説明

電子部品実装装置および電子部品実装方法

【課題】検査結果を正確に反映させた適正な部品実装作業を可能として、不良発生率の低減と作業効率の向上とを両立させることができる電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板を検査して不良項目の有無を検出する外観検査部と、検査が終了した基板に対して割り当てられた搭載対象部品を移送搭載する部品搭載部とが一体に設けられた電子部品実装装置において、不良項目の検出結果に基づいて搭載対象部品の搭載動作実行可否を判定する搭載可否判定処理部28dを備え、搭載可否判定処理において予め設定された検出結果の不良パターンに基づき搭載対象部品についての搭載動作実行可否を自動判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側装置から搬入された基板の状態を検査した結果に基づいて当該基板に電子部品を実装する電子部品実装装置および電子部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する電子部品実装ラインは複数の電子部品実装装置を連結して構成され、実装対象の基板が各電子部品実装装置を上流側から下流側へ通過することによって基板には順次電子部品が搭載される。部品搭載後の基板は半田接合のためリフロー装置に送られるが、基板種類によっては、半田接合に先立って実装済み基板に対して外観検査を必要とする。この外観検査は基板上の電子部品を撮像することにより行われるため、シールドケースやスタック部品など既搭載部品の上方を覆って新たに電子部品を搭載する場合には、新たな電子部品を搭載する前に既搭載部品を対象とした外観検査を行う必要がある。
【0003】
このため、シールドケースやスタック部品などで覆われる電子部品の中に外観検査を必須とするような電子部品が存在する場合には、これらの部品を搭載する電子部品実装装置の上流に、外観検査のための検査装置を配置することが行われる(特許文献1参照)。この特許文献に示す先行技術例においては、シールドケースを実装する電子部品実装装置MDの上流に検査装置MCを配置する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−5290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の先行技術例のように、電子部品実装装置の上流に検査装置を配置する構成例においては、以下のような不具合が発生する。すなわち検査装置において部品搭載状態が良好であると判定された基板は下流の電子部品実装装置に搬送されるが、その搬送過程において既搭載部品は必ずしも正常な状態を保持するとは限らず、搬送中やライン待機中に伝達される振動などによって部品の位置ずれを生じる場合がある。
【0006】
すなわち、検査においては部品搭載状態は良好であると判定されていても、下流側の電子部品実装装置においてシールドケースやスタック部品を重ねて搭載する時点においては、既搭載部品の状態は必ずしも正常な状態であるとは限らない。このため、既搭載部品が不正常な状態のまま、シールドケースやスタック部品を重ねて搭載する事態が生じ、結果として実装不良を招く場合があった。またこのような事態を避けようとすれば、上流側の検査装置で不良と判定された基板を実装ラインから取り出して、検査結果を参照しながらオフラインでリペア作業を行う必要があった。このように、従来の電子部品実装ラインにおいては、検査結果を正確に反映させた適正な部品実装作業を効率よく実行することが難しく、不良発生率の低減と作業効率の向上とを両立させることが求められていた。
【0007】
そこで本発明は、検査結果を正確に反映させた適正な部品実装作業を可能として、不良発生率の低減と作業効率の向上とを両立させることができる電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子部品実装装置は、基板の状態を検査した結果に基づいて当該基板に電子部品を実装する電子部品実装装置であって、前記基板を搬送して所定の作業位置に位置決めして保持する基板搬送機構と、前記作業位置に位置決めされた基板を撮像して得られた撮像データを認識処理した認識処理結果を予め設定された不良検出基準と対照することにより、当該基板における不良項目の有無を検出して検出結果を出力する外観検査部と、前記作業位置に位置決めされ前記外観検査部による検査が終了した基板に対して、当該電子部品実装装置に割り当てられた電子部品である搭載対象部品を移送搭載する部品搭載部と、前記検出結果に基づいて前記部品搭載部による前記搭載対象部品の搭載動作実行可否を判定する搭載可否判定処理部とを備え、前記不良項目は、前記基板に搭載された既搭載の電子部品のうちのいずれかの電子部品の上方を少なくとも部分的に覆って前記搭載対象部品を搭載する場合において、前記搭載対象部品によって覆われる被覆部品以外の本来搭載されているべき電子部品が存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合であって、その電子部品を後工程において補充搭載あるいは位置修正する動作が前記搭載対象部品を搭載することによって妨げられない場合に該当する第1不良パターンと、前記既搭載の電子部品のうち前記被覆部品のいずれかが存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合に該当する第2不良パターンと、前記搭載対象部品の搭載動作を妨げる異物が存在する場合に該当する第3不良パターンとを含み、前記搭載可否判定部は、前記第1不良パターンが検出された場合には、前記部品搭載部による前記搭載対象部品についての搭載動作実行が可能であると判定し、前記第2不良パターンまたは第3不良パターンが検出された場合には、前記部品搭載部による前記搭載対象部品についての搭載動作実行が不可能であると判定する。
【0009】
本発明の電子部品実装方法は、基板の状態を検査した結果に基づいて当該基板に電子部品を実装する電子部品実装方法であって、前記基板を搬送して所定の作業位置に位置決めして保持する基板搬送工程と、前記作業位置に位置決めされた基板を撮像して得られた撮像データを認識処理した認識処理結果を予め設定された不良検出基準と対照することにより、当該基板における不良項目の有無を検出して検出結果を出力する外観検査工程と、前記作業位置に位置決めされ前記外観検査工程における検査が終了した基板に対して、当該電子部品実装装置に搭載対象として割り当てられた電子部品である搭載対象部品を移送搭載する部品搭載工程と、前記搭載対象部品の搭載動作実行可否を、前記検出結果に基づいて前記部品搭載工程に先立って判定する搭載可否判定工程とを含み、前記不良項目は、前記基板に搭載された既搭載の電子部品のうちのいずれかの電子部品の上方を少なくとも部分的に覆って前記搭載対象部品を搭載する場合において、前記搭載対象部品によって覆われる被覆部品以外の本来搭載されているべき電子部品が存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合であって、その電子部品を後工程において補充搭載あるいは位置修正する動作が前記搭載対象部品を搭載することによって妨げられない場合に該当する第1不良パターンと、前記既搭載の電子部品のうち前記被覆部品のいずれかが存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合に該当する第2不良パターンと、前記搭載対象部品の搭載動作を妨げる異物が存在する場合に該当する第3不良パターンとを含み、前記搭載可否判定工程において、前記第1不良パターンが検出された場合には、前記部品搭載工程における前記搭載対象部品についての搭載動作実行が可能であると判定し、前記第2不良パターンまたは第3不良パターンが検出された場合には、前記部品搭載工程における前記搭載対象部品についての搭載動作実行が不可能であると判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業位置に位置決めされた基板を撮像して当該基板における不良項目の有無を検出して検出結果を出力する外観検査部と、外観検査部による検査が終了した基板に対して当該電子部品実装装置に割り当てられた搭載対象部品を移送搭載する部品搭載部と、検出結果に基づいて部品搭載部による搭載対象部品の搭載動作実行可否を判定する
搭載可否判定処理部とを備え、予め設定された検出結果の不良パターンに基づき搭載対象部品についての搭載動作実行可否を自動判定することにより、検査結果を正確に反映させた適正な部品実装作業を可能として、不良発生率の低減と作業効率の向上とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置において実装対象となる基板の説明図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法における不良パターンの説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装方法における部品搭載処理のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2において、電子部品実装装置1は、スクリーン印刷装置、電子部品実装装置などの複数の装置を連結した電子部品実装ラインを構成するものであり、上流側装置である他の電子部品実装装置から受け渡された基板の状態を検査した結果に基づいて、当該基板に電子部品を実装する機能を有するものである。電子部品実装装置1には、上流側装置によって既に部品が搭載された状態の基板3が受け渡される場合もあれば、部品未搭載の基板が受け渡される場合もある。
