電子装置
【課題】素子チップの主表面の可動部を覆うように素子チップにキャップを取り付け、素子チップとボンディングワイヤとを電気的に接続してなるセンサ装置において、キャップとなるウェハに抜き領域を形成したり、キャップに貫通電極を形成することなく、ワイヤと素子チップとを電気的に接続できるようにする。
【解決手段】素子チップ10の主表面10aの可動部11を覆うように、キャップ20を取り付け、素子チップ10の主表面10aの側部に位置する側面10bに、素子チップ10に電気的に接続された側面電極13を設け、この側面電極13にボンディングワイヤ30を接続する。
【解決手段】素子チップ10の主表面10aの可動部11を覆うように、キャップ20を取り付け、素子チップ10の主表面10aの側部に位置する側面10bに、素子チップ10に電気的に接続された側面電極13を設け、この側面電極13にボンディングワイヤ30を接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な機能を有する素子部を有する素子チップと、素子部を覆うように素子チップに取り付けられたキャップと、素子チップと電気的に接続された配線部材とを備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気的な機能を有する素子部を有する素子チップとしては、素子部として加速度や角速度の検出を行う可動部を備えたものや、圧力検出を行うダイアフラムを備えた半導体チップ(特にMEMS)などが知られている。
【0003】
このような素子部は、素子チップの主表面に対して半導体プロセス技術を用いて形成されるものであり、たとえば上記した可動部やダイアフラムの変位に伴う電気信号を発生する機能、すなわち電気的な機能を有する。
【0004】
そして、このような素子チップに対して、ガラスやシリコンなどよりなるキャップを、素子部を覆うように素子チップの主表面に取り付けることで、素子部の保護を図るようにしている。
【0005】
ここで、素子チップからの電気信号を外部に取り出すために、素子チップに対してボンディングワイヤなどの配線部材を電気的に接続している。一般的には、半導体チップからの配線部材の取り出しは、チップの主表面の周辺部に形成された引き出し電極に当該配線部材を接続することにより行われる。
【0006】
そのため、素子チップの主表面のうち上記引き出し電極が配置された部位は、キャップで覆われないようにする必要がある。これに対応する従来技術として、キャップとなるウェハと、素子チップとなるウェハとをウェハレベルで貼り合せるにあたって、キャップウェハ側に対し、予め、上記引き出し電極に対応する箇所に抜き領域を形成するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
また、特許文献2、特許文献3に記載されているように、キャップに相当するガラス基板に、当該ガラス基板を貫通する貫通電極を設け、この貫通電極を介して素子チップと配線部材との接続を可能としたものも提案されている。
【特許文献1】特開2003−118296号公報
【特許文献2】特開2000−275272号公報
【特許文献3】特開2004−3890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術にあるように、素子チップの主表面に被せられるキャップとなるウェハ側に抜き領域を設けたり、キャップに貫通電極を設けたりすることは、これら抜き領域や貫通電極を形成するための工程が必要であり、プロセスコストの増加は否めない。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、素子チップの主表面の素子部を覆うように素子チップにキャップを取り付け、素子チップと配線部材とを電気的に接続してなる電子装置において、キャップに対して抜き領域や貫通電極を形成することなく、配線部材と素子チップとを電気的に接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明では、配線部材(30)を、素子チップ(10)の主表面(10a)の側部に位置する側面(10b)に接続したことを特徴とする。
【0011】
それによれば、配線部材(30)を、素子チップ(10)の主表面(10a)の側部に位置する側面(10b)に接続しているため、素子チップ(10)の主表面(10a)に取り付けられたキャップ(20)に対して、抜き領域や貫通電極を形成することなく、配線部材(30)と素子チップ(10)とを電気的に接続することができる。
【0012】
ここで、素子チップ(10)の側面(10b)に、素子チップ(10)に電気的に接続された側面電極(13)を設け、この側面電極(13)に配線部材(30)を接続したものにできる。
【0013】
また、このような構成において、素子チップ(10)が、絶縁膜(1c)を第1の半導体層(1a)と第2の半導体層(1b)とで挟んでなる半導体基板(1)により構成されたものであり、第1の半導体層(1a)の表面が、素子チップ(10)の主表面(10a)側となっており、素子部(11)が第1の半導体層(1a)に形成されている場合、配線部材(30)を、素子チップ(10)の側面(10b)において第1の半導体層(1a)に接続されているが、第2の半導体層(1b)には接続されていないものとすることが好ましい。
【0014】
それによれば、第1の半導体層(1a)と第2の半導体層(1b)との配線部材(30)を介した導通を防止し、第1の半導体層(1a)と第2の半導体層(1b)との絶縁膜(1c)を介した電気的分離を確保できる。
【0015】
また、キャップ(20)が導電性を有するものである場合、キャップ(20)のうち配線部材(30)が接触する部位を、電気絶縁性を有する絶縁膜(21)にて被覆すれば、キャップ(20)と素子チップ(10)との電気的な分離およびキャップ(20)と配線部材(30)との電気的な分離が可能となる。
【0016】
さらに、上記した側面電極(13)を有する構成においては、素子チップ(10)の側面(10b)に当該側面(10b)より凹んだ凹部(14)を形成し、この凹部(14)内に側面電極(13)を設けてもよい。
【0017】
そして、この場合、キャップ(20)のうち素子チップ(10)の凹部(14)に隣り合う部位に、素子チップ(10)の凹部(14)から連続して形成された凹み(22)を設けることが好ましい。
【0018】
それによれば、配線部材(30)は、素子チップ(10)の凹部(14)に挿入されて側面電極(13)と接続されるが、このようなキャップ(20)に凹み(22)を設けることで素子チップ(20)の凹部(14)の開口部はキャップ(20)側の凹み(22)の開口部と一体化した分、広くなるため、配線部材(30)を素子チップ(10)の凹部(14)に挿入しやすくなる。
【0019】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置100の全体構成を示す俯瞰図であり、図2は、この電子装置100における素子チップ10とキャップ20との積層構成部分の概略断面図である。本実施形態では、電子装置100を加速度や角速度の検出を行う力学量センサ装置に適用したものとして説明する。
【0022】
図1、図2に示されるように、本実施形態のセンサ装置100は、大きくは、主表面10aに電気的な機能を有する素子部11を有する素子チップ10と、素子部11を覆うように素子チップ10の主表面10aに取り付けられたキャップ20と、素子チップ10と電気的に接続された配線部材30と、この配線部材30を介して素子チップ10と電気的に接続された回路チップ40とを備えて構成されている。
【0023】
図2に示されるように、素子チップ10は、シリコンなどの半導体よりなる半導体基板1により構成されている。ここでは、半導体基板1は、絶縁膜1cを、キャップ20側に位置する第1の半導体層1aと回路チップ40側に位置する第2の半導体層1bとで挟んでなるものである。
【0024】
具体的には、半導体基板1は、絶縁膜1cとしてのシリコン酸化膜1cを、第1の半導体層1aとしての第1のシリコン層1aと第2の半導体層1bとしての第2のシリコン層1bとで挟んでなるSOI基板1である。
【0025】
そして、半導体基板1における両シリコン層1a、1bのうちキャップ20側に位置する第1のシリコン層1aの表面が、素子チップ10の主表面10a側となっており、素子部11はこの第1のシリコン層1aに形成されている。
