説明

電子部品の接合方法及び電子部品の接合装置

【課題】熱履歴による電子部品の特性の劣化を抑制した状態で電子部品を基板に接合することができるとともに冷却時期の自由度を高めることができる電子部品の接合方法を提供する。
【解決手段】基板35上に設けられたパッド36に半田37を介して電子部品11を接合する接合方法であって、半田37を加熱する加熱手段21として、流体の流入及び流出が可能な冷却部26を備えた励磁ヘッド23a,23bを用いる。加熱手段21は高周波誘導加熱でパッド36及び半田37を加熱する。少なくとも半田37の溶融後、励磁ヘッド23a,23bを電子部品11に接触させるとともに、冷却部26に冷却水タンク28の冷却水を循環供給させて冷却を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の接合方法及び接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に半導体素子やチップ抵抗、チップコンデンサ等の電子部品を実装する場合、基板と電子部品とを半田を介して接合する半田付け方法が一般的である。例えば、テープキャリアパッケージ(TCP)を基板に実装する方法として、図5に示すように、基板51に設けられたパッド52上に半田53を塗布し、その上にテープキャリアパッケージ54のリード55を載置し、絶縁物(キャリアテープ)56を介して加熱ツール57で加熱する方法が開示されている(特許文献1参照)。加熱ツール57は、励磁ヘッド58と、励磁ヘッド58に巻かれた励磁コイル59等から構成され、励磁ヘッド58の先端で絶縁物56を押圧した状態で励磁コイル59に高周波電流を流すことにより、半田付けを行う。
【0003】
ところが、この接合方法では、リード55を介して半導体素子60に対して熱履歴をかけることになる。また、半導体素子によってはリードを介さずに半導体素子を半田を介して基板のパッド(接合部)に直接接合する場合もあり、その場合も半導体素子に熱履歴をかけることになる。半導体素子等の電子部品を接合する際に、熱履歴をかけると電子部品に悪影響を及ぼす虞があるため、熱履歴をかけることを抑制する方法が好ましい。
【0004】
また、絶縁基板に与える熱影響を最小限にして絶縁基板を劣化させ難くし、かつ強度の高い接合が行われる加熱接合方法として、非酸化性の保護流体を接合部に供給して加熱し、その後、継続して冷却流体を接合部に供給して冷却する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、熱ショックに弱い電子部品であっても特性を劣化させることなくプリント基板に円滑に挿入実装するリフロー半田付け方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、予備加熱炉から本加熱炉を経て冷却炉へとプリント基板を搬送する間に、該プリント基板に電子部品を半田付けするリフロー半田付け方法において、搬送されるプリント基板で仕切られてその下面側に位置する本加熱炉内には加熱気体を供給し、上面側に位置する本加熱炉内には冷却用気体を導入して半田付けを行う。
【特許文献1】特開平5−67719号公報
【特許文献2】特開平8−64955号公報
【特許文献3】特開平11−26927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2及び特許文献3の方法では電子部品にかかる熱履歴が特許文献1の場合に比較して抑制される。ところが、特許文献2及び特許文献3の方法では、半田の加熱時に冷却を行うことが必須のため、加熱のエネルギーが余分に必要になる。
【0007】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、熱履歴による電子部品の特性の劣化を抑制した状態で電子部品を基板に接合することができるとともに冷却時期の自由度を高めることができる電子部品の接合方法及び電子部品の接合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、基板上に設けられた接合部に接合材を介して電子部品を接合する電子部品の接合方法であって、前記接合材を加熱する加熱手段として、流体の流入及び流出が可能な冷却部を備えた加熱ヘッドを用い、少なくとも前記接合材の溶融後、前記加熱ヘッドを被冷却部に接触させて前記冷却部による冷却を行う。ここで、「接合材」とは、加熱溶融された後、凝固することにより接合部を接合する半田、金/シリコン共晶体、金/錫共晶体等のろう材を意味する。また、「被冷却部」とは、接合材に接合される部分だけでなく、接合部と一体又は接合部に接触した状態にある他の部材も含む。
