説明

電子デバイス

【課題】ダイアタッチパッドや配線部等を構成する金属層が劣化し難い電子デバイスを提供することである。
【解決手段】本発明に係る電子デバイスは、セラミック製の基体2と電子素子1とを具え、基体2の表面21には金属層8が形成され、該金属層8の表面上に電子素子1が設置されることにより、該電子素子1と金属層8とが熱的又は電気的に接続されている。ここで、金属層8は、基体2の表面21の内、電子素子1によって覆われた領域R1の外周縁よりも内側の領域R2に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子や集積回路などの電子素子を具えた電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光デバイスは、図17に示す様に、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子(101)と、該発光素子(101)を搭載するためのパッケージ(100)とを具えている(例えば、特許文献1参照)。該パッケージ(100)は、セラミック製の基体(102)と、セラミック製の枠体(103)とから構成され、枠体(103)が基体(102)の上面(102a)に接合一体化されることにより、発光素子(101)を収容するためのキャビティ(103a)が形成されている。発光素子(101)は、パッケージ(100)のキャビティ(103a)に収容されて、基体(102)の上面(102a)の内、キャビティ(103a)の底面となる領域に設置されている。
【0003】
又、基体(102)には、発光素子(101)から発生した熱を基体(102)の下面(102b)へ導く熱伝導部(104)が設けられている。ここで、熱伝導部(104)は、基体(102)に開設されて該基体(102)の上面(102a)から下面(102b)へ貫通するビア(105)と、該ビア(105)に充填された熱伝導材(106)とから構成されている。そして、熱伝導材(106)が基体(102)の上面(102a)に露出して熱伝導部(104)の露出面(104a)が形成されており、該露出面(104a)上にダイアタッチパッド(107)が形成されている。そして、該ダイアタッチパッド(107)の表面上に発光素子(101)が設置されることにより、該ダイアタッチパッド(107)を介して発光素子(101)と熱伝導部(104)とが熱的に接続されている。
【0004】
従来の発光デバイスの他の例においては、図18に示す様に、基体の(102)の表面(102a)に、発光素子(101)に電気的に接続されるべき配線部(109)が形成されており、該配線部(109)の表面には、発光素子(101)が設置されるべき設置領域R0が設けられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−201156号公報
【特許文献2】特開2004−253404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図17に示す従来の発光デバイスにおいては、ダイアタッチパッド(107)の表面の内、発光素子(101)の設置領域とは異なる領域がキャビティ(103a)内に露出している。又、図18に示す従来の発光デバイスにおいては、配線部(109)の表面の内、発光素子(101)の設置領域R0とは異なる領域がキャビティ(103a)内に露出している。ここで、図17及び図18に示す何れの発光デバイスにおいても、キャビティ(103a)内には、蛍光体を含む樹脂材(108)が充填されている。このため、ダイアタッチパッド(107)の露出表面及び配線部(109)の露出表面には、樹脂材(108)に含まれている蛍光体との化学反応(酸化等)が生じ易く、従ってダイアタッチパッド(107)及び配線部(109)が劣化し易かった。
【0007】
そこで本発明の目的は、ダイアタッチパッドや配線部等が劣化し難い電子デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子デバイスは、セラミック製の基体と電子素子とを具え、前記基体の表面には金属層が形成され、該金属層の表面上に前記電子素子が設置されることにより、該電子素子と金属層とが熱的又は電気的に接続されている。ここで、前記金属層は、前記基体の表面の内、前記電子素子によって覆われた領域の外周縁よりも内側の領域に形成されている。
【0009】
上記電子デバイスにおいては、金属層の表面全体が電子素子によって被覆されることになる。よって、金属層の表面には酸化等の化学反応が殆ど生じることがなく、従って金属層は劣化し難い。
【0010】
上記電子デバイスの具体的構成において、該電子デバイスは、前記電子素子から発生した熱を前記基体の背面へ導く熱伝導部を更に具え、該熱伝導部は、前記基体に開設されて該基体の表面から背面へ貫通するビアと、該ビアに充填された熱伝導材とから構成され、該熱伝導材が前記基体の表面に露出して前記熱伝導部の露出面が形成されており、該露出面上に前記金属層が形成されることにより該金属層を介して前記電子素子と熱伝導部とが熱的に接続されている。
【0011】
より具体的な構成において、前記熱伝導部の露出面が前記金属層の形成領域の外側まで拡がることにより、該金属層の形成領域が、熱伝導部の露出面の周縁領域によって包囲されており、前記熱伝導部の露出面の内、前記金属層の形成領域とは異なる領域がセラミック層により被覆されている。
【0012】
