説明

電子機器の防水構造

【課題】新たに防水構造を設けることなく、簡単かつ確実に防水を図りながらフラットキーを設ける。
【解決手段】防水がなされたフラットキー21と、そのフラットキー21から引き出した電気的接続線(FPC)22と他の電気的接続線とを集合させた電気的接続線(FPC)13と、フラットキー21を固定するとともに、前記集合させた電気的接続線(FPC)13を導入する導入口16を備えたケース7と、前記集合させた電気的接続線(FPC)13と導入口16の間の防水を図る防水部材17とを設ける。フラットキー21は、ケース7の側面に設けられるサイドキーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型などの電子機器の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計において、ケースの外部に凹部を設け、この凹部にシートキーを配置して接着するものがある(特許文献1参照)。そのシートキーの電極端子は凹部に設けられた挿通孔を通して内部に導かれ回路基板と電気的に接続されている。
【0003】
また、図9は従来の一例としてサイドキーの防水構造を示したもので、下ケース91の側面に形成した穴部に、金属及びゴム一体のサイドキーパッキン92を嵌め込んで、キートップ93を押すとサイドキーパッキン92を介して、下ケース91内のキースイッチ94が押される。図中、95は上ケース、96はケースパッキン、97は下カバーである。
【特許文献1】実公平6−23992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構造は、ケースの外部に凹部を設け、この凹部にフラットキーの電極端子を通す挿通孔を形成しているため、防水を図るにはシートキーを凹部に確実に接着する必要がある。すなわち、凹部内に水などが入らないようにするため、シートキーを凹部の全周に亘って完全に接着しなければ防水が図れないものであり、接着が非常に面倒でありながら、接着不良により防水不良を招きかねないものであった。
【0005】
また、図9のサイドキーの防水構造は、下ケース91の側面に形成した穴部において、サイドキーパッキン92の防水気密のための圧縮面が必要で、キートップ93を押すストローク方向に厚みの必要な構造となり、筐体の幅が増加してしまう。従って、フラットキーの防水構造が望まれる。
【0006】
本発明の課題は、新たに防水構造を設けることなく、簡単かつ確実に防水を図りながらフラットキーを設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、防水がなされたフラットキーと、前記フラットキーから引き出した電気的接続線と他の電気的接続線とを集合させた電気的接続線と、前記フラットキーを固定するとともに、前記集合させた電気的接続線を導入する導入口を備えたケースと、前記集合させた電気的接続線と前記導入口の間の防水を図る防水部材とを設けた構成の電子機器の防水構造を特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器の防水構造であって、前記フラットキーは、前記ケースの側面に設けられるサイドキーであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子機器の防水構造であって、前記ケースは内部ケースであって、前記フラットキーと対向してキー釦を配置するとともに、前記フラットキーから引き出した電気的接続線を引き回して、これらキー釦と電気的接続線とを、前記内部ケースに外部ケースを重ねて組み合わせることで固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器の防水構造であって、前記導入口は、折り畳み式本体を連結するヒンジ部側に設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電子機器の防水構造であって、前記他の電気的接続線は、一方の本体内部の表示装置と他方の本体内部の基板とを電気的に接続することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子機器の防水構造であって、前記ケースは外部ケースであって、前記フラットキーと対向してキー釦を配置するとともに、前記フラットキーから引き出した電気的接続線を引き回して、これらキー釦と電気的接続線とを、前記外部ケースに他の外部ケースを重ねて組み合わせることで固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フラットキーから引き出した電気的接続線を他の電気的接続線と集合させて既存の防水構造を利用することで、新たに防水構造を設けることなく、簡単かつ確実に防水を図りながらフラットキーを設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成として携帯電話機を示したもので、1は操作側本体、2は表示側本体、3はヒンジ部、4はキー操作部、5はサイドキー、6は表示装置である。操作側本体1及び表示側本体2はヒンジ部3を介して折り畳み自在に連結され、操作側本体1には内表面のキー操作部4及び側面のサイドキー5等が設けられ、表示側本体2には内表面に画面が開口する表示装置6が設けられている。
【0015】
図2及び図3は操作側本体1を示したもので、図示のように、操作側本体1は、内部ケースである下ケース7を、外部ケースである上ケース8及び下カバー9で覆って構成されている。下ケース7内には、キー操作部4のシートキー11等が収容され、シートキー11上に膜状のケースパッキン12が重ねられる。ケースパッキン12には、キー操作部4のキー釦が一体に形成されている。
【0016】
さらに、下ケース7内には、電気的接続線が形成された帯状のFPC(フレキシブル配線基板)13が導入されている。このFPC13は、図4に示すように、両端部にコネクタ14・15を備えて、その一方のコネクタ14が下ケース7の前記ヒンジ部3側に形成した導入口16から内部に導入されている。そして、導入口16には防水部材、すなわち、FPC13に一体化して備えられた防水パッキン17が嵌め込まれている。なお、FPC13の他方のコネクタ15側にも防水パッキン18が一体化して備えられている。
【0017】
そして、FPC13には、フラットキー21を備えてそのフラットキー21から引き出された電気的接続線を形成したFPC22が一体に形成されている。このFPC22はFPC13より幅が細い帯状のものである。
フラットキー21は、図5及び図6に示すように、幅の広い帯状のFPC23の一半部に複数(図示例では三個)の電極端子24を有して、FPC23の他半部には電極端子24に対応するスイッチ部25を有するものである。すなわち、フラットキー21は、電極端子24及びスイッチ部25を内側にしてFPC23を折り畳んで構成される防水スイッチである。
【0018】
以上のフラットキー21の電極端子24につながる電気的接続線が一体のFPC22に形成されている。このFPC22は、前記FPC13の中間部で防水パッキン17の近傍に一体に連続している。すなわち、FPC22・23の電気的接続線がFPC13で他の電気的接続線と集合している。
