説明

電子放出素子の製造方法及び電子放出素子

【課題】本発明は、十分な先端の尖鋭度を有するZnOナノロッドを、導電膜、更には導電性を有する基板上に形成することにより、高性能な冷陰極表示素子を、簡便かつ低価格で提供できる電子放出素子の製造方法及び電子放出素子を提供することを目的とする。
【解決手段】基板10を所定温度に制御し、該基板上に酸化亜鉛を成長させ、先端が上方を向いたナノロッド50を形成する電子放出素子60の製造方法であって、
融点が前記所定温度以上である前記基板を用意する工程と、
前記基板上に、融点が前記所定温度以上である導電性膜20を形成する工程と、
該導電性膜上に、前記酸化亜鉛を前記所定温度よりも低い所定低温度で成長させ、第1の直径d1を有する第1のロッド30を形成する工程と、
前記所定温度で前記酸化亜鉛を成長させ、前記第1のロッド上に、前記第1の直径よりも細い第2の直径d2を有する第2のロッド40を形成する工程と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子放出素子の製造方法及び電子放出素子に関し、特に、基板上に形成された酸化亜鉛のロッドを有する電子放出素子の製造方法及び電子放出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、陰極の先端を尖鋭に加工し、陰極を取り囲むゲート電極との間に電圧を印加することにより、陰極先端から電子を放出されるスピント型と称される冷陰極が知られている。かかるスピント型の冷陰極の電子放出特性は、陰極の先端領域に生成される電界集中と材料の仕事関数φ等の諸特性に大きく左右される。
【0003】
特に、電界集中は、先端の尖鋭度や陰極の長さ、陰極とゲート電極との距離で決まるため、電子放出特性の大幅な向上のためには、リソグラフィーを中心とする微細加工技術の精度の向上や更なる微細加工技術の進展が必要であった。
【0004】
一方、微細加工を必要としない冷陰極として、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)やグラファイトナノファイバー等、細い上に、アスペクト比(=長さ/直径)が極めて大きいという電子放出材料自身の形状の特異性に起因して、良好な電子放出特性を示す材料も得られている。
【0005】
しかしながら、このように微細加工が可能なシリコンや、特異な形状を有する炭素系材料は、ともに発光材料としては活用できない。そのため、冷陰極発光素子を製造するためには、冷陰極材料と同じ発光材料(蛍光体)とを別々に準備する必要があった。しかし、冷陰極発光素子において、同じ材料が冷陰極材料としての機能と発光材料としての機能を兼ね備えていれば、更なる製造工程の簡素化を図ることができ、コスト低減等に大きな効果を及ぼすことが期待できる。
【0006】
かかる観点から、冷陰極材料としての機能と、発光材料としての機能を兼ね備え得る材料として、酸化亜鉛(ZnO)が着目されている。酸化亜鉛は、発光材料として優れた発光特性を示すことは既に知られている。また、最近、ナノロッド等のアスペクト比の高い形に形成した酸化亜鉛の電子放出特性に関する研究も盛んに行われている。例えば、かかるアスペクト比の高いナノロッドを形成する方法として、サファイア基板上に直接ZnOナノロッドをMOVPE(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy、有機金属気相成長)法により成長させる際、サファイア基板を450〔℃〕として30分保ち、径が太く垂直性の良好な低温成長ロッドをまず成長させ、次いでサファイア基板の温度を750〔℃〕として10分保ち、低温成長ロッドの上部に径が細く、基板に垂直なナノロッドを形成させるようにした2段階成長法が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。
【非特許文献1】北村心他4名、「2段階成長温度法による直径の細いZnOナノロッドの垂直成長」、第54回応用物理学関係連合講演会、講演予稿集、2007年春
【非特許文献2】K Kitamura et al, “Fabrication of vertically aligned ultrafine ZnO nanorods using metal-organic vapor phase epitaxy with a two-temperature growth method”, Nanotechnology 19 (2008) 175305 (3pp)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の非特許文献1又は非特許文献2に記載の構成では、絶縁基板であるサファイア基板の上に直接ZnOナノロッドが形成されているため、上述のような冷陰極材料としての機能も兼ねる発光材料としては利用することができない。即ち、基板の上には、多数の細いナノロッドが剣山のような状態で形成され、ナノロッドから電子を放出させるためには、基板を介して電圧を供給する必要があるからである。
【0008】