上記具体的構成において、基体を構成しているセラミック材と熱伝導材との間には、熱膨張率の差が存在している。従って、上記電子デバイスの製造過程において、熱伝導部の露出面の周縁領域が隆起して、該露出面に隆起部が形成される虞がある。もし、該隆起部に金属層が重なっていたとすれば、金属層が変形して電子素子と金属層との接触面積が小さくなる虞がある。該接触面積が小さいと、電子素子から熱伝導部へ熱が移動し難く、従って、電子素子から発生した熱は基体の背面へ移動し難くなる。よって、基体の背面から発散される熱量が小さくなって、電子デバイスの放熱特性が低下することになる。
【0013】
一方、熱伝導部の露出面の内、周縁領域の内側の領域(周縁領域に包囲された領域)は、周縁領域が隆起した場合でも平坦のままとなり易い。
【0014】
上記具体的構成においては、熱伝導部の露出面の周縁領域が金属層によって覆われることがなく、従って、熱伝導部の隆起部と金属層とが重なることがない。即ち、金属層は、熱伝導部の露出面の平坦領域に形成されている。よって、電子素子の下面と金属層との接触面積は大きく、電子素子から発生した熱は熱伝導部へ移動し易い。その結果、基体の背面から発散される熱量が大きくなって、電子デバイスは、高い放熱特性を有することになる。
【0015】
又、上記具体的構成においては、熱伝導部の露出面の内、金属層の形成領域とは異なる領域がセラミック層により被覆されている。よって、熱伝導部の露出面には酸化等の化学反応が殆ど生じることがなく、従って熱伝導部の劣化が防止され、その結果、電子デバイスの信頼性が向上することになる。
【0016】
上記電子デバイスの他の具体的構成において、該電子デバイスは、前記基体の表面に形成されて、前記電子素子に電気的に接続されるべき配線部を更に具え、該配線部の表面上に前記金属層が形成されることにより該金属層を介して前記電子素子と配線部とが電気的に接続されている。
【0017】
より具体的な構成において、前記配線部の表面の内、前記金属層の形成領域とは異なる領域がセラミック層により被覆されている。
【0018】
該具体的構成によれば、配線部の表面には酸化等の化学反応が殆ど生じることがなく、従って配線部の劣化が防止されることになる。
【0019】
上記電子デバイスの更なる他の具体的構成において、前記電子素子は発光素子であって、前記セラミック層にはガラスが含有され、該ガラスの一部がセラミック層の表面に析出している。
【0020】
該具体的構成によれば、セラミック層の表面にガラス層が形成され、該ガラス層の表面によって光反射面が形成されることになる。よって、発光素子から斜め下方に向かって出射された光は、ガラス層の表面にて反射されて上方へ進行することになり、その結果、電子デバイスにおいて高い発光強度が得られることになる。
又、析出したガラスによって形成されたガラス層には、経時変化の原因となる酸化等の化学反応が発生しにくく、従って経時変化による光反射率の低下が発生しにくい。
【0021】
より具体的な構成において、前記セラミック層の表面に析出したガラスの結晶化度は3%より大きい。ガラスの結晶化度が3%より大きいガラス層は、ガラスの結晶化度が3%以下であるガラス層と比較して表面粗さが小さくなる。従って、ガラスの結晶化度が3%より大きいガラス層は、光反射率の高い光反射面を有することになる。よって、電子デバイスにおいて、より高い発光強度が得られることになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電子デバイスによれば、ダイアタッチパッドや配線部等を構成する金属層が劣化し難い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(a)は、本発明の一実施形態に係る発光デバイスを示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示されるA−A線に沿う断面図である。
【図2】図2は、上記発光デバイスの製造方法のセラミック体形成工程の説明に用いられる断面図である。
【図3】図3は、該製造方法の焼成工程の実行により作製されるパッケージを示す断面図である。
【図4】図4は、該製造方法のメッキ工程の説明に用いられる断面図である。
【図5】図5は、該製造方法の素子搭載工程の説明に用いられる断面図である。
【図6】図6は、上記発光デバイスが有する熱伝導部の露出面の拡大図である。
【図7】図7は、焼成温度とガラスの結晶化度との関係を示した図である。
【図8】図8は、セラミック層の表面に入射する光の波長と、その光の反射率との関係を示した図である。
【図9】図9は、上記発光デバイスの第1変形例を示す断面図である。
【図10】図10は、上記発光デバイスの第2変形例を示す断面図である。
【図11】図11は、上記発光デバイスの第3変形例を示す断面図である。
【図12】図12は、上記発光デバイスの第4変形例を示す断面図である。
【図13】図13は、該第4変形例に係る発光デバイスの製造方法のセラミック体形成工程について、その第1工程の説明に用いられる断面図である。
【図14】図14は、該セラミック体形成工程の第2工程の説明に用いられる断面図である。
【図15】図15は、該セラミック体形成工程の第3工程の説明に用いられる断面図である。
【図16】図16は、該第4変形例に係る発光デバイスの製造方法について、その焼成工程の実行により作製されるパッケージを示す断面図である。
【図17】図17は、従来の発光デバイスの一例を示した断面図である。
