説明

電子部品供給装置

【課題】実用性の高い電子部品供給位置を提供する。
【解決手段】電子部品を所定の位置で供給するテープフィーダ74と、そのテープフィーダを立設させた状態でそれの下縁部を固定的に保持する保持部92とを備えた電子部品供給装置であって、保持部を導電体により成形し、導電体により成形された架渡部材114を、保持部によって下端部を固定的に保持されたテープフィーダの上縁部とクリアランスのある状態で、その上縁部の上方に架け渡し、テープフィーダの下縁部が保持部に接触した状態でテープフィーダの上縁部が架渡部材に接触した場合に、導通検出器126によって、保持部と架渡部材との間の導通を検出するように構成する。このような構成により、テープフィーダが浮き上がった場合に、保持部と架渡部材との間の導通が検出されるため、テープフィーダの浮きを検出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品供給装置、特に、テープフィーダによって電子回路部品を供給する電子部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダは、キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子回路部品(以下、「電子部品」と略す場合がある)が収容されるテープ化部品を送り出すことで所定の位置で電子部品を供給するとともに、ベース上に設けられたテープフィーダ装着台(以下、「装着台」と略す場合がある)に着脱可能に装着される構造とされている。このような構造のテープフィーダを備えた電子部品供給装置(以下、「供給装置」と略す場合がある)では、テープフィーダが装着台に適切に装着されることで、所定の位置で電子部品を装着ヘッドに供給することが可能となっている。
【0003】
しかしながら、テープフィーダの装着台への装着が不適切であると、電子部品の供給位置が所定の位置からズレて、装着ヘッドが電子部品を適切に保持できない虞がある。特に、テープフィーダが装着台から浮き上がった状態で装着台に装着されると、電子部品の供給位置が所定の位置から上方にズレて、装着ヘッドがテープフィーダに当接する虞がある。そこで、下記特許文献に記載されている供給装置では、光ビームを利用して、テープフィーダが装着台から浮き上がった状態で装着されているか否か、つまり、テープフィーダの装着台からの浮きを検出している。具体的には、テープフィーダの浮きが生じている場合には、テープフィーダが光ビームを遮断するように構成されており、光ビームの遮断を検出することで、テープフィーダの浮きが検出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−229295号公報
【特許文献2】特開平5−304399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載の供給装置では、ある程度、テープフィーダの浮きを検出することは可能である。しかし、複数のテープフィーダが配列された供給装置では、光ビームを照射する箇所と受光する箇所との間の距離、つまり、光ビームの照射距離が比較的長くなり、光ビームの光軸径が大きくなる場合がある。そのような場合には、光ビームの検出感度が低下し、テープフィーダの浮きを適切に検出できなくなる虞がある。また、照射距離が長くなると、光ビームを照射するための機器が大型化する傾向にある。さらに言えば、供給装置を装備した電子部品装着装置、つまり、回路基板に電子部品を装着するための電子部品装着装置が複数配列されて、電子部品装着システムが構築されることが多くあり、そのようなシステムでは、複数の供給装置が隣り合った状態で配設される。このため、複数の供給装置のうちのある1台の供給装置において、その1台の供給装置の隣に配設された供給装置での光ビームを誤って認識し、テープフィーダの浮きを適切に検出できなくなる虞がある。
【0006】
このように、光ビームを利用してテープフィーダの浮きを検出可能な供給位置は、種々の問題を抱え、実用性を改善する余地が多分に残されたものとなっている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い供給位置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の電子部品供給装置は、キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子部品が収容されるテープ化部品を送り出すことで所定の位置で電子部品を供給するテープフィーダと、ベース上に設けられ、前記テープフィーダを立設させた状態でそれの下縁部を固定的に保持する保持部を有し、前記テープフィーダが着脱可能に装着されるテープフィーダ装着台とを備えた電子部品供給装置であって、前記保持部が、導電体により成形され、当該電子部品供給装置が、導電体により成形され、前記保持部によって下端部を固定的に保持された前記テープフィーダの上縁部とクリアランスのある状態で、その上縁部の上方に架け渡された架渡部材と、一端部が前記保持部に接続されるとともに、他端部が前記架渡部材に接続されており、前記テープフィーダの下縁部が前記保持部に接触した状態で前記テープフィーダの上縁部が架渡部材に接触した場合に、前記保持部と前記架渡部材との間の導通を検出する導通検出器とを備えるように構成される。
