説明

電子装置、および、プログラム

【課題】移動体通信端末で利便性の高い購入制限解除を実現する。
【解決手段】電子マネー機能を有する移動体通信端末100は、カメラやICタグリーダライタによって構成される商品情報取得部160により、商品に付されている商品情報を取得する。取得した商品情報が購入制限品を示す場合、制御部110は、当該購入制限品に対する購入制限を解除するか否かを指定する解除許否情報を、当該移動体通信端末100を使用する制限対象者、もしくは、当該制限者についての権限保有者が使用する移動体通信端末100から取得し、購入制限品を示す商品情報と対応づけて記憶部180に格納する。制御部110は、記憶部180に格納した情報に基づいて、商品情報取得部160が取得した商品情報が示す商品を電子マネー機能によって購入する際の購入制限をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、および、プログラムに関し、特に、電子マネー機能利用時に好適な電子装置、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗での買い物などで、数千円程度の少額の支払いが可能な電子マネーによるプリペイド(前払い)機能を備えた携帯電話などの移動体通信端末が実現されている。
【0003】
このような移動体通信端末は電子決済が可能な店舗レジ端末にかざすだけで、貨幣をもたないで支払いができる。このため、未成年者であっても自由に酒類やタバコなどの購入の支払いに用いることができるので、予めその商品の支払いに電子マネーの使用制限、つまり購入制限を行うことが求められている。しかしながら、予め特定商品を一律に購入制限にしてしまうと、未成年者(特に小中学生など)が、親などの保護者から購入制限対象である商品の買い物を依頼されたときにも電子マネーによる支払いができず、購入することができなくなってしまう。
【0004】
そこで、特許文献1に、保護者は購入制限対象の買い物を依頼する際に、その商品を購入制限対象から一時的に取り消しを行う手法が提案されている。
また、特許文献2に、購入者が買い物の商品の支払い、つまり決済を行うために電子マネー対応携帯電話をかざした際、店舗レジ端末は購入者の保護者に販売可否の問い合わせを行い、保護者から許可応答があった場合には電子マネーから支払いを行えるようにした手法が提案されている。
【特許文献1】特開2005−149258号公報
【特許文献2】特開2001−326719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では、保護者により規定された商品購入制限の解除も、予め保護者が行う必要がある。つまり、購入者が購入制限対象の買い物に行く前に、保護者により制限解除がなされていないと購入制限対象製品を購入することができない。
【0006】
また、特許文献2の手法では、商品の決済の際に購入解除の問い合わせ要求は店舗レジ端末によりおこなわれるので、商品解除要求に対する応答時間が必要となり、店舗レジ端末の処理が長くなり、混雑を生じる問題がある。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、移動体通信端末などの携帯型電子装置での効率的な電子決済を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる電子装置は、
電子マネー機能を有する電子装置であって、
商品に付されている商品情報を取得する商品情報取得手段と、
前記商品情報取得手段が取得した商品情報が所定の購入制限品を示す場合、当該購入制限品に対する購入制限を解除するか否かを指定する解除許否情報を取得する解除許否情報取得手段と、
前記購入制限品を示す商品情報と、前記解除許否情報とを対応づけて記憶する制限解除情報格納手段と、
前記制限解除情報格納手段が記憶する情報に基づいて、前記商品情報取得手段が取得した商品情報が示す商品を前記電子マネー機能によって購入する際の購入制限をおこなう購入制限手段と、を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
上記電子装置において、
前記解除許否情報取得手段は、
前記購入制限品を示す商品情報を、通信ネットワークを介して他の電子装置に送信して、購入制限の解除許否を要求する解除許否要求手段をさらに備え、
前記解除許否要求手段による要求に応じて前記他の電子装置から送信された解除許否情報を、前記通信ネットワークを介して受信することで取得することが望ましい。
【0010】
上記電子装置において、
前記解除許否情報取得手段は、
前記購入制限品を示す商品情報を当該電子装置で出力して、該電子装置の使用者に通知する購入制限品通知手段をさらに備え、
前記購入制限品通知手段による通知に応じた前記電子装置の使用者による操作に基づく解除許否情報を取得することが望ましい。
【0011】
上記電子装置において、
前記商品情報取得手段は、
コードシンボルを読み取るコードシンボル読取手段を備え、
コードシンボルによって提供される前記商品情報を取得することが望ましい。
【0012】
この場合、
前記コードシンボルによって提供される商品情報は、さらなる商品情報を取得するためのアドレス情報を含み、
前記商品情報取得手段は、前記コードシンボルから読み取った商品情報に前記アドレス情報が含まれている場合、当該アドレスに通信ネットワークを介してアクセスすることで前記商品情報を取得する通信手段をさらに備えることが望ましい。
【0013】
上記電子装置において、
前記商品情報取得手段は、
ICタグと通信するリーダ手段をさらに備え、
ICタグによって提供される前記商品情報を取得することが望ましい。
【0014】
上記電子装置において、
前記購入制限手段は、前記制限解除情報格納手段が記憶する情報を、前記電子マネー機能によって外部の決済装置に送信することが望ましい。
【0015】
上記電子装置は、移動体通信端末とすることができる。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかるプログラムは、
電子マネー機能を有する電子装置を制御するコンピュータに、
商品に付されている商品情報を取得する機能と、
取得した商品情報が所定の購入制限品を示す場合、当該購入制限品に対する購入制限を解除するか否かを指定する解除許否情報を取得する機能と、
前記購入制限品を示す商品情報と、前記解除許否情報とを対応づけて記憶装置に格納する機能と、
前記記憶装置に格納した情報に基づいて、前記取得した商品情報が示す商品を前記電子マネー機能によって購入する際の購入制限をおこなう機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、より利便性の高い電子マネー決済を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、図面を参照して本発明にかかる実施形態を説明する。まず、本実施形態にかかる電子決済システムについて図1を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる電子決済システム1の構成を模式的に示す図である。
【0019】
本実施形態にかかる電子決済システム1は、移動体通信端末100を用いて購入商品の支払いをプリペイド形式の電子マネーを用いて決済するためのシステムであり、図1に示すように、通信ネットワーク10、店舗通信網20、移動体通信端末100、店舗レジ端末200、センタサーバCS、などから構成される。
【0020】