【0026】
ここでは、素子部11は、加速度や角速度の印加に応じて電気信号を発生する電気的な機能を有するものであり、具体的には、よく知られている櫛歯構造体としての可動電極と固定電極とを有し、これら両電極間の容量変化などにより加速度や角速度を検出するものにできる。
【0027】
図2では、素子部11は、第1のシリコン層1aに形成された上記櫛歯構造体を有する可動部11として示されている。この可動部11の下ではシリコン酸化膜1cが除去されることにより、可動部11は、図示しない梁部などに支持された状態にて、加速度や角速度の印加に応じて変位可能となっている。
【0028】
そして、この素子部としての可動部11が、加速度や角速度の印加に応じて変位することで、印加加速度や印加角速度に応じたレベルの電気信号が発生するが、この信号は、配線部材30から取り出されるようになっている。
【0029】
具体的には、後述の製造方法(後述の図3〜図8参照)のところで述べるが、素子チップ10において第1のシリコン層1aには、トレンチを形成することにより、当該トレンチで区画したパターンとして、可動部11としての櫛歯構造体、および当該可動部11に導通する配線部12(図2参照)を形成する。
【0030】
そして、このトレンチで画定された配線部12が、図2に示されるように、素子チップ10の主表面10aの側部に位置する側面10bに臨んでいる。そして、この素子チップ10の側面10bに臨む配線部12に、引き出し電極としての側面電極13を形成し、この側面電極13に配線部材30が接続されている。
【0031】
この側面電極13は、スパッタや蒸着などの成膜法で形成された導電性の膜や、導体ペーストの印刷あるいは金属のメッキ、さらには導電性接着剤、はんだなどにより形成できるものである。一方、この側面電極13に接続された配線部材30としては、ボンディングワイヤや、被覆付きの配線あるいはリードフレームなどが挙げられる。
【0032】
本例では、側面電極13は、蒸着法などにより形成されたAl膜であり、また、配線部材30は、金やAlなどの線材を用いたワイヤボンディングにより形成されたボンディングワイヤ30としている。
【0033】
また、ここでは、図2に示されるように、素子チップ10の側面10bに臨む配線部12は、素子チップ10の側面10bにおける他の部位よりも引っ込んでおり、凹部14を形成している。
【0034】
つまり、素子チップ10の側面10bには当該側面10bより凹んだ凹部14が形成されており、この凹部14内に側面電極13が設けられている。そして、ボンディングワイヤ30は、この素子チップ10の凹部14に挿入された状態で側面電極13と接続されている。
【0035】
また、図2に示されるように、半導体基板1としてのSOI基板よりなる素子チップ10の側面10bにおいては、ボンディングワイヤ30は、第1のシリコン層1aには接続されているが、シリコン酸化膜1cを跨いで第2のシリコン層1bまで到達しておらず、第2のシリコン層1bには接続されていない。
【0036】
また、キャップ20は、素子部11を覆うように素子チップ10の主表面10aに取り付けられているが、このキャップ20は、ガラスなどの絶縁体やシリコンなどの半導体よりなるものである。キャップ20と素子チップ10とは、たとえばシリコン系の接着剤などによる接着や、陽極接合、シリコン接合などにより接合固定されている。
【0037】
本例では、キャップ20はガラスなどの絶縁体よりなるものである。そのため、本例では、図2に示されるように、配線部材としてのボンディングワイヤ30は、キャップ20に接触している。ただし、キャップ20がシリコンなどの導電性を持つものにより形成されている場合は、ボンディングワイヤ30をキャップ20に接しないように接続することが必要である。
【0038】
このキャップ20は、素子チップ10の主表面10aに位置する可動部11を外力や環境異物から保護するためのものである。本実施形態では、可動部11の可動特性を阻害しないように、外力がかかってもキャップ20の内面と可動部11とが接触しないようにキャップ20を構成している。
【0039】
本例では、図2に示されるように、可動部11に対向するキャップ20の内面を、エッチングなどによって凹形状とすることにより、キャップ20の内面と可動部11とを離している。
【0040】
なお、キャップ20の内側が平坦である場合は、可動部11の上面が、その周りの素子チップ10の主表面10aよりも低くなるように形成したり、キャップ20と素子チップとを接合する接合層に厚みを持たせることにより、可動部11との接触を回避するようにしてもよい。
【0041】
また、図1に示されるように、これら素子チップ10とキャップ20との接合体は、回路チップ40の上に、接着剤などを介して搭載されている。そして、図1に示されるように、ボンディングワイヤ30は、回路チップ40と接続されている。それにより、素子チップ10にて発生した上記電気信号は、上記配線部12から側面電極13、ボンディングワイヤ30を介して回路チップ40に出力されるようになっている。
【0042】
この回路チップ40は、素子チップ10を駆動させたり素子チップ10からの電気信号を処理して外部へ出力したりする機能を有するものである。なお、この回路チップ40は回路基板であってもよい。
【0043】
次に、上記図2に示される素子チップ10とキャップ20との接合体の製造方法を中心に、本実施形態の力学量センサ装置100の製造方法の一例について述べる。当該接合体は、素子チップ10とキャップとをウェハ状態で作製し接合した後、チップ単位にダイシングしてカットすることにより作られる。
【0044】
図3は、当該接合体の製造方法を工程順に示す工程図であり、図4は図3に続く接合体の工程図であり、これら図3および図4ともに各工程におけるワークの断面構成を示している。
【0045】
また、図5は、ダイシングする前すなわちウェハ状態の素子チップ10の端部近傍の俯瞰図、図6は、図5に示される素子チップ10の端部をダイシングカットした状態にて示す俯瞰図、図7は、ダイシングカットされた接合体における素子チップ10の端部の俯瞰図、図8は、図7のものにボンディングワイヤ30を接続した状態を示す俯瞰図である。なお、これら図5〜図8の俯瞰図においては、識別のため便宜上、側面電極13の一部表面には斜線ハッチングを施してある。
【0046】
まず、図3(a)に示されるように、素子チップ10となるウェハとして上記SOI基板1を用意し、エッチングなどにより第1のシリコン層1aのうち上記側面電極13を形成すべき部位を、除去する。
【0047】
次に、図3(b)に示されるように、第1のシリコン層1aの表面すなわち第1のシリコン層1aの上面および上記除去部における側面に、蒸着などにより、Al膜13aを成膜する。
【0048】
そして、図3(c)に示されるように、異方性エッチングなどにより、第1のシリコン層1aの上面に位置するAl膜13aを除去し、第1のシリコン層1aにおける側面に位置するAl膜13aを残す。それにより、この側面に残ったAl膜13aが上記側面電極13となる。
【0049】
次に、図3(d)に示されるように、第1のシリコン層1aに対してトレンチエッチングを行うとともに、犠牲層エッチングなどにより可動部11の下のシリコン酸化膜1cを除去することにより、可動部11および上記配線部12を形成する。
【0050】
なお、上記図5は、ここまでの状態における側面電極13近傍の配線部12の構成を示している。図5に示されるように、トレンチエッチングにより第1のシリコン層1aに形成された分離トレンチ12aによって、配線部12が画定されている。
【0051】
ここで、図5中には、素子チップ10の端部となるダイシングラインDLが示されており、ダイシングラインDLに臨む配線部12の部分には、側面電極13が形成されている。このダイシングラインDLにより切断された素子チップのウェハの切断面が、素子チップ10の側面10b(上記図2参照)を構成する面となる。
【0052】
このようにして、素子チップ10となるウェハに対して、チップ単位毎に、可動部11、配線部12および側面電極13を形成した後、本例の製造方法においては、図4(a)に示されるように、ガラスよりなるキャップ20となるウェハ20’を貼り合わせる。この貼り合わせは、上述したように接着や陽極接合などにより行える。
【0053】