なお、フラットキー21のスイッチ部25に対応してキートップ26が用意される。
【0019】
図7はサイドキー5の防水構造を示したもので、下ケース7の側面に形成した凹部27にフラットキー21が両面テープ28で貼り付けられている。そして、凹部27内において、フラットキー21のスイッチ部25に対応する位置にキートップ26が配置されており、キートップ26は上カバー8により抜け止めされている。
なお、下ケース7内には、回路基板31及びシールドケース32等が収容されて、その反対側に電池33等が収容されており、34は電池蓋である。
【0020】
以上において、FPC13のコネクタ14が回路基板31の端子部に接続されている。そして、FPC13は、防水パッキン17・18の間において前記ヒンジ部3のヒンジ軸の周囲を、図示のようにループ状に囲んで配置され、前記表示側本体2内にコネクタ18側が導入されている。コネクタ18は表示装置6の端子部に接続される。
【0021】
以上のように、操作側本体1のサイドキー5において、その防水構造のフラットキー21から引き出した帯状のFPC22を、操作側本体1内の回路基板31と表示側本体2内の表示装置6とを電気的に接続する帯状のFPC13に集合(あるいは分岐)させたため、その集合させたFPC13をケース7の導入口16に防水パッキン17を介して導入した既存の防水構造を利用できる。
従って、サイドキー5として、新たに防水構造を設けることなく、フラットキー21を簡単かつ確実に防水を図りながら設けることができる。
しかも、フラットキー21によるサイドキー5のため、操作側本体1の幅も抑えることができる。
【0022】
(実施形態2)
図8は実施形態2のサイドキー5の防水構造を示したもので、ケース41の側面に形成した凹部42にフラットキー21が両面テープ43で貼り付けられている。そして、凹部42内において、フラットキー21のスイッチ部25に対応する位置にキートップ44が配置されており、キートップ44は下カバー45により抜け止めされている。
なお、31は回路基板、35はシールドケース、46は上カバーである。
このようなサイドキー5の防水構造によっても、前述した実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0023】
なお、以上の実施形態においては、携帯電話機としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、クロック、ウォッチ、カメラ、PDA、ウェアラブルパソコンなどの電子機器であっても良い。
また、実施形態では、電気的接続線を有するものとしてFPCとしたが、基板や電気コードであってもよい。
さらに、フラットキーの形状や構造等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0024】
例えば、フラットキーとしては、必ずしもキー釦(キートップ)は必要ではなく、フラットキーだけでもよく、この場合は入力位置に釦イメージや機能名などを印刷しておいてもよい。
また、他の電気的接続線としては、表示装置との接続に限らず、例えば反対側面のサイドキーやスピーカ、マイク、カードスロット、電源端子などとの接続であってもよい。
また、フラットキーはサイドキーに限らず、装置の前面に設けられた操作キーであってもよい。
また、導入口はヒンジ部側以外にあってもよく、例えばケース側面に導入口を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、携帯電話機を示した斜視図である。
【図2】図1の操作側本体のみを示した斜視図である。
【図3】図2の操作側本体の分解斜視図である。
【図4】図3の下ケース及び電気的接続線の分解斜視図である。
【図5】図4の電気的接続線の拡大図である。
【図6】図5のフラットキーの展開図である。
【図7】実施形態1のサイドキーの防水構造を示した断面図である。
【図8】実施形態2のサイドキーの防水構造を示した断面図である。
【図9】従来の一例としてサイドキーの防水構造を示した断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 操作側本体
2 表示側本体
3 ヒンジ部
4 キー操作部
5 サイドキー
6 表示装置
7 内部ケース
8・9 外部ケース
11 シートキー
12 ケースパッキン
13 FPC(電気的接続線)
14・15 コネクタ
16 導入口
17・18 防水部材
21 フラットキー
22・23 FPC(電気的接続線)
24 電極端子
25 スイッチ部
26 キートップ
27 凹部
28 両面テープ
31 回路基板
41・45 外部ケース
43 両面テープ
44 キートップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水がなされたフラットキーと、
前記フラットキーから引き出した電気的接続線と他の電気的接続線とを集合させた電気的接続線と、
前記フラットキーを固定するとともに、前記集合させた電気的接続線を導入する導入口を備えたケースと、
前記集合させた電気的接続線と前記導入口の間の防水を図る防水部材とを設けたことを特徴とする電子機器の防水構造。
【請求項2】
前記フラットキーは、前記ケースの側面に設けられるサイドキーであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の防水構造。
【請求項3】
前記ケースは内部ケースであって、前記フラットキーと対向してキー釦を配置するとともに、前記フラットキーから引き出した電気的接続線を引き回して、これらキー釦と電気的接続線とを、前記内部ケースに外部ケースを重ねて組み合わせることで固定したことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器の防水構造。
【請求項4】
前記導入口は、折り畳み式本体を連結するヒンジ部側に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器の防水構造。
【請求項5】
前記他の電気的接続線は、一方の本体内部の表示装置と他方の本体内部の基板とを電気的に接続することを特徴とする請求項4に記載の電子機器の防水構造。
【請求項6】
前記ケースは外部ケースであって、前記フラットキーと対向してキー釦を配置するとともに、前記フラットキーから引き出した電気的接続線を引き回して、これらキー釦と電気的接続線とを、前記外部ケースに他の外部ケースを重ねて組み合わせることで固定したことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器の防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−85140(P2008−85140A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264634(P2006−264634)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】