説明

電子機器

【課題】
放送局側の利益と、使用者の使い勝手とを両立させることができる電子機器を提供する。
【解決手段】
テレビジョン信号に対応する画像データをFROM51に記憶するまではユーザーの自由にゆだねるが、それに基づき画像を表示することは、所定の条件が成立した場合に限ることで、ユーザーの使い勝手と放送局側の利益の両立を図っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機能及びテレビジョン受信機能を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像機能付き携帯電話が急速に発達し、例えば200万画素の固体撮像素子を搭載したものも市販されている。一方、TVチューナーを内蔵した携帯電話も登場するようになった(非特許文献1)。将来的には、アナログ放送のみならずデジタル放送も視聴できるようになることが予想される。
【非特許文献1】http://www.vodafone.jp/japanese/products/kisyu/v401t/index.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、現在放送されている番組は、視聴者の視聴を目的としているので、視聴者が視聴するのは自由であるともいえる。しかしながら、放送されている番組の一部を記録することは、著作物の複製に相当する場合があるため、無制限に記録できるようにすると、放送局側の利益が確保できない恐れがある。一方、放送された番組の記録を全て禁止すると、使用者の利便が図れない。
【0004】
本発明は、これらの課題に鑑みてなされたものであり、放送局側の利益と、使用者の使い勝手とを両立させることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子機器は、撮像を行って画像信号を生成する撮像部と、テレビジョン信号を受信し、前記テレビジョン信号から画像信号を生成するチューナ部と、前記撮像に基づく画像と、前記テレビジョン信号に基づく画像との少なくとも一方を表示する表示部と、前記撮像部により生成された画像信号を第1の画像データとして、また前記チューナ部により生成された画像信号を第2の画像データとして記憶する記憶部と、を有する電子機器であって、所定の条件が満たされたときに、前記記憶部より、前記第2の画像データが読み出されて、それに基づき前記表示部が画像を表示する。まず電子機器のユーザーは、前記表示部により、ストリーミング的に表示される前記テレビジョン信号に基づく画像を任意に視聴できるが、それにより放送局側の利益が損なわれることはない。又、前記テレビジョン信号に対応する画像データを、前記記憶部に記憶したとしても、それが再度表示されなければ、それにより放送局側の利益が損なわれることはないと考えられる。しかしながら、前記記憶部に記憶された前記第2の画像データを読み出して無制限に表示できるとすると、放送局側の利益を損ねる恐れがある。そこで、前記第2の画像データを前記記憶部に記憶するまではユーザーの自由にゆだねるが、それに基づき画像を表示することは、所定の条件が成立した場合に限ることで、ユーザーの使い勝手と放送局側の利益の両立を図っている。尚、所定の条件が成立したときとは、例えば放送局側より画像の表示と引き替えに課金を行うようにした場合に、ユーザーが規定の料金を払ったようなときをいう。本明細書中、「画像」というときは、静止画像の他、音声なし動画像及び音声付き動画像を含むものとする。また、本明細書においては、画像信号を処理することで、画像データとしているが、既に処理された画像信号は、画像データと同じものとして扱うものとする。
【0006】
前記記憶部は、着脱可能なメモリと、着脱不能なメモリとを含み、前記所定の条件が満たされたときに、前記第2の画像データは、前記着脱可能なメモリに記憶されると好ましい。所定の条件が成立していない段階で、前記第2の画像データを、前記着脱可能なメモリに記憶でできるとすると、前記電子機器より取り外したメモリを介して、そこに記憶された前記第2の画像データが無制限に流出する恐れがあるからである。
【0007】
前記第1の画像データは、前記着脱可能なメモリと、前記着脱可能なメモリの少なくとも一方に記憶されると好ましい。ユーザーが自ら撮影した画像に関しては、原則としてユーザーが自由に取り扱えるからである。
【0008】
