動機の回転子は、同形状の電磁鋼板を複数枚積層させて形成した鉄心片を周方向に複数個固着させて円環状にした回転子鉄心と、各鉄心片に形成されている磁石挿入孔に挿入された永久磁石と、を備えたことを特徴とする。
【０００９】
本発明に係る永久磁石式電動機は、上記の電動機の回転子と、前記回転子の外周面側に配設され、固定子鉄心に複数相の固定子巻線が装着された固定子と、を備えたことを特徴とする。
【００１０】
本発明に係る電動機の回転子の製造方法は、上記の電動機の回転子の製造方法であって、前記鉄心片を構成している鉄心片構成鋼板が、帯状の電磁鋼板の長手方向に対して、前記外周面形成部及び前記内周面形成部が交互に繰り返すように配列パターンが決定され、複数個が一体に打ち抜かれて形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明に係る電動機の回転子及び永久磁石式電動機によれば、永久磁石から発生する磁束を有効に利用することができ、経済的で高効率な電動機を提供できることになる。
【００１２】
本発明に係る電動機の回転子の製造方法によれば、鉄心片を複数枚の同形状の電磁鋼板を積層させて形成したので、複数個の同形状の電磁鋼板を一体に帯状の電磁鋼板から打ち抜くことが可能となり、帯状の電磁鋼板の無駄を大幅に低減でき、歩留まりを大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明の実施の形態１に係る電動機の回転子の平面形状を概略的に示す平面図である。
【図２】本発明の実施の形態１に係る電動機の回転子鉄心を構成する鉄心片の平面形状を概略的に示す平面図である。
【図３】本発明の実施の形態１に係る電動機の回転子を構成する回転子鉄心の鉄心片を構成する一枚一枚の電磁鋼板、及び、従来の円形状の電磁鋼板の製造過程の一部を説明するための説明図である。
【図４】本発明の実施の形態２に係る電動機の回転子の平面形状を概略的に示す平面図である。
【図５】本発明の実施の形態２に係る電動機の回転子を構成する回転子鉄心の鉄心片の平面形状を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態１．
図１は、本発明の実施の形態１に係る電動機の回転子１００の平面形状を概略的に示す平面図である。図１に基づいて、回転子１００の構成について説明する。この回転子１００は、たとえば冷蔵庫や冷凍庫、自動販売機、空気調和機、冷凍装置、給湯器等の冷凍サイクルの構成要素となる圧縮機や、送風機等のファンモーターに使用される。なお、図１を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図１には、永久磁石３の発生する磁束を矢印で図示している。
【００１５】
図１に示すように、回転子１００は、複数個（図１では６個）の鉄心片１を周方向に並べ、隣り合う鉄心片１同士を固着させて円環状に形成した回転子鉄心１０と、各鉄心片１に形成されている磁石挿入孔２に挿入された永久磁石３と、を備えている。回転子鉄心１０の中央部には、図示省略の回転軸を挿入固着するための貫通孔１１が形成されている。また、回転子鉄心１０は、鉄心片１が円環状に組み合わされることで、外周面１０１及び内周面１０２が形成されるようになっている。なお、回転子鉄心１０の外周面１０１を形成する鉄心片１の円弧状の外周面形成部分を外周面形成部１０１ａ、回転子鉄心１０の内周面１０２を形成する円弧状の鉄心片１の内周面形成部分を内周面形成部１０２ａと称するものとする。
【００１６】
つまり、鉄心片１は、円弧状の外周面形成部１０１ａ及び円弧状の内周面形成部１０２ａをそれぞれ有している。そして、各鉄心片１の外周面形成部１０１ａ及び内周面形成部１０２ａを周方向に結合して、回転子鉄心１０の外周面１及び内周面１０２を形成している。また、磁石挿入孔２は、外周面形成部１０１ａに近い部分に、回転子鉄心１０の軸方向に貫通するように直方体状に形成されている。なお、隣接する鉄心片１同士の固着については、特に限定するものではなく、たとえば接着材による接着や、溶接、機械的嵌め合い等を用いるとよい。
【００１７】
