説明

電子機器

【課題】 カードがコネクタのスロットに斜めに挿入される状態といった正しくない挿入状態を検出する電子機器を提供する。
【解決手段】 基板に取付けられたコネクタと、このコネクタに挿入されるカードと、前記コネクタのスロットの底部の一端にある第1のカード検出手段と、前記スロットの底部の他端にある第2のカード検出手段と、これら2つの検出手段の信号を受け前記カードが前記スロットに正しく挿入されていることを検出するコントローラとを備えたことを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に係り、特に、カードを挿抜するコネクタのスロットを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやサーバーといった電子機器では、基板等における必要機能、性能の実装方法として、その機能、性能を担うカードを基板上のコネクタのスロットへ挿入することが行われている。カードを対応するスロットへ挿入する場合には正しく挿入する必要がある。しかし実際には、カードがスロットの奥まで入らない、あるいはカードがスロットに斜めに挿入されることがある。このときカードは例えスロットから電源供給が行われたとしても動作が不安定であり必要な機能、性能を発揮できない場合があり、更にカード等の回路への異常なストレスにより回路寿命の短縮を招く可能性があり、正しく挿入されているか否かを検出できることが望ましい。更には、検出結果に基づいてカードが正しく実装されていないことによって接触不良やショートを起こしている場合に電源および信号を流さないようすることが求められる。
【0003】
例えば特開平8−202474号公報(特許文献1)によるものは、システム本体とモジュールをつなぐコネクタ部に関わるものであるが、スイッチ等の挿抜検出手段と完全な挿入の検出手段との2段階の検出手段を有し、この2つの検出手段の検出状態の組合わせにより電源供給を制御しようとするものである。
【0004】
即ちこの従来の電子機器においては、検出対象として挿入の深さを2段階検出する機能を用いている。そこでは挿入の深さは2段階のいずれに関してもそれぞれの検出手段により1箇所でしか検出されていない。このため、本発明で着目するカードがスロットに斜めに挿入される状態といった箇所によって挿入の深さが異なるような、正しくない挿入状態を検出することができなかった。
【特許文献1】特開平8−202474号公報(第5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、カードがコネクタのスロットに斜めに挿入される状態といった正しくない挿入状態を検出する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、基板に取付けられたコネクタと、このコネクタに挿入されるカードと、前記コネクタのスロットの底部の一端にある第1のカード検出手段と、前記スロットの底部の他端にある第2のカード検出手段と、これら2つの検出手段の信号を受け前記カードが前記スロットに正しく挿入されていることを検出するコントローラとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カードがコネクタのスロットに斜めに挿入される状態といった正しくない挿入状態を検出する電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
本発明による電子機器の実施例1を図1乃至図7を参照して説明する。
図1は電子機器の例としてノートブック型パーソナルコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。即ち、この電子機器は、ノートブック型パーソナルコンピュータ10として実現されている。
【0010】
本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、TFT−LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれている。
【0011】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対して開放位置と閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10を電源オン/オフするためのパワーボタン14、入力操作パネル15、およびタッチパッド16などが配置されている。
【0012】
入力操作パネル15は、押されたボタンに対応するイベントを入力する入力装置であり、複数の機能をそれぞれ起動するための複数のボタンを備えている。これらボタン群には、TV起動ボタン15A、DVD/CD起動ボタン15Bも含まれている。TV起動ボタン15Aは、TV放送番組データの再生及び記録を行うためのTV機能を起動するためのボタンである。TV起動ボタン15Aがユーザによって押下された時、TV機能を実行するためのTVアプリケーションプログラムが自動的に起動される。
【0013】
本コンピュータにおいては、汎用の主オペレーティングシステムの他に、AV(オーディオ・ビデオ)データを処理するための専用の副オペレーティングシステムがインストールされている。TVアプリケーションプログラムは、副オペレーティングシステム上で動作するプログラムである。
【0014】
パワーボタン14がユーザによって押下された時、主オペレーティングシステムが起動される。一方、TV起動ボタン15Aがユーザによって押下された時は、主オペレーティングシステムではなく、副オペレーティングシステムが起動され、そしてTVアプリケーションプログラムが自動的に実行される。副オペレーティングシステムはAV機能を実行するための最小限の機能のみを有している。このため、副オペレーティングシステムのブートアップに要する時間は、主オペレーティングシステムのブートアップに要する時間に比べて遙かに短い。よって、ユーザは、TV起動ボタン15Aを押すだけで、TV視聴/録画を即座に行うことが出来る。
【0015】
DVD/CD起動ボタン15Bは、DVDまたはCDに記録されたビデオコンテンツを再生するためのボタンである。DVD/CD起動ボタン15Bがユーザによって押下された時、ビデオコンテンツを再生するためのビデオ再生アプリケーションプログラムが自動的に起動される。このビデオ再生アプリケーションプログラムも、副オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムである。DVD/CD起動ボタン15Bがユーザによって押下された時は、主オペレーティングシステムではなく、副オペレーティングシステムが起動され、そしてビデオ再生アプリケーションプログラムが自動的に実行される。
【0016】
図2は、電子機器であるパーソナルコンピュータ10の機能構成図である。
本コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU111、ノースブリッジ112、主メモリ113、グラフィクスコントローラ114、CPU111とノースブリッジ112と主メモリ113とから成るソフト処理部115、サウスブリッジ119、BIOS−ROM120、ハードディスク/光ディスクドライブ(HDD/DVD)121、キャプチャーユニット122、およびエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)123等を備えている。
【0017】
CPU111は本コンピュータ10の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、ハードディスク/光ディスクドライブ(HDD/DVD)121から主メモリ113にロードされる、主オペレーティングシステム/副オペレーティングシステム、および各種アプリケーションプログラムを実行する。
【0018】
アプリケーションプログラムには、映像データをキャプチャーユニット122によって取り込む機能、代表として受信されたTV放送番組データに含まれる映像データを高画質化するための機能を有している。
【0019】
また、CPU111は、BIOS−ROM120に格納されたシステムBIOS(Basic Input Output System)も実行する。システムBIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0020】
ノースブリッジ112はCPU111のローカルバスとサウスブリッジ119との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ112には、主メモリ113をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ112は、AGP(Accelerated Graphics Port)バスなどを介してグラフィクスコントローラ114との通信を実行する機能も有している。
【0021】
グラフィクスコントローラ114は本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。このグラフィクスコントローラ114はビデオメモリ(VRAM)114Aに書き込まれた映像データからLCD17に送出すべき表示信号を生成する。
【0022】
サウスブリッジ119は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、およびPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ119は、HDD/ODD121を制御するためのIDE(Integrated
【0023】
Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ119は、キャプチャーユニット122を制御する機能、およびBIOS−ROM120をアクセス制御するための機能も有している。
【0024】
HDD/ODD121は、各種ソフトウェア及びデータをハードディスクに格納する記憶装置であり、またビデオコンテンツが格納されたDVD、CDなどの記憶メディアを駆動するためのドライブユニットである。キャプチャーユニット122は、TV放送番組のような放送番組データを外部から受信することを代表的な機能とする装置である。
【0025】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)123は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13およびタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)123は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。さらに、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)123は、ユーザによるTV起動ボタン15A、DVD/CD起動ボタン15Bの操作に応じて、本コンピュータ10をパワーオンすることもできる。
【0026】
以下はコンピュータ10におけるPCIバス等上の各デバイスにおける、スロットへのカードの挿抜に関する。PCIバスにはキャプチャーユニット122の他にテレビジョン映像の視聴に用いるチューナユニットのようなものも接続される。またPCIバス以外では、主メモリ113の増設等のために行われるバスのスロットへのカードの挿抜に関しても同様である。
【0027】
図3は、電子機器の内部の基板201の上にカード増設用などのために実装されたスロット202と、スロット202に実装するカード203の概略斜視図である。カード203は例えば1mm程度の厚みを有している。
【0028】
図3のA−A'上方のスロット202の断面、カード203の表面を正面から見たものが図4である。スロット202の内部のスロット底部204にスイッチ205およびスイッチ206を配置し、カード203が奥まで実装されたことを検出する。スイッチがスロット底部204の両側2箇所にあることによって、カード203のスロット202への挿入部分であるカード接触部207が均等に正しく奥まで実装されたことを検出することができる。カード接触部207はカード203の両面に銅でパターン配線されその上に金メッキされた構成である。
【0029】
図5は使用するスイッチの斜視図である。(a)はマイクロスイッチで(b)はタクトスイッチで、上部のアクチュエータとして前者はローラを後者は押しボタン状のものを用いられている。いずれもモーメンタリ動作形の、例えば押されている間だけONとなり押されなくなるとOFFに戻るタイプのものである。図4及び以降の説明ではマイクロスイッチを用いている。
【0030】
図6はスイッチ部分の拡大図である。スロット202にカード接触部207を実装する。カード接触部207の先端部の位置をCとすると、bがカード接触部207の実装可能な一番奥の部分(最深部)となる。スイッチ209はスイッチ205又はスイッチ206を表し、カード接触部207の先端部Cがaの位置まで来るとこれを検出することができる。スロット202の性質によってはカード接触部207の先端部Cがaの位置まで来れば良く、aからbの間は「あそび」部分となっているものもある。この場合はスイッチ209はカード接触部207の先端部Cがaの位置まで来ればこれを実質的に奥まで来たと検出することができ、aからbの位置までは引き続きこれを検出することができるものである。
【0031】
図7はカード接触部207がスロット202の一番奥まで実装された状態を示す図である。スイッチ9はカード接触部207が一番奥まで実装されていることを検出している。
【0032】
図8は本実施例の機能ブロック図である。スロット214はスロット202に対応し、スイッチ215はスイッチ205に又スイッチ216はスイッチ206に対応している。
【0033】