【0013】
電子部品実装装置1は、カバー部材1bの内部の基台1a上に、基板搬送機構としての搬送コンベア2を備えている。搬送コンベア2は、受け渡された基板3を一定の水平方向(矢印a方向(X方向))に搬送し、所定の作業位置に位置決めして保持する。搬送コンベア2の手前側(図2において下側)には、外観検査部Aが、奥側(図2において上側)には部品搭載部Bがそれぞれ配設されている。外観検査部Aは、搬送コンベア2において作業位置に位置決めされた基板3を撮像して得られた撮像データを認識処理した認識処理結果を予め設定された不良検出基準と対照することにより、当該基板3における不良項目の有無を検出して検出結果を出力する機能を有している。また部品搭載部Bは搬送コンベア2において作業位置に位置決めされ外観検査部Aによる検査が終了した基板3に対して、当該電子部品実装装置1に搭載対象として割り当てられた電子部品である搭載対象部品を移送搭載する機能を有している。
【0014】
以下、外観検査部A、部品搭載部Bの具体構成を説明する。搬送コンベア2の上方には搬送コンベア2による基板3の搬送方向(X軸方向)と水平に直交する方向(Y軸方向)に延びたY軸テーブル5が設けられている。Y軸テーブル5には2つのY軸スライダ6A,6BがY軸テーブル5に沿って(すなわちY軸方向に)移動自在に設けられており、各Y軸スライダ6A,6Bには、X軸方向に延びたX軸テーブル7A,7Bの一端が取り付けられている。各X軸テーブル7A,7BにはX軸方向に移動自在な移動ステージ8が設けられている。
【0015】
外観検査部Aを構成するX軸テーブル7Aには、撮像視野を下方に向けた姿勢の認識カメラ11を備えたカメラヘッド12が移動ステージ8を介して装着されている。Y軸テーブル5およびX軸テーブル7Aは認識カメラ11を水平方向に移動させるカメラ移動機構23(図4参照)を構成する。カメラ移動機構23を駆動することにより、上流側装置から搬送コンベア2に搬入され作業位置に位置決めされた基板3の上方の任意位置へ認識カメラ11を移動させ、基板3を上方から撮像することができる。そして撮像結果を認識処理部28a(図4参照)によって認識処理することにより、基板3における電子部品の搭載状態が検出される。
【0016】
部品搭載部Bを構成するX軸テーブル7Bには、複数の吸着ノズル9を備えた搭載ヘッド10が移動ステージ8を介して装着されている。Y軸テーブル5、X軸テーブル7Bおよび搭載ヘッド10は部品を基板3に搭載する部品搭載機構24(図4参照)を構成する。部品搭載機構24を駆動することにより、部品搭載部Bの側方に配設された部品供給部4から搭載ヘッド10によって部品P(図1参照)を取り出して、外観検査部Aによる検査が終了した基板3に搭載する。搭載ヘッド10には、基板認識カメラ14が一体に設けられており、搭載ヘッド10とともに基板3上に移動した基板認識カメラ14は、基板3の部品搭載位置を認識する。さらに部品供給部4と搬送コンベア2との間の搭載ヘッドの移動経路には、部品認識カメラ15が配置されている。部品認識カメラ15は、吸着ノズル9に吸着保持された状態の部品Pを認識する。
【0017】
部品供給部4には、チップ部品などキャリアテープに保持された比較的小型の部品を供給するテープフィーダ13や、基板3において前工程にて既に搭載された部品を覆って搭載されるシールドケースなどの大型の部品をトレイに収容された状態で供給するトレイフィーダ(図示省略)などが配置される。本実施の形態においては、電子部品実装装置1に割り当てられた搭載対象部品が、シールドケース(図3に示すシールドケース32A、32B参照)である場合の例を示している。
【0018】
図1及び図2において、カバー部材1bにはディスプレイ19及び入力部20を備えた操作パネル21が設けられている。ディスプレイ19には、外観検査部Aによる検査結果およびこの検査結果に基づいて部品搭載部Bによる部品搭載が可能か否かを判定した判定結果などが表示される。そして電子部品実装装置1のオペレータは、ディスプレイ19に表示される画像を見ながら、入力部20から所要の入力操作を行うことができるようになっている。
【0019】
ここで図3を参照して、電子部品実装装置1による作業対象となる基板3について説明する。図3(a)に示すように、基板3は、1枚に同一の個片基板30を複数枚(ここでは4枚)集合させた多面取り基板である。電子部品実装装置1においては、それぞれの個片基板30に対して同一の作業が実行される。
【0020】