【0009】
この発明では、半田等の接合材を加熱するための加熱手段が冷却部を備えており、少なくとも接合材の溶融後、加熱ヘッドが被冷却部に接触して冷却部による冷却が行われる。従って、加熱条件によって加熱時にも冷却を行ったり、加熱後のみ冷却を行ったりすることが可能になり、冷却時期の自由度を高めることができる。また、流体は気体及び液体のいずれを使用してもよく、冷却温度の制御が容易となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記加熱手段は、高周波誘導加熱により加熱を行う。従って、この発明では、基板上の接合部や接合材が高周波誘導加熱で加熱されている状態で、電子部品の接合材と接触する面と反対側の面を冷却することが可能になり、加熱中に電子部品本体(例えば、半導体素子)に熱が伝達されるのを抑制することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記加熱手段は、加熱時に接合すべき箇所を押圧した状態で接合を行う。従って、この発明では、接合作業中、電子部品が基板側に押圧された状態に保持されるため、電子部品の位置ずれが抑制されるとともに、高周波誘導加熱を行うためのコイルが巻かれた部分の熱やコイルで発生する熱も接合部に伝達され、同じ熱量を得るのに必要な電力使用量を少なくすることができる。また、加熱中に冷却を同時に行うことが容易になる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記加熱手段は、加熱時に接合すべき箇所を押圧せずに接合を行う。従って、この発明では、接合部における応力がフリーの状態で電子部品の接合を行うことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、基板上に設けられた接合部に接合材を介して電子部品を接合する接合装置である。そして、流体の流入及び流出が可能な冷却部を備えた加熱ヘッドと、前記加熱ヘッドを接合作業時に、前記加熱ヘッドが前記電子部品の少なくとも一部を押圧可能な押圧位置と押圧不能な非押圧位置とに移動させる移動手段と、前記加熱ヘッド及び前記移動手段を制御する制御手段とを備えている。
【0014】
この発明では、加熱ヘッドが冷却部を備えており、接合作業時に移動手段により加熱ヘッドが電子部品の少なくとも一部を押圧可能な押圧位置に移動された状態で冷却部を機能させれば、接合部を効率良く冷却することができる。また、押圧位置に配置した状態で加熱を行えば、接合材の溶融時に電子部品の位置ずれが発生するのを防止することができる。従って、種々の接合条件で接合を行うことができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記制御手段は、接合条件に対応した前記加熱ヘッドの加熱時間及び前記加熱ヘッドを前記押圧位置に配置する前記移動手段の駆動タイミングを記憶した記憶手段を備えている。ここで、「接合条件」とは、接合材の溶融温度、冷却しながら接合材を加熱するか否か、冷却部に供給される流体の温度、流量等を意味する。
【0016】
この発明では、接合条件を設定することにより、その接合条件に対応した記憶手段に記憶された加熱時間、加熱が行われ、加熱ヘッドは所定のタイミングで押圧位置に配置される。従って、所望の条件で接合を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、熱履歴による電子部品の特性の劣化を抑制した状態で電子部品を基板に接合することができるとともに冷却時期の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をガルウイング形状の複数のリードが2列に設けられたテープキャリアパッケージ等の電子部品を基板に実装する方法に具体化した一実施形態を図1にしたがって説明する。なお、図1は、電子部品と接合装置の構成を模式的に示したものであり、図示の都合上、一部の寸法を誇張して分かり易くするために、それぞれの部分の幅、長さ、厚さ等の寸法の比は実際の比と異なっている。
