説明

電子パネル

【課題】狭ピッチ化に対応することができる電子パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】電子パネルは、複数の金属配線18を覆って金属配線18の一部を露出させる貫通穴22を有する絶縁膜20と、絶縁層上に形成されて貫通穴22を介して金属配線18と電気的に導通する酸化物半導体膜24と、酸化物半導体膜24に電気的に接続される電極16を有する電気部品14と、を有し、酸化物半導体膜24は、複数の金属配線18の配列方向に対して交差する方向に延び、長さ方向に直交する幅が異なる第1部分26及び第2部分28を有し、第1部分26の幅は第2部分28の幅よりも広くなっており、第1部分26の少なくとも幅の両端を除いた部分が、貫通穴22から露出する金属配線18の一部と対向して電気的に接続し、第2部分28の少なくとも一部が、電気部品14の電極16と対向して電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル又はタッチパネルなどの電子パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル又はタッチパネルなどの電子パネルでは、光を透過する領域にはITO(Indium Tin Oxide)膜からなる透明電極が使用される一方で、薄膜トランジスタのドレイン電極、ソース電極及びゲート電極は金属からなり、これらに金属配線が接続されている。金属配線は、外部との接続のための端子を有しており、端子は、腐食を防止するためにITO膜で覆われている。詳しくは、金属配線の端子を覆う絶縁膜に貫通穴が形成され、貫通穴を塞ぐようにITO膜が形成されている(特許文献1)。そして、ITO膜を介して、金属配線の端子は、他の電気部品のバンプなどの接続部との電気的接続が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−236123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ITO膜と金属配線の電気的接続のためには、絶縁膜の貫通穴の大きさを確保しなければならず、貫通穴を大きくすると、金属配線を大きくするとともにこれを覆うITO膜も大きくする必要がある。また、1つの端子上に配置されるバンプなどの接続部と、その隣の端子上に形成されたITO膜との間隔は、ショートを防止するためには、ある程度の長さを確保しなければならない。したがって、従来の構造では、接続部の狭ピッチ化に対応することが難しかった。
【0005】
本発明は、狭ピッチ化に対応することができる電子パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る電子パネルは、基板と、前記基板上に並列する複数の金属配線と、前記複数の金属配線を覆ってそれぞれの前記金属配線の一部を露出させる貫通穴を有する絶縁膜と、前記絶縁層上に形成されて前記貫通穴を介してそれぞれの前記金属配線と電気的に導通する酸化物半導体膜と、前記酸化物半導体膜に電気的に接続される電極を有する電気部品と、を有し、前記酸化物半導体膜は、前記複数の金属配線の配列方向に対して交差する方向に延び、長さ方向に直交する幅が異なる第1部分及び第2部分を有し、前記第1部分の前記幅は前記第2部分の前記幅よりも広くなっており、前記第1部分の少なくとも前記幅の両端を除いた部分が、前記貫通穴から露出する前記金属配線の前記一部と対向して電気的に接続し、前記第2部分の少なくとも一部が、前記電気部品の前記電極と対向して電気的に接続することを特徴とする。本発明によれば、酸化物半導体膜は、貫通穴を介して金属配線との電気的な接続がなされる第1部分よりも、電気部品の電極と電気的に接続される第2部分の幅が狭いため、狭ピッチで配列された複数の電極に対応することができる。
【0007】
(2)(1)に記載された電子パネルにおいて、前記電極は、前記第2部分の前記幅と平行な方向の幅を有し、前記電極の前記幅よりも、前記第2部分の前記電極と対向する部分の前記幅が狭いことを特徴としてもよい。
【0008】
(3)(2)に記載された電子パネルにおいて、前記第2部分の前記電極と対向する前記部分は、前記幅の両端にわたる領域であることを特徴としてもよい。
【0009】
(4)(3)に記載された電子パネルにおいて、前記第2部分の前記電極と対向する前記部分は、電気的に接続される前記金属配線と重なり、それぞれの前記金属配線の幅は、前記第2部分の前記電極と対向する前記部分と重なる位置において、前記第2部分の前記幅よりも広いことを特徴としてもよい。
【0010】
(5)(4)に記載された電子パネルにおいて、それぞれの前記金属配線の前記幅は、前記第2部分の前記電極と対向する前記部分と重なる位置において、前記電極の前記幅よりも広いことを特徴としてもよい。