本実施形態では、例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどといった、一の事業体が複数の店舗を運営している形態の小売事業者の店舗において、移動体通信端末100の使用者が商品を購入する場合を想定する。この場合において、各店舗に設置されている店舗レジ端末200は、店舗内の各店舗レジ端末200を管理する店舗サーバSSに接続され、例えば、販売価格情報などといったPOS(Point Of Sales)に関する情報などの送受をおこなう。さらに、各店舗の店舗サーバSSは、店舗通信網20を介してセンタサーバCSに接続されているものとする。このセンタサーバCSは、例えば、当該小売事業者の本部などで運用されるサーバ装置であり、各店舗の売上情報などを店舗サーバSSから取得する他、各店舗で販売している商品の商品情報の提供などをおこなう。
【0021】
本実施形態にかかる移動体通信端末100は、例えば、移動体通信網(セルラ網)やインターネットなどといった通信ネットワーク10を介しておこなう音声通話やデータ通信などの通信機能を基本機能として有する他、電子マネー決済機能と、店舗などで販売されている商品についての商品情報を取得する機能を備えている。すなわち、店舗において商品を購入する者が、本実施形態にかかる移動体通信端末100を所持している場合、購入する商品の商品情報を移動体通信端末100で取得することができる他、店舗レジ端末200での会計の際に、移動体通信端末100を使った電子マネー決済によって支払をおこなうことができる。
【0022】
本実施形態において、移動体通信端末100が取得する商品情報は、店舗で販売されている商品自体に付されているものとする。本実施形態では、各商品に付されている商品情報は、例えば、2次元コードなどといった光学的読取によって情報を取得することができる形態の表示(コードシンボル)によって表されているものとする。このような商品情報は、例えば、その商品の製造販売者によって商品のパッケージなどに表示される他、販売している店舗が商品情報表示を作成して各商品に貼付するなどして、販売商品に付されているものとする。
【0023】
商品に付されている商品情報に含まれる情報は、例えば、当該商品の種別を示す商品種別コードや当該商品を示す商品コードなどであるものとする。本実施形態では、これらの基本的な商品情報の他に、さらなる商品情報を取得するためのアドレス情報が商品情報として2次元コードに含まれているものとする。このアドレス情報は、移動体通信端末100が通信によって商品情報を取得するためのアドレス情報であり、例えば、センタサーバCSや、商品の製造販売者による商品情報サーバIS(図1参照)にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)などであるものとする。
【0024】
この場合において、例えば、商品情報が当該商品の製造販売者によって付されている商品には、その製造販売者の商品情報サーバISにアクセスするためのアドレス情報が2次元コードに含まれ、店舗または店舗を運営している小売事業者によって商品情報が付されている商品には、センタサーバCSにアクセスするためのアドレス情報が2次元コードに含まれているものとする。
【0025】
このような電子決済システム1の各構成の詳細を以下説明する。まず、本実施形態にかかる移動体通信端末100について説明する。本実施形態にかかる移動体通信端末100は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PHS(Personal Handyphone System)などといった移動体通信用の端末装置(電話機)である。
【0026】
本実施形態にかかる移動体通信端末100の構成を、図2を参照して説明する。図2は移動体通信端末100の構成を示すブロック図である。図示するように、移動体通信端末100は、制御部110、通信制御部120、操作部130、表示部140、音声処理部150、商品情報取得部160、電子マネー処理部170、記憶部180、などから構成される。
【0027】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)などから構成され、所定の動作プログラムを実行することで移動体通信端末100の各部を制御する。すなわち、移動体通信端末100の各構成は制御部110によって制御されるとともに、各構成間の情報伝達などは制御部110を介しておこなわれる。
【0028】
通信制御部120は、移動体通信端末100による無線動作を行う装置であり、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)方式などの通信方式を用いた通信装置などで構成され、当該通信方式に対応したアンテナ121による無線送受信をおこなうことで、近傍の基地局と無線通信をおこなう。すなわち、通信制御部120により、通信ネットワーク10への無線アクセスが実現される。この無線アクセスにより、移動体通信端末100の音声通話機能が実現される他、メール送受信機能を含むデータ通信機能が実現される。
【0029】
操作部130は、移動体通信端末100の外面上に構成されたボタンやキーなどから構成され、移動体通信端末100のユーザによって操作される。操作部130は、各ボタンやキーなどと接続された入力回路などを備え、ユーザの操作に応じた入力信号を生成して制御部110に入力する。
【0030】
表示部140は、例えば、液晶表示装置などから構成された表示出力装置であり、制御部110の制御によって画像などを表示出力する。本実施形態では、移動体通信端末100の電子マネー機能によって決済される商品情報などを表示出力する。
【0031】
音声処理部150は、例えば、音声データ用のコーデック回路などから構成され、移動体通信端末100の音声入力、音声出力にかかる処理をおこなう。すなわち、通信制御部120で受信したデジタル音声データをアナログ音声信号に変換してスピーカ151から出力する受話動作や、マイクロフォン152から入力されたユーザの発話音声をデジタル音声データに変換して通信制御部120に送出する送話動作などをおこなう。
【0032】
商品情報取得部160は、購入する商品に付されている商品情報を取得するためのものであり、本実施形態では、撮像装置(カメラ)によって構成されるものとする。この撮像装置は、例えば、レンズや撮像素子などを含んだデジタルカメラモジュールなどで構成され、入光に応じた信号生成による撮像動作をおこなう。本実施形態では、販売商品に付されている商品情報を示す表示(例えば、2次元コードなど)を撮像するために用いられるものとする。
【0033】
電子マネー処理部170は、移動体通信端末100の電子マネー機能にかかる近接無線通信をおこなうためのものであり、例えば、FeliCa(商標)などの非接触型ICカードに用いられるようなICチップやアンテナコイルなどから構成される。この場合、外部のリーダライタからの無線電波によって電子マネー処理部170が励起され、当該リーダライタとの無線通信をおこなう。
【0034】
記憶部180は、例えば、フラシュメモリなどの記憶装置から構成され、制御部110が実行する動作プログラムを格納する他、本発明を実現するために必要な種々のデータを格納する。本実施形態では、図2に示すように、購入制限情報格納領域181、購入対象情報格納領域182、制限解除情報格納領域183、電子マネー情報格納領域184、プログラム格納領域185、などの記憶領域で構成される。
【0035】
購入制限情報格納領域181は、店舗等で販売される商品のうち、例えば、酒類やタバコなどといった、購入もしくは使用に年齢制限などの制限がある商品(以下、「購入制限品」とする)を示す情報が格納される。本実施形態では、図3(a)に示すような購入制限品テーブルが購入制限情報格納領域181に格納される。
【0036】
