説明

電子部品実装方法

【課題】半田フロー工程により電子部品を実装する際、電子部品の実装方向の制約をなくし、実装後の半田不良箇所に対する手作業による修正を削減する。
【解決手段】基板S上に形成されているパッドに電極14を当接させた電子部品10を、該基板上に接着剤で仮固定した後、該基板Sを搬送方向に搬送しながら半田フロー工程を行ない、該電子部品を半田付けして実装する電子部品実装方法において、基板Sと該基板に実装する電子部品10とについて、搬送方向と実装方向との関係の実績データから予め求めてある半田付け不良が発生し易いパッドの近傍に、前記半田フロー工程における溶融半田の流れを阻害するダム用接着剤20を予め塗布しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をプリント基板等の基板上に接着剤で仮固定した後、半田フロー工程を経て該電子部品を半田付け実装する際に適用して好適な電子部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品をプリント基板等の基板に実装する方法としては、半田フロー工程を経るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような実装方法では、基板に形成されている電極であるパッドに、電子部品の対応する電極を当接させた状態で、該電子部品を接着剤で基板上に仮固定した後、図1にイメージを示すように、基板Sを矢印方向に搬送しながら半田フロー装置1を通過させることにより、対応する各パッドと電極とを半田付けして電気的に接合している。
【0004】
上記半田フロー装置1では、基板Sを電子部品の仮固定側を下にして、予め決められている搬送方向に沿って搬送し、図示しない半田浴から噴流される溶融半田に該基板Sの下面を接触させることにより、半田付けが実行される。
【0005】
【特許文献1】特開2001−352159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような半田フロー装置1に基板Sを通過させる半田フロー工程では、基板Sの搬送方向に対する、該基板Sへの電子部品の仮固定方向(設計上の実装方向)によって、半田付け不良の発生に差が生じる。
【0007】
例えば、図2に基板Sに仮固定された電子部品10を模式的に示すように、パッケージ12の対向する側部2辺にそれぞれリード14が配設されている2方向リード部品を、基板の搬送方向にパッケージ12の側部が直交する(リード14が平行になる)方向に、即ち搬送方向に対して搭載角度0°に仮固定すると、図中符号(a)で示した搬送方向に対して後方のリード部分に不良が発生しやすいことがわかっている。
【0008】
この対策としては、発生した不良箇所を事後的に手作業で修正するか、又は図3に示すように搭載角度を90°にしてパッケージ12の後方にリードがない配置にする方法をとることになる。
【0009】
即ち、従来の半田フロー工程では、前記図2のような基板の搬送方向と基板設計時の電子部品の実装位置との関係に起因する半田付け不良を少なくするためには、前記図3のように電子部品の実装方向を制約するしかなく、それでも発生した不良部位については手作業による修正を行うしかなかった。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点を解決するためのもので、上記のような基板設計時における基板搬送方向に対する電子部品の実装方向を制約する必要がない上に、基板実装後の半田接合箇所に対する手作業による修正を削減することができる電子部品実装方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板上に形成されているパッドに電極を当接させた電子部品を、該基板上に接着剤で仮固定した後、該基板を搬送方向に搬送しながら半田フロー工程を行ない、該電子部品を半田付けして実装する電子部品実装方法において、基板と該基板に実装する電子部品とについて、パッドの近傍に、前記半田フロー工程における溶融半田の流れを阻害するダム用接着剤を予め塗布しておくことにより、前記課題を解決したものである。
【0012】
本発明においては、搬送方向と実装方向との関係の実績データから予め求めてある半田付け不良が発生し易いパッドの近傍に、前記ダム用接着剤を予め塗布しておくようにしてもよい。
【0013】
本発明においては、又、前記電子部品がパッケージの側部に電極としてリードが配設されたリード部品であり、前記半田不良が発生し易いパッドが、前記基板を半田フロー工程で搬送する際にパッケージの下流側のリードに当接する位置にあるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パッドに対して、半田フローの流れ方向を変化させる(阻害する)ことが可能な近傍位置にダム用接着剤の塗布を、例えば捨て打ちで行うようにしたので、半田付け不良の発生を有効に抑制することができる。
【0015】
従って、半田フロー工程における搬送方向が決まっている基板に対する基板設計時における電子部品の配置の自由度を増やすことができ、更に、半田フロー工程による基板生産時の手作業による修正工数を削減できる。また、基板の搬送方向と実装する電子部品の実装方向との関係の実績データから、半田フロー工程で半田付け不良の発生が予測されるパッドに対して、ダム用接着剤の塗布をおこなうことにより、効率的に半田付け不良の発生を抑制する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図4には、本発明に係る一実施形態の電子部品実装方法の特徴を示す。
【0018】
