説明

電子部品内蔵モジュール

【課題】本発明は、リフローを行う電子部品内蔵モジュールにおいて、電子部品の性能劣化抑制を目的とするものである。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、基板10の接続電極13の上面の面積を、電子部品11の端子電極14の下面の面積よりも小さくし、これら接続電極13と端子電極14を導電性接着剤により固定した状態において、この電子部品内蔵モジュールを上から見たときに、前記接続電極13の上面の輪郭は、前記端子電極14の下面の輪郭内にて納められているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品内蔵モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電子部品内蔵モジュールは、図4に示されるような構成をしていた。
【0003】
図4において、基板2は、その上面に接続電極5を有し、電子部品3は、その両側面に接続電極5と電気的に接続する端子電極6を有する。そして、この端子電極6の側面及び下面と接続電極5の上面とが導電性接着剤7により接続され、電子部品3が基板2に固定される。さらに、この電子部品3を絶縁樹脂4によりモールドしている。
【0004】
なお、本発明に関する先行技術文献としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平11−163583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の電子部品内蔵モジュールは電子部品3の性能劣化が問題となっていた。
【0006】
すなわち、上記従来の構成において、導電性接着剤7の裾部7Aが電子部品3の上辺側から下辺側へ行くにしたがって、電子部品内蔵モジュールの外側面に向かって伸びていた。そのため、リフローによる電子部品内蔵モジュール実装の際に、再溶融し、膨張した導電性接着剤7が、裾部7Aの斜辺7Bに対して矢印のごとく直交上向きに絶縁樹脂4を押し上げていた。その結果、絶縁樹脂4が基板2から引き剥がされ、それによってできた隙間から水分などが浸入し、電子部品3の性能劣化を生んでいた。
【0007】
そこで本発明は、リフローを行う電子部品内蔵モジュールにおいて、電子部品の性能劣化抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、基板の接続電極の面積を、電子部品の端子電極の面積よりも小さくし、これら接続電極と端子電極を導電性接着剤により固定した状態において、この電子部品内蔵モジュールを上から見たときに、前記接続電極上面の輪郭は、前記端子電極下面の輪郭内にて納められているようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子部品内蔵モジュールは、導電性接着剤によってなる斜辺が斜め下向きとなっているため、リフローの際、導電性接着剤が膨張しても、その力は斜辺に対して直交下向きにかかるため、絶縁樹脂を押し上げることがなく、絶縁樹脂が基板から引き剥がされることがない。その結果、絶縁樹脂によって電子部品は保護され、性能劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における電気端子について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本発明の電子部品内蔵モジュールの断面図、図2は本発明の電子部品内蔵モジュールにおける導電性接着剤の応力模式図、図3は本発明の電子部品の端子電極と基板の接続電極との大小関係及び位置関係を示す分解斜視図である。
【0012】
図1に示す基板10の上面には接続電極13を設けており、基板10の内部には、この接続電極13と電気的に接続されたインナービア16や配線パターン17を設け、基板10の下面には、インナービア16と電気接続するように下面電極18を設け、さらにその下には、この電子部品モジュール自体を他の基板等(図示せず)に実装するための導電性接着剤19を設けている。
【0013】
ここで、基板電極13、配線パターン17、下面電極18にはCu箔や導電性樹脂のような導電性材料を用いる。
【0014】
そして、インナービア16としては、例えば、熱硬化性の導電性物質を用いることができる。熱硬化性の導電性物質としては、例えば、金属粒子と熱硬化性樹脂とを混合した導電性樹脂を用いることができる。また、金属粒子としては、Au、AgまたはCuなどを用いることができる。Au、Ag、Cuはそれぞれ導電性が高いため好ましく、特にCuはマイグレーションが少ない上に低コストであるため、より好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、又はシアネート樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は耐熱性が高いため特に好ましい。
【0015】
基板10の上部には電子部品11を設けており、この電子部品11は図1のごとく両端に端子電極14を有している。そして、端子電極14の下面と基板10の上面に設けられた接続電極13の上面とが導電性接着剤15により電気的に接続されている。
【0016】
ここで、導電性接着剤15には、Pb−Sn系の共晶はんだやPbフリーはんだ(例えばSn−Ag−Cu系、Au−Sn系またはSn−Zn系)を用いることができ、これらを用いれば、全て融点が230℃以下であるため、非耐熱性部品の電子部品11をも使用することが可能となる。なお、導電性接着剤15は電子部品モジュール自体を他の基板等(図示せず)に実装するための導電性接着剤19と同一の材料である必要は無い。