図示するように、購入制限品テーブルには、購入制限品に対応する商品種別コードや対応する名称などが記録されている。この購入制限品テーブルは、例えば、移動体通信端末100の製造者や販売者によって予め設定することができる他、移動体通信端末100の契約者などによって作成・編集することができるものとする。また、本実施形態における商品種別コードや商品コードは、例えば、JANコードなどといった、規格化されたコードであるものとする。
【0037】
本実施形態では、年齢制限によって未成年者の購入が禁止されている商品が購入制限品テーブルに記録されているものとする。そして、移動体通信端末100の使用者が、例えば、未就学児や児童などといった、このような購入制限品の年齢制限に該当する年齢の者など(以下、「制限対象者」とする)であることを想定する。
【0038】
この場合、購入制限品テーブルを作成・編集できる者は、当該制限対象者ではなく、例えば、制限対象者の親などといった、制限対象者を監督する立場にあり、制限対象者による移動体通信端末100の利用にかかる制限などに権限を有する者(以下、「権限保有者」とする)であるものとする。この場合、制限対象者が使用する移動体通信端末100は、例えば、権限保有者による契約によって利用可能となっているものとし、購入制限品テーブルには、例えば、パスワードなどを用いた認証によって、権限保有者のみがアクセスできるように設定されているものとする。
【0039】
以下、本実施形態において、制限対象者が移動体通信端末100を用いて店舗で商品を購入する場合を想定する。この場合において、制限対象者が商品購入に使用する移動体通信端末100を「購入者端末100」とし、当該制限対象者についての権限保有者が使用する移動体通信端末100を「権限者端末100」とする。なお、購入者端末100と権限者端末100の構成は同一であるものとする。また、購入者端末100と権限者端末100とは、それぞれの通信機能によって、通信ネットワーク10などを介して互いに通信可能であるものとする。
【0040】
購入対象情報格納領域182は、制限対象者が購入者端末100を用いて商品購入する際に取得した商品情報を格納する。本実施形態では、図3(b)に示すような購入予定品テーブルが購入対象情報格納領域182に格納される。図示するように、購入予定品テーブルには、購入予定商品の商品情報として、商品種別コード、商品種別名、商品コード、商品名や価格などの詳細情報、商品情報の提供元にアクセスするためのアドレス情報、商品画像、などが、これらの商品情報を取得した日時情報とともに記録される。
【0041】
本実施形態では、上述したように、商品に付されている2次元コードによって商品情報が示されている。2次元コードから直接的に得られる情報は、通常、一定量の文字情報になるので、例えば、商品種別コードや商品コード、商品種別名、詳細情報、および、さらなる商品情報を得るためのアドレス情報、などが、当該2次元コードから直接的に得られた情報として、購入予定品テーブルに記録されるものとする。また、商品画像などが、取得したアドレス情報を用いた通信(すなわち、センタサーバCSまたは商品情報サーバISへのアクセス)によって得られた情報として購入予定品テーブルに記録されるものとする。
【0042】
制限解除情報格納領域183は、購入対象商品に購入制限品が含まれている場合に、その購入制限の解除にかかる情報を格納する。本実施形態では、図4(a)に示すような制限解除設定テーブルや、図4(b)に示すような解除許否テーブルなどが制限解除情報格納領域183に格納される。
【0043】
制限解除設定テーブルには、制限解除にかかる設定情報が記録される。ここでは、図4(a)に示すように、制限解除をおこなうか否かの設定や、制限解除をおこなう場合の承認方法の設定、権限保有者が使用する権限者端末100にアクセスするためのアドレス情報などが記録される。この制限解除設定テーブルに記録される情報の変更などをおこなえる者は、例えば、パスワードによる認証などによって権限保有者に制限されているものとする。
【0044】
解除許否テーブルには、購入予定品テーブルに記録された購入商品のうちの購入制限品について、制限解除の許否を示す情報が記録される。ここでは、図4(b)に示すように、購入制限品に該当する商品のレコードが購入予定品テーブルから転記されるとともに、各レコードに、当該商品について、購入制限解除の許否を示す承認フラグが記録される。この承認フラグは、「0」と「1」の2値で示され、「0」は制限解除の拒否(購入制限する)を示し、「1」は制限解除の許可(購入制限しない)を示すものとする。
【0045】
電子マネー情報格納領域184は、移動体通信端末100の電子マネー機能にかかる情報を格納する。すなわち、利用可能な電子マネーの金額を示す情報や、電子マネーを用いた取引履歴などが記録される。
【0046】
プログラム格納領域185は、制御部110が実行するプログラムを格納するための領域である。プログラム格納領域には、移動体通信端末100全体の動作を制御するための基本ソフトウェア(いわゆる、OS)や、移動体通信端末100の種々の機能を実現するためのアプリケーションソフトなどが格納される。本実施形態では、制御部110がプログラム格納領域185に格納されているプログラムを実行することで、本実施形態にかかる処理を実行するために必要な構成が実現される。
【0047】
本実施形態では、プログラム格納領域185に格納されているプログラムを制御部110が実行することで、図5に示すような機能が実現されるものとする。図5は、本実施形態にかかる移動体通信端末100の商品情報取得機能や電子マネー決済機能が実行される際に実現される機能を示す機能ブロック図である。図示するように、制御部110は、商品情報処理部111、購入制限処理部112、決済処理部113、などとして機能する。
【0048】
商品情報処理部111は、商品情報取得部160や通信制御部120との協働により、商品に付されている2次元コードなど撮像や、当該撮像によって得られたアドレス情報に基づく通信をおこなうことで購入対象商品の商品情報を取得して、購入対象情報格納領域182に格納する。
【0049】
購入制限処理部112は、商品情報処理部111が取得した商品情報に基づいて、購入対象商品に購入制限品が含まれているか判別するとともに、購入制限品についての制限解除にかかる処理をおこなう。ここでは、制限解除情報格納領域183に格納されている設定情報に基づいて、当該移動体通信端末100の使用者に警告をおこなったり、権限保有者の権限者端末100と通信して制限解除の許否を求める動作をおこなう。
【0050】
決済処理部113は、電子マネー処理部170との協働により、店舗レジ端末200との間で電子マネー決済をおこなうとともに、制限解除がなされていない商品についての決済を禁止する処理をおこなう。
【0051】
本実施形態では、プログラムの実行により、図5に示す各機能が制御部110によって論理的に実現されるものとするが、これらの各機能を、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)などのハードウェアによって構成してもよい。
【0052】
また、上述した各構成は、移動体通信端末100を本発明にかかる電子装置として機能させるために必要な構成であり、移動体通信端末としての基本機能や付加機能にかかるその他の構成については、必要に応じて備えられているものとする。
【0053】
次に店舗レジ端末200について説明する。上述したように、店舗レジ端末200は、例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどといった店舗において会計処理をおこなう決済装置であり、本実施形態では、移動体通信端末100が備えている、非接触型ICによる電子マネー機能に対応した電子マネー決済機能を有しているものとする。
【0054】