そこで、本発明は、十分な先端の尖鋭度を有するZnOナノロッドを、導電膜、更には導電性を有する基板上に形成することにより、高性能な冷陰極表示素子を、簡便かつ低価格で提供できる電子放出素子の製造方法及び電子放出素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る電子放出素子の製造方法は、基板を所定温度に制御し、該基板上に酸化亜鉛を成長させ、先端が上方を向いたナノロッドを形成する電子放出素子の製造方法であって、
融点が前記所定温度以上である前記基板を用意する工程と、
前記基板上に、融点が前記所定温度以上である導電性膜を形成する工程と、
該導電性膜上に、前記酸化亜鉛を前記所定温度よりも低い所定低温温度で成長させ、第1の直径を有する第1のロッドを形成する工程と、
前記所定温度で前記酸化亜鉛を成長させ、前記第1のロッドの先端上に、前記第1の直径よりも細い第2の直径を有する第2のロッドを形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
これにより、導電膜の上に先端が尖鋭なナノロッドを形成することができるので、導電膜を介して電圧の印加を行うことができ、発光素子のみならず優れた電子放出素子として利用できる素子を製造できる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係る電子放出素子の製造方法において、前記基板は、導電性を有する基板であることを特徴とする。
【0012】
これにより、基板を介してナノロッドに電圧を印加することができ、取り扱い容易な電子放出素子を製造することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明に係る電子放出素子の製造方法において、
前記導電性を有する基板は、シリコン基板であることを特徴とする。
【0014】
これにより、入手容易なシリコン基板を用いて電子放出特性の良好な電子放出素子を製造することができ、簡素かつ低価格で電子放出素子を製造することができる。
【0015】
第4の発明は、第1〜3のいずれか一項に記載の電子放出素子の製造方法において、
前記導電性膜は、金属膜であることを特徴とする。
【0016】
これにより、導電性膜に金属触媒の機能を持たせられるとともに、電子放出素子に供給する電流の導電性を良好にすることができる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明に係る電子放出素子の製造方法において、
前記金属は、金を含むことを特徴とする。
【0018】
これにより、高融点を有する金を用いることにより、高温で加温される第2のロッド形成工程に問題無く耐えられるとともに、導電成膜に金触媒としての機能を持たせ、かつ良導体としても機能させることができる。
【0019】
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明に係る電子放出素子の製造方法において、
前記所定温度は、750℃を中心として±50℃の範囲内にあり、
前記所定低温温度は、450℃を中心として±50℃の範囲内にあることを特徴とする。
【0020】
これにより、2段階のプロセスにより、垂直性の高い第1のロッドをまず形成し、その上部に尖鋭度の高い第2のロッドを確実に形成することができる。
【0021】
第7の発明に係る電子放出素子は、導電性の基板と、
該導電性の基板の上に形成された導電性膜と、
該導電性膜上に直立して形成され、第1の直径を有する酸化亜鉛を含む第1のロッドと、
該第1のロッドの先端上に形成され、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する酸化亜鉛を含む第2のロッドと、を有することを特徴とする。
【0022】
これにより、垂直性と先端の尖鋭度の高さを両立するとともに、基板から確実に電圧を印加することができ、発光素子との機能を有しながら電子放出素子としての機能を確実に果たすことができる。
【0023】
第8の発明は、第7の発明に係る電子放出素子において、
前記導電性の基板は、シリコン基板であることを特徴とする。
【0024】
これにより、入手が容易なシリコン基板を用いて電子放出素子を構成することができ、容易かつ安価に電子放出素子を構成することができる。
【0025】
第9の発明は、第7又は第8の発明に係る電子放出素子において、
前記導電性膜は、金属膜であることを特徴とする。
【0026】
これにより、電子放出素子に供給する電力のロスを少なくすることができる。
【0027】
第10の発明は、第9の発明に係る電子放出素子において、
前記金属膜は、金を含むことを特徴とする。
【0028】
これにより、高融点で良導体の金属である金を用いることにより、電子放出特性の良好な高性能な電子放出素子とすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、実際の部品として即座に適用可能であり、先端の尖鋭度が高く高性能な電子放出材料とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0031】
まず、図1乃至図5を用いて、本発明を適用した実施例1に係る電子放出素子の製造方法について説明する。
