説明

電子デバイス、圧電デバイスおよび電子デバイスの製造方法

【課題】低背化、平面サイズを小型化した電子デバイス、圧電デバイスおよび電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】電子デバイスは、電子部品とICチップを備えている。そして圧電デバイス10は、前記電子部品が圧電振動子12となっており、前記ICチップ22が発振回路を備えている。圧電振動子12は、下部電極20を下面に備えている。またICチップ22は、側面端子24を側面に備えるとともに、機能端子26を下面に備えている。このICチップ22は、上面を圧電振動子12に向けて、圧電振動子12の下面に接合している。このときICチップ22の側方に設けた導電性接合材30が、下部電極20と側面端子24に接合している。このためICチップ22は、側面を用いて圧電振動子12に固着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路(IC)チップを備えた電子デバイス、圧電デバイスおよび電子デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップを備えた電子デバイスの一例としては、圧電発振器が挙げられる。この圧電発振器には、圧電振動子とICチップを積層させる構成になっていたり、上部と下部に凹部を設けた断面視してH型のパッケージを用いた構成になっているものがある。
【0003】
積層構造の圧電発振器について開示したものには特許文献1がある。特許文献1に記載された水晶発振器は、発振回路部品であるCSP−IC、水晶振動部品およびベース基板を備えている。このCSP−ICには、上面および下面のそれぞれに電極(上面電極および下面電極)が設けてある。この上面電極は、はんだを用いて、電気的および機械的に水晶振動部品と接続する。また下面電極は、はんだや導電性接着剤等を用いて、電気的および機械的にベース基板と接続する。そして上面電極と下面電極は、CSP−ICに用いられている半導体基板に対してスルーホールを形成するなどして、電気的に接続している。
【0004】
またH型のパッケージを用いた圧電発振器について開示したものには特許文献2がある。特許文献2に記載された温度補償発振器は、H状をしている容器本体の一方の凹部に水晶片を配設するとともに、他方の凹部にICチップを配設している。このICチップでは、回路機能面に設けた複数のIC端子のうちの書込端子と、反対面に設けた書込端子とが、スルーホールを用いて接続している。このようなICチップは、IC端子に設けたバンプによって容器本体に固着している。そしてICチップの回路機能面と他方の凹部底面との間には、アンダーフィル材を注入している。また容器本体の下面には実装電極が設けてある。
【特許文献1】特開2004−228895号公報(4−6頁)
【特許文献2】特開2006−165759号公報(4頁、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように積層構造の圧電発振器では、ICチップと圧電振動子を固着するために、これらの間に導電性接合材を設ける必要がある。このため圧電発振器の厚さ(高さ)には、ICチップや圧電振動子の厚さの他に、導電性接合材の厚みが加わることになる。この導電性接合材の厚さの一例としては、圧電発振器の厚さの10%程度を占めている。
【0006】
ところで圧電発振器は電子機器に搭載されるが、近年、この電子機器が小型化されているものがある。このため、このような電子機器に搭載される圧電発振器に対して、低背化や平面サイズの小型化の要求がされている。しかしながら、ICチップと圧電振動子の間に導電性接合材を設けていたのでは、圧電発振器を低背化することができない。
【0007】
またH型のパッケージを用いた圧電発振器では、凹部にICチップを収容しているので、凹部の側面とICチップの間に隙間が必要になるが、この隙間によって平面サイズが大きくなってしまう。また、この圧電発振器は、パッケージの下面に実装電極が設けてあるので、凹部の開口部よりも内側にICチップが入り込んでいなければならないが、このようになっていると低背化できない。
【0008】
また、この圧電発振器は、凹部を形成するために側壁が必要になるが、この側壁によって平面サイズが大きくなってしまう。そして平面サイズを小さくしようとして側壁を薄くしてしまうと、圧電発振器の強度が低下してしまう。また側壁を薄くした場合には、実装電極の面積が小さくなってしまう。そして実装面積が小さくなると、圧電発振器とこの圧電発振器が固着される実装基板との接合強度が小さくなってしまい、接合に十分な強度を確保できなくなってしまう。