【0008】
また、請求項2に記載の電子部品供給装置は、請求項1に記載の電子部品供給装置において、前記架渡部材が、導電性を有するプレートであるように構成される。
【0009】
また、請求項3に記載の電子部品供給装置は、請求項1に記載の電子部品供給装置において、前記架渡部材が、導電性を有するワイヤであるように構成される。
【0010】
また、請求項4に記載の電子部品供給装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電子部品供給装置において、前記テープフィーダが、電子部品が装着される回路基板の搬送方向に並んで複数配列され、前記架渡部材が、それら複数のテープフィーダの配列方向に延びるように、前記複数のテープフィーダの上方に配設されるように構成される。
【0011】
また、請求項5に記載の電子部品供給装置は、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の電子部品供給装置において、前記架渡部材が、前記保持部を挟んだ状態でベース上に立設された1対の支持柱に、両端部において着脱可能に支持されるように構成される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の供給装置では、テープフィーダの下縁部が保持部に接触した状態でテープフィーダの上縁部が架渡部材に接触した場合に、保持部と架渡部材とが、テープフィーダを介して、導通される。つまり、テープフィーダが浮き上がった状態で装着台に装着されている場合に、保持部と架渡部材との間の導通が検出される。これにより、光ビームを利用することなく、テープフィーダの浮きを検出することが可能となる。したがって、請求項1に記載の供給装置によれば、光ビームを利用した際の種々の問題を生じさせることなく、テープフィーダの浮きを検出することが可能となり、実用性の高い供給位置を提供することが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載の供給装置では、架渡部材が導電性プレートとされている。装着台の保持部の多くは、テープフィーダの下縁部を嵌合させた状態でテープフィーダをスライド可能に保持する構造とされており、テープフィーダの装着台への装着時には、保持台と架渡部材との間に、テープフィーダを挿入するようにして、テープフィーダが装着台に装着される。このため、請求項2に記載の供給装置によれば、架渡部材にガイド機能を持たせることが可能となり、テープフィーダを装着台に容易に装着することが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の供給装置では、架渡部材が導電性ワイヤとされている。つまり、テープフィーダの上方にワイヤを架渡し、上記導通検出器を設けるだけで、テープフィーダの浮きを検出するための機構を構築することが可能となる。したがって、請求項2に記載の供給装置によれば、テープフィーダの浮きを検出するための機構を相当簡便な構造とすることが可能となる。また、既存の供給装置に、テープフィーダの浮きを検出するための機構を、容易に取り付けることが可能となる。
【0015】
また、請求項4に記載の供給装置では、複数のテープフィーダの上方に架渡部材が配設されている。これにより、複数のテープフィーダの各々の浮きを纏めて点検することが可能となる。
【0016】
また、請求項5に記載の供給装置では、架渡部材がベースに対して着脱可能とされている。供給装置には、テープフィーダによって電子部品を供給するフィーダ型の供給装置と、電子部品が載置されたトレイによって電子部品を供給するトレイ型の供給装置とがあり、供給装置が取り付けられる電子部品装着装置には、ベース上の同じ位置に、フィーダ型の供給装置とトレイ型の供給装置とを選択的に取り付けることが可能なものがある。そのような電子部品装着装置において、ベース上方に架渡部材が架け渡されていては、トレイ型の供給装置のベースへの取り付けが困難となる。したがって、請求項5に記載の供給装置によれば、フィーダ型の供給装置とトレイ型の供給装置とを選択的に取り付けることが可能な電子部品装着装置において、トレイ型の供給装置を容易にベースへ取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例である電子部品供給装置が取り付けられた電子部品装着機が2台並べられて構成されている電子部品装着装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電子部品装着機の備える供給装置のテープフィーダの一部および、そのテープフィーダによって送り出されるテープ化部品を示す平面図である。