図3(b)は、当該電子部品実装装置1にて実行される作業内容を示している。図3(b)(イ)は、電子部品実装装置1に搬入された状態における個片基板30を示しており、個片基板30において鎖線枠で示すシールドエリア30a、30bは、電子部品実装装置1にてシールドケース32A、32Bが搭載される搭載部位となっている。前工程である上流側装置において、シールドエリア30a、30bには、それぞれ複数の既搭載部品31A、31Bが搭載されており、個片基板30においてシールドエリア30a、30b以外の範囲には、複数の既搭載部品31Cが搭載されている。
【0021】
そしてこの状態の個片基板30が外観検査部Aによる検査の対象となり、この検査結果に基づき部品搭載部Bによる部品搭載が実行される。すなわち、図3(b)(ロ)に示すように、シールドエリア30a、30bにおける既搭載部品31A、31Bの搭載状態に不良が検出されない場合には、シールドエリア30a、30bに対応する位置に、シールドケース32A、32Bが搭載される。これにより、図3(c)に示すように、既搭載部品31A、31Bは、後から搭載されたシールドケース32A、32Bによって覆われた状態となる。そして既搭載部品31Cは、個片基板30において上方を覆われずに露呈されたままとなっている。
【0022】
次に図4を参照して、制御系の構成を説明する。図4において、電子部品実装装置1による作業動作は、記憶部25に記憶された各種のデータに基づいて、制御部28がカメラ
移動機構23、部品搭載機構24、認識カメラ11を制御することによって実行される。記憶部25は、既搭載部品データ26a、搭載対象部品データ26bを含む部品データ26および位置ずれしきい値データ27a、不良パターンデータ27bを含む不良検出基準データ27を記憶している。既搭載部品データ26aは、電子部品実装装置1に受け渡された状態において基板3に上流側装置によって既に搭載されている部品を示すデータである。搭載対象部品データ26bは、当該電子部品実装装置1に割り当てられた搭載対象となる部品を特定するデータであり、この搭載対象部品データ26bに基づき部品搭載機構24による基板3への部品搭載が実行される。
【0023】
不良検出基準データ27は、外観検査部Aによる搭載状態の不良検出に用いられるデータである。すなわち、位置ずれしきい値データ27aは画像認識により検出された部品の正規位置からの位置ずれ量の許容値を規定する。不良パターンデータ27bは、基板3の各個片基板30において想定される不良発生の態様をパターン化して規定する。
【0024】
ここで、図5を参照して不良パターンデータ27bに規定される不良パターンの例について説明する。本実施の形態に示す電子部品実装装置1においては、搭載対象部品がシールドケース32A、32Bであって、上流側装置によって基板3に搭載された既搭載部品31A、31Bを覆う形態で搭載される場合について発生する不良パターンを示している。なお、ここで規定する不良パターンは、シールドケース32A、32Bのように既搭載の電子部品を完全に覆う場合のみならず、既搭載の電子部品のうちのいずれかの電子部品の上方を、少なくとも部分的に覆って搭載する場合においても適用可能である。
【0025】
まず図5(a)は、個片基板30においてシールドエリア30a、30b内にはそれぞれ既搭載部品31A、31Bが正常に搭載されていて不良は検出されていないが、シールドエリア30a、30b以外の範囲に搭載されているべき既搭載部品31Cについて不良が検出された状態を示している。ここでは2種類の不良例を2つの既搭載部品31C(1)、(2)について例示しており、既搭載部品31C(1)については、本来搭載されているべき部品が前工程における搭載ミスによって存在しない例が示されており、既搭載部品31C(2)については、搭載はされているものの正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている例が示されている。このような不良が検出された場合には、既搭載部品31Cを後工程において補充搭載あるいは位置修正することにより正常な個片基板30を完成させることができることから、部品搭載部Bによってシールドケース32A、32Bを搭載しても差し支えない。
【0026】
すなわち、図5(a)に示す不良パターンは、搭載対象部品であるシールドケース32A、32Bによって覆われる被覆部品である既搭載部品31A、31B以外の、本来搭載されているべき既搭載部品31Cが存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合であって、既搭載部品31Cを後工程において補充搭載あるいは位置修正する動作がシールドケース32A、32Bを搭載することによって妨げられない場合に該当する第1不良パターンとなっている。
【0027】