【図18】図18は、従来の発光デバイスの他の例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を発光デバイスに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る発光デバイスを示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示されるA−A線に沿う断面図である。図1(a)及び図1(b)に示す様に、本実施形態の発光デバイスは、LED(1)と、該LED(1)を搭載するためのパッケージ(10)とを具えている。
【0025】
パッケージ(10)は、セラミック製の基体(2)と、セラミック製の枠体(3)とから構成され、枠体(3)が基体(2)の上面(21)に接合一体化されている。これにより、枠体(3)の内周面(31)と基体(2)の上面(21)とから、LED(1)を収容するためのキャビティ(30)が形成されている。LED(1)は、パッケージ(10)のキャビティ(30)に収容されて、基体(2)の上面(21)の内、キャビティ(30)の底面となる領域上に設置されている。又、キャビティ(30)内には、蛍光体を含む樹脂材(32)が充填されている。
【0026】
図1(b)に示す様に、基体(2)には、LED(1)から発生した熱を基体(2)の下面(22)へ導く熱伝導部(4)が設けられている。ここで、熱伝導部(4)は、基体(2)に開設されて該基体(2)の上面(21)から下面(22)へ貫通するビア(40)と、該ビア(40)に充填された熱伝導材(41)とから構成されている。そして、熱伝導材(41)が基体(2)の上面(21)に露出して熱伝導部(4)の露出面(42)が形成されており、該露出面(42)上に、ダイアタッチパッドとして機能する金属層(8)が形成されている。尚、熱伝導材(41)及び金属層(8)には、銀(Ag)や、銀(Ag)と白金(Pt)の合金等、熱伝導率の高い金属材料が用いられている。
【0027】
上記パッケージ(10)において、基体(2)及び枠体(3)を構成するセラミック材には、熱伝導部(4)を構成する熱伝導材(41)及び金属層(8)との同時焼成が可能な低温同時焼成セラミック(LTCC)が用いられている。本実施形態においては、低温同時焼成セラミック(LTCC)として、アルミナとガラスが所定の割合で含まれたものが用いられている。
【0028】
図1(b)に示す様に、金属層(8)の表面には金メッキ層(6)が形成されており、該金メッキ層(6)の表面にLED(1)が設置されている。これにより、LED(1)と熱伝導部(4)とが金属層(8)を介して熱的に接続されている。ここで、金属層(8)は、基体(2)の上面(21)(該上面(21)には、熱伝導部(4)の露出面(42)を含むものとする。)の内、LED(1)によって覆われた領域R1の外周縁よりも内側の領域R2に形成されている。
【0029】
一方、熱伝導部(4)の露出面(42)は、金属層(8)の形成領域R2の外側まで拡がっており、これにより、該金属層(8)の形成領域R2が、熱伝導部(4)の露出面(42)の周縁領域によって包囲されている。
【0030】
そして、熱伝導部(4)の露出面(42)の内、金属層(8)の形成領域R2とは異なる領域がセラミック層(5)により被覆されている。ここで、セラミック層(5)の厚さ寸法は、金属層(8)の厚さ寸法と同じか、又はそれより小さく設定されている。これにより、LED(1)は、金属層(8)上の金メッキ層(6)に確実に接触することになり、従って、LED(1)と金属層(8)との熱的な接続がセラミック層(5)によって阻害されることがない。
【0031】
図示していないが、セラミック層(5)にはガラスが含有され、該ガラスの一部がセラミック層(5)の表面に析出している。そして、本実施形態の発光デバイスにおいては、セラミック層(5)の表面に析出したガラスは、3%より大きい結晶化度を有している。
【0032】
次に、上記発光デバイスの製造方法につき、図面に沿って具体的に説明する。ここで、該製造方法は、セラミック体形成工程、焼成工程、メッキ工程、素子搭載工程、及び樹脂充填工程を有しており、これらの工程がこの順に実行される。
【0033】
図2は、セラミック体形成工程の説明に用いられる断面図である。図2に示す様に、セラミック体形成工程では、低温同時焼成セラミック(LTCC)から作製された複数のセラミックシート(23)を積層して積層体(70)を形成する。ここで、各セラミックシート(23)には、その表面から背面へ貫通する貫通孔(231)が所定領域に形成され、該貫通孔(231)には熱伝導材(41)が充填されている。
尚、本実施形態においては、低温同時焼成セラミック(LTCC)として、アルミナとガラスが所定の割合で含まれたものが用いられている。又、熱伝導材(41)には、銀(Ag)や、銀(Ag)と白金(Pt)の合金等、熱伝導率の高い金属材料が用いられている。
【0034】
積層体(70)の形成後、積層体(70)の上面(701)に、低温同時焼成セラミック(LTCC)から作製されて焼成後に枠体(3)となる枠形成体(31)を設置する。このとき、枠形成体(31)は、その内側の空間(311)に熱伝導材(41)の最上面(411)を露出させて、積層体(70)の上面(701)に設置される。ここで、枠形成体(31)は、低温同時焼成セラミック粉を所定形状に押し固めて形成されてもよいし、積層体(70)と同様に複数のセラミックシートを積層して形成されてもよい。
【0035】