【0017】
ここで、電子部品11の端子電極14と基板10の接続電極13との大小関係及び位置関係は図3のようになっている。まず、大小関係について、接続電極13の上面の面積は、端子電極14の下面の面積よりも面積を小さくしている。次に、位置関係については、接続電極13と端子電極14を導電性接着剤15により固定した状態において、この電子部品内蔵モジュールを上から見たときに、接続電極13の上面の輪郭が、前記端子電極14下面の輪郭内にて納められるよう配置している。
【0018】
そして、図1に示す絶縁樹脂12が電子部品11を完全に覆い、且つ電子部品11と基板10との間にも完全に入り込むように形成している。この絶縁樹脂12は、無機フィラーと熱硬化性樹脂とを含む混合物からなる。無機フィラーには、例えば、Al23、MgO、BN、ALN、SiO2及びBaTiO3などを用いることができる。無機フィラーの配合比率は、50重量パーセント〜95重量パーセントの範囲内であることが重要である。この範囲内において絶縁樹脂12を電子部品11の高さ以上の肉厚に形成することができるのであるが、この範囲以下になると絶縁樹脂の流動性が大きくなり、肉厚に形状を維持することができない。また、95重量パーセント以上のフィラーを含有して絶縁樹脂12を形成することは不可能である。さらに、無機フィラーの粒径は、基板10と電子部品11との間隔より小さい粒径とすることが重要である。粒径を小さくすることで電子部品11と基板10との間に絶縁樹脂12を充填することが可能となる。また、絶縁樹脂12に含有する熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、又はシアネート樹脂が好ましい。このうち、特にエポキシ樹脂は、耐熱性が高いため好ましい。そして、曲げ弾性率が20GPaの低弾性率材料を用いれば、導電性接着剤15の膨張を緩和することができる。
【0019】
ここで、導電性接着剤15を一箇所にとどめるためソルダーレジスト20を基板10上面に形成したりするわけであるが、このソルダーレジスト20の一部に穴21を設け、その穴21に絶縁樹脂12を充填すれば、基板10と電子部品との接続強度を高めることができる。
【0020】
このような構成により、導電性接着剤15によってなる斜辺15Aが斜め下向きとなっているため、リフローにより導電性接着剤15が膨張しても、その力は図2に示す矢印のごとく斜辺に対して直交下向きにかかる。そのため、絶縁樹脂12を押し上げることがなく、むしろ絶縁樹脂12を基板10の表面へ押し付ける方向に力が作用するため、絶縁樹脂12が基板10から引き剥がされることがなくなる。その結果、絶縁樹脂12によって電子部品11は保護され、性能劣化を防止することができる。
【0021】
また、絶縁樹脂12で電子部品11をモールドしているため、接続信頼性は保たれる。
【0022】
さらに、電子部品11の側面には導電性接着剤を塗布しないので、塗布量低減による、コスト低減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の電子部品内蔵モジュールは、電子部品の性能劣化を抑制するという効果を有し、携帯電話やコンピュータなどにおいて用いられる、各種電子部品内蔵モジュールにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の電子部品内蔵モジュールの断面図
【図2】本発明の電子部品内蔵モジュールにおける導電性接着剤の応力模式図
【図3】本発明の電子部品の端子電極と基板の接続電極との大小関係及び位置関係を示す分解斜視図
【図4】従来の電子部品内蔵モジュールの断面図
【符号の説明】
【0025】
10 基板
11 電子部品
12 絶縁樹脂
13 接続電極
14 端子電極
15 導電性接着剤
15A 斜辺
16 インナービア
17 配線パターン
18 下面電極
19 導電性接着剤
20 ソルダーレジスト
21 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板の上面に設けた接続電極と、この接続電極に電気的に接続する端子電極を下面に有する電子部品と、この電子部品の前記端子電極下面を前記接続電極上面に固定する導電性接着剤と、前記電子部品を覆うように前記基板の上面をモールドする絶縁樹脂とを備えた電子部品内蔵モジュールであって、前記基板の接続電極の上面は、前記電子部品の端子電極の下面よりも面積を小さくし、これら接続電極と端子電極を導電性接着剤により固定した状態において、この電子部品内蔵モジュールを上から見たときに、前記接続電極上面の輪郭は、前記端子電極下面の輪郭内にて納められている電子部品内蔵モジュール。
【請求項2】
接続電極設置部以外の基板上面にソルダーレジストを有する請求項1記載の電子部品内蔵モジュール。
【請求項3】
ソルダーレジストの一部に穴を設け、その穴に絶縁樹脂が充填されている請求項2記載の電子部品内蔵モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−147747(P2006−147747A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334122(P2004−334122)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】