次に図5(b)は、シールドエリア30a内において本来搭載されているべき既搭載部品31Aが前工程における搭載ミスによって存在しない例が示されており、シールドエリア30b内において既搭載部品31Bが搭載はされているものの、正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている例が示されている。すなわち図5(b)に示す不良パターンは、既搭載の電子部品のうち被覆部品である既搭載部品31A、31Bのいずれかが存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合に該当する第2不良パターンとなっている。この第2不良パターンにおいては、このままシールドケース32A、32Bを搭載してしまうと、後工程で既搭載部品31Aの補充搭載や既搭載部品31Bの位置修正を行うことが不可能であるため、部品搭載部Bによってシールドケース32A、32Bを搭載することができない。
【0028】
また図5(c)は、シールドエリア30bにおいて、シールドケース32Bが搭載される部位に、シールドケース32Bの搭載動作を妨げる何らかの異物33が検出された例を示している。すなわち図5(c)に示す不良パターンは、搭載対象部品であるシールドケース32Bの搭載動作を妨げる異物33が存在する場合に該当する第3不良パターンとなっている。この第3不良パターンにおいては、シールドケース32Bの正常な搭載動作が阻害されるため、部品搭載部Bによってシールドケース32Bを搭載することができない。
【0029】
なお図5に示す第1〜第3不良パターンは上流側装置によって予め搭載された既搭載部品を有する基板3に、既搭載部品を覆う態様で搭載対象部品を搭載する実装形態において、外観検査部Aによって検出される不良項目を例示するものである。したがって既搭載部品および搭載対象部品の種類によっては、上述の3つの不良パターン以外にも種々の不良パターンを想定可能であり、それぞれの不良パターンについて、予め搭載動作実行可否の判定基準を設定することができる。たとえば、既搭載部品および搭載対象部品がいずれもBGAなどの半導体装置であり、上流側装置によって予め搭載された半導体装置の上に電子部品実装装置1にて同様の半導体装置を重ねて搭載するいわゆるスタック実装の場合には、既搭載の下段の半導体装置が許容範囲を超えて位置ずれしていたり、下段の半導体装置において上段の半導体装置が接続される接続部位に異物が検出された場合などには、搭載対象部品について搭載動作実行不可となるように判定基準が設定される。
【0030】
制御部28は、認識処理部28a、不良検出処理部28b、不良パターン判定処理部28c、搭載可否判定処理部28d、搭載制御処理部28eより構成される。認識処理部28aは、認識カメラ11によって基板3を撮像した撮像結果を画像認識処理することにより、基板3の各個片基板30における部品の有無や正規位置からの位置ずれを検出する。不良検出処理部28bは認識処理部28aによる認識処理結果に基づき、位置ずれしきい値データ27aを参照して不良項目が存在するか否かを検出する。不良パターン判定処理部28cは、不良検出処理部28bによって検出された不良項目が、不良パターンデータ27bに規定するどの不良パターンに該当するかを判定する。
【0031】
搭載可否判定処理部28dは、不良パターン判定処理部28cによって判定された不良パターンに基づき、当該搭載対象部品を基板3に搭載することの可否を判定する。すなわち、搭載可否判定処理部28dは、不良検出処理部28bによる検出結果に基づいて部品搭載部Bによる搭載対象部品の搭載動作実行可否を判定する。搭載制御処理部28eは、搭載可否判定処理部28dによる判定結果に基づいて部品搭載機構24に当該搭載対象部品を基板3に搭載する動作を実行させる。
【0032】
次に図6を参照して、電子部品実装装置1によって基板3に部品(ここではシールドケース32A,32B)を搭載する電子部品搭載処理フローについて説明する。ここでは、電子部品実装ラインを構成する上流側装置から受け渡された基板3の状態を検査した結果に基づいて、当該基板3に電子部品実装装置1に割り当てられた搭載対象部品、すなわちシールドケース32A、32Bを実装する処理が行われる。
【0033】
図6において、まず基板搬入工程が実行される(ST1)。すなわち受け渡された基板3を搬送コンベア2によって搬送して所定の作業位置に位置決めして保持する。なお、部品未搭載の基板3が受け渡される場合には、ここで部品搭載工程が実行される。次いで、外観検査工程が実行される(ST2)。すなわち搬送コンベア2において作業位置に位置決めされた基板3を認識カメラ11によって撮像して得られた撮像データを認識処理部28aによって認識処理する。そして認識処理結果を予め設定され記憶部25に不良検出基
