説明

電子回路モジュール

【課題】電子回路モジュールのX線解析を防止することにより耐タンパ性を具備する電子回路モジュールを提供する。
【解決手段】プリント基板アセンブリからなる電子回路部を第2筐体51に収容し、第2筐体に収容された電子回路部を第1筐体1で覆い、第2筐体内部に絶縁性の高い第1封止剤55を注入し、第1筐体と第2筐体の間に、耐タンパ性を考慮した、X線透過が容易でない金属フィラー入りの第2封止剤56を注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的特性の違う2種類の封止材料を使用することにより、電子回路を封止する材料として、電気的特性や熱伝導性に優れた材料を使用し、外装筐を封止する材料として、金属粉を混入した材料を使用することにより、耐タンパに優れた電子回路モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子回路モジュールは、エポキシなどの樹脂に珪砂を混合した封止剤を用いることにより、プリント基板アッセンブリを隠蔽し、第三者による回路の解析や製品の模倣を防止するもととして実用に共されている。
【0003】
しかし、X線検査装置の普及とともにX線が容易に透過する非金属の充填剤では、内部回路を容易に解析可能にするという問題があった。このため、金属の筐体でプリント基板アッセンブリ全体を覆い、ブラックボックス化する必要があった。
【0004】
この改善策として、特定用途IC、フィールドプログラマブルロジックアレイ、シリコンオンシステムなど1つのIC内部により多くの電子回路を搭載することにより処理を外部に露出しない方法が取られるが、アナログ回路や小規模回路など全ての回路を妥当なコストで実現できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−70936号公報
【特許文献2】特開2004−140031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、電子回路モジュールにX線による回路解析をより難しくするために金属材料を混合した封止材料使用することである。金属材料を混合した封止材料は、X線の透過を容易にさせないと共に固化後の封止材料をより堅牢にすることにより耐タンパの機能を提供することが可能である。
【0007】
特開2009−70936号公報は、金属材料を用いた電子回路モジュールであるが、これは、プリント基板に搭載される電波処理モジュールを想定したものであり、金属材料は用いられているものの耐タンパは考慮されていない。
【0008】
特開2004−140031号公報は、金属材料を用いた電子回路モジュールであるが、これは、プリント基板アッセンブリの放熱に着眼したものであり、耐タンパは考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する為に、請求項1の電子回路モジュールは、プリント基板アッセンブリから成る電子回路部を前記電子回路部の電気端子を外部に突出できる穴を設けた第1筐体に収容し、前記第1筐体に収容された前記電子回路部を第2筐体で覆い、前記第1筐体と第2筐体の内側から構成される空間内部に前記電子回路部が収容される。前記電子回路部の収容された空間には、前記第2筐体に具備する1つもしくは複数の封止剤注入穴より、電気的特性を考慮した、絶縁性の高い第1封止剤を注入し、前記封止剤注入穴を1つもしくは複数の栓により閉塞する。前記第1筐体と前記第2筐体の外側の空間には、耐タンパを考慮した、X線透過が容易でない金属フィラー入りの第2充填剤を注入し、前記第1筐体に蓋をする。
【0010】
この構成によれば、請求項1の電子回路モジュールは、従来、電気的特性が問題となり、短絡の恐れがある金属フィラー入りの充填剤を電子回路基板の外周に充填することが可能となる。
【0011】
なお、ここで、「第1充填剤」とは、充填剤として電気的特性が問題のない材料であって、充填剤が固化の後、電気抵抗が10の10乗オーム・メートルより大きい絶縁体になるものである。「第2の充填剤」とは、金属フィラーの量が25〜95重量%の充填剤である。「第1充填剤」と「第2の充填剤」のバインダーには、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低融点ガラスなどが用いられる。