【0032】
図1は、実施例1に係る電子放出素子の製造方法の基板10を用意する工程を示した図である。基板10は、電子放出素子を形成する土台となる役割を果たす。基板10は、様々な種類の基板10が適用されてよいが、本実施例に係る電子放出素子の製造方法においては、導電性を有する基板10が適用されることが好ましい。例えば、半導体ウエハに適用されるシリコン基板は好適に適用される。シリコン基板は半導体であるが、不純物の注入により、導電性を高めたり、絶縁性を高めたりすることができる。例えば、p型のシリコン基板に対し、不純物を注入し、高濃度のp型とすれば、より導電性が高まる。その逆に、低濃度のp型とすれば、絶縁性を高めることができる。本実施例に係る電子放出素子の製造方法においては、シリコン基板の濃度を高濃度とし、導電性を高める方が好ましい。これにより、電子放出素子に電圧を供給する際に、抵抗分が減少するので、電力ロスを低減することができるからである。また逆に、シリコン基板のオン抵抗を高めたい場合には、シリコン基板の絶縁性を高めるようしてもよい。
【0033】
基板10は、その他、金属製の基板であってもよい。これにより、導電性を一層高めることができる。
【0034】
また、基板10は、ガラス基板や、サファイア等の絶縁基板であってもよい。基板10に、絶縁基板を用いた場合、基板10から通電を行うことはできないが、基板10の上の導電性膜を被覆形成するので、これを用いて通電を行うことができる。この点については、後述する。なお、サファイア基板は、金属酸化絶縁膜であるAlを含んで構成されてよい。
【0035】
図2は、実施例1に係る電子放出素子の製造方法において、基板10の上に導電性膜20を形成した工程を示した図である。導電性膜20は、種々の膜を用いることができるが、例えば、金属膜を用いてもよい。金属膜は、導電性に優れているとともに、金属触媒としての役割を果たす場合があり、この場合には、酸化亜鉛(ZnO)の成長を促進することができる。金属膜は、例えば、金(Au)やチタン(Ti)の膜が適用されてもよい。
【0036】
金やチタン等の金属膜を基板10上に形成する場合、例えば、電子ビーム蒸着法により金属膜が基板10上に形成されてもよい。この場合、金やチタンが単独で基板10の上に被覆形成されてもよいが、例えば、2種類以上の金属が、基板10上に積層されて形成されてもよい。例えば、シリコンの基板10の上にチタンの膜がまず形成され、次いで、チタンの上に、金の膜が積層されて形成されてもよい。この場合、チタン膜は、シリコン基板10と金膜との密着性を高める役割を果たす。膜厚は、用途に応じて種々の膜厚が適用されるが、例えば、チタン膜、金膜とも50〔nm〕の膜厚で形成されてもよい。金は、ZnOが成長するための金属触媒の役割を果たすので、ZnOの基板10上での成長を促進することができる。
【0037】
その他、導電性膜20は、導電性を有する膜であれば、種々の膜を適用することができる。なお、下地の基板10が絶縁体の場合には、電子放出素子への通電は、基板10に直接ではなく、導電性膜20に電気配線が接続されて行われることになる。
【0038】
図3は、実施例1に係る電子放出素子の製造方法のロッド形成工程に用いられる反応管70の構成の一例を示した図である。反応管70は、基板載置台71と、熱電対72と、温度制御手段73と、加熱手段74と、ガス供給管75、76と、バルブ75a、76aと、排気管77と、バルブ77aとを備える。導電性膜20が被覆された基板10は、基板載置台71の上に載置され、熱電対72により基板温度が測定され、温度制御手段73により、加熱手段74からの加熱量が制御される。また、ガス供給管75からは、バルブ75aで流量が調整されてジエチル亜鉛(DEZ)が反応管70内に供給され、ガス供給管76からは、バルブ76aで流量が調整されて酸素が供給される。そして、排気管77からは、バルブ77aで流量が調整されて反応管70内の排気がなされる。なお、ガス供給管75から酸素が供給され、ガス供給管76からジエチル亜鉛が供給されてもよい。例えば、図3に示すような反応管70を用いて、ロッド形成工程は実行されてもよい。なお、以後、処理工程と反応管70との関係は示さないが、例えば、図3に示す反応管70を用いて処理が実行されていると考えてもよい。
【0039】
図4は、実施例1に係る電子放出素子の製造方法の第1のロッド形成工程により形成された第1のナノロッド30の構造を示した図である。図4(a)は、第1のナノロッド30の正面図であり、図4(b)は、第1のナノロッド30の上面図である。
【0040】
第1のロッド形成工程においては、基板10の温度を所定の低温温度、例えば450〔℃〕まで昇温後、温度を一定に保った後、ジエチル亜鉛と酸素を流して20分間保つ。これにより、基板10に対して垂直に配向し、直径d1=100〔nm〕の太い六角形のナノロッド30を得ることができる。ここで、直径d1は、六角形の外接円の直径と考えてよい。
【0041】