またICチップは、凹部に入れなければならないので、凹部の大きさに応じて制限を受けることになる。このため既製のICチップやパッケージを組合せるのに大きな制限が加わることになる。
【0009】
本発明は、低背化、平面サイズを小型化した電子デバイス、圧電デバイスおよび電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0011】
[適用例1]下部電極を少なくとも一の面に設けた電子部品と、側面端子を側面に設けるとともに、機能端子を下面に設けたICチップとを備え、前記ICチップの上面を前記電子部品に向けて、前記ICチップを前記電子部品の前記一の面に配設し、前記下部電極と前記側面端子とを導通するとともに、前記ICチップを前記電子部品に固着する導電性接合材を前記電子部品の前記一の面と前記ICチップの側面とに設けた、ことを特徴とする電子デバイス。
ICチップの側面に導電性接合材を設けているので、ICチップと電子部品との間に導電性接合材が入り込んでいない。したがってICチップは、これの側面を用いて電子部品に接合するから、電子デバイスを低背化できるとともに、電子デバイスの平面サイズを小型化できる。またICチップは、電子部品と同じ平面サイズまで用いることができるので、ICチップの平面サイズに大きな制限が加わるのを防止できる。
【0012】
[適用例2]適用例1に記載の電子デバイスを備えた圧電デバイスであって、前記電子部品は圧電振動子であり、前記ICチップは前記圧電振動子を振動させる発振回路を備えたことを特徴とする圧電デバイス。これにより圧電デバイスは、低背化および平面サイズの小型化できる。
【0013】
[適用例3]前記側面端子は、凹凸形状を有することを特徴とする適用例2に記載の圧電デバイス。凹凸形状にすることで側面端子の面積を大きくできるので、導電性接合材とICチップの接合強度を向上できる。したがって圧電デバイスは、ICチップと圧電振動子の接合強度を向上できるとともに、導通の信頼性も確保できる。
【0014】
[適用例4]前記圧電振動子の前記一の面に、前記ICチップが入れられる凹陥部を設けたことを特徴とする適用例2または3に記載の圧電デバイス。凹陥部にICチップを入れているので、低背化できる。また圧電デバイスに衝撃が加わっても、ICチップを凹陥部で支えることができるので、圧電振動子からICチップが外れるのを防止できる。
【0015】
[適用例5]前記機能端子に金属ボールを設け、前記導電性接合材および前記ICチップの下面を覆うともに、前記金属ボールの一部を覆う絶縁性保護部を設けたことを特徴とする適用例2ないし4のいずれかに記載の圧電デバイス。これによりICチップ等を衝撃等から保護することができ、またICチップが圧電振動子から外れるのを防止できる。さらに金属ボールがICチップから外れるのを防止できる。
【0016】
[適用例6]前記圧電振動子は、振動部の周囲に保持部を備えた圧電振動片と、前記圧電振動片の上面および下面に配設され、前記保持部に接合した基板部と、を備えたCSP構造であることを特徴とする適用例2ないし5のいずれかに記載の圧電デバイス。これにより圧電振動子を低背化および小型化できるので、圧電デバイスも低背化および小型化できる。
【0017】
[適用例7]ウエハ状のICに上面と下面とを貫通した貫通電極を設け、前記貫通電極を設けた部分に沿って切断してICチップとするとともに、切断後の前記貫通電極が凹凸構造を備えた側面端子となり、前記ICチップの上面を電子部品に向けて、前記ICチップを前記電子部品に配置し、前記ICチップを配置した面に形成してある前記ICチップの下部電極と前記側面端子とに導電性接合材を配置して、前記電子部品と前記ICチップの側面とを接合するとともに、前記下部電極、前記導電性接合材および前記側面端子を介して前記電子部品と前記ICチップとを導通する、ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