金属フィラーには、鉄粉、マグネシウム粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、金属メッキ粉などが用いられる。
【0012】
このように、請求項1の電子回路モジュールでは、従来不可能であった、金属フィラー入りの充填剤による該電子回路モジュールの封止を可能とするとともに容易にX線解析を防止することにより耐タンパ性を具備する該電子回路モジュールを提供することができる。
【0013】
請求項2の電子回路モジュールは、複数のプリント基板アッセンブリを可撓性基板で接続して集積した電子回路部を前記電子回路部の電気端子を外部に突出できる穴を設けた第1筐体に収容し、前記第1筐体に収容された前記電子回路部を第2筐体で覆い、前記第1筐体と第2筐体の内側から構成される空間内部に前記電子回路部が収容される。前記電子回路部の収容された空間には、前記第2筐体に具備する1つもしくは複数の封止剤注入穴より、電気的特性を考慮した、絶縁性の高い第1封止剤を注入し、前記封止剤注入穴を1つもしくは複数の栓により閉塞する。前記第1筐体と前記第2筐体の外側の空間には、耐タンパを考慮した、X線透過が容易でない金属フィラー入りの第2充填剤を注入し、前記第1筐体に蓋をする。
【0014】
この構成によれば、請求項2の電子回路モジュールは、従来、電気的特性が問題となり、短絡の恐れがある金属フィラー入りの充填剤を電子回路基板の外周に充填することが可能であると共に電子回路部を高集積化可能となる。
【0015】
なお、ここで、「複数のプリント基板アッセンブリを可撓性基板で接続して集積した電子回路部」とは、ガラスエポキシや紙フェノールなどのリジット基板とフレキシブルプリント基板を一体で製造するリジットフレキシブル基板、該リジット基板を該フレキシブルプリント基板で接続した基板構成、該リジット基板をコネクタなどで相互に接続した基板構成のものを基板とする複数のプリント基板から成るアッセンブリである。「第1充填剤」とは、充填剤として電気的特性が問題のない材料であって、充填剤が固化の後、電気抵抗が10の10乗オーム・メートルより大きい絶縁体になるものである。「第2の充填剤」とは、金属フィラーの量が25〜95重量%の充填剤である。「第1充填剤」と「第2の充填剤」のバインダーには、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低融点ガラスなどが用いられる。金属フィラーには、鉄粉、マグネシウム粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、金属メッキ粉などが用いられる。
【0016】
この構成によれば、請求項2の電子回路モジュールは、従来、電気的特性が問題となり、短絡の恐れがある金属フィラー入りの充填剤を電子回路基板の外周に充填することが可能となると共に該電子回路モジュールを第三者が解析のために分解しても集積された複数プリント基板アッセンブリの各層間に第1の充填剤が固化しそれぞれの該プリント基板を容易に分離出来ないことにより、耐タンパ性を具備する該電子回路モジュールを提供することができる。
【0017】
このように、請求項2の電子回路モジュールでは、従来不可能であった、金属フィラー入りの充填剤による該電子回路モジュールの封止を可能とするとともに容易にX線解析を防止すると共に該電子回路モジュールを第三者が解析のために分解しても集積された複数プリント基板アッセンブリの各層間に第1の充填剤が固化しそれぞれの該プリント基板を容易に分離出来ないことにより、耐タンパ性を具備する該電子回路モジュールを提供することができる。
【0018】
請求項3の電子回路モジュールは、プリント基板アッセンブリから成る電子回路部を前記電子回路部の電気端子を外部に突出できる穴を設けた第1筐体に収容し、前記第1筐体に収容された前記電子回路部を第2筐体で覆い、前記第1筐体と第2筐体の内側から構成される空間内部に前記電子回路部が収容される。前記電子回路部の収容された空間には、前記第2筐体に具備する1つもしくは複数の封止剤注入穴より、電気的特性を考慮した、絶縁性の高い第1封止剤を注入し、前記封止剤注入穴を1つもしくは複数の栓により閉塞する。
前記第1筐体と前記第2筐体の外側の空間には、耐タンパを考慮した、X線透過が容易でない金属フィラー入りの第2充填剤を注入し、前記第1筐体に蓋をする。前記電子回路部の信号を外部に導く可撓性基板によるコネクタは、前記第1筐体と前記第2筐体に設けられた貫通穴を通過して前記電子回路モジュールの外部へ導出される。