セラミック体形成工程では更に、積層体(70)の上面(701)に、金属層(8)となる第1形成層(81)と、セラミック層(5)となる第2形成層(51)とが形成される。具体的には、積層体(70)の上面(701)に露出した熱伝導材(41)の最上面(411)の内、金属層(8)の形成領域R2に第1形成層(81)を形成し、他の領域を第2形成層(51)によって被覆する。ここで、第1形成層(81)及び第2形成層(51)は、熱伝導材が充填された貫通孔を有するセラミックシートを積層体(70)の上面(701)に積層することにより形成されてもよいし、熱伝導材(41)の最上面(411)上の形成領域R2及びその他の領域にそれぞれ熱伝導材塗料とセラミック塗料を塗布することにより形成されてもよい。斯くして、積層体(70)と、第1及び第2形成層(81)(51)と、枠形成体(31)とから構成されたセラミック体(71)が形成されることになる。
【0036】
次に焼成工程において、セラミック体形成工程で作製したセラミック体(71)を840℃以上950℃未満の温度で焼成する。ここで、セラミック体(71)には、低温同時焼成セラミック(LTCC)が用いられている。従って、焼成温度が840℃以上950℃未満の低温であっても、セラミック体(71)を焼結させることが出来る。又、840℃以上950℃未満の焼成温度であれば、熱伝導材(41)及び第1形成層(81)に用いられる銀(Ag)等の金属材料は、異常収縮を生じずに焼結することになる。
【0037】
図3は、焼成工程の実行により作製されるパッケージを示す断面図である。焼成工程の実行により、図3に示す様に、積層体(70)と枠形成体(31)がそれぞれ焼結して基体(2)と枠体(3)が形成されると共に、基体(2)と枠体(3)とが互いに接合して一体化される。これにより、枠体(3)の内周面(31)と基体(2)の上面(21)とから、LED(1)を収容するためのキャビティ(30)が形成される。
【0038】
積層体(70)の焼結によって、複数のセラミックシート(23)に形成されている貫通孔(231)どうしが互いに連結し、基体(2)をその上面(21)から下面(22)へ貫通するビア(40)が形成される。又、積層体(70)の焼結に伴って、貫通孔(231)に充填されている熱伝導材(41)も焼結し、熱伝導材(41)どうしが互いに結合して一体化される。これにより、熱伝導部(4)が形成され、焼成前の熱伝導材(41)の最上面(411)が、焼成後において熱伝導部(4)の露出面(42)となる。
【0039】
又、焼成工程の実行により、第1形成層(81)が焼結して金属層(8)が形成され、第2形成層(51)が焼結してセラミック層(5)が形成される。斯くして、LED(1)を搭載するためのパッケージ(10)が形成されることになる。
【0040】
図4は、メッキ工程の説明に用いられる断面図である。図4に示す様に、メッキ工程では、金属層(8)に対して金メッキを施すことにより、該金属層(8)の表面に金メッキ層(6)を形成する。
【0041】
図5は、素子搭載工程の説明に用いられる断面図である。図5に示す様に、パッケージ(10)にLED(1)を搭載する。具体的には、パッケージ(10)のキャビティ(30)にLED(1)を収容する。このとき、金メッキ層(6)の表面にLED(1)を設置する。
【0042】
次に樹脂充填工程において、パッケージ(10)のキャビティ(30)の内部に、蛍光体を含む樹脂材(32)を充填する。これにより、図1(a)及び図1(b)に示す様に、本実施形態に係る発光デバイスが完成する。
【0043】
上記発光デバイスにおいては、金属層(8)の表面全体がLED(1)によって被覆されることになる。このため、金属層(8)の表面には樹脂材(32)が接触することがない。よって、金属層(8)の表面には、樹脂材(32)に含まれている蛍光体との化学反応(酸化等)が生じることがなく、従って金属層(8)は劣化し難い。
【0044】
ところで、上記発光デバイスにおいて、基体(2)を構成しているセラミック材と熱伝導材(41)との間には、熱膨張率の差が存在している。従って、上記発光デバイスの製造過程において、熱伝導部(4)の露出面(42)の周縁領域が隆起して、図6に示す様に該露出面(42)に隆起部(43)が形成される虞がある。もし、該隆起部(43)に金属層(8)が重なっていたとすれば、金属層(8)が変形してLED(1)と金属層(8)との接触面積が小さくなる虞がある。該接触面積が小さいと、LED(1)から熱伝導部(4)へ熱が移動し難く、従って、LED(1)から発生した熱は基体(2)の下面(22)へ移動し難くなる。よって、基体(2)の下面(22)から発散される熱量が小さくなって、発光デバイスの放熱特性が低下することになる。
【0045】
一方、熱伝導部(4)の露出面(42)の内、周縁領域の内側の領域(周縁領域に包囲された領域)は、図6に示す様に、周縁領域が隆起した場合でも平坦のままとなり易い。
【0046】
本実施形態に係る発光デバイスにおいては、熱伝導部(4)の露出面(42)の周縁領域が金属層(8)によって覆われることがなく、従って、熱伝導部(4)の隆起部(43)と金属層(8)とが重なることがない。即ち、金属層(8)は、熱伝導部(4)の露出面(42)の平坦領域に形成されている。よって、LED(1)の下面と金属層(8)(本実施形態では金メッキ層(6)の表面である。金メッキ層(6)は、下地である熱伝導部(4)の露出面(42)の凹凸に沿って形成される。)との接触面積は大きく、LED(1)から発生した熱は熱伝導部(4)へ移動し易い。その結果、基体(2)の下面(22)から発散される熱量が大きくなって、発光デバイスは、高い放熱特性を有することになる。
【0047】
又、熱伝導部(4)の露出面(42)を金属層(8)の形成領域R2の外側まで拡げると共に、図1(b)に示す様に熱伝導部(4)全体を太くすることにより、熱伝導部(4)の基体(2)の上面(21)から下面(22)へ移動する熱量が大きくなり、その結果、発光デバイスは、より高い放熱特性を有することになる。
【0048】
