説明

電子楽器

【課題】外部音源による音階付加機能を組み込む事で、高度な技能を用いずにテルミン等の古典電子楽器特有のポルタメントやハーモニック奏法を駆使可能な安価な電子楽器を実現する。
【解決手段】MIDI音源や外部音源インターフェイスとテルミン等、古典電子楽器をボコーダーに一体化する。電子楽器出力をボコーダーのボイス入力へ、MIDI音源や外部音源出力をボコーダーのキャリア入力へ接続する事で古典電子楽器特有の音調を維持しながら任意の旋律演奏を実時間で実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテルミン等、旋律演奏が困難な電子楽器において、その個性を失うことなく任意の音階を発音し旋律演奏を実現する回路構成に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、その独特な音調からテルミン等の古典電子楽器が多用されている。しかしこれらの古典楽器では一部の熟練者を除き旋律演奏が非常に困難である。
【0003】
テルミン等の古典電子楽器特有の音質を維持しながら正確な音階を得る為にはディジタル・サンプラーに音源として取り込んだ後、MIDI演奏する手法が一般に用いられるが、MIDIでの演奏ではアンテナを用いた演奏特有のポルタメントや広範囲な無段階グリッサンドを即興演奏する事が不可能である。
【0004】
この様にテルミン等の古典電子楽器においてはアンテナに手をかざして演奏する独特のスタイル維持が重要であり、この演奏スタイルを維持する限り容易な音階演奏は困難となる。
【0005】
特許文献1はアンテナ部から取り込んだ演奏データに応じて複数のMIDI音源を制御しようとするもの、特許文献2は発振器のチューニング・ドリフトを電子的に補正しようとするもの、特許文献3は演奏用アンテナ出力をカメラからの映像出力に置き換えたものであるが、いずれの方式においても固有の音質を生かした旋律演奏を実時間で行う事は非常に困難である。
【特許文献1】 特開2003−228370
【特許文献2】 特開2004−86118
【特許文献3】 特開2005−37758
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的はテルミン等、古典電子楽器固有の音調を有し演奏者がポルタメントやハーモニック奏法、広範囲な無段階グリッサンドを駆使しながら旋律の実時間演奏が可能な電子楽器を安価に提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
MIDI音源や外部音源インターフェイスとテルミン等、古典電子楽器をボコーダーに一体化する。電子楽器出力をボコーダーのボイス入力へ、MIDI音源や外部音源出力をボコ−ダーのキャリア入力へ接続する事で古典電子楽器特有の音調を維持しながら任意の旋律演奏を実時間で実現する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によればステージ上でパフォーマンス的に音調操作を行い極端なポルタメントやグリッサンドを行っても設定された旋律演奏が可能であり、音楽や電子楽器に関した知識を要せずに電子楽器演奏を楽しむ事が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
安価な電子楽器とする為にMIDI音源は旋律を付加する目的のみに用いる物とし、1チップマイコンとモバイル機器用の音源ICで構成される事が望ましい。ボコーダー回路はテルミンの音域に旋律を付加する目的から5バンドは必要で、アナログ回路では小型化が困難な為、コーデックICと汎用DSPでの実現が望ましい、テレミン回路はCMOSロジックを用いたものが最も安価であるが、最終的な音質を決定する事から用途に応じて各種回路を検討する事が望ましい。
【実施例】
【0010】
図1は最も安価な実施例である、テレミン回路(1)、MIDI音源(2)、ボコーダー回路(3)、テルミン出力ボコーダー出力混合切り替え手段(4)により構成する。
ボコーダーを通過したテルミン出力ではボコーダー特有の位相変調が加わる場合がある為、テレミン回路の原音混合や、原音とボコーダー出力を任意に切り替える構成とし位相変調による違和感を軽減した。演奏用モニター出力は演奏者がMIDI音をモニターしながら演奏する事で演奏する旋律上により効果的な表現を加える為に用いるものである。
【0011】
図2ではMIDI音源部に外部音源インターフェイスを増設している。MIDI音源では演奏者がMIDIコントローラーを操作しなければ即興演奏が困難な為、音声等の任意音源により旋律を与え即興演奏時の旋律変更を実現した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】音源にテルミンを用いた実施例1である。
【図2】音源にテルミンを用いた実施例2である。
【符号の説明】
【0013】
1 テルミンを音源とする電子楽器回路のブロック図表記
2 MIDI制御可能な電子楽器音源のブロック図表記
3 ボコーダー回路のブロック図表記
4 テルミン出力ボコーダー出力混合/切り替え手段のブロック図表記
5 MIDI音源出力外部音源出力混合/切り替え手段のブロック図表記

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テルミン回路出力をボコーダー回路へ入力する事によって旋律演奏を実現する事、およびボコーダー特有の位相変調音を軽減する目的で用いるテルミン出力ボコーダー出力混合切り替え手段を有する一体化された電子楽器。
【請求項2】
請求項1をディジタル信号処理(DSP)によって実現するバイナリーコードを含むソフトウェアおよび媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−72607(P2010−72607A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267957(P2008−267957)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(506302859)
【Fターム(参考)】