説明

電圧印加機構および電子部品の特性測定装置

【課題】高電圧を印加して電子部品の耐圧試験などを行った場合にも、測定値に異常を生じたり、電子部品の表面に変質や破壊が発生したりすることを防止できるようにする。
【解決手段】外部電極14a,14b間に電圧を印加することにより電子部品の特性を測定する電子部品の特性測定装置において、電子部品10が保持される保持穴1と、該保持穴1に保持された電子部品の両端部に、その端面から側面にまで回り込むように配設された一対の外部電極14a,14bの、側面にまで回り込んだ部分の先端部16a,16bに対応する領域を覆うように、保持穴1を取り囲むような態様で配設された一対の補助電極2a,2bとを備えた搬送テーブル3と、搬送テーブル3を駆動する駆動手段と、搬送テーブル3の両主面3a,3b側から、電子部品の両端部に配設された外部電極と接触して一対の外部電極間に電圧を印加する一対の接触電極5a,5bとを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電圧印加機構および電子部品の特性測定装置に関し、詳しくは、端面から側面にまで回り込むような態様で両端部に一対の外部電極が配設された電子部品を、搬送テーブルの保持穴に保持した状態で、前記一対の外部電極間に電圧を印加するための電圧印加機構および搬送テーブルの保持穴に保持された電子部品の両端部に配設された一対の外部電極間に電圧を印加することにより電子部品の特性を測定する電子部品の特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型高密度化、高信頼性、自動実装設備への適合性などの見地から、チップコンデンサやチップ抵抗などのチップ型の電子部品が広く使用されている。そして、このようなチップ型の電子部品の場合、通常は、出荷の前に電気的特性を測定し、不良品を除去する品質検査が行われている。
【0003】
ところで、従来の電子部品の品質検査において用いられている特性測定装置としては、例えば、図9に示すような検査装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この検査装置は、(a)複数の取付穴12を一定間隔で配列形成した金属製プレート11からなり、取付穴12の内壁に、電子部品Aを弾性的に保持するための保持穴13を形成する弾性体(弾性ゴム)14が取り付けられた保持治具10と、(b)電子部品Aの外部電極(端子部)aに当接するピン型の接触電極21と、接触電極21の後端部に連結された絶縁性のガイド軸22とを備えたプローブ20とを備えている。
【0005】
そして、プローブ20は、電子部品Aを保持する保持治具10の上側(片側)だけでなく、下側(反対側)にも対向するように配置されており、各プローブ20の接触電極21を電子部品Aの外部電極(端子部)aに接触させることにより、同時に複数の電子部品Aの特性を測定することができるように構成されている。
【0006】
ところで、電子部品の両端部に、その端面から側面にまで回り込むように配設された、電子部品の側面にまで回り込んだ外部電極の先端部は、外部電極、チップ素体、および空気の三者が接する、いわゆるトリプルジャンクションとなっており、電界が集中して電界強度が他の部分よりも強くなる部分となっている。
【0007】
そして、接触電極などの電極や、その他の導体などが、この外部電極の先端部(トリプルジャンクション)を覆うような状態である場合には、電界の集中が抑制され、放電開始電圧を上昇させることが可能になるが、上述の検査装置においては、ピン状の接触電極21が電子部品Aの外部電極aに接触するだけで、外部電極aの先端部(トリプルジャンクション)の周囲には、弾性ゴム14が位置しているだけであるため、電界の集中を抑制する効果は期待できず、低い電圧(放電電圧)で放電が開始してしまうため、電子部品を損傷してしまうという問題点がある。
【0008】
なお、大気中または負性気体中においては、一対の外部電極のうち、高電位側の外部電極の先端部(トリプルジャンクション)への電界集中を起点とした沿面放電発生が生じやすいという問題点がある。
【0009】
また、一般的には、電子部品の表面にひだを設けて、実質的な沿面距離を長くして絶縁破壊強度を向上させる方法も考えられるが、沿面距離を長くとるためには、電子部品の表面形状を変更する(平坦な表面形状をひだ付きの表面形状にする)ことが必要になり、製造コストの増大を招くという問題点がある。
【特許文献1】特開平8−122386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、高電圧を印加して電子部品の耐圧試験などを行う場合に、電子部品の表面において沿面放電が発生することを防止し、測定値に異常が生じたり、電子部品の表面に変質や破壊が発生したりすることを防止することが可能な電圧印加機構および電子部品の特性測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)の電圧印加機構は、