一般に、低温では、ナノロッド30の直径は太くなるが、基板10に垂直な方向に配向したZnOナノロッドが得られる。また、高温では、細いZnOナノロッドが得られるが、成長の向きを制御できず、ランダムに配向したナノロッドとなり、しかも細いために、密度が高くなり過ぎて、電子放出が観測できない。本実施例に係る電子放出素子の製造方法においては、この性質を利用し、まずは基板10に対して直立した第1のナノロッド30を取得している。
【0042】
基板温度を低温に保つ第1のロッド形成工程においては、第1のナノロッド30同士は、密接して成長するため、太い第1のナノロッド30は、密度が低い状態で成長する。そして、第1のナノロッド30は、底面を(0001)面、側面を(1000)面とすると、先端部には、底面(0001)面と43度の角度をなす(10−12)面が形成される。この角度では、先端の尖鋭度が十分ではないため、十分な電界集中は得られない。しかし、上述のように、第1のナノロッド30同士は、密接して成長するため、太い成長は、密度を適度な値に保つ効果を持つ。
【0043】
また、ZnOで構成された第1のナノロッド30は、金の上に成長しているが、金は、基板10に導電性を与えるとともに、ZnOが成長するための触媒として作用している。
【0044】
なお、本実施例においては、基板10の温度を450〔℃〕に保った例を挙げて説明しているが、この温度は、基板10に対して垂直に配向し、適度な密度を有する第1のナノロッド30を形成できる温度であれば、その温度は前後してよく、例えば、450〔℃〕を中心として、±50〔℃〕、つまり400〔℃〕以上500〔℃〕以下の範囲内に有ればよい。また、成長時間についても、本実施例においては、20分間の例を挙げて説明したが、同様の観点から、垂直に配向し、適切な密度を有する第1のナノロッド30を形成することができれば、時間は用途に応じて適切な所定時間に設定してよい。
【0045】
図5は、実施例1に係る電子放出素子の製造方法の第2のロッド形成工程により形成された第2のナノロッド40を含むZnOナノロッド50及び電子放出素子60の構造を示した図である。図5(a)は、電子放出素子60の正面図であり、図5(b)は、ZnOナノロッド50の上面図である。
【0046】
第2のロッド形成工程においては、第1のロッド形成工程で基板10の温度を450〔℃〕に保ちジエチル亜鉛と酸素のガスを所定時間供給した後、ジエチル亜鉛と酸素の供給を停止し、基板温度を所定温度、例えば750〔℃〕まで昇温する。その後、ジエチル亜鉛と酸素を再び供給すると、その際に得られる第2のナノロッド40は、第1のロッド形成工程で形成された第1のナノロッド30の頂点から連続的に成長し、しかも成長温度に依存する細いものが得られる。例えば、温度を750〔℃〕としたときには、第2のナノロッド40の直径d2は、d2=18〔nm〕であった。なお、直径d2は、第2のナノロッド40の六角形の外接円の直径である。また、垂直に配向した第1のナノロッド30の先端から成長した第2のナノロッド40は、そのまま垂直な配向を保った。
【0047】
このように、垂直配向した太い第1のナノロッド30を形成した後、温度を上げて高温の所定温度、例えば750〔℃〕とすると、高温で成長する第2のナノロッド40は細く(例えば、d2=18〔nm〕)形成される。しかも、第2のナノロッド40は、既に形成されている第1のナノロッド30の頂点付近にしか成長しないため、細いナノロッドが垂直配向したものが得られる。直径d2の細い第2のナノロッド40が、d1で定まる適度な密度で形成されているため、十分な電界集中が得られる第2のナノロッド40を成長させることができた。電子放出素子60のSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)で観察すると、先端が細くなった垂直配向ナノロッドが適度な密度で得られた。
【0048】
また、本実施例に係る電子放出素子60の製造方法においては、ZnOの成長に先立って、基板10上に導電性膜20を形成し、その上にZnOナノロッド50を成長させている。これにより、サファイア基板等の絶縁性基板上に直接的にZnOナノロッド50が成長している場合と異なり、ZnOナノロッド50からの電子放出が可能となり、実際の電子機器に電子放出素子60として適用することが可能となる。
【0049】
なお、基板10にシリコン基板等の導電性の基板10が適用されている場合には、導電性膜20を介さずに、基板10の上に直接的に第1のナノロッド30及び第2のナノロッド40を形成することも考えられる。しかしながら、発明者等の実験によれば、シリコン基板上に直接ZnOナノロッド50を形成した場合、本実施例に係る電子放出素子60程の良好な電子放出特性は得られなかった。その理由は、例えば、以下のような理由に起因すると考えられる。
【0050】
図6は、酸化亜鉛(ZnO)とシリコン(Si)の結晶構造を示した図である。図6(a)は、酸化亜鉛の六角形の結晶構造35を示した斜視図である。また、図6(b)は、シリコンの立方体の結晶構造15を示した斜視図である。
【0051】
成長材料と、下地の基板がともに結晶構造の場合には、両者の結晶構造及び間隔は、同じ方が良いと考えられる。ここで、サファイア基板を構成するAlも、酸化亜鉛35と同様に、六角形の結晶構造35を有する。よって、サファイア基板の上に酸化亜鉛を成長させる場合には、両者はともに六角形の結晶構造35であり、結晶の間隔もほぼ同じであるので、結晶成長は順調に行われる。