続いて、図4(b)に示されるように、貼り合わされた両ウェハ1、20’の接合体を、図中の破線に示されるダイシングラインDLに沿って、ダイシングカットし、チップ単位に分割する。
【0054】
そして、上記図6には、このダイシングカット後における接合体において、キャップ20を省略した状態にて、側面電極13の近傍の配線部12が示されている。ダイシングによる切断面が素子チップ10の側面10bとして形成され、分離トレンチ12aによって画定された配線部12の個々において、当該側面10bに臨む配線部12の部分に側面電極13が形成されている。
【0055】
また、上記図7では、このダイシングカット後における接合体において、キャップ20を省略しない状態、すなわち上記図6においてキャップ20を付けた状態にて、側面電極13の近傍の配線部12が示されている。図7には、素子チップ10の側面10bに上記凹部14が形成され、この凹部14内に側面電極13が設けられている様子が、明確に示されている。
【0056】
次に、図4に戻って本例の製造方法では、チップに分割された素子チップ10とキャップ20との接合体を上記回路チップ40上に搭載し、続いて、図4(c)に示されるように、ワイヤボンディングを行うことにより、ボンディングワイヤ30によって側面電極13と回路チップ40とを接続する。こうして、上記図1、図2に示される本実施形態のセンサ装置100ができあがる。
【0057】
なお、上記図8では、このワイヤボンディング後の素子チップ10側のボンディングワイヤ30の接続部近傍の様子が示されている。上述したように、素子チップ10の側面10bにおいては、ボンディングワイヤ30は、絶縁体であるキャップ20は接しているが、第2のシリコン層1bには到達していない。
【0058】
それによれば、第1のシリコン層1aと第2のシリコン層1bとのボンディングワイヤ30を介した導通を防止し、両シリコン層1a、1b間におけるシリコン酸化膜1cを介した電気的分離を確保できる。また、図8に示されるように、ボンディングワイヤ30は、分離トレンチ12aを跨いでおらず、個々の配線部12の間の電気的分離を確保している。
【0059】
このように、本実施形態のセンサ装置100は、主表面10aに電気的な機能を有する素子部としての可動部11を有する素子チップ10と、可動部11を覆うように素子チップ10の主表面10aに取り付けられたキャップ20と、素子チップ10と電気的に接続された配線部材としてのボンディングワイヤ30とを備えている。
【0060】
そして、このような基本構成を有するセンサ装置100において、本実施形態では、ボンディングワイヤ30を、素子チップ10の主表面10aの側部に位置する側面10bにて、素子チップ10に接続している。
【0061】
それによれば、ボンディングワイヤ30を、素子チップ10の側面10bに接続しているため、素子チップ10の主表面10aに取り付けられ当該主表面10aを覆うキャップ20に対して、従来のような抜き領域や貫通電極を形成することなく、ボンディングワイヤ30と素子チップ10とを電気的に接続することができる。
【0062】
そして、本実施形態によれば、素子チップ10の側面10bに引き出し電極としての側面電極13を設けることにより、(a)引き出し電極のチップ表面における占有面積を低減してチップの小型化が可能となる、(b)キャップウェハに抜き領域を設ける必要がないため、簡略な工程でキャップウェハを形成できる、(c)キャップウェハ製造時および搬送での破損が抑制できる、といった各種の効果を奏する。
【0063】
次に、上記第1実施形態以外の本発明の種々の実施形態を示すが、以下の各実施形態は、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏するものであるため、以下の各実施形態においては、主として上記第1実施形態とは異なる構成、作用効果を示すこととする。
【0064】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。上記実施形態では、キャップ20を絶縁体により形成した例を述べたが、本実施形態では、キャップ20を、シリコンなどの導電性材料により形成している。
【0065】
本実施形態では、図9に示されるように、キャップ20のうち素子チップ10と対向する部位、すなわちキャップ20の内面を、電気絶縁性を有する絶縁膜21にて被覆したものとしている。なお、図9には、キャップ20と素子チップ10とを接合する接合層50が示されているが、この接合層50は上記した接着剤などである。
【0066】
この絶縁膜21は、一般的な成膜法により形成される絶縁膜であればよい。例えば、絶縁膜21としては、シリコンなどよりなるキャップ20の内面に対して、CVDや蒸着、スパッタなどにより形成されたシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜、あるいは熱酸化法などにより形成されたシリコン酸化膜が挙げられる。
【0067】
このように絶縁膜21を形成することにより、絶縁膜21は、キャップ20のうち配線部材としてのボンディングワイヤ30が接触する部位も被覆している。そのため、本実施形態によれば、ボンディングワイヤ30がキャップ20に接触しても、キャップ20と素子チップ10との電気的な分離およびキャップ20とボンディングワイヤ30との電気的な分離が確保される。
【0068】
なお、図9に示される例では、キャップ20の内面の全面に絶縁膜21を形成しているが、この絶縁膜21は、キャップ20のうちボンディングワイヤ30が接触する部位のみを被覆するように形成すれば、本実施形態の効果は得られる。
【0069】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。本実施形態においても、素子チップ10の側面10bには凹部14が形成されており、この凹部14内に側面電極13が設けられている。
【0070】
ここでは、キャップ20はガラスなどの絶縁体より構成されているが、さらに、本実施形態においては、図10に示されるように、キャップ20のうち素子チップ10の凹部14に隣り合う部位には、この素子チップ10の凹部14の開口部を広げるための凹み22が設けられている。
【0071】
具体的には、キャップ20の凹み22は、素子チップ10の凹部14から連続して形成されており、凹んでいる部分の空間を凹み22と凹部14とで共有した形となっている。そのため、素子チップ20の凹部14の開口部は、キャップ20側の凹み22の開口部と一体化した分、実効的に広くなる。
【0072】
配線部材としてのボンディングワイヤ30は、素子チップ10の凹部14に挿入されて側面電極13と接続されるが、このように、キャップ20に凹み22を設けて素子チップ20の凹部14の開口部を広げているため、ボンディングワイヤ30を素子チップ10の凹部14に挿入しやすくなる。
【0073】
半導体基板1としてのSOI基板1においては、第1のシリコン層1aの厚さはかなり小さいものであり、素子チップ10に凹部14を形成し、この凹部14内に側面電極13を設けた場合、ボンディングワイヤなどの配線部材30を当該凹部14に挿入することが、困難になる可能性がある。しかし、本実施形態のようにすれば、そのような問題を解消できる。
【0074】
なお、上記第2実施形態のような導電性を有するキャップ20においても、上記絶縁膜21によるボンディングワイヤ30との絶縁が確保されているならば、このようなキャップ20の凹み22を設けることが可能である。
【0075】
また、図10に示されるように、側面電極13は、配線部12だけでなく、配線部12から連続してシリコン酸化膜1cまで延長して形成されていてもよい。このことについても、上記した各実施形態において適用可能である。
【0076】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。上記各実施形態では、素子チップ10の側面10bにて、配線部12を引っ込ませることで凹部14を形成し、この凹部14内に側面電極13を設けていた。
【0077】
それに対して、本実施形態では、図11に示されるように、素子チップ10の側面10bに臨む配線部12を、素子チップ10の側面10bにおける他の部位と同一平面としており、そこに側面電極13を設けている。
【0078】