前記第2の画像データは、付帯情報として前記テレビジョン信号に基づく画像に関する情報を含み、前記所定の条件が満たされたか否かに関わらず、前記表示部は、前記テレビジョン信号に基づく画像に関する情報を表示すると好ましい。どのような画像データが前記記憶部に記憶されているかわからないと、例えばユーザーが見たい画像を選択できないからである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放送局側の利益と、使用者の使い勝手とを両立させることができる電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態にかかる電子機器の例としての、撮像機能付き携帯電話Tの正面図(a)及びその背面図(b)である。かかる携帯電話Tについて説明する。図1に示すように、携帯電話Tは、表示画面(表示部ともいう)174を備えたケースとしての上筐体171と、操作ボタン群16を備えた下筐体172とがヒンジ173を介して連結されている。レンズとCCDとを含む撮像部100は、上筐体171の内表面側(表示画面174を有する側)の表示画面174の下方に内蔵されており、撮像部100内へと、レンズ42(図2)を介して上筐体171の外表面から光を取り込めるようになっている。
【0011】
下筐体172の側面には、モードスイッチ41が配置されている。モードスイッチ41は、図に示す中央位置から上方スライド可能となっており、一度スライドするごとに、制御部8がモードを、「通話モード」→「カメラ撮影モード」→「カメラ再生モード」→「TV放映モード」→「TV再生モード」→「通話モード」と順次ロータリー式に切り替えるようになっている。通話モードでは、ユーザーは携帯電話Tを用いて通話を行うことができる。カメラ撮影モードでは、ユーザーはレリーズスイッチRの操作により撮像が可能となる。カメラ再生モードでは、ユーザーは記憶部に記憶された画像データに基づきカメラ画像を表示画面174に表示できる。テレビ放映モードでは、ユーザーは、TVチューナ部50(図2)で生成した画像信号に基づいて、表示画面174にストリーミング的に表示されるテレビ映像を視聴できる。テレビ再生モードでは、所定の条件下、ユーザーは、記憶部に記憶された画像データに基づき、表示画面174に表示されるテレビ画像を視聴できる。
【0012】
図2は、本実施の形態にかかる撮像機能付き携帯電話Tの構成を示すブロック図である。通話モードが設定されている場合、図2において、送話部2では、例えばコンデンサマイク21などから使用者の発する音声が、このマイク21を介して音声信号に変換された後、音声コーデック11、チャネルコーデック12、変調部22を介して送信部23へ出力され、SWIC13によりダイバーシティアンテナ14から、外部の電話機等を介して通話相手へ送信される。又、通信手段である送信部23は、所定の条件下、制御部8からの指示により、記憶部(又はメモリともいう)であるFROM51又は着脱可能なメモリカード7に記憶された画像に対応する画像データを、メール添付して外部の端末へと送信できるようになっている。
【0013】
一方、受話部3では、通話相手からの送信信号を前述のダイバーシティアンテナ14を介してSWIC13により受信部31で受信すると、復調部32、チャネルコーデック12、音声コーデック11を介して通話相手の音声がレシーバ33やスピーカ34などから聞き取れるように構成されている。
【0014】
TVチューナ部(チューナ部ともいう)50は、不図示のアンテナを介してテレビジョンのアナログ放送信号もしくはデジタル放送信号(これらを総称してテレビジョン信号という)を取得し、それに基づき画像信号を生成する。かかる画像信号は、制御部8で画像処理されて、表示画面174に入力されて可視画像として表示される。又、画像信号(及びそれが処理された画像データ)には、その画像に対応する情報(例えば、「放送局名」「番組タイトル」、「放映日時」)などが付帯情報として含まれる。
【0015】
撮像素子を含む撮像部100は、図2に示すように、表示画面174や操作ボタン群16を設けた前面側とは反対の背面側にレンズ42を設けており、カメラモードが設定されている場合、撮影した画像がこのレンズ42を介してCCDなどの撮像素子43に結像するので、そこから出力される画像信号を取得できるようになっている。尚、図示していないが、レンズ42は合焦位置になるよう光軸方向に駆動可能な構成となっている。また、この実施形態の撮像部100は、カメラモード時に、操作ボタン群16のうちレリーズスイッチRを操作することで、撮像処理を行い、それにより得られた画像信号を画像処理して、カードコントローラ52により選択されたFROM51又はメモリカード7に、対応する画像データが記憶されるようになっている。尚、ここで画像処理とは、例えば撮像部100又はチューナ部50から得られた画像信号に対し、輝度と色差からなるビデオ信号に変換し、規格化された圧縮方式を使用し圧縮処理を施して画像データを得るための処理をいう。なお画像処理は本方式に限ったものでなく、要は、記憶部へ記憶するために、画像信号に何らかの処理を使用して得られたデータを画像データとして扱うものとする。