端面から側面にまで回り込むような態様で両端部に一対の外部電極が配設された電子部品を、搬送テーブルの保持穴に保持した状態で、前記一対の外部電極間に電圧を印加するための電圧印加機構であって、
前記電子部品の端面から側面にまで回り込んだ前記一対の外部電極の先端部に対応する領域を覆うように、前記搬送テーブルの保持穴を取り囲むような態様で配設された一対の補助電極と、
前記一対の外部電極のそれぞれに接触して前記一対の外部電極間に電圧を印加する一対の接触電極と
を具備することを特徴としている。
【0012】
また、請求項2の電圧印加機構は、請求項1記載の電圧印加機構において、一対の前記補助電極と一対の前記接触電極のうちの、同じ側の前記補助電極と前記接触電極とが互いに電気的に導通して同電位となるように構成されていることを特徴としている。
【0013】
また、本願発明(請求項3)の電子部品の特性測定装置は、
端面から側面にまで回り込むような態様で両端部に一対の外部電極が配設された電子部品を、搬送テーブルの保持穴に保持した状態で、前記一対の外部電極間に電圧を印加することにより、電子部品の特性を測定する電子部品の特性測定装置において、
電子部品が保持される保持穴と、該保持穴に保持された状態の前記電子部品の、端面から側面にまで回り込んだ前記一対の外部電極の先端部に対応する領域を覆うように、前記保持穴を取り囲むような態様で配設された一対の補助電極とを備え、前記保持穴に保持された電子部品を搬送する搬送テーブルと、
前記搬送テーブルを駆動する駆動手段と、
前記搬送テーブルの両主面側から、前記電子部品の両端部に配設された外部電極と接触して、前記一対の外部電極間に電圧を印加する一対の接触電極と
を具備することを特徴としている。
【0014】
また、請求項4の電子部品の特性測定装置は、請求項3の電子部品の特性測定装置において、一対の前記補助電極と一対の前記接触電極のうちの、同じ側の前記補助電極と前記接触電極とが互いに電気的に導通して同電位となるように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明(請求項1)の電圧印加機構は、搬送テーブルの保持穴に保持された状態で、電子部品の両端部に配設された一対の外部電極間に電圧を印加するための電圧印加機構であって、電子部品の端面から側面にまで回り込んだ一対の外部電極の先端部に対応する領域を覆うように、搬送テーブルの保持穴を取り囲むような態様で配設された一対の補助電極と、一対の外部電極のそれぞれに接触して一対の外部電極間に電圧を印加する一対の接触電極とを備えているので、補助電極が、外部電極が電子部品の側面にまで回り込んだ部分の先端部(すなわち、外部電極、チップ素体、および空気の接する、いわゆるトリプルジャンクション)を覆った状態で一対の電極間に電圧が印加されることになるため、電界が集中しやすいトリプルジャンクションへの電界の集中を、補助電極による静電遮蔽効果により抑制して放電開始電圧を上昇させることが可能になる。その結果、電子部品の表面における沿面放電を防止して、測定値に異常が生じたり、電子部品の表面に変質や破壊が発生したりすることを防止することが可能になる。
【0016】
なお、一対の補助電極は、互いに同一の形状、構造のものであってもよく、また、異なる形状や構造のものであってもよい。
また、一対の接触電極に関しても、互いに同一の形状、構造を有するものであってもよく、また、異なる形状や構造を有するものであってもよい。
【0017】
また、補助電極を露出させると、対向する電子部品の外部電極および補助電極までの沿面距離が短くなり、補助電極間、または補助電極と電子部品の外部電極との間で放電が発生しやすくなるため、補助電極は絶縁材料を介して電界が集中しやすいトリプルジャンクション(外部電極の先端部)を覆うように構成することが望ましい。
また、補助電極に印加する電圧は、接触電極の電圧と同じでもよく、また、異なっていてもよい。ただし、補助電極に印加する電圧は、接触電極の電圧以上で、接触電極の電圧の120%までの範囲とすることが望ましい。
【0018】
また、請求項2の電圧印加機構のように、請求項1記載の電圧印加機構において、一対の補助電極と一対の接触電極のうちの、同じ側の補助電極と接触電極とが互いに電気的に導通して同電位となるようにした場合、複雑な構成を必要とすることなく、電界が集中しやすいトリプルジャンクションへの電界の集中を補助電極による静電遮蔽効果により抑制して、電子部品の表面における沿面放電を防止し、測定値に異常が生じたり、電子部品の表面に変質や破壊が発生したりすることを防止することができるようになるため、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0019】
