説明

電子機器、およびその製造方法

【課題】小型化を妨げることなく、検査用パッドを絶縁することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子部品11が表面に実装され、電子部品11を検査するための検査パッド12が表面に形成された第1のプリント基板1と、第1のプリント基板1よりも平面積が小さく、第1のプリント基板1に積層されて固定された第2のプリント基板2と、第2のプリント基板2の縁部から突出し、検査パッド12を覆う絶縁部材13と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機に代表される電子機器、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一つである携帯電話機は、一般的に、リジッド基板と、リジッド基板に積層されたリジッドフレキシブル基板と、を有する。各基板の表面には、電子機器を動作させるための電子部品が実装されている。リジッド基板に実装された電子部品と、リジッド基板リジッドフレキシブル基板に実装された電子部品とは、コネクタを通じて電気的に接続されている。
【0003】
上記のような構成の携帯電話機では、一般的に、リジッド基板の表面に検査パッドが形成されている(特許文献1参照)。検査パッドは、リジッド基板に実装された電子部品の動作を確認する検査工程で主に使用されるが、試作品の性能を評価したり、不良品を解析したりするときなどにも用いられる。
【0004】
検査パッドは、上述したように、リジッド基板に実装された電子部品を検査するときに必要な導電部材なので、リジッド基板にリジッドフレキシブル基板が積層されて固定されたとき、検査パッドが他の導電部品と接触すると、ショートが発生して動作不良や部品破壊を起こす可能性がある。そこで、図5に示すように、ケースで検査パッドを覆うことによって、検査パッドが他の導電部品に接触しないよう絶縁する技術が知られている。
【0005】
図5は、本発明に関連する電子機器の要部の構成を示す図である。図5(a)は、平面図であり、図5(b)は、側面図である。図5に示すように、リジッド基板101の表面には、電子部品102が実装され、電子部品102を検査するための検査パッド103が形成されている。検査パッド103は、ケース104に覆われている。図5に示すリジッド基板101には、検査パッド103がケース104に覆われた状態で、リジッドフレキシブル基板(不図示)が積層されて固定される。
【0006】
また、図6は、本発明に関連する他の電子機器の要部の構成を示す図である。図6(a)は、平面図であり、図6(b)は側面図である。なお、図5に示す電子機器と同様の構成要素については同じ符号を付している。図6に示す電子機器では、検査パッド103が、絶縁テープ105に覆われている。絶縁テープ105は、糊106によって、検査パッド103に貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−77810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図5に示すようにケース104を用いて検査パッド103を他の導電部品から絶縁する場合、ケース104が落下等の衝撃に十分に耐えられるような強度を確保するためにケース104の厚みや、幅を厚くしなければならない。このため、検査パッド103の周辺に広い面積が必要となる。
【0009】
一方、図6に示すように絶縁テープ105を用いる場合、糊106が吸湿等により導電性を有するようになる。そのため、糊106が他の導電部品と接触しないように、検査パッド103の周辺に、広いのりしろを確保する必要がある。
【0010】
携帯電話機等の電子機器は、小型化が求められているが、検査パッド103の周辺に広い面積を確保する必要があると、部品および配線のレイアウトに支障をきたし、小型化の妨げとなる。
【0011】
そこで、本発明は、小型化を妨げることなく、検査用パッドを絶縁することが可能な電子機器、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の電子機器は、電子部品が表面に実装され、前記電子部品を検査するための検査パッドが前記表面に形成された第1のプリント基板と、前記第1のプリント基板よりも平面積が小さく、前記第1のプリント基板に積層されて固定された第2のプリント基板と、前記第2のプリント基板の縁部から突出し、前記検査パッドを覆う絶縁部材と、を有する。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明の電子機器の製造方法は、第1のプリント基板と、前記第1のプリント基板よりも平面積が小さい第2のプリント基板と、を有する電子機器の製造方法において、前記第1のプリント基板の表面に電子部品を実装するとともに、前記電子部品を検査するための検査パッドを形成する工程と、絶縁性を備えたブリッジによって支持基板に支持された前記第2のプリント基板を形成する工程と、前記ブリッジを残した状態で前記第2のプリント基板を前記支持基板から切り離し、切り離した前記第2のプリント基板を前記第1のプリント基板に積層して固定するときに、前記検査パッドを前記ブリッジで覆う工程と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検査パッドの周辺に広い面積を確保しなくても検査パッドを絶縁できる。そのため、小型化を妨げることなく、検査用パッドを絶縁することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電子機器の一実施形態を示す電子機器の要部構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す電子機器の側面図である。
【図3】図1に示す電子機器に設けられた第1のプリント基板を形成する工程を説明するための平面図である。
【図4】図1に示す電子機器に設けられた第2のプリント基板を形成する工程を説明するための平面図である。
【図5】本発明に関連する電子機器の要部の構成を示す図である。
【図6】本発明に関連する他の電子機器の要部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の電子機器の一実施形態を示す電子機器の要部構成を示す平面図である。また、図2は、図1に示す電子機器の側面図である。本実施形態の電子機器10は、携帯電話機とする。
【0017】