更に、上記発光デバイスにおいては、熱伝導部(4)の露出面(42)の内、金属層(8)の形成領域R2とは異なる領域がセラミック層(5)により被覆されている。このため、熱伝導部(4)の露出面(42)には樹脂材(32)が接触することがない。よって、熱伝導部(4)の露出面(42)には、樹脂材(32)に含まれている蛍光体との化学反応(酸化等)が生じることがなく、従って熱伝導部(4)の劣化が防止され、その結果、発光デバイスの信頼性が向上することになる。
【0049】
上記発光デバイスにおいては、セラミック層(5)にガラスが含有され、該ガラスの一部がセラミック層(5)の表面に析出している。従って、析出したガラスによってセラミック層(5)の表面にガラス層が形成され、該ガラス層の表面によって光反射面が形成されることになる。よって、LED(1)から斜め下方に向かって出射された光は、ガラス層の表面にて反射されて上方へ進行することになり、その結果、発光デバイスにおいて高い発光強度が得られることになる。
【0050】
又、析出したガラスによって形成されたガラス層には、経時変化の原因となる酸化等の化学反応が発生しにくく、従って経時変化による光反射率の低下が発生しにくい。
【0051】
上記発光デバイスにおいてより高い発光強度を得るためには、セラミック層(5)から析出したガラスの結晶化度が3%より大きいことが好ましい。ガラスの結晶化度が3%より大きいガラス層は、ガラスの結晶化度が3%以下であるガラス層と比較して表面粗さが小さくなる。従って、ガラスの結晶化度が3%より大きいガラス層は、光反射率の高い光反射面を有することになる。よって、発光デバイスにおいて、より高い発光強度が得られることになる。
【0052】
本願発明者は、セラミック層(5)から析出したガラスの結晶化度が3%より大きい場合、析出したガラスによって形成されるガラス層の表面での光反射率が高くなることを、実験により確かめた。
【0053】
図7は、セラミック体(71)の焼成温度と析出したガラスの結晶化度との関係を示した図である。ここで、ガラスの結晶化度は、X線回折法を用いて測定された。具体的には、セラミック体(71)を焼成することによって作製されたパッケージについて、該パッケージを構成する低温同時焼成セラミック(LTCC)のアルミナとガラスのX線回折強度のピーク値I(Al2O3),I(glass)をそれぞれ測定し、アルミナのピーク値I(Al2O3)に対するガラスのピーク値I(glass)の割合を求めることにより、結晶化度を取得した。
【0054】
図7に示す様に、セラミック体(71)の焼成温度が高い程、析出するガラスの結晶化度は大きくなる。具体的には、焼成温度が840℃以上である場合、析出するガラスの結晶化度は3%より大きくなる。そして、焼成温度が900℃程度である場合、析出するガラスの結晶化度は40%程度となり、焼成温度が950℃程度である場合(図示せず)、析出するガラスの結晶化度は60%程度となる。一方、焼成温度が840℃未満の温度である場合、析出するガラスの結晶化度は3%以下となる。
【0055】
従って、本実施形態の発光デバイスの如く、セラミック体(71)を840℃以上の温度で焼成するにより、セラミック層(5)の表面には、3%より大きい結晶化度を有するガラスが析出することになる。
【0056】
図8は、847℃、900℃、及び950℃の焼成温度で作製されたパッケージ(10)のそれぞれについて、セラミック層(5)の表面に入射する光の波長と、その光の反射率との関係をグラフA1〜A3により示した図である。図8に示すグラフから、847℃の焼成温度で作製されたパッケージ(10)において、85%以上の高い光反射率が得られることがわかる。しかも、847℃よりも高い焼成温度(900℃及び950℃)で作製されたパッケージ(10)においては、特に380nm〜450nm及び600nm〜780nmの波長領域において光反射率が更に大きくなることがわかる。
【0057】
表1及び表2はそれぞれ、図8に示されるグラフに関して、入射光の波長が405nmと650nmのときの光反射率をそれぞれ数値で表したものである。表1に示す様に、入射光の波長が405nmの場合、光反射率は、847℃の焼成温度で97%となり、900℃の焼成温度で101.2%となる。又、表2に示す様に、入射光の波長が650nmの場合、光反射率は、847℃の焼成温度で89.8%となり、900℃の焼成温度で91.8%となる。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
図7及び図8に示されるグラフ、並びに表1と表2に示されるデータから、セラミック層(5)から析出したガラスの結晶化度が3%より大きい場合、析出したガラスによって形成されるガラス層の表面での光反射率が高くなることがわかる。
【0061】
図9は、上記発光デバイスの第1変形例を示す断面図である。図9に示す様に、上記発光デバイスは、枠体(3)のない構成を有していてもよい。
【0062】
図10は、上記発光デバイスの第2変形例を示す断面図である。図10に示す様に、上記発光デバイスにおいて、熱伝導部(4)の露出面(42)は、基体(2)の上面(21)の内、金属層(8)の形成領域R2の外周縁よりも内側の領域にのみ設けられていてもよい。本変形例に係る構成においては、熱伝導部(4)の露出面(42)の周縁領域に金属層(8)が重なることになる。従って、本変形例に係る構成は、特に熱伝導部(4)の露出面(42)に隆起部(43)(図6参照)が出現しない場合、或いは隆起部(43)が出現したとしても金属層(8)への影響が小さい場合に適用することが好ましい。
【0063】