【0052】
また、シリコン基板の場合には、シリコン15は、図6(b)に示すように、立方体の結晶構造15を有する。この場合、結晶構造及び結晶間隔は、下地のシリコンと酸化亜鉛では異なるので、結晶同士での干渉のような現象が発生し、そのまま成長させても順調に成長が行われないと考えられる。
【0053】
一方、導電性膜20に用いられる金は金属であり、結晶系の構造はとらず、図6(a)、(b)の双方の結晶構造とは全く異なった構造をとる。よって、下地が金等の金属であれば、結晶同士で発生するような干渉のような現象が殆ど無い状態になると考えられる。つまり、結晶系の下地の上に、結晶系の材料を成長させる場合には、両者の結晶構造は類似している方が好ましく、結晶系同士で結晶構造が微妙に異なっている場合には、むしろ結晶系でない全く異なる性質の材料を下地とした方がよいと考えられる。
【0054】
このような観点も踏まえつつ、本実施例に係る電子放出素子60及び電子放出素子60の製造方法においては、基板10の上に、導電性膜20を形成し、その上に第1のロッド30及び第2のロッド40を形成してZnOナノロッド50を形成している。これにより、基板10が成長材料と異なる結晶構造を有する場合であっても、常に良好な電子放出特性を有するZnOナノロッド50を基板10上に形成することができる。また、金等は、触媒金属として作用するので、ZnOの成長を促進できる。そして、導電性膜20を基板10上に形成することにより、ZnOとの導通接点を確保することができ、本実施例に係る電子放出素子60の製造方法により製造された電子放出素子60を実際の電子機器に適用することができる。
【0055】
なお、基板10がシリコン基板等のように、導電性を有する基板である場合には、基板10に接点を設けるように構成してよいし、基板10が絶縁体の場合には、導電性膜20に接点を設けるように構成すればよい。
【0056】
次に、実施例1に係る電子放出素子60の製造方法により製造された電子放出素子60の電子放出特性の実験結果について説明する。
【0057】
図7は、電子放出特性を測定するための実験回路を示した図である。図7において、実施例1に係る電子放出素子60に対向して陽極80が配置されて電極対90を形成している。電極対90は、電極室95に収容されている。電極室95の内部は、真空排気されて真空に保たれている。電源100が、電極対90に電圧を印加するために設けられ、陽極80が電源100の正極に接続され、電子放出素子60が電源100の負極に接続されている。また、電極対90の両端には、電圧計110が並列接続され、実験回路には、電流計120が挿入接続されている。
【0058】
なお、本実験において、電極対90の電極間距離は、0.3〔mm〕である。また、陰極である電子放出素子60と陽極80の電極は、直径8〔mm〕であるので、電極面積は、0.5〔cm〕である。
【0059】
図8は、図7において説明した実験回路で測定した電子放出特性の測定結果を示した図である。図8において、横軸は図7の電圧計110で測定された電圧〔V〕、縦軸は図7の電流計120で測定された電流〔μA〕を示している。
【0060】
図8において、本実施例に係る電子放出材料60の測定結果が示されているが、印加電圧が約2300〔V〕を超えてから電流が流れ出し、その後は電流が大きく増加し、良好な電子放出特性を示していることが分かる。本実験において、本実施例に係る電子放出素子60の電流密度は、最大で1.5〔mA/cm〕であり、良好な電子放出特性が得られた。
【0061】
次に、図9を用いて、種々の電子放出素子の製造方法により得られた電子放出素子と、本実施例に係る電子放出素子の製造方法により得られた電子放出素子60との電子放出特性の比較結果について説明する。図9は、図7で示した実験回路を用いて測定した種々の電子放出素子の測定結果を示した表である。
【0062】
図9において、本実施例に係る電子放出素子の製造方法は、図9の一番上に示されている。今まで説明したように、導電性膜20には金及びチタンが用いられ、基板10はシリコン基板が適用されている。成長温度は、2段階に変化させ、第1のロッド形成工程における低温温度が450〔℃〕、第2のロッド形成工程における所定温度が750〔℃〕である。本実施例に係る電子放出素子の製造方法により製造された電子放出素子60のSEM観察結果は、先端が細くd2=18〔nm〕であり、根本はd1=100〔nm〕である、また、電子放出特性は、図8で説明した通り、良好であった。
【0063】
以下、本実施例との比較のため、図9において、実施例1に係る電子放出素子の製造方法と条件が同じ項目については斜線を施してあり、異なる項目は斜線を施さずに白で示してある。
【0064】
比較例1においては、導電性膜20及び基板10は、本実施例と同様であるが、成長温度が1段階で、低温の450〔℃〕のみとしている。この場合は、本実施例に係る電子放出素子60の製造方法において説明したように、垂直配向はなされるが、太さが太いd1=100〔nm〕のZnOナノロッドが形成される。この場合には、先端が太いため、十分な電界集中が得られず、電子放出が観測できない結果となった。このように、比較例1によれば、低温の1段階成長では、良好な電子放出特性は得られず、ZnOナノロッドの配向だけではなく、太さも適切に制御する必要があることが分かる。