このような店舗レジ端末200の構成を、図6を参照して説明する。図6は店舗レジ端末200の構成を示すブロック図である。図示するように、店舗レジ端末200は、制御部210、非接触型ICチップリーダライタ部220、操作部230、表示部240、POS処理部250、記憶部260、などから構成される。
【0055】
制御部210は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)などから構成され、所定の動作プログラムを実行することで店舗レジ端末200の各部を制御する。すなわち、店舗レジ端末200の各構成は制御部210によって制御されるとともに、各構成間の情報伝達などは制御部210を介しておこなわれる。
【0056】
非接触型ICチップリーダライタ部220は、移動体通信端末100の電子マネー処理部170に対応したリーダライタである。すなわち、電子マネー処理部170と非接触通信するための無線電波を発信し、非接触型ICチップリーダライタ部220に近接した移動体通信端末100の電子マネー処理部170を励起させることで、電子マネー処理部170との間で電子マネー決済にかかる無線通信をおこなう。
【0057】
操作部230は、店舗レジ端末200のキーボードであり、ボタンやキーなどから構成され、店舗従業員によって操作される。操作部230は、各ボタンやキーなどと接続された入力回路などを備え、ユーザの操作に応じた入力信号を生成して制御部210に入力する。
【0058】
表示部240は、例えば、液晶表示装置などから構成された表示出力装置であり、制御部210の制御によって画像などを表示出力する。本実施形態では、店舗レジ端末200の電子決済機能によって決済される商品やその決済情報などを表示出力する。
【0059】
POS処理部250は、顧客による購入対象商品について、いわゆるPOS(Point Of Sales)システムによる会計処理をおこなうものであり、例えば、バーコードリーダーなどといった商品情報読取装置や店舗サーバSSと通信するための通信装置などから構成される。この場合、購入対象商品の商品コードなどを読み取り、店舗内のコンピュータ装置に商品コードと対応づけて記憶されている商品名情報や販売価格情報を取得することで、購入対象商品の販売価格を計上する。
【0060】
記憶部260は、例えば、フラシュメモリなどの記憶装置から構成され、制御部210が実行する動作プログラムを格納する他、本発明を実現するために必要な種々のデータを格納する。
【0061】
以上のような構成を有する電子決済システム1の動作を以下説明する。ここでは、未成年者などの制限対象者が移動体通信端末100(購入者端末100)を携行して店舗に赴き、当該購入者端末100の電子マネー機能を用いて商品を購入する場合を例に説明する。この場合、制限対象者は、権限保有者から依頼された購買行動をおこなうものとする。
【0062】
このとき、制限対象者は、依頼された商品の会計をおこなう前に、購入者端末100を用いて、購入予定商品の商品情報を取得する。この場合に実行される「商品情報取得処理(1)」を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。この商品情報取得処理(1)は、例えば、購入者端末100のメニュー画面などから、商品購入が指定されたことを契機に開始される。
【0063】
処理が開始されると、商品情報処理部111は、商品情報取得部160を制御しカメラを起動させる(ステップS101)。カメラが起動すると、商品情報取得部160によって生成された画像信号を制御部110で処理することにより、レンズへの入射光に応じた、いわゆるスルー画像を表示部140に表示する。
【0064】
購入者端末100の使用者は、表示部140に表示されるスルー画像を見ながら、購入予定商品に付されている2次元コードを撮影する。商品情報処理部111は、商品情報取得部160から順次入力される画像信号に基づいて画像処理をおこない、2次元コードが撮像されたか否かを判別する(ステップS102)。ここでは、2次元コードに含まれている切り出しシンボルなどに基づいて、2次元コードが撮像されたか否かを判別する。
【0065】
2次元コードが撮像された場合(ステップS102:Yes)、商品情報処理部111は、撮像された2次元コードの読取をおこなって商品情報を取得する(ステップS103)。この場合、商品情報処理部111は、2次元コードの読取によって得られた商品種別コードや商品コードなどを購入対象情報格納領域182に格納するとともに、読み取った2次元コードにURLなどのアドレス情報が含まれているか否かを判別する(ステップS104)。
【0066】
アドレス情報が含まれている場合(ステップS104:Yes)、商品情報処理部111は、通信制御部120を制御し、当該アドレス情報に基づく通信をおこなう。ここでは、センタサーバCSまたは商品情報サーバISにアクセスして、詳細情報や商品画像などを含む商品情報をダウンロードし(ステップS105)、購入対象情報格納領域182に格納する。
【0067】
このようにして、購入者端末100の使用者は、購入予定商品に付されている2次元コードを順次撮影する。すべての購入予定商品についての2次元コードを撮影すると、購入者端末100の使用者は、操作部130を構成する所定のボタンなどを操作することで、商品情報の取得終了を指示する。この場合、操作部130から制御部110に入力された入力信号に基づいて、商品情報処理部111は、商品情報の取得が完了したか否かを判別する(ステップS106)。
【0068】
商品情報の取得が完了すると(ステップS106:Yes)、商品情報処理部111は、本処理を終了するとともに、その旨を購入制限処理部112に通知する。
【0069】
購入制限処理部112は、商品情報処理部111からの通知に応じて、「購入制限解除処理」を実行する。この購入制限解除処理を、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0070】
処理が開始されると、購入対象情報格納領域182にアクセスし、今回記録された商品情報から商品種別コードを取得する。購入制限処理部112はさらに、購入制限情報格納領域181にアクセスし、取得した商品種別コードが購入制限品として登録されているか否かを判別することで、購入予定商品に購入制限品が含まれているか否かを判別する(ステップS201)。
【0071】
購入制限品が含まれている場合(ステップS201:Yes)、購入制限処理部112は、購入対象情報格納領域182の購入予定品テーブルから、購入制限品に該当するレコードを抽出して、制限解除情報格納領域183に新規の解除許否テーブルを作成する。購入制限処理部112はさらに、制限解除情報格納領域183の制限解除設定テーブルにアクセスし、購入制限の解除に関する承認をおこなう者が権限保有者に設定されているか否かを判別する(ステップS202)。購入制限解除に関する承認を権限保有者がおこなうよう設定されている場合(ステップS202:Yes)、購入制限処理部112は、制限解除情報格納領域183に記録されている権限者端末100のアドレス情報を取得し、通信制御部120を制御して権限者端末100と通信することで、制限対象者が購入しようとしている商品に購入制限品が含まれていることを権限保有者に通知する(ステップS203)。
【0072】
本実施形態では、購入制限解除のための共通のアプリケーションによって、購入者端末100と権限者端末100との間で通信がおこなわれるものとする。この場合、購入者端末100からは、購入制限解除の許否問い合わせである旨とともに、制限解除情報格納領域183の解除許否テーブルに記録された商品についての、例えば、商品コード、商品種別名、詳細情報(商品名や価格)、商品画像、など(以下、「許否対象情報」とする)を、通信制御部120の動作によって権限者端末100に送信する。