この場合の側面電極13は、ダイシング後に形成すればよい。そして、本実施形態によっても、素子チップ10の側面10bに、素子チップ10に電気的に接続された側面電極13を設け、この側面電極13に配線部材30が接続された構成を実現でき、上記第1実施形態と同様の効果を発揮できる。
【0079】
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。上記各実施形態では、素子チップ10の側面10bに、引き出し電極としての側面電極13を設け、この側面電極13にボンディングワイヤ30を接続することにより、ボンディングワイヤ30を素子チップ10の側面10bに接続した状態で、素子チップ10と電気的に接続した。
【0080】
それに対して、図12に示される本実施形態のように、引き出し電極13bを素子チップ10の主表面10aに形成した場合でもよい。ただし、この場合、素子チップ10の主表面10aの周辺部において、そこに位置する配線部12に引き出し電極13bを設ける。この引き出し電極13bは、上記側面電極と同様の材質とすることができる。
【0081】
さらに、この引き出し電極13bとボンディングワイヤ30とが接続できるように、キャップ20の端部に対して、上記図10の場合と同様の凹み22を形成する。それにより、ボンディングワイヤ30を素子チップ10の側面10bに接続したとき、ボンディングワイヤ30が、キャップ20の凹み22から引き出し電極13bまで入り込んで接続された状態となる。
【0082】
言い換えるなら、本実施形態では、ボンディングワイヤ30をキャップ20の凹み22に挿入しつつ素子キャップ10の側面10bに接続するが、このときに、素子チップ10の主表面10aの周辺部において、当該凹み22に挿入されたボンディングワイヤ30が接続可能な位置に引き出し電極13bを形成するものである。
【0083】
それによって、この引き出し電極13bは、擬似的に上記各実施形態における側面電極と同様の機能を有するものとなる。つまり、本実施形態によれば、素子チップ10の側面10bに、側面電極13を設けなくても、ボンディングワイヤ30を素子チップ10の側面10bに接続して素子チップ10と電気的に接続する状態を実現できるため、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
(第6実施形態)
図13は、本発明の第6実施形態に係る電子装置の全体構成を示す俯瞰図である。上記第1実施形態では、上記図1に示されるように、ボンディングワイヤ30は、矩形板状の素子チップ10の2つの側面10bに接続されていた。
【0085】
それに対して、図13に示される本実施形態のように、この矩形板状をなす素子チップ10の4つの側面10bのすべてにボンディングワイヤ30を接続してもよい。さらには、図示しないが、ボンディングワイヤ30は、任意の3つ側面10bに接続されていてもよく、任意の1つの側面10bのみに接続されていてもよい。
【0086】
つまり、素子チップ10の側面10bからのボンディングワイヤ30の取り出しは、種々の形態が可能である。なお、本実施形態は、上記した各実施形態と組み合わせて適用することが可能である。
【0087】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、主として、側面電極13や第5実施形態における引き出し電極13bをAl膜とし、配線部材30をボンディングワイヤ30とした例について述べたが、もちろん、側面電極13、引き出し電極13bおよび配線部材30は、この例に限定されるものではない。
【0088】
それ以外にも、上述したように、側面電極13や引き出し電極13bは、スパッタや蒸着などの成膜法により形成された種々の導電性の膜や、導体ペースト、金属のメッキ、導電性接着剤、はんだなどにより形成できるものであり、一方、配線部材30としては、被覆付きの配線あるいはリードフレームなどが挙げられる。そして、これらのなかから、電極13、13bと配線部材30との組合せとして、これら両者13、13bと30とが接続可能な組み合わせであれば適宜採用することができる。
【0089】
なお、素子チップ10を構成する半導体基板1とボンディングワイヤ30とを直接接合し、充分な電気的接続が得られるのであれば、半導体基板1には側面電極13を形成しなくてもかまわない。
【0090】
また、素子チップ10としては、一般的な矩形板状の例を挙げたが、もちろんこれに限定されるものではなく、たとえば円形板、多角形板などの形状を有するものであって、その側面に配線部材を接続できるものならば、かまわない。また、上記図1などに示される例では、電子装置は回路チップ40を備えているが、この回路チップは無いものであってもよい。
【0091】
また、上記各実施形態では、素子チップを、素子部として加速度や角速度の検出を行う可動部を備えたものとしたが、素子チップは、その主表面に電気的な機能を有する素子部を有するものであれば限定されるものではなく、例えば圧力検出を行うダイアフラムを備えた半導体チップなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の全体構成を示す俯瞰図である。
【図2】上記図1中の電子装置における素子チップとキャップとの積層構成部分の概略断面図である。
【図3】上記図2に示される素子チップとキャップとの接合体の製造方法を示す工程図である。
【図4】図3に続く製造方法を示す工程図である。
【図5】ダイシングする前の素子チップの端部近傍の俯瞰図である。
【図6】上記図5に示される素子チップの端部をダイシングカットした状態にて示す俯瞰図である。
【図7】ダイシングカットされた接合体における素子チップの端部の俯瞰図である。
【図8】上記図7の接合体にボンディングワイヤを接続した状態を示す俯瞰図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る電子装置の全体構成を示す俯瞰図である。
【符号の説明】
【0093】
1…半導体基板としてのSOI基板、
1a…第1の半導体層としての第1のシリコン層、
1b…第2の半導体層としての第2のシリコン層、
1c…絶縁膜としてのシリコン酸化膜、
10…素子チップ、10a…素子チップの主表面、10b…素子チップの側面、
11…素子部、13…側面電極、14…凹部、
20…キャップ、21…絶縁膜、30…配線部材としてのボンディングワイヤ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な機能を有する素子部を有する素子チップと、素子部を覆うように素子チップに取り付けられたキャップと、素子チップと電気的に接続された配線部材とを備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気的な機能を有する素子部を有する素子チップとしては、素子部として加速度や角速度の検出を行う可動部を備えたものや、圧力検出を行うダイアフラムを備えた半導体チップ(特にMEMS)などが知られている。
【0003】
このような素子部は、素子チップの主表面に対して半導体プロセス技術を用いて形成されるものであり、たとえば上記した可動部やダイアフラムの変位に伴う電気信号を発生する機能、すなわち電気的な機能を有する。
【0004】
そして、このような素子チップに対して、ガラスやシリコンなどよりなるキャップを、素子部を覆うように素子チップの主表面に取り付けることで、素子部の保護を図るようにしている。
【0005】
ここで、素子チップからの電気信号を外部に取り出すために、素子チップに対してボンディングワイヤなどの配線部材を電気的に接続している。一般的には、半導体チップからの配線部材の取り出しは、チップの主表面の周辺部に形成された引き出し電極に当該配線部材を接続することにより行われる。
【0006】
そのため、素子チップの主表面のうち上記引き出し電極が配置された部位は、キャップで覆われないようにする必要がある。これに対応する従来技術として、キャップとなるウェハと、素子チップとなるウェハとをウェハレベルで貼り合せるにあたって、キャップウェハ側に対し、予め、上記引き出し電極に対応する箇所に抜き領域を形成するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
また、特許文献2、特許文献3に記載されているように、キャップに相当するガラス基板に、当該ガラス基板を貫通する貫通電極を設け、この貫通電極を介して素子チップと配線部材との接続を可能としたものも提案されている。