この回転子１００が、図示省略の固定子の内周面側に回転可能に配設されて電動機（永久磁石式電動機）を構成するようになっている。そして、回転子１００が回転することで貫通孔１１に固着されている回転軸も回転することになる。なお、図１では、６個の鉄心片１で回転子鉄心１０を構成している場合を例に示しているが、鉄心片１の個数を６個に限定するものではない。
【００１８】
図２は、回転子鉄心１０を構成する鉄心片１の平面形状を概略的に示す平面図である。図２に基づいて、鉄心片１の構成について説明する。図２に示すように、鉄心片１は、薄板の電磁鋼板をプレス等の手段により打ち抜いたものを所定の枚数又は積厚まで積層して構成されている。各鉄心片１の平面形状は、円環状の回転子鉄心１０を複数個に分割した形状、つまり扇形環形状をしている。この鉄心片１には、永久磁石３を挿入するための磁石挿入孔２が形成されている。
【００１９】
ここで、回転子の製造について説明する。図３は、鉄心片１を構成する一枚一枚の電磁鋼板（以下、鉄心片構成鋼板１ａと称する）、及び、従来の円形状の電磁鋼板（以下、円形鋼板Ａと称する）の製造過程の一部を説明するための説明図である。図３（ａ）が鉄心片構成鋼板１ａの製造過程の一部を、図３（ｂ）が円形鋼板Ａの製造過程の一部を、それぞれ示している。
【００２０】
回転子１００は、鉄心片構成鋼板１ａを所定の枚数又は積厚まで積層した鉄心片１を複数組み合わせて回転子鉄心１０を形成するようになっている。この鉄心片構成鋼板１ａは、図３（ａ）に示すように、電磁鋼板の帯（以下、帯状電磁鋼板２０と称する）の長手方向に１個おきに１８０度反転させた状態で一体に打ち抜かれて形成されるようになっている。つまり、鉄心片構成鋼板１ａは、帯状電磁鋼板２０の長手方向に対して、一側部側に外周面形成部１０１ａ及び内周面形成部１０２ａが交互に繰り返すように配列パターンが決定され、複数個が一体に打ち抜かれて形成されるようになっている。
【００２１】
更に言えば、磁石挿入孔２が帯状電磁鋼板２０の両側部側に平行となるように、つまり外周面形成部１０１ａの一端部（図３（ａ）に示す頂点Ｘ１）と内周面形成部１０２ａの一端部（図３（ａ）に示す頂点Ｙ１）とを結ぶ辺が、隣接する一端部（図３（ａ）に示す頂点Ｘ２）と内周面形成部１０２ａの一端部（図３（ａ）に示す頂点Ｙ２）とを結ぶ辺に平行となるように、鉄心片構成鋼板１ａを配列させている。鉄心片構成鋼板１ａの平面形状は、略四角形状であるため、その長手方向を帯状電磁鋼板２０の長手方向に沿うように配列することで、帯状電磁鋼板２０の不要部分（図３（ａ）で示す斜線部分、以下、不要部分２１と称する）を極力少なくしている。
【００２２】
それに対し、従来から存在している回転子は、一般的に、円形鋼板Ａを所定の枚数又は積厚まで積層して回転子鉄心を形成するようになっている。この円形鋼板Ａは、図３（ｂ）に示すように、電磁鋼板の帯（以下、帯状電磁鋼板Ｂと称する）の長手方向に一列に配列された状態で一体に打ち抜かれて形成されるようになっている。
【００２３】
図３から、帯状電磁鋼板２０では、不要部分２１が少ないのに対し、帯状電磁鋼板Ｂでは不要部分（図３（ｂ）で示す斜線部分、以下、不要部分Ｃと称する）が多いということがわかる。また、図３から、帯状電磁鋼板２０の幅（短手方向の長さ）Ｌが、鉄心片構成鋼板１ａの外周面形成部１０１ａと内周面形成部１０２ａとを結んだ直線のうち最も長くなる直線を含むような長さであればよいのに対し、帯状電磁鋼板Ｂの幅（短手方向の長さ）Ｌ’が、円形鋼板Ａの直径を含む長さを有していなければならない。つまり、図３に示すように、帯状電磁鋼板２０の幅Ｌを、帯状電磁鋼板Ｂの幅Ｌ’に比べて大幅に短くできる。
【００２４】
以上のように、回転子１００は、複数個の鉄心片構成鋼板１ａを一体にかつ連続的に打ち抜くことで製作し、それらを積層固着して鉄心片１を形成し、複数個の鉄心片１を円環状に並べ、隣り合う鉄心片１同士を固着させて形成することができる。したがって、図３（ａ）に示すように、鉄心片１は略四角形状であるため、円形鋼板Ａをプレスで打ち抜いた際に発生する不要部分Ｃに比べ、不要部分２１を少なくでき、歩留まりよく鉄心片構成鋼板１ａを製作できる。また、不要部分２１を少なくできるので、省資源化、低コスト化が実現できる。さらに、帯状電磁鋼板２０の幅Ｌを短くできるので、金型サイズも小さくでき、金型にかかる費用も低減できる。