【0016】
着脱不能なFROM51(第1メモリ)と着脱可能なメモリカード7(第2メモリ)は、撮像部100で撮像した画像に対応する画像データを記憶しておくためのものであるが、図3に示す実施の形態では、テレビジョン信号に基づく画像に対応する画像データはFROM51のみに記憶される。尚、これ以外に、制御部8はワークメモリを有している。このワークメモリは、後述のプレビュー表示のために画像信号に所定の処理を施す場合や、メモリカード7へ記憶するために画像信号へ所定の画像処理を行う場合に、一時的に記録するためなどに使用されるものである。
【0017】
図3は、本実施の形態にかかる撮像機能付き携帯電話Tの動作の一例を示すフローチャート図である。携帯電話Tの使用者がパワースイッチをオンにすると、制御部8は、初期設定で通話モードを設定するので、ユーザーは通話を行うことができる。ここで、モード変更を所望するユーザーが、モードスイッチ41を操作したものとする。
【0018】
それに応じて、制御部8は、モードスイッチ41からの信号に基づいて、「カメラ撮影モード」、「カメラ再生モード」、「TV放映モード」、「TV再生モード」のいずれかが設定されたか判定する(ステップS101、S102,S109)。まず、カメラ撮影モードが設定されたと判定する(ステップS102)と、制御部8は、ステップS103でレリーズスイッチR(S1)がオン操作されるのを待ち、そのオン操作に応じて、ステップS104で撮像部100からの画像信号を取得して画像処理を行って画像データ(第1の画像データ)を生成し、ステップS105で、予め記憶先として設定されているFROM51又はメモリカード7に記憶する。例えば、レリーズスイッチRが瞬時押圧された場合には、その瞬間の静止画像に対応する画像信号が画像データとされ、レリーズスイッチRが一定期間押圧された場合には、その期間の動画に対応する画像信号が画像データとされるものとする。
【0019】
一方、カメラ再生モードが設定されたと判定すると(ステップS102)、制御部8は、ステップS106で、予め読み出し先として設定されているFROM51又はメモリカード7から、最も新しく記憶された画像データを読み出して、ステップS107で、表示画面174に可視画像として表示する。尚、レリーズスイッチRを上下に操作することで、コマごとに画像を選択表示できる(ステップS108)。
【0020】
これに対し、TV放映モードが設定されたと判定すると(ステップS109)、制御部8は、ステップS110で、TVチューナ部50で生成した画像信号に基づいて、表示画面174にストリーミング的に画像を表示する。ここで、レリーズスイッチR(S1)がオン操作された場合(ステップS111)、制御部8は、そのオン操作に応じて、ステップS112で、テレビジョン信号に基づく画像信号に画像処理を行って画像データ(第2の画像データ)を生成し、ステップS113で、FROM51に記憶するが、メモリカード7に記憶しない。但し、所定の条件が成立した場合、テレビジョン信号に対応する画像データをメモリカード7に記憶することもできる。例えば、レリーズスイッチRが瞬時押圧された場合には、その瞬間の静止画像に対応するテレビジョン信号が画像データとされ、レリーズスイッチRが一定期間押圧された場合には、その期間の動画に対応するテレビジョン信号が画像データとされるものとする。
【0021】
更に、TV再生モードが設定されたと判定すると(ステップS109)、制御部8は、ステップS114で、FROM51から、最も新しく記憶された画像データの付帯情報を読み出して、表示画面に、それに対応する情報を表示する(図4参照)。ユーザーが、番組のタイトル名などを見ることで、再生を所望する画像を選択できる(ステップS115)。レリーズスイッチRを上下に操作することで、表示される情報を、対応する画像データごとに選択表示できるようになっている。
【0022】
ここで、ユーザーがレリーズスイッチRを押圧するなどして、FROM51に記憶された画像データを選択しても、それに基づき、直ちに画像を視聴することができない。これを自由に視聴できるとすると、放送局側の利益が図れない恐れがあるからである。そこで、制御部8は、例えば表示画面174に、「キー情報を入力してください」などの表示を行い、ユーザーに視聴を行うためのキー情報の入力を求める。このようなキー情報は、ユーザーが放送局側に視聴料金を払う(携帯電話の口座から自動的に引き落とされる場合を含む)ことで、所定の暗号情報(例えば数字の組み合わせ)を割り当てられるものとする。
【0023】