【0019】
図1に示すように、電子部品11は、半導体素子12が複数のリード13に加熱圧着されるとともにポッティング樹脂14で覆われるように構成されている。なお、リード13の上面にはキャリアテープの残部である絶縁物15a,15bが付着している。
【0020】
接合装置20は、加熱手段21を備えている。加熱手段21は、高周波誘導加熱により加熱を行うように構成されている。具体的には、加熱手段21は、略逆U字状に形成されるとともに連結部22で連結された一対の加熱ヘッドとしての励磁ヘッド23a,23bを備え、各励磁ヘッド23a,23bに励磁コイル24が巻回されている。励磁コイル24は、接合装置20が備える高周波発生装置25に電気的に接続されている。
【0021】
各励磁ヘッド23a,23bの内側下部には冷却部26が設けられている。冷却部26は筒状に形成されている。冷却部26は配管27a,27bを介して接合装置20が備える冷却媒体としての冷却水を貯留する冷却水タンク28に接続されている。配管27aの途中にはポンプ29が設けられている。そして、ポンプ29の駆動により、冷却水が冷却部26及び冷却水タンク28の間を循環するようになっている。即ち、冷却部26は、流体の流入及び流出が可能に構成されている。なお、冷却水タンク28にはブラインが流れる熱交換器30が設けられ、冷却水の温度を制御可能に構成されている。
【0022】
加熱手段21は、移動手段としての駆動装置31に取り付けられている。駆動装置31には電気シリンダが使用され、そのピストンロッド31aの先端に加熱手段21が固定されている。加熱手段21は、駆動装置31が駆動されることにより、加熱手段21の下方に配設された支持部32に近づいて、接合作業の際に支持部32上に配置された電子部品11の一部(リード13及び絶縁物15a)を押圧可能な押圧位置と、押圧位置の上方で押圧不能な非押圧位置とに移動されるようになっている。
【0023】
高周波発生装置25、ポンプ29、熱交換器30及び駆動装置31は制御装置33からの指令によって制御されるようになっている。制御装置33は、加熱手段21及び駆動装置31を制御する制御手段を構成する。制御装置33は、接合条件に対応した加熱手段21の加熱時間及び冷却部26を押圧位置に配置する駆動装置31の駆動タイミングを記憶した記憶手段としてのメモリ34を備えている。接合条件には、接合材の溶融温度、冷却しながら接合材を加熱するか否か、冷却部に供給される流体の温度、流量等があり、メモリ34にはそれらの条件に対応して、高周波発生装置25から励磁コイル24に供給される高周波電流値や加熱時間及びポンプ29の運転条件等が記憶されている。
【0024】
次に、前記接合装置20を用いた電子部品11の基板に対する接合方法を説明する。基板35には接合部としてのパッド36が形成されている。支持部32上の所定位置に基板35が配置され、基板35のパッド36上に接合材としての半田37が塗布される。電子部品11はリード13が半田37を介してパッド36上に仮止めされた状態で配置される。
【0025】
次に駆動装置31が駆動されて、励磁ヘッド23a,23bが絶縁物15aに当接して
リード13をパッド36側へ押圧する押圧位置に配置される。その状態で高周波発生装置25が作動され、各励磁コイル24に高周波電流が供給される。すると、励磁コイル24には、励磁ヘッド23a,23bを通る高周波の磁束が発生し、その磁束が絶縁物15aを通過するとともにパッド36及び半田37を通過して再び励磁ヘッド23a,23bに戻る状態になる。そして、パッド36及び半田37には磁束の通過によって渦電流が発生するとともにパッド36及び半田37自身の電気抵抗により発熱し、その熱により半田37が溶融温度以上の温度になって溶融する。
【0026】
励磁コイル24には半田37が溶融するのに必要な時間高周波電流が供給された後、高周波電流の供給が停止される。そして、半田37が冷却されて凝固することにより、リード13がパッド36に接合される。半田37が所定温度に冷却された後、駆動装置31が駆動され、加熱手段21が待機位置に移動されて接合作業が終了する。