【図3】図1に示す電子部品装着機の備える供給装置を示す斜視図である
【図4】テープフィーダがテープフィーダ装着台に適切に装着されている状態の供給装置を示す正面図である。
【図5】テープフィーダがテープフィーダ装着台に適切に装着されている状態の供給装置を示す概略断面図である。
【図6】図1に示す電子部品装着機の備える制御装置を示すブロック図である。
【図7】テープフィーダがテープフィーダ装着台から浮き上がった状態の供給装置を示す概略断面図である。
【図8】テープフィーダがテープフィーダ装着台から浮き上がった状態の供給装置を示す正面図である。
【図9】変形例の供給装置を示す斜視図である。
【図10】図9に示すテープフィーダがテープフィーダ装着台に適切に装着されている状態の供給装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例および変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例および変形例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0019】
<電子部品装着装置の構成>
図1に、電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略す場合がある)10を示す。その図は、装着装置10の外装部品の一部を取り除いた斜視図である。装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に互いに隣接されて並んで配列された2つの電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)16とを含んで構成されており、回路基板に電子部品を装着する作業を行うものとされている。なお、以下の説明において、装着機16の並ぶ方向をX軸方向とし、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0020】
装着装置10の備える装着機16の各々は、主に、フレーム部20とそのフレーム部20に上架されたビーム部22とを含んで構成された装着機本体24と、回路基板をX軸方向に搬送するとともに設定された位置に固定する搬送装置26と、その搬送装置26によって固定された回路基板に電子部品を装着する装着ヘッド28と、ビーム部22に配設されて装着ヘッド28をX軸方向およびY軸方向に移動させる移動装置30と、フレーム部20の前方に配設され装着ヘッド28に電子部品を供給する電子部品供給装置(以下、「供給装置」と略す場合がある)32とを備えている。
【0021】
搬送装置26は、2つのコンベア装置40,42を備えており、それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部20のY軸方向での中央部に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ44(図6参照)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する構造とされている。さらに、コンベア装置40,42の各々は、基板保持装置46(図6参照)を有しており、所定の位置において回路基板を固定的に保持する構造とされている。
【0022】
また、装着ヘッド28は、搬送装置26によって保持された回路基板に対して電子部品を装着するものであり、下面に回路部品を吸着する吸着ノズル50を有している。吸着ノズル50は、正負圧供給装置52(図6参照)を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。さらに、装着ヘッド28は、吸着ノズル50を昇降させるノズル昇降装置(図6参照)54および吸着ノズル50をそれの軸心回りに自転させるノズル自転装置(図6参照)56を有しており、保持する電子部品の上下方向の位置および電子部品の保持姿勢を変更することが可能とされている。なお、吸着ノズル50は、装着ヘッド28に着脱可能とされており、電子部品のサイズ,形状等に応じて変更することが可能とされている。
【0023】
移動装置30は、その装着ヘッド28をフレーム部20上の任意の位置に移動させるものであり、装着ヘッド28をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構(図示省略)と、装着ヘッド28をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構(図示省略)とを備えている。Y軸方向スライド機構は、Y軸方向に移動可能にビーム部22に設けられたY軸スライダ(図示省略)と、駆動源としての電磁モータ(図6参照)64とを有しており、その電磁モータ64によって、Y軸スライダがY軸方向の任意の位置に移動可能とされている。また、X軸方向スライド機構は、X軸方向に移動可能にY軸スライダに設けられたX軸スライダ66と、駆動源としての電磁モータ(図6参照)68とを有しており、その電磁モータ68によって、X軸スライダ66がX軸方向の任意の位置に移動可能とされている。そして、そのX軸スライダ66に装着ヘッド28が取り付けられることで、装着ヘッド28は、移動装置30によって、フレーム部20上の任意の位置に移動可能とされている。なお、装着ヘッド28は、X軸スライダ66にワンタッチで着脱可能とされており、種類の異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッド等に変更することが可能とされている。