【0019】
この構成によれば、請求項3の電子回路モジュールは、従来、電気的特性が問題となり、短絡の恐れがある金属フィラー入りの充填剤を電子回路基板の外周に充填することが可能であると共に該電子回路モジュールにプリント基板接続用の電気端子と外部ユニットに接続用の該可撓性基板によるコネクタの2つのインターフェースを提供することが可能となる。
【0020】
なお、ここで、「可撓性基板によるコネクタ」とは、ガラスエポキシや紙フェノールなどのリジット基板とフレキシブルプリント基板を一体で製造するリジットフレキシブル基板の該フレキシブル基板の部位、該リジット基板を該フレキシブルプリント基板で接続した基板構成の該フレキシブル基板の部位である。「第1充填剤」とは、充填剤として電気的特性が問題のない材料であって、充填剤が固化の後、電気抵抗が10の10乗オーム・メートルより大きい絶縁体になるものである。「第2の充填剤」とは、金属フィラーの量が25〜95重量%の充填剤である。「第1充填剤」と「第2の充填剤」のバインダーには、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低融点ガラスなどが用いられる。金属フィラーには、鉄粉、マグネシウム粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、金属メッキ粉などが用いられる。
【0021】
このように、請求項3の電子回路モジュールは、従来、電気特性が問題となり、短絡の恐れがある金属フィラー入りの充填剤を電子回路基板の外周に充填することが可能となると共に2つのインターフェースを具備することから、一方のインターフェースより該電子回路モジュールに入力された暗号化された入力情報を該電子回路モジュールで耐タンパが担保されていることにより、処理のために復号化を行い、再び該入力情報を暗号化してもう一方のインターフェースより出力可能な耐タンパ性を具備する該電子回路モジュールを提供することができる。
【0022】
請求項4の電子回路モジュールは、プリント基板アッセンブリから成る電子回路部を前記電子回路部の電気端子を外部に突出できる穴を設けた第1筐体に収容し、前記第1筐体に収容された前記電子回路部を第2筐体で覆い、前記第1筐体と第2筐体の内側から構成される空間内部に前記電子回路部が収容される。前記電子回路部の収容された空間には、前記第2筐体に具備する1つもしくは複数の封止剤注入穴より、電気的特性を考慮した、絶縁性の高い第1封止剤を注入し、前記封止剤注入穴を1つもしくは複数の栓により閉塞する。
前記第1筐体と前記第2筐体の外側の空間には、耐タンパを考慮した、X線透過が容易でない金属フィラー入りの第2充填剤を注入し前記第1筐体に蓋をする。また、前記第2筐体の底面に具備する貫通穴により、前記第2封止剤が前記第1筐体と第1筐体の外周底面に接続される外部基板と共に固化する。
【0023】
この構成によれば、請求項4の電子回路モジュールは、従来、電気特性が問題となり、短絡の恐れがある金属フィラー入りの充填剤を電子回路基板の外周に充填することが可能となると共に前記電子回路モジュールを装着する外部基板より容易に取り外すことを難しくすることが可能となる。
【0024】
なお、ここで、「第1充填剤」とは、充填剤として電気的特性が問題のない材料であって、充填剤が固化の後、電気抵抗が10の10乗オーム・メートルより大きい絶縁体になるものである。「第2の充填剤」とは、金属フィラーの量が25〜95重量%の充填剤である。「第1充填剤」と「第2の充填剤」のバインダーには、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低融点ガラスなどが用いられる。金属フィラーには、鉄粉、マグネシウム粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、金属メッキ粉などが用いられる。
【0025】
このように、請求項4の電子回路モジュールでは、従来不可能であった、金属フィラー入りの充填剤による該電子回路モジュールの封止を可能とするとともに容易にX線解析を防止することにより耐タンパ性を具備すると共に前記電子回路モジュールを容易に装着する外部基板より剥脱することを困難とした該電子回路モジュールを提供することができる。