また、本願発明(請求項3)の電子部品の特性測定装置は、電子部品の一対の外部電極間に電圧を印加することにより、電子部品の特性を測定する電子部品の特性測定装置において、(a)電子部品が保持される保持穴と、該保持穴に保持された電子部品の一対の外部電極の先端部に対応する領域を覆うように、保持穴を取り囲むような態様で配設された一対の補助電極とを備え、保持穴に保持された電子部品を搬送する搬送テーブルと、(b)搬送テーブルを駆動する駆動手段と、(c)搬送テーブルの両主面側から、電子部品の両端部に配設された外部電極と接触して、一対の外部電極間に電圧を印加する一対の接触電極とを備えているので、補助電極が外部電極の先端部(いわゆるトリプルジャンクション)を覆うような状態で電圧を印加することが可能になり、電界が集中しやすいトリプルジャンクションへの電界の集中を、補助電極による静電遮蔽効果により抑制して、放電開始電圧を上昇させることが可能になる。したがって、電子部品の表面における沿面放電を防止して、測定値に異常が生じたり、電子部品の表面に変質や破壊が発生したりすることを防止し、電子部品の特性を精度よく測定することが可能になる。
【0020】
また、本願発明の電子部品の特性測定装置においても、補助電極は絶縁材料を介して電界が集中しやすいトリプルジャンクション(外部電極の先端部)を覆うように構成することが望ましい。これは、請求項1の電圧印加機構の発明に関しても説明したように、補助電極を露出させると、対向する電子部品の外部電極および補助電極までの沿面距離が短くなり、補助電極間、または補助電極と電子部品の外部電極との間で放電が発生しやすくなることによる。
また、補助電極に印加する電圧は、接触電極の電圧と同じでもよく、また、異なっていてもよい。ただし、補助電極に印加する電圧は、接触電極の電圧以上で、接触電極の電圧の120%までの範囲とすることが望ましい。
【0021】
また、請求項4の電子部品の特性測定装置のように、請求項3の電子部品の特性測定装置において、一対の前記補助電極と一対の前記接触電極のうちの、同じ側の補助電極と接触電極とが互いに電気的に導通して同電位となるようにした場合、複雑な構成を必要とすることなく、電界が集中しやすいトリプルジャンクションへの電界の集中を補助電極による静電遮蔽効果により抑制して、電子部品の表面における沿面放電を防止し、測定値に異常を生じたり、電子部品の表面に変質や破壊が発生したりすることを防止することができるようになるため、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、以下の実施例1では、図3に示すような構造を有する電子部品(積層セラミックコンデンサ)10について耐圧試験を行う場合に用いられる装置(電子部品の特性測定装置)を例にとって説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本願発明の一実施例にかかる電子部品の特性測定装置を示す断面図であり、(a)は一方の接触電極を接触させる前の状態を示す図、(b)は一方の接触電極を接触させた後の状態を示す図、図2は図1の電子部品の特性測定装置を構成する搬送テーブルを示す図である。図3は特性の測定に供される電子部品(この実施例ではチップ型の積層セラミックコンデンサ)の構成を示す断面図である。
【0024】
この実施例1で検査の対象とした電子部品(積層セラミックコンデンサ)10は、セラミック積層素子11の内部に、セラミック層12を介して複数の内部電極13a,13bが互いに対向するように配設され、かつ、その一端側が交互にセラミック積層素子11の異なる側の端面15a,15bに引き出されているとともに、セラミック積層素子11の両端側に、内部電極13a,13bと導通するように一対の外部電極14a,14bが配設された構造を有している。
【0025】
そして、この積層セラミックコンデンサ10において、外部電極14a,14bは、セラミック積層素子11の端面15a,15bから側面25にまで回り込むような態様で配設されており、セラミック積層素子11の端面15a,15bから側面25にまで回り込んだ外部電極14a,14bの先端部16a,16bは、外部電極14a,14b、セラミック積層素子11,および空気の接する、いわゆるトリプルジャンクションとなっており、電界が集中して、他の部分よりも電界強度が強くなる部分となっている。
【0026】