【0011】
(6)(4)に記載された電子パネルにおいて、それぞれの前記金属配線の前記幅は、前記第2部分の前記電極と対向する前記部分と重なる位置において、前記電極の前記幅よりも狭いことを特徴としてもよい。
【0012】
(7)(6)に記載された電子パネルにおいて、前記複数の金属配線は、それぞれ、重なって配置される前記第2部分との相対的位置が同じであることを特徴としてもよい。
【0013】
(8)(7)に記載された電子パネルにおいて、前記電気部品は、同じ平面形状の複数の前記電極を有し、前記第2部分との相対的位置がそれぞれ同じになるように配置された前記複数の金属配線は、同じ平面形状を有することを特徴としてもよい。
【0014】
(9)(1)から(8)のいずれか1項に記載された電子パネルにおいて、隣同士の前記金属配線の一部を露出させる前記貫通穴が、前記複数の金属配線の配列方向に隣り合わないように、前記複数の金属配線の長さ方向にずれた位置に配置されていることを特徴としてもよい。
【0015】
(10)(1)から(9)のいずれか1項に記載された電子パネルにおいて、前記電極は、バンプであることを特徴としてもよい。
【0016】
(11)(1)から(10)のいずれか1項に記載された電子パネルにおいて、前記電気部品と前記基板との間に介在する異方性導電材料をさらに有し、前記異方性導電材料の導電粒子が、前記酸化物半導体膜の前記第2部分と前記電極との間に介在することを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る電子パネルの平面図である。
【図2】図1に示す電子パネルのII−II線断面の拡大図である。
【図3】金属配線及びその上の構造を示す平面図である。
【図4】図3に示す構造のIV−IV線断面図である。
【図5】図3に示す構造のV−V線断面図である。
【図6】実施形態の変形例1を説明する図である。
【図7】実施形態の変形例2を説明する図である。
【図8】実施形態の変形例3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電子パネルの平面図である。図2は、図1に示す電子パネルのII−II線断面の拡大図である。
【0019】
図1に示す電子パネルは、液晶表示パネルである。液晶表示パネルは、一対の基板10,12(いずれもガラス基板)を有し、両者間には図示しない液晶が介在する。一方の基板10は、薄膜トランジスタ、画素電極及び配線などを含むTFT(Thin Film Transistor)基板(又はアレイ基板)であり、他方の基板12はカラーフィルタ基板である。液晶表示パネルの駆動方式は、IPS(In Plane Switching)方式、TN(Twisted Nematic)方式又はVA(Vertical Alignment)方式などいずれの方式であってもよく、方式に応じた電極及び配線が形成される。
【0020】
電子パネルは、液晶表示パネルに限定されるものではなく、有機エレクトロルミネッセンスパネルなど他の表示パネルであってもよいし、タッチパネルであってもよい。いずれの具体例であっても、電子パネルは、基板10を有する。電子パネル(詳しくは基板10)には、電気部品14が搭載されている。図1に示す電気部品14は、集積回路チップであるが、フレキシブル配線基板であってもよい。電気部品14は電極16を有する。図2に示す電極16は、バンプであるが、突起を有しないパッドであってもよい。
【0021】
電子パネルは、複数の金属配線18を有する。図1に示す例では、複数の金属配線18は、図示しない薄膜トランジスタのゲート電極に接続されるゲート配線を含む。複数の金属配線18は、基板10上に並列している。隣同士の金属配線18は、平行に延びていなくてもよいが、並んで配列されている。
【0022】
図3は、金属配線18及びその上の構造を示す平面図である。図4は、図3に示す構造のIV−IV線断面図である。図5は、図3に示す構造のV−V線断面図である。
【0023】
複数の金属配線18は、SiOやSiNなどの無機物又は樹脂などの有機物からなる絶縁膜20によって覆われている。絶縁膜20は複数の貫通穴22を有している。貫通穴22は、金属配線18の一部を露出させている。
【0024】
絶縁膜20の上には、複数の酸化物半導体膜24が形成されている。酸化物半導体膜24は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO(Indium Tin Oxide))又は酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide)などからなり、これらは透明電極材料として知られている。酸化物半導体膜24は、貫通穴22を介して金属配線18と電気的に導通する。なお、貫通穴22は、酸化物半導体膜24によって完全に覆われている。