ICチップの側面を利用して、このICチップを電子部品に接合しているので、電子デバイスを低背化できるとともに、電子デバイスの平面サイズを小型化できる。またICチップは、電子部品と同じ平面サイズまで用いることができるので、ICチップの平面サイズに大きな制限が加わるのを防止できる。またICチップの下面に機能端子を設けているので、電子デバイスを固着する実装基板との接合強度を確保できる。この場合、電子部品が圧電振動子であり、ウエハ状のIC、すなわちICチップが圧電振動子との間で信号を増幅・発振させる回路を備えていれば、電子デバイスの製造方法は圧電デバイスの製造方法になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係る電子デバイス、圧電デバイスおよび電子デバイスの製造方法の最良の実施形態について説明する。電子デバイスには、様々なものがあるが、電子部品とICチップを備えたものの一例として圧電デバイスが挙げられる。すなわち圧電デバイスは、電子部品として圧電振動子を備えるとともに、発振回路を構成するICチップを備えている。このため以下で説明する実施形態では、電子デバイスの一例として圧電デバイスについて説明する。
【0019】
まず第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態に係る圧電デバイスの説明図である。ここで図1(A)は圧電デバイスの正面図、図1(B)は同図(C)のA−A線における断面図、図1(C)は底面図である。圧電デバイス10は、圧電振動子12およびICチップ22を備えている。
【0020】
圧電振動子12は、圧電振動片14の上面および下面に基板部16が接合している。この圧電振動片14は、逆メサ型になっており、一定の周波数で振動する振動部14aと、この振動部14aの周囲に設けられ、振動部14aよりも厚く形成してある保持部14bとを備えている。そして振動部14aの上面と下面に励振電極(図示せず)が設けてあり、前記各励振電極は、接続電極(図示せず)によって保持部14bに引き出されている。また基板部16は、保持部14bと接合している。そして圧電振動片14の下側に接合した一方の基板部16aには、その少なくとも一の面(図1に示す場合では下面)に下部電極20が設けてある。下部電極20は、一方の基板部16aの角部に設けたキャスタレーション18を介して前記接続電極に導通している。したがって下部電極20は、前記励振電極と1対1に導通している。また圧電振動片14の上側に接合した他方の基板部16bと一方の基板部16aによって、振動部14aを気密封止している。これにより図1に示す圧電振動子12は、圧電振動片14のチップサイズと平面サイズが同じなっているチップサイズ(スケール)パッケージ(CSP)構造になる。
【0021】
ICチップ22は、発振回路を備えている。このICチップ22は、圧電振動子12に電気信号を供給して圧電振動片14を振動させるとともに、圧電振動片14との間で信号を増幅して発振させている。これにより圧電デバイス10は、圧電発振器となる。なおICチップ22には、発振回路の他に、圧電デバイス10から出力される信号の周波数を可変させるための電圧制御回路や、圧電振動片14の周囲温度にかかわらず一定周波数の信号を出力するための温度補償回路を設けることもできる。さらにICチップ22には、位相同期回路を有し、プログラムすることにより任意の出力周波数を設定できるプログラマブル圧電発振器用の回路や、圧電振動子12から出力された信号から年月日等の計時データを作り出力するリアルタイムクロック装置用の回路、ジャイロセンサ用の駆動制御回路等を設けることもできる。
【0022】
そしてICチップ22の側面に側面端子24が設けてあり、また下面に機能端子26が設けてある。側面端子24は、凹凸形状になっていてもよく、また平面形状になっていてもよいが、図1に示す場合では凹凸形状になっている。この図1(C)に示す側面端子24について具体的に説明すると、ICチップ22の側面に、平面視して半円形状の凹みを設け、これの表面に電極を設けている。この側面端子24は、圧電振動子12と導通する端子になっている。また機能端子26は、電子機器を構成する実装基板に圧電デバイス10を固着するときや、前記電子機器側との信号の入出力等に用いるものである。この機能端子26に、前記実装基板との電気的および機械的な接続に用いる金属ボール28が設けてある。
【0023】
このようなICチップ22は、これの上面を圧電振動子12に向けて、圧電振動子12の下面に固着している。具体的には、はんだや導電性接着剤等の導電性接合材30を下部電極20と側面端子24に設けることにより、圧電振動子12とICチップ22を接合すればよい。
【0024】