【特許文献1】特開2003−118296号公報
【特許文献2】特開2000−275272号公報
【特許文献3】特開2004−3890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術にあるように、素子チップの主表面に被せられるキャップとなるウェハ側に抜き領域を設けたり、キャップに貫通電極を設けたりすることは、これら抜き領域や貫通電極を形成するための工程が必要であり、プロセスコストの増加は否めない。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、素子チップの主表面の素子部を覆うように素子チップにキャップを取り付け、素子チップと配線部材とを電気的に接続してなる電子装置において、キャップに対して抜き領域や貫通電極を形成することなく、配線部材と素子チップとを電気的に接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明では、配線部材(30)を、素子チップ(10)の主表面(10a)の側部に位置する側面(10b)に接続したことを特徴とする。
【0011】
それによれば、配線部材(30)を、素子チップ(10)の主表面(10a)の側部に位置する側面(10b)に接続しているため、素子チップ(10)の主表面(10a)に取り付けられたキャップ(20)に対して、抜き領域や貫通電極を形成することなく、配線部材(30)と素子チップ(10)とを電気的に接続することができる。
【0012】
ここで、素子チップ(10)の側面(10b)に、素子チップ(10)に電気的に接続された側面電極(13)を設け、この側面電極(13)に配線部材(30)を接続したものにできる。
【0013】
また、このような構成において、素子チップ(10)が、絶縁膜(1c)を第1の半導体層(1a)と第2の半導体層(1b)とで挟んでなる半導体基板(1)により構成されたものであり、第1の半導体層(1a)の表面が、素子チップ(10)の主表面(10a)側となっており、素子部(11)が第1の半導体層(1a)に形成されている場合、配線部材(30)を、素子チップ(10)の側面(10b)において第1の半導体層(1a)に接続されているが、第2の半導体層(1b)には接続されていないものとすることが好ましい。
【0014】
それによれば、第1の半導体層(1a)と第2の半導体層(1b)との配線部材(30)を介した導通を防止し、第1の半導体層(1a)と第2の半導体層(1b)との絶縁膜(1c)を介した電気的分離を確保できる。
【0015】
また、キャップ(20)が導電性を有するものである場合、キャップ(20)のうち配線部材(30)が接触する部位を、電気絶縁性を有する絶縁膜(21)にて被覆すれば、キャップ(20)と素子チップ(10)との電気的な分離およびキャップ(20)と配線部材(30)との電気的な分離が可能となる。
【0016】
さらに、上記した側面電極(13)を有する構成においては、素子チップ(10)の側面(10b)に当該側面(10b)より凹んだ凹部(14)を形成し、この凹部(14)内に側面電極(13)を設けてもよい。
【0017】
そして、この場合、キャップ(20)のうち素子チップ(10)の凹部(14)に隣り合う部位に、素子チップ(10)の凹部(14)から連続して形成された凹み(22)を設けることが好ましい。
【0018】
それによれば、配線部材(30)は、素子チップ(10)の凹部(14)に挿入されて側面電極(13)と接続されるが、このようなキャップ(20)に凹み(22)を設けることで素子チップ(20)の凹部(14)の開口部はキャップ(20)側の凹み(22)の開口部と一体化した分、広くなるため、配線部材(30)を素子チップ(10)の凹部(14)に挿入しやすくなる。
【0019】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置100の全体構成を示す俯瞰図であり、図2は、この電子装置100における素子チップ10とキャップ20との積層構成部分の概略断面図である。本実施形態では、電子装置100を加速度や角速度の検出を行う力学量センサ装置に適用したものとして説明する。
【0022】
図1、図2に示されるように、本実施形態のセンサ装置100は、大きくは、主表面10aに電気的な機能を有する素子部11を有する素子チップ10と、素子部11を覆うように素子チップ10の主表面10aに取り付けられたキャップ20と、素子チップ10と電気的に接続された配線部材30と、この配線部材30を介して素子チップ10と電気的に接続された回路チップ40とを備えて構成されている。
【0023】
図2に示されるように、素子チップ10は、シリコンなどの半導体よりなる半導体基板1により構成されている。ここでは、半導体基板1は、絶縁膜1cを、キャップ20側に位置する第1の半導体層1aと回路チップ40側に位置する第2の半導体層1bとで挟んでなるものである。
【0024】
具体的には、半導体基板1は、絶縁膜1cとしてのシリコン酸化膜1cを、第1の半導体層1aとしての第1のシリコン層1aと第2の半導体層1bとしての第2のシリコン層1bとで挟んでなるSOI基板1である。
【0025】
そして、半導体基板1における両シリコン層1a、1bのうちキャップ20側に位置する第1のシリコン層1aの表面が、素子チップ10の主表面10a側となっており、素子部11はこの第1のシリコン層1aに形成されている。
【0026】
ここでは、素子部11は、加速度や角速度の印加に応じて電気信号を発生する電気的な機能を有するものであり、具体的には、よく知られている櫛歯構造体としての可動電極と固定電極とを有し、これら両電極間の容量変化などにより加速度や角速度を検出するものにできる。
【0027】
図2では、素子部11は、第1のシリコン層1aに形成された上記櫛歯構造体を有する可動部11として示されている。この可動部11の下ではシリコン酸化膜1cが除去されることにより、可動部11は、図示しない梁部などに支持された状態にて、加速度や角速度の印加に応じて変位可能となっている。
【0028】
そして、この素子部としての可動部11が、加速度や角速度の印加に応じて変位することで、印加加速度や印加角速度に応じたレベルの電気信号が発生するが、この信号は、配線部材30から取り出されるようになっている。
【0029】
具体的には、後述の製造方法(後述の図3〜図8参照)のところで述べるが、素子チップ10において第1のシリコン層1aには、トレンチを形成することにより、当該トレンチで区画したパターンとして、可動部11としての櫛歯構造体、および当該可動部11に導通する配線部12(図2参照)を形成する。
【0030】
そして、このトレンチで画定された配線部12が、図2に示されるように、素子チップ10の主表面10aの側部に位置する側面10bに臨んでいる。そして、この素子チップ10の側面10bに臨む配線部12に、引き出し電極としての側面電極13を形成し、この側面電極13に配線部材30が接続されている。
【0031】
この側面電極13は、スパッタや蒸着などの成膜法で形成された導電性の膜や、導体ペーストの印刷あるいは金属のメッキ、さらには導電性接着剤、はんだなどにより形成できるものである。一方、この側面電極13に接続された配線部材30としては、ボンディングワイヤや、被覆付きの配線あるいはリードフレームなどが挙げられる。
【0032】
本例では、側面電極13は、蒸着法などにより形成されたAl膜であり、また、配線部材30は、金やAlなどの線材を用いたワイヤボンディングにより形成されたボンディングワイヤ30としている。
【0033】
また、ここでは、図2に示されるように、素子チップ10の側面10bに臨む配線部12は、素子チップ10の側面10bにおける他の部位よりも引っ込んでおり、凹部14を形成している。
【0034】
つまり、素子チップ10の側面10bには当該側面10bより凹んだ凹部14が形成されており、この凹部14内に側面電極13が設けられている。そして、ボンディングワイヤ30は、この素子チップ10の凹部14に挿入された状態で側面電極13と接続されている。
【0035】
また、図2に示されるように、半導体基板1としてのSOI基板よりなる素子チップ10の側面10bにおいては、ボンディングワイヤ30は、第1のシリコン層1aには接続されているが、シリコン酸化膜1cを跨いで第2のシリコン層1bまで到達しておらず、第2のシリコン層1bには接続されていない。