【0024】
また、供給装置32は、ベースとしてのフレーム部20の前方側の端部に配設されており、フィーダ型の供給装置とされている。供給装置32は、電子部品がテーピング化されたテープ化部品(図2参照)70をリール72に巻回させた状態で収容する複数のテープフィーダ74と、それら複数のテープフィーダ74の各々に収容されているテープ化部品70を送り出す複数の送出装置(図6参照)76とを有しており、テープ化部品70から電子部品を装着ヘッド28への供給位置に順次供給する構造とされている。
【0025】
テープ化部品70は、図2に示すように、多数の収容凹部78および送り穴80が等ピッチで形成されたキャリアテープ82と、収容凹部78に収容される電子部品84と、キャリアテープ82の電子部品84が収容された収容凹部78を覆うトップカバーテープ86とから構成されている。一方、テープフィーダ74は、図3に示すように、そのテープ化部品70が巻回されるリール72と、そのリール72から引き出されたテープ化部品70が上端面に延在させられるフィーダ本体88とから構成されている。
【0026】
フィーダ本体88内部には、テープ化部品70のキャリアテープ82に形成された送り穴80に係合するスプロケット(図示省略)が内蔵されており、そのスプロケットが回転させられることで、キャリアテープ82にトップカバーテープ86が貼着された状態のテープ化部品70が、フィーダ本体88の上端面において、リール72から離間する方向に送り出される。そして、剥離装置(図示省略)によって、キャリアテープ82からトップカバーテープ86が剥ぎ取られることで、フィーダ本体88の上端面の先端部において、電子部品84が収容された収容凹部78が順次解放され、その解放された収容凹部78から回路部品84が吸着ノズル50によって取り出される。
【0027】
また、テープフィーダ74は、フレーム部20の前方側の端部に固定的に設けられたテープフィーダ装着台(以下、「装着台」と略す場合がある)90に着脱可能とされている。装着台90は、フレーム部20の上面にY軸方向に延びるように形成されたスライド部92と、そのスライド部92の搬送装置26に近い側に立設された立設面部96とから構成されている。スライド部92は、導電体により成形されており、テープフィーダ74のフィーダ本体88の下縁部を嵌合させた状態でスライドさせることが可能とされている。そして、フィーダ本体88の下縁部を嵌合させた状態で立設面部96に接近させる方向にスライドさせることで、フィーダ本体88のテープ化部品70の送り出し方向の側の側壁面が立設面部96に取り付けられる。これにより、テープフィーダ74が装着台90に装着される。
【0028】
その立設面部96に取り付けられるテープフィーダ74の側壁面には、上下方向に並んだ状態で1対の立設ピン98,100が立設されている。一方、立設面部96には、上下方向に並んだ状態で1対の嵌合穴102,104が形成されており、テープフィーダ74の側壁面が立設面部96に取り付けられた際に、1対の立設ピン98,100が1対の嵌合穴102,104に嵌合されるようになっている。これにより、テープフィーダ74の装着台90に対する位置が規定されている。なお、テープフィーダ74の側壁面には、1対の立設ピン98,100の間に、コネクタ106が設けられており、装着台90の立設面部96の1対の嵌合穴102,104の間に形成されたコネクタ接続部108に接続されるようになっている。
【0029】
また、装着台90に装着された状態のテープフィーダ74のフィーダ本体88と装着台90のスライド部92とを覆うゲート状の被覆部材110が、フレーム部20に配設されている。被覆部材110は、スライド部92を挟んだ状態でフレーム部20に立設された1対の支持柱112と、それら1対の支持柱112の上端部に支持されたプレート状の被覆プレート114とから構成されている。その被覆プレート114は、導電体により成形されており、図4に示すように、絶縁体により成形された絶縁プレート116とプッシュロック機構118とを介して、1対の支持柱112の上端面に着脱可能に取り付けられている。
【0030】