【0026】
請求項5の電子回路モジュールは、プリント基板アッセンブリから成る電子回路部を前記電子回路部の電気端子を外部に突出できる穴を設けた第1筐体に収容し、前記第1筐体に収容された前記電子回路部を金属製の第2筐体で覆い、前記第1筐体と第2筐体の内側から構成される空間内部に前記電子回路部が収容される。前記電子回路部の収容された空間には、前記第2筐体に具備する1つもしくは複数の封止剤注入穴より、電気的特性と放熱性を考慮した、絶縁性が高く熱伝導率が良好な第1封止剤を注入し、前記封止剤注入穴を1つもしくは複数の栓により閉塞する。前記第1筐体と前記第2筐体の外側の空間には、耐タンパを考慮した、X線透過が容易でない金属フィラー入りの第2充填剤を注入し、前記第1筐体に放熱器で蓋をする。
【0027】
この構成によれば、請求項5の電子回路モジュールは、従来、電気特性が問題となり、短絡の恐れがある金属フィラー入りの充填剤を電子回路基板の外周に充填することが可能であると共に筐体の一部と蓋に金属製の材料を使用することにより発熱量の大きい電子回路基板を収容することが可能となる。
【0028】
なお、ここで、「第1充填剤」とは、充填剤として電気的特性が問題のない材料であって、充填剤が固化の後、電気抵抗が10の10乗オーム・メートルより大きい絶縁体になるものである。「第2の充填剤」とは、金属フィラーの量が25〜95重量%の充填剤である。「第1充填剤」と「第2の充填剤」のバインダーには、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、低融点ガラスなどが用いられる。金属フィラーには、鉄粉、マグネシウム粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、金属メッキ粉などが用いられる。
【0029】
このように、請求項5の電子回路モジュールでは、放熱器を必要とする発熱量の大きい電子回路基板を収容すると共に従来不可能であった、金属フィラー入りの充填剤による該電子回路モジュールの封止を可能とするとともに容易にX線解析を防止することにより耐タンパ性を具備する該電子回路モジュールを提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の電子回路モジュールは、電子回路部の封止構造を2重構造とすることにより、従来容易でなかった、金属フィラー入りの封止剤による電子回路部の封止が可能であり、2種類の異なる組成による充填剤を使用することによって、電子回路部の封止と耐タンパという2つの異なる課題に対して解決可能という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】電子回路モジュール実施の方法を示した第1筐体に電子回路部を搭載した斜視図である。
【図2】電子回路モジュール実施の方法を示した電子回路部に第2筐体で覆った斜視図である。
【図3】電子回路モジュール実施の方法を示した第2筐体の第1封止剤注入穴を栓で閉塞した斜視図である。
【図4】請求項1の電子回路モジュール実施の方法を示した第1筐体に蓋をした斜視図である。
【図5】電子回路モジュール実施の方法を示した断面図である。
【図6】請求項2の電子回路モジュール実施の方法を示した断面図である。
【図7】請求項2の電子回路モジュール実施の方法を示した断面図である。
【図8】請求項3の電子回路モジュール実施の方法を示した上面図である。
【図9】請求項3の電子回路モジュール実施の方法を示した第1筐体の蓋を取り除いた斜視図である。
【図10】請求項4の電子回路モジュール実施の方法を示した第1筐体の蓋を取り除いた斜視図である。
【図11】請求項5の電子回路モジュール実施の方法を示した分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態の一例として、本発明に基づく電子回路モジュールについて説明する。前記電子回路モジュールは、電子回路部の封止構造を2重構造とすることにより、従来容易でなかった、金属フィラー入りの封止剤を使用することを実現した。
【0033】