【0036】
また、キャップ20は、素子部11を覆うように素子チップ10の主表面10aに取り付けられているが、このキャップ20は、ガラスなどの絶縁体やシリコンなどの半導体よりなるものである。キャップ20と素子チップ10とは、たとえばシリコン系の接着剤などによる接着や、陽極接合、シリコン接合などにより接合固定されている。
【0037】
本例では、キャップ20はガラスなどの絶縁体よりなるものである。そのため、本例では、図2に示されるように、配線部材としてのボンディングワイヤ30は、キャップ20に接触している。ただし、キャップ20がシリコンなどの導電性を持つものにより形成されている場合は、ボンディングワイヤ30をキャップ20に接しないように接続することが必要である。
【0038】
このキャップ20は、素子チップ10の主表面10aに位置する可動部11を外力や環境異物から保護するためのものである。本実施形態では、可動部11の可動特性を阻害しないように、外力がかかってもキャップ20の内面と可動部11とが接触しないようにキャップ20を構成している。
【0039】
本例では、図2に示されるように、可動部11に対向するキャップ20の内面を、エッチングなどによって凹形状とすることにより、キャップ20の内面と可動部11とを離している。
【0040】
なお、キャップ20の内側が平坦である場合は、可動部11の上面が、その周りの素子チップ10の主表面10aよりも低くなるように形成したり、キャップ20と素子チップとを接合する接合層に厚みを持たせることにより、可動部11との接触を回避するようにしてもよい。
【0041】
また、図1に示されるように、これら素子チップ10とキャップ20との接合体は、回路チップ40の上に、接着剤などを介して搭載されている。そして、図1に示されるように、ボンディングワイヤ30は、回路チップ40と接続されている。それにより、素子チップ10にて発生した上記電気信号は、上記配線部12から側面電極13、ボンディングワイヤ30を介して回路チップ40に出力されるようになっている。
【0042】
この回路チップ40は、素子チップ10を駆動させたり素子チップ10からの電気信号を処理して外部へ出力したりする機能を有するものである。なお、この回路チップ40は回路基板であってもよい。
【0043】
次に、上記図2に示される素子チップ10とキャップ20との接合体の製造方法を中心に、本実施形態の力学量センサ装置100の製造方法の一例について述べる。当該接合体は、素子チップ10とキャップとをウェハ状態で作製し接合した後、チップ単位にダイシングしてカットすることにより作られる。
【0044】
図3は、当該接合体の製造方法を工程順に示す工程図であり、図4は図3に続く接合体の工程図であり、これら図3および図4ともに各工程におけるワークの断面構成を示している。
【0045】
また、図5は、ダイシングする前すなわちウェハ状態の素子チップ10の端部近傍の俯瞰図、図6は、図5に示される素子チップ10の端部をダイシングカットした状態にて示す俯瞰図、図7は、ダイシングカットされた接合体における素子チップ10の端部の俯瞰図、図8は、図7のものにボンディングワイヤ30を接続した状態を示す俯瞰図である。なお、これら図5〜図8の俯瞰図においては、識別のため便宜上、側面電極13の一部表面には斜線ハッチングを施してある。
【0046】
まず、図3(a)に示されるように、素子チップ10となるウェハとして上記SOI基板1を用意し、エッチングなどにより第1のシリコン層1aのうち上記側面電極13を形成すべき部位を、除去する。
【0047】
次に、図3(b)に示されるように、第1のシリコン層1aの表面すなわち第1のシリコン層1aの上面および上記除去部における側面に、蒸着などにより、Al膜13aを成膜する。
【0048】
そして、図3(c)に示されるように、異方性エッチングなどにより、第1のシリコン層1aの上面に位置するAl膜13aを除去し、第1のシリコン層1aにおける側面に位置するAl膜13aを残す。それにより、この側面に残ったAl膜13aが上記側面電極13となる。
【0049】
次に、図3(d)に示されるように、第1のシリコン層1aに対してトレンチエッチングを行うとともに、犠牲層エッチングなどにより可動部11の下のシリコン酸化膜1cを除去することにより、可動部11および上記配線部12を形成する。
【0050】
なお、上記図5は、ここまでの状態における側面電極13近傍の配線部12の構成を示している。図5に示されるように、トレンチエッチングにより第1のシリコン層1aに形成された分離トレンチ12aによって、配線部12が画定されている。
【0051】
ここで、図5中には、素子チップ10の端部となるダイシングラインDLが示されており、ダイシングラインDLに臨む配線部12の部分には、側面電極13が形成されている。このダイシングラインDLにより切断された素子チップのウェハの切断面が、素子チップ10の側面10b(上記図2参照)を構成する面となる。
【0052】
このようにして、素子チップ10となるウェハに対して、チップ単位毎に、可動部11、配線部12および側面電極13を形成した後、本例の製造方法においては、図4(a)に示されるように、ガラスよりなるキャップ20となるウェハ20’を貼り合わせる。この貼り合わせは、上述したように接着や陽極接合などにより行える。
【0053】
続いて、図4(b)に示されるように、貼り合わされた両ウェハ1、20’の接合体を、図中の破線に示されるダイシングラインDLに沿って、ダイシングカットし、チップ単位に分割する。
【0054】
そして、上記図6には、このダイシングカット後における接合体において、キャップ20を省略した状態にて、側面電極13の近傍の配線部12が示されている。ダイシングによる切断面が素子チップ10の側面10bとして形成され、分離トレンチ12aによって画定された配線部12の個々において、当該側面10bに臨む配線部12の部分に側面電極13が形成されている。
【0055】
また、上記図7では、このダイシングカット後における接合体において、キャップ20を省略しない状態、すなわち上記図6においてキャップ20を付けた状態にて、側面電極13の近傍の配線部12が示されている。図7には、素子チップ10の側面10bに上記凹部14が形成され、この凹部14内に側面電極13が設けられている様子が、明確に示されている。
【0056】
次に、図4に戻って本例の製造方法では、チップに分割された素子チップ10とキャップ20との接合体を上記回路チップ40上に搭載し、続いて、図4(c)に示されるように、ワイヤボンディングを行うことにより、ボンディングワイヤ30によって側面電極13と回路チップ40とを接続する。こうして、上記図1、図2に示される本実施形態のセンサ装置100ができあがる。
【0057】
なお、上記図8では、このワイヤボンディング後の素子チップ10側のボンディングワイヤ30の接続部近傍の様子が示されている。上述したように、素子チップ10の側面10bにおいては、ボンディングワイヤ30は、絶縁体であるキャップ20は接しているが、第2のシリコン層1bには到達していない。
【0058】
それによれば、第1のシリコン層1aと第2のシリコン層1bとのボンディングワイヤ30を介した導通を防止し、両シリコン層1a、1b間におけるシリコン酸化膜1cを介した電気的分離を確保できる。また、図8に示されるように、ボンディングワイヤ30は、分離トレンチ12aを跨いでおらず、個々の配線部12の間の電気的分離を確保している。
【0059】
このように、本実施形態のセンサ装置100は、主表面10aに電気的な機能を有する素子部としての可動部11を有する素子チップ10と、可動部11を覆うように素子チップ10の主表面10aに取り付けられたキャップ20と、素子チップ10と電気的に接続された配線部材としてのボンディングワイヤ30とを備えている。
【0060】
そして、このような基本構成を有するセンサ装置100において、本実施形態では、ボンディングワイヤ30を、素子チップ10の主表面10aの側部に位置する側面10bにて、素子チップ10に接続している。
【0061】
それによれば、ボンディングワイヤ30を、素子チップ10の側面10bに接続しているため、素子チップ10の主表面10aに取り付けられ当該主表面10aを覆うキャップ20に対して、従来のような抜き領域や貫通電極を形成することなく、ボンディングワイヤ30と素子チップ10とを電気的に接続することができる。
【0062】