次に、圧電デバイス10の製造方法について説明する。図2は圧電デバイスの製造工程の説明図である。ここで図2(A)はウエハ状態のICの斜視図であり、図2(B)は圧電デバイスの分解斜視図である。ICチップ22は、ウエハレベルCSP(WCSP)で形成してある。すなわち図2(A)に示すように、まずウエハ32の状態でICを形成する。このときウエハ32を切断してICチップ22に個別化するときの切断箇所(図2(A)に一点鎖線で示す位置)に貫通電極34を形成しておく。この貫通電極34は、ウエハ32の上下方向に貫通孔を形成し、この貫通孔の表面に電極を形成することにより得る。そして前記切断箇所に沿ってウエハ32を切断すると、貫通電極34も切断されて側面端子24となってICチップ22を得る。
【0025】
そしてICチップ22は、図2(B)に示すように、圧電振動子12における下部電極20が形成してある面に配置される。この後、ICチップ22の側方に導電性接合材30(図2には図示せず)を塗布等して、この導電性接合材30を下部電極20および側面端子24に接触させる。これによりICチップ22の側面と圧電振動子12の下面とが、導電性接合材30を介して接合する。したがって圧電振動子12とICチップ22は、電気的および機械的に接続する。なおICチップ22は、図1に示すように下部電極20(圧電振動子12)に接触しているので、ICチップ22と圧電振動子12の間に導電性接合材30が入り込んでいない。そしてICチップ22の機能端子26に金属ボール28を配置する。このようにして圧電デバイス10を製造する。
【0026】
このような圧電デバイス10(電子デバイス)およびこれの製造方法によれば、ICチップ22の側面を利用して、このICチップ22を圧電振動子12に接合しているので、圧電デバイス10を低背化できる。また圧電デバイス10は、圧電振動子12にICチップ22を固着しているので、従来のようなH型のパッケージを必要としない。このため圧電デバイス10の平面サイズを小型化できる。さらにICチップ22の平面サイズに大きな制限が加わるのを防止できる。
【0027】
またICチップ22は、これの側面で圧電振動子12に接合するので、これの上面全体で圧電振動子12に接合する場合に比べて、圧電振動子12に加わる応力を小さくできるとともに、圧電振動子12との位置合わせを容易に行える。
また側面端子24を凹凸形状にすることにより、導電性接合材30とICチップ22の接合強度を向上できる。
【0028】
なおICチップ22の平面サイズは、圧電振動子12のものと同程度であってもよい。図3は変形例に係る圧電デバイスの正面図である。この圧電デバイス10では、ICチップ22の平面サイズが圧電振動子12よりも僅かに小さくなっている。この場合、圧電振動子12の下面にICチップ22を配置しつつ、キャスタレーション18とICチップ22における側面端子24(図3には図示せず)を設けた側面に導電性接合材30を塗布等して、圧電振動子12とICチップ22を接合すればよい。すなわちICチップ22の側面と圧電振動子12の側面とが導電性接合材30により接合するとともに、キャスタレーション18と側面端子24が導電性接合材30を介して導通する。この場合でも、ICチップ22と圧電振動子12の間に導電性接合材30が入り込んでいない。
【0029】
また本発明に用いる圧電振動片は逆メサ型に限定されることはなく、振動部と、振動部の周囲に配設するとともに、振動部を支持する枠部とを備えた枠型の圧電振動片であってもよい。さらに圧電振動片は、弾性表面波(SAW)チップであってもよい。このSAWチップを用いた圧電振動子は、SAWチップにおけるすだれ状電極等を形成してある主面と基板部とに隙間を持たせつつ、向かい合わせて接合した形態であればよい。
【0030】
次に、第2の実施形態について説明する。図4は第2の実施形態に係る圧電デバイスの説明図である。ここで図4(A)は同図(B)のB−B線における圧電デバイスの断面図、図4(B)は底面図である。この圧電デバイス40は、第1の実施形態で説明した圧電振動子12の下面に凹陥部42を設け、その凹陥部42にICチップ22を入れた形態になっている。すなわち圧電振動片14の下面に一方の基板部16aが接合しているが、この一方の基板部16aの下面に、ICチップ22の平面サイズよりも大きな凹陥部42が設けてある。この凹陥部42は、一方の基板部16aをサンドブラストやエッチング等することにより形成すればよい。そして凹陥部42の側面に下部電極20が設けてあり、一方の基板部16aの角部に設けたキャスタレーション18と下部電極20が導通している。この凹陥部42の深さは、ICチップ22の高さ方向の一部を入れることができるものであってもよく、また全部を入れることができるものであってもよい。なお図4に示す場合、凹陥部42の深さは、ICチップ22の高さと同じになっているので、一方の基板部16aの下面とICチップ22の下面が同一面内に位置している。