【００２５】
ところで、永久磁石３の発生する磁束（図１の矢印（イ）、（ロ））は、外周面１０１側（固定子）と鎖交する率が高いほど利用率が高まる。つまり、事象的には、漏れ磁束（矢印（ロ））を抑制する（通りにくくする、又は、漏れにくくする）と、固定子と鎖交する磁束（矢印（イ））が増えて、利用率｛矢印（イ）／（矢印（イ）＋矢印（ロ））｝が高まり、永久磁石３の発生する磁束の多くが回転力に利用されるということである。なお、（矢印（イ）＋矢印（ロ））は、永久磁石３から発生する磁束で一定の値である。磁束の利用率が高まると、経済的で高効率な電動機を得ることができることになる。上記のように作製した回転子鉄心１０では、隣接する永久磁石３の間は厳密には隙間があいている。そして、隣接する鉄心片１を固着している際には、鉄心片１の形状を保持する保持力を発生させるために、接触の応力が生じている。この隙間と応力により、電磁鋼板の透磁率が悪化することになる。
【００２６】
すなわち、上記のように作製した回転子鉄心１０と永久磁石３とを有する回転子１００では、隣接する永久磁石３間に存在している隙間、及び、隣接する鉄心片１同士の接触部分に発生している応力により、固定子と鎖交しない漏れ磁束の通路を形成している。そのため、回転子１００においては、固定子と鎖交しない漏れ磁束の通りやすさ、つまり透磁率を悪化させた部分を形成しているので、磁束が漏れにくく、経済的で高効率な電動機を得ることができる。よって、回転子１００によれば、従来存在していなかった新しい構成、つまり複数の鉄心片を組み合わせた構成を採用しているので、上記効果がより一層顕著に現れることになる。
【００２７】
実施の形態２．
図４は、本発明の実施の形態２に係る電動機の回転子１００Ａの平面形状を概略的に示す平面図である。図５は、回転子１００Ａを構成する回転子鉄心の鉄心片（以下、鉄心片１Ａと称する）の平面形状を概略的に示す平面図である。図４及び図５に基づいて、回転子１００Ａの構成について説明する。実施の形態２に係る電動機の回転子１００Ａの基本的な構成は、実施の形態１で説明した回転子１００と同様である。なお、実施の形態２では実施の形態１との相違点を中心に説明し、実施の形態１と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
【００２８】
図４に示すように、回転子１００Ａは、複数個（図４では６個）の鉄心片１Ａを円環状に並べ、隣り合う鉄心片１Ａ同士を固着させて形成した回転子鉄心１０を有している。各鉄心片１Ａには、永久磁石３を挿入するための磁石挿入孔２が形成されている。そして、回転子鉄心１０の中央部に形成されている貫通孔１１には、回転軸５が挿入されている。回転軸５の外径と回転子１００Ａの内径（貫通孔１１の径）の寸法の関係は、（回転軸５の外径）＞（回転子１００Ａの内径）となっている。
【００２９】
この回転子１００Ａが、図示省略の固定子の内周面側に回転可能に配設されて電動機（永久磁石式電動機）を構成するようになっている。そして、回転子１００Ａが回転することで貫通孔１１に固着されている回転軸５も回転することになる。なお、図４では、６個の鉄心片１Ａで回転子鉄心１０を構成している場合を例に示しているが、鉄心片１Ａの個数を６個に限定するものではない。
【００３０】
図５に示すように、鉄心片１Ａは、実施の形態１で説明した鉄心片１と同様に、薄板の電磁鋼板をプレス等の手段により打ち抜いたものを所定の枚数又は積厚まで積層して構成されている。各鉄心片１Ａの平面形状は、円環状の回転子鉄心を複数個に分割した形状、つまり扇形環形状をしている。この鉄心片１Ａには、永久磁石３を挿入するための磁石挿入孔２が形成されている。
【００３１】