ステップS116で、ユーザーが入力部である操作ボタン群16を用いて入力したキー情報が、元々のテレビジョン信号に含まれたキー情報とが一致していれば、認証が正しく行われた(即ち所定の条件が成立した)ものと判断し、制御部8は、ステップS118で、FROM51に記憶された対応する画像データを読み出して、表示画面174において、可視画像として表示する。それにより携帯電話の使用者は、記憶されたテレビ番組を視聴できる。次のテレビ番組を視聴したければ、ユーザーは、ステップS115からのステップを繰り返し、視聴したくなければ、モードを変更すればよい(ステップS119)。
【0024】
これに対し、入力されたキー情報と、テレビジョン信号に含まれたキー情報とが一致しなければ、認証が正しく行われなかったものと判断し、制御部8は、ステップS117で、「キー情報が正しくありません」等の警告表示を、表示画面174に行わせ、テレビジョン信号に基づく画像を表示しない(モザイク等をかけることを含む)。
【0025】
本実施の形態によれば、テレビジョン信号に対応する画像データをFROM51に記憶するまではユーザーの自由にゆだねるが、それに基づき画像を表示することは、所定の条件が成立した場合に限ることで、ユーザーの使い勝手と放送局側の利益の両立を図っている。
【0026】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、電子機器とは、携帯電話に限らず、PDA(Personal Digital(Data) Assistants)など全ての電子機器を含むが、携帯可能なものであると好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態にかかる携帯電話Tの正面図(a)及びその背面図(b)である。
【図2】本実施の形態にかかる携帯電話Tの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態にかかる携帯電話Tの動作の一例を示すフローチャート図である。
【図4】表示画面に表示された情報の例を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
7 メモリカード
11 音声コーデック
12 チャネルコーデック
14 ダイバーシティアンテナ
16 操作ボタン群
21 コンデンサマイク
21 マイク
22 変調部
23 送信部
31 受信部
32 復調部
33 レシーバ
34 スピーカ
42 レンズ
43 撮像素子
50 TVチューナ部
51 FROM
100 撮像装置
174 表示画面
R レリーズスイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像を行って画像信号を生成する撮像部と、
テレビジョン信号を受信し、前記テレビジョン信号から画像信号を生成するチューナ部と、
前記撮像に基づく画像と、前記テレビジョン信号に基づく画像との少なくとも一方を表示する表示部と、
前記撮像部により生成された画像信号を第1の画像データとして、また前記チューナ部により生成された画像信号を第2の画像データとして記憶する記憶部と、を有する電子機器であって、
所定の条件が満たされたときに、前記記憶部より、前記第2の画像データが読み出されて、それに基づき前記表示部が画像を表示することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記記憶部は、着脱可能なメモリと、着脱不能なメモリとを含み、前記所定の条件が満たされたときに、前記第2の画像データは、前記着脱可能なメモリに記憶されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の画像データは、前記着脱可能なメモリと、前記着脱可能なメモリの少なくとも一方に記憶されることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の画像データは、付帯情報として前記テレビジョン信号に基づく画像に関する情報を含み、前記所定の条件が満たされたか否かに関わらず、前記表示部は、前記テレビジョン信号に基づく画像に関する情報を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−33110(P2006−33110A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205457(P2004−205457)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(303000419)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】