詳しく言えば、被覆プレート114のX軸方向における両側部の下面には、Y軸方向に延びるようにして1対の絶縁プレート116が固定されており、それら1対の絶縁プレート116の各々の下面に、プッシュロック機構118を構成する雄部材120が固定されている。一方、プッシュロック機構118を構成する雌部材122は、1対の支持柱112の各々の上端面に固定されている。被覆プレート114の着脱に関しては、プッシュロック機構118が公知の機構であることから、簡単に説明すると、絶縁プレート116に固定されている雄部材120を、支持柱112に固定されている雌部材122に対して軽く押しつけることで、雄部材120と雌部材122とがロックされる。これにより、被覆プレート114が1対の支持柱112の上端面に取り付けられる。そして、雄部材120を雌部材122に対して強めに押しつけることで、雄部材120と雌部材122とのロックが解除され、被覆プレート114が1対の支持柱112の上端面から取り外される。このように、被覆プレート114は、ワンタッチで1対の支持柱112の上端面に着脱可能とされている。
【0031】
1対の支持柱112の上端面に取り付けられた被覆プレート114は、装着台90に適切に装着されたテープフィーダ74のフィーダ本体88の上縁部とクリアランスのある状態で、そのフィーダ本体88の上方に架け渡されている。ここで、装着台90に適切に装着されたテープフィーダ74とは、図5に示すように、フィーダ本体88の下縁部が装着台90のスライド部92に嵌合されるとともに、フィーダ本体88の側壁面に形成された1対の立設ピン98,100が、装着台90の立設面部96に形成された1対の嵌合穴102,104に嵌合された状態のテープフィーダ74のことを示している。
【0032】
また、フィーダ本体88の上方に架け渡されている被覆プレート114と、フィーダ本体88の下縁部が嵌合されるスライド部92とは、それぞれ、導電体により成形されており、それらの間の導通を検出するための導通検出器126に接続されている。ただし、被覆プレート114は、絶縁プレート116を介して、支持柱112に支持されていることから、フィーダ本体88の上縁部と被覆プレート114との間にクリアランスのある状態、つまり、テープフィーダ74が装着台に適切に装着されている状態では、被覆プレート114とスライド部92との間で導通されておらず、導通検出器126によって、それらの間の導通は検出されない。
【0033】
また、装着機16は、マークカメラ(図6参照)130およびパーツカメラ(図1,6参照)132を備えている。マークカメラ130は、下方を向いた状態でX軸スライダ66の下面に固定されており、移動装置30によって移動させられることで、回路基板の表面を任意の位置において撮像することが可能となっている。一方、パーツカメラ132は、上を向いた状態でフレーム部20の搬送装置26と供給装置32との間に設けられており、装着ヘッド28の吸着ノズル50によって吸着保持された電子部品を撮像することが可能となっている。マークカメラ130によって得られた画像データおよび、パーツカメラ132によって得られた画像データは、画像処理装置134(図6参照)において処理され、回路基板に関する情報,基板保持装置46による回路基板の保持位置誤差,吸着ノズル50による電子部品の保持位置誤差等が取得される。
【0034】
さらに、装着機16は、図6に示すように、制御装置140を備えている。制御装置140は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ142と、上記電磁モータ44,64,68,基板保持装置46,正負圧供給装置52,ノズル昇降装置54,ノズル自転装置56,送出装置76の各々に対応する複数の駆動回路144とを備えている。また、コントローラ142には、各駆動回路144を介して搬送装置,移動装置等の駆動源が接続されており、搬送装置,移動装置等の作動を制御することが可能とされている。さらに、コントローラ142には、マークカメラ130およびパーツカメラ132によって得られた画像データを処理する画像処理装置134と、供給装置32における被覆プレート114とスライド部92との間の導通を検出する導通検出器126が接続されている。
【0035】
<電子部品装着機による装着作業>
装着機16では、上述した構成によって、搬送装置26に保持された回路基板に対して、装着ヘッド28によって電子部品の装着作業を行うことが可能とされている。具体的に説明すれば、まず、搬送装置26によって、回路基板を装着作業位置まで搬送するとともに、その位置において回路基板を固定的に保持する。次に、移動装置30によって、装着ヘッド28を回路基板上に移動させ、マークカメラ130によって、回路基板を撮像する。その撮像により回路基板の種類,搬送装置26による回路基板の保持位置誤差が取得される。その取得された回路基板の種類に応じた電子部品を、供給装置32のテープフィーダ74によって供給し、その回路部品の供給位置に、装着ヘッド28を移動装置30によって移動させる。これにより、装着ヘッド28の吸着ノズル50によって回路部品が吸着保持される。
【0036】