また、鉄心片１Ａの一方の当接面（紙面左側の当接面、以下当接面４ａと称する）には、周方向に伸びる凸部４１が形成されている。鉄心片１Ａの他方の当接面（紙面右側の当接面、以下当接面４ｂと称する）には、凸部４１が嵌り込む凹部４２が形成されている。そして、隣接する鉄心片１Ａ同士を固着させて形成した回転子鉄心が形成される。このとき、凸部４１が凹部４２に嵌まり込むようになっている。なお、鉄心片１Ａを構成する一枚一枚の電磁鋼板については図３と同様に製造される。また、当接面４ａと当接面４ｂとを併せて当接面４と称する場合がある。
【００３２】
回転子１００Ａの貫通孔１１に回転軸５が挿入されると、各鉄心片１Ａの当接面４には接触力が発生し、回転子１００Ａとしての強度を上げることができる。よって、隣接する鉄心片１Ａ同士の固着の際に、接着材や溶接等を用いずに回転子１００Ａを製作することができることになる。そうすると、工数を低減できたり、接着材等を嫌う冷媒圧縮機内部の電動機に使用したりすることができる。なお、回転軸５の貫通孔１１への挿入は、加圧による圧入や、回転子１００Ａと回転軸５に温度差をもたせた焼嵌め等、何でもよい。
【００３３】
以上のように、実施の形態２に係る回転子は、実施の形態１に係る回転子１００と同様に、歩留まりの向上、省資源、低コストが実現できる。また、実施の形態２に係る回転子は、実施の形態１に係る回転子１００と同様の効果を奏するに加え、凸部４１と凹部４２とを嵌め合うことにより、回転子としての内径及び外径の寸法や真円形状精度を向上できる。したがって、実施の形態２に係る回転子によれば、回転軸等が内径（実施の形態１で示した貫通孔１１）に挿入される場合の精度確保、固定子とのエアギャップの均一化を図れ、エアギャップの不均一による騒音悪化や、回転子と固定子との接触などの発生を効果的に防ぐことができる。
【００３４】
実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子を、固定子の内周面側に設置することで永久磁石式電動機を得ることができる。この永久磁石式電動機は、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子を備えているので、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子が有する効果を奏することになる。この永久磁石式電動機を構成している固定子は、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子の外周面側に配設されている。また、固定子を構成している固定子鉄心には、複数相の固定子巻線が装着されている。そして、この永久磁石式電動機は、圧縮機やファンモーター等に用いられるようになっている。これらの圧縮機やファンモーターは、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子を備えているので、実施の形態１又は実施の形態２に係る回転子が有する効果を奏することになる。
【符号の説明】
【００３５】
１ 鉄心片、１Ａ 鉄心片、１ａ 鉄心片構成鋼板、２ 磁石挿入孔、３ 永久磁石、４ａ 当接面、４ｂ 当接面、５ 回転軸、１０ 回転子鉄心、１１ 貫通孔、２０ 帯状電磁鋼板、２１ 不要部分、４１ 凸部、４２ 凹部、１００ 回転子、１００Ａ 回転子、１０１ 外周面、１０１ａ 外周面形成部、１０２ 内周面、１０２ａ 内周面形成部、Ａ 円形鋼板、Ｂ 帯状電磁鋼板、Ｃ 不要部分、Ｌ 幅、Ｌ’ 幅、Ｘ１ 頂点、Ｘ２ 頂点、Ｙ１ 頂点、Ｙ２ 頂点。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
同形状の電磁鋼板を複数枚積層させて形成した鉄心片を周方向に複数個固着させて円環状にした回転子鉄心と、
各鉄心片に形成されている磁石挿入孔に挿入された永久磁石と、を備えた
ことを特徴とする電動機の回転子。
【請求項２】
前記鉄心片は円弧状の外周面形成部及び円弧状の内周面形成部をそれぞれ有し、
各鉄心片の前記外周面形成部及び前記内周面形成部を周方向に結合して前記回転子鉄心の外周面及び内周面を形成しており、
前記磁石挿入孔は、
前記外周面形成部に近い部分に、直方体状に形成されている
ことを特徴とする請求項１に記載の電動機の回転子。
【請求項３】
前記鉄心片には、
周方向に延びる凸部が当接面の一方に形成され、