【0031】
この凹陥部42にICチップ22が入れられて、側面端子24と凹陥部42で囲まれる領域に導電性接合材30を塗布等している。これによりICチップ22の側面と凹陥部42は、導電性接合材30により接合する。したがって圧電振動子12とICチップ22は、電気的および機械的に接続する。なおICチップ22は凹陥部42の底面に接触しているので、ICチップ22と前記底面との間に導電性接合材30が入り込んでいない。
【0032】
このような圧電デバイス40は、一方の基板部16aに設けた凹陥部42にICチップ22を入れているので、低背化できる。また圧電デバイス40に衝撃が加わっても、凹陥部42でICチップ22を支えることができるので、圧電振動子12からICチップ22が外れるのを防止できる。そしてICチップ22および圧電振動子12のそれぞれの下面を同一面内、または圧電振動子12の下面をICチップ22の下面よりも下方に配置すれば、ICチップ22に対して側方への衝撃が直接加わらなくできるので、圧電振動子12からICチップ22が外れるのを防止できる。
【0033】
さらに図4に示す場合では、凹陥部42の側面が傾斜している。このため、この傾斜に沿ってICチップ22を凹陥部42に入れることができるので、ICチップ22を凹陥部42の中心に入れ易くでき、側面端子24と凹陥部42の隙間に導電性接着剤が注入し易くなる。
【0034】
なお圧電デバイス40の下面には、絶縁性保護部を設けることもできる。図5は絶縁性保護部を設けた圧電デバイスの断面図である。図5に示す圧電デバイス40は、図4に示す圧電デバイスと同様に、圧電振動子12およびICチップ22の各下面を同一面内に配置している。そして圧電デバイス40には、ICチップ22および導電性接合材30を覆う絶縁性保護部44が設けてある。このとき機能端子26に接合している金属ボール28は、その一部が絶縁性保護部44によって覆われている。この場合、金属ボール28の下側が絶縁性保護部44から露出していればよい。この絶縁性保護部44は、絶縁性を有するとともに、ICチップ22等を保護できる材料で形成してあればよい。絶縁性保護部44の具体的な一例としては、樹脂である。
【0035】
このような圧電デバイス40は、ICチップ22等を衝撃等から保護することができ、またICチップ22が圧電振動子12から外れるのを防止できる。さらに金属ボール28がICチップ22から外れるのを防止できる。
【0036】
次に、第3の実施形態について説明する。第1,2の実施形態では、圧電振動子12がCSP構造になっている形態について説明した。しかし本発明に係る電子デバイスに用いる電子部品は、セラミック等で形成した保持容器(パッケージ)を用いた構成であってもよい。すなわち圧電デバイスは、箱型のパッケージ内に圧電振動片を収容した形態であってもよい。
【0037】
図6は第3の実施形態に係る圧電デバイスの説明図である。ここで図6(A)は圧電振動子の下面にICチップを接合した圧電デバイスの正面図、図6(B)は圧電振動子の下面に形成した凹陥部内にICチップを配設した圧電デバイスの断面図である。なお図6(B)では、圧電振動子の内部の記載を省略している。本実施形態の圧電振動子52は、枡形のパッケージベース54の中に圧電振動片(図示せず)を配設し、このパッケージベース54の開口部に蓋体56を接合して、前記圧電振動片を気密封止したものである。そして前記圧電振動片は、パッケージベース54の下面に設けた下部電極58と導通している。
【0038】
図6(A)に示す圧電デバイス50は、パッケージベース54(圧電振動子52)の下面にICチップ22を配設している。この場合でも、ICチップ22の側面端子24(図6(A)には図示せず)と下部電極58に導電性接合材30を設けることにより、圧電振動子52とICチップ22を接合している。すなわちICチップ22は、これの側面で圧電振動子52に接合している。なおICチップ22は、圧電振動子52に接触しているので、ICチップ22と圧電振動子52の間に導電性接合材30が入り込んでいない。そしてICチップ22の機能端子26に金属ボール28を設けて、BGAを形成している。このような圧電デバイス50であっても、低背化および平面サイズの小型化ができる。
【0039】