このような積層セラミックコンデンサ10の耐圧試験を行うために用いられる、この実施例1の装置(電子部品の特性測定装置)は、図1(a),(b)および2に示すように、電子部品(積層セラミックコンデンサ)10が保持される保持穴1と、該保持穴1に保持された状態の電子部品10の両端部に配設された一対の外部電極14a,14bの、側面にまで回り込んだ部分の先端部16a,16bに対応する領域を覆うように、保持穴1を取り囲むような態様で配設された一対の補助電極2a,2bとを備え、両主面3a,3bが略垂直になるような姿勢で回転可能に保持され、その回転により、保持穴に保持された電子部品を搬送する搬送テーブル3と、この搬送テーブル3を駆動する駆動手段(図示せず)と、搬送テーブル3の両主面3a,3b側から、電子部品10の両端部の外部電極14a,14bと接触して一対の外部電極14a,14b間に電圧を印加する一対の接触電極5a,5bとを備えている。
そして、補助電極2aと接触電極5a、および補助電極2bと接触電極5bとは、互いに電気的に導通して、同電位となるように構成されている。
【0027】
以下、この実施例1の電子部品の特性測定装置について、さらに具体的に説明する。
上述のように構成されたこの実施例1の電子部品の特性測定装置において、補助電極2a,2bは、電子部品(詳しくはセラミック積層素子11)の端面15a,15bから側面25にまで回り込んだ外部電極14a,14bの先端部16a,16b(以下、単に「外部電極先端部」ともいう)に対応する領域を覆うことができるように、保持穴1を取り囲むような態様で、絶縁材料からなる搬送テーブル3に埋め込まれて配設されている。なお、この実施例1において、補助電極2a,2bは環状であり、トリプルジャンクションである外部電極先端部16a,16bと補助電極2a,2bとは、搬送テーブル3を構成する絶縁材料(例えば絶縁セラミックスや絶縁樹脂など)6を介して対向するように構成されている。
【0028】
また、外部電極先端部16a,16bと、搬送テーブル3に埋め込まれた補助電極2a,2bの位置関係により、外部電極先端部(トリプルジャンクション)16a,16bへの電界の集中が抑制され、電界強度が最も小さくなるように、図1(b)における、距離XおよびYの値を設定する。
【0029】
ここで、Xは外部電極先端部(トリプルジャンクション)16a,16bから補助電極2a,2bの端部までの、矢印Xに平行な方向の距離であり、Yは外部電極先端部(トリプルジャンクション)16a,16bから補助電極2a,2bまでの矢印Yに平行な方向の距離である。
【0030】
そして、一方の補助電極2aと他方の補助電極2bは、搬送テーブル3の絶縁破壊が生じないだけの距離が確保されるように、所定の間隔をおいて配設される。
【0031】
なお、図4に上述の距離Xおよび距離Yの値と、外部電極先端部(トリプルジャンクション)16a,16bの電界強度の関係を示す。
【0032】
図4より、Xの値が0.2mm〜0.8mmの範囲にある場合には電界強度を安定した状態に維持することが可能になること、Yの値が0.8mmから0.4mmの範囲においては、Yの値が小さくなるほど電界強度が小さくなることがわかる。
【0033】
なお、搬送テーブル3の構成材料として、例えば、ポリカーボネートを用いた場合、ポリカーボネートの絶縁破壊強さは約30kV/mmであるため、印加電圧を5kVとすると補助電極2aと2bの間隔は0.17mm以上であることが必要となる。
【0034】
また、この実施例1の電子部品の特性測定装置において、一対の接触電極5a,5bのうち、一方の接触電極5aは可動電極として構成されており、電子部品10の外部電極14aと対向する面には凹部16が形成されており、可動電極(接触電極)5aを外部電極14a側に移動させることにより、凹部16の底面が外部電極14aに当接するとともに、凹部16の両端側の凸部17が、搬送テーブル3に埋め込まれた補助電極2aの、搬送テーブル3の一方の主面3aに露出した部分に当接して、補助電極2aと接触電極(可動電極)5aが導通し、同じ電圧となるように構成されている。
【0035】
また、一対の接触電極5a,5bのうちの他方の接触電極5bは固定電極として構成されており、電子部品10の外部電極14bと当接するとともに、搬送テーブル3に埋め込まれた補助電極2bの、搬送テーブル3の他方の主面3bに露出した部分に当接して、補助電極2bと接触電極(固定電極)5bが導通し、同じ電圧となるように構成されている。
これにより、可動電極5aおよび固定電極5bから、電子部品10の外部電極14a,14bと補助電極2a,2bに、同時に電位を与えることが可能になる。
【0036】
上述のように構成された電子部品の特性測定装置を用いることにより、外部電極先端部(トリプルジャンクション)16a,16bへの電界の集中が、搬送テーブル3に埋め込んだ補助電極2a,2bによる静電遮蔽効果により抑制され、電界強度が低くなるため、放電開始電圧を上昇させることが可能になる。