スロット214と、スロット214に接続されている電源および信号を制御するコントローラ217に、スロット内部のスイッチ215およびスイッチ216が接続されている。スイッチ215およびスイッチ216が、スロット214にカード203が奥まで正しく実装されていることが検出されない場合、コントローラ217はスロット214に電源および信号を送信しない。このためスロット214にカードが正しく実装されていないことによって接触不良やショートを起こしている場合に電源および信号を流さないような安全装置として機能する。
【0034】
本実施例の図4、図6および図7において、スイッチ205,206,209はボタン式のスイッチに限らず、例えばフォトダイオードを配置してカード接触部207の有無を検出する、といったようにスイッチ205,206,209の形状や機構は特に問わず、スイッチ205,206,209はカード接触部207を検出することができることができる機構に置き換えて別の実施例として構成してもよい。フォトダイオードを用いる例としては所謂フォトインタラプタの反射型のものを用いて、カード接触部207の端がスロット底部204に近接することを検知するように構成してもよい。
【0035】
図8において、スロット214に接続されている電源および信号の規格として活線挿抜が可能である場合(たとえばPCIのホットプラグ機能)、コントローラ217がスイッチ215およびスイッチ216を検出することによって活線挿抜機構として使用することができる。
【0036】
以下2つの場合に関して動作を説明する。
安全装置として使用する場合:
コントローラ217が、リセット信号Enable時にスロット214への出力を一切停止させるような仕様であればスイッチ215および216の結果をANDしてコントローラ217のリセット信号とすることによって検出し、スイッチ215または216が解放されている時はスロット214への出力が停止される。つまり、スイッチの結果をリセット信号に使用する。
【0037】
活線挿抜機構として使用する場合:
たとえばPCIのホットスワップ装置では、スイッチ215および216の結果をANDしてコントローラ217のスロット214に対するイネーブル信号を管理する端子に接続することによって検出し、スイッチ215または216が解放されている時はスロット214に対する活線挿抜のためのスイッチとして使用することができる。つまり、スイッチの結果を活線挿抜のイネーブル信号に使用する。例えば故障したカードを抜去り、代わって新しい正常のカードを挿入する場合に有効である。
【0038】
以上の効果として、カードがスロットに正しく均等に奥まで実装されていることを検出することができる。また、活線挿抜機構を省スペースで実装することができる。
変形としては、実施例のカードに換わりピンを有するオスのコネクタを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による電子機器の実施例1の斜視図。
【図2】電子機器の実施例1の機能構成図。
【図3】電子機器の実施例1の電子機器内部の概略斜視図。
【図4】電子機器の実施例1の電子機器内部の断面図1。
【図5】電子機器の実施例1のスイッチの斜視図。
【図6】電子機器の実施例1の電子機器内部の断面図2。
【図7】電子機器の実施例1の電子機器内部の断面図3。
【図8】電子機器の実施例2の電子機器内部の機能ブロック図。
【符号の説明】
【0040】
10 コンピュータ
13 キーボード(KB)
17 LCD
111 CPU
113 主メモリ
114 グラフィクスコントローラ
114A VRAM
115 ソフト処理部
119 サウスブリッジ
120 BIOS
121 ハードディスク/光ディスクドライブ(HDD/DVD)
122 キャプチャーユニット
123 エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)
201 基板
202 スロット
203 カード
204 スロット底部
205 スイッチ
206 スイッチ
207 カード接触部
209 スイッチ
214 スロット
215 スイッチ
216 スイッチ
217 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取付けられたコネクタと、
このコネクタに挿入されるカードと、
前記コネクタのスロットの底部の一端にある第1のカード検出手段と、
前記スロットの底部の他端にある第2のカード検出手段と、
これら2つの検出手段の信号を受け前記カードが前記スロットに正しく挿入されていることを検出するコントローラとを
備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記コントローラは前記第1のカード検出手段と前記第2のカード検出手段の信号が共にカード検出との結果の場合にのみ、前記カードがスロットに正しく挿入されていると検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
基板に取付けられたコネクタと、
このコネクタに挿入されるカードと、
前記コネクタのスロットの底部の一端にある第1のカード検出手段と、
前記スロットの底部の他端にある第2のカード検出手段と、
これら2つの検出手段の信号を受け前記カードが前記スロットに正しく挿入されていることを検出するコントローラとを
備え前記コントローラはこの検出結果に基づいて前記カードへの電源供給を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
基板に取付けられたコネクタと、
このコネクタに挿入されるカードと、
前記コネクタのスロットの底部の一端にある第1のカード検出手段と、
前記スロットの底部の他端にある第2のカード検出手段と、
これら2つの検出手段の信号を受け前記カードが前記スロットに正しく挿入されていることを検出するコントローラとを
備え前記コントローラはこの検出結果に基づいて前記カードへの活線挿抜を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
基板に取付けられたコネクタと、
このコネクタに挿入されるカードと、
前記コネクタのスロットの底部でかつ前記カードの幅方向の一端に対向する位置に配置された第1のカード検出手段と、
前記スロットの底部でかつ前記カードの幅方向の前記一端と反対側の一端に対向する位置に配置された第2のカード検出手段と、
これら2つの検出手段の信号を受け前記カードが前記スロットに正しく挿入されていることを検出するコントローラとを
備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−87072(P2007−87072A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274497(P2005−274497)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】