本実施形態では、前記図1と同様の半田フロー装置1に対する搬送方向が、図中矢印で示す左方向である基板Sに、前記図2の場合と同様に、この基板の搬送方向に対して搭載角度0°で電子部品(2方向リード部品)10を実装する場合を例に説明する。
【0019】
図4に示される電子部品10のパッケージ12の対向2辺にはそれぞれ複数の電極であるリード14が配設されているが、これら各リード14は基板S上に形成されている電極であるパッド(明示せず)に当接され、その状態で該電子部品10は基板Sに接着剤で仮固定されている。
【0020】
この電子部品10が仮固定された基板Sを矢印方向に搬送して半田フロー装置1を通過させる半田フロー工程を行うと、前記図2で説明したとおり、下流側のリードで半田不良が発生し易いことが実績から分かっている。
【0021】
そこで、本実施形態では、下流側リードの近傍に、ダム用の接着剤20を複数個所に塗布することにより、図4の(b)の破線範囲にイメージを示すように、半田フロー工程の溶融半田の流れを変更する制御を行い、従来は半田が接触しにくかった下流側のリードにも半田がいきわたるようにすることにより、半田不良が発生することを防止している。
【0022】
このダム用接着剤20を塗布する位置や数等は、基板の種類、その搬送方向、部品の種類、その実装方向(位置)等と不良発生率との関係の実績(実験)データに基づいて予め求めておく。
【0023】
又、このダム用接着剤20の塗布は、接着剤のいわゆる捨て打ち段階で行うことができる。通常、電子部品を仮固定するための接着剤は、安定した量の塗布が要求されるため、仮固定用に塗布する前に塗布量を安定させるために仮固定とは関係のない位置に捨て打ちを行っているが、ダム用接着剤20もこの段階で行うことが工数を削減する上で有効である。
【0024】
次に、本実施形態の電子部品実装方法を実行する具体的な方法について図5に基づいて説明する。
【0025】
まず、生産プログラムの中の基板設計データを読込む(ステップ1)。半田フロー工程で半田付けされる電子部品とその実装位置データを取得する(ステップ2)。次いで、取得された電子部品から過去の実績や実験データをもとに、半田付け不良が発生すると予測される電子部品とそのリード部位を抽出(自動検出)し(ステップ3)、例えば図4に示したダム用接着剤20のように半田フローを最適にする位置に接着剤の捨て打ちを行うためのプログラムを作成する(ステップ5)。
【0026】
このプログラムは、自動生成できるようにすることが好ましい。捨て打ち用のプログラムを自動生成できるようにする場合は、半田付け不良の発生条件及び捨て打ち座標等のプログラム内容はユーザーにより追加・編集が可能であるようにする(ステップ4)。
【0027】
以上のように生成された捨て打ち用のプログラムと通常の生産のプログラムを合成してし(ステップ6)、半田フロー工程の前に接着剤塗布装置(図示せず)による接着剤の塗布を行い、例えば従来の捨て打ちの段階でダム用接着剤20の塗布を実行する。
【0028】
以上詳述した本実施形態によれば、例えば半田フロー工程における基板Sの搬送方向に対して搭載角度0°で実装する2方向リード部品(電子部品)10に対しては、下流側リードの近傍の所定位置に、ダム用接着剤20を捨て打ちしておくことにより、半田フロー工程における半田付け不良の発生を有効に防止することができる。
【0029】
尚、本発明は前記実施形態に示したように、2方向リード部品10を搭載角度0°で実装する場合に限られるものではなく、実績データから任意の角度について適用できるようにしてもよいことは言うまでもない。又、電子部品の種類も、2方向リード部品に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】半田フロー工程における半田フロー装置と基板の関係を示す模式図
【図2】従来の半田フロー工程による問題点を示すイメージ図
【図3】従来の半田フロー工程による他の問題点を示すイメージ図
【図4】本発明に係る一実施形態の電子部品実装方法における半田フロー工程の特徴を示すイメージ図
【図5】本実施形態の作用を示すフローチャート
【符号の説明】
【0031】
10…電子部品(2方向リード部品)
12…パッケージ
14…リード
20…ダム用接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されているパッドに電極を当接させた電子部品を、該基板上に接着剤で仮固定した後、該基板を搬送方向に搬送しながら半田フロー工程を行ない、該電子部品を半田付けして実装する電子部品実装方法において、
基板と該基板に実装する電子部品とについて、パッドの近傍に、前記半田フロー工程における溶融半田の流れを阻害するダム用接着剤を予め塗布しておくことを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項2】
搬送方向と実装方向との関係の実績データから予め求めてある半田付け不良が発生し易いパッドの近傍に、前記ダム用接着剤を予め塗布しておくことを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装方法。
【請求項3】
前記電子部品がパッケージの側部に電極としてリードが配設されたリード部品であり、前記半田不良が発生し易いパッドが、前記基板を半田フロー工程で搬送する際にパッケージの下流側のリードに当接する位置にあることを特徴とする請求項2に記載の電子部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−3726(P2010−3726A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158886(P2008−158886)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】