続いて、電子部品を保持した状態の装着ヘッド28を、移動装置30によってパーツカメラ132上に移動させ、パーツカメラ132によって、装着ヘッド28に保持された電子部品を撮像する。その撮像により電子部品の保持位置誤差が取得される。そして、移動装置30によって、装着ヘッド28を回路基板上の装着位置に移動させ、装着ヘッド28によって、回路基板および電子部品の保持位置誤差に基づいて装着ノズル50を自転させた後に,電子部品が装着される。
【0037】
<テープフィーダのテープフィーダ装着台への装着>
上述したように、本装着機16は、供給装置32のテープフィーダ74によって供給された電子部品を、装着ヘッド28の吸着ノズル50によって吸着保持し、その吸着保持された電子部品を回路基板上に装着するように構成されている。このように構成された装着機では、吸着ノズル50によって電子部品を適切に吸着することは重要であり、電子部品が適切な位置で供給されることが望ましい。このため、本装着機16では、電子部品の適切な供給位置を担保するべく、上述したように、テープフィーダ74の位置を規定するための機構が設けられている。
【0038】
詳しく言えば、フィーダ本体88の下縁部が装着台90のスライド部92に嵌合されて、フィーダ本体88の側壁面が装着台90の立設面部96に取り付けられる際に、その側壁面に形成された1対の立設ピン98,100が、立設面部96に形成された1対の嵌合穴102,104に嵌合されることで、テープフィーダ74の位置が規定されている。このように、テープフィーダ74の位置が規定されることで、電子部品を所定の位置で供給することが可能となる。
【0039】
しかしながら、フィーダ本体88の下縁部が装着台90のスライド部92に適切に嵌合されずに、テープフィーダ74が装着台90へ装着されると、立設ピン98,100が嵌合穴102,104に嵌合されない場合がある。具体的にいえば、オペレータがテープフィーダ74を装着する際に、フィーダ本体88の下縁部をスライド部92に適切に嵌合させていない状態で、フィーダ本体88を立設面部96に向かってスライドさせると、図7に示すように、フィーダ本体88のスライド方向における端部が、スライド部92から浮き上がった状態となる場合がある。このような場合には、立設ピン98,100の位置と嵌合穴102,104の位置とがズレてしまい、立設ピン98,100を嵌合穴102,104に嵌合させることができなくなる。これにより、電子部品の供給位置は、上方にズレてしまい、吸着ノズル50による電子部品の吸着が適切に行えない虞がある。さらに、フィーダ本体88の上方へのズレにより、装着ヘッド28がフィーダ本体88に当接する虞がある。
【0040】
そこで、本作業機16では、テープフィーダ74が上方にズレた場合、つまり、テープフィーダ74の浮きが生じた場合に、テープフィーダ74の浮きが検出されるようになっている。詳しく言えば、上述したように、フィーダ本体88の上方に架け渡されている被覆プレート114と、フィーダ本体88の下縁部が嵌合されるスライド部92とは、それぞれ、導電体により成形されており、それらの間の導通を検出するための導通検出器126に接続されている。テープフィーダ74が装着台90に適切に装着されている状態では、フィーダ本体88の上縁部と被覆プレート114との間にクリアランスがあり、被覆プレート114とスライド部92との間の導通は検出されない。
【0041】
しかし、テープフィーダ74が装着台90に適切に装着されず、テープフィーダ74の浮きが生じた場合には、図7及び図8に示すように、フィーダ本体88の下縁部がスライド部92に接触した状態でフィーダ本体88の上縁部が被覆プレート114に接触する。これにより、導電性を有するフィーダ本体88を介して、被覆プレート114とスライド部92とが電気的に接続され、それらの間の導通が、導通検出器126によって検出される。つまり、導通検出器126によって、被覆プレート114とスライド部92との間の導通を検出することで、テープフィーダ74の浮きを検出することが可能となっている。なお、導通検出器126によるテープフィーダ74の浮きを検出するための機能部として、制御装置140のコントローラ142に、テープフィーダ浮き検出部(図6参照)150が設けられている。
【0042】
そして、テープフィーダ74の浮きが検出された場合には、装着ヘッド28のテープフィーダ74への当接等を防止するべく、本作業機16による装着作業が停止させられる。つまり、装着ヘッド28,移動装置30等の作業実行機の作動が停止させられる。なお、テープフィーダ74の浮き発生時に作業実行機の作動を停止するための機能部として、制御装置140のコントローラ142に、フィーダ浮き時作動停止部(図6参照)152が設けられている。
【0043】
<変形例>