【0065】
比較例2においては、導電成膜20及び基板10は、本実施例に係る電子放出素子60の製造方法と同様であるが、成長温度が、1段階で高温の750〔℃〕に設定した例が示されている。この場合は、本実施例において説明したように、先端は細いが、ランダム配向で向きが不統一のZnOナノロッドとなることが予想される。また、配向が不統一であるので、電子放出特性は良くないことが予想される。このように、比較例2によれば、高温の1段階成長でも、良好な電子放出特性は得られないことが予想され、ZnOナノロッドの太さだけでなく、配向も制御する必要があることが分かる。
【0066】
比較例3においては、導電性膜20は形成されず、基板10にはサファイア基板が適用され、サファイア基板の上に直接ZnOナノロッドが形成された例が示されている。また、成長温度は、高温の750〔℃〕とし、1段階で処理を行っている。この場合は、先端は細いが、ランダム配向のZnOナノロッドが形成された。電子放出特性を測定した所、電子放出は観察されなかった。このように、比較例3によれば、ZnOナノロッドの太さだけでなく、配向も制御する必要があることが分かる。
【0067】
なお、比較例2は、電子放出特性の実験を行っていないが、SEM観察の結果は比較例3と同様であるので、比較例3の測定結果から、比較例2の測定結果を導き出せる。
【0068】
比較例4においては、比較例3と同様に、導電性膜20は用いられず、基板10にサファイア基板が用いられ、サファイア基板上にZnOナノロッドが直接形成された例が示されている。比較例3と異なるのは、成長温度を2段階に変化させ、低温温度が450〔℃〕、高温温度が750〔℃〕と、本実施例に係る電子放出素子60の製造方法と同様の成長温度の制御パターンとしていることである。この場合、SEM観察結果は、第1のロッド形成工程で垂直配向の太いZnOナノロッドが形成され、第2のロッド形成工程でその上に先端が細いZnOナノロッドが形成され、本実施例に係る電子放出素子60のZnOナノロッド50と同様の形状のZnOナノロッドを形成することができる。しかしながら、電子放出特性は、ノイズレベル以下の電流しか検出されず、良好なものとは言えなかった。このように、比較例4によれば、ZnOナノロッド自体が良好な特性を有したとしても、下地が絶縁基板では、電源100による電力の供給が行われず、望ましい電子放出特性は得られないため、導電性膜20を設けることが必要なことが分かる。
【0069】
比較例5においては、基板10にシリコン基板が適用されている点は、本実施例に係る電子放出素子60の製造方法と同様であるが、導電性膜20にアルミニウム(Al)が適用されている点で異なる。また、成長温度は、低温の450〔℃〕で1段階の処理を行ったが、SEMの観察結果では、ZnOナノロッドに成長することができなかった。これは、アルミニウムの融点が低く、加熱処理の際に、下地として十分な安定性を有しないからであると考えられる。よって、比較例5によれば、導電性膜20は、ナノロッドを成長させる際の加熱処理の温度よりも十分に高い融点を有する導電性膜20を用いる必要があることが分かる。本実施例に係る電子放出素子60の製造方法において用いた金、チタンは、融点が1000〔℃〕以上で十分に高いので、導電性膜20として適切である。なお、比較例5においては、ロッドに成長しなかったため、電子放出特性を測定することが出来なかった。
【0070】
比較例6は、導電成膜20及び基板10は、本実施例に係る電子放出素子60の製造方法と同様であるが、成長温度が、低温の450〔℃〕から高温の750〔℃〕まで、2段階ではなく、連続的に変化させた場合である。
【0071】
図10は、比較例6において形成される電子放出素子60aの予想形状を示した図である。図10(a)は、電子放出素子60aの正面図であり、図10(b)は、電子放出素子60aの上面図である。
【0072】
図10(a)、(b)において、基板10、導電性膜20の上に、六角錘の形状に近いZnOナノロッド50aが示されている。ZnOナノロッド50aの底部は、直径d1=100〔nm〕であり、先端部は、直径d2=18〔nm〕となり、連続的に徐々に先端に向かうにつれて太さが細くなることが予想される。また、低温で成長した部分は、基板10に対して垂直に配向し、また太いが適度な密度を有することが予想される。
【0073】
例えば、このような電子放出素子60aの製造方法によっても、本実施例に係る電子放出素子60の製造方法と同様に、良好な電子放出特性を有する電子放出素子60aを製造できると予想できる。
【0074】
図9に戻る。比較例6においては、図10で説明したように、良好な電子放出特性を有する電子放出素子60aを製造できると考えられるが、成長温度を連続的に変化させるので、その温度制御は難しくなると予想される。
【0075】
比較例6によれば、下地に導電性を有する導電性膜20及びシリコン基板10を適用し、ZnOナノロッド39の配向及び太さの双方を考慮すれば、連続制御や、他のもっと多段の制御等も可能となることが分かる。