【0025】
酸化物半導体膜24は、複数の金属配線18の配列方向(図3で左右方向)に対して交差する方向(図3で上下方向)に延びている。酸化物半導体膜24は、長さ方向に直交する幅が異なる第1部分26及び第2部分28を有している。第1部分26の幅Wは、第2部分28の幅Wよりも広くなっている。第1部分26の少なくとも幅の両端を除いた部分が、貫通穴22から露出する金属配線18の一部と対向して電気的に接続している。貫通穴22を介して第1部分26と金属配線18は接触している。
【0026】
電子パネルの電極16(例えばバンプ)は、第2部分28の幅Wと平行な方向の幅Wを有している。電極16は、酸化物半導体膜24に電気的に接続される。第2部分28の少なくとも一部が、電気部品14の電極16と対向して電気的に接続する。電気部品14と基板10との間に異方性導電材料30が介在している。異方性導電材料30の導電粒子32が、酸化物半導体膜24の第2部分28と電極16との間に介在する。導電粒子32は、第2部分28及び電極16に接触する。
【0027】
第2部分28の幅Wの両端にわたる領域全体が、第2部分28における電極16と対向する部分である。電極16の幅Wよりも、第2部分28における電極16と対向する部分の幅Wが狭い。第2部分28における電極16と対向する部分は、その第2部分28に電気的に接続される金属配線18と重なっている。金属配線18の幅Wは、第2部分28における電極16と対向する部分と重なる位置において、第2部分28の幅Wよりも広い。金属配線18の幅Wは、第2部分28における電極16と対向する部分と重なる位置において、電極16の幅Wよりも広い。金属配線18の幅Wを広くすることで、絶縁膜20の電極16に対向する領域を平坦化することができる。
【0028】
本実施形態によれば、酸化物半導体膜24は、貫通穴22を介して金属配線18との電気的な接続がなされる第1部分26の幅Wよりも、電気部品14の電極16と電気的に接続される第2部分28の幅Wが狭いため、狭ピッチで配列された複数の電極16に対応することができる。
【0029】
なお、以上の内容は、電気部品14からの出力側(画像表示領域への出力側)に本発明を適用した例であるが、電気部品14への入力側(外部からの入力側)に本発明を適用してもよい。
【0030】
図6は、実施形態の変形例1を説明する図である。上述した図2に示す例では、貫通穴22は、電気部品14と対向する領域(投影領域)の外側に位置している。これに対して、図6に示す例では、貫通穴122は、電気部品14と対向する領域(投影領域)の内側に位置している。さらに、貫通穴122は、電極16よりも電気部品14の中央側に形成されている。
【0031】
図7は、実施形態の変形例2を説明する図である。この例では、複数の貫通穴222が千鳥状に配置されている。詳しくは、隣同士の金属配線218の一部を露出させる貫通穴222が、複数の金属配線218の配列方向(図7では左右方向)に隣り合わないように、複数の金属配線218の長さ方向(図7では上下方向)にずれた位置に配置されている。これに対応して、隣同士の酸化物半導体膜224の第1部分226が、複数の金属配線218の配列方向(図7では左右方向)に隣り合わないように、複数の金属配線218の長さ方向(図7では上下方向)にずれた位置に配置される。そのため、隣同士の酸化物半導体膜224の間隔を狭くしても、隣同士の第1部分226のショートを防止することができる。
【0032】
図8は、実施形態の変形例3を説明する図である。図8において、酸化物半導体膜324は、第2部分328の電極16と対向する部分が示されている。この位置において、金属配線318の幅WM3は、電極16の幅WE3よりも狭い。金属配線318の幅WM3を狭くすることで、隣同士の金属配線318のピッチを狭くすることができる。
【0033】
複数の金属配線318は、それぞれ、重なって配置される第2部分328との相対的位置が同じである。例えば、第2部分328は、金属配線318の中央部の上方を通るようになっている。また、第2部分328との相対的位置がそれぞれ同じになるように配置された複数の金属配線318は、同じ平面形状を有する。
【0034】
こうすることで、絶縁膜320の表面に金属配線318に対応して形成される凸部と第2部分328の外形とによって構成される凸形状が、それぞれの金属配線318に対して均一化される。これにより、複数の電極16が圧着される対象表面の形状が、それぞれの電極16について均一化される。つまり、複数の第2部分328にそれぞれ電気的に接続された複数の電極16に加えられた圧力が均一化される。なお、電気部品14の複数の電極16は、同じ平面形状を有していることを前提とする。