図1は、前記電子回路モジュールの第1筐体1に電子回路部を搭載した斜視図である。第1筐体1は凹状の形状をなし、底面には、電気端子が通過できる貫通穴を具備する。電子回路部は、第1プリント基板アッセンブリ2から成り、第1プリント基板アッセンブリ2は、あくまでもその一例として、第1電気端子3〜第18電気端子20と第1抵抗21〜第16抵抗36と第1IC37〜第12IC48を搭載する。前記第1電気端子3〜第18電気端子20は、第1筐体1の貫通穴を通して、第1筐体1外部へと導出される。導出された、前記第1電気端子3〜第18電気端子20は、通常、外部基板67に半田付けにより電気的に外部回路に接続される。
【0034】
図2は、前記電子回路部を第2筐体で覆った斜視図である。第2筐体51は凹状の形状をなし、前記第1筐体1に搭載されている、前記電子回路部を覆うように固定される。第2筐体51は、1つもしくは、複数の第1封止剤55の注入口を具備する。通常、封止剤の偏在を防止するために複数の注入口を具備することが多い。第1封止剤の第1注入穴49と第1封止剤の第2注入穴50から、前記第1封止剤を注入する。
【0035】
図3は、前記第2筐体51の第1封止剤の第1注入穴49を第1の栓52で閉塞し、第1封止剤の第2注入穴50を第2の栓53で閉塞した斜視図である。第2筐体51は、前記電子回路モジュールの封止剤による充填構造を2重化するための隔壁であるので、第1封止剤の第1注入穴49と第1封止剤の第2注入穴50は、第1の栓52と第2の栓53で閉塞する必要がある。
【0036】
前記第1筐体1の内側と前記第2筐体の外側と前記第2注入穴50と前記第1の栓52から形成される空間には前記第2封止剤56を充填することにより封止を行い、図4の前記第1筐体1に前記蓋54をした斜視図のように、前記第2封止剤56を充填後、前記第1筐体1に前記蓋54を取り付ける。
【0037】
図5に前記電子回路モジュールの断面図を示す。前記第1筐体1と前記蓋54は前記電子回路モジュールの筐体であり、外部に露出する部分である。前記第1筐体1の底面と前記第2筐体51と前記第1の栓52と図示していないが前記第2の栓53は、充填剤の注入空間を2つに分離する隔壁を形成する。前記隔壁の内側に電気的特性を考慮した第1封止剤56を充填し、前記隔壁の外側に耐タンパ性を考慮した金属フィラー入りの充填剤を充填する。前記電子回路部を構成するプリント基板アッセンブリ1に搭載される、あくまでもその1例としての電気端子は、前記第1筐体1の底面を貫通して外部に突出する。図5では、断面図のため、前記第5電気端子7と前記第14電気端子16を図示してある。
【0038】
図6及び図7に電子回路部が複数のプリント基板アッセンブリから構成される例の断面図を示す。電子回路部は、前記第1プリント基板アッセンブリ2と第2プリント基板アッセンブリ57と第1可撓性基板58から構成される。前記第1プリント基板アッセンブリ2と前記第2プリント基板アッセンブリ57と図7の前記第1可撓性基板58は、一体で製造されるリジットフレキシブル基板アッセンブリや前記第1プリント基板アッセンブリ2と前記第2プリント基板アッセンブリ57を前記第1可撓性基板58で接続する方法がある。前記第1プリント基板アッセンブリ2と前記第2プリント基板アッセンブリ57を接続する方法としては、前記第1可撓性基板58を使用する以外にコネクタやハーネスを使用することが可能である。勿論、本発明は、前記第1プリント基板アッセンブリ2と第2プリント基板アッセンブリ57の2枚に限定されるわけではなく、複数のプリント基板アッセンブリを可撓性基板、ハーネス、コネクタ等で集積するように接続しても良い。
【0039】
図6及び図7において、前記電子回路部は、前記第1筐体1に搭載されると共に前記第2筐体51で覆われ、図示していないが前記第1封止剤49の第1注入穴と図示していないが前記第1封止剤の第2注入穴50より前記第1封止剤を注入し、前記第1封止剤49の第1注入穴と前記第1封止剤の第2注入穴50を前記第1の栓52と図示していないが前記第2の栓53で閉塞した後、前記第1筐体1の内側と前記第2筐体51の外側と前記第1の栓52と前記第2の栓53から成る空間に前記第2封止剤56を注入の後、前記蓋54を取り付ける。
【0040】
図8及び図9に2のインターフェースを具備する例を示す。図8は、上面図であり、前記蓋54に位置する電子回路モジュールより第2可撓性基板59が導出される。第2可撓性基板59には、あくまでもその一例として、第19電気端子60〜第25電気端子66を具備する。図8に一部図示していないが、あくまでもその一例として前記第1電気端子3〜前記第18電気端子20の2つのインターフェースを具備することが可能である。勿論、前記第2可撓性基板59の形状や前記第19電気端子60〜前記第25電気端子66の前記第2可撓性基板59上の位置を複数のグループに分けた場合、インターフェースコネクタの数としては、2つに限らず3つ以上を実現することも可能である。