【0073】
この場合、権限者端末100では、購入者端末100から送信された許否対象情報を受信すると、制御部110によって対応するアプリケーションが起動され、図9(a)に示すような制限解除許否画面14Aを、例えば、ポップアップ表示によって表示部140に表示する。図示するように、権限者端末100で表示される制限解除許否画面には、対象となる商品の商品種別名、商品名、価格などの情報とともに、商品画像が表示される。また、いわゆるソフトウェアボタンにより、当該商品の購入についての「拒否」、「承認」を示すボタンが表示される。
【0074】
権限者端末100の使用者(すなわち、権限保有者)は、表示された商品情報に基づいて購入制限を解除するか判断する。例えば、権限保有者が制限対象者に購入を依頼した商品であれば、購入制限を解除する。この場合、権限保有者は、権限者端末100の操作部130を操作し、「承認」ボタンを選択する。一方、表示された商品が依頼した商品ではない場合などは、購入制限を解除しない。この場合、権限保有者は、操作部130の操作により「拒否」ボタンを選択する。
【0075】
このような権限保有者の操作により、表示した商品を示す商品コードと許否結果(以下、「承認情報」とする)が、権限者端末100の通信制御部120により、購入者端末100に送信される。
【0076】
購入者端末100では、権限者端末100から送信された承認情報を通信制御部120が受信すると(ステップS204:Yes)、制御部110に入力する。購入制限処理部112は、制限解除情報格納領域183にアクセスし、受信した承認情報に基づいて、解除許否テーブルの承認フラグを設定する(ステップS205)、処理を終了する。
【0077】
この場合、受信した承認情報が、購入の承認を示すもの(すなわち、購入制限の解除)であれば、当該商品の承認フラグに「1」を設定し、承認情報が購入の拒否を示すもの(すなわち、購入制限の維持)であれば、当該商品の承認フラグに「0」を設定する。
【0078】
一方、制限解除にかかる承認方法として、権限保有者ではなく制限対象者本人によって承認することが設定されている場合(ステップS202:No)、購入制限処理部112は、図9(b)に示すような制限解除許否画面14Bを、購入者端末100の表示部140に表示する。図示するように、制限解除許否画面14Bには、購入予定の商品に購入制限品が含まれている旨と、当該商品の商品情報を表示される。これにより、購入予定商品の中に購入制限品が含まれていることが制限対象者に通知される。
【0079】
また、制限対象者が選択するソフトウェアボタンとして、例えば、「解除」、「解除しない」、「確認」などが表示される。つまり、制限対象者自身が購入制限を解除するか否かを判断し、これらのボタンを選択する。
【0080】
ここで、ボタン「解除」は、表示された商品の購入制限を解除する場合に選択する。例えば、権限保有者などから予め依頼された商品であることを制限対象者自身が確認できる場合などに「解除」を選択する。
【0081】
また、ボタン「解除しない」は、表示された商品の購入制限を解除しない場合に選択する。例えば、表示された商品が、権限保有者などから依頼された商品とは異なることを制限対象者が確認できる場合や、購入制限品であることを知らずに商品を選んでしまった場合などに「解除しない」を選択する。
【0082】
また、ボタン「確認」は、表示された商品の制限解除の許否を権限保有者に確認する場合に選択する。例えば、表示された商品が、権限保有者などから依頼された商品であるか制限対象者が判断できない場合などに「確認」を選択する。
【0083】
よって、「確認」が選択された場合(ステップS206:Yes)、購入制限処理部112は、上述したステップS203〜ステップS205の処理をおこなうことで、購入制限の解除許否を権限保有者に求め、許否結果に応じて承認フラグを設定する。
【0084】
一方、「解除」または「解除しない」が選択された場合(ステップS206:No)、購入制限処理部112は、選択結果に応じて承認フラグを設定する(ステップS205)。すなわち、「解除」が選択された場合は、当該商品の承認フラグに「1」を設定し、「解除しない」が選択された場合は、当該商品の承認フラグに「0」を設定する。
【0085】
なお、制限解除の決定を購入者端末100の使用者がおこなう場合、例えば、パスワードなどを用いた本人認証によって認証された場合のみ操作可能とするようにしてもよい。これにより、第三者などによる不正購入などを防止することができる。
【0086】
このようにして、商品を購入する前に、購入対象商品の商品情報を購入者端末100(移動体通信端末100)で取得し、購入制限品が含まれている場合には、その制限解除の許否を権限保有者や制限対象者が設定する。
【0087】
次に、制限対象者は、購入予定商品を持って店舗のレジへ赴き、電子マネー決済による会計をおこなう。この場合に、購入者端末100(移動体通信端末100)と店舗レジ端末200で実行される「決済処理」を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。この決済処理は、制限対象者による購入についてのレジ動作を店舗レジ端末200で開始したことを契機に開始される。すなわち、通常の購入動作と同様に、店舗店員が店舗レジ端末200を操作し、購入対象商品のバーコード読み取りを開始したことを契機に処理が開始される。
【0088】
この場合、POS処理部250によって、購入対象商品のバーコード読み取りが順次おこなわれ(ステップS301)、購入対象商品の商品コードと、対応する商品名情報や販売価格情報が取得される。このとき、取得された商品コード、商品名情報、販売価格情報などが記憶部260に順次格納されるとともに、表示部240に表示される。
【0089】
提示されたすべての購入対象商品についてのバーコード読み取りがおこなわれると、店舗店員は操作部230を操作することで、全対象商品の読み取りが完了したことを入力する(ステップS302:Yes)。
【0090】
この時点で、購入者端末100(移動体通信端末100)の使用者(制限対象者)は、購入者端末100の電子マネー機能によって決済をおこなうべく、購入者端末100を、店舗レジ端末200の非接触型ICチップリーダライタ部220に近接させる。このように、移動体通信端末100の電子マネー機能によって決済をおこなう場合、店舗店員は、店舗レジ端末200の操作部230を操作し、非接触型ICチップを用いた電子マネー決済である旨の入力をおこなう。
【0091】
店舗レジ端末200の制御部210は、操作部230からの入力信号に基づいて、電子マネー決済であるか否かを判別する(ステップS303)。
【0092】
電子マネー決済ではない場合(ステップS303:No)、通常の貨幣による会計となるので、処理を終了する。
【0093】
一方、電子マネー決済である場合(ステップS303:Yes)、制御部210は、非接触型ICチップリーダライタ部220を動作させる。これにより、非接触型ICチップリーダライタ部220から無線電波が発信され、近接している購入者端末100の電子マネー処理部170が励起することで、購入者端末100と店舗レジ端末200との間で、非接触型ICチップによる無線通信が確立する(ステップS304)。
【0094】
店舗レジ端末200との無線通信が確立すると(ステップS305)、購入者端末100の電子マネー処理部170は、その旨を制御部110に通知する。この場合、決済処理部113が制限解除情報格納領域183の解除許否テーブルを参照し、承認フラグが「0」となっているレコードがあるか否かを判別することで、購入制限対象となっている商品があるか否かを判別する(ステップS306)。
【0095】