図1に示す電子機器10は、第1のプリント基板1と、第1のプリント基板1よりも平面積が小さく、固定部材14を介して第1のプリント基板1に積層して固定された第2のプリント基板2と、を有する。本実施形態において、第1のプリント基板1は、リジッド基板であり、第2のプリント基板2は、リジッド部21と、リジッド部21に接続されたフレキシブル部22と、を有するリジッドフレキシブル基板である。なお、図2では、フレキシブル部22が第1のプリント基板1に接触している形態となっているが、フレキシブル部22は第1のプリント基板1に接触していなくてもよい。
【0018】
第1のプリント基板1の表面には、電子機器1を動作させるための種々の電子部品11が実装されている。電子部品11は、コネクタ13を介して、第2のプリント基板2のリジッド部21に実装された電子部品(不図示)と電気的に接続されている。コネクタ13は、一対になっており、一方が第1のプリント基板1に取り付けられ、他方がフレキシブル部22に取り付けられている。
【0019】
また、第1のプリント基板1の表面には、電子部品11を検査するための検査パッド12が形成されている。検査パッド12は、第2のプリント基板2のフレキシブル部22の縁部から突出した絶縁部材23に覆われている。これにより、検査パッド12が他の導電部品と接触しないように絶縁されている。
【0020】
以下、本実施形態の電子機器1の製造方法について説明する。
【0021】
まず、第1のプリント基板1を形成する工程について説明する。図3は、第1のプリント基板1を形成する工程を説明するための平面図である。
【0022】
第1のプリント基板1は、図3(a)に示すように、第1のプリント基板1と一体に形成されたブリッジ31によって、枠状の支持基板3に支持されている。なお、本実施形態では、ブリッジ31は、ポリイミドで形成されている。支持基板3に支持された状態で、第1のプリント基板1の表面に、電子部品11が実装されるとともに、検査パッド12が形成される。その後、検査パッド12を用いて、電子部品11が正常に動作していることを確認する検査が行われる。電子部品11の検査後、ブリッジ31を切断することによって、第1のプリント基板1が支持基板3から切り離される(図3(b)参照)。なお、本発明では、ブリッジ31の切断後に、電子部品11の検査を行うこととしてもよい。
【0023】
次に、第2のプリント基板2を形成する工程について説明する。図4は、第2のプリント基板2を形成する工程を説明するための平面図である。
【0024】
第2のプリント基板2は、リジッド部21と一体に形成されたブリッジ41、およびフレキシブル部22と一体に形成されたブリッジ42によって支持基板4に支持されている。そして、ブリッジ41を切断し、ブリッジ42を残した状態で第2のプリント基板2が支持基板4から切り離される(図4(b)参照)。その後、支持基板4から切り離された第2のプリント基板2は、支持基板3から切り離された第1のプリント基板1に積層して固定される。このとき、ブリッジ41が、上述した絶縁部材13として機能するので、検査パッド12が他の導電部品と接触しないように絶縁される。
【0025】
本実施形態によれば、上述したように、第1のプリント基板1が第2のプリント基板2に固定されるのに伴って、第1のプリント基板1に形成された検査パッド12が、第2のプリント基板2に形成された絶縁部材23(ブリッジ42)に覆われる。そのため、ケースを用いて検査パッド12を絶縁する場合に比べ、検査パッド12の周辺に広い面積を必要としないため、電子機器の小型化を妨げずに検査パッド12を絶縁することが可能となる。また、ケースを用いて検査パッド12を絶縁する場合には、ケースを設置する工程を経てから第1のプリント基板1を第2のプリント基板2に積層固定する工程が行われる。一方、本実施形態では、第1のプリント基板1を第2のプリント基板2に積層固定する工程の際に、検査パッド12が絶縁部材23(ブリッジ42)によって、覆われるので、工程数を削減も見込める。さらに、本来、第1のプリント基板1を支持基板4に支持するためのブリッジ42を、検査パッド12を絶縁するための部品として再利用することで、コストの削減も見込める。
【符号の説明】
【0026】
1 第1のプリント基板
2 第2のプリント基板
3、4 支持基板
10 電子機器
11 電子部品
12 検査パッド
13 コネクタ
14 固定部材
21 リジッド部
22 フレキシブル部
23 絶縁部材
31、41、42 ブリッジ
101 リジッド基板
102 電子部品
103 検査パッド
104 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が表面に実装され、前記電子部品を検査するための検査パッドが前記表面に形成された第1のプリント基板と、
前記第1のプリント基板よりも平面積が小さく、前記第1のプリント基板に積層されて固定された第2のプリント基板と、
前記第2のプリント基板の縁部から突出し、前記検査パッドを覆う絶縁部材と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記絶縁部材が、前記第2のプリント基板と一体に形成されたブリッジである、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1のプリント基板がリジッド基板であり、
前記第2のプリント基板が、リジッド部と、前記リジッド部に接続されたフレキシブル部と、を有するリジッドフレキシブル基板である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記絶縁部材が、前記フレキシブル部の縁部に形成されている、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
第1のプリント基板と、前記第1のプリント基板よりも平面積が小さい第2のプリント基板と、を有する電子機器の製造方法において、
前記第1のプリント基板の表面に電子部品を実装するとともに、前記電子部品を検査するための検査パッドを形成する工程と、
絶縁性を備えたブリッジによって支持基板に支持された前記第2のプリント基板を形成する工程と、
前記ブリッジを残した状態で前記第2のプリント基板を前記支持基板から切り離し、切り離した前記第2のプリント基板を前記第1のプリント基板に積層して固定するときに、前記検査パッドを前記ブリッジで覆う工程と、を有する電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−164856(P2012−164856A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24787(P2011−24787)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】