【0035】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 基板、12 基板、14 電気部品、16 電極、18 金属配線、20 絶縁膜、22 貫通穴、24 酸化物半導体膜、26 第1部分、28 第2部分、30 異方性導電材料、32 導電粒子、122 貫通穴、218 金属配線、222 貫通穴、224 酸化物半導体膜、226 第1部分、318 金属配線、320 絶縁膜、324 酸化物半導体膜、328 第2部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に並列する複数の金属配線と、
前記複数の金属配線を覆ってそれぞれの前記金属配線の一部を露出させる貫通穴を有する絶縁膜と、
前記絶縁層上に形成されて前記貫通穴を介してそれぞれの前記金属配線と電気的に導通する酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜に電気的に接続される電極を有する電気部品と、
を有し、
前記酸化物半導体膜は、前記複数の金属配線の配列方向に対して交差する方向に延び、長さ方向に直交する幅が異なる第1部分及び第2部分を有し、前記第1部分の前記幅は前記第2部分の前記幅よりも広くなっており、
前記第1部分の少なくとも前記幅の両端を除いた部分が、前記貫通穴から露出する前記金属配線の前記一部と対向して電気的に接続し、
前記第2部分の少なくとも一部が、前記電気部品の前記電極と対向して電気的に接続することを特徴とする電子パネル。
【請求項2】
請求項1に記載された電子パネルにおいて、
前記電極は、前記第2部分の前記幅と平行な方向の幅を有し、
前記電極の前記幅よりも、前記第2部分の前記電極と対向する部分の前記幅が狭いことを特徴とする電子パネル。
【請求項3】
請求項2に記載された電子パネルにおいて、
前記第2部分の前記電極と対向する前記部分は、前記幅の両端にわたる領域であることを特徴とする電子パネル。
【請求項4】
請求項3に記載された電子パネルにおいて、
前記第2部分の前記電極と対向する前記部分は、電気的に接続される前記金属配線と重なり、
それぞれの前記金属配線の幅は、前記第2部分の前記電極と対向する前記部分と重なる位置において、前記第2部分の前記幅よりも広いことを特徴とする電子パネル。
【請求項5】
請求項4に記載された電子パネルにおいて、
それぞれの前記金属配線の前記幅は、前記第2部分の前記電極と対向する前記部分と重なる位置において、前記電極の前記幅よりも広いことを特徴とする電子パネル。
【請求項6】
請求項4に記載された電子パネルにおいて、
それぞれの前記金属配線の前記幅は、前記第2部分の前記電極と対向する前記部分と重なる位置において、前記電極の前記幅よりも狭いことを特徴とする電子パネル。
【請求項7】
請求項6に記載された電子パネルにおいて、
前記複数の金属配線は、それぞれ、重なって配置される前記第2部分との相対的位置が同じであることを特徴とする電子パネル。
【請求項8】
請求項7に記載された電子パネルにおいて、
前記電気部品は、同じ平面形状の複数の前記電極を有し、
前記第2部分との相対的位置がそれぞれ同じになるように配置された前記複数の金属配線は、同じ平面形状を有することを特徴とする電子パネル。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された電子パネルにおいて、
隣同士の前記金属配線の一部を露出させる前記貫通穴が、前記複数の金属配線の配列方向に隣り合わないように、前記複数の金属配線の長さ方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする電子パネル。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載された電子パネルにおいて、
前記電極は、バンプであることを特徴とする電子パネル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載された電子パネルにおいて、
前記電気部品と前記基板との間に介在する異方性導電材料をさらに有し、
前記異方性導電材料の導電粒子が、前記酸化物半導体膜の前記第2部分と前記電極との間に介在することを特徴とする電子パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−215628(P2012−215628A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79271(P2011−79271)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】