準データ27として記憶された不良検出基準と対照することにより、当該基板3における既搭載部品についての不良項目の有無を検出して検出結果を出力する。
【0034】
次に、搭載可否判定工程が実行される(ST3)。すなわち、外観検査工程における不良項目の検出結果に基づいて、シールドケース32A、32Bの搭載動作実行可否を個別に判定する。ここでは、第1不良パターンが検出された場合には、部品搭載工程における搭載対象部品であるシールドケース32A、32Bについての搭載動作実行が可能であると判定し、第2不良パターンまたは第3不良パターンが検出された場合には、シールドケース32A、32Bのうち当該不良パターンに対応するものについての搭載動作実行が不可能であると判定する。
【0035】
次に、搬送コンベア2において作業位置に位置決めされ外観検査工程における検査が終了した基板に対して部品搭載工程が実行される(ST4)。すなわち部品搭載工程に先立って実行される搭載可否判定工程における搭載対象部品の搭載動作実行可否判定にしたがって、部品搭載部Bによってシールドケース32A、32Bを移送搭載する。そして部品搭載工程が実行された後の基板3は、当該電子部品実装装置1から搬出される(基板搬出工程)(ST5)。これにより、基板3を対象とした電子部品搭載処理の1サイクルが終了する。
【0036】
上記電子部品搭載処理においては、作業対象となる基板3は搬送コンベア2に設定された作業位置に保持された状態を保ち、この状態の基板3に対して、外観検査部Aおよび部品搭載部Bによってそれぞれ外観検査および部品搭載が実行される。したがって、電子部品実装装置の上流に検査装置を配置する構成の先行技術例おいて発生していた不具合、すなわち検査装置において部品搭載状態が良好であると判定された基板が下流に搬送される搬送過程にて振動などによって部品位置ずれを生じ、下流側の電子部品実装装置において既搭載部品が不正常な状態のまま搭載対象部品を重ねて搭載して実装不良を招く事態を完全に排除することが可能となっている。
【0037】
さらに本実施の形態においては、外観検査部Aによる不良項目の検出結果に基づいて部品搭載部Bによる搭載対象部品の搭載動作実行可否を判定する搭載可否判定処理部28dを備え、搭載可否判定処理において予め設定された検出結果の不良パターンに基づき搭載対象部品についての搭載動作実行可否を自動判定するようにしている。これにより、検査結果を正確に反映させた適正な部品実装作業を可能として、不良発生率の低減と作業効率の向上とを両立させることができる。
【0038】
なお上記実施の形態においては、外観検査部Aによる不良項目の検出結果に基づく搭載可否判定を、個別の搭載対象部品毎に行う例を示しているが、対象となる基板3が、複数の個片基板30が集合した多面取り基板である場合には、搭載可否判定工程において、第2不良パターンまたは第3不良パターンが少なくとも1つ検出された場合には、当該不良パターンが検出された個片基板30を対象とする搭載対象部品についての搭載動作実行が不可能であると判定し、当該個片基板30を搭載動作の対象から除外するようにしてもよい。さらには、搭載可否判定工程において、第2不良パターンまたは第3不良パターンが少なくとも1つ検出された場合には、当該不良パターンが検出された基板3の全範囲を対象とする搭載対象部品についての搭載動作実行が不可能であると判定し、当該基板3全体を搭載動作の対象から除外するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の電子部品実装装置および電子部品実装方法は、検査結果を正確に反映させた適正な部品実装作業を可能として、不良発生率の低減と作業効率の向上とを両立させることができるという効果を有し、複数の電子部品実装装置を連結して構成された電子部品実装
ラインによって基板に電子部品を実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 電子部品実装装置
2 搬送コンベア
3 基板
4 部品供給部
10 搭載ヘッド
11 認識カメラ
A 外観検査部
B 部品搭載部
30 個片基板
30a、30b シールドエリア
31A、31B、31C 既搭載部品
32A、32B シールドケース
33 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の状態を検査した結果に基づいて当該基板に電子部品を実装する電子部品実装装置であって、
前記基板を搬送して所定の作業位置に位置決めして保持する基板搬送機構と、前記作業位置に位置決めされた基板を撮像して得られた撮像データを認識処理した認識処理結果を予め設定された不良検出基準と対照することにより、当該基板における不良項目の有無を検出して検出結果を出力する外観検査部と、前記作業位置に位置決めされ前記外観検査部による検査が終了した基板に対して、当該電子部品実装装置に割り当てられた電子部品である搭載対象部品を移送搭載する部品搭載部と、前記検出結果に基づいて前記部品搭載部による前記搭載対象部品の搭載動作実行可否を判定する搭載可否判定部とを備え、