そして、本実施形態によれば、素子チップ10の側面10bに引き出し電極としての側面電極13を設けることにより、(a)引き出し電極のチップ表面における占有面積を低減してチップの小型化が可能となる、(b)キャップウェハに抜き領域を設ける必要がないため、簡略な工程でキャップウェハを形成できる、(c)キャップウェハ製造時および搬送での破損が抑制できる、といった各種の効果を奏する。
【0063】
次に、上記第1実施形態以外の本発明の種々の実施形態を示すが、以下の各実施形態は、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏するものであるため、以下の各実施形態においては、主として上記第1実施形態とは異なる構成、作用効果を示すこととする。
【0064】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。上記実施形態では、キャップ20を絶縁体により形成した例を述べたが、本実施形態では、キャップ20を、シリコンなどの導電性材料により形成している。
【0065】
本実施形態では、図9に示されるように、キャップ20のうち素子チップ10と対向する部位、すなわちキャップ20の内面を、電気絶縁性を有する絶縁膜21にて被覆したものとしている。なお、図9には、キャップ20と素子チップ10とを接合する接合層50が示されているが、この接合層50は上記した接着剤などである。
【0066】
この絶縁膜21は、一般的な成膜法により形成される絶縁膜であればよい。例えば、絶縁膜21としては、シリコンなどよりなるキャップ20の内面に対して、CVDや蒸着、スパッタなどにより形成されたシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜、あるいは熱酸化法などにより形成されたシリコン酸化膜が挙げられる。
【0067】
このように絶縁膜21を形成することにより、絶縁膜21は、キャップ20のうち配線部材としてのボンディングワイヤ30が接触する部位も被覆している。そのため、本実施形態によれば、ボンディングワイヤ30がキャップ20に接触しても、キャップ20と素子チップ10との電気的な分離およびキャップ20とボンディングワイヤ30との電気的な分離が確保される。
【0068】
なお、図9に示される例では、キャップ20の内面の全面に絶縁膜21を形成しているが、この絶縁膜21は、キャップ20のうちボンディングワイヤ30が接触する部位のみを被覆するように形成すれば、本実施形態の効果は得られる。
【0069】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。本実施形態においても、素子チップ10の側面10bには凹部14が形成されており、この凹部14内に側面電極13が設けられている。
【0070】
ここでは、キャップ20はガラスなどの絶縁体より構成されているが、さらに、本実施形態においては、図10に示されるように、キャップ20のうち素子チップ10の凹部14に隣り合う部位には、この素子チップ10の凹部14の開口部を広げるための凹み22が設けられている。
【0071】
具体的には、キャップ20の凹み22は、素子チップ10の凹部14から連続して形成されており、凹んでいる部分の空間を凹み22と凹部14とで共有した形となっている。そのため、素子チップ20の凹部14の開口部は、キャップ20側の凹み22の開口部と一体化した分、実効的に広くなる。
【0072】
配線部材としてのボンディングワイヤ30は、素子チップ10の凹部14に挿入されて側面電極13と接続されるが、このように、キャップ20に凹み22を設けて素子チップ20の凹部14の開口部を広げているため、ボンディングワイヤ30を素子チップ10の凹部14に挿入しやすくなる。
【0073】
半導体基板1としてのSOI基板1においては、第1のシリコン層1aの厚さはかなり小さいものであり、素子チップ10に凹部14を形成し、この凹部14内に側面電極13を設けた場合、ボンディングワイヤなどの配線部材30を当該凹部14に挿入することが、困難になる可能性がある。しかし、本実施形態のようにすれば、そのような問題を解消できる。
【0074】
なお、上記第2実施形態のような導電性を有するキャップ20においても、上記絶縁膜21によるボンディングワイヤ30との絶縁が確保されているならば、このようなキャップ20の凹み22を設けることが可能である。
【0075】
また、図10に示されるように、側面電極13は、配線部12だけでなく、配線部12から連続してシリコン酸化膜1cまで延長して形成されていてもよい。このことについても、上記した各実施形態において適用可能である。
【0076】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。上記各実施形態では、素子チップ10の側面10bにて、配線部12を引っ込ませることで凹部14を形成し、この凹部14内に側面電極13を設けていた。
【0077】
それに対して、本実施形態では、図11に示されるように、素子チップ10の側面10bに臨む配線部12を、素子チップ10の側面10bにおける他の部位と同一平面としており、そこに側面電極13を設けている。
【0078】
この場合の側面電極13は、ダイシング後に形成すればよい。そして、本実施形態によっても、素子チップ10の側面10bに、素子チップ10に電気的に接続された側面電極13を設け、この側面電極13に配線部材30が接続された構成を実現でき、上記第1実施形態と同様の効果を発揮できる。
【0079】
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。上記各実施形態では、素子チップ10の側面10bに、引き出し電極としての側面電極13を設け、この側面電極13にボンディングワイヤ30を接続することにより、ボンディングワイヤ30を素子チップ10の側面10bに接続した状態で、素子チップ10と電気的に接続した。
【0080】
それに対して、図12に示される本実施形態のように、引き出し電極13bを素子チップ10の主表面10aに形成した場合でもよい。ただし、この場合、素子チップ10の主表面10aの周辺部において、そこに位置する配線部12に引き出し電極13bを設ける。この引き出し電極13bは、上記側面電極と同様の材質とすることができる。
【0081】
さらに、この引き出し電極13bとボンディングワイヤ30とが接続できるように、キャップ20の端部に対して、上記図10の場合と同様の凹み22を形成する。それにより、ボンディングワイヤ30を素子チップ10の側面10bに接続したとき、ボンディングワイヤ30が、キャップ20の凹み22から引き出し電極13bまで入り込んで接続された状態となる。
【0082】
言い換えるなら、本実施形態では、ボンディングワイヤ30をキャップ20の凹み22に挿入しつつ素子キャップ10の側面10bに接続するが、このときに、素子チップ10の主表面10aの周辺部において、当該凹み22に挿入されたボンディングワイヤ30が接続可能な位置に引き出し電極13bを形成するものである。
【0083】
それによって、この引き出し電極13bは、擬似的に上記各実施形態における側面電極と同様の機能を有するものとなる。つまり、本実施形態によれば、素子チップ10の側面10bに、側面電極13を設けなくても、ボンディングワイヤ30を素子チップ10の側面10bに接続して素子チップ10と電気的に接続する状態を実現できるため、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
(第6実施形態)
図13は、本発明の第6実施形態に係る電子装置の全体構成を示す俯瞰図である。上記第1実施形態では、上記図1に示されるように、ボンディングワイヤ30は、矩形板状の素子チップ10の2つの側面10bに接続されていた。
【0085】
それに対して、図13に示される本実施形態のように、この矩形板状をなす素子チップ10の4つの側面10bのすべてにボンディングワイヤ30を接続してもよい。さらには、図示しないが、ボンディングワイヤ30は、任意の3つ側面10bに接続されていてもよく、任意の1つの側面10bのみに接続されていてもよい。
【0086】
つまり、素子チップ10の側面10bからのボンディングワイヤ30の取り出しは、種々の形態が可能である。なお、本実施形態は、上記した各実施形態と組み合わせて適用することが可能である。