購入制限対象がある場合(ステップS306:Yes)、決済処理部113は、解除許否テーブルの当該レコードから、購入制限対象商品を示す商品コードを取得する。決済処理部113はさらに、電子マネー処理部170を制御し、取得した商品コードを店舗レジ端末200に送信する(ステップS307)。
【0096】
店舗レジ端末200では、電子マネー処理部170から送信された商品コードを非接触型ICチップリーダライタ部220が受信して制御部210に入力する。この場合、制御部210は、ステップS301でのバーコード読取によって取得して記憶部260に保持している会計対象の中から、受信した商品コードに対応する情報を削除することで、制限解除をおこなわなかった購入制限品を会計対象から除外する(ステップS308)。この場合、制御部210は、当該商品が購入制限により除外されたことを表示部240に表示して店舗店員に通知する。店舗店員は、例えば、該当する商品をキャンセル扱いにすることで、制限対象者の手に渡らないようにする。
【0097】
この場合、店舗レジ端末200の制御部210は、購入制限した商品以外の商品についての販売価格を合算することで会計金額を算出する。制御部210は、非接触型ICチップリーダライタ部220を制御し、算出した会計金額を購入者端末100に送信する(ステップS309)。
【0098】
一方、購入制限対象がない場合(ステップS306:No)は、購入者端末100から店舗レジ端末200への情報送信はおこなわない。この場合、店舗レジ端末200では、ステップS301で読み取ったすべての商品についての販売価格を合算することで会計金額を算出して購入者端末100に送信することになる(ステップS309)。
【0099】
購入者端末100では、店舗レジ端末200から送信された会計金額を電子マネー処理部170が受信して制御部110に入力する。この場合、決済処理部113が電子マネー情報格納領域184にアクセスし、電子マネーの残高から会計金額分の減算をおこなって残高更新するとともに、購入者端末100の電子マネー機能に割り当てられている識別情報と決済完了を示す情報を、電子マネー処理部170からレジ端末200に送信する(ステップS310)。決済完了により、決済処理部113は、制限解除情報格納領域183の解除許否テーブルにアクセスし、今回の購入にかかる記録を削除して(ステップS311)、処理を終了する。
【0100】
店舗レジ端末200では、購入者端末100から送信された情報に基づいて、所定の決済完了処理をおこなって(ステップS312)、処理を終了する。
【0101】
以上説明したように、本発明の実施形態1によれば、電子マネー機能による購入に制限が設定されている移動体通信端末を使用する場合において、購入予定商品に付されている2次元コードをカメラ機能で読み取ることで取得した商品情報を、当該移動体通信端末もしくは権限保有者の移動体通信端末に表示し、購入者本人または権限保有者による制限解除がおこなえるので、例えば、親などの依頼によって未成年者が購入制限品(酒類やタバコなど)を購入する場合などに購入制限を解除し購入することができる。
【0102】
この場合において、店舗などでの商品選択時に、制限解除するか否かを決定することができるので、予め制限解除対象を設定する必要がない。従来の予め設定しておく手法では、例えば、依頼された商品が店舗に無い場合などに代替品を購入しようとしても制限を解除することができないが、上記実施形態によれば、このような場合にも制限解除の是非を指定することができ、より柔軟な商品購入をおこなうことができる。
【0103】
また、権限保有者から購入を承認されない商品については、電子マネー決済時に、その情報をレジ端末などの決済装置に通知して決済対象から除外するので、購入制限品が購入されてしまうことを効果的に防止することができる。
【0104】
また、会計前に制限解除をおこなうことができるので、会計時に制限解除をおこなう従来の手法で生じうる、会計にかかる時間が長くなってしまうといった不都合も防ぐことができる。これにより、店舗内で効率的な購入をおこなうことができ、利用者と店舗の双方に好都合となる。
【0105】
また、上記実施形態では、商品情報を2次元コードによって商品に付しているので、例えば、その商品の製造販売者がパッケージに印刷して提供できる他、販売している店舗などが2次元コードラベルを作成して貼付することでも提供できるので、容易かつ柔軟に実現することができる。また、多くの移動体通信端末では、カメラ機能の搭載が一般的になっており、ほとんどの場合、2次元コードの読取機能も装備されているので、移動体通信端末に特別な装置を新たに付加することなく容易に実現することができる。また、商品画像などといった2次元コード自体には含めることのできない情報がある場合でも、そのような情報を取得できるアドレス情報を含めておくことで、通信を併用して必要十分な商品情報を取得することができる。
【0106】
また、上記実施形態のように、例えば、未成年の子供とその親が移動体通信端末を利用する場合において、子供を制限対象者、親を権限保有者とすることで、子供が使用する端末を親によってのみ設定することができるので、購入制限の解除にかかる承認を、権限保有者がおこなうか、制限対象者自身でおこなえるようにするかを親が必要に応じて設定することができる。これにより、例えば、商品の分別が不確かな低年齢の子供に買い物を依頼する場合には、親が制限解除の承認をおこなうようにし、商品の分別がつく年齢の子供に買い物を依頼する場合には、本人の判断で制限解除させるなど、制限対象者に応じた承認方法を柔軟に設定することができる。
【0107】
(実施形態2)
上記実施形態1では、商品に付されている2次元コードなどのコードシンボルから商品情報を取得したが、商品自体に付されているものであれば2次元コードに限られるものではない。上記実施形態1のように、商品情報の取得源を2次元コードとした場合、記録できる情報量の制約により、商品画像データなどといった容量の大きいデータを直接取得することはできず、通信によってセンタサーバCSや商品情報サーバISなどから取得する必要があった。
【0108】
よって、商品自体に付す商品情報の媒体として、2次元コードなどよりも容量の大きいものを採用すれば、通信を発生させることなくすべての商品情報を取得できる。
【0109】
この商品情報の媒体として、例えば、ICタグを採用することができる。このICタグは、いわゆるRFID(Radio Frequency Identification)技術で用いられるものであり、微小なICチップに情報を格納し、外部からの無線電波によって励起することで情報の送受信をおこなえるものである。
【0110】
この場合、移動体通信端末100の商品情報取得部160を、実施形態1におけるカメラに代えて、ICタグのリーダ(リーダライタ)によって構成することで、ICタグによって商品情報が商品に付されている場合であっても、商品情報を取得し、上記実施形態1と同様に、取得した商品情報に基づいた制限解除の承認をおこなうことができる。
【0111】
この場合、購入者端末100(移動体通信端末100)は、上記実施形態1における「商品情報取得処理(1)」に代えて、図11に示す「商品情報取得処理(2)」を実行することになる。
【0112】
つまり、例えば、購入者端末100のメニュー画面などから、商品購入が指定されたことを契機に処理が開始されると、商品情報処理部111は、商品情報取得部160を制御しICタグリーダライタを起動させる(ステップS401)。ICタグリーダライタが起動すると、商品情報取得部160から所定の無線電波が発信される。
【0113】