【0027】
励磁コイル24への高周波電流の供給が停止された後の半田37の冷却時には、ポンプ29が駆動されて冷却水タンク28から冷却水が冷却部26に供給される。従って、冷却部26のない空冷(放冷)に比較して溶融状態の半田37が急激に冷却される。
【0028】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)基板35上に設けられたパッド36に半田37を介して電子部品11を接合する接合方法において、半田37を加熱する加熱手段21として、流体の流入及び流出が可能な冷却部26を備えたものを用い、半田37の溶融後、冷却部26に冷却水が循環供給される。従って、溶融状態の半田37の冷却を、冷却部26を利用せずに行う場合に比較して急激に冷却することができ、半田37の凝固時に生じる結晶粒径が小さくなって強度が高くなる。
【0029】
(2)加熱手段21は、高周波誘導加熱により加熱を行う。従って、基板35上のパッド36や半田37が高周波誘導加熱で加熱されている状態で、電子部品11のリード13の半田37と接触する面と反対側の面を冷却することが可能になり、加熱中に電子部品11本体(半導体素子12)に熱が伝達されるのを抑制することができる。
【0030】
(3)加熱手段21は、加熱時に接合すべき箇所を押圧した状態で接合を行う。従って、接合作業中、電子部品11のリード13が基板35側に押圧された状態に保持されるため、電子部品11の位置ずれが抑制されるとともに、高周波誘導加熱を行うための励磁コイル24が巻かれた部分の熱や励磁コイル24で発生する熱もリード13に伝達され、同じ熱量を得るのに必要な電力使用量を少なくすることができる。また、加熱中に冷却を同時に行うことが容易になる。
【0031】
(4)接合装置20は、流体の流入及び流出が可能な冷却部26を基板35上に設けられたパッド36と対向する位置に配置可能に装備した励磁ヘッド23a,23bと、励磁ヘッド23a,23bを接合作業時に電子部品11の少なくとも一部を押圧可能な押圧位置と押圧不能な非押圧位置とに移動させる駆動装置31と、制御装置33とを備えている。従って、駆動装置31を駆動することにより、任意の時期に励磁ヘッド23a,23bを押圧位置に移動させることができ、励磁ヘッド23a,23bが押圧位置に移動された状態で冷却部26を機能させれば、接合部を効率良く冷却することができる。また、押圧位置に配置した状態で加熱を行えば半田37の溶融時に電子部品11の位置ずれが発生するのを防止することができる。
【0032】
(5)制御装置33は、接合条件に対応した励磁ヘッド23a,23bの加熱時間及び励磁ヘッド23a,23bを押圧位置に配置する駆動装置31の駆動タイミングを記憶したメモリ34を備えている。従って、所望の条件で接合を容易に行うことができる。
【0033】
(6)冷却部26には冷却水タンク28の冷却水がポンプ29により送られて供給され、冷却水タンク28はブラインが流れる熱交換器30を備えている。従って、冷却水の循環速度やブラインの流速を調整することにより冷却水の温度調整が可能になり、被冷却部の温度調整が容易になる。
【0034】
(7)励磁ヘッド23a,23bが絶縁物15aを介してリード13に押圧される。従って、磁束がリード13を透過し易くなり、リード13に渦電流が流れ難くなって、リード13に発生する渦電流が半導体素子12に悪影響を及ぼし難くなる。
【0035】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 前記実施形態では半田37が溶融した後、ポンプ29を駆動した。しかし、半導体素子12が熱履歴の影響を受け易い場合は、半田37の加熱中からポンプ29を駆動してリード13の温度上昇を抑制するようにするのが好ましい。しかし、半田37の温度は励磁コイル24に高周波電流を供給して直ぐに半田37の溶融温度である高温に達するのではなく、通電時間と共に温度上昇するため、通電開始から冷却部26に冷却水を流すと半田37の温度上昇に時間が掛かるとともに使用電力量も増大する。そのため、励磁コイル24への高周波電流の供給開始から半田37の温度が所定温度に達するまでの所定時間経過後に、ポンプ29の駆動を開始する方が好ましい。前記所定時間は予め試験により求められてメモリ34に記憶される。
