説明

電子装置

【課題】導電性部材による複数の接続箇所の相互間でのショートを確実に回避する。
【解決手段】回路を内蔵しバンプ111を有する回路部品110と、バンプ111と電気的に接続される接続端122aを有するアンテナパターン122がベース121の表面に設けられた配線基板120と、回路部品110を配線基板120の表面に固定するとともに、各バンプ111と各接続端122aとを電気的に接続した導電性接着剤130と、各接続端122aからはみ出た導電性接着剤130を、各々自己の方へと誘導する貫通孔部分123および窪み部分124とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、回路を内蔵した回路部品が配線基板に実装されてなる電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リーダライタに代表される外部機器と、電波によって非接触で情報のやり取りを行なう種々のRFID(Radio_Frequency_IDentification)タグが広く用いられている。このようなRFIDタグの多くは、プラスチック等からなるベース上に電波通信用のアンテナパターンが設けられた配線基板に、このアンテナパターンを介して上記のような外部機器と通信を行う回路を内蔵した回路部品が実装された構造を有している。また、アンテナパターンと、回路部品に内蔵された回路との接続は、回路部品に設けられ、内蔵された回路に電気的に繋がれた微小端子であるバンプと、アンテナパターン側の接続端との電気的な接続によって行われる。
【0003】
従来、バンプと接続端との電気的な接続は、バンプが接続端に接触するように回路部品を配線基板上に配置してから、この回路部品を配線基板に所定の圧力で押し付けるいわゆる圧接工法によって行われている(例えば、特許文献1参照)。ここで、近年、上記のような回路部品の小型化が急速に進み、小型の回路部品に設けられるバンプが非常に微細なものとなってきている。その結果、上記の圧接工法においては、微細なバンプを接続端に、非常に低荷重で圧接することが求められるようになっている。しかし、これまでの圧接工法では、この低荷重を安定させるのが難しく、この困難さに起因した接触不良等の問題が起きるようになってきている。
【0004】
特に、上記のRFIDタグでは、アンテナパターンが、アルミニウムのパターンで形成されることがあるが、アルミニウムのパターンは表面酸化により電気的な接続性が低下しやすく、上記のような問題が生じやすい。このため、RFIDタグでは、上記の圧接工法において、接続端に良好に接続するための低荷重に対するマージンが狭く、良好な接続を実現するための特別な設備が必要となる等といったコストアップ要因が生じている。
【0005】
ところで、2つの導体どうしを電気的に良好に接続させる技術の一例として、導体間に挟まれた時にその挟んだ導体どうしを結ぶ挟み方向にのみ導電する異方性導電樹脂で2つの導体どうしを接着するという技術が知られている。このような異方性導電樹脂を用いた技術によれば、表面酸化等に起因して電気的な接続性の低下が生じていたとしても、その低下を異方性導電樹脂によって補うことができる。また、回路部品の多くは複数のバンプを有しており、回路部品の配線基板への搭載によって複数のバンプと複数の接続端との一対一の電気的な接続による複数の接続箇所が形成される。このとき、これら複数の接続箇所の間では、ショートが回避されている必要がある。ここで、異方性導電樹脂では上記の挟み方向にのみ導電性が存在するので、例えば、異方性導電樹脂が接続箇所を包含するような大まかな接着を行ったとしても、接続箇所の相互間での絶縁性を保持したままで、各接続箇所の接続を実現することができる。このように、異方性導電樹脂による接着には、接続箇所の間でのショートを回避した接続を簡単に行えるという利点もある。
【0006】
ここで、異方性導電樹脂では、上記の挟み方向での導電性が、樹脂中に分散された導電粒子によって実現されている。その結果、このような技術による導体間の接続では、この導電粒子を介した点接続が支配的となる。このため、上記のような微細なバンプと接続端との接続等のようにもともと接触面積が小さい接続に異方性導電樹脂を用いた接着を適用すると、その小さな接触面積において十分な数の点接続を得られなくなる可能性があり、このような接触面積が小さい接続に異方性導電樹脂を用いた接着を適用することには無理がある。
【0007】
また、2つの導体間における電気的な接続性を向上させる技術として、例えばハンダペーストや銀ペースト等の導電性接着剤に代表される導電性部材で導体間を接着するという技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。この導電性部材でも、接着樹脂に分散された導電粒子によって導電性が実現されているが、この導電粒子が、上記の異方性導電樹脂における導電粒子等に比べて非常に小さな粒子であることから、上記のような接触面積が小さい接続についても良好な接続性を得ることができる。ただし、異方性導電樹脂のように導電性についての異方性は持っていないので、上記のように複数のバンプを導体パターンに接続する場合には、複数の接続箇所の相互間でのショートを回避するために、接着を各接続箇所に限定して行う必要がある。しかしながら、上記のような回路部品の小型化においては、個々のバンプが微細化されているだけでなくバンプ間の間隔も狭くなっており、接続箇所の間でのショートを回避した接着が難しくなっている。