第2変形例に係る発光デバイスにおいては、熱伝導部(4)の露出面(42)全体が金属層(8)によって被覆されることになる。従って、図10に示す様にセラミック層(5)を設けなかったとしても、熱伝導部(4)の露出面(42)には樹脂材(32)が接触することがない。
【0064】
図10に示す如くセラミック層(5)のない構成においては、基体(2)の上面(21)の内、金属層(8)の形成領域R2とは異なる領域に、基体(2)を構成するセラミック材の一部が露出することになる。ここで、基体(2)を構成するセラミック材には、ガラスを含有した低温同時焼成セラミック(LTCC)が用いられている。従って、基体(2)の上面(21)の内、金属層(8)の形成領域R2とは異なる領域には、低温同時焼成セラミック(LTCC)に含有されているガラスの一部が析出することにより、ガラス層が形成されることになる。よって、図1(b)に示す発光デバイスと同様、LED(1)から斜め下方に向かって出射された光は、ガラス層の表面にて反射されて上方へ進行することになり、その結果、発光デバイスにおいて高い発光強度が得られることになる。
勿論、基体(2)の上面(21)にセラミック層(5)を形成して、該セラミック層(5)の表面にガラスを析出させることにより、ガラス層を形成してもよい。
【0065】
図10に示す如くセラミック層(5)のない構成においては、金属層(8)の表面だけでなく、金属層(8)の側面にも金メッキ層(6)を形成することが好ましい。これにより、金属層(8)の側面と樹脂材(32)との接触が金メッキ層(6)によって防止され、その結果、金属層(8)の劣化が防止されることになる。
【0066】
図11は、上記発光デバイスの第3変形例を示す断面図である。図11に示す様に、上記発光デバイスにおいて、基体(2)の上面(21)には、LED(1)に電気的に接続されるべき第1配線部(91)と第2配線部(92)が互いに離間して形成されていてもよい。具体的には、第1配線部(91)の表面上に、金属層(90)が第1配線部(91)と一体に形成されている。金属層(90)の表面には金メッキ層(6)が形成されており、該金メッキ層(6)の表面にLED(1)が設置されている。これにより、LED(1)と第1配線部(91)とが金属層(90)を介して電気的に接続されている。一方、第2配線部(92)とLED(1)とは、金属ワイヤ(93)により電気的に接続されている。
【0067】
金属層(90)は、第1配線部(91)の表面の内、LED(1)によって覆われた領域R3の外周縁よりも内側の領域R4に形成されている。そして、第1配線部(91)の表面の内、金属層(90)の形成領域R4とは異なる領域がセラミック層(52)により被覆されている。ここで、第1配線部(91)の表面上では、セラミック層(52)の厚さ寸法が、金属層(90)の厚さ寸法と同じか、又はそれより小さく設定されている。これにより、LED(1)は、金属層(90)上の金メッキ層(6)に確実に接触することになり、従って、LED(1)と金属層(90)との電気的な接続がセラミック層(52)によって阻害されることがない。
【0068】
上記金属層(90)及びセラミック層(52)は以下のように形成される。
セラミック体形成工程において、先ず、基体(2)の上面(21)に、第1配線部(91)となる配線形成部を形成する。次に、該配線形成部の表面の内、金属層(90)を形成すべき領域を残して、他の領域にセラミック塗料を塗布し、或いは、該他の領域をセラミックシートによって被覆することにより、セラミック層(52)となる形成層を形成する。その後、該形成層を上方からプレスして配線形成部を変形させることにより、形成層の表面と配線形成部の露出面とを同一平面上に揃える。このとき、配線形成部の表面の内、形成層が重なった領域が下方に押し下げられて、配線形成部の表面に凸部が形成されることになる。
【0069】
次に、焼成工程にて、セラミック体形成工程で作製したセラミック体(71)を焼成する。これにより、配線形成部が焼結して第1配線部(91)が形成され、該配線形成部の表面に形成されていた凸部が金属層(90)となる。又、上記形成層が焼結してセラミック層(52)が形成されることになる。
【0070】
第3変形例に係る発光デバイスにおいては、金属層(90)の表面全体がLED(1)によって被覆されることになる。このため、金属層(90)の表面には樹脂材(32)が接触することがない。よって、金属層(90)の表面には、樹脂材(32)に含まれている蛍光体との化学反応(酸化等)が生じることがなく、従って金属層(90)は劣化し難い。
【0071】
又、第1配線部(91)の表面の内、金属層(90)の形成領域R4とは異なる領域がセラミック層(52)により被覆されている。このため、第1配線部(91)の表面には樹脂材(32)が接触することがない。よって、第1配線部(91)の表面には、樹脂材(32)に含まれている蛍光体との化学反応(酸化等)が生じることがなく、従って第1配線部(91)の劣化が防止されることになる。
【0072】
第3変形例に係る発光デバイスにおいても、図1(b)に示す発光デバイスと同様、セラミック層(52)の表面にガラス層を形成し、該ガラス層を構成するガラスの結晶化度を3%より大きくすることが好ましい。
【0073】
図12は、上記発光デバイスの第4変形例を示す断面図である。図12に示す様に、上記発光デバイスにおいて、セラミック層(5)は、その表面を基体(2)の上面(21)に露出させた状態で基体(2)の上部に埋設され、これにより、熱伝導部(4)の露出面(42)の内、金属層(8)の形成領域R2とは異なる領域がセラミック層(5)により被覆されてもよい。