したがって、電子部品10の表面にひだを設けたりすることなく、絶縁耐力を向上させることが可能になり、より高い電圧での耐圧試験を行うことが可能となる。
【0037】
また、電子部品10の表面における沿面放電を防止することが可能になることから、測定値に異常を生じたり、電子部品10の表面に変質や破壊が発生したりすることを防止することが可能になる。
【実施例2】
【0038】
図5は本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる電子部品の特性測定装置の要部構成を示す断面図である。なお、図5において、図1(a),(b)および図2と同一の符号を付した部分は、同一または相当する部分を示している。
【0039】
この実施例2では、接触電極5a,5bのうち、一方の接触電極5aが、バネ21により、電子部品(積層セラミックコンデンサ)10の一方の外部電極14aに向かって付勢される外部電極当接用可動端子22を備えている。すなわち、一方の接触電極5aが、電子部品(積層セラミックコンデンサ)10の外部電極14aに当接する外部電極当接用可動端子22と、補助電極2aと当接する部分(凸部)17とを備えた構成とされている。
【0040】
上述のように、接触電極5aにおいて、電子部品10の外部電極14aに電圧を印加する部分と、補助電極2aに電圧を印加する部分とを、独立して駆動させることができるように構成した場合、接触電極5aの、電子部品10の外部電極14aおよび補助電極2aに対する接触性が向上し、電子部品に確実に電圧を印加することが可能になる。
【実施例3】
【0041】
図6は本願発明のさらに他の実施例(実施例3)にかかる電子部品の特性測定装置の要部を示す側面図、図7は図6のA−A線断面図である。
なお、図6および図7において、図1(a),(b)および図2と同一の符号を付した部分は、同一または相当する部分を示している。
【0042】
この実施例3の電子部品の特性測定装置においては、接触電極5aが、弾性を利用したバネ端子31と、バネ端子32とから構成されている。
バネ端子31は、弾性により、先端の当接用凸部31aが電子部品(積層セラミックコンデンサ)10の一方の外部電極14aに向かって付勢されるように構成されており、バネ端子32は、弾性により、先端の当接用凸部(図示せず)が、搬送用テーブル3に埋設された補助電極2aに向かって付勢されるように構成されている。
【0043】
この実施例3の電子部品の特性測定装置においては、可動電極(接触電極)5aを駆動するためのアクチュエーターが不要になるため、コストの低減を図ることが可能になる。
【0044】
また、この実施例3の構成において、バネ端子31と、バネ端子32を、例えば、図示しない基端側の部分で接続するようにした場合、電子部品10の外部電極14aに印加される電圧と、補助電極2aに印加される電圧を同じ電圧とすることが可能になり、また、バネ端子31と、バネ端子32を導通させず、異なる電圧の電源と接続することにより、バネ端子31と、バネ端子32のそれぞれに独立して、異なる電圧を印加することが可能になり、電子部品10の外部電極14aと、補助電極2aに独立して、所定の電圧を印加することが可能になる。
【0045】
なお、図8は可動電極の変形例を示す図である。上記実施例3では、先端に当接用凸部が形成されたバネ端子を用いているが、図8に示すように、バネ板33に、ローラー部33aを配設したローラー部付きバネ端子34を用いることも可能である。
【0046】
上記実施例1〜3では積層セラミックコンデンサの耐圧試験に用いる電子部品の特性測定装置を例にとって説明したが、本願発明は、積層セラミックコンデンサに限らず、種々の電子部品について種々の特性を測定する場合に広く適用することが可能である。
【0047】
また、上記実施例1〜3では、搬送テーブルを、主面が垂直になるように配設した構成を例にとって説明したが、本願発明は、搬送テーブルを垂直以外の姿勢(例えば水平の姿勢)に配置した構成の場合にも適用することが可能である。
【0048】
また、上記実施例1〜3では、他方の接触電極が固定電極である場合を例にとって説明したが、他方の接触電極も可動電極とすることが可能である。
【0049】
本願発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上述のように、本願発明によれば、電界が集中しやすい外部電極先端部(トリプルジャンクション)への電界の集中を、補助電極による静電遮蔽効果により抑制して放電開始電圧を上昇させることが可能になり、電子部品の表面における沿面放電を防止して、測定値に異常を生じたり、電子部品の表面に変質や破壊が発生したりすることを防止することが可能になる。