【0008】
そこで、例えば、配線基板において、各々がバンプと接続される各接続端の間に溝や貫通孔を設け、これらの溝や貫通孔に導電性部材が進入し難いとの考えに基づいて、各接続箇所における導電性部材どうしを分離するという技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
また、例えば、回路部品が配線基板に搭載されたときの回路部品と配線基板との間隔が広くなるように、回路部品に設けられるバンプの、この回路部品からの突出量を多くして、各接続箇所における導電性部材が、回路部品に押されて周辺に広がる量を抑えることで、そのような導電性部材どうしの接触を回避するという技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平6−232204号公報
【特許文献2】特開平10−4122号公報
【特許文献3】特開2005−150652号公報
【特許文献4】特開2001−102715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、各接続端の間に溝や貫通孔を設ける技術や、回路部品に設けられるバンプの突出量を多くするという上記の技術では、導電性部材が多い場合等に、接続箇所の間でのショートを回避するために、各接続箇所における導電性部材どうしの接触を確実に回避することが難しいという問題がある。
【0011】
本件開示の電子装置は、上記事情に鑑み、導電性部材による複数の接続箇所の相互間でのショートを確実に回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する電子装置の基本形態は、
基板と、
上記基板の表面に設けられた、複数の接続端を有する配線パターンと、
回路を内蔵し、この回路との電気的接続に用いられるバンプが表面の所定面に突出した、その所定面を上記基板の上記表面に向けて設置される回路部品と、
上記回路部品のバンプと上記配線パターンの接続端とを電気的に接続すると共にその回路部品を上記基板に固定する導電性部材と、
上記基板上に設けられた、上記接続端からはみ出た導電性部材を自己の方へと誘導することで、その接続端とは別の接続端へのその導電性部材の到達を防ぐ誘導部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
この電子装置の基本形態によれば、上記接続端からはみ出た導電性部材が、上記誘導体の方に誘導されることで、その接続端とは別の接続端へのその導電性部材の到達が防がれる。これにより、導電性部材による複数の接続箇所の相互間でのショートを確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、上記の電子装置の基本形態によれば、各バンプと各接続端との導電性部材による電気的な接続箇所の間でのショートが確実に回避された状態で、回路部品を配線基板に搭載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで、上述した電子装置の基本形態に対し、
「上記誘導体の少なくとも1つが、上記導電性部材が流れ込む窪みが上記基板に開けられてなる基板部分である」という応用形態や、
「上記誘導体の少なくとも1つが、上記導電性部材が流れ込む貫通孔が上記基板に開けられてなる基板部分である」という応用形態は好適である。
【0016】
これらの好適な応用形態によれば、上記導電性部材を、毛細管現象によって上記窪みや上記貫通孔に引き込むことができるので効果的に誘導することができる。
【0017】
また、上述した電子装置の基本形態に対し、
「上記誘導体の少なくとも1つが、上記接続端の周囲のうち、別の接続端とは離れる側に設けられたものである」という応用形態も好適である。
【0018】
この好適な応用形態によれば、複数の接続端それぞれに対応する導電性部材を、互いに離れる方向に誘導できるので、上記回路部品の一層安全性の高い実装が可能となる。
【0019】
まず、基本形態およびこれらの応用形態に係る電子装置に対する具体的な実施形態である第1実施形態について説明する。
【0020】
図1は、電子装置に対する具体的な第1実施形態であるRFIDタグを示す模式図である。
【0021】
この図1のパート(a)には、RFIDタグ100における、回路部品110の周辺部分の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ100における、パート(a)中の切断線A−Aに沿う断面図が示されている。
【0022】