【0041】
前記第2可撓性基板59は、図8及び図9では、図示していないが前記電子回路部に接続されるものであって、前記電子回路部は、前記第1筐体1の底面と前記第2筐体51内側から成る空間に収容される。第2可撓性基板59は、前記第2筐体51の貫通穴と前記第1筐体1の貫通穴を通じて前記第2筐体51の外部に導出される。
【0042】
図8及び図9において、図示していないが前記電子回路部は、前記第1筐体1に搭載されると共に前記第2筐体51で覆われ、図示していないが前記第1封止剤49の第1注入穴と図示していないが前記第1封止剤の第2注入穴50より前記第1封止剤を注入し、前記第1封止剤49の第1注入穴と前記第1封止剤の第2注入穴50を前記第1の栓52と前記第2の栓53で閉塞した後、前記第1筐体1の内側と前記第2筐体51の外側と前記第1の栓52と前記第2の栓53から成る空間に前記第2封止剤56を注入の後、前記蓋54を取り付ける。
【0043】
図10は、前記電子回路モジュールを容易に前記外部基板67から取り外すことを困難にする構造を持つことを説明する前記蓋54を外した上面図である。前記第1筐体1の底面に具備する第1貫通穴68〜第4貫通穴71は、第2封止剤56を注入する領域を第1筐体1の内側と前記第1貫通穴68〜前記第4貫通穴71と前記外部基板67の前記第1貫通穴68〜前記第4貫通穴71で露出している部分と前記第2筐体51の外側と前記第1の栓52と前記第2の栓53として形成する。
【0044】
このことにより、第2封止剤56は、前記外部基板67と前記第1貫通穴68〜前記第4貫通穴71と共に固化し、前記電子回路モジュールを前記外部基板67に接着し、容易に分離できなくする事が可能である。
【0045】
図10において、図示していないが電子回路部は、前記第1筐体1に搭載されると共に前記第2筐体51で覆われ、図示していないが前記第1封止剤49の第1注入穴と図示していないが前記第1封止剤の第2注入穴50より前記第1封止剤を注入し、前記第1封止剤49の第1注入穴と前記第1封止剤の第2注入穴50を前記第1の栓52と前記第2の栓53で閉塞した後、前記第1筐体1の内側と前記第2筐体51の外側と前記第1の栓52と前記第2の栓53と前記外部基板67と前記第1貫通穴68〜前記第4貫通穴71から成る空間に前記第2封止剤56を注入の後、前記蓋54を取り付ける。
【0046】
図11において、2種類の充填剤を分離する隔壁としての第2筐体51と第1筐体1の蓋の機能を兼ね備える、放熱器72に熱伝導性の良い金属を使用すると共に図示していないが、電子回路部を収容する前記第1筐体1の底面と第2筐体51の内側の空間に図示していないが、第1封止剤の第1注入穴と第1封止剤の第2注入穴より注入される第1封止剤を電気的特性と熱伝導性を考慮した材料を注入し、栓52と栓53で閉塞する。
【0047】
前記第1筐体1の内側と前記第2筐体51外側と前記栓52と前記栓53から成る空間には、放熱性と耐タンパを考慮した金属フィラー入りの材料を注入し、上部に蓋としての前記放熱器72を取り付ける。
【0048】
前記電子回路モジュールは、発熱量の大きい電子回路部を本電子回路モジュール内部に収容して耐タンパを確保しながら、同時に放熱器による放熱が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
耐タンパが必要な暗号処理や設計情報の模倣の防止が必要な製品など搭載した電子回路をリーバスエンジニアリングされることを防止する用途に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 第1筐体
2 第1プリント基板アッセンブリ
3 第1電気端子
4 第2電気端子
5 第3電気端子
6 第4電気端子
7 第5電気端子
8 第6電気端子
9 第7電気端子
10 第8電気端子
11 第9電気端子
12 第10電気端子
13 第11電気端子
14 第12電気端子
15 第13電気端子
16 第14電気端子
17 第15電気端子
18 第16電気端子
19 第17電気端子
20 第18電気端子
21 第1抵抗
22 第2抵抗