したがって、本願発明は、外部電極を備えた電子部品に電圧を印加することにより特性を測定することが必要となるような技術分野などに広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本願発明の一実施例にかかる電子部品の特性測定装置を示す断面図であり、(a)は一方の接触電極を接触させる前の状態を示す図、(b)は一方の接触電極を接触させた後の状態を示す図である。
【図2】図1の電子部品の特性測定装置を構成する搬送テーブルを示す図である。
【図3】特性の測定に供される電子部品(この実施例ではチップ型の積層セラミックコンデンサ)の構成を示す断面図である。
【図4】距離Xおよび距離Yの値と、外部電極先端部(トリプルジャンクション)の電界強度の関係を示す。
【図5】本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる電子部品の特性測定装置の要部構成を示す断面図である。
【図6】本願発明のさらに他の実施例(実施例3)にかかる電子部品の特性測定装置の要部を示す側面図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】可動電極の変形例を示す図である。
【図9】従来の電子部品の品質検査において用いられている特性測定装置を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 保持穴
2a,2b 補助電極
3 搬送テーブル
3a,3b 搬送テーブルの主面
5a,5b 接触電極
6 絶縁材料
10 電子部品(積層セラミックコンデンサ)
11 セラミック積層素子
12 セラミック層
13a,13b 内部電極
14a,14b 外部電極
15a,15b セラミック積層素子の端面
16 凹部
16a,16b 外部電極先端部(トリプルジャンクション)
17 凸部
21 バネ
22 外部電極当接用可動端子
25 セラミック積層素子の側面
31,32 バネ端子
31a 当接用凸部
33 バネ板
33a ローラー部
34 ローラー部付きバネ端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面から側面にまで回り込むような態様で両端部に一対の外部電極が配設された電子部品を、搬送テーブルの保持穴に保持した状態で、前記一対の外部電極間に電圧を印加するための電圧印加機構であって、
前記電子部品の端面から側面にまで回り込んだ前記一対の外部電極の先端部に対応する領域を覆うように、前記搬送テーブルの保持穴を取り囲むような態様で配設された一対の補助電極と、
前記一対の外部電極のそれぞれに接触して前記一対の外部電極間に電圧を印加する一対の接触電極と
を具備することを特徴とする電圧印加機構。
【請求項2】
一対の前記補助電極と一対の前記接触電極のうちの、同じ側の前記補助電極と前記接触電極とが互いに電気的に導通して同電位となるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電圧印加機構。
【請求項3】
端面から側面にまで回り込むような態様で両端部に一対の外部電極が配設された電子部品を、搬送テーブルの保持穴に保持した状態で、前記一対の外部電極間に電圧を印加することにより、電子部品の特性を測定する電子部品の特性測定装置において、
電子部品が保持される保持穴と、該保持穴に保持された状態の前記電子部品の、端面から側面にまで回り込んだ前記一対の外部電極の先端部に対応する領域を覆うように、前記保持穴を取り囲むような態様で配設された一対の補助電極とを備え、前記保持穴に保持された電子部品を搬送する搬送テーブルと、
前記搬送テーブルを駆動する駆動手段と、
前記搬送テーブルの両主面側から、前記電子部品の両端部に配設された外部電極と接触して、前記一対の外部電極間に電圧を印加する一対の接触電極と
を具備することを特徴とする電子部品の特性測定装置。
【請求項4】
一対の前記補助電極と一対の前記接触電極のうちの、同じ側の前記補助電極と前記接触電極とが互いに電気的に導通して同電位となるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の電子部品の特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−29871(P2006−29871A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206450(P2004−206450)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】