この図1に示すRFIDタグ100は、リーダライタに代表される外部機器と、電波によって非接触で情報のやり取りを行なうものであり、PETフィルムからなるベース121上に電波通信用のアンテナパターン122が設けられた配線基板120に、このアンテナパターン122を介して上記のような外部機器と通信を行う回路を内蔵した回路部品110が搭載された構造を有している。上記のベース121、アンテナパターン122、および回路部品110は、それぞれ上述の電子装置の基本形態における基板、配線パターン、および回路部品の各一例に相当する。
【0023】
ここで、回路部品110は、各々が上記の回路に電気的に繋がれた4つのバンプ111を有しており、また、配線基板120上のアンテナパターン122は、上記のバンプ111の1つと電気的に接続される接続端122aを2つ有している。そして、回路部品110に内蔵された回路と、配線基板120上のアンテナパターン122との電気的な接続は、図1のパート(a)に示すように4つのバンプ111のうち、対角に位置する2つのバンプ111と、各バンプ111に対応する位置の接続端122aとの間の電気的な接続によって行われる。上記のバンプ111および接続端122aは、それぞれ上述の電子装置の基本形態におけるバンプおよび接続端の各一例に相当する。
【0024】
さらに、このRFIDタグ100では、各バンプ111と各接続端122aとの接続が、回路部品110を配線基板120の表面に固定するとともに、2つのバンプ111それぞれと2つの接続端122aそれぞれとを、互いに一対一に電気的に接続した導電性接着剤130によって行われている。この導電性接着剤130は、上述の電子装置の基本形態における導電性部材の一例に相当する。
【0025】
ここで、本実施形態では、上記のベース121において、図中右側の接続端122aの右側に並んで、この接続端122aから離れた位置に貫通孔が開けられてなる貫通孔部分123が設けられ、さらに、図中左側の接続端122aの左側に並んで、この接続端122aから離れた位置に窪みが開けられてなる窪み部分124が設けられている。ここで、これらの貫通孔部分123および窪み部分124のそれぞれが、上述の電子装置の基本形態における誘導体の一例に相当する。また、これらの貫通孔部分123および窪み部分124は、それぞれ上述の電子装置の応用形態における「貫通孔が上記基板に開けられてなる基板部分」および「窪みが上記基板に開けられてなる基板部分」の各一例に相当する。
【0026】
回路部品110の配線基板120への搭載は、配線基板120の各接続端122a上、あるいは回路部品110の各バンプ111上に導電性接着剤130を塗布し、各バンプ111と各接続端122aとが一対一に対向するように回路部品110を配線基板120上に置いて、所定の低荷重で回路部品110を配線基板120に押し付けることで行われる。このとき、バンプ111と接続端122aとの間の導電性接着剤130が、回路部品110が配線基板120に押し付けられることで、接続端122aからはみ出して周辺部分に広がる。ここで、本実施形態では、上記の貫通孔部分123や窪み部分124が、接続端122aからはみ出した導電性接着剤130を毛細管現象によって引き寄せる。その結果、図中右側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130の大半は、貫通孔部分123によって、その接続端122aの右側に導かれ、図中左側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130の大半は、窪み部分124によって、その接続端122aの左側に導かれることとなる。これにより、図中右側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130と図中左側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130とが互いに離されて両者の接触が回避されるので、バンプ111と右側の接続端122aとの接続箇所と、バンプ111と左側の接続端122aとの接続箇所とのショートを確実に回避することができる。
【0027】
ここで、上述した電子装置の基本形態に対し、
「上記誘導体の少なくとも1つが、上記基板上に上記接続端とは離れてその接続端に並んで設けられたダミーパターンである」という応用形態は好適である。
【0028】
この好適な応用形態によれば、パターンを有する基板上の流動体はそのパターンに沿って流れ易いという一般的な性質を利用して、上記導電性部材を効果的に誘導することができる。
【0029】
以下、基本形態およびこの応用形態に係る電子装置に対する具体的な実施形態である第2実施形態について説明する。
【0030】
この第2実施形態は、上記の接続端からはみ出した、上記導電性部材の一例である導電性接着剤の導き方が、上述の第1実施形態とは異なる。以下、この第1実施形態との相違点に注目して、第2実施形態を説明する。
【0031】
図2は、電子装置に対する具体的な第2実施形態であるRFIDタグを示す模式図である。尚、この図2では、上記の図1に示す構成要素と同等な構成要素が、図1と同じ符号が付されて示されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
【0032】