【0087】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、主として、側面電極13や第5実施形態における引き出し電極13bをAl膜とし、配線部材30をボンディングワイヤ30とした例について述べたが、もちろん、側面電極13、引き出し電極13bおよび配線部材30は、この例に限定されるものではない。
【0088】
それ以外にも、上述したように、側面電極13や引き出し電極13bは、スパッタや蒸着などの成膜法により形成された種々の導電性の膜や、導体ペースト、金属のメッキ、導電性接着剤、はんだなどにより形成できるものであり、一方、配線部材30としては、被覆付きの配線あるいはリードフレームなどが挙げられる。そして、これらのなかから、電極13、13bと配線部材30との組合せとして、これら両者13、13bと30とが接続可能な組み合わせであれば適宜採用することができる。
【0089】
なお、素子チップ10を構成する半導体基板1とボンディングワイヤ30とを直接接合し、充分な電気的接続が得られるのであれば、半導体基板1には側面電極13を形成しなくてもかまわない。
【0090】
また、素子チップ10としては、一般的な矩形板状の例を挙げたが、もちろんこれに限定されるものではなく、たとえば円形板、多角形板などの形状を有するものであって、その側面に配線部材を接続できるものならば、かまわない。また、上記図1などに示される例では、電子装置は回路チップ40を備えているが、この回路チップは無いものであってもよい。
【0091】
また、上記各実施形態では、素子チップを、素子部として加速度や角速度の検出を行う可動部を備えたものとしたが、素子チップは、その主表面に電気的な機能を有する素子部を有するものであれば限定されるものではなく、例えば圧力検出を行うダイアフラムを備えた半導体チップなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の全体構成を示す俯瞰図である。
【図2】上記図1中の電子装置における素子チップとキャップとの積層構成部分の概略断面図である。
【図3】上記図2に示される素子チップとキャップとの接合体の製造方法を示す工程図である。
【図4】図3に続く製造方法を示す工程図である。
【図5】ダイシングする前の素子チップの端部近傍の俯瞰図である。
【図6】上記図5に示される素子チップの端部をダイシングカットした状態にて示す俯瞰図である。
【図7】ダイシングカットされた接合体における素子チップの端部の俯瞰図である。
【図8】上記図7の接合体にボンディングワイヤを接続した状態を示す俯瞰図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る電子装置の全体構成を示す俯瞰図である。
【符号の説明】
【0093】
1…半導体基板としてのSOI基板、
1a…第1の半導体層としての第1のシリコン層、
1b…第2の半導体層としての第2のシリコン層、
1c…絶縁膜としてのシリコン酸化膜、
10…素子チップ、10a…素子チップの主表面、10b…素子チップの側面、
11…素子部、13…側面電極、14…凹部、
20…キャップ、21…絶縁膜、30…配線部材としてのボンディングワイヤ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面(10a)に電気的な機能を有する素子部(11)を有する素子チップ(10)と、
前記素子部(11)を覆うように前記素子チップ(10)の主表面(10a)に取り付けられたキャップ(20)と、
前記素子チップ(10)と電気的に接続された配線部材(30)とを備える電子装置において、
前記配線部材(30)は、前記素子チップ(10)の主表面(10a)の側部に位置する側面(10b)に接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記素子チップ(10)の前記側面(10b)には、前記素子チップ(10)に電気的に接続された側面電極(13)が設けられており、この側面電極(13)に前記配線部材(30)が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記素子チップ(10)は、絶縁膜(1c)を第1の半導体層(1a)と第2の半導体層(1b)とで挟んでなる半導体基板(1)により構成されたものであり、
前記第1の半導体層(1a)の表面が、前記素子チップ(10)の前記主表面(10a)側となっており、前記素子部(11)は前記第1の半導体層(1a)に形成されており、
前記配線部材(30)は、前記素子チップ(10)の前記側面(10b)において前記第1の半導体層(1a)に接続されているが、前記第2の半導体層(1b)には接続されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記キャップ(20)は導電性を有するものであり、
前記キャップ(20)のうち前記配線部材(30)が接触する部位は、電気絶縁性を有する絶縁膜(21)にて被覆されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記素子チップ(10)の前記側面(10b)には当該側面(10b)より凹んだ凹部(14)が形成されており、この凹部(14)内に前記側面電極(13)が設けられており、
前記キャップ(20)のうち前記素子チップ(10)の前記凹部(14)に隣り合う部位には、前記素子チップ(10)の前記凹部(14)から連続して形成された凹み(22)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項1】
主表面(10a)に電気的な機能を有する素子部(11)を有する素子チップ(10)と、
前記素子部(11)を覆うように前記素子チップ(10)の主表面(10a)に取り付けられたキャップ(20)と、
前記素子チップ(10)と電気的に接続された配線部材(30)とを備える電子装置において、
前記配線部材(30)は、前記素子チップ(10)の主表面(10a)の側部に位置する側面(10b)に接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記素子チップ(10)の前記側面(10b)には、前記素子チップ(10)に電気的に接続された側面電極(13)が設けられており、この側面電極(13)に前記配線部材(30)が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記素子チップ(10)は、絶縁膜(1c)を第1の半導体層(1a)と第2の半導体層(1b)とで挟んでなる半導体基板(1)により構成されたものであり、
前記第1の半導体層(1a)の表面が、前記素子チップ(10)の前記主表面(10a)側となっており、前記素子部(11)は前記第1の半導体層(1a)に形成されており、
前記配線部材(30)は、前記素子チップ(10)の前記側面(10b)において前記第1の半導体層(1a)に接続されているが、前記第2の半導体層(1b)には接続されていないことを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記キャップ(20)は導電性を有するものであり、
前記キャップ(20)のうち前記配線部材(30)が接触する部位は、電気絶縁性を有する絶縁膜(21)にて被覆されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記素子チップ(10)の前記側面(10b)には当該側面(10b)より凹んだ凹部(14)が形成されており、この凹部(14)内に前記側面電極(13)が設けられており、
前記キャップ(20)のうち前記素子チップ(10)の前記凹部(14)に隣り合う部位には、前記素子チップ(10)の前記凹部(14)から連続して形成された凹み(22)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−311392(P2007−311392A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136190(P2006−136190)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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