前記不良項目は、前記基板に搭載された既搭載の電子部品のうちのいずれかの電子部品の上方を少なくとも部分的に覆って前記搭載対象部品を搭載する場合において、前記搭載対象部品によって覆われる被覆部品以外の本来搭載されているべき電子部品が存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合であって、その電子部品を後工程において補充搭載あるいは位置修正する動作が前記搭載対象部品を搭載することによって妨げられない場合に該当する第1不良パターンと、前記既搭載の電子部品のうち前記被覆部品のいずれかが存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合に該当する第2不良パターンと、前記搭載対象部品の搭載動作を妨げる異物が存在する場合に該当する第3不良パターンとを含み、
前記搭載可否判定部は、前記第1不良パターンが検出された場合には、前記部品搭載部による前記搭載対象部品についての搭載動作実行が可能であると判定し、前記第2不良パターンまたは第3不良パターンが検出された場合には、前記部品搭載部による前記搭載対象部品についての搭載動作実行が不可能であると判定することを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
基板の状態を検査した結果に基づいて当該基板に電子部品を実装する電子部品実装方法であって、
前記基板を搬送して所定の作業位置に位置決めして保持する基板搬送工程と、前記作業位置に位置決めされた基板を撮像して得られた撮像データを認識処理した認識処理結果を予め設定された不良検出基準と対照することにより、当該基板における不良項目の有無を検出して検出結果を出力する外観検査工程と、前記作業位置に位置決めされ前記外観検査工程における検査が終了した基板に対して、当該電子部品実装装置に搭載対象として割り当てられた電子部品である搭載対象部品を移送搭載する部品搭載工程と、前記搭載対象部品の搭載動作実行可否を、前記検出結果に基づいて前記部品搭載工程に先立って判定する搭載可否判定工程とを含み、
前記不良項目は、前記基板に搭載された既搭載の電子部品のうちのいずれかの電子部品の上方を少なくとも部分的に覆って前記搭載対象部品を搭載する場合において、前記搭載対象部品によって覆われる被覆部品以外の本来搭載されているべき電子部品が存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合であって、その電子部品を後工程において補充搭載あるいは位置修正する動作が前記搭載対象部品を搭載することによって妨げられない場合に該当する第1不良パターンと、前記既搭載の電子部品のうち前記被覆部品のいずれかが存在しないかあるいは正規位置から許容範囲を超えて位置ずれしている場合に該当する第2不良パターンと、前記搭載対象部品の搭載動作を妨げる異物が存在する場合に該当する第3不良パターンとを含み、
前記搭載可否判定工程において、前記第1不良パターンが検出された場合には、前記部品搭載工程における前記搭載対象部品についての搭載動作実行が可能であると判定し、前記第2不良パターンまたは第3不良パターンが検出された場合には、前記部品搭載工程における前記搭載対象部品についての搭載動作実行が不可能であると判定することを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項3】
前記基板は複数の個片基板が集合した多面取り基板であり、前記搭載可否判定工程において、前記第2不良パターンまたは第3不良パターンが少なくとも1つ検出された場合には、当該不良パターンが検出された個片基板を対象とする前記搭載対象部品についての搭載動作実行が不可能であると判定することを特徴とする請求2記載の電子部品実装方法。
【請求項4】
前記搭載可否判定工程において、前記第2不良パターンまたは第3不良パターンが少なくとも1つ検出された場合には、当該不良パターンが検出された基板の全範囲を対象とする前記搭載対象部品についての搭載動作実行が不可能であると判定することを特徴とする請求2記載の電子部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−9605(P2011−9605A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153379(P2009−153379)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】