この図2のパート(a)には、RFIDタグ200における、回路部品110の周辺部分の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ200における、パート(a)中の切断線B−Bに沿う断面図が示されている。
【0033】
この図2に示すRFIDタグ200では、配線基板210のベース211においてにおいて、図中右側の接続端122aの右側に並んで、この接続端122aから離れた位置に第1独立ダミーパターン212が設けられ、さらに、図中左側の接続端122aの左側に並んで、この接続端122aから離れた位置に第2独立ダミーパターン213が設けられている。ここで、これらの第1独立ダミーパターン212および第2独立ダミーパターン213のそれぞれが、上述の電子装置の基本形態における誘導体の一例に相当する。また、これらの第1独立ダミーパターン212と第2独立ダミーパターン213とのそれぞれは、上述の電子装置の応用形態におけるダミーパターンの一例に相当する。
【0034】
第1独立ダミーパターン212は、図中右側の接続端122aの右側に配置された孤立パターンであり、パターンが右方向に伸びて下方に折れ曲がり、しばらく下方向に進んだ後に左方向に折れ曲がるというパターン形状を有している。また、第2独立ダミーパターン213は、図中左側の接続端122aの右側に配置された孤立パターンであり、十字型のパターン形状を有している。
【0035】
本実施形態では、パターンを有する基板上の流動体はそのパターンに沿って流れ易いという一般的な性質を利用して、上記の第1独立ダミーパターン212や第2独立ダミーパターン213が、接続端122aからはみ出した導電性接着剤130を引き寄せる。その結果、図中右側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130の大半は、第1独立ダミーパターン212によって、その接続端122aの右側に導かれ、図中左側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130の大半は、第2独立ダミーパターン213によって、その接続端122aの左側に導かれることとなる。これにより、図中右側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130と図中左側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130とが互いに離されて両者の接触が回避されるので、バンプ111と右側の接続端122aとの接続箇所と、バンプ111と左側の接続端122aとの接続箇所とのショートを確実に回避することができる。
【0036】
ここで、上述した電子装置の基本形態に対し、
「上記誘導体の少なくとも1つが、上記基板上に上記接続端に続けて設けられたダミー配線である」という応用形態は好適である。
【0037】
この好適な応用形態によれば、パターンを有する基板上の流動体はそのパターンに沿って流れ易いという一般的な性質を利用するとともに、そのような性質を利用して上記導電性部材を誘導するダミー配線を上記接続端に続けることで、上記導電性部材を一層効果的に誘導することができる。
【0038】
以下、基本形態およびこの応用形態に係る電子装置に対する具体的な実施形態である第3実施形態について説明する。
【0039】
この第3実施形態は、上記の接続端からはみ出した、上記導電性部材の一例である導電性接着剤の導き方が、上述の第1実施形態や第2実施形態とは異なる。以下、これら第1実施形態や第2実施形態との相違点に注目して、第3実施形態を説明する。
【0040】
図3は、電子装置に対する具体的な第3実施形態であるRFIDタグを示す模式図である。尚、この図3では、上記の図1に示す構成要素と同等な構成要素が、図1と同じ符号が付されて示されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
【0041】
この図3のパート(a)には、RFIDタグ300における、回路部品110の周辺部分の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ300における、パート(a)中の切断線C−Cに沿う断面図が示されている。
【0042】
この図3に示すRFIDタグ300では、配線基板310のベース311においてにおいて、図中右側の接続端122aに続けて右方向に延びる第1延長ダミーパターン312が設けられ、さらに、図中左側の接続端122aに続けて左方向に延びる第2延長ダミーパターン313が設けられている。本実施形態では、第1延長ダミーパターン312は、図中右側の接続端122aの右側でパターンが渦巻状に延びたパターン形状を有しており、第2延長ダミーパターン313は、図中左側の接続端122aから左側に延びる2本の直線パターンで形成されている。これらの第1延長ダミーパターン312および第2延長ダミーパターン313のそれぞれが、上述の電子装置の基本形態における誘導体の一例に相当する。また、これらの第1延長ダミーパターン312および第2延長ダミーパターン313のそれぞれが、上述の電子装置の応用形態におけるダミー配線の一例に相当する。
【0043】