尚、第4変形例に係る発光デバイスは、金属層(8)のない構成を有していてもよい。この構成においては、熱伝導部(4)の熱伝導材(41)の内、基体(2)の上面(21)に露出することとなる露出部が、金属層(8)として機能することになる。或いは、該露出部の表面に形成される金メッキ層(6)が金属層(8)として機能することになる。
【0074】
次に、第4変形例に係る発光デバイスの製造方法につき、図面に沿って具体的に説明する。ここで、該製造方法は、セラミック体形成工程、焼成工程、メッキ工程、素子搭載工程、及び樹脂充填工程を有しており、これらの工程がこの順に実行される。
【0075】
図13は、セラミック体形成工程について、その第1工程の説明に用いられる断面図である。図13に示す様に、セラミック体形成工程の第1工程では、先ず、低温同時焼成セラミック(LTCC)から作製された第1セラミックシート(24)を用意する。ここで、第1セラミックシート(24)には、その表面から背面へ貫通する貫通孔(241)が所定領域に形成され、該貫通孔(241)には熱伝導材(41)が充填されている。
【0076】
第1工程では更に、第1セラミックシート(24)の上面(242)に露出した熱伝導材(41)の露出面(412)の内、金属層(8)の形成領域R2とは異なる領域に、セラミック層(5)となる形成層(53)を形成する。ここで、該形成層(53)は、第1セラミックシート(24)の上面(242)に、別のセラミックシートを積層することにより形成されてもよいし、金属層(8)の形成領域R2とは異なる領域にセラミック塗料を塗布することにより形成されてもよい。
【0077】
図14は、セラミック体形成工程について、その第2工程の説明に用いられる断面図である。図14に示す様に、セラミック体形成工程の第2工程では、第1工程で形成された形成層(53)を上方からプレスすることにより、形成層(53)を、その表面を第1セラミックシート(24)の上面(242)に露出させた状態で該第1セラミックシート(24)に埋設する。これにより、熱伝導材(41)の露出面(412)の内、形成層(53)が重なった領域が下方に押し下げられて、熱伝導材(41)の露出面(412)が凸状に変形することになる。
【0078】
図15は、セラミック体形成工程について、その第3工程の説明に用いられる断面図である。図15に示す様に、セラミック体形成工程の第3工程では、第1セラミックシート(24)の下面(243)に、複数の第2セラミックシート(25)を積層して積層体(70)を形成する。ここで、各第2セラミックシート(25)には、その表面から背面へ貫通する貫通孔(251)が所定領域に形成され、該貫通孔(251)には熱伝導材(41)が充填されている。
【0079】
又、第3工程では、第1セラミックシート(24)の上面(242)に、低温同時焼成セラミック(LTCC)から作製されて焼成後に枠体(3)となる枠形成体(31)を設置する。このとき、枠形成体(31)は、その内側の空間(311)に熱伝導材(41)の露出面(412)を露出させて、第1セラミックシート(24)の上面(242)に設置される。ここで、枠形成体(31)は、低温同時焼成セラミック粉を所定形状に押し固めて形成されてもよいし、積層体(70)と同様に複数のセラミックシートを積層して形成されてもよい。
【0080】
第3工程では更に、第1セラミックシート(24)の上面(242)に露出した熱伝導材(41)の露出面(412)の内、金属層(8)の形成領域R2に、金属層(8)となる第1形成層(82)を形成する。斯くして、積層体(70)と、2つの形成層(53)(82)と、枠形成体(31)とから構成されたセラミック体(71)が形成されることになる。
【0081】
次に焼成工程において、セラミック体形成工程で作製したセラミック体(71)を840℃以上950℃未満の温度で焼成する。
【0082】
図16は、焼成工程の実行により作製されるパッケージを示す断面図である。焼成工程の実行により、図16に示す様に、積層体(70)と枠形成体(31)がそれぞれ焼結して基体(2)と枠体(3)が形成されると共に、基体(2)と枠体(3)とが互いに接合して一体化される。これにより、枠体(3)の内周面(31)と基体(2)の上面(21)とから、LED(1)を収容するためのキャビティ(30)が形成される。
【0083】
積層体(70)の焼結によって、第1セラミックシート(24)と複数の第2セラミックシート(25)に形成されている貫通孔(241)(251)どうしが互いに連結し、基体(2)をその上面(21)から下面(22)へ貫通するビア(40)が形成される。又、積層体(70)の焼結に伴って、貫通孔(241)(251)に充填されている熱伝導材(41)も焼結し、熱伝導材(41)どうしが互いに結合して一体化される。又、焼成工程の実行により、形成層(53)が焼結してセラミック層(5)が形成される。これにより、基体(2)の上面(21)には、金属層(8)の形成領域R2に熱伝導材(41)が露出し、他の領域にセラミック層(5)が露出することになる。
【0084】
焼成工程に実行により更に、形成層(82)が焼結して金属層(8)が形成される。斯くして、LED(1)を搭載するためのパッケージ(10)が形成されることになる。尚、金属層(8)は、この焼成工程の実行後に、別の工程で形成されてもよい。
【0085】
焼成工程の実行後、メッキ工程において、金属層(8)に対して金メッキを施すことにより、該金属層(8)の表面に金メッキ層(6)を形成する。このとき、金属層(8)の表面だけでなく、金属層(8)の側面にも金メッキ層(6)が形成される。次に、素子搭載工程において、金メッキ層(6)の表面にLED(1)を設置する。その後、樹脂充填工程において、パッケージ(10)のキャビティ(30)の内部に、蛍光体を含む樹脂材(32)を充填する。これにより、図12に示す様に、第4変形例に係る発光デバイスが完成する。