【0036】
○ ガルウイング形状の複数のリードを備えた電子部品11は、テープキャリアパッケージに限らない。例えば、図2に示すように、半導体素子12全体がモールド樹脂16でモールドされるとともに、リード13が2列に設けられたパッケージとしてもよい。この場合、電子部品11は、絶縁物15a,15bを備えていない。この場合、励磁ヘッド23a,23bを押圧位置に配置すると、リード13に直接接触する状態になる。そのため、励磁コイル24が巻かれた部分の熱や励磁コイル24で発生する熱がリード13を介してパッド36や半田37に伝達され、同じ熱量を得るのに必要な電力使用量を少なくすることができる。また、絶縁物15aがないため、絶縁物15aを介して押圧する場合に比較して冷却効率も高くなる。
【0037】
○ 加熱手段21は、加熱時に接合すべき箇所を押圧せずに、即ち励磁ヘッド23a,23bの先端を絶縁物15aあるいはリード13から離間した状態で接合を行ってもよい。加熱を高周波誘導加熱で行う場合は、高周波磁束がリード13を通過し、パッド36及び半田37を通過してパッド36及び半田37に渦電流を生じさせればよく、励磁ヘッド23a,23bがリード13や絶縁物15aから離れていても、誘導加熱には支障はない。加熱時に接合すべき箇所を押圧せずに接合を行えば、接合部における応力がフリーの状態で電子部品11の接合を行うことができる。また、励磁ヘッド23a,23bが絶縁物15aあるいはリード13から離間した状態では、冷却部26による冷却機能が働かないため、半田37の加熱が効率良く行われる。
【0038】
冷却時には、励磁ヘッド23a,23bを絶縁物15aあるいはリード13に接触させ、且つポンプ29の駆動やブラインの流速を調整して冷却する。
○ 励磁ヘッド23a,23bがリード13や絶縁物15aから離れて半田を溶融する場合、高周波誘導過熱の他、高温ガス吹き付けやヒータ輻射を用いても良い。
【0039】
○ 電子部品11は必ずしもリード13を備えている必要はなく、例えば、図3に示すように、電子部品11の片面全面で半田37を介してパッド36に接合されるものや、ボールグリッドアレイタイプの電子部品に適用してもよい。その場合、加熱手段21は、1個の励磁ヘッド23を備える構成でよい。もちろん、複数の電子部品11の接合を同時に行うために、複数個の励磁ヘッド23を備えた構成としてもよい。
【0040】
○ 誘導加熱を行う加熱手段21は、励磁ヘッド23a,23bに励磁コイル24が巻回された構成に限らず、励磁コイル24自身が励磁ヘッドを兼用する構成としてもよい。ない。例えば、図4に示すように、励磁コイル24を銅パイプで構成する。この場合、加熱手段21の構成が簡単になる。
【0041】
○ 励磁コイル24をパイプ状に構成した場合、図4に示すように、パイプに冷却水を流す構成にすれば、励磁コイル24が冷却部26も兼用することが可能になり、冷却部26を備えた加熱手段21の構成がより簡単になる。また、励磁コイル24が過熱状態になるのを防止することができる。
【0042】
○ 励磁コイル24をパイプ状に構成した場合において、冷却部を励磁コイル24と別に設けてもよい。
○ 冷却部26として、冷却部26内の冷却水を空の状態にすることが可能な構成のものを採用してもよい。例えば、ポンプ29を停止した状態で冷却部26内の冷却水を冷却水タンク28に排出するポンプを別に設けて、両ポンプを切り換えて駆動可能とする。この場合、励磁ヘッド23a,23b,23を押圧位置に配置して加熱を行う際には冷却部26を空の状態にし、溶融半田を冷却する際に冷却部26に冷却媒体を供給すれば、半田37を溶融状態に加熱するまでの時間を短くすることができる。
【0043】
○ 加熱手段21は、高周波誘導加熱で加熱を行うものに限らない。例えば、電気ヒータとしたり、励磁ヘッド23a,23b,23を筒状に形成して熱媒体を流して加熱するようにしたりしてもよい。励磁ヘッド23a,23b,23の構成として、熱媒体を流して加熱する構成の場合、切り換え手段を設けることにより冷却媒体と熱媒体とを選択的に流すことが可能にしてもよい。
【0044】