23 第3抵抗
24 第4抵抗
25 第5抵抗
26 第6抵抗
27 第7抵抗
28 第8抵抗
29 第9抵抗
30 第10抵抗
31 第11抵抗
32 第12抵抗
33 第13抵抗
34 第14抵抗
35 第15抵抗
36 第16抵抗
37 第1IC
38 第2IC
39 第3IC
40 第4IC
41 第5IC
42 第6IC
43 第7IC
44 第8IC
45 第9IC
46 第10IC
47 第11IC
48 第12IC
49 第1封止剤の第1注入穴
50 第1封止剤の第2注入穴
51 第2筐体
52 第1の栓
53 第2の栓
54 蓋
55 第1封止剤
56 第2封止剤
57 第2プリント基板アッセンブリ
58 第1可撓性基板
59 第2可撓性基板
60 第19電気端子
61 第20電気端子
62 第21電気端子
63 第22電気端子
64 第23電気端子
65 第24電気端子
66 第25電気端子
67 外部基板
68 第1貫通穴
69 第2貫通穴
70 第3貫通穴
71 第4貫通穴
72 放熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板アッセンブリから成る電子回路部と前記電子回路部を収容する第1筐体と前記電子回路部の電気端子を外部に突出させる前記第1筐体1に設けられた穴と前記第1筐体内部に前記電子回路部を覆うように設けられた第2筐体と第2筐体に設けられた1つもしくは複数の封止剤注入穴と前記封止剤注入穴より注入される第1封止剤と前記封剤注入穴を閉塞する栓と第1筐体と第2筐体の空間に注入される第2封止剤と第1筐体を閉塞する蓋とを備えてなる電子回路モジュール。
【請求項2】
複数のプリント基板アッセンブリを可撓性基板で接続して集積した電子回路部と前記電子回路部を収容する第1筐体と前記電子回路部の電気端子を外部に突出させる前記第1筐体1に設けられた穴と前記第1筐体内部に前記電子回路部を覆うように設けられた第2筐体と第2筐体に設けられた1つもしくは複数の封止剤注入穴と前記封止剤注入穴より注入される第1封止剤と前記封剤注入穴を閉塞する栓と第1筐体と第2筐体の空間に注入される第2封止剤と第1筐体を閉塞する蓋とを備えてなる電子回路モジュール。
【請求項3】
プリント基板アッセンブリから成る電子回路部と前記電子回路部を収容する第1筐体と前記電子回路部の電気端子を外部に突出させる前記第1筐体に設けられた穴と前記第1筐体内部に前記電子回路部を覆うように設けられた第2筐体と第2筐体に設けられた1つもしくは複数の封止剤注入穴と前記封止剤注入穴より注入される第1封止剤と前記封剤注入穴を閉塞する栓と第1筐体と第2筐体の空間に注入される第2封止剤と第1筐体を閉塞する蓋と前記電子回路部の信号を外部に導く可撓性基板によるコネクタとを備えてなる電子回路モジュール。
【請求項4】
プリント基板アッセンブリから成る電子回路部と前記電子回路部を収容する第1筐体と前記電子回路部の電気端子を外部に突出させる前記第1筐体1に設けられた穴と前記第1筐体内部に前記電子回路部を覆うように設けられた第2筐体と第2筐体に設けられた1つもしくは複数の封止剤注入穴と前記封止剤注入穴より注入される第1封止剤と前記封剤注入穴を閉塞する栓と第1筐体と第2筐体の空間に注入される第2封止剤と第2封止剤が第1筐体外部基板と共に固化する貫通穴と第1筐体を閉塞する蓋とを備えてなる電子回路モジュール。
【請求項5】
プリント基板アッセンブリから成る電子回路部と前記電子回路部を収容する第1筐体と前記電子回路部の電気端子を外部に突出させる前記第1筐体1に設けられた穴と前記第1筐体内部に前記電子回路部を覆うように設けられた金属製の第2筐体と第2筐体に設けられた1つもしくは複数の封止剤注入穴と前記封止剤注入穴より注入される第1封止剤と前記封剤注入穴を閉塞する栓と第1筐体と第2筐体の空間に注入される第2封止剤と第1筐体を閉塞する金属製の放熱部とを備えてなる電子回路モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−160674(P2012−160674A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21261(P2011−21261)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(301033776)
【Fターム(参考)】