【0086】
第4変形例に係る発光デバイスにおいても、図1(b)に示す発光デバイスと同様、金属層(8)の表面には、樹脂材(32)に含まれている蛍光体との化学反応(酸化等)が生じることがなく、従って金属層(8)は劣化し難い。又、第4変形例に係る発光デバイスは、図1(b)に示す発光デバイスと同様、高い放熱性と高い信頼性とを有している。
【0087】
第4変形例に係る発光デバイスにおいても、図1(b)に示す発光デバイスと同様、セラミック層(5)の表面にガラス層を形成し、該ガラス層を構成するガラスの結晶化度を3%より大きくすることが好ましい。
【0088】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記発光デバイスに採用したセラミック材、熱伝導材(41)、金属層(8)等には、上記実施形態で説明した材料に限らず、種々の材料を用いることが出来る。
【0089】
上記実施形態においては、セラミック層(5)に含有されているガラスの一部を析出させることにより、セラミック層(5)の表面にガラス層が形成されていたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、上記焼成工程を実行してパッケージ(10)を形成した後、別工程にてセラミック層(5)の表面にガラス塗料やガラス粉末を塗布して400℃〜600℃で焼成することにより、ガラス層を形成してもよい。
【0090】
上記発光デバイスに採用した各種構成は、LED以外の発光素子を具えた発光デバイスにも適用することが可能である。又、上記発光デバイスに採用した各種構成は、発光素子を具えた発光デバイスに限らず、集積回路等、種々の電子素子を具えた電子デバイスにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
(1) LED(電子素子)
(10) パッケージ
(2) 基体
(21) 上面(表面)
(22) 下面(背面)
(3) 枠体
(30) キャビティ
(32) 樹脂材
(4) 熱伝導部
(40) ビア
(41) 熱伝導材
(42) 露出面
(5) セラミック層
(52) セラミック層
(6) 金メッキ層
(8) 金属層
(90) 金属層
(91) 第1配線部
R1,R3 LED(電子素子)によって覆われた領域
R2,R4 金属層の形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック製の基体と電子素子とを具え、前記基体の表面には金属層が形成され、該金属層の表面上に前記電子素子が設置されることにより、該電子素子と金属層とが熱的又は電気的に接続されている電子デバイスにおいて、
前記金属層は、前記基体の表面の内、前記電子素子によって覆われた領域の外周縁よりも内側の領域に形成されていることを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記電子素子から発生した熱を前記基体の背面へ導く熱伝導部を更に具え、該熱伝導部は、前記基体に開設されて該基体の表面から背面へ貫通するビアと、該ビアに充填された熱伝導材とから構成され、該熱伝導材が前記基体の表面に露出して前記熱伝導部の露出面が形成されており、該露出面上に前記金属層が形成されることにより該金属層を介して前記電子素子と熱伝導部とが熱的に接続されている請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記熱伝導部の露出面が前記金属層の形成領域の外側まで拡がることにより、該金属層の形成領域が、熱伝導部の露出面の周縁領域によって包囲されており、前記熱伝導部の露出面の内、前記金属層の形成領域とは異なる領域がセラミック層により被覆されている請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記基体の表面に形成されて、前記電子素子に電気的に接続されるべき配線部を更に具え、該配線部の表面上に前記金属層が形成されることにより該金属層を介して前記電子素子と配線部とが電気的に接続されている請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記配線部の表面の内、前記金属層の形成領域とは異なる領域がセラミック層により被覆されている請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記電子素子は発光素子であって、前記セラミック層にはガラスが含有され、該ガラスの一部がセラミック層の表面に析出している請求項3又は請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記セラミック層の表面に析出したガラスの結晶化度は3%より大きい請求項6に記載の電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−93341(P2013−93341A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41291(P2010−41291)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(397016714)三洋電波工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】