前記凸部が嵌り込む凹部が当接面の他方に形成されている
ことを特徴とする請求項１又は２に記載の電動機の回転子。
【請求項４】
前記回転子鉄心の内周面で形成され、回転軸が挿入される回転軸挿入穴は、
その内径を、前記回転軸の外径よりも小さくしている
ことを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の電動機の回転子。
【請求項５】
前記回転軸は、
圧入又は焼嵌めにより前記回転軸挿入孔に固着される
ことを特徴とする請求項４に記載の電動機の回転子。
【請求項６】
請求項１〜５のいずれか一項に記載の電動機の回転子と、
前記回転子の外周面側に配設され、固定子鉄心に複数相の固定子巻線が装着された固定子と、を備えた
ことを特徴とする永久磁石式電動機。
【請求項７】
請求項１〜５のいずれか一項に記載の電動機の回転子の製造方法であって、
前記鉄心片を構成している所定形状の電磁鋼板は、
帯状の電磁鋼板の長手方向に対して、前記外周面形成部及び前記内周面形成部が交互に繰り返すように配列パターンが決定され、複数個が一体に打ち抜かれて形成される
ことを特徴とする電動機の回転子の製造方法。
【請求項１】
同形状の電磁鋼板を複数枚積層させて形成した鉄心片を周方向に複数個固着させて円環状にした回転子鉄心と、
各鉄心片に形成されている磁石挿入孔に挿入された永久磁石と、を備えた
ことを特徴とする電動機の回転子。
【請求項２】
前記鉄心片は円弧状の外周面形成部及び円弧状の内周面形成部をそれぞれ有し、
各鉄心片の前記外周面形成部及び前記内周面形成部を周方向に結合して前記回転子鉄心の外周面及び内周面を形成しており、
前記磁石挿入孔は、
前記外周面形成部に近い部分に、直方体状に形成されている
ことを特徴とする請求項１に記載の電動機の回転子。
【請求項３】
前記鉄心片には、
周方向に延びる凸部が当接面の一方に形成され、
前記凸部が嵌り込む凹部が当接面の他方に形成されている
ことを特徴とする請求項１又は２に記載の電動機の回転子。
【請求項４】
前記回転子鉄心の内周面で形成され、回転軸が挿入される回転軸挿入穴は、
その内径を、前記回転軸の外径よりも小さくしている
ことを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載の電動機の回転子。
【請求項５】
前記回転軸は、
圧入又は焼嵌めにより前記回転軸挿入孔に固着される
ことを特徴とする請求項４に記載の電動機の回転子。
【請求項６】
請求項１〜５のいずれか一項に記載の電動機の回転子と、
前記回転子の外周面側に配設され、固定子鉄心に複数相の固定子巻線が装着された固定子と、を備えた
ことを特徴とする永久磁石式電動機。
【請求項７】
請求項１〜５のいずれか一項に記載の電動機の回転子の製造方法であって、
前記鉄心片を構成している所定形状の電磁鋼板は、
帯状の電磁鋼板の長手方向に対して、前記外周面形成部及び前記内周面形成部が交互に繰り返すように配列パターンが決定され、複数個が一体に打ち抜かれて形成される
ことを特徴とする電動機の回転子の製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１２−２５７３５１（Ｐ２０１２−２５７３５１Ａ）
【公開日】平成２４年１２月２７日（２０１２．１２．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１２７６３１（Ｐ２０１１−１２７６３１）
【出願日】平成２３年６月７日（２０１１．６．７）
【出願人】（０００００６０１３）三菱電機株式会社 (33,312)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１２月２７日（２０１２．１２．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年６月７日（２０１１．６．７）
【出願人】（０００００６０１３）三菱電機株式会社 (33,312)
【Ｆターム（参考）】
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