装着台90に装着された状態のテープフィーダ74のフィーダ本体88と、装着台90のスライド部92とを覆う被覆部材110とは異なる構造の被覆部材160を、図9及び図10に示す。変形例の被覆部材160は、装着台90に装着された状態のテープフィーダ74のフィーダ本体88の上方に架け渡される導電性のワイヤ162を除いて、上記被覆部材110と略同様の構成であるため、上記被覆部材110と同様の機能の構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略あるいは簡略に行うものとする。
【0044】
被覆部材160は、スライド部92を挟んだ状態でフレーム部20に立設された1対の支持柱112と、それら1対の支持柱112の上端部に支持された3本の導電性のワイヤ162とから構成されている。3本のワイヤ162の各々は、両端部において、絶縁体カバー164に覆われており、その絶縁体カバー164が、プッシュロック機構118を介して、1対の支持柱112の上端面に着脱可能に取り付けられている。3本のワイヤ162は、1対の支持柱112の上端面のY軸方向における両端部とそれら両端部の中央部とに取り付けられており、互いに平行とされている。
【0045】
それら3本のワイヤ162は、それぞれ、導通検出器126によって装着台90のスライド部92に接続されており、装着台90に適切に装着されたテープフィーダ74のフィーダ本体88の上縁部とクリアランスのある状態で、そのフィーダ本体88の上方に架け渡されている。このような構造により、変形例の被覆部材160においても、テープフィーダ74が装着台90に適切に装着されている状態では、導通検出器126によって、各ワイヤ162とスライド部92との間の導通は検出されず、テープフィーダ74が装着台90から浮き上がっている状態では、導通検出器126によって、3本のワイヤ162の少なくとも1本のワイヤ162とスライド部92との間の導通が検出されるようになっている。
【0046】
ちなみに、上記実施例および変形例において、電子部品供給装置32は、電子部品供給装置の一例であり、電子部品供給装置32を構成するテープフィーダ74、テープフィーダ装着台90は、テープフィーダ、テープフィーダ装着台の一例である。そのテープフィーダ装着台90のスライド部92は、保持部の一例である。また、被覆プレート114,支持柱112は、架渡部材,支持柱の一例であり、導通検出器126は、導通検出器の一例である。さらに、3本の導電性のワイヤ162は、架渡部材の一例である。
【0047】
32:電子部品供給位置 74:テープフィーダ 90:テープフィーダ装着台 92:スライド部(保持部) 112:支持柱 114:被覆プレート(架渡部材) 126:導通検出器 162:ワイヤ(架渡部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子部品が収容されるテープ化部品を送り出すことで所定の位置で電子部品を供給するテープフィーダと、
ベース上に設けられ、前記テープフィーダを立設させた状態でそれの下縁部を固定的に保持する保持部を有し、前記テープフィーダが着脱可能に装着されるテープフィーダ装着台と
を備えた電子部品供給装置であって、
前記保持部が、導電体により成形され、
当該電子部品供給装置が、
導電体により成形され、前記保持部によって下端部を固定的に保持された前記テープフィーダの上縁部とクリアランスのある状態で、その上縁部の上方に架け渡された架渡部材と、
一端部が前記保持部に接続されるとともに、他端部が前記架渡部材に接続されており、前記テープフィーダの下縁部が前記保持部に接触した状態で前記テープフィーダの上縁部が架渡部材に接触した場合に、前記保持部と前記架渡部材との間の導通を検出する導通検出器と
を備えた電子部品供給装置。
【請求項2】
前記架渡部材が、導電性を有するプレートである請求項1に記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記架渡部材が、導電性を有するワイヤである請求項1に記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記テープフィーダが、電子部品が装着される回路基板の搬送方向に並んで複数配列され、
前記架渡部材が、それら複数のテープフィーダの配列方向に延びるように、前記複数のテープフィーダの上方に配設された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電子部品供給装置。
【請求項5】
前記架渡部材が、前記保持部を挟んだ状態でベース上に立設された1対の支持柱に、両端部において着脱可能に支持された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の電子部品供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−69880(P2013−69880A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207510(P2011−207510)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】