【0076】
図8においては、図9に示した比較例のうち、実際に実験を行った比較例1、比較例3及び比較例4の実測値は示されているが、本実施例の電子放出特性との差があまりに大きく、図8に示した縦軸のスケールでは、比較例1、比較例3及び比較例4は、識別できる大きさとなって表示することができない。よって、本実施例に係る電子放出素子60は、比較例と比べて著しく改善された良好な電子放出特性を有することが分かる。
【実施例2】
【0077】
実施例2においては、実施例1に係る電子放出素子60の製造方法により製造された電子放出素子60を、実際に電子機器の部品として適用した例について説明する。実施例1において説明したZnOナノロッド50は、発光素子としても作用するので、この性質を利用して、同一材料のZnOナノロッド50で冷陰極発光素子を製造することが可能となり、高性能な冷陰極発光素子を簡便に製造できる。よって、実施例2では、電子放出素子60を冷陰極発光素子として適用した例について説明する。
【0078】
図11は、実施例2に係る発光素子基板61を示した図である。図11(a)は、実施例2に係る発光素子基板61の斜視図であり、図11(a)は、実施例2に係る発光素子基板61の側面図である。
【0079】
図11(a)において、発光素子基板61は、シリコン基板10aと、導電性膜21、22と、冷陰極発光素子50bとを備える。冷陰極発光素子50bは、ZnOナノロッド50で形成された素子であり、冷陰極としての機能と、発光素子としての機能の双方を有する。
【0080】
図11(a)、(b)において、導電性膜21、22は、隣接して交互に配置されており、ともに電極を構成している。導電性膜21、22に対応して、その上方に、冷陰極発光素子51、52がやはり交互に隣接して配置されている。つまり、冷陰極発光素子51は、導電性膜21から入力される信号により駆動し、冷陰極発光素子52は、導電性膜22から入力される信号により駆動する。
【0081】
図12は、実施例2に係る発光素子基板61の動作を説明するための図である。図12(a)は、実施例2に係る発光素子基板61の動作状態の一例を示した図である。図12(a)において、導電性膜21及び冷陰極発光素子51に電源101aから負電圧が印加され、導電性膜22及び冷陰極発光素子52に電源101aから正電圧が印加された状態が示されている。この場合には、負電圧が印加された冷陰極発光素子51は、冷陰極として機能し、電子を放出する。そして、放出された電子は、正電圧が印加されている隣接する冷陰極発光素子52に流れ、冷陰極発光素子52は、発光素子として機能して発光する。
【0082】
図12(b)は、図12(a)と逆の極性における動作例を示した図である。つまり、図12(b)において、導電性膜21及び冷陰極発光素子51には電源101bより正電圧が印加され、導電性膜22及び冷陰極発光素子52には電源101bから負電圧が印加されている。これにより、負電圧が印加されている冷陰極発光素子52は、冷陰極として作用し、電子を放出する。放出した電子は、隣接する正電圧が印加された冷陰極発光素子51に流れる。冷陰極発光素子51は、この場合には、発光素子として作用し、発光する。
【0083】
このように、図12(a)、(b)に示すように、印加する電圧の極性の相違により、冷陰極発光素子51、52を、冷陰極として機能させたり、発光素子として機能させたりすることができる。
【0084】
図13は、図12で説明した発光素子基板61の動作を、交流電源101により実現した場合の動作を説明するための図である。図13において、交流電源101を導電性膜21、22の群に接続することにより、図12(a)、(b)で説明したように、交流電源の周期に合わせて、冷陰極発光素子51、52に、冷陰極と発光素子の機能を半周期毎に交互に持たせることができる。これにより、消費電力の低減及び冷陰極発光素子51、52の長寿命化を図ることができる。また、冷陰極発光素子51、52は、総て同一材料で構成されているので、冷陰極と発光素子を区別して製造する必要が無くなり、製造コストの低減化と工程の簡素化を図ることができる。
【0085】
このように、本実施例に係る発光素子基板61によれば、同一基板10a内に冷陰極材料と発光材料を設ける平面型の冷陰極素子において、製造工程の簡素化及び交流駆動による消費電力の低減、素子の長寿命化に絶大な効果を及ぼし、コスト低減等においても大きな効果を得ることができる。
【0086】
なお、本実施例においては、基板10aをシリコン基板で構成した例について説明したが、基板10aをガラス基板とし、基板10aの下面に発光をする発光素子基板61としてもよい。その場合であっても、冷陰極発光素子51、52への通電は、導電成膜21、22を介して行えばよいので、実施例2に係る発光素子基板61と同様の構成とすることができる。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1の電子放出素子の製造方法の基板10を用意する工程を示した図である。
【図2】実施例1において基板10上に導電性膜20を形成した工程を示した図である。