○ 冷却媒体は冷却水に限らず他の液体を使用したり、気体を使用したりしてもよい。しかし、気体を使用する場合に比較して液体を使用する方が冷却効率が高い。
○ 励磁ヘッド23a,23bの冷却部26にポンプ29から吐出された冷却媒体を並列状態で供給する構成に限らず、ポンプ29から吐出される冷却媒体を一方の冷却部26に供給し、その冷却部26を出た冷却媒体が他方の冷却部26に供給された後、冷却水タンク28に戻る構成にしてもよい。
【0045】
○ 冷却水タンク28内に熱交換器30を設けて冷却媒体を冷却する構成に代えて、配管27bの途中に放熱器(ラジエータ)を設けてもよい。
○ 冷却部26の底面(下面)が各励磁ヘッド23a,23bの先端と同一平面上に位置するように形成してもよい。この場合、冷却部26を直接リード13等に接触することができ、冷却効果が向上する。
【0046】
○ 接合材は半田に限らず、加熱溶融された後、凝固することにより接合することができるろう材であればよく、例えば、金/シリコン共晶体、金/錫共晶体等を使用してもよい。
【0047】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1に記載の発明において、前記加熱ヘッドは前記接合材が溶融温度に達する前に前記被冷却部を押圧する位置に配置され、前記冷却部による冷却を開始する。
【0048】
(2)請求項1〜請求項6及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記冷却部には冷却媒体タンク内の冷却媒体がポンプの駆動により循環供給可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】一実施形態における接合装置の概略構成図。
【図2】別の実施形態における接合装置の概略図。
【図3】別の実施形態における接合装置の概略図。
【図4】別の実施形態における接合装置の概略図。
【図5】従来技術の接合装置の概略図。
【符号の説明】
【0050】
11…電子部品、20…接合装置、21…加熱手段、23a,23b,23…加熱ヘッドとしての励磁ヘッド、26…冷却部、35…基板、36…接合部としてのパッド、37…接合材としての半田。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた接合部に接合材を介して電子部品を接合する電子部品の接合方法であって、
前記接合材を加熱する加熱手段として、流体の流入及び流出が可能な冷却部を備えた加熱ヘッドを用い、少なくとも前記接合材の溶融後、前記加熱ヘッドを被冷却部に接触させて前記冷却部による冷却を行う電子部品の接合方法。
【請求項2】
前記加熱手段は、高周波誘導加熱により加熱を行う請求項1に記載の電子部品の接合方法。
【請求項3】
前記加熱手段は、加熱時に接合すべき箇所を押圧した状態で接合を行う請求項1又は請求項2に記載の電子部品の接合方法。
【請求項4】
前記加熱手段は、加熱時に接合すべき箇所を押圧せずに接合を行う請求項1又は請求項2に記載の電子部品の接合方法。
【請求項5】
基板上に設けられた接合部に接合材を介して電子部品を接合する接合装置であって、
流体の流入及び流出が可能な冷却部を備えた加熱ヘッドと、
前記加熱ヘッドを接合作業時に、前記加熱ヘッドが前記電子部品の少なくとも一部を押圧可能な押圧位置と押圧不能な非押圧位置とに移動させる移動手段と、
前記加熱ヘッド及び前記移動手段を制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする電子部品の接合装置。
【請求項6】
前記制御手段は、接合条件に対応した前記加熱ヘッドの加熱時間及び前記加熱ヘッドを前記押圧位置に配置する前記移動手段の駆動タイミングを記憶した記憶手段を備えている請求項5に記載の電子部品の接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−242691(P2007−242691A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59520(P2006−59520)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】