このとき、購入者端末100の使用者は、商品に付されているICタグに商品情報取得部160を近接させる。これにより、ICタグリーダライタが発信された無線電波によってICタグが励起され、商品情報取得部160とICタグとの無線通信が確立する。商品に付されているICタグを構成しているICチップ内には、その商品についての商品情報が格納されている。ここでは、その商品についての商品種別コードや商品コード、商品種別名、商品名や価格などの文字データで構成される情報のみならず、商品画像データなどといった2次元コードでは格納しきれなかったすべての情報が格納されているものとする。
【0114】
ICタグは、商品情報取得部160との無線通信が確立すると、格納している情報を送信する。商品情報取得部160は、ICタグから送信された情報を受信して、制御部110に入力する。
【0115】
商品情報処理部111は、商品情報取得部160からの入力によって、ICタグから商品情報を受信したと判別すると(ステップS402:Yes)、購入対象情報格納領域182にアクセスし、購入予定品テーブルに取得した商品情報を格納する(ステップS403)。
【0116】
ここで、上記実施形態1のように、商品情報が2次元コードで提供される場合、商品画像などといった情報を含めることができなかったため、このような情報を取得するためのアドレス情報を含めるようにしたが、ICタグの場合は、商品画像のような大きなデータも格納・提供することができるので、本実施形態では、商品自体に付されているICタグから、商品画像なども直接取得して、購入予定品テーブルに格納することができる。よって、センタサーバCSや商品情報サーバISなどにアクセスして商品情報を取得する必要がないので、これらにアクセスするためのアドレス情報は含まれていなくてもよい。
【0117】
このようにして、購入者端末100の使用者は、購入予定商品に付されているICタグの読取を順次おこなう。すべての購入予定商品についての商品情報を取得すると、購入者端末100の使用者は、操作部130を構成する所定のボタンなどを操作することで、商品情報の取得終了を指示する。この場合、操作部130から制御部110に入力された入力信号に基づいて、商品情報処理部111は、商品情報の取得が完了したか否かを判別する(ステップS404)。
【0118】
商品情報の取得が完了すると(ステップS404:Yes)、商品情報処理部111は、本処理を終了するとともに、その旨を購入制限処理部112に通知する。以降は、上述した実施形態1と同様に、「購入制限解除処理」、「決済処理」を順次おこなうことになる。
【0119】
本実施形態のように、商品情報を記録したICタグを商品に付すことにより、通信をおこなうことなくすべての商品情報を得ることができるので、通信にかかるコストを発生させることなく商品情報を得ることができるとともに、商品情報の取得にかかる時間を短縮することができる。
【0120】
なお、ICタグ読取の動作原理は、通常、電子マネー機能にかかる非接触型ICチップの動作原理と類似しているので、電子マネー処理部170の構成を改変することによってICタグリーダライタ機能を有する商品情報取得部160を構成することができる。つまり、電子マネー機能を有している装置であれば、本実施形態にかかる商品情報取得部160を容易に実現することができる。
【0121】
以上説明したように、本発明を上記実施形態の如く適用することで、購入制限商品であっても、その購入制限を一時解除して商品購入を効率的におこなうことができる。
【0122】
上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0123】
例えば、上記実施形態においては、電子マネー決済時に、購入制限の解除がされていない商品の商品コードを店舗レジ端末200(決済装置)に送出することで、該当商品を決済対象から除外したが、購入制限が解除された商品の商品コードを決済端末に通知することで、それ以外の購入制限品を決済対象から除外するようにしてもよい。
【0124】
また、店舗レジ端末200(決済装置)の記憶部260などに購入制限品のリストを格納しておき、店舗レジ端末200でのレジ処理時に取得した商品コードが購入制限品に該当する場合、電子マネー機能にかかる購入者端末100との通信時に、店舗レジ端末200から購入制限品の商品コードを購入者端末100に送信するようにしてもよい。この場合、購入者端末100では、店舗レジ端末200から受信した商品コードと、制限解除情報格納領域183の解除許否テーブルに記録されている商品コードとを照合し、制限解除の有無を店舗レジ端末200に送信することで、購入制限をおこなうことができる。
【0125】
すなわち、上記実施形態で示した移動体通信端末100などの購入者側端末において、制限解除にかかる情報が記録され、その情報に基づいて購入制限がおこなわれるのであれば、購入制限を実施するための方法は、上記実施形態に示したものに限られず、任意の方法とすることができる。
【0126】
なお、上記実施形態では、商品情報を提供する媒体として2次元コードとICタグを例示したが、制限解除の許否に必要となる情報を提供できるのであれば、これらに限られず任意の媒体によって商品情報を提供してもよい。また、上記各実施形態で示した商品情報の内容は一例であり、制限解除の許否に必要な情報であれば、例示した内容と同一でなくてもよい。
【0127】
この場合、制限解除の許否に必要な情報を、権限保有者によって予め指定できるようにしてもよい。この場合、例えば、商品画像を見なくても制限解除の許否ができるのであれば、商品画像の取得を除外するよう設定する。これにより、上記実施形態1のように、商品画像を含めることができない2次元コードなどの媒体で商品情報が提供される場合であっても、商品画像などを取得するための通信を省略させることができる。
【0128】
あるいは、商品コードなどといった必要最低限の情報で制限解除の許否をおこなう場合には、従来から多くの商品に付されている1次元バーコード(コードシンボル)を用いることでも本発明にかかる商品情報の取得をおこなうことができる。この場合、カメラ機能で構成された商品情報取得部160によってバーコードを読み取れるようにすることができるので、より容易に本発明を実現することができる。
【0129】
また、上記各実施形態では、購入制限品の例として、酒類やタバコなどといった、法令などによって年齢制限が課せられているものを示したが、このような社会的に規制されている購入制限品をデフォルトとして設定しておくことができる他、各使用者で任意の購入制限品を設定してもよい。例えば、マンガや菓子、玩具などといった、子供にとっての嗜好品などを子供がむやみに買ってしまわないよう、これらを購入制限品として親が適宜設定するようにしてもよい。
【0130】
なお、上記各実施形態では、制限対象者が使用する端末から権限保有者が使用する端末に制限解除許否を求める際、共通のアプリケーションが動作することで、権限保有者の端末に表示されるようにしたが、制限解除の許否をおこなうことができるのであれば、これらの端末間の通信方法などは任意であり、上記実施形態で例示したものに限られない。例えば、移動体通信端末などが有する電子メール機能によって、端末間の制限解除許否にかかる通信をおこなってもよい。この場合、例えば、制限対象者が使用する端末から、購入制限品を示す電子メールを権限保有者の端末に送信する。そして、制限解除の承認または拒否のいずれかの場合に返信するように規定することで、権限保有者は、受信した電子メールの返信操作によって、制限対象者の端末に許否を通知することができる。
【0131】
また、上記実施形態では、本発明にかかる電子装置を移動体通信端末によって実現した場合を例示したが、上述したような商品情報の取得機能や電子マネー機能を備えているのであれば、移動体通信端末に限らず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)やパーソナルコンピュータ、デジタルカメラなどといった、種々の電子装置に本発明を適用することができる。