【図3】実施例1に用いられる反応管60の構成の一例を示した図である。
【図4】第1のナノロッド30の構造を示した図である。図4(a)は、第1のナノロッド30の正面図である。図4(b)は、第1のナノロッド30の上面図である。
【図5】ZnOナノロッド50及び電子放出素子60の構造を示した図である。図5(a)は、電子放出素子60の正面図である。図5(b)は、ZnOナノロッド50の上面図である。
【図6】酸化亜鉛(ZnO)とシリコン(Si)の結晶構造を示した図である。図6(a)は、酸化亜鉛35の結晶構造を示した斜視図である。図6(b)は、シリコン15の結晶構造を示した斜視図である。
【図7】電子放出特性を測定するための実験回路を示した図である。
【図8】図7の実験回路で測定した電子放出特性の測定結果を示した図である。
【図9】種々の電子放出素子の測定結果を示した表である。
【図10】比較例6の電子放出素子60aの予想形状図である。図10(a)は、電子放出素子60aの正面図である。図10(b)は、電子放出素子60aの上面図である。
【図11】実施例2に係る発光素子基板61を示した図である。図11(a)は、発光素子基板61の斜視図である。図11(a)は、発光素子基板61の側面図である。
【図12】実施例2に係る発光素子基板61の動作を説明するための図である。図12(a)は、発光素子基板61の動作状態の一例を示した図である。図12(a)と逆の状態の動作例を示した図である。
【図13】発光素子基板61の動作を交流電源101で行った場合の動作の説明図である。
【符号の説明】
【0089】
10、10a 基板
15 立方体の結晶構造
20、21、22 導電性膜
30 第1のロッド
35 六角形の結晶構造
40 第2のロッド
50 ZnOナノロッド
60、60a、60b 電子放出素子
70 反応管
71 基板載置台
72 熱電対
73 温度制御手段
74 加熱手段
75、76 ガス供給管
75a、76a、77a バルブ
77 排気管
80 陽極
90 電極対
95 電極室
100、101、101a、101b 電源
110 電圧計
120 電流計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を所定温度に制御し、該基板上に酸化亜鉛を成長させ、先端が上方を向いたナノロッドを形成する電子放出素子の製造方法であって、
融点が前記所定温度以上である前記基板を用意する工程と、
前記基板上に、融点が前記所定温度以上である導電性膜を形成する工程と、
該導電性膜上に、前記酸化亜鉛を前記所定温度よりも低い所定低温温度で成長させ、第1の直径を有する第1のロッドを形成する工程と、
前記所定温度で前記酸化亜鉛を成長させ、前記第1のロッドの先端上に、前記第1の直径よりも細い第2の直径を有する第2のロッドを形成する工程と、を含むことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
【請求項2】
前記基板は、導電性を有する基板であることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項3】
前記導電性を有する基板は、シリコン基板であることを特徴とする請求項2に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項4】
前記導電性膜は、金属膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項5】
前記金属は、金を含むことを特徴とする請求項4に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項6】
前記所定温度は、750℃を中心として±50℃の範囲内にあり、
前記所定低温温度は、450℃を中心として±50℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子放出素子の製造方法。
【請求項7】
導電性の基板と、
該導電性の基板の上に形成された導電性膜と、
該導電性膜上に直立して形成され、第1の直径を有する酸化亜鉛を含む第1のロッドと、
該第1のロッドの先端上に形成され、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する酸化亜鉛を含む第2のロッドと、を有することを特徴とする電子放出素子。
【請求項8】
前記導電性の基板は、シリコン基板であることを特徴とする請求項7に記載の電子放出素子。
【請求項9】
前記導電性膜は、金属膜であることを特徴とする請求項7又は8に記載の電子放出素子。
【請求項10】
前記金属膜は、金を含むことを特徴とする請求項9に記載の電子放出素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−135185(P2010−135185A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310284(P2008−310284)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】