本実施形態では、パターンを有する基板上の流動体はそのパターンに沿って流れ易いという一般的な性質を利用するとともに、そのような性質を利用して導電性接着剤130を誘導する上記の第1延長ダミーパターン312や第2延長ダミーパターン313を接続端122aに続けることで、それらの第1延長ダミーパターン312や第2延長ダミーパターン313が、接続端122aからはみ出した導電性接着剤130を強力に引き寄せる。その結果、図中右側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130の大半は、第1延長ダミーパターン312によって、その接続端122aの右側に導かれ、図中左側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130の大半は、第2延長ダミーパターン313によって、その接続端122aの左側に導かれることとなる。これにより、図中右側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130と図中左側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130とが互いに離されて両者の接触が回避されるので、バンプ111と右側の接続端122aとの接続箇所と、バンプ111と左側の接続端122aとの接続箇所とのショートを確実に回避することができる。
【0044】
ここで、上述した電子装置の基本形態に対し、
「上記誘導体の少なくとも1つが、上記接続端の周囲のうち、別の接続端に向かう側に設けられたものである」という応用形態は好適である。
【0045】
この好適な応用形態によれば、複数の接続端それぞれに対応する導電性部材どうしの接触を回避しつつも、これらの導電性部材を互いに近付く方向に誘導することで、上記基板上で導電性部材に覆われる部分の面積を抑えることができるので、上記回路部品の効率的な実装が可能となる。
【0046】
以下、基本形態およびこの応用形態に係る電子装置に対する具体的な実施形態である第4実施形態について説明する。
【0047】
この第4実施形態は、上記の接続端からはみ出した、上記導電性部材の一例である導電性接着剤の導き方が、上述の第1から第3の各実施形態とは異なる。以下、これらの実施形態との相違点に注目して、第4実施形態を説明する。
【0048】
図4は、電子装置に対する具体的な第4実施形態であるRFIDタグを示す模式図である。尚、この図4では、上記の図1に示す構成要素と同等な構成要素が、図1と同じ符号が付されて示されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
【0049】
この図4のパート(a)には、RFIDタグ300における、回路部品110の周辺部分の上面図が示されており、パート(b)には、このRFIDタグ300における、パート(a)中の切断線D−Dに沿う断面図が示されている。
【0050】
この図4に示すRFIDタグ300では、配線基板410のベース411においてにおいて、図中右側の接続端122aの左側に並んで、回路部品110の下になる位置に円弧状の貫通孔が開けられてなる円弧状貫通孔部分412が設けられ、さらに、図中左側の接続端122aの右側に並んで、この接続端122aから離れた位置に円弧状の窪みが開けられてなる円弧状窪み部分413が設けられている。本実施形態では、これらの円弧状貫通孔部分412および円弧状窪み部分413のそれぞれが、上述の電子装置の基本形態における誘導体の一例に相当する。
【0051】
本実施形態では、上記の円弧状貫通孔部分412や円弧状窪み部分413が、接続端122aからはみ出した導電性接着剤130を引き寄せる。その結果、図中右側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130の大半は、円弧状貫通孔部分412によって、その接続端122aの右側に導かれ、図中左側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130の大半は、円弧状窪み部分413によって、その接続端122aの左側に導かれることとなる。これにより、図中右側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130と図中左側の接続端122aからはみ出した導電性接着剤130とは、互いに近付きながらも互いの接触が回避されるので、バンプ111と右側の接続端122aとの接続箇所と、バンプ111と左側の接続端122aとの接続箇所とのショートを確実に回避することができる。また、本実施形態では、接続端122aからはみ出した導電性接着剤130が、互いに近付く方向に導かれていることから、配線基板410上で導電性接着剤130に覆われる部分の面積が抑えられることとなり、回路部品110が配線基板410に効率的に搭載された構造となっている。
【0052】
尚、上記では、電子装置の一実施形態としてRFIDタグを例示したが、電子装置はこれに限るものではなく、例えば、携帯電話機やコンピュータ、あるいは一般的な家電製品に搭載される回路基板等のように、回路を内蔵した回路部品が配線基板に実装されてなる一般的な電子装置であっても良い。