また図6(B)に示す圧電デバイス50は、パッケージベース54の下面に凹陥部60を備えている。この凹陥部60は、第2の実施形態で説明した凹陥部42と同様の構成であればよい。そして、この凹陥部60にICチップ22を入れている。この場合でも、ICチップ22の側面端子24と凹陥部60で囲まれる領域に導電性接合材30を設けることにより、圧電振動子52とICチップ22の側面とを接合する。このような圧電デバイス50であっても、低背化および平面サイズの小型化ができる。なお図6(B)に示す圧電デバイス50は、図5を用いて説明した形態と同様に、絶縁性保護部を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施形態に係る圧電デバイスの説明図である。
【図2】圧電デバイスの製造工程の説明図である。
【図3】変形例に係る圧電デバイスの正面図である。
【図4】第2の実施形態に係る圧電デバイスの説明図である。
【図5】絶縁性保護部を設けた圧電デバイスの断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る圧電デバイスの説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10,40,50………圧電デバイス、12,52………圧電振動子、14………圧電振動片、14a………振動部、14b………保持部、16………基板部、20,58………下部電極、22………集積回路(IC)チップ、24………側面端子、26………機能端子、28………金属ボール、30………導電性接合材、32………ウエハ、34………貫通電極、42,60………凹陥部、44………絶縁性保護部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極を少なくとも一の面に設けた電子部品と、側面端子を側面に設けるとともに、機能端子を下面に設けたICチップとを備え、
前記ICチップの上面を前記電子部品に向けて、前記ICチップを前記電子部品の前記一の面に配設し、
前記下部電極と前記側面端子とを導通するとともに、前記ICチップを前記電子部品に固着する導電性接合材を前記電子部品の前記一の面と前記ICチップの側面とに設けた、
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の電子デバイスを備えた圧電デバイスであって、
前記電子部品は圧電振動子であり、前記ICチップは前記圧電振動子を振動させる発振回路を備えたことを特徴とする圧電デバイス。
【請求項3】
前記側面端子は、凹凸形状を有することを特徴とする請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記圧電振動子の前記一の面に、前記ICチップが入れられる凹陥部を設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記機能端子に金属ボールを設け、
前記導電性接合材および前記ICチップの下面を覆うともに、前記金属ボールの一部を覆う絶縁性保護部を設けたことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記圧電振動子は、
振動部の周囲に保持部を備えた圧電振動片と、
前記圧電振動片の上面および下面に配設され、前記保持部に接合した基板部と、
を備えたCSP構造であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項7】
ウエハ状のICに上面と下面とを貫通した貫通電極を設け、前記貫通電極を設けた部分に沿って切断してICチップとするとともに、切断後の前記貫通電極が凹凸構造を備えた側面端子となり、
前記ICチップの上面を電子部品に向けて、前記ICチップを前記電子部品に配置し、
前記ICチップを配置した面に形成してある前記電子部品の下部電極と前記側面端子とに導電性接合材を配置して、前記電子部品と前記ICチップの側面とを接合するとともに、前記下部電極、前記導電性接合材および前記側面端子を介して前記電子部品と前記ICチップとを導通する、
ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−60452(P2009−60452A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226775(P2007−226775)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】