【0132】
なお、上述した移動体通信端末100のように、本発明を実現するための機能を予め備えている電子装置として提供できることはもとより、プログラムの適用によって、これらの機能を備えていない既存の電子装置などを本発明にかかる電子装置として機能させることもできる。
【0133】
この場合、少なくとも電子マネー機能と、カメラ機能やICタグリーダライタ機能などを有する電子装置に、上述した移動体通信端末100の各機能を実現させたプログラムと同様のプログラムを適用し、当該電子装置を制御するコンピュータ(CPUなど)がそのプログラムを実行することで、本発明にかかる電子装置として機能させることができる。このようなプログラムの適用方法は任意であり、例えば、インターネットなどの通信媒体を介して提供することで任意の装置に適用できる他、所定の記録媒体(例えば、メモリカード、CD−ROM、DVD、など)にプログラムを格納して配布することでも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施にかかる電子決済システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す移動体通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す記憶部に格納される情報の例を示す図であり、(a)は購入制限情報格納領域に格納される購入制限品テーブルの例を示し、(b)は購入対象情報格納領域に格納される購入予定品テーブルの例を示す。
【図4】図2に示す制限解除情報格納領域に格納される情報の例を示す図であり、(a)は制限解除設定テーブルの例を示し、(b)は解除許否テーブルの例を示す。
【図5】図2に示す制御部によって実現される機能を示す機能ブロック図である。
【図6】図1に示す店舗レジ端末の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態1にかかる「商品情報取得処理(1)」を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の各実施形態にかかる「購入制限解除処理」を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示す購入制限解除処理における画面表示例を示す図であり、(a)は、権限保有者が使用する移動体通信端末に表示される制限解除許否画面の表示例を示し、(b)は、制限対象者が使用する移動体通信端末に表示される制限解除許否画面の表示例を示す。
【図10】本発明の各実施形態にかかる「決済処理」を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態2にかかる「商品情報取得処理(2)」を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0135】
1…電子決済システム、10…通信ネットワーク、20…店舗通信網、CS…センタサーバ、IS…商品情報サーバ、100…移動体通信端末(購入者端末、権限者端末)、110…制御部、111…商品情報処理部、112…購入制限処理部、113…決済処理部、120…通信制御部、121…アンテナ、130…操作部、140…表示部、150…音声処理部、151…スピーカ、152…マイクロフォン、160…商品情報取得部、170…電子マネー処理部、180…記憶部、181…購入制限情報格納領域、182…購入対象情報格納領域、183…制限解除情報格納領域、184…電子マネー情報格納領域、185…プログラム格納領域、200…店舗レジ端末、210…制御部、220…非接触型ICチップリーダライタ部、230…操作部、240…表示部、250…POS処理部、260…記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネー機能を有する電子装置であって、
商品に付されている商品情報を取得する商品情報取得手段と、
前記商品情報取得手段が取得した商品情報が所定の購入制限品を示す場合、当該購入制限品に対する購入制限を解除するか否かを指定する解除許否情報を取得する解除許否情報取得手段と、
前記購入制限品を示す商品情報と、前記解除許否情報とを対応づけて記憶する制限解除情報格納手段と、
前記制限解除情報格納手段が記憶する情報に基づいて、前記商品情報取得手段が取得した商品情報が示す商品を前記電子マネー機能によって購入する際の購入制限をおこなう購入制限手段と、を備える、
ことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記解除許否情報取得手段は、
前記購入制限品を示す商品情報を、通信ネットワークを介して他の電子装置に送信して、購入制限の解除許否を要求する解除許否要求手段をさらに備え、
前記解除許否要求手段による要求に応じて前記他の電子装置から送信された解除許否情報を、前記通信ネットワークを介して受信することで取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記解除許否情報取得手段は、
前記購入制限品を示す商品情報を当該電子装置で出力して、該電子装置の使用者に通知する購入制限品通知手段をさらに備え、
前記購入制限品通知手段による通知に応じた前記電子装置の使用者による操作に基づく解除許否情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記商品情報取得手段は、
コードシンボルを読み取るコードシンボル読取手段を備え、
コードシンボルによって提供される前記商品情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記コードシンボルによって提供される商品情報は、さらなる商品情報を取得するためのアドレス情報を含み、
前記商品情報取得手段は、前記コードシンボルから読み取った商品情報に前記アドレス情報が含まれている場合、当該アドレスに通信ネットワークを介してアクセスすることで前記商品情報を取得する通信手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記商品情報取得手段は、
ICタグと通信するリーダ手段をさらに備え、
ICタグによって提供される前記商品情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記購入制限手段は、前記制限解除情報格納手段が記憶する情報を、前記電子マネー機能によって外部の決済装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記電子装置は、移動体通信端末である、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項9】
電子マネー機能を有する電子装置を制御するコンピュータに、
商品に付されている商品情報を取得する機能と、
取得した商品情報が所定の購入制限品を示す場合、当該購入制限品に対する購入制限を解除するか否かを指定する解除許否情報を取得する機能と、
前記購入制限品を示す商品情報と、前記解除許否情報とを対応づけて記憶装置に格納する機能と、
前記記憶装置に格納した情報に基づいて、前記取得した商品情報が示す商品を前記電子マネー機能によって購入する際の購入制限をおこなう機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−32156(P2009−32156A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197358(P2007−197358)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】