【0053】
また、上記では、電子装置の一実施形態として、回路部品が配線基板に実装されたままむき出しとなっているRFIDタグを例示したが、電子装置はこれに限るものではなく、例えば、回路部品が配線基板に実装されたものを所定の樹脂材料で被覆したもの等であっても良い。
【0054】
また、上記では、電子装置の一実施形態として、回路部品と配線基板との間に隙間があるRFIDタグを例示したが、電子装置はこれに限るものではなく、例えば、回路部品と配線基板との間に所定のアンダーフィル樹脂が充填されたもの等であっても良い。
【0055】
また、上記では、上述の電子装置の基本形態における誘導体の一例として、配線基板のベースに設けられた窪みを例示したが、この基本形態における誘導体はこれに限るものではなく、誘導体は、例えば、ベース上に、厚めに形成された配線パターンにおける、バンプとの接続端から離れた箇所あるいは接続端に続く箇所に、エッチング等により窪みが設けられた配線パターン上の窪み部分等であっても良い。
【0056】
上記では、上述の電子装置の基本形態における誘導体の一例として、配線基板のベースに設けられた窪み部分と貫通孔部分との組合せや、接続端の近傍に形成された各種独立ダミーパターンの組合せや、接続端に続いた各種延長ダミーパターンの組合せ等を例示したが、この基本形態における誘導体はこれに限るものではなく、誘導体は、例えば、窪み部分や貫通孔部分と上記の独立ダミーパターンとの組合せや、窪み部分や貫通孔部分と上記の延長ダミーパターンとの組合せや、上記の独立ダミーパターンと上記の延長ダミーパターンとの組合せ等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】電子装置に対する具体的な第1実施形態であるRFIDタグを示す模式図である。
【図2】電子装置に対する具体的な第2実施形態であるRFIDタグを示す模式図である。
【図3】電子装置に対する具体的な第3実施形態であるRFIDタグを示す模式図である。
【図4】電子装置に対する具体的な第4実施形態であるRFIDタグを示す模式図である。
【符号の説明】
【0058】
100,200,300,400 RFIDタグ
110 回路部品
111 バンプ
120,210,310,410 配線基板
121,211,311,411 ベース
122 アンテナパターン
122a 接続端
123 貫通孔部分
124 窪み部分
130 導電性接着剤
212 第1独立ダミーパターン
213 第2独立ダミーパターン
312 第1延長ダミーパターン
313 第2延長ダミーパターン
412 円弧状貫通孔部分
413 円弧状窪み部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面に設けられた、複数の接続端を有する配線パターンと、
回路を内蔵し、当該回路との電気的接続に用いられるバンプが表面の所定面に突出した、該所定面を前記基板の前記表面に向けて設置される回路部品と、
前記回路部品のバンプと前記配線パターンの接続端とを電気的に接続すると共に該回路部品を前記基板に固定する導電性部材と、
前記基板上に設けられた、前記接続端からはみ出た導電性部材を自己の方へと誘導することで、該接続端とは別の接続端への該導電性部材の到達を防ぐ誘導部とを備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記誘導体の少なくとも1つが、前記導電性部材が流れ込む窪みが前記基板に開けられてなる基板部分であることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記誘導体の少なくとも1つが、前記導電性部材が流れ込む貫通孔が前記基板に開けられてなる基板部分であることを特徴とする請求項1または2記載の電子装置。
【請求項4】
前記誘導体の少なくとも1つが、前記基板上に前記接続端とは離れて該接続端に並んで設けられたダミーパターンであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の電子装置。
【請求項5】
前記誘導体の少なくとも1つが、前記基板上に前記接続端に続けて設けられたダミー配線であることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の電子装置。
【請求項6】
前記誘導体の少なくとも1つが、前記接続端の周囲のうち、別の接続端とは離れる側に設けられたものであることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載の電子装置。
【請求項7】
前記誘導体の少なくとも1つが、前記接続端の周囲のうち、別の接続端に向かう側に設けられたものであることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−231597(P2009